ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:調整・改造 > 追尾

Natusです。今年(中1)の夏休みの自由研究を紹介します。

夏休み明けに学校に提出した後、学校で展示していました。1ヶ月ほどで返って来たのですが、そのまま放りっぱなしになっていました。せっかくなのでブログにまとめておきます。


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テーマは「手動赤道儀の恒星自動追尾化」です。
去年の自由研究の「星でめぐる銀河鉄道の夜」に続き、今年も天文関係のテーマにしました。
夏休み前にハンドルを手で回して星を追う手動赤道儀型の天体望遠鏡を手に入れたので、手でハンドルを回さなくて済むように、自分で赤道儀を自動追尾化させてみようという内容です。




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使用した望遠鏡:ポラリス80L

<望遠鏡の説明>
    夏休み前に名古屋のスコーピオで手に入れました。

望遠鏡セット:Vixenのポラリス80L
       40年ほど前の製品で、1980年にはすでに発売されていたことが確認できた
      
   赤道儀:手動
       赤緯を0度にすることで経緯台にもなるタイプ
       目盛り環付き
       赤経、赤緯軸ともに微動ハンドル付き

<視野角の測定>
 昼間に下の写真のように望遠鏡から10m離れたところにあるメジャーを見てどのくらい見えるのかを調べ、その結果から望遠鏡の視野角を計算しました。 
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望遠鏡の視野角の測定

<赤道儀を動かす>
目標は「10分経っても視野の中心に入れた星が真ん中と端の中間を超えない」ようにすることです。そのためにはできるだけ正確に10分間で微動ハンドルを1回転させる必要があります。    
 
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1番のポイントは微動ハンドルをどうやって回すかということですが、最初、重りを使って回してはどうかと考えました。モーターの代わりに何らかの重りを使って回転軸をまわすというものです。

ところが、重りでは動摩擦係数と静止摩擦係数の差が大きすぎるため、なかなか星を追う時の回転速度を安定させて出すような仕組みは作れそうにないことが分かりました。



次にモーターで赤道儀を動かすことにしました。

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モーターを取り付けた写真

 
モーターのギアと微動ハンドルを外したところにつけたギアを噛み合わせて動かします。
モーターの回転速度は計測するとぴったりでそのまま使うことができました。



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極軸が1°ずれたときの星の動きと赤道儀の動きの誤差の計算

<実測>
実際に星を自動追尾させてみました。
モーターで星を自動追尾させ、目標の視野の真ん中と端の中間を超えるまでの時間を計測します。
前の日も計測をしたのですが、極軸を正確に合わせていなかったため、8分ほどで星が中間を超えてしまいました。
今回は極軸をできるかぎり正確に合わせました。(2分のずれ)

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結果、1時間経っても星は視野の中心からまったくずれませんでした。極軸合わせで結果がここまで変わるのかと驚きました。



<結論・感想>
元々の目標の10分間の追尾を大幅に越して、1時間をこえても目では確認できないくらいの星像の流れに収めることができたので、大成功です。
今までただ見ていただけの星を自分で追いかけることができると分かったことに、何より感動しました。
来年はもっとレベルアップしたものに挑戦したいです。



先日Polaris 80Lのマニュアル赤道儀に取り付けたモーターで、実際の星を見ていくつか追尾実験をしてみました。

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極軸出しと測定に使った、ASI224MCが鏡筒に取り付けてあり、
赤く見えるのがわかると思います。


まず極軸をiPhone5の方位磁針と角度センサーだけで適当に合わせた状態でためしました。1200mm の焦点距離の鏡筒に、20mmの焦点距離のアイピースをつけた60倍の倍率で試しています。安いアイピースなので見かけの視野角がわからないのですが仮に45度と仮定すると、視野角は0.75度となります。

自動追尾なしだとすると、天の赤道儀上の星は1時間あたり15度進むので、0.75度だと3分で視野の端から端まで移動してしまうことになります。実際に測って見ると、真ん中に入れたターゲットが1分40秒程度で真ん中と端の中間くらいまできてしまいました。天の赤道からは少し外れた星を狙ったのと、多少の誤差はあるのですが、まあほぼ計算通りです。

さて、この状態で同じ星を自動追尾をオンにして実測すると、真ん中に入れたターゲットが20分程度で真ん中と端の中間くらいまできてしまいます。これだけでも自動追尾無しよりははるかに安心して見ることができます。

自由研究の範囲で決めた要求値は、「真ん中に入れたターゲットが、10分経っても真ん中と端の中間を超えない」というものですから、すでに今の状況で満たしています。まあこれは元々は重りで自動追尾するとしたときの要求値なので、かなりゆるいです。

今回モーターを入れたので、実際に極軸をきちんと合わせたらどれくらいの精度で自動追尾ができるのかは興味があります。

2017/8/21の晩、庭に出るとちょっとぼやけてますが星は十分見えるので、CMOSカメラを取り付けてSharpcapの極軸合わせで合わせこみました。赤道儀全体を移動する微動装置がついていないすが、足ずらしや、ピッチネジのマニュアル微調整で、東西方向は20秒角程度、南北方向は2分角程度までは合わせ込むことができました。この時代の赤道儀だと多分ありえないくらいのいい精度だと思います。

この状態でアルタイルを導入し、アイピースで観察しました。自動追尾なしだと、4分33秒で視野の端から端まで移動してしまいました。

さて、いよいよ自動追尾した場合です。結果はなんとアルタイルは1時間経ってもアイピースの真ん中から目で見てわかる範囲では全く動くことはありませんでした。

さすがにこれだとあまりに定量的に何も言えていないので、極軸合わせの時につけたCMOSカメラでどれくらい動くか評価してみました。カメラには焦点距離50mmのレンズがつけてあります。カメラのサイズは1/3インチなので、4.8x3.6mmになり、画角は水平方向で約5.5度を見ていることになります。解像度は1304x976ピクセルなので、1ピクセルあたり15秒になります。

まずは自動追尾なしの場合。5分20秒間の移動ですが、当たり前のようにかなりの速さで動いていきます。ピクセル数から計算すると、約313ピクセル動いているの、この時間内に1.3度程度動いていることになります。1時間あたりに直すと14.6度程度動くことになります。

Capture_0001_result


次に自動追尾ありの場合。動画で見てみます。ちょうど1時間分をタイムラプス映像にしました。


見ている限り、DC的な位置はほぼ固定で、かなりsin波に近い10分周期のピリオディックモーションだけが見えています。画像から解析して見ると、ピリオディックモーションの幅は(解像度があまり良くないので誤差も大きいですが)+/-2.5ピクセル程度になります。なのでこの赤道儀のピリオディックモーションは+/-38秒程度ということになります。以前測定したAdvanced VXが+/-15秒程度だったので、約倍と言ったところでしょうか。40年近く前の手動赤道儀だと思うと、十分な精度かと思います。

比較明合成して、ピリオディックモーションを除いたドリフトの最大幅を調べると赤緯方向(下の写真の縦方向)に4ピクセル、約60秒角になります。1時間あたりでわずか60秒角のズレなので、十分すぎるくらいの精度です。

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このズレは極軸合わせの精度から来ているものと思われます。



目的の自動追尾は達成できたと言っていいでしょう。赤道儀としては、アイピースで見るぶんには十分すぎるほどの精度だと結論づけていい思います。

次は一軸ガイド撮影に挑戦でしょうか?
娘が興味を持てばですが。





先日名古屋に行った時に見つけたPolaris 80Lですが、結局娘の愛機になってしまいました。1980年頃のもので赤道儀は当然手動で、自動追尾できないので面倒です。娘が夏休みの自由研究のテーマで自動追尾しようと奮闘しています。奮闘の過程で赤道儀を破壊するということもありましたが、その後無事に復活し、自動追尾のために色々改造し始めています。

まずは三脚を木製のものから、胎内の星まつりで予備で買ったAdvanced VXのものに交換しました。木製の三脚は大きいこともあり、いささか持ち運びに不便です。

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次に、微動ハンドルをどうやって回せばいいかということ。昔の赤道儀なので目盛環がついています。0から23までの目盛りがついているので、24時間分です。すなわち、赤道儀の赤経軸が24時間で一回転するということです。それがわかれば簡単で、微動ハンドルを何度か回してみると6回転で目盛間で1時間だけ進むということがわかりました。微動ハンドルは144回転で1日、なので10分間かけて1回転すればいいことになります。

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最初はやったことは、どうやってこれを回そうかというので、簡単にハンドルに重りを吊り下げる方法をとりました。微動ハンドルの径を太くして、水を入れたペットボトルを糸で吊り下げてやってみたのですが、なかなか回転し出さずに、一旦回転が始まってしまうと一気に回転してしまいます。重くすると回転し出しますが、すぐに回転してしまい、軽くすると回転が始まりません。どうやら回転し出すときの静止摩擦係数と、回転し出してからの動摩擦係数に大きな違いがあるようです。とてもじゃないけど、10分かけてゆっくり回すような仕組みは作れそうにありません。

仕方ないので、ちょっと贅沢ですが、以前EYEBELLで中古で買ったポタ赤の「CD-1」のモーター部分(MT-1WTという名前でVixenから出ている既製品です。)を取り出し、使ってみることにしました。ドライバーもついていて、接続して測定するとちょうどモーター軸が10分で一回転します。CD-1は付属のステージが、これを144分の1のギヤ比で駆動することにより、1日で一回転になります。ここら辺は同じVixenで回転数が統一されているようで、このモーターがそのまま使えます

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取り付けですが、近所のコメリで直角に曲がっている適当なプレートを買ってきて、穴を開け赤道儀にうまくモーターを取り付けることができました。上の写真に写っている白い箱がモーターで、それを下についているL字のプレートで固定しています。

少なくとも適当に合わせた極軸でも数十分程度はハンドルをいじることなくターゲットの星が視野から逃げていかないので、随分と便利になりました。昔の人が主導赤道儀をモーター化したような過程を味わうことができ、結構感動ものでした

とにかくこれで自動追尾可能となり、娘も長く使ってくれそうです。


その3につづく

次は実際に極軸を真面目に合わせて、どれくらいの精度で追尾できるのかきちんとテストしてみようと思います。



 

精度追求: 極軸調整その1からの続きです。


2016/11/12 前回(5日前)の反省を踏まえ、SharpCapによる極軸設定で、三脚をアイピース台で下からきちんと締め上げ、ウェイトを付け、極軸周りの回転をモーターを使うことで精度改善を試みました。前回同様、一度SharpCapの指示通りに曲事を合わせて、10秒以下で合ったという表示を確認してから、そのまま再度極軸設定を繰り返し(設定時にまた赤径を90度向きを変えるということ)、どれだけずれるか見るということを何度か赤経正負の両方向で繰り返しました。その結果、ずれは平均的に40秒程度となりました。前回のずれが2.5分(150秒)程度だったので、誤差が3-4分の1に改善されたということになります。

さて、この状態で再びM45を、焦点距離600mm、1分露光で16枚ほど連続に撮影してみました。ただし、BackYardEOSでの撮影で、一枚撮影するごとに計算機側にファイルをダウンロードするために10秒ほど撮影が途切れます。それら16枚を比較明合成した写真が以下のようになります。

1600iso_output_comp


拡大してよく見て見るとずれがよくわかります。大きくずれている方向は、赤経(RA)方向です。それに比べて垂直の赤緯方向のずれははるかに小さいです。

拡大したピクセル等倍でみるとずれはV字の形に見ますが、Advanced VXのピリオディックモーションの周期は8分で、撮影時間は16分以上なので、約2周期分が重なっていることになります。ここからわかることは、赤道儀の極軸を1分角以下の精度で合わせれば、赤緯(DEC)方向の精度はもう十分赤経方向のピリオディックモーションの誤差からくる精度に勝っていて、極軸調整の精度としてはこれ以上やっても仕方ないということです。HUQさんがコメントでくれたように、大気の影響で1分程度のオーダーの誤差が生じるとのことですが、1軸制御の場合には赤経方向の誤差が小さくなるので、もう少し突き詰めて赤緯方向の誤差を抑える価値はあるのかもしれません。ですが、2軸制御をしてしまう場合には、極軸調整の時間の節約のことも考えると、今回のSharpCapで1分程度の誤差に抑えればもう十分でしょう。


さらにもう少し突き詰めるためにピリオディックモーションを測定して実際に見てみることにしました。ターゲットは東の空に上がって来たオリオン座のベテルギウスあたりです。赤道儀の仰角を3度ほど減らし、星を南に流して、10秒間隔の連続写真を30分ほど撮り比較明合成した写真が以下のようになります。

output_comp2


一番明るいのがベテルギウスで、左上から右下に向かって流れています。ちなみに、赤道儀の仰角を上げると東の空の星が北に逃げ、仰角を下げると南に逃げます。また、赤道儀を西に向けると南の空の星が上に逃げ、東に向けると下に逃げます。また、今回はBackYardEOSを使わずに、カメラ側で露光時間を10秒に固定して、レリーズでロックして、撮影したので、間に撮影が遮られていることはありません。

一部を拡大します。

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図の赤で書いてある二つの星の間がStellariumによると19.5秒角程度なので、青で示しているピリオディックモーションは写真の線の間の幅の比から31.6秒pp = +/-15.8秒程度となります。他のページを調べるとAVXのピリオディックモーションは+/-十数秒とのことなので少しだけ大きいかもしれませんが、大きくずれてはいないことがわかります。ずれを見ると、盛り上がるところと、平坦なところが結構はっきりとわかれて出ていることがわかります。周期は図と撮影した時間から9分20秒程度でした。AVXの場合ピリオディックモーションの周期は8分くらいのはずなので、少し長いです。周期側の測定はそれほど誤差が出ないはずなので、ちょっと謎が残りました。


いずれにせよ結論はかわらず、ノータッチガイドではピリオディックモーションで露光時間がリミットされるということになります。今回の結果から、前回やった2分露光で半々くらいの枚数が使えるというのは、妥当な判断だっとことがわかります。平坦なところだけをねらって使えば、今回の600mmでも数分の露光は可能かもしれませんが、使えない枚数の確率も増えることと、それでもずれは多少見えるはずなので、ノータッチガイドは1分以内というのが現実的な解かと思います。また、PECも試そうと思ったのですが、PECの記録にオートガイド(マニュアルでもいいらしいですが)が必要とのことなので、とりあえずノータッチガイドのための課題として残しておきます。

さあ、次はいよいよオードガイドです。



一昨日流れていくのの犯人を、タカハシのポータブル赤道TG-SPのモーター駆動の軸のスリップと突き止め、実際にどれくらい追尾できるのか10月19日夜に試してみました。


もう一つの変更点が、三脚を一番短くし、さらに足を開いて安定感を増してみました。三脚の真ん中の棒がギリギリ地面に当たらないように設計されているようです。かなり揺れにくくなったと思います。三脚にぶら下げる重りも必要になるかもしれません。

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実際には上の写真のようになっています。最初から比べたら大分小さくなって、段々かっこよくなってきた気がします。 あ、オリジナルのファインダーはまだ外していませんが、今回すでに全く使っていないです。


準備としてはこれまでと同様に、

1. 適当に見える星を導入し、ファインダーとして使っているASI224MC+16mm CCDレンズでの(PC上で見た)像の中心と鏡筒の像の中心が合うようにする(そのまま固定してあれば毎回やらなくてもいい)。
2. SharpCapのPolar Align機能で極軸を調整する。今回は3分くらいまで合わせました。

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もう少し精度は出せると思いますが、撮影中に起きるずれのほうが大きくなってくるくらいだと思います。

3. BackyardEOSのFrame & Focus機能でピントを合わせる。

といったところですが、自宅での撮影の場合、鏡筒と赤道儀と三脚は組みあがったまま玄関に置いてあるので、設置開始から撮影準備ができるまでに15分くらいです。ずいぶん時間が短縮できています。

さて結果ですが、ベガ周りで撮ってみました。焦点距離は600mm、jpgで無加工です。

下の写真は30秒露光でですが、ぱっと見では全く流れは見えません。ただ、拡大するとそれでも少し流れているようです。

VEGA_LIGHT_Tv30s_3200iso_+36c_60D_20161019-20h15m49s122ms


次は60秒です。そのままだと目立ちませんがやはり拡大すると流れてしまっています。少し振動が入ってしまっているのもわかります。

VEGA_LIGHT_60s_3200iso_+30c_60D_20161019-20h19m51s282ms



さらに120秒だとパッと見でも流れているのはわかりますし、これも大きな振動が入ってしまっています。

VEGA_LIGHT_120s_3200iso_+29c_60D_20161019-20h21m44s126ms


少なくとも追尾しようとしているので、前回よりははるかにマシにはなったのですが、まだ流れと振動を完全に抑えて点像にすることができません。自宅周りでは空が明るいので短時間露光しか意味がないのですが、週末に牛岳と山奥に行く予定なので、もう少し詰めてみたいと思います。

焦点距離、極軸合わせの精度、赤道儀の精度、撮影時に起こる揺れなど考えて、実用的な秒数を求めたいのですが、まだ理屈の方もあまりわかっていません。ここら辺も少し考えてみたいと思います。

今回は3分角程度で合わせこんだのですが、ここを見ると、焦点距離600mmでCCD上で10μmのずれにするには3分角程度の設置誤差が必要とのことなのですが、これよりは多少甘いはずなので、設置誤差に関しはすでに問題ないレベルかと思います。それよりも赤道儀の速度変化、振動の方が問題になってきそうです。

 次の計測はピリオディックモーションでしょうか。



追記(2016/10/20夜):

別にペリカン星雲付近を1分露光で10枚撮った写真があります。10枚を連続してみると、星が赤緯方向に一様のスピードで移動し、赤経方向には上下しています。大まかに赤緯方向の移動速度を計算すると、10分あたり1分9秒 (=414秒/hour)でした。赤経方向の上下移動の幅は大まかですが、22秒ほどです。1周期いっていませんが、ピリオディックモーションが出ているようです。いずれにせよ、まだ極軸のずれが相当大きいようです。上の3分で十分という見積もりは甘かったということでしょうか。

この結果から、次はドリフト法でも攻めてみようと思います。BackyardEOSにドリフト法補助のモードがあったのですが、まださっぱり使い方がわからないので、こちらもちょっと試してみます。 


 

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