ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:イベント > 講演会


CP+2025のサイトロンブースでのセミナーですが、太陽Hα望遠鏡についての話で話で、特に心臓部のエタロンについてはかなり凝った内容になっていたかと思います。すでにアーカイブ配信で当日の様子が視聴可能になっていますが、少しわかりにくいところもありますので、今回補足として記事を書いておこうと思います。


トークの構成

まずは実用上役に立つように、配信に対しての補足記事を書きます。配信はここにアップロードされています。

トークの構成は、
  1. 0:30~ イントロ
  2. 2:40~ Hα太陽望遠鏡「フェニックス」の紹介
  3. 5:05~ 太陽観察について
  4. 9:36~ 太陽Hα撮影について
  5. 13:21~ 太陽Hαの画像処理について
  6. 21:08~ エタロンの解説
  7. 38:35~ フェニックのエタロンの評価
  8. 41:27~ 最近のSharpCapを使ったライブスタックとリアルタイム画像処理
  9. 43:40~ SharpCapを使ったタイムラプス撮影
  10. 45:28~ カメラと分解能
  11. 48:18~ まとめ
  12. 49:35~ 質問
 などとなっています。


エタロンの式についての補足

最初の補足は、一番難しいと思われるエタロンの式についてです。スライドの27ページからで、配信では31分10秒くらいからになります。式の上に書いてある図なのですが、実はこれ、本番直前に図をわかりやすくしようとして書き換えていて、それが仇になりました。その時の自分の様子を改めて配信で見てもわかりますが、エタロンの式を書いてあるページに来て「えっ??」と話が止まってしまいました。式に書いてある変数を表す文字が図の名からすっぽり抜けてしまっているのです。

というわけで、図が入っている26-28ページを再掲載します。

スライド26
本来はここで少し式の解説をする予定でした。実際、図を追っていけば左の式は特に難しいことはなく、\(E_\rm{b} \), \( E_ \rm{c} \), \( E_ \rm{d}\)は一つの光を一つ前の光で表しているだけです。難しいのはEaだけで、入ってくる\(E_ \rm{in}\)と\(E_ \rm{d}\)が折り返す2つの光で書かれています。式を解くのは、\(E_ \rm{c}\) 、\(E_ \rm{b}\)と代入していって、\(E_ \rm{d}\)を\(E_ \rm{a}\)で表し、最後の\(E_ \rm{d}\)を最初の式に入れるだけで、多分中学生くらいで解ける連立方程式です。

すると真ん中に書いてある式になるので、あとは\(E_ \rm{a}\)について解くだけで、\(E_ \rm{a}\)は右の式のようになります。\(E_ \rm{a}\)が出れば\(E_ \rm{b}\)も同じなので、\(E_ \rm{out}\)も簡単に出ます。

ここで注目して欲しいのは、右の式はどれも分母に\((1-r_1 r_2)\)を持っていることです。このように自己繰り返しするような系では、一般的に分母に似たような式が出てきてきます。\(r_1\)も\(r_2\)も1に近い数値が入るので、分母は0に近い数になります。ということは、0に近い数で割ることになるので、エタロン内部では光は増幅されます。これは光が折り返していることと同義です。

スライド27
1ページ目では意識していませんでしたが、これらの式は光の「振幅」を表しています。振幅を2乗すると「強度」になります。なので、\(r_1\) , \(r_2\)は光の振幅に対する鏡の反射率、\(t_1\) , \(t_2\)は光の振幅に対する鏡の透過率です。そのため強度で考えた\(r_1^2+ t_1^2=1\)や\(r_2^2+ t_2^2=1\)は成り立ちますが、振幅のままの\(r_1+ t_1=1\)や\(r_2+ t_2=1\)は成り立たちません。

ここでは同じ鏡を2枚用意する場合を考えて、\(r_1\) と\(r_2\)をともに\(r\)、\(t_1\)と\(t_2\)をともに\(t\)としてしまうと、\(r^2+ t^2=1\)が成り立ちます。そうすると\(E_ \rm{out}\)の分母は\(1-r^2\)となって、それは\(t^2\)となるので、分子の\(t^2\)と打ち消し合って\(E_ \rm{out}= \)\( E_ \rm{in}\)となります。すなわち、2枚の鏡を同じものとした場合には、エタロンで共振した光はすべて接眼側に抜けるということを意味します。波長Hαの光(と共振する櫛状の波長)だけは「全て」透過し、他はエタロンで反射してしまうということです。

一般的にファブリーペロー共振器は2枚の鏡で違う反射率、透過率のものを使うことが多いのですが、太陽望遠鏡のように必要な光をもれなく使うという観点からいくと、この「全て」通り抜けるという条件、同じ鏡を2枚使うということは重要になります。製造工程からも同じものなので有利なはずです。

スライド28
ここまでは光がちょうど折り返す場合のみを考えていましたが、その条件だとどれくらいの幅で光を通すかという一番知りたい情報がまだ出てきません。そのため、ここではちょうど折り返す場合以外のことも見るために、光に位相の情報を加えて考えます。ここでは対象波長がFSR(櫛と櫛の間の幅) Δλの何倍変化するかを\(x\) とおいて\(2\pi\)をかけてやるので、位相となります。その前に2をかけているのは、光は往復するので、半波長がの整数倍になればいいというところからきています。

ここで出てきた\(E_ \rm{out}\)の式を2乗すると、かなり複雑になるので今回のトークでは示しませんでしたが、
\[|E_ \text{out}|^2=\frac{T^2}{(1-R)^2}\frac{1}{1+ \frac{4R}{(1-R)^2}\sin^2(\Phi/2)}\]
となります。ここで\(t^2\)を\(T\)、\(r^2\)を\(R\)としています。この式をプロットしたのが、次の29ページのグラフになるというわけです。

スライド29
今回はこのグラフからフェニックスのエタロンには強度反射率15%、強度透過率85%程度の鏡が2枚使われていることがわかります。

でも実はこんなグラフを書かなくても、もっと簡単に反射率と透過率を求める方法があります。まず、下に示すP24に書いていたように、今回メーカーからFSRが1.07nmという情報を得ることができました。
スライド24
また、透過幅が0.6Å以下ということもわかっています。ここで、元々あるFSR \(\Delta\lambda\)がどれくらい狭められ透過波長幅 \(\lambda_\rm{FWHM}\)になったのかの比「フィネス」を考えます。透過波長幅の添え字のFWHMはFull Width Half Maximumで「半値全幅」を表し、最大値の半分の値になるところの幅という意味です。フィネスは日本語では「鋭さ」という意味で、ファブリペロー共振器の性能を表すパラメータの一つです。今回は1.07/0.06=19となり、これをフェニックスのエタロンの「フィネス」と考えます。フィネスはファブリペロー共振器の性能を表す重要な指標の一つです。

フィネスは、今回証明は省きますが、
\[\frac{\Delta\lambda} {\lambda _\rm{FWHM}} =\frac{\pi \sqrt{r_1 r_2}}{1-r_1 r_2}= \frac{\pi r}{1-R}\]
と書くことができます。2つ上の図の中の薄い色の字で書いてありますが、これが19となるので、\(r\)は1に近いと考えて、\(R\)について解くと強度反射率が0.85となり、また\(R+T=1\)の関係から強度透過率が0.15となることがわかります。

さらに、フィネスと折り返し回数は比例関係にあり、その係数は\(2/\pi\)になります。すなわち、フィネスを1.5で割ったものが大体の折り返し回数になるわけです。今回は19/15~12回程度でしょうか。ただしこれは片道なので、往復だと6往復すると考えることができます。

さらにさらに、フィネスが
\[\frac{\pi r}{1-R}\]
と書けて、折り返し回数(片道)はその\(2/\pi\)なので、往復の回数はさらにこれを半分にすると結局、
\[\frac{r}{1-R}\]
と書くことができます。ここでも\(R+T=1\)の関係があるのと、\(r\)は1に近いと考えると、結局は折り返し回数は
\[=\frac{r}{T} \sim\frac{1}{T}\]
と簡単になり、強度透過率の逆数となります。言い換えると、折り返し回数か強度透過率のどちらかを知っていれば、どちらかはすぐに求めることができるというわけです。

というわけで、FSRと透過幅、鏡の反射率と透過率、フィネスと折り返し回数は密接な関係にあることが理解できたと思います。と、こんな話をトークの中でしようと考えていたのですが、図の中に文字を入れるのを忘れてしまい、頭が真っ白になって説明を全部すっ飛ばすことになってしまいました。でも上の説明をトークの中でしようとすると完全に時間オーバーになったと思うので、ちょっと悔しいですが結果的には良かったのかもしれません。今回この記事では、トークで話そうと思っていたことよりもさらに詳しく書いてあるので、興味がある方は上の話を丁寧に追ってみてください。かなり面白いと思います。

ここまでのややこしい説明をかなり簡単に、概念的に説明したのが、25ページになります。

透過率があるために一回反射するごとに透過率分だけ光が逃げていくというものです。この場合の透過率は強度透過率ですね。例えば透過率10%なら、一回反射するごとに10%光が逃げていき、10回くらい繰り返したら光は0になりので折り返し回数は10回、例えば透過率1%なら、一回反射するごとに1%光が逃げていき、100回くらい繰り返したら光は0になるので折り返し回数は100回というものです。これはかなりオリジナルな説明で、こんなふうに簡単に説明しているところはあまりないと思います。私が知っている限り、大型のファブリペロー共振機を使っている研究者が同じような説明をしているようです(笑)。

実際には前の鏡と後ろの鏡で逃げていくこと、光が0になるためには倍くらい折り返さなければダメだということもあるので、折り返し回数はこの簡易説明の通りにはなりませんが、オーダー的には間違っていないのでこれでいいでしょう。これに対する答えとしては、両側に同じ強度透過率\(T\)の鏡に挟まれたエタロンだとして、折り返し回数は往復で約\(1/T\)回となることを、すぐ上の最後で示したわけです。


SharpCapの進化

次の補足ですが、反響がかなり大きかったSharpCapでのリアルタイムでの太陽スタックと細部出しの画像処理についてです。配信動画の41分27秒、71ページからになります。実際の操作は動画の方を見ていただいた方が動きがわかるのでいいのかと思います。

スライド71
まず、保存動画の再生ですが、serファイルも選択できるので本来読み込めるはずのかと思いますが、私の環境ではダメでした。なのでSerPlayerというソフトで、全コマtiffファイルに変換して、それを読み込むことにしました。もしかしたらただのバグかもしれないので、そのうちにser形式も直接読めるようになるかと期待しています。

SharpCapでのリアルタイム処理はすごいですね。惑星のリアルタイム処理機能が搭載されたのが2023年の11月、次の月の12月には太陽と月に対応しています。今では位置合わせとライブスタック、細部出し、擬似カラー化、プロミネンスなどの周辺部の強調などが実現されています。

セミナーではあまり話せなかったのですが、位置合わせも何通りかあり、かなり強力です。基本的にライブスタックは位置合わせ前提なので、ライブスタック開始と同時に画面内でのソフト的な太陽の位置合わせが実行されます。これもシングルポイントやマルチポイントなどオプションが選べるので、試してみてください。私の環境ではシングルでもマルチでもあまり差はなく、両方ともうまく動きました。でも雲が多少でも邪魔し出すと位置合わせがずれてしまうようで、この状況もシングルもマルチでもあまり違いはありませんでした。あと、雲が出だすとプロミネンス強調が突然、見かけ上オフになったりすることがありました。なので、よく晴れている時以外は多少動作が変になることがあるようです。

タイムラプスする時には、長時間で位置合わせが必要になります。ライブスタックでの位置合わせ以外にも、もう少し大きな枠での位置合わせがあり、例えば「ツール」の中で「フィーチャートラッキング」というのが選べます。これは特徴的な形を見て架台に信号を出してハード的に追っかけるのですが、太陽の全景が画面内に入っていると結構うまくいきます。ただ、たまに間違えてどんどんずれていくことがあるので、長時間だとそこまで信用できません。もう一つ、同じく「ツール」から「太陽/月フレーミングアシスタント」という位置合わせがあります。これは昼間に赤道儀の極軸や、自動追尾経緯台でも精度が出ない場合の補正のような感じなのですが、ずれていく画像を手で追っかけて、その情報を元に補正をかけるようです。でもいまいち私も仕組みを理解していません。何もしないよりは、この太陽/月フレーミングアシスタントを使った方が長い時間追えるのですが、ライブスタックと相性が悪く、こちらもいまいち信頼が持てません。

一番良かったのはオートガイドで有名なPHD2の太陽版です。トークの中でちらっと話しましたが、1年くらい前に話題になったもので、こちらはかなり確実に太陽を追ってくれます。

まだベータ版扱いのようで見つかりにくいのですが、ここからダウンロードできます。


今回は詳しい説明は省きますが、興味がある方は一度試してみるといいかと思います。ちなみに、フェニックスのように太陽の全景が見えている場合は、メインのカメラをPHD2で同時に使うことでカメラを1台で済ませることもできました。ただし、ゲインや露光時間の設定を互いに取り合うので、SharpCapで合わせてPHD2はそのまま設定はいじらずなどの工夫が必要です。基本的には別途ガイド鏡に太陽フィルターをつけ、別途カメラを用意するのが真っ当です。


エタロン回転角

エタロンの回転角に関しては少し自信がなくなってきました。手元にあった時に確かめた範囲では、エタロンは60度動きました。でもトークが終わってから改めて会場でHeriostarとフェニックスのエタロンを触っていたら30度しか回らないように見えました。

使っていたフェニックスはすでにサイトロンにお返ししてあり、CP+会場で当日展示されると聞いていました。でも会場のフェニックスを見る限り、私が使っていたエタロンとは思えないような黒いペンのようなマーカー跡がいくつもありました。これを見る限り私が使っていたものとは違うようです。私が使っていた60度回るのと、会場で見た30度回る、少なくとも二つのバージョンがあるのでしょうか?

いずれにせよ、トークの中でHαの中心波長から0.5Å離れたと推測したところまで、4枚の間の画像を撮影して示したという事実は変わりません。ただし、もし私の勘違いで実際に使っていたものが30度しか回転しないとしたら、プレゼンの中で太陽画像と共に示した回転角は全て半分になります。いずれにせよ、60度もしくは30度を「15段階で撮影した」ということは同じです。


質問について

最後の補足は質問に関してです。最も壊れやすいところはどこかとの質問があったのですが、ERFと答えました。その際、壊れても別の部品で代用は効くと答えたのですが、これはまずかったと反省しています。

そもそも眼視の太陽望遠鏡は大原則、何か壊れたら代理店またはメーカーに問い合わせるべきです。メーカー純正以外の部品では気づかない、もしくは見えない非可視光域での漏れ光がないはと限りません。眼視の場合は最悪失明の危険があるので、メーカー純正以外の部品は使うべきではないと思います。

そうはいっても、天文という分野が機器の工夫で進化してきたことを考えると、自己責任において他のメーカの部品を使うという自由はあるかと思いますが、太陽は本当に危険なので、自己責任といえどもくれぐれも安全に気をつけて頂きたいです。少なくとも使う部品の仕様がわかないなら、カメラでの撮影ならまだしも、失明の危険がある眼視用には使うべきではないというのが大原則だと思います。


今回のトークの話が来た時

元々、今回の話を持ちかけられたのが、昨年の11月くらいだったでしょうか。でもその時点では何をネタにするかは決まってませんでした。いくつかアイデアは出ていましたが、他の講演者とネタが被る可能性もあるので、なかなか決まりません。

11月末くらいでサイトロンのスタッフさんから太陽はどうでしょうかというアイデアが出ました。サイトロンとしてはフェニックスが結構売れているので、そこを後押ししたいような意図があったのかと思います。私の方はというと、なかなか理解され難いHαフィルター、すなわちファブリペローエタロンの理解が深まるのではという目論見が出てきました。そもそもサイトロンのスタッフさんも「透過波長幅がどうやって決まるか知らない」と言うので、「是非ともわかりやすい解説を聞いてみたい」とのことでした。

ところがフェニックスが届いたのが年末の12月30日くらい。北陸の冬の天気は全く期待できなくて、結局最初に撮影ができたのは年が明けてしばらく経った1月18日でした。太陽撮影は昼間なので、休日に晴れてくれないと撮影できなくて、もう全然進みません。結局撮影できたのはわずか4日間で、いずれも快晴というわけではなく、雲もそこそこあった日でした。長時間の撮影は全くできず、最長で連続して撮れたのがトークの中でも見せたタイムラプスの30分でした。少なくともあともう一日撮影日があれば、もう少しまともなタイムラプスになったかもしれません。

撮影を進める中で、サイトロンスタッフの方に最近のSharpCapの進化を見せたらどうかと提案しました。SharpCapの惑星と太陽のライブスタックとリアルタイムの細部出しの機能はもう1年以上前に搭載されていて、実際かなりすごいのですが、惑星でも太陽でもこの機能を使っている人はそこまで多くないようです。せっかくなので太陽撮影がここまで簡単になっているということをまとめてもいいのではないかということになり、トーク最後の方に追加したのですが、「こんな機能があると初めて知った」など、ここも反響が多かったところでした。


今回の太陽セミナーの意義

ところで、今回のセミナーでどこまで話すかかなり迷いました。いろいろ考えて出した結論は、エタロンの説明をできるだけしようということです。

私が星を初めて1年くらい経った2017年に、福島のスターライトフェスティバルで何種類かの太陽望遠鏡を同時に見せてもらいました。その時だったか、その前だったか覚えていないのですが、Hα太陽望遠鏡の原理が光共振器であるファブリペローエタロンだと太陽望遠鏡を持っている方から聞きました。ファブリペロー共振器に関しては比較的馴染みが深かったので、私にとってはある意味「何だ、そんな利用の仕方をしているのか!」とある意味驚きでした。ところが、アマチュア天文家の、それもかなり太陽に詳しいというような方と話しても、実はエタロンの原理そのものについてはほとんど知られていないようなのです。少なくとも当時も、また今現在調べてみても、太陽望遠鏡のことを日本語で原理を書いてあるようなホームページなどはほぼ皆無です。代理店やメーカーのページを見ても、ごくごく定性的な話はしているところも見つかるのですが、数値的に説明してあるところはやはり皆無です。

そもそもとんでもなく高価なHα太陽望遠鏡に辿り着くような人は、アマチュア天文家の中でもある意味行き着いたような人が多いです。そんな興味があるであろう人たちが、原理を理解できないような状況というのはあまり好ましくはないのではと、ずっと思っていました。ほしぞloveログの中で機を見て何度か説明はしているのですが、まとまっていないのでブログ記事だけではなかなか伝わりにくいようです。

なので今回は非常にいい機会と捉えました。CP+のサイトロンの講演は、多くのアマチュア天文家の方に注目してもらえます。しかも動画配信が残るので、あとで繰り返して見ることもできます。当然、講演内で複雑なエタロンについて全ての説明をするのは無理なので、今回は「エタロンというきちんと理屈があるものが働くことで、Hα線が見えるようになる」ということを広く知ってもらうのを目標にしました。しかもそれを定性的なお話だけではなく、きちんと定量的にも根拠があることを示して、実際にHα線が数値として見えるということ理解してもらうことも目標としました。その場で式や数値を全部を追ってもらうのではなく、後の配信もあることを前提にして、興味がある人が後からでいいので、より深い理解を得られるような話にしようと決意しました。


まとめ

事前の難しすぎるのではという心配をよそに、セミナーの後はかなりの反響がありました。そもそも太陽に行き着く人はある程度嗜んだ人が多いので、興味が尽きないのかと思います。セミナー直後も、その後の会場で会う方からも多くの質問がありました。SNSなどでも質問や面白かったというコメントをいくつもいただきました。

フェニックスで見る太陽の楽しさは、太陽未経験の人にも伝わったようで、早速フェニックス欲しくなったという話を直に何人かの方からか聞きました。太陽Hα望遠鏡としては入門用の値段設定で、かつ聞いている限りフェニックスの性能にばらつきが少ないというのは、これまでの太陽望遠鏡からは明らかな進化だと思います。技術向上で、いいエタロンが実現できているからかと思います。太陽活動期の真っ最中なので、今は始めるのに本当にチャンスかと思います。

あと、反省点として話すときはマスクを取れば良かったと思いました。

今回のセミナーで、太陽に興味を持ってくれる方がでて、太陽Hαで見る人が増えてくれると嬉しい限りです。

また、今回のトークやこの補正記事でここがわからないとか、ここをもっと解説してくれなどというリクエストがある方は、コメントに書き込んでください。答えられる範囲で答えたいと思います。

CP+開催がもう来週となりました。

今年もCP+のサイトロンブースでセミナーをします。

CP+の情報については、公式サイトをご覧ください。


セミナー情報はここから検索できます。出展社で「サイトロンジャパン/LAOWA」を選択して「検索」ボタンを押してください。サイトロンブースで行われるセミナー一覧が出てきます。

私のトークは

3月1日(土)の13時30分から

になります。CP+のウェブサイトの説明では「WEB配信」となっていますが、実際には横浜アリーナ会場のサイトロンブースで「対面」で行われます。WEB配信もされる予定ですが、もしよろしければ是非とも会場までお越しください。

今回は太陽について話そうと思います。タイトルは

Hα望遠鏡「フェニックス」
で見る太陽の面白さ

としました。

太陽の楽しさを知ってもらうために、水素の輝線スペクトルであるHα線で太陽を見るとどうなるかを紹介します。太陽観察や、カメラを使った撮影方法の基本から、撮影した画像をどう処理すれば細かい構造が見えてくるのかまで、一通り解説します。最近の撮影ソフトは進化が凄まじく、以前よりも相当簡単に太陽の構造が楽しめるようになっています。

その中でも、特に今回は太陽望遠鏡の中でも最もわかりにくいと言われる、Hαフィルターの「エタロン」と呼ばれる部分について、他にはあまり解説されていないようなわかりやすい方法で説明しようと思います。なぜ狭い波長範囲のみ透過することができるのか、ACUER OPTICS社のフェニックスを例に、パラメータに実際の数値を入れて評価することで、実感としてエタロンフィルターがどう働くかを理解して頂ければと思っています。

IMG_0798_cut

先週末、久しぶりに晴れたのでフェニックスでテスト撮影した時の様子です。

20250301_CPplus_Solar4
準備中のスライドの1ページ。太陽画像はフェニックスで撮影したものです。

今回のサイトロンのセミナーは土曜と日曜に渡り、私以外にもあぷらなーとさんや丹羽さんといった、みなさんお馴染みのアマチュア天文家も登壇する予定です。また会場内のサイトロンブースは、毎年天文ファンが多く集まり、情報交換の場のようにもなっています。いい機会ですので、関東近郊の方はもちろん、遠方の方も是非とも会場に足を運んで頂ければと思います。私は土曜のお昼前くらいから夜まで、日曜は朝から夕方前くらいまでCP+会場内にいる予定ですので、もし顔を見かけたら是非ともお声掛けください。

それでは、当日皆様にお会いできることを、
楽しみにしています!



最近大きなことがいくつか重なり、なかなかブログが更新できていません。その大きなことの一つが、2024/12/16-18日に開かれた全国プラネタリウム研修会という集まりの中で、今年はたまたま地元の富山市科学博物館で開催ということで、電視観望の講演をさせて頂いたことです。とりあえず無事に終えて今はホッとしてブログを書いているのですが、でも今回のブログで書きたいことは、電視観望講演のことよりも、全国から集まってきているプラネタリウム関係者のことです。

IMG_0573

私がこの研修会に参加したのは二日目の12月17日だけなのですが、全国からプラネタリウムの関係者が100人程集まり、三日間の研修をフルで行うものです。プラネタリウム解説を始めた新人に近い方が約半分と、かなり若い人が多い印象でした。そもそも、プラネタリウムの解説や技術の向上を目指す研修で、一般の人には基本的に公開されないものなので、あまり詳しくは書きませんが、みなさん本当に真剣に研修に取り組んでいて、こういったプラネタリウム業界全体でのサポートと自己研鑽があって、全国的に高いレベルのプラネタリウム解説が保たれているのだと理解できました。

講演は二日目の午後からで、2部制になっています。第1部は今年2月に富山市科学博物館で行われた一般向けの特別イベントのダイジェスト版で、ある大型天文施設のドーム映像をプラネタリウムに映し出すというテスト的な試みで、臨場感あふれるものでした。第2部が電視観望講演についてです。最初は最近かなり数が出ていると思われるスマート望遠鏡の解説で、次に電視観望の技術などについて、その中で今回の参加者の所属施設に大型望遠鏡があるならぜひともCMOSカメラをつけてみてくださいという内容です。観望会などで電視観望をどう見せればいいか、プラネタリウムに表示しても面白いというような話もしました。技術的な話も多かったので、後日スライドを関係者に配布してもらうことにしました。講演の最中にスライドをスマホやデジカメで撮影している方も多く、予めお伝えしておけばよかったです。

講演が終わってから時間があったので、少し研修の様子を見学させてもらうことができました。研修は3グループに分かれていて、その中でも面白かったのがプラネタリウム解説員として新人さんが集まるグループの研修でした。ちょうど覗いたのが悩み相談室のような時間帯で、解説で不安なことやうまくいかないことなどを話していました。例えば、天文とは全然別分野の動物園から転職してきてプラネタリウムの解説をどう学べばいいのかとか、笑いを取れるネタを知りたいとか、プロの解説員と成長していく皆さんが、それぞれ真剣に悩んでいました。その相談の答えの中に一つ面白い話があって、解説の最後に「ありがとうございました」と言わないようにしているらしいのです。「ありがとうございました」と言ってしまうと拍手が起こるらしく「解説者はあくまで解説者、お客さんから感謝される立場ではない」ということで、こんな発言にもやはり解説のプロとしての矜持が感じられました。

今回は公共施設の学芸員さんが多いのですが、でもそれだけではなく民間のプラネタリウムの解説員さんも参加されているようです。例えば以前訪れた大阪の星カフェSPICAの店長さんも来ていて、ブログ記事を書いた私のことも覚えてくれていました。

今回の参加者層とよく似た集まりに、実は以前参加したことがあります。2022年島根で行われたJAPOS (日本公開天文台協会)の全国大会で、今回と同じように電視観望について講演させて頂いた時です。この時実感したことは、我々アマチュア天文家も観望会などで一般の人に関わることはあるのですが、公共天文台で働く方達は我々なんかよりも、はるかにはるかに一般の方達に天文で関わることが多いということでした。そして学芸員の方達はアマチュアと研究者の間のような存在であるということも少し思いました。というより、その時までは一般の人、アマチュア天文家、研究者という3つの層は認識していたのですが、私自身が学芸員という伝えるプロの、しかも非常に重要な役割を果たしている層の存在をあまり認識できていなかったのです。今回参加させて頂くことも、普段あまり話すことができない層の方達がたくさん集まるので、とても楽しみだったのです。

今回は2年前の島根の時に加えて、もう一つ気づかされたことがあります。夕方から行われたパネルディスカッションというのがあったのですが、その時に最後に出てきたある若い女性の方からの質問にとても考えさせられました。質問は「どうして私たちは宇宙のことについて話さなければならないのでしょうか?」というようなことでしたが、そもそもこの質問の捉え方自体、人によっても立場によっても違うのかと思います。「宇宙のこと」に重きを置くのか、「話さなければ」に重きを置くのかで、答えも変わってくると思います。後から聞いたらこの方は今年入ったばかりの本当に新人の方で、真剣に悩んで考えているようです。

この質問に関して考えることがさらに続きます。この日の行事が終わってから、駅前で飲み会になったのですが、私はできるだけ若い方と話したいと思っていて、そうしたらちょうど悩み相談で動物園からプラネタリウム解説員になったという女性の方の隣の席になりました。当然の如く「なんで動物園からプラネタリウムに?」と尋ねてみたのですが「動物園は命の大切さを伝えてきたが、それだけでなく子供達に何かをもっと伝えたい」というような答えだったと思います。私がいたテーブルは他も若い方が多く「プラネタリアンが狭き門」とかの話題もありましたが、いずれも「話す」ということに関連した話題が中心でした。

パネルディスカッションでの質問と、この飲み会での話題ではたと気づいたのは「あ、この人達は話すこと、伝えることのプロなんだ」ということです。もちろん天文施設関連の方達なので宇宙や星のことが好きな人が多いです。でも、必ずしもそうでもない人もいて、いずれにしても「人に伝えること、解説すること」を生業としているということです。アマチュア天文家は基本的には星が大好きで最優先な人ばかりです。私は普段そういう人達とばかり付き合っているので、この日話したことは普段とは違った観点から考えることができ、とても興味深く、私自身とても勉強になりました。天文人口の裾野を広げたいと常々思っているのですが、今回参加したことは今後の自分の考えに少なからず影響すると思います。その意味でもとても有意義でしたし、何より皆さんとの交流がとても楽しかったです。

飲み会が終わって23時頃に店を出ると、一部別の参加者と合流しました。なんと3つの研修グループのうちの一つのグループの方達で、今の今まで研修していたとのことです。明日が最終日で、研修の課題で盛り上がって全然時間が足りなかったとのことです。すごい研修会で、本当に頭が下がる思いでした。

今回は目的が研修ということなので、それぞれの施設の中でも比較的新人に近い方達が来ているとのことですが、業界の中でこれだけの人数の若い方がいるということ自体、ちょっと羨ましかったです。初参加の方も多く、お互いのことはあまり知っているわけではなく、今回の研修で初顔合わせの人がほとんどとのことです。このような研修と地元に帰ってからの実務での研鑽で、プロの解説員として育っていくのでしょう。皆さんの今後の活躍がとても楽しみで、機会があれば全国の各地のプラネタリウムをまた回ってみたいと思います。


2024年11月2日(土)、長野県の大鹿村で開催された「長野県は宇宙県」の第9回ミーティングに参加してきました。参加といってもゲスト参加で、昨年の小海で代表の方から講演をお願いされたからです。


長野県は宇宙県

「長野県は宇宙県」は、星がよく見える長野県をアピールするための集まりで、メンバーはアマチュア天文家を中心に、学芸員の方や研究者の方も参加されているようです。各メンバーはそれぞれローカルの天文同好会や各機関に所属している方が多く、長野全県から賛同する方が集まっていて、「長野県が宇宙県」そのものは、ローカルな地域の天文同好会というようなものではないようです。今回は年1回の全体ミーティングで、会の創立8年が過ぎ、9年目に入ったということで9回目ということです。メンバーの方は皆さんとても熱心で、ミーティングの途中も盛んに意見が交換されていました。基本的に星がかなり好きな人の集まりのようで、各自の思いを熱烈に語っている方も多かったです。

場所は大鹿村でしたが、私自身は大鹿村自体は今回で2度目で、昨年の観望会に参加させてもらいました。その時にお世話になったKさん、ドブ村長とあだ名のついている30cmのドブソニアアン持ちの村長、夜遅くまで話したギルモアさん初め観望会でお会いした方々、さらにはコロナ前に何度が訪れた木曽シュミットでお世話になった方々など、懐かしい方達との再会も嬉しかったです。


到着

講演自体は午後からだったのですが、少し早めにと思い朝6時過ぎに自宅を出ました。接近しつつあった台風自体はまた遠くて、その日のうちに温対低気圧に変わるとのことなので大丈夫だったのですが、大雨の予報が少し心配でした。途中の道で激しく降ったところはありましたが、特に危ないことなはく、結局高速は使わずに富山から安房峠経由で奈川渡ダムのところで南下して木祖を抜け、権平トンネルを通って伊那に出て、そのまま下道で大鹿村まで移動しました。10時半頃に着いたので、かなり順調だったと思います。

朝ごはんを食べ来なかったので、到着後すぐに大鹿村の道の駅で定番の鹿肉ステーキ定食を食べようとしたのですが、オープンは11時から。時間があるので、事前に場所だけ確認しておこうと、道の駅向かいにあるミーティング会場に足を伸ばしたら、何ともうすでに何か会合が何か始まっています。

IMG_0375
どうやら、午前中は別の「第14回長野県星空継続観察ミーティング」というのが開かれているらしく、早速受付だけ済ませて少しだけ覗いてみました。内容は長野各地で行われている、星空の明るさ観察の集計結果についてでした。こういったところに全県で力を入れることができているのも、「長野県は宇宙県」が音頭をとってやっているからだとわかりました。そもそも、ローカル天文同好会がいくつもあり、それらをまとめるような役割を担っているというので、やはり長野は教育県であり、天文も多分に漏れず盛んで、しかも県の面積の大きさもあってかかなり広い範囲で活動されているのが印象的でした。でもやっぱりお腹が空いていて、11時頃にこっそり抜け出して、鹿肉ステーキを食べにいってしまいました。

道の駅のレストランはすでにオープンしていて、どうやら1番乗りでした。鹿肉焼きに定食というのもあったのですが、ちょっと迷って結局食べ応えのありそうなステーキにしました。味付けは塩のみ。塩といっても大鹿村で作られた地元名物の塩です。今年に引き続き、臭みも全くなく、付け合わせの豆腐も合わせてとても美味しかったです。

IMG_0379


講演

お腹も膨れて、再び午前のミーティングに参加。もうまとめ近くになっていて、私は講演の準備で少し内職です。講演のお客さんは一般の方が多いかなと思っていたのですが、受付の方と少し話した限り宇宙県のメンバーが多く、かなり詳しい人の方が多いとのこと。詳しい人も面白いと思えるように、少し話の構成を変えました。そんなこんなで12時過ぎには午前のミーティングは終了し、昼ごはんの時間に。私はすでに食事は済ませているので、プロジェクターの表示のテストです。今回はZoomで参加されているメンバーもいるということで、プロジェクターに有線接続ではなく、Zoomに直参加しての画面共有で、Zoomで参加されているメンバーと、Zoom画面を表示している会場プロジェクターも同時に表示するようです。でもこの場合、プレゼンで使うMacから見ると複数モニター扱いにならないので、発表者ツールが使えなくなることに気づきました。その場で検索すると、フルスクリーンでZoomの画面共有で表示して、パワポの画面を右クリックして「発表者ツールを使用する」を選択すると、無事発表者ツールを使えるようになり事なきを得ました。ただし、自分の画面上で見ているマウスの位置と、Zoom上で見えているマウスの位置が違っていたようで、これは話がずいぶん進んでから気づいたので、今後注意が必要です。

Samとしての講演内容は電視観望に関してで、最近ものすごい勢いで普及しているスマート望遠鏡を少し紹介しました。スマート望遠鏡は全般の傾向として、どんどん小さく、軽くなってきています。特に前日の11月1日に詳しいスペックが公開されたSeestar S30について、口径わずか30mmでよく見えるはずだということを話しました。というのも、私の電視観望のメインは口径3cmのFMA135で非常によく見えていて、観望会でもすでにいつも多くのお客さんに楽しんでもらっているからです。その後、スマート望遠鏡と自分で組み上げるカスタム電視観望の比較を、スライドで例を見せながら解説しました。スマート望遠鏡も何種類かの口径や焦点距離がラインナップされてきました。従来の望遠鏡も一つでは全ての天体に対応できなくて何種類も使い分けるように、今後は天体に合わせてスマート望遠鏡も何種類も持つことになるのかもしれません。カスタム電視観望はむしろ機材を自由に入れ替えることは普通のことなので、スマート望遠鏡の次の段階として、カスタム電視観望に興味を持ってくれたら嬉しいです。

私の講演終了後は宇宙県のメンバーの発表が続きます。午前中にも議論されていた星の明るさ計測のことや、宇宙県としての観望会の対応について、発表だけでなく意見も非常に盛んに交換されていました。皆さんかなり星が好きで、天文環境やアピールの仕方など、真剣に考えていることが伝わってきました。
IMG_0387


座談会

残念だったのは、天気が悪くてミーティング後の電視観望実演と、楽しみだったバーベキューが中止と事前に決まってしまっていたことです。バーベキューの代わりに希望者を集めた座談会が企画されました。20人くらいはいましたでしょうか。みんなでお弁当を食べて、その後輪になって座って自己紹介と、長野県は宇宙県のもっと突っ込んだ議論がなされました。観望会を依頼され宇宙県としてどう対応しようとしているかが課題の一つでしたが、私も部外者ながら富山県天文学会の例を引き合いに、少し議論に参加させて頂きました。

外の空の様子見にいったメンバーによると、少し星が出始めているようです。我々も外に出て空を見上げると、一部ですが雲の切れ間からいくつか星が見えます。天気予報では、台風一過でしょうか、晴れていく予報のはずです。早速駐車場に戻り、車の後ろの空いているスペースにFMA135+Uranus-Cとトラバースで、いつもの電視観望をセットアップしました。口径3cmなので、DWARF3やSeestar S30に興味がある方には参考になったかもしれません。

とにかく興味を引いたのはその小ささで、折りたたみ机の脇に置いたのですが、あまりに目立たなくて本体が蹴飛ばされないように、目印の電球を置いておきます。どなたかが「三脚は使わないのですか?」と質問されたので、「三脚も小さいのでわかりにくいかもしれませんが、きちんと使ってますよ」と答えると、「なぜ大きな三脚を使わないのですか?」と次の質問が。その答えは「カバンからスッと出したいからです」と言って、普段背負っているリュックタイプのカバンを見せます。PCが入るくらいのごく普通の大きさなので、そこにすっぽり入れるためには、三脚も小さくする必要があります。別の方が、FMA135のすぐ脇に置いた電球や三脚の小ささも含めて「何もかも今までと違う...」と呟いていました。電球も普通なら問題になるところですが「蹴飛ばされない」という目的があることも一応理解していただけたようです。

残念ながら天気が回復せずに、どんどん悪化していったので、見せることができたのは最初の頃の雲越しのアンドロメダ銀河だけでした。それでもM101やM32、わずかですが腕の構造も確認はできたので、かろうじてカスタム電視観望がどんな感じが見せることだけはできました。その後は目では星は全く見えなくなってきて、PCの画面上でも運がいいと数個明るい星が見えるだけで、プレートソルブもままならなく、星雲などは全く見えないので、ここで撤収としました。それでも、周りにいる方と機材についてもいろいろ話をする時間は十分取れたので、ほんの少しの晴れ間だけでもあってよかったです。


宿泊

この時点で21時頃だったでしょうか、その後は希望者を募り、2次会で宿泊予定の宿に移ることになりました。地元の長野の方が多いので、その日のうちに帰る方も多く、ここでで半分くらいの方とはお別れとなりました。

この日の宿泊場所は、古民家を再生した1棟貸しの民宿「イナンクル」で、中はきれいにリフォームされていて、薪ストーブもあり、暖かくてとても雰囲気がいいです。最大10人まで泊まれるらしく、人数によって料金が決まるとのことで、少人数で利用することも可能だそうです。天文民に特筆すべきは、裏の少し上がったところにに駐車場としても利用できる、比較的広い広場があることです。視界もそこそこひらけていて、望遠鏡を展開するには十分です。合宿とかにも利用できそうなので、大鹿村の素晴らしい空の下で、仲間と撮影なども兼ねた宿泊施設としても利用できるのかと思います。

IMG_0408

IMG_0402

2次会は10人ほどは集まったでしょうか。その中でも、4人の女性の方が大活躍してくれました。お酒やつまみだけでなく、焼肉なども出てきて、かなり豪華な2次会でした。みなさん本当に星好きの方ばかりで、話も盛り上がり、十二分に楽しむことができました。特に、昼間のミーティングのネットワーク機器のセットアップから私の講演の接続のお手伝い、宿の手配や食材の買い出しまで、O代表の実務的な補佐と言われているMさんには、今回何から何までお世話になり、本当に感謝しています。2日間どうもありがとうございました。

このMさん含め、塩尻3人娘と言っていいのでしょうか、いつも一緒に行動しているという女性お三方の星見に対するパワーに圧倒されました。実は昨年の大鹿村でもお会いしているのですが、そのときはそこまでお話しすることはできませんでした。今回夜遅くま色々聞かせていただいたのですが、かなりの頻度で星見スポットを行き来しているみたいです。長野県は面積が広く、数多くの有名星見スポットがあります。南北で天気も全然違い、しかもちょうど塩尻市は高速の分岐点にも近く、どこにいくにも便利とのことです。その日の天気を見て決めるとのことで、どこに行くにも1時間程度で移動でき、平日でもお構いなしに行動しているようです。3人のうちお二人は学校の先生のことで、かなり忙しと思うのですが...。

結局この日、宿泊までしたのは7人でしたが、女性4人は全員宿泊、塩尻3人娘グループは次の日もどこかに星を見にいくとのこと。私は体調がまだ戻りきっていないこともありますが、基本的に宿泊から帰った日は普通は休むようにしています。とにかく、3人組ですごいパワーですごく楽しそうでしたが、あまり無理をして事故などないよう、またいつかお会いした時に武勇伝をお聞かせ頂ければと思います。

結局午前1時半頃まで盛り上がっていたと思います。寝るのは畳の部屋で、二間あるので男女別にしました。次の日曜日は仕事がある方もいて、朝は早くから起きていて、私は6時半過ぎに起きたのですが一番遅かったです。朝食もホットドッグにフレンチトーストと、朝からかなり豪華です。朝食中も朝食後も、話が途切れることはありません。

午前9時前くらいでしょうか、片付けとその後に宿の周りを少し見て、解散となりました。とても楽しい時間を過ごすことができました。前日の講演を含めて、宇宙県のみなさんには本当にお世話になりました。どうもありがとうございました。

IMG_0417


絶景のHAKKO OOSHIKAへ

昨日の雨と打って変わって、この日は朝から一面の青空の快晴です。宿を後にし、一旦道の駅に寄ってから、次の目的地に向かいます。
IMG_0427
道の駅のテラスから見た大西山の昭和36年に起きた崩落面。
ここの下の公園の管理棟で座談会がおこなわれました。

次は、大鹿村を訪れた天文民に最近密かなブームになっている「HAKKO OOSHIKA」 です。1500メートルの眼下から見下ろす絶景とともにランチを食べることができるそうです。大鹿村の道の駅からも、距離だけは11kmとたいしたことはないのですが、途中の山道が過酷で、時間はGoogle mapで調べると40分かかると出ます。11時からオープンとのことですが、食事が出るまでに時間がかかると聞いたので、少し早めの9時半頃に大鹿村の中心部を出ます。

途中の山に入ってからは確かにかなり細い道で、車がすれ違える場所が限られています。行きはまだ朝早かったのでほとんど対向車はいなかったですが、早めに食べ終わるとこれから来る車が多そうなので、帰りが心配です。

実際にお店に到着したのは10時10分くらいだったので、本当に40分くらいかかりました。まだお店は当然空いていませんが、もうとにかくすごい絶景です。標高が高いせいか、山の向こうの雲海の上にある山とかも見えます。

IMG_0444

IMG_0438

まだ11時のかなり前ですが、スタッフの方がテラス席の掃除を始めました。昨晩の雨がすごかったので、席は濡れたままです。一人なら予約なしでも大丈夫とのことなので、11時まで待つことに。10時50分くらいになると、お客さんが続々と車で到着するので、入り口のところで待つことにしました。11時開店で店内に案内してもらい、早速名物のサーモンクリームパスタをセットで、しかもパスタ大盛りで頼むことにしました。注文は席に取りに来てくれるのではなく、1階のレジのところに行って前金で払います。早めに入ることができたので1番で注文することができました。早めの注文がラッキーでした。「この日はパスタの在庫が入ってこなくて、申し訳ないのですがサーモンクリームパスタは提供できません」と、他のお客さんにそんな説明をしています。私も心配になったので、途中聞いてみたら私の分は「OK」とのこと。本当にラッキーでしたが、むしろ大盛りを頼んでしまって申し訳なかったのかもしれません。

最初は店内に案内されたのですが、外に出てみるとちょうどテラス席に日の光が当たり始めていて、しかも1500mという標高なのに、この日はほとんど風が無かったので、席を外に移動してもいいか聞いたら「ぜひ」とのことでした。

外のテラス席に座って、太陽がポカポカ暖かく、目の前の景色を見ているだけでもうかなり満足なのですが、出てきたパスタセットもかなり満足でした。サーモンクリームの名に負けないくらい、サーモンの身が塊でゴロゴロと入っています。付け合わせの野菜もパスタのアクセントになります。サラダと合わせて栄養たっぷりでしょう。大盛りにしたからでしょうか、量的にもかなり満足でお腹いっぱいになりました。本当はミニスイーツセットがオプションであって、その日はチーズケーキだったみたいでかなり食べたかったのですが、最近甘いものを控えているので我慢しました。でもさつまいもの甘煮の桃和え、葡萄と柿がデザートで付いていたので、もうそれで十分でした。食べ終えた後もドリンクのカフェオレと景色でしばらく楽しんでいました。山道は険しいですが、十分に来る価値のあるところで、ここでしか味わえないようなかなり贅沢な時間となりました。

IMG_0448

帰りにスタッフの方に「とてもおいしかったです」と声をかけて、HAKKO OOSHIKAを後にしました。心配だった帰り道は、5台くらいの車とすれ違いましたが、いずれも少し道幅が広いところで問題なくすれ違うことができました。

大鹿村から自宅までは下道だと4時間半ほど、でも山の上のHAKKO  OOSHIKAからだとさらに40分かかるので、5時間以上の運転になります。レストランを出たのが12時過ぎなので、順調に行っても夕方になりますです。あまり無理をせずに、ここで自宅に帰ることにしました。


帰り道

帰り道は152号線を通って伊那市の東側を北上して抜ける道を選んだのですが、途中面白そうなパワースポットらしきものがありました。少し覗いてみると、「ゼロ磁場」とか「ゼロ磁場の秘水」とかなかなかヤバそうなことが書いてあります。どうも、「分坑峠(ぶんぐいとうげ)」という名所らしくて、大鹿村から続いている中央構造線の上では、断層状の2つの地層がぶつかり合って磁場がゼロになるということらしいのです。

このことは152号線を北上して山道を抜けたあたりにある道の駅の「南アルプスむら長谷」にある観光案内所の詳しい説明を見て、やっとどんなものかわかってきました。ここの説明はまともで、きちんと中央構造線や、その断層の交じり具合が見える「露頭」について詳しく説明しています。その中に「ゼロ磁場や、身体をセンサーとして確認された(???)という気については科学的に証明されたものではないので、その事をここで取り上げて解説することは適切ではない」というような至極真っ当なことが書かれています。でも「観光スポットとして人が集まっているのを否定することはない」というようなも書いてあるので、エンターテインメントとして楽しんでいこうというものかと思います。分杭峠には自家用車で行っても停める駐車場のようなものがなく、この道の駅から出ているバスを利用することになるようで、通りがかりに見た分杭峠のバスの折り返し場には、この日もたくさんの人が居ました。

昔アメリカに住んでいた頃に、西海岸の1号線のロングドライブの途中で、わざわざサンタクルーズの山奥にある、強い磁場で重力が斜めになると言われている「Mystery Spot」という観光地に寄ったことがあります。そこのスタッフに「ただの目の錯覚だ」と食ってかかったのは若気の至りです。今回のゼロ磁場については憤慨などすることなく、暖かい目で楽しませていただきました。

実は、講演前の日も準備であまり寝てなかったので、2日連続で睡眠不足で、途中あまりに眠くなってしまい、権平トンネルの手前で仮眠をとりました。そのため自宅に着いたのは暗くなった18時過ぎでした。自宅についてから空を見上げると星が出ているので、頑張って撮影に行こうかとも一瞬思いましたが、流石に疲れていて早くにベッドに入ってすぐに眠ってしまいました。朝起きても快晴で、ちょっとだけ後悔しました。


まとめ

今回は「長野県は宇宙県」の年一回のミーティングに呼んでいただき、とても感謝しています。いろんな方とお話しすることができて、とてもいい機会になりました。宇宙県の取り組みは素晴らしいと思います。今後もますます長野県の天文情報を発信して、いずれ全国規模で活動が広まっていくことを期待しています。

昨年の12月、「星なかまの集い」という研究会の実行委員の方から「講演をしてほしい」との依頼がありました。研究会の開催は3月初めで、当時は予定も詰まっていなかったので快諾しました。その方と少しやりとりして、テーマは電視観望ということになりました。そもそも私は関西の集まりはあまり経験がなく、どんなものかわからなかったのですが、コロナ明けということもあるのでしょうか、実際に顔を合わせての研究会は、夜に行われた交流会も含めて、とても楽しいものでした。


兵庫の「西はりま天文台」にむけて出発

3月2日、この日は兵庫の西はりま天文台までの移動です。前日が飲み会だったので、朝は眠い目をこすりながら5時半頃に起き、準備をして午前6時20分頃の朝イチのバスで富山駅に向かいます。みどりの窓口が開く直前の午前7時前に富山駅に到着。7時16分の金沢行きの新幹線にのりたいので、すぐに並んでみどりの窓口が開くのを待ちます。窓口が開くまでに、途中で駅員さんがどこまで行きたいかとか聞きにくるのですが、天文台最寄りの兵庫県の「佐用」駅といって、iPhoneに表示させた乗換案内の乗換回数2回の最速、最楽ルートを見せると、ちょっと怪訝そうな雰囲気に。色々確認してくれた後に聞いてみると、どうやら京都からでる特急が、途中JRと相互乗り換えで「智頭急行」という別の鉄道会社の線に入ってしまうので、途中の駅から佐用駅までの乗車券が出ないというのです。特急券は佐用まで出せるというので、とりあえず途中までの乗車券と、佐用までの特急券だけ購入し、あとは現地で聞いてみることにしました。

そんなこんなで少し時間を食ってしまい、いそいでお弁当などを買い込み、走って新幹線に乗り込みます。全線自由席で買ったのですが、新幹線も朝はガラガラ。時間ぎりぎりでも十分に座れます。

IMG_9137


やばかったのがサンダーバードです。実は新幹線はもう一本遅らせてもギリギリサンダーバードには乗れたのですが、無理してでも一本早めでよかったです。なんと指定席は満席、自由席も通路が人で溢れていて、グリーン以外の指定席車両の通路まで座れない人のために解放していました。3月16日には新幹線が敦賀まで開通するので、その影響もあって混んでいるのかもしれません。

IMG_9139

とにかく席に座ることはできたので、電車が出発してからすぐに朝ごはんです。富山-金沢間の新幹線は20分くらいなので落ち着かないんですよね。午前8時過ぎくらいでしょうか、ここでやっと富山駅で買った弁当を開けます。この日は「海鮮美食」。

IMG_9140

前週にCP+で東京方面に行った時は「ぶりとたいのこばこ」で、SNSで海鮮美食も美味しいと聞いていたので、今回はそちらに挑戦です。両方とも同じ会社の製品ですが、どちらもとても美味しくて、今回の海鮮美食もいろんな味が楽しめて、大満足でした。言うなれば寿司のコースが弁当箱に凝縮されたような印象です。他より100円か200円高いのですが、その価値は十分にあります。

京都駅に着くと、次の特急スーパーはくとに乗ります。京都駅での乗り換え時間は40分くらいあるのですが、先にホームの確認に行きます。まだ出発まで30分以上あったのですが、すでに車両は到着していました。
IMG_9141

IMG_9142

自由席が1、2号車であることを確認して、まだ時間があるので弁当などを買いに行きます。それでもまだ出発まで十分時間はあるのですが、もう席に座ってしまいました。なんでかというと、一番前が空いていたからです。
IMG_9144
この見晴らしはいいですね。運転席は全体が見えるし、運転席越しに前方の景色が全部見えます。

電車内は結構時間があるので、その日の講演の最終チェックなどをします。姫路を越えると、相生と上郡という駅に泊まりますが、この上郡でJRから智頭急行にはいるようです。あ、ここからの乗車券が富山駅で買えなかった件ですが、電車が発車してすぐに車掌さんの切符の点検が来て、その時に話したらその場で発券してくれました。

IMG_9152

ここからは単線です。単線を特急で飛ばしていくのを見るのはかなりの迫力です。このスーパーはくとは振り子型の電車らしくて、酔いに気をつけてというXでのコメントがありました。私は酔いにあまり強くないのですが、今回は全然大丈夫でとても快適した。
IMG_9155

6分遅れの13時過ぎに、目的地の佐用駅に到着。ここでやっと乗る時に撮り忘れていた先頭からの写真を撮ることができました。
IMG_9158

駅を出ると、天教でもお世話になったMさんが待合室にいました。早めに着いたそうです。相乗りのタクシーが13時30分にくるので、しばらく待ちます。その間に以前お会いしたことがある方、初めての方含めて、全部で6人が集まりタクシーに乗り込み、西はりま天文台に向かいます。タクシーで15分かからないくらいでしょうか、歩くと90分らしいのですがずっと上り坂なので、タクシーの方が無難かと思います。


到着

西はりま天文台に到着。実はここにくるのは2回目で、別件で以前昼間のうちに来たことがあります。その時は仕事関係で短時間案内されただけなので、じっくり夜まで滞在して望遠鏡を覗いたりするのは今回が初めてです。

かなり広い敷地で、遠くに望遠鏡のある建物が見えます。左の白い建物に口径2mの「なゆた」が入っています。

IMG_9161

下の写真が、今回お世話になる宿泊施設(焦茶色の屋根の長い棟)と、研究会が行われる建物(左手前の赤茶色の棟)です。
IMG_9162

研究会の会場です。
IMG_9163


すぐに電視観望の講演

到着して、今回お誘いいただいた実行委員のFさんにご挨拶して、荷物などを置いたり、機材を準備していたらすぐに会の始まりです。簡単な説明の後、すぐに講演会が始まります。トップバッターが私なので、そのまま話すことに。内容は電視観望と普及についてです。持ち時間は25分と言われていましたが、少しオーバーして30分くらいになってしまいました。質問もいくつかあり、もともとメンバーは眼視の方が多い印象でしたが、電視観望をすでにやられている方、興味を持ってくれた方もいたので、少し安心しました。最近はSeestarの普及率がすごくて、メンバーの中に持っていらっしゃる方も結構いましたし、この研究会に実際に持ってこられた方もいました。また、公共天文台などの関係者の方もいらしていたので、ぜひCMOSカメラをつけて試してみてくださいと、宣伝しておきました。質問に答えた際にもいったのですが、電視観望は突き詰めた撮影とは違いますし、1人で見るというよりはむしろイベント向きだと思います。大人数で一度に楽しむことができ、暗い空をそこまで必要しないので安全面からも適しています。そういった楽しみ方の可能性が増えるということが伝わっていればと思います。

その後さらに二人の講演があり、掛け合い漫才みたいなのもあったので、関西っぽくて楽しかったです。

この日は3人の講演だけで終わりで、その後は少し早めの夕食です。目の前に座っていた小学5年生の女の子が次の日に発表するという話を聞いていたら、左隣の方もその女の子の次に発表とのこと。明日の日曜もかなり楽しめそうです。

夕食後、18時を過ぎていたのですが、まだ外はかなり明るいです。そうか、西日本に来てたのだと実感した瞬間でした。調べたら富山と兵庫では日の入りの時刻は10分ほどの違いでしかありませんでしたが、ずいぶん遅くまで明るいなと思いました。というか、富山は最近全然晴れてくれないので、早くに暗くなってしまう印象だったのかもしれません。到着した時はまだ曇りだったのですが、夕方くらいになってくると、この日はすごい快晴で、全面星が見渡せるほどでした。暗くなりかけだったので、私も電視観望機材を用意して少しだけデモをしたのですが、外に出てくる人があまり多くなかったので、何人かの方に見せることができた程度です。


「なゆた」の見学

というのも、19時半から口径2mの望遠鏡「なゆた」の見学会があります。一般の見学会に合わせた形になっていて、なゆたの建物の説明会場に行くと、かなりの人がいました。

IMG_9170
なゆたが入っている建物です。
食後すぐに、明るいうちに立ち寄った時に撮った写真です。

今回の研究会のメンバーが75人と聞いていたので、一般の人と合わせて確実に100人を越えて参加者がいたと思います。

IMG_9174

なゆたでは木星、カノープス、M37、M42のトラペジウムを見せてもらいました。M42は色がつかないか、並んでいる間に右目だけスマホで明順応しておいたのですが、残念ながら色がついているようには見えずに、普通に暗順応している左目と変わりませんでした。何度もなゆたを巡回するのですが、ちょうどその時刻にカノープスが南天するらしく、同じフロアの外の屋上エリアからカノープスを見ることができました。少なくとも地元の富山よりは南なのと、山の結構高いところからのしかも建物の屋上からなので、視界が開けていて、地平線からはそこそこの高さのカノープスを見ることができました。地元から一般の方も見学に来ているので、それらの方たちとの会話も楽しかったです。冬の天の川もやはりなかなか気づかないので「オリオン座の左からずっとカシオペア座の方に...」とか説明していました。

なゆたの制御室の前にあるモニターを見ると、SharpCapが使われているのが印象的でした。ただ、バージョンが3.2台なので、ちょっと昔のものです。

IMG_9183


夜の部の高校生の発表

なゆたに十分満足して宿泊棟の方に帰ると、高校生たちがMITAKAでの発表の準備をしていました。偏光グラスをかけて、画面が立体的に見えるもので、解説もよく練習しているようで、とてもわかりやすかったです。
IMG_9187
この高校生たちは、次の日発表もするということです。若い人たちがこういった研究会で発表するのは素晴らしいです。ぜひとも自分たちで色々考えて、こういった研究会で成果を発表して、楽しんで活動していただければと思います。そしていつまでも天文を好きでい続けて欲しいです。


色んな参加者

この研究会には、年配の方も子供も、ベテランの方も初心者も、こういった会では珍しいくらいに女性もたくさん、本当に色んな層からの参加者がいます。夕食が終わった次の交流会までの時間に、例えばある一人の方と少しお話ししました。講演の後に質問されてきた方で、赤道儀の極軸が全然取れないというのです。時間があったので、ちょっとじっくり聞いてみます。

その方はかなり勉強熱心で、極軸を合わせる説明のファイルを印刷してバインダーに閉じ、自分で理解できるようにかなり書き込みをしています。でもよくよく聞いてみると「極軸が数十度とかズレる」というのです。でも数十度?普通に考えたらちょっと信じられないような数字です。いろいろ話を聞いていて、やっとなぜか理解できました。「鏡筒はRedCatを使っている」と聞いていたので、最初結構経験のある方かと思ったら、どうやら「ほぼ完全な初心者」と言います。「いまだに一度も極軸をきちんと合わせられたことはない」というのです。極軸をどう合わせているかというと「ASIAirの極軸調整機能で、しかもそれを北極星の見えない南側に向いたベランダでやっている」というのです。私が「そもそも赤道儀を方位磁石とかで北にむけていますか?」と聞いたら、その意味自身が伝わっていない様子でした。

そこでアドバイスしたのは「まずは近くの公園でもどこでもいいので、北の空が見えるところで、まずは赤道儀を北に向けてください。方位磁石でもいいですし、今ならスマホでコンパスアプリもあります。極軸望遠鏡もあるということなので、ASIAirとかの高度な機能はまずは忘れて、基本に忠実に、手で合わせるところから初めてください。北極星が見えるところでさえ極軸が合わせられないのなら、北極星が見えないところで極軸を合わせるなんて到底できません。高度な機能に頼るのは基本ができてからがいいです。」というようなことです。

今の世の中、高度すぎる機能のものが溢れかえっています。基本を疎かに便利なところだけ使おうと思っても逆に難しくなってしまいます。なので数十度ずれても、なぜそんな不思議なことが起こるか、根本的な疑問にさえ辿り着かないのかと思います。

実際、初心者にとっては天文機器を扱うのは難しい場合があります。「地元に天文クラブとかないでしょうか?もし一緒にやってくれる人がいるなら、一緒に夕食でもとりながら、その後、機材と一緒に付き合ってもらうのもいいですよ。」と、どなたかがアドバイスしていました。本当はこの場に機材を持ってきてくれていれば、教えてくれるような人はたくさんいると思うのですが、車を持っていなくて機材を持ってくるのは大変とのことです。

一度だけ上手く撮れたというアンドロメダ銀河の写真を見せてもらいました。奇跡的に極軸が取れた時で、それ以降やはり全然ダメだとのことです。基本を疎かにせず、コツさえ掴めば、必ず上手く行くはずです。せっかく揃えた素晴らしい機材です。今のままだと苦行になってしまいかねないので、一刻も早く楽しんでいろいろできるよう、成長されることを願って病みません。私が近くに住んでいるなら、押しかけてでも一緒に作業してあげたいくらいです。


夜の交流会

さて、夜はお待ちかねの交流会。なんでも「ダメな人間の会」とかいう別名がついているとのことで、延々と夜中まで続くそうです。たくさんの方がいるので、それでも話せたのは一部の方ですが、とても楽しかったです。私も漏れずにダメ人間になっていて、飲んだくれてずっと話し込んでいたら、電視観望の機材を外に出しっぱなしにしていたのを完全に忘れてしまっていました。午前0時頃に気づいて外に出てみたら、かろうじて2等星くらいまでの星は見えるのですが、全面がガスっていて、その時点で機材は片付けることにしました。後から聞いたら、高校生たちはダメ人間にはならずにずっと外で撮影をしていたとのことです。見習わなければいけません。

その後も交流会という名の飲み会は続きました。気づいたのは、女性が結構な割合でいることです。少し会話の中に入れてもらったのですが、みなさん以前からの知り合いのようで、とても仲が良さそうに見えました。こういった会にはよく参加されるそうで、居心地がいいのでしょうか、とても楽しそうに話していました。というのも、コロナ禍でこの会もなかなか集まることができず、観望会形式のようなものは続けてきたけれども、こうやって顔を突き合わせて交流(飲み食いする)するのは2019年以来4年ぶりとのことです。そんな会に呼んでいただき、とても光栄でした。

午前2時半頃でしょうか、やっと「そろそろお開きにしましょう」とかいう宣言がかかり、解散となりそれぞれの大部屋に戻って行きました。もちろん途中で布団に入った方や、宴会場の椅子に座って眠りこけてしまった人もいますが、3-4割の人は最後まで残っていたのではないでしょうか?眠るのは少し惜しかったのですが、明日の朝食は7時45分からです。あまり寝坊もできないのでそのまま布団に入ったら、すぐに眠ってしまいました。ちょっと疲れていたようです。


2日目の研究会

朝7時15分、部屋の電気がついて起床です。着替えや部屋の掃除をなどして、朝食に向かいます。朝食後になゆたの建物の上に見た白い月が印象的でした。

IMG_9189


午前9時から研究発表会が始まります。月の石を探す旅や、各地の観望会などの活動の様子が発表されます。小学5年生の女の子の発表や、高校生の発表もありました。少し緊張しているように見える人もいましたが、皆さん頑張って発表していました。

最後に発表された研究奨励賞には、一つは月の石の話と、もう一つは子供達がいろいろな体験をして自分たちで発表するという活動の、2つが選ばれました。特に後者の活動発表は、子供たちに自分で考えてもらい、考えたことが「腑に落ちる」というところを重要視しているとのことでした。私も観望会で似たようにできる限り参加者自身に考えてもらうようにしているので、この方針には大いに賛同できました。

IMG_9193

研究発表会のあとは、恒例のビンゴ大会です。私も星柄のフェイスタオルをいただきました。その後の奨励賞の表彰式も無事に終わり、15時少し前に会は終了しました。電車の時間に余り余裕がなかったので、当初からお世話になった実行委員のFさんに挨拶して、他の方とのお別れの挨拶も余りできずにその場を去って、呼んであったタクシーに乗り込み駅に向かいました。タクシーではお一人、岡山から参加している方と相乗りしました。この方、来る時も一緒のタクシーに乗った方です。駅までのタクシーの中と、駅のホームでも少しお話ししたのですが、今回初めての参加とのことで、いろんな方とお話しできたと言っていました。どうも他の方も聞いてみると、4年ぶりということもあったのか、今回が初めての参加の方も多かったようで、それぞれ楽しむことができるのが、この会の特徴と言えるのではないでしょうか。この方ともまたいつか会えるのを楽しみに、ホームでお別れしました。

さて、帰りも同じ電車でスーパーはくとになります。自由席は今度は後部にあたるので、来たときのような運転席を見ることは当然できません。というか、来た時と変わって結構混んでいます。それでも2つ並んであている席はあったのでそこに座り、昨日の寝不足のせいもあるのでしょうか、ぐっすり眠ってしまいました。

IMG_9199

帰りの乗り換えは、大阪駅です。混むことを心配して指定席を取っておいたサンダーバードに乗り込み、金沢まで向かいます。

IMG_9200

IMG_9201

金沢駅について走って新幹線に乗ったら、予定より一本早く乗ることができました。富山駅では妻に迎えに来てもらい、最後は車で帰宅です。21時過ぎでした。かなりうまく乗り継いで片道6時間なので、やはりちょっと遠いですね。


まとめ

今回の講演を引き受けた時はまだ予定がガラガラだったのですが、実はそのあとどんどん詰まってきて、ブログでも書いたCP+も含めてここ2週間ちょいでセミナーや講演などが7つあり、相当タイトなスケジュールでした。このブログを書いている今はやっと全て終わり、自分の時間を取ることができています。それでもこの研究会は得るものも多くて、とにかく夜が楽しかったです。ちょっと遠かったですが十分に行く価値のあるもでした。もし興味がある方は、ぜひとも来年参加してみてはいかがでしょうか。


CP+2024の前回の続きで、今回は主に24日の土曜日のことを書きます。


桜木町駅から会場まで

この日の空は打って変わって快晴です。いつもはみなとみらい駅からですが、天気もいいので桜木町駅から歩いていくことに。徒歩で12分くらいとのことです。
IMG_9083

といっても、このエスカレーター以降は基本的に屋根のある道で、しかも最初のうちはうごく歩道なので、全然大した距離に思えないです。昨晩止まったJR川崎駅からだと、みなとみらい線を使うより百円くらい安くなるので、最初からこちらを使えばよかったかもです。


ブース廻りその2

サイトロンブースが元気すぎて、前回のレポートでは全然新商品を紹介しきれていません。でもやはり単に紹介するだけだとつまらないので、その場で色々試したことを書いておきたいと思います。

まず、大型鏡筒のための低頭の経緯台兼赤道儀です。シンプルな構造でこれだけの重量を支えることができ、コンセプトが素晴らしいです。重心を低くしているのもいいです。実際に色々触ってみました。すると、鏡筒部分を手で押して揺らすしてみると結構下のほうで揺れるみたいで、どうやら緯度が高くなると緯度を調節して固定する2つのネジの間の距離が短くなってくるので、構造的に弱くなるようです。フタッフの方に聞いてみたら、この部分はまだ確定していない仕様のようです。なんとか発売するまでに改良されるといいなと思います。この揺れがあるかないかで評価は大きく変わるはずです。

IMG_9048

そんな観点から行くと、今回発表された経緯台タイプのマウントは、揺らしてもピクリともしなくて、サイトロンの全マウントの中で異彩を放っていました。
IMG_9095
理由は三脚の下に三角の板があり、それを押し上げて三脚をガッチリ固定しているからです。

その一方、改良で問題を解決するのは、通常はなかなか大変です。例えば、昨年のCP+でサイトロンのスタッフさんに、どんな三脚がいいのか聞かれました。私は迷うことなく上のような構造の「三脚の下側から3角の板で押し上げるタイプが良くて、カーボンタイプでさえもそうして欲しい。逆に撮影レベルのサンキャ腕そうでないものは信頼するのが難しい。」とまで言い切っていました。あれから1年経ちましたが、なんとサイトロンの開発部隊のお一人であられるマチナカリモートさんが、CP+後に以下のようなポストをXに投げてくれました。


カーボン三脚の場合、金属の板だと表面が削れないかとか心配だったのですが、上のような厚みがあるプラスチック系なら傷つけることもありません。しかもその前の投稿でマチナカリモートさん自ら「もう、別物。強度抜群で補強入れるとこんなに変わるんだ。」などと述べてくれています。これは期待大です。三脚側に改造なしで取り付けることができるとのことなので、できるなら汎用的に三脚に取り付けられるように一般化して、ぜひとも製品化まで持っていって欲しいくらいのアイデアです。

というように、一言に改良とか改造とか言っても、1年とかかかることも全然珍しくありません。なので、こういった展示会で触ってみて思ったことは、スタッフさんに伝えておこうと思い、実際に今回もスタッフさんに伝えています。でもこれサイトロンさんだから言えたのかも。実際に去年も今年も思ったことを伝えたスタッフさんは、セミナーでお世話になった仲のいいスタッフさんだからです。

あと、もう一つの期待大は太陽望遠鏡です。ちょっと珍しい、エタロンが鏡筒中央部に入っている形になっています。エタロン部では普通は平行光になっていなければならないのですが、どうせ平行光にしたならばここにもう一つエタロンを追加できるとかで、ダブルスタックタイプにもオプションで対応するとかだともっと面白いかもしれません。
IMG_9084
でも普通は太陽望遠鏡は改造非推奨のはずなので、やはり難しいでしょう。エタロンだけオプションで売ってくれるなら、大口径改造とかもしたいですが、まあこれも当然非推奨です。いずれにせよ、太陽望遠鏡の久し振りの新規参入メーカーとなるはずです。とても楽しみです。

もう一つ、どうしても紹介しておきたいブースがあります。「Metal Print」さんです。


一応リンクを張っておきましたが、これは展示場などでサンプルをぜひ見て頂きたいです。
IMG_9111

金属の板に印刷をしていて、額とかなしで平面が保たれています。印刷の綺麗さは紙とは違い、やはり金属で細かいところで平面が出ているのでしょうか、かなりシャープです。印刷は3種類あって、光沢ありのグロス、光沢なしのマット、金属の色が出るクリヤタイプだそうです。金属色が出ないのか出るのかは、下地が白か透明かということらしいです。
IMG_9102

星景写真もありましたが、かなりのコントラストで印刷されています。
IMG_9106

データはJPEGかTIFFとのことで、TIFFが16ビット以上を受け付けるかどうかは、スタッフの方もわかっていなかったので、注文時によく確認すべきかと思います。値段はそこそこですが、仕上がり具合を見たら決して高いとは思わなかったです。天体写真を印刷する場合は、印刷時に画像処理が入ってしまうと大抵うまくいかないのですが、まだそこら辺はわからないとのこと。小さなサイズで一度印刷して欲しいと言っていました。会場で40%割引のチラシが置いてあったのでもらってきました。いや、本当に一度印刷されたメタルを見て欲しいです。すごかったです。

よく考えたら、今回大手のブースはほとんど行っていません。カメラにはそこまで興味がないのがバレバレですね。カメラというよりはCMOSセンサーの方に興味があります。

というわけで、最後の私的な注目ブースは「日本写真学会」です。CMOSセンサー自身についても、この学会の柱のテーマの一つに入っていました。究極的な状況でCMOSセンサーがどういった信号を出すのか、これは基本暗いところを写す天体写真にも通じるところがあるはずです。他にあまりお客さんがいなかったので、ブースの方と少しお話しさせていただきました。学会員を募集していたのですが、会員になるためには年会費がそこそこするので、学会貧乏になってしまいこれ以上あまり入れません。いつか仕事などと別に、趣味で学会に入るのもいいのかもしれません。


いよいよセミナー本番

さて、そんなブース周りをしている間に、間も無く自分のセミナーの時間です。

少しネタバレすると、この日の朝は9時過ぎくらいに会場に到着して、10時の開場までに発表のための接続テストをしていました。すでにこの時点から結構なトラブルがあり、事前にテストしないとホントにまずい状況でした。出力は会場モニターと動画配信用の2系統あるのですが、Windowsと繋ぐとうまくいくのにMacだとどうやっても2系統のうち1系統しか信号がいかないのです。色々やって、最後は会場側の配線ミスということが判明したのですが、このテストをしていなかったら本番直前で配信ができずにアウトだったと思います。

さらに今回はMacとWindowsを手持ちの簡易Wi-Fiルーターで接続して、MacからWindowsのリモートデスクトップに繋ぎ、本番でさもSharpCapを含めてMacとWindowsを2台扱っているように見せようとしていました。この朝の時点で2台を繋ぐテストもできたのですが、このリモートデスクトップも、会場モニターの解像度と、Macから見るWindowsの解像度が別認識らしくて、最初画面の端が切れて表示されるとかのトラブルもあったので、こちらもテストしてないと本番でトラブルようなレベルでした。これも朝のテストでなんとか解決することができました。

それでも本番の一番の問題は手持ちのWi-Fiルーターだったのです。前のトークが15分ほど伸びてしまって、準備時間が少なくなったので焦っていたのもありますが、MacとWindowsが全然つながりません。お客さんが多い時間帯では、WiFiの電波が飛びまくっている状態だったのが原因かと思われます。それでもなんとか繋ぐことができて最低限の準備が終わったのがセミナー開始1分前くらいでした。もう心の準備をすることもなく、セミナーがスタートしてしまいました。

始まったのはいいのですが、やはりWindowsに繋いでもネットワークの速度が全然出なくて、リモートデスクトップどころではないのです。結局、本番のその場でもうWindowsを使うことを諦め、SharpCapでの再ライブスタックと、Windowsの「フォト」アプリを使っての画像処理は諦めたのは、その場にいた方や配信でご覧になった方はすでにご存知かと思います。もしいつか同様のことをするなら、有線の簡易ハブを持っていくか、もしくは5GHzでの接続でも良かったかもしれません。自宅外なので2.4GHzしかダメだと思い込んでいたのですが、よく考えたら会場は屋根の下なので、屋内扱いでよかったのかもしれません。

Windowsがうまくいかなくて焦っていたせいもあり、直後のMacのプレビューでのスタート画像を間違えたミスもありましたが、それでもその後の解説はなんとか体制を立て直し、無事に最後まで辿り着きました。無事に終わった時は本当にホッとしていました。

セミナーはかなり多くの方に来ていただけたようです。
fY89wJW1.jpg-medium
U-Chanさんが撮ってくれた写真です。

結局今回は、Wi-Fi接続の大トラブルが1件、Macでの画像処理の選択を間違えるという致命的なミスが1件と、大いに反省すべきです。それでも、画像処理をやってみたいという人にとってできる限りわかりやすく説明したつもりです。後で見直してみたら、焦っていたにもかかわらず一応頑張って説明しているように見えました。少し駆け足のところもあったので、解説ブログ記事と合わせて、配信動画も興味が湧いた時でいいので、長期的に見ていただければと思っています。

後日、配信の際に投稿されたコメントを見ました。直接の質問のようなものはありませんでしたが、多くのコメントがありました。特に雑兵Aさんは、コメントの時点で今回私が伝えたかったことに対してかなり反応してくれていて、その後のXでの投稿でも自分が試した結果を見せてくれていました。画像処理に足を突っ込み出したくらいの方が大きく進歩してくれるなら、今回のセミナーを引き受けた甲斐があったというものです。

XではあんとんしゅがーさんからNINAとPixInsightについても同じようなことをやってほしいというリクエストがありましたが、ベテラン向けはなかなか難しいです。それぞれみなさん自分の道を持っていますし、選択肢もたくさんありますし、過程も格段に複雑になってしまいます。もし何かやるとしても、全然別の方法でになるかと思います。

あと技術的な追加情報ですが、光害防止フィルターに最初CBPで撮影したのですが、青ハロが出てしまいました。その後QBP IIIを使って青ハロが消えたのですが、おそらくこれはあぷらなーとさんが説明されたことと一致しているのかと思います。私が使ったのはアクロマート鏡筒ではないですが、EDの入門的な鏡筒なので、同じような効果が得られるのかもしれません。あと、私もあぷらなーとさんと同じように、0.75倍のサイトロンのレデューサを使えばよかったと思いました。少し画角が広くなり、 より分子雲の領域を広げられたのかと思いましす。オリオン大星雲は少し画角を広げると背景を楽しむことができるかと思います。


セミナー後

セミナーが終わった後は疲れ果てていて、あぷらなーとさんのセミナーを聞いた後はもうグダーっとして、セミナー会場にある椅子に座ってのんびり話しているくらいでした。

そうそう、今回のCP+でだいこもんさんとniwaさんに初めて直接お会いできました。お二人はオンライン会議などで何度も話しているので、むしろホントに今まで顔を合わせてなかったのか?という感じでした。M&Mさんと蒼月城さんは初めてお顔を拝見しましたが、想像と全然違っていました。お二人とも想像よりかなり若かったです。多分、M&Mさんは天文歴が長いから、蒼月城さんは知識があまりにも深いから、勝手に私よりも年配の方と想像していたのだと思います。でも蒼月城さんの声は、いつものあの渋みのある、魅力的な声と同じでした。今回の画像処理セミナーの対象として(勝手に)想定していた、めだかと暮らすひとさんや、Imarin0321さんとも顔を合わせることができました。

会場を出る少し前くらいだったでしょうか、サイトロンのスタッフさんに紹介されて、中3のAPS君に会うことができました。中学生で都心でナローバンド撮影をしていて、私も結構最近「え?中3」とびっくりしてフォローさせてもらいました。なんとハーフの方で、来年はお母様の出身のイギリスの高校に行くとのことです。将来は天文学者を目指しているとのことです。帰り際、わざわざお父様と一緒に再度挨拶に来ていただきました。「APS君、イギリスでもがんばれ!」


飲み会

この後は、編集長とあぷらなーとさん、星沼会のメンバーなど、10人くらいでの飲み会でした。Aramisさんの案内で少し歩いて中華料理店へ。その途中でM&Mさんとあぷらなーとさん話していて、昔のことを聞くことができました。私はこの界隈では新参者に近いので、昔の話を聞くのはとても楽しいです。この時の会話が元で、M&Mさんがブログにまとめ記事を書いてくれています。

飲み会ではMACHOさんから面白い提案をいただきました。星ナビの今年の2月号に紹介されているのですが、MACHOさんが高校生と一緒にチリのリモートを利用して電視観望を実践しているとのことです。聞いてみるとかなり理にかなっていて、最近は学校関係だと夜に観望会を開くことも安全上難しくなってきたりしています。チリはちょうど12時間の時差があるということで、なんと授業がある昼間にリアルタイムで電視観望ができるということです。来週実際に、テストで参加させてもらう予定です。実際に高校生を交えて試すのはまだ先になりそうですが、今から楽しみでなりません。

その後、何人かのメンバーは横浜駅で帰られたのですが、他にまた別メンバーとも合流して2次会にまで行くことになりました。そこでも色々話し、店を出たのは23時15分くらい頃だったでしょうか。それでも電車も無くなることはなく、川崎のホテルまでたどりつきました。富山と違い、さすがに都会です。


帰宅とまとめ

次の日はかなり疲れていたこともあり、早めに富山に帰ることにしました。だいこもんさんがNiwaさんの個展に立ち寄ったみたいですが、私はまだ行けてないので、私も思いついて立ち寄れば良かったです。

星まつりはたいてい山の中とかの比較的遠いところで行われますが、CP+は関東中心で行われるので、集まりやすくていいですね。CP+の魅力の一つは、ものを買うことをしなくていいところだと思います。掘り出し物を探すなどせずに、新製品とかに集中できるところでしょうか。さらに天文関連のブースが限られているので、去年も今年もそうだったのですが、サイトロンブースがある意味天文民溜まり場のようになっていて、ここにいれば誰かに会えるというところですかね。やはり星まつりとは色んな意味でちょっと違う、別の価値のあるイベントなのかと思います。

今回の記事をもって、私にとっての今年のCP+も本当に終わりです。昨年のCP+はまだコロナの影響が少しあったのかと思いすが、明らかに今年はパワーアップしていたと思います。連動企画もかなり充実したものになったかと思います。画像処理を始めるきっかけになってもらえるとありがたいです。


このページのトップヘ