ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: アイデア、理論など

これまで何度となく粒状班の撮影を試みてきましたが、どれも全く満足とはいかずに、撮影手法が正しいのかさえわからないような状態でした。今回、シーイングのいい状態をものにする方法がわかったので、再挑戦してみました。


これまで

これまでのベストは、昨年かなりシーイングがいい日に撮ったもので、それでもこの程度です。
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かろうじて粒々らしきものが見えていますが、まだ粒状班と言うにはほど遠いです。それでも画像処理も無理しない範囲でこれだけ出たので、やはりシーイングが重要だということは少し理解できていました。でもシーイングをこれ以上劇的によくする方法は、まだ全然見通しが立っていませんでした。

その後も何度が挑戦はしていますが、上の結果をどうしても超えることができずに、もう今の機材や方針では無理なのではないかと、だんだんあきらめるようになってしまっていました。同時に、太陽全体に対するモチベーションが下がる原因にもなってしまっていて、太陽に関してhPhenixを触るまでずっと盛り上がらない日が続いていました。


悪条件なのに

最近の太陽の成果でいいシーイングを確実にものにする方法がやっと確立したことになるので、満を持して長年の課題だった粒状班に再挑戦してみました。

と言ってもこの日は午前がずっと天気が悪く、午後になって少し晴れた程度で、まだまだほんのテストで、そこまで気合入っていません。フィルターもBaaderのOD5の減光フィルムのみで、その他はノーフィルターです。撮影中もずっと薄雲が出ていて、しかも間違えてRAW8で撮影という、普通で考えたらそのまま却下なくらいの状況でした。それでもまあ、休日の晴れ間ということで、セッティング時はしーいんぐもよさそうだったので、撮影を開始してから2時間ほど放っておきました。

30秒間隔で1ショットあたり200フレーム、合計240ショット撮影したのですが、半分くらいの時間は雲で暗くなっていて使い物にならなかったです。残りの半分切るくらいのうち、セッティングして少し経ってくらいの3本だけが分解能よく撮れてました。ベストの1本だけだとノイズがまだ目立ってしまったので、200フレームだと少し足りないのかもしれません。試しに近い時間だった3本を合わせて、600フレームのうちAS4!で上位50%を処理してみると、もう少しマシになりました。その結果です。

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天気や自分の設定ミスなどもありかなりの悪条件だと思うのですが、初めてここまで粒状斑が出て、あっさりベストを更新してしまったと言っていいでしょう。やはりこの、連続して長時間撮影していいシーイング時間を選択するという方法はかなり有効なのかと思います。

今後の課題は、OD5のフィルムだとまだ暗いようなので、同じBaaderのOD3.8フィルムに変えることと、540nm付近のフィルターを入れることでしょうか。


まとめ

粒状斑についても少し見通しがついてきました。とういか、むしろ粒状斑を出したくてシーイングのいい時をみるける方法を探っていたと言ってもいいのかと思います。天気もあまり良くなくて、まだ大した時間は試せていないので、もう少し条件のいい日で試したいと思います。まだまだ改善するはずです。





前回の記事で4月12日にシーイングの持続時間を評価してみましたが、もう一つ試したことが太陽の全景撮影です。


4月5日の挑戦

全景撮影に関しては、前週の4月5日にも口径102mm 焦点距離1000mmの国際光器のMAGELLAN 102で試しています。面積の広いフォーサーズを使い、一応全景を入れて撮影はできました。でもPST的には、BFの5mmという径も、エタロンの良透過波長エリア的にも、プロミネンスがほとんど出ていなかったことからも、限界を超えていると言っていいでしょう。


問題点は焦点距離が長すぎるために、太陽の径が大きくなりすぎてしまい、BFで蹴られることでした。これはBFのマウントの穴径を広げることで、ある程度回避しました。もう一つは、エタロンの良像範囲がリング状に変化していき、Hαに一致する範囲に制限があることです。焦点距離1000mmでの太陽径では、この波長が合う面積内に全体を入れることが難しかったということです。

いずれにせよ、焦点距離が問題なので、鏡筒を変更する必要があります。レデューサーは像が決まった後に入れるものなので、今回は使えないでしょう。


口径8cm、焦点距離400mmで挑戦

とにかく全景に関しては、焦点距離1000mmではこれ以上解がなさそうなので、焦点距離の短い鏡筒を考えます。

また、カメラもフォーサーズのASI294MM Proはそもそも冷却も使う必要がないのでちょっと勿体無いです。しかも、冷却をしないとしても12V電源を別途繋がなければ使えないので、余分なケーブルが必要となり取り回し的にも面倒です。元々は、高分解能目的でbin1のピクセルサイズ2.3μmを狙っていたのですが、bin1だと(いまだに理由はわからないのですが) 4x4のピクセルパターンがどうしても出てしまうので、bin2での撮影にせざるを得ないということがわかりました。このことは、Phoenixで試したときもそうでしたし、4月5日に試したときもそうだったので、今のところ少なくとも太陽にASI294MM Proのbin1を使うことはできないという結論です。DSOにどこまで影響があるのかは、今のところ気付いたことはないのでよくわかっていません。

というわけで、カメラはモノクロでピクセルサイズが小さいものという観点から、とりあえず手持ちのASI290MMで入る範囲ということにしました。センサーサイズは1/3''とかなり小さいので、全景を入れようとしたら、計算上は焦点距離は400mmよりもかなり短くなってしまいます。実際、焦点距離400mmのPhoenixでもASI290MMだと全景は一度に入りませんでした。ただ、400mm以下だと分解能がかなり悪くなってくるので、とりあえず今回は焦点距離400mmにASI290MMで2枚のモザイクというので妥協します。今後センサーサイズの大きいカメラを使うことを検討しているので、そのうち1枚で写せるようになるかと思います。

さて口径です。順当に行くとPSTの鏡筒がちょうど焦点距離400mmなのでそれでもいいのですが、以前手持ちの口径8cmで焦点距離400mmのiOptronの安価な鏡筒を太陽で試して、口径4cmのPSTよりも分解能がよくなったので、今回も同じことをやってみます。


適当にレールを組み合わせ、PSTを無理やりっぽいですが、何とか鏡筒に取り付けます。でも全然ピントが出ません。上の記事を改めて見て写真を確認してみると、PSTをかなり鏡筒内部に入れ込むような状態で取り付けています。同じような距離になるくらいに組み直してみると、やっとピントが出ました。やっぱり記録のための写真は撮っておくものですね。

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今回、PSTをこれくらい鏡筒の中に入れ込みました。


太陽全景画像

その状態でそれぞれ1000フレーム撮って上位75%をスタックしたもの2枚をモザイク合成したものになります。細部出しはImPPG、カラー化にはSolar Toolboxを使いました。カラー化後にモザイク合成を、Photoshopを使って手作業でやりました。
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中心部の分解能と周辺部のHαの出方にまだ違いがあるので少し不満はありますが、口径10cm、焦点距離1000mmのMAZELLANで撮ったものよりも、はるかにHαの模様が出ています。全然出なかったプロミネンスも、少なくとも形が判断できるくらいには十分出ています。分解能も、モザイクで2枚に分けている効果もあり、同じASI290MMで1枚で撮ったものよりも出ています。

まあとりあえず全景撮影用として何とか使えると思うことにしますが、特にHαのコントラストでPhoenixには劣るので、いいエタロンが欲しくなります。

分解能は口径10cmの時よりもよくなっているので、10cmという口径は全景撮影には全然貢献していなくて、ほとんど意味がないことを示しています。カメラの解像度や、Hαの良像範囲のほうが聞いていたと言っていいでしょう。では、今回の口径8cmは分解能に貢献しているのでしょうか?同じ焦点距離で口径4cmと比較してみればわかるはずです。一応以前の結果では意味があったと結論づけているので、もし時間があれば今一度同じことをやってみてもいいかもしれません。


あれ?、F値は?

さて、ここで疑問になってくるのが、そもそも「PSTのエタロンはF10を仮定してあるはずのでは?」ということです。もう少し正確にいうと「エタロンのところで平行光になるようにエタロン手前にレンズ(調べた限り焦点距離200mmの凹レンズらしい)が入っていて、そのレンズがF10の光に対してエタロンに平行光を作り出すはずなのでは?」という意味です。

でも今回使った鏡筒は口径10cmで焦点距離400mmなので、F5です。今のレンズだと平行光にならないはずなのに、なんでこれでうまくエタロンが働くのでしょうか?

いくつかわからないことが出てきました。
  • 平行光を生み出す200mm凹レンズの位置に対する要求はあるのか?焦点より後ろにレンズを置いた場合は、光がさらに広がっていくのダメなことはすぐわかります。じゃあ焦点の前ならば、どこでも平行光になるのか?特に、焦点に近づくと変なことは起こらないのか?
  • エタロンは本当に平行光しか受け付けないのか?鏡の間の距離が短くてフィネスが10程度のオーダーなら平行光にこだわる必要はないのではないか?
  • そもそも、F値ってなんなのでしょう?今の口径8cm、焦点距離400mmの鏡筒の対物側に、直径4cmの穴を中心に空けたキャップをつけたらF10になるのでしょうか?
  • 口径を制限する穴は、カメラレンズで言う「絞り」と同等なんだと思いますが、絞りの位置はどこでもいいのでしょうか?エタロンの後に入れたら無意味なのはわかるのですが、例えばエタロンより前の対物側にだったらどこにつけてもいいのでしょうか?

ここら辺の疑問が、なぜPSTのエタロンは現状リング状に良像範囲が変わっていくのか?という疑問につながります。これまでは単純にモードが合っていなくてLaguerre-Gaussianモードが見えていると思っていたのですが、これだと上の疑問に全く答えられません。


まとめと今後

ちょっとトリッキーですが、何とか太陽全景をそこそこの分解能で写し出すことができました。でも、なんでF5鏡筒でPSTエタロンが問題ないのかがよくわかっていません。とにかく事実としては、特に平行光を注意して作らなくてもエタロンは少なくとも働いているように見えることから、もしかしたら全くの思い違いをしている可能性もあります。ちょっとまだ答えは出ていないので、もう少し考えて、今後色々試していこうと思います。




前回の記事で、4月7日にタイムラプス用に1分おきに撮影した画像を使って、シーイングの時間変化を検証してみました。今回の記事では、翌週の4月12日にもっと短い間隔で撮影し、シーイングの持続時間を検証してみました。


撮影条件

4月5日の撮影では、
  • 1分毎に1.25ms露光で200フレーム、2時間で合計120本
を撮影したもので検証しました。1本あたりのserファイルの容量は800MB越えです。

次の週の4月12日に、どれくらいの時間間隔で撮影すればいいのかと、必要フレーム数のあたりをつけるために
  • 20秒毎に1.25ms露光で200フレーム、30分で合計90本
  • 10秒毎に1.25ms露光で100フレーム、30分で合計180本
で撮影してみました。1本あたりのserファイルの容量はそれぞれ800MB越えと、400MB越えで、トータル量は共にそれぞれ75GB程度になります。


4月12日のシーイングの評価

この日は4月5日と比べると、(昼近くからだったこともあるのか) シーイングは全然良くありませんでした。といっても特別悪い日でもなくて、これまで見てきた経験から言うと、ごく平均的なシーイングなのかと思います。そのため、前回分けた
  1. ベストに近いもの
  2. ベストクラスからは劣るけれども、そこそこいいもの
  3. 特別いいわけではないけれど、普通にいいもの
  4. それより分解能があからさまに劣るもの
  5. 仕上げには絶対使いたくないもの
  6. ワーストクラス
というようなランク分けで言うと、6クラスが半分以上、5クラスが3割程度、4クラスでさえも1割くらい、3クラスが数えたら7枚 / 270枚 ~ 2.5%程度あるだけといったところです。1、2クラスはありませんでした。

2025/4/5 太陽(その1): 望遠鏡2台での撮影」で見せた、4月5日の中で適当な時間に撮ったものが「ランク4の悪い方か、5のいいほうくらい」という評価だったので、シーイングがいい日に適当な時間に撮影するよりも、シーイングが悪い日に最もいいものを選んで採用した方がいい確率が高いということが言えそうです。


シーイング継続時間

一番興味のある、同じようなシーイングがどれくらい続くかということを検証してみます。

前回の4月5日での結論は
  • 1分おきに3−4秒ほど撮影していて、1分毎にシーイングが大きく変わっているのがわかった
  • 撮影中の3−4秒でもシーイングは変化しますが、1分毎の平均的な大きな変化には至らず、いい時はいい中での変化、悪い時いは悪い中での変化
というものになります。

今回の4月12日の画像からわかったことですが、
  • 20秒おきの撮影ではそこまではっきりとした傾向は見られない。
  • その一方、10秒おきの撮影ではある程度はっきりとした傾向が見られた。
  • 悪いシーイングの画像がほとんどで、その分いいシーイングが目立ち、一旦いいシーイングになると、2から4枚とか連続して続く。
  • ただし、その2−4枚の中でも良い悪いは結構変わるが、他の悪い時画像よりは明らかにいい。
  • シーイングがいい時間は、20秒ごとの撮影では30分間で2回、10秒ごとの撮影でも30分で2回だった。

もし今回のことが典型的なケースとすると、
  • ごく一般的な、そこまで良くないシーイングの日でも、1時間も連続で撮影すれば、少なくとも数回はいい時があり、そのいい時間は数十秒程度続く。
  • 1分毎の撮影だといい時を逃す可能性があり、30秒毎の撮影ならとりあえずチャンスを逃すことはない。
  • ただし、いい時の数十秒の中でも良い悪いがあるので、ベストの時を得たいなら更に半分の15秒毎程度の撮影が安全そう。
というようなことが言えそうです。


ワンショットあたりの必要フレーム数

もう一つ、一回あたりのフレーム数についても検討してみましょう。前回の経験から
  • 200枚撮影して、そのうちの上位100枚程度を処理すれば、多少ノイズは目立ちますが、ノイズ処理前提なら十分な枚数
ということがわかりました。

今回10秒毎の撮影を処理してみたところ、
  • 100フレームでの撮影だとちょっと心許なく、ノイズがかなり目立つ。多少きつめのノイズ処理をしても、ノイズを消し切ることができない、もしくは無理して不自然になってしまう
という結論です。

なのでやはり
  • 1回で最低200フレーム撮るか、
  • 1回100フレームで撮影して、いい分解能の何本分かを合わせて使う
とかでしょうか。


現実的な値

こう考えると、静止画を作るのにいいシーイングを探すのには、30秒毎に200フレームくらいをトータル1時間くらいが限界な気がします。これでもファイル総量は100GB程度になります。

タイムラプスの場合は、プロミネンスで30秒毎に200フレームでトータル1時間、太陽表面で1-2分毎に200フレームでトータル2時間とかになるのでしょうか。

もう一つの方法は、ダメだった動画ファイルはすぐ捨てることを前提で、10秒毎に200フレームとかで1時間でしょうか。これだと300GBくらいになるので、トータル1TBの空きスペースがあっても高々最大3セットで、いかにいらないファイルを早く消せるかの判断が重要になってきます。私の場合、性格的に本当に要らないとわかるまではすべてのファイルをとっておくタイプなので、この方法はちょっと厳しいかと思います。


この日のベスト画像

この日の、悪いシーイングながらも、その中でいいシーイングの時を選んで画像処理をしたものを載せておきます。11時22分1秒のもので、200フレームのうちAS!4で上位90%を選んでスタックしています。細部出しはImPPG、コントラストとカラー化はSolar Toolboxで仕上げにPhotoshopです。

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以前までの基準から言うと相当いい部類ですが、シーイングがいい時に選びぬいたベストとは流石に比べるまでもなく劣ってしまいます。でもこのレベルの画像が、シーイングが多少悪くてもほぼ確実に撮れるとしたなら、 全然悪くないのかと思います。


シーイングが効く状況

少し補足です。前回記事はシーイングの時間変化の話でした。この記事は結構インパクトがあったらしくて、個別にネットや電話で何人もの方から直接質問がありました。


質問に答える中で一つ気づいたことがあります。それは「シーイングが効くのはある程度の分解能が出てから」ということを伝えるべきだったということです。

例えば口径4cmのPhoenixなどは、実際にはシーイングはほとんど効かないでしょう。実際にはもっと長焦点、大口径になってきて初めてシーイングが効いてきます。

太陽撮影の分解能に関係することとして、より効くものや、簡単に改善できそうなものから順に挙げていくと、
  1. カラーカメラかモノクロカメラか
  2. カメラのピクセルサイズ
  3. 鏡筒の焦点距離
  4. 口径
  5. シーイング
などといった感じでしょうか。もちろん、機材の質、環境、撮影状況などによって順序は多少入れ替わりますし、実際の分解能はこれら全ての項目できまる個々の分解能の2乗和のルートになります。一つでも悪い分解能があるとそれが支配的となり、それを解決しない限り他のものをどう改善しても無駄になります。そのため、分解能を改善しようとするなら、一番効いているところ( 一番悪いところ)を改善するのが鉄則となります。

  1. 例えばカラーカメラかモノクロカメラかは、ピクセルサイズが同じだとしても単純に分解能が倍になるのでかなり大きな効果です。Phoenixのような鏡筒の焦点距離が短い400mm程度の場合でも、カラーかモノクロかの違いは効いてくるでしょう。
  2. 同様に、モノクロにしたとしてもピクセルサイズが小さい方が分解能としては有利になってきます。
  3. 小口径の太陽望遠鏡は焦点距離も短いので、例え4cmクラスの口径でも焦点距離を伸ばすと分解能が増えるケースが多いと思います。焦点距離を伸ばす代わりに、簡単にはバローレンズを入れてもいいでしょう。
  4. カメラのピクセルサイズを小さくしたり、焦点距離を伸ばしていっても、あるところで望遠鏡の口径で分解能の限界がきます。こうなった状態で口径を大きくすると、大きな改善の効果が見えるはずです。逆にいうと、分解能を制限していないところを改善しても改善の効果はほとんど見られません。例えば、焦点距離が短い状態、ピクセルサイズが大きすぎる状態で口径を大きくしても、分解能に関してはほとんど改善が見られないということです。
  5. バローなどで焦点距離を伸ばしても、ピクセルサイズが小さいカメラを選んでも、口径の大きな太陽望遠鏡を手に入れても、いずれ分解能には限界が出てきます。その場合は、やっとシーイングが効いていると思っていいでしょう。特に日によって分解能が変わることが認識出るなら、おそらくシーイングが原因です。この状態なら、前回の記事でやったように、いいシーイングの時間帯を探すということが効果的になるはずです。
エタロンの性能差や精度差による透過波長幅の差はまた少し別の話で、解像度というよりはコントラストに効くといったほうがいいのでしょう。


まとめ

ある程度ですが、いいシーイングの持続時間みたいなものが見えてきました。現実的にはディスク容量からの制限の方がきつそうで、最もいいところを完全に逃さずにというのは難しそうです。でもまあ、1分くらいまでなら多少時間感覚を増やしても、かなりの確率でいい分解能を拾えるでしょうし、たとえベストでなくても適当な時間に撮るよりははるかにいいはずので、今後しばらくは現実的に処理できるくらいの時間とフレーム数で試そうと思います。

加えて、今後検証したいのが、動画ファイルからいいフレームを自動できちんと選べるかです。今はまだAutoStakkertの選択を信頼できないでいるので、自分で手作業でいいものを選んています。これが十分な信頼度で自動でうまく上位フレームを選択できるなら、何本かの動画を合わせて処理するとか、枚数が多くなっても対応できそうです。

太陽関連でまだまだやりたいことがたまっているのですが、未処理の撮影ファイルが残っていて、ブログ記事に書くことも追いつていないです。もっと時間が欲しいです。今後もしばらくは太陽ブームは続きそうです。





黒点周りのタイムラプス映像のための画像を処理していてい、とても面白いことに気づきました。これは今後の分解能出しに大きく影響しそうです。


短時間で大きく変わる分解能

全く同じ条件で撮影しているのに、1枚1枚の画像の分解能が全然違うのです。例を示します。

こちらはある時刻10時42分のものです。200フレーム撮影したもののうち、AS4!で上位90%をスタックし、ImPPGで細部出しをしています。かなり解像度が出ているのがわかります。
10_42_19_lapl2_ap3983_out

次はその1分後のものです。全く同じ条件でAS4!でスタックし、ImPPGでこれも全く同じパラメータで細部出しをしています。何も変えていないのに、ボケボケです。
10_43_23_lapl2_ap3860_out

次はさらに1分後です。再び解像度は復元しています。
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わずか1分でここまで変わっていいのかというくらいの違いです。これらの例の他にも、解像度が悪いのが3枚ほど続き、復帰しているなどもあります。


2時間の中でベストとワースト

120分の中で、ベストの11時46分5秒のものと、ワーストの11時16分55秒のものです。処理条件は上の3枚と全く同じです。ここまで違っていいのかというくらいの違いです。
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11_16_55_lapl2_ap3756_out


分解能が変わる原因

この突発的な解像度の変化の原因は、いくつかの可能性が考えられます。
  • シンチレーションの悪化
  • 風で揺れた
  • 何かの拍子に地面が揺れた
  • たまたま機材の不調などな
などでしょうか。

これらの分解能の違いはリアルタイムで画面を見ていた時は、あまり違いに気づけませんでした。今回、ImPPGで細部出しをして、そこで比較していいものと悪いものを動画に戻って比べて見てみると、ああなるほどと思ったくらいです。

分解能が悪くなるのは、2時間の撮影中のある時間帯だけに起こっているのではなく、最初から最後までバラバラに発生しています。こう考えると、
  • 地面の突発的な揺れがこんなふうにバラバラの時間で満遍なく発生するとはあまり考えられません。
  • また、風の場合は画面が大きく揺れることがわかっていますが、分解能が悪い時の動画を生で見てみると、どうも細かい揺れが多いように見えます。
  • 機材の揺れだと事故的に単発で起こるか、もしくは何かが原因で周期的に起こるかなどです。短髪にしては頻度が多すぎます。また、ばらついてはいるものの、周期的に起こっているわけではないようです。
なので、とりあえず今の所はシーイングの時間変動と考えるのがもっともらしいと思っていますが、もし仮にそうだとしたら、シーイングが分単位でここまで変化するとは本当に驚きです。シーイングが時間で変わることは知識としては知っていましたが、30分とか、せいぜい早くても10分とかいう単位だと思い込んでいました。今の所時間スケールはまだはっきりとはわかりませんが、分かそれ以下の時間でで大きく変わると考えて良さそうです。

こうなると今後の撮影方針はかなり変わってきます。これまではいいシーイングを探して、3-4時間の中で数十分おきに撮影したりしたことはありました。その時は明確な差は判らなかったので、それ以降いいシーイングを探すのはあきらめてしまっていました。今回の結果から考えると、数十分おきとかではいいところを探しきることはできなかったのでしょう。


分解能の時間のばらつき具合

120枚の分解能の内訳ですが、
  1. ベストに近いもの: 5枚
  2. ベストクラスからは劣るけれども、そこそこいいもの: 15枚
  3. 特別いいわけではないけれど、普通にいいもの: 39枚
  4. それより分解能があからさまに劣るもの: 39枚(前々々回のブログ記事で示した、最初の時間の撮影で1000フレームで仕上げたものはこのランクの中の悪い方か、次の5のランクの中のいい方くらいでした)
  5. 仕上げには絶対使いたくないもの: 17枚
  6. ワーストクラス: 5枚
といったところでしょうか。

ベストの5枚の時間はそれぞれ: 
  • 11時5分1秒
  • 11時43分54秒
  • 11時46分5秒
  • 11時55分48秒
  • 12時26分3秒

ワーストの5枚の時間はそれぞれ: 
  • 10時43分23秒
  • 11時16分55秒
  • 11時19分5\4秒
  • 12時27分8秒
  • 12時28分13秒
となっているので、少し近い時間帯もありますが、そこまで偏っているわけではなくて、結構散らばっているのがわかるかと思います。

せっかくなので、典型的な画像も載せておきましょう。順に上の順位の1から6の中で、それぞれ真ん中らへんのものを選んでいます。

1_10_45_33_lapl2_ap3969_out
2_11_11_30_lapl2_ap3983_out
3_12_10_54_lapl2_ap3858_out
4_12_20_38_lapl2_ap3952_out
5_12_08_44_lapl2_ap3915_out
6_11_19_04_lapl2_ap3906_out

ある程度正規分布に従いそうなので、数多く撮影して一番いいものを選ぶというので、これまで適当な時間を一本だけ撮影するよりは、大幅な改善が期待できそうです。


ベストの200フレームの中で

あともう一つ、ベストと思われる11時46分5秒の200フレーム撮影のうち、ベストと思われるものとワーストと思われるものを示しておきます。一本のserファイルを200枚のTIFF形式に分解し、個々の画像にImPPGで細部出しをしてみました。

11_46_05_102_out

11_46_05_182_out

わずか数秒の撮影中にも、分解能のいいもの、悪いものが存在するようです。この200フレームを、いいと思うものと、悪いと思うものの2種類に分けてみたのですが、いい時も悪い時も10枚くらい続くことが多かったです。ということはいい時と悪い時が0.3-0.4秒おきくらいのタイムスケールで替わっていると考えることができます。まだ今回だけの話なので、これがどこまで一般的かはわかりませんが、もしこのタイムスケールが本当だとすると、想像していたよりもはるかに速く入れ替わっているという印象ですです。


4月5日の評価

その後の別の日の連続撮影などから分かったのですが、4月3日は(朝ということもあるでしょうが)基本的に平均してかなり分解能よく撮れた日だったのかと思います。分解能が悪かった日も、機材や画像処理の条件は4月3日と同じで、さらに特に風が強いとかでもなかったので、少なくともシーイングが大きく変わったと考えてよさそうです。このような日の場合は、ほとんどの時間帯の分解能が悪くて、ごくごく稀に分解能がいい時があるというような感じです。これまでたくさん撮影してきましたが、実はほとんどの日は、このようなシーイングがあまりよくない状態だったと思われます。たまによく撮れた日は、平均してシーイングがよかったのでしょう。でもベストでは全然はなかったはずです。

「太陽撮影はシーイングがいい時間帯を見つけて撮影すればいい」というようなことは聞いていたのですが、この意味が実は全くわかっていなかったことが、今回よくわかりました。シーイングが特別いい日でなくても、本当にシーイングがいいかなり短時間の瞬間があるということがやっと理解できました。これまでこんな短い時間で比較して選んだことはなかったので、いい瞬間に巡り会えたことはほぼなかったと思っていいと思います。

4月5日の結果から、シーイングは、1分あればいい状態から悪い状態へとポンポン変化して、さらに突き詰めると、0.1秒とかいうスケールでいい悪いが入れ替わっても全くおかしくないということがわかりました。もう少しサンプル数は増やしたいですが、だいぶん正体が見えてきたので、実際の撮影間隔をどれくらい取ればいいかがある程度決定できそうです。


いいシーイングの威力

2時間の撮影の中でベストを選ぶのと、適当な時間にたまたま撮ったものを比べてみましょう。まず、タイムラプスで撮影した120枚の中で分解能がベストと思える、11時26分5秒のものを処理したものです。露光時間1.25msで、200フレーム撮影したものです。60FPSくらいは出ているので、3-4秒間にわたり撮影したことになります。200フレームのうち、さらに(AS4!の選別がまだ信用できないので)目で91枚を選別したものをスタックしています。
11_46_05_lapl2_ap3963_IP_ST

次に、前々回のブログに載せた、この日の最初の方でに1000フレームで撮影したものを下に再掲載して、比較してみます。露光時間は同じですが、60FPSとすると20秒くらいに渡って撮影しています。そのうちAS4!で上位75%を採用しているので、750枚のスタックになります。
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比較すると、上の方がわずか91フレームながら、圧倒的に高解像度なのがわかるかと思います。下の方は塗り絵みたいで気持ち悪いです。でも最初の記事を書いたときはこれでも分解能はいい方だとしんじていました。

もちろんノイズ的には少数フレームの方が不利なので、軽めのノイズ処理をしていますが、仕上がりは比べるまでもないと思います。ベスト画像を選ぶことが、いかに大事かがわかるかと思います。

いい時間を選ぶことでかなりきれいに出たので楽しくなってしまい、91フレームのものを、色反転したもの、さらにモノクロとその反転も作ってみました。
11_46_05_lapl2_ap3963_IP_ST_inv
11_46_05_lapl2_ap3963_IP_ST_mono
11_46_05_lapl2_ap3963_IP_ST_inv_mono

ここまで出ると、こうやっていろんなパターンを作る甲斐もあるというものです。ただ、こうやって見て改めて思うのは、PSTのエタロンの限界です。どの画像もそうなのですが、上の方とか右の方は、やはり波長がずれていて、分解能も落ちてしまっています。分解能が良くなってくると、その差も目立つようです。ここら辺の改善が次の課題でしょうか。でもそんなに簡単ではなさそうです。

同じく、プロミネンスです。こちらは1分おきに200フレームで30分間撮影したものの中から、ベストなものを選び、AS4!で上位90%を選んでスタックしたものです。

08_44_10_lapl3_ap3959_newIP_ST

次が前々々回示したもので、1000フレームを75%スタックしたものです。
08_00_23_lapl2_ap1030_nodot_c_2

プロミネンスだけでなく、太陽表面が全然違います。分解能がいいと、表面に結晶の花が咲いたような模様になります。上の方の画像の画面の右はやはりエタロンのせいで波長がずれてしまっていて、分解能が全く出ていません。ここまで違うと、うまく出ていない所はもうクロップしてしまった方がいいのかと思います。実際、下の画像は目立たないようにクロップしていました。


まとめ

これまで仕上げ用には最低500フレーム、場合によっては2000フレームとか撮影していましたが、大事なのはフレーム数ではなくて、シーイングがいい時間帯をいかに選ぶかということでした。いい時間帯を選んだ上で、仕上げるのには100フレームもあれば十分だということもわかりました。

これまでなかなかいいシーイングの見つけ方がわからなかったのですが、この4月5日は平均してシーイングがいい日だったので、色々検証することができました。今回は、口径20cmで焦点距離2000mmという機材の分解能に制限されない状態だったので、シーイングがいい状況にきちんと対応でき、その違いを知ることができたと考えてもいいと思います。言い換えると、口径20㎝とかを生かそうとしたら、シーイングを相当選ばないと意味がないということです。

そして、シーイングがいい瞬間は確率的に少ないですが、確実に存在はするので、それを取りこぼさないように長時間で何ショットも取り続けて、その中でベストのものを選ぶのがいいのかと思います。こうすることで、これまで本当に運頼みだった良シーイングを、ある程度確実にものにする方法を得たということになります。その代償として失うものは、余分に使う撮影時間とディスク容量といったところでしょうか(笑)。

ただし、静止画の場合はこれでいいのを選べるのですが、タイムラプスだとベストを選び続けるのは不可能です。これは仕方ないのですが、静止画と動画は画像処理も違う手法が取れるので、そこらへんに解があるのかと思っています。





少し間が空いてしまいましたが、SWAgTiで撮影したパックマン星雲について補足です。


実は上の記事にする前に、画像処理ははるか以前に終わっていたんです。でもダーク補正の有り無しで比較した時のノイズの大きさが、理論と全然合わなくて、ずっと検証していました。その結果、かなり面白い考察となったので、その経緯を書いておきます。


ダーク補正ありなしの、数値的な比較

前回示した記事の繰り返しですが見た目ではダーク補正の有り無しは差がわからないようです。

comp_dark

ちなみに左がダーク補正無し、右がダーク補正ありですが、差はあったとしても本当にごくわずかでしょう。でも、ノイズを実際に測定しても同じくらいなのでしょうか?数値で見てみましょう。

ノイズの測定には、いつものようにPixInsightのImageInspectionのStatisticsを使います。各画像で「プレビュー」で
  1. 恒星が入っていない
  2. 背景に近い一番暗い部分
を、小さな領域でいいので選びます。そのプレビュー画面をStatistics上で選択肢、「stdDev」を見ます。stdDevなど、見たい情報の項目が出ていない場合は、スパナマークのアイコンを押して必要な項目を選択してください。その際、左上の単位がきちんとカメラと合っているか確認してください。今回の場合、カメラが14bitなので、「14bit [0,16383]」を選びます。単位は [ct] すなわち、ADCのカウントになります。コンバージョンファクターがわかっていれば、これを電荷の[e]に変換することができます。

上のエリアを選ぶ二つのことは、ノイズを正確に、安定に測定するために必要な条件です。

恒星が入っていると、恒星は飛び抜けて明るいので、バラツキ(=ノイズそのもの)が大きくなり、本来より大きなノイズの値が出てしまいます。

一番暗い部分を選ばないということは、何らかの天体などの明るさを測定していることになります。明るさがあると、そのバラツキからくるショットノイズが大きくなり、本来見たいダークノイズや読み出しノイズが隠れてしまう可能性があります。

これらのことは基本なのですが、その他にも注意すべきことがあります。今回の測定中にやらかした失敗も含めて、反省の意味も込めて今後の測定のために細かく書いておきます。


撮影と画像処理の条件

前の記事の繰り返しになりますが、一応撮影と画像処理の条件も書いておきます。

撮影はRedCat51+DBPでカメラはUranus-C Proで-10℃に冷やしています。架台はSWAgTi (SWAT350 V-SPEC PremiumにAZ-GTiを載せたもの)で、撮影ソフトはNINA。ガイドは無しで、NINAの特殊機能のガイド無しディザーで最初のうちだけ1枚に一回、途中から3枚に1回ディザリングしています。

ライトフレームは露光時間が1枚当たり3分で、カメラのゲインは100、オフセットは40で撮影しています。94枚画像処理に回したので、合計282分 = 4時間42分ぶんです。この間、NINAでも順調に動いて、特にSWAgTiの長時間撮影で縞ノイズを避けるために必須であるディザリングも問題なく動いていました。ライトフレームは10月9日に合計139枚撮影しそのうち94枚を使い、ダーク補正比較のためのダークフレームは後日77枚撮影して使いました。
がそう処理は、SWAgTiの簡単撮影の特徴を活かすために、バイアス補正、フラット補正などは無しです。解像度を上げたいので、drizzle x2を選択しておきます。

というような条件で、この記事ではダーク補正の有り無しを比較します。


測定失敗1

「Bayer配列画像はノイズ測定に用いるべきではない。」

  1. まず正しくスタックされているかどうか確かめるために、ライトフレームのRAW画像1枚のノイズを測定します。結果は12.5 [ct]でした。
  2. 次に、スタック後のダーク補正なしのマスターライト画像のノイズを測定します。予測だと94枚スタックした場合、ノイズが1/√94 = 0.103倍に近い値の12.5 x 0.103 = 1.29程度になるはずです。でも実際測定してみると、1.08 [ct]と予想よりかなり小さい値になってしまいます。
でもこれはすぐに気づきました。1枚画像はBayer配列のままなので、RGGBでそれぞれ平均値が違ってしまっているために、その平均値のばらつきでノイズが大きいと勘違いしてしまっているのです。解決策としては、Debayerしてからノイズを測ります。PIでDebayerして、再度Statisticで恒星のない部分のノイズを測定すると、6.44[ct]となり、これを0.103倍すると0.663[ct]となります。でもまだマスターライトファイルのノイズ1.08[ct]とはかけ離れています。


測定失敗2

「Drizzle画像はノイズ測定に用いるべきではない。」

Debayer同士で比べているのに、なぜスタック後のノイズが予想より大きすぎるのか?これも少し考えてすぐにわかりました。Drizzleした画像は微妙にずらして重ねたりして解像度を増やしているので、そもそもノイズがどうなっているのかよくわかりません。ここはDrizzle前の画像で評価すべきでしょう。Drizzleはオプションなので、Drizzle前のマスターファイルもきちんと保存されています。Drizzle前のマスターファイルのノイズを測定すると、0.620[ct]で、今度は予測値の0.663[ct]とほぼ一致しました。

これで少なくともダーク補正なしで1枚画像を94枚スタックした場合、ノイズが理論通りの1/√94 = 0.103倍に近い値になることがわかりました。


ダーク補正でノイズは数値でどうなるか

さて、いよいよ別途77枚のダークファイルで作ったマスターダークファイルを使って、各ライトフレームをダーク補正して、WBPPでスタックまでしてマスターライトファイルのノイズを測定します。今回は最初からDrizzleされていない方を選び、Preview機能で恒星がない部分のノイズを測定します。結果は、目で見て比べた時と同様に、ノイズの値はダーク補正がない時の0.620[ct]と比べて、ダーク補正ありだと0.625[ct]となり、ほとんど同じなのでものの見事に一致したと言っていいでしょう。

結論としては、ダーク補正ありでも無しでも、ノイズはほとんど変わらないというのが今回の結果から言えることです。

見た目でダーク有無でほとんど差がないのが、数値でも同様に、ほとんど差がないと示されたわけです。


本当にダーク補正の影響はないの?
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え???
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でも、

なんでここまで同じなの?ダーク補正の影響は全くないの?

ランダムノイズであるダークノイズを持つ画像で補正しているわけです。ランダムなので引こうが足そうが、補正すればノイズは必ず2乗和のルートで「増える」はずでは?何も増えないのは少なくともおかしいのでは?

とここから長い迷走が始まりました。


スカイノイズが大きいのでダーク補正のノイズ増加が無視できる?

パッと考えられることは、明るい環境で撮っているので、スカイノイズが大きすぎてダークノイズが無視でき、たとえダーク補正してもほとんど影響がないというシナリオです。でも今回はサイトロンのDBPを使っているので、光害はかなり軽減されているはずで、スカイショットのいずの影響は少ないはずです。もしかして、DBPを入れていてもスカイノイズが大きすぎるくらい明るい環境なのでしょうか?

こちらも定量的にきちんと比較してみましょう。そのためにはライトフレームの背景領域の全ノイズに比べて、ダークノイズがどれくらい貢献しているかを比較すればわかるはずです。簡単のために、1枚撮影したファイルで比較します。

まずはダークフレームのノイズですが、今回もきちんとDebayerすることを忘れずに、これまでと同様にPreviewで領域を選択して、Statisticで測定します。結果は5.30[ct]でした。ここにはダークノイズと、バイスノイズ(読み出しノイズ)が含まれていることに注意です。

一方、ライトフレームの1枚画像のノイズは上の測定でわかっていて、6.44[ct] 程度です。

5.30[ct] と6.44[ct] なので、少なくともダークノイズと読み出しノイズが含まれたものは、ライトフレームに含まれるスカイノイズ(+ダークノイズ+読み出しノイズ)に比べて、無視できるくらい小さなものではないことがわかります。

ライトフレームは94枚、ダークノイズは77枚でスタックするので、予測では
  1. ダーク補正無しだと6.44 x1/√94 = 6.44 x 0.103 = 0.663[ct]というノイズと、
  2. ダークフレームの5.30 x 1/√77= 5.30 x 0.114 = 0.60のノイズが2乗和のルートで加わるため、
  3. sqrt(0.663^2 + 0.60^2) = 0.90[ct]
程度になるはずです。でも実測は0.625[ct]と、予想の0.90[ct]1.5分の1くらいで、これは有意に小さすぎます。この矛盾を見つけるのに、相当な時間がかかってしまいました。


なぜダークノイズは増加しない?

1週間以上考えていたでしょうか。答えがわかったあとは、まあ当たり前のことでしたが、これまであまり考えたことはありませんでした。いや、概念としてはおそらく考えていましたが、どう適用するとか、数値で確かめるというようなことは全くしてきませんでした。他に同じようなことを考えた例はないかと思って検索しましたが、定量的な評価はおろか、それに関する記述も見つけることができませんでした。

さてここでクイズです。

今回、なぜダーク補正しても
背景のノイズが増えなかったのでしょうか?

一見不思議ですが、きちんと説明することができます。答えは下の方に書いていますので、自分で考えてみたい方は、ここでスクロールするのを一旦止めてください。答えに必要な条件は上の「撮影と画像処理の条件」のところに全て書いてあります。

答えがまとまった、もしくは答えを見てみたい場合は、下に進んでください。
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と、答えに行く前に、一つヒントを出します。ヒントはディザリングです。これで答えに辿り着きますでしょうか?

答えがまとまったら、さらにスクロールしてみてください。
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はい、もうわかりましたでしょうか?答えは「マスターダークファイルも、ディザリングでノイズが散らされる」からですよね。

まだ、ちょっと言葉足らずかもしれません。そもそも今回はPIのWBPP処理に則っているので、先にマスターダークファイルを作って、それを各1枚1枚のライトフレームにおいてそれぞれダーク補正しています。マスターダークファイルを使っての補正の効果は、個々のライトフレームで補正してから重ね合わせても、ライトフレームを(位置がズレることなく)重ね合わせてからマスターダークファイルで補正しても、数学的には同じことです。証明はここ


「ダーク補正の定量的な扱い」あたりから読んでもらえるとわかるかと思います。

ところが実際の撮影では、それぞれのライトフレームは、ディザーをしてライトフレーム時に画面を少し散らして撮影しているので、画像処理の際に「星の位置が合うように」重ね合わると、当然背景はディザーの分だけ散らして重ね合わせられます。個々に補正したマスターダークファイルが、全く位置をずらさずに重ね合わせられるなら、先ほどいった数学的な証明の通り、マスターダークファイルのノイズが2乗和のルートで増えます。ところが、マスターダークファイルがディザーの効果でずれて重ねあってしまうと、個々のライトフレームで補正されたマスターダークファイルのノイズはコヒーレントに重なることはなく、ランダムに重なってしまうことになります。そのため、個々のライトフレームに対して、マスターダークファイル1枚(元のダークノイズの)のノイズ分増加したものが、ライトフレームの枚数のルート分軽減されてしまうのと同じことにになるので、今回の場合さらに1/√94 = 0.103倍となり、ほぼ無視できてしまうというわけです。

実際に、マスターダークファイルで補正した個々のライトフレームを、星の位置合わせをせずに、重ねただけの画像を示します。
integration

小さな揺れが見えることからディザーはされているのはわかりますが、7時間にわたる長時間露光なので、一方向にドリフトしていっている様子も伺えます。この画像の恒星の無いところの背景ノイズを測定してみると、0.938 [ct]となり、見事に予測値の0.90[ct]とかなり近い値で一致します。


結論

というわけで、「ディザーをしているために、マスターダークファイルを使ったダーク補正では、マスターダークファイルの相関のある部分が散らされすために、補正後のダークノイズが増えることはない」というのが今回の結論です。

また、そもそものダーク補正の目的であるホットピクセルですが、
  • Uranus-C ProはDPS (Dead Pixel Suppression)機能のために元々ホットピクセルが緩和されていること
  • PixInsightでCosmeticCorrectionでホット/クールピクセルが緩和されること
と2つの効果で、実際の画像比較でもダーク補正の本来のホットピクセルの緩和の効果がほとんどわからないのかと思われます。


少し見直し

以前の解析で、ライトフレームに対して、ダークフレームは何枚くらい撮影したらいいかを検討していますが、


ディザリングの効果を考慮考えるとこのダークフレームの必要枚数の条件は遥かに緩和されることになります。これを数学的にどう表せばいいのか?ディザリングでどれくらい散らされるかに依るので、統計的な表現が必要になりそうです。かなり複雑になりそうなので、ここではこれ以上の計算はちょっと諦めます。

ただし、このディザリングがあればダークフレームの枚数を減らすことができるというのも、ある程度の制限があるはずで、例えばライトフレームの背景のノイズが、ダークノイズが支配的な場合は、少ない枚数のダークフレームで補正すると、今回考えたようなディザリングによる散らしの効果はあまり聞かなくなるはずです。

極端な例を示します。非常に暗い空で超長時間露光などして、ライトフレームがダークノイズに比べて読み出しノイズも背景のスカイノイズも無視できるとします。ダークフレームは1枚だけ撮影し、それでライトフレームを補正します。個々のライトフレームのダークノイズは√2~1.4倍になります。ライトフレームをスタックする際に、ディザリング効果でどう散らそうが、ダーク補正によって加えられたダークノイズはスタック枚数のルートで軽減されるだけで、ライトフレームに元々あったダークノイズのスタックによる軽減と同じ効果なので、結局のところダーク補正をした場合はダーク補正しない場合に比べて1.4倍程度ノイジーになります。

もしディザーしなかった場合は、ダーク補正によって加えられたダークノイズは、スタックによって軽減されないので、スタック枚数のルート倍大きくまります。例えば、100枚ライトフレームをスタックすると、ダーク補正しない場合に比べて10倍ダークノイズが大きくなります。

極端な場合の比較ですが、ディザーの有り無しで、1.4倍の悪化から10倍の悪化までと、非常に大きな差が出ます。必要ダークフレームの枚数に対して、ディザリングの効果が相当影響すると思っていいでしょう。

ネットを検索すると、ディザリングでホットピクセルが散らされて軽減されるというような記述はたくさん見つかりましたが、調べた限り、ディザリングがマスターダークフレームを散らすので、ダークフレームの枚数を減らすことができるというような記述を見つけることはできませんでした。定性的に考えたら至極当たり前だと直感的にもわかるのですが、定量的な話はおろか、定性的な話もこれまでほとんど言及されてこなかったようです。今後興味があるのは、これをどう定量的に示すかです。言い換えると、ディザリングの効果をどう数学的に記述するかです。また機会があれば考えてみたいと思います。


ダークノイズについて

天文関連の画像処理のページを検索すると、所々に、ダークノイズ = ホットピクセルとか、ダークノイズにはホットピクセルやクールピクセルのような固定ノイズと、ランダムなノイズがあるというような表現を見かけます。私も後者のような表現を使ってきました。でも、ダークノイズというのは本来はダークカレント(暗電流)の揺らぎが起因のノイズのはずです。ダークカレントも、ホットピクセルも、温度の増加とともに増えてくるものですが、ホットピクセル自身がダークノイズというのは、やはり少し強引な気がします。

「ダークフレームを撮影すると、(ランダムに振る舞う) ダークノイズとともに、ホットピクセルも顕著に見えるようになり、そのダークフレームを使うことで固定ノイズであるホットピクセルをライトフレームから除去することができるが、ダークノイズはランダムに揺らぐ(インコヒーレントな、コヒーレントでない、相関の無い) 「ノイズ、揺らぎ」なので、引くことはできずに、必ず2乗和のルートで増える。」

というのがある程度正確な記述かと思います。ホットピクセルはダークカレント起因ではないはずなので、やはりダークノイズとははっきり区別した方がいいのではないでしょうか?


まとめと日記

ここしばらく悩んでいたことが、やっと解決して、ブログ記事にまでまとめることができました。つうじょうに撮影していて、ディザリングもしていて、ダーク補正されている方は、ダークフレームの枚数がより少なくてもいいという話なので、これまで特に問題がないようならば、今回の話は特に気にする必要はないです。でもこういった解析はやはりしておくべきだと思います。しかも、できるだけ定量的に評価できるようにというのが重要だと思います。こういった積み重ねが、どんなノイズが支配的で、どこを改善すればより良くなるかなどに、効率的につながっていくのかと思います。ディザリングの数学的な表現をどうすればいいのか、今後の課題です。

ついでに日記です。今日11月8日(金)から小海において星フェスが開催されています。例年だと諸手を挙げて参加なのですが、今年は体調があまり良くなく、全然予定が立っていませんでした。ここしばらく調子は良かったのですが、先週の長野の泊まりで少し疲れてしまって、今週はあまり調子が良くありません。明日の朝起きて、調子が良ければあまり長居しない程度で行こうと思っています。天気はすごくいいみたいなので、できれば行きたいのですが...。


星をもとめてに参加した際、星見屋さんでちょっと面白い話題が出ました。先日の星もと参加記の中に書いてもよかったのですが、少し細かすぎる話なので、独立して書いておきます。


星見屋さんブースにて

星見屋さんのブースのところで、以前福島でも見せてもらった、光球面用とプロミネンス用の2つのエタロンが入っているDaystarのGeminがデモで出ていて、店長さんと太陽について少し話ました。エタロン2つ繋がりではないですが、太陽界隈で少し話題になっている、メーカーや仕様の違うエタロンを直列に並べて使うと、コントラストが良くなるという話です。Fabry-Perotエタロンは、一般的に透過波長が周期的に表れる櫛(comb)型応答を示します。この櫛の位置がズレるので、コントラスが上がるという理解とのことです。

これはFSR (Free Spectral Range, 説明はこちらのページに) が違うことで説明できます。FSRは櫛と櫛の間の幅と考えることができます。このFSRは2枚の鏡の間の距離のみで決まるパラメータです。メーカーが違ったり、仕様が違うエタロンでは、鏡の間の距離が違うのが普通でしょう。Hαを通したいので、透過周波数は656.3nmになるように合わせてあるはずです。エタロンのデザインが違えば、その他の櫛状の透過波長も違うと考えられます。こんなことを踏まえて、星見屋さんとは、互いのcomb周波数のところの透過率を互いに落としあっていると考えると、確かに十分理解できるようなことを話しました。

実際に話したのはこのような定性的な話のみなのですが、帰りの車の中でもう少し考えてみました。


少し定量的に考えてみる

Fabry-Perot エタロンの透過率を考えてみます。詳細な式についてはこのページを参照してください。


光に対するエタロンの振幅透過率は一般的に (t1 x t2)/(1 - r1 x r2) と書くことができます。r,tは鏡の振幅反射率と振幅透過率で、添字の1と2はそれぞれ1枚目、2枚目を表しましす。

その中でも、太陽望遠鏡用のエタロンは共振周波数については完全透過であることが普通なので、2枚の鏡の反射率と透過率は一般的に等しくなります。r1 = r2 = r, t1 = t2 = tと書くと、エタロンの振幅透過率はt^2/(1-r^2) = T/(1-R)となります。Rはr^2、Tはt^2で、それぞれの鏡の強度反射率と強度透過率を表します。鏡のロスを考えないとすると、R+T=1が成り立つので、エタロンの振幅透過率は T/(1-R) = 1となり、完全透過となります。このため、共振周波数のHαのところで像が見えるわけです。

このことは上記リンク先のページにも同様に書いてあります。上記ページには光の位相のことを省いた簡略化した式で書いてあるのですが、位相まで考えると非共振のところで分母の符号が + (正)になります。特に最も透過率が低くなる完全反共振の周波数のところ(combの共振周波数同士のちょうど真ん中)では、透過率は(t1 x t2)/(1 + r1 x r2)と書くことができます。太陽用途なので2枚の鏡の反射率と透過率が同じだとすると、上と同様に t^2/(1+r^2) = T/(1+R) となります。

民生用の太陽望遠鏡エタロンのフィネスは10からせいぜい数10程度なので、強度反射率と強度透過率はそれぞれせいぜい90%と10%程度です。仮に0.9と0.1とすると、完全反共振の波長でさえ T/(1+R)  = 0.1/(1+0.9) ~ 0.1/2 = 0.05となり、振幅で5%、強度だとその2乗で0.25%程度の透過率となります。

実際Hα以外のところで0.25%漏れるとすると、comb全体では結構なコントラスト悪化になりそうです。当然BFやERFなどがあるので、Hα以外のcombのところの透過率は落ちるのですが、その残りの漏れ光でコントラストが悪くなっているということは、十分あり得そうです。エタロンとBFの関係はたとえばここを見るとグラフになってるのでわかります。一見BFの透過率はかなり小さく問題ないように思うかもしれませんが、BF透過の裾のところがすでに隣の櫛のところに引っかかりつつあるので、必ずしも無視できないかもしれません。太陽の光はものすごく明るく、全部カットすれば十分暗くなりますが、ほんの少し漏れるだけで一気に明るくなります。これは皆既日食のときのことなどを考えると、容易に想像できるのではないでしょうか。

ここで、2枚のエタロンがあることが効いてきます。もう一枚のエタロンでさらに漏れが0.25%程度になるのなら、十分な効果があるのではということです。

と、こんな話を「星もと」の会場で星見屋さんとできれば良かったのですが、その場では定量的な評価までは至らず、でも気になって帰りの車の運転の中で考えていたというわけです。もしかしたらどなたかの役に立つのではと思い、一応ここに書いておくことにしました。

(2024/9/21追記1)
初出記事に大きなミスがありました。エタロンの透過率を光の強度透過率としてではなく、振幅透過率として計算していました。きちんと強度透過率で計算すると、振幅透過率の2乗となるので、実際にはもっと漏れ光は少なくなります。上記記述は正しい値に訂正してあります。

(2024/9/21追記2)
BFについてもう少し詳しくみてみます。BFの透過率は下記ページ 


の「Coronado Blockfilter BF15 , Filter zum Okular」のところにあります。Coronadoの15mmのものということですが、他のものでもオーダーは似たようなものと考えます。(注意ですが、CoronadoはERFに相当するものもBlocking Filterと呼んでいるようなので見るべきところを間違えないようにしてください。すぐ上の「Coronado Blockfilter BF15 , Filter zum Objektiv」はERF相当のものになるようです。)

さて、上記グラフを見てみると20%透過の幅が0.9nm程度、10%透過の幅が1.2nm程度、5%透過の幅が1.6nmといったところでしょうか。3%透過の幅に至ってはグラフが途中で切れてしまっていますが、2.5nm以上はありそうです。

ここで、エタロンの櫛と櫛の間隔を考えてみます。櫛と櫛の間は、FSRを波長で考えたものそのものなので、以前見積もった通り2nm程度と思われます。BFの3%透過の幅が2nm以上なので、BFといえどそこそこの光を通してしまうということです。これはかなり大きいですね。これだけ透過してしまうとすると、仕様の違う (=FSRの違う) 2つのエタロンのダブルスタックはこの漏れをさらに0.25%に落とすので、かなり効果があることになります。


DSO用のナローバンドHαフィルターの効果について

ついでにですが、星見屋さんとは3nmとか7nmのDSO用のナローバンドHαフィルターを太陽望遠鏡に突っ込んだらコントラストが改善するかどうかについて、少し話しました。

星見屋さんによると、鏡筒によって改善具合が変わるとのことです。基本的に「鏡筒内に存在する散乱光が改善されること、Hα外のUVやIRのコーティングがどうなっているかにも依ると思う」とその場では話しました。

でも後から上の話を考えてみると、意外に非共振周波数での透過率が高そうなので、BFやERFで除去しきれない輝度が残っていて、それを改善する効果も少なくないのかもしれません。

個人的には以前実際に調べていて、気のせいというレベルでなく、明らかに効果が見られました。


ただし、当時も推測で散乱光が少なくなったのではと書いていますが、はっきりとした原因はまだよくわかっていません。でも、違う種類のエタロンのダブルスタックでコントラスト改善があるなら、上で述べたようにエタロンの漏れ光は有意に存在していると考えても、全然おかしくない気がします。これが3.5nmで改善されたというのはシナリオとしては十分にあり得るでしょう。


まとめ

太陽望遠鏡に使われるエタロンは、一般的な望遠鏡とか、一般的なフィルターと違い、なかなか直感的なイメージと振る舞いが一致しないことが多いかもしれません。だからこそ、できるだけ原理を理解して、定量的な見積もりと実際に見た場合とが大きくずれないか、ある程度確かめながら評価していくことが大切なのかと思います。

私もダブルスタック少し興味がありますが、PST以外のエタロンを持っていないので、いつかチャンスがあったらくらいでしょうか。


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