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天体観測始めました。

カテゴリ:調整・改造 > 極軸

  • 赤道儀で極軸の精度を1分角で合わせることができたら、4分間の露光で1秒角程度の星像の流れになる。

使い方としては、例えば
  • 3分角で極軸を合わせたら4分間で、3秒の流れ
  • 10分角の精度なら4分間で10秒角の流れ
  • 1度の精度なら4分間で1分の流れ
  • 4分角の精度なら1分間で1秒の流れ
とかになります。



簡単に考える方法として、極軸からどれくらいずれていたら、星像が、ある時間内でどれくらい流れるかをざっくり見積もります。
  1. まず極軸が1度ずれているとします。
  2. その場合、赤道儀で追いかける方向と、実際に星が進む方向に(ターゲットの星の位置によりますが、例えば東西に極軸がずれていたら南天において)最大で1度のずれができます。
  3. 度をラジアンにするには180で割ってπをかければいいので、ざっくり60で割ればいいことになります。なので1度のずれということは、イコール1/60ラジアンの角度を持って星が互いに別方向に行くということになります。
  4. 1時間で星は15度動くので、15度に1/60をかけたものが星像の流れになります。円弧の関係の、円の半径の部分が15度で、中心角が1/60ラジアン、弧の部分が星像のずれにあたり、この場合15度 x 1/60 = 15分角となります。角度とラジアンの変換がたまたま約60分の1なのでこの変換がなりたち、頭で考えることができるくらい簡単になりすごく便利です。
  5. 1時間で15度進むので、4分間で星は1度進み、1度のずれは上の計算から最大1分角の星像の流れを生みます。1分角の精度で極軸を合わせたら、4分間で1秒角のずれとなるわけです。

極軸は電子ファインダーなどを使うとがんばれば実測で1分角くらいでは合わせることが可能になります。これなら20分露光しても5秒くらいの流れなので、私の場合カメラの1ピクセルくらいにあたり、ここら辺が許容範囲といったところでしょうか。あ、もちろんこれはノータッチガイドの場合の許容範囲です。SWAT200のノータッチガイドでの星の流れを見積もるときに考えた簡単な見積もり方です。SWATは小型軽量ですが、その分機材に調整で触れたりすると極軸合わせの精度も変化するので、1分角を維持するというのが難しいということもわかってきました。

普通の赤道儀で2軸ともガイドさえしてしまえば、こんなに精度はいらないですね。


 

精度追求: 極軸調整その1からの続きです。


2016/11/12 前回(5日前)の反省を踏まえ、SharpCapによる極軸設定で、三脚をアイピース台で下からきちんと締め上げ、ウェイトを付け、極軸周りの回転をモーターを使うことで精度改善を試みました。前回同様、一度SharpCapの指示通りに曲事を合わせて、10秒以下で合ったという表示を確認してから、そのまま再度極軸設定を繰り返し(設定時にまた赤径を90度向きを変えるということ)、どれだけずれるか見るということを何度か赤経正負の両方向で繰り返しました。その結果、ずれは平均的に40秒程度となりました。前回のずれが2.5分(150秒)程度だったので、誤差が3-4分の1に改善されたということになります。

さて、この状態で再びM45を、焦点距離600mm、1分露光で16枚ほど連続に撮影してみました。ただし、BackYardEOSでの撮影で、一枚撮影するごとに計算機側にファイルをダウンロードするために10秒ほど撮影が途切れます。それら16枚を比較明合成した写真が以下のようになります。

1600iso_output_comp


拡大してよく見て見るとずれがよくわかります。大きくずれている方向は、赤経(RA)方向です。それに比べて垂直の赤緯方向のずれははるかに小さいです。

拡大したピクセル等倍でみるとずれはV字の形に見ますが、Advanced VXのピリオディックモーションの周期は8分で、撮影時間は16分以上なので、約2周期分が重なっていることになります。ここからわかることは、赤道儀の極軸を1分角以下の精度で合わせれば、赤緯(DEC)方向の精度はもう十分赤経方向のピリオディックモーションの誤差からくる精度に勝っていて、極軸調整の精度としてはこれ以上やっても仕方ないということです。HUQさんがコメントでくれたように、大気の影響で1分程度のオーダーの誤差が生じるとのことですが、1軸制御の場合には赤経方向の誤差が小さくなるので、もう少し突き詰めて赤緯方向の誤差を抑える価値はあるのかもしれません。ですが、2軸制御をしてしまう場合には、極軸調整の時間の節約のことも考えると、今回のSharpCapで1分程度の誤差に抑えればもう十分でしょう。


さらにもう少し突き詰めるためにピリオディックモーションを測定して実際に見てみることにしました。ターゲットは東の空に上がって来たオリオン座のベテルギウスあたりです。赤道儀の仰角を3度ほど減らし、星を南に流して、10秒間隔の連続写真を30分ほど撮り比較明合成した写真が以下のようになります。

output_comp2


一番明るいのがベテルギウスで、左上から右下に向かって流れています。ちなみに、赤道儀の仰角を上げると東の空の星が北に逃げ、仰角を下げると南に逃げます。また、赤道儀を西に向けると南の空の星が上に逃げ、東に向けると下に逃げます。また、今回はBackYardEOSを使わずに、カメラ側で露光時間を10秒に固定して、レリーズでロックして、撮影したので、間に撮影が遮られていることはありません。

一部を拡大します。

periodic


図の赤で書いてある二つの星の間がStellariumによると19.5秒角程度なので、青で示しているピリオディックモーションは写真の線の間の幅の比から31.6秒pp = +/-15.8秒程度となります。他のページを調べるとAVXのピリオディックモーションは+/-十数秒とのことなので少しだけ大きいかもしれませんが、大きくずれてはいないことがわかります。ずれを見ると、盛り上がるところと、平坦なところが結構はっきりとわかれて出ていることがわかります。周期は図と撮影した時間から9分20秒程度でした。AVXの場合ピリオディックモーションの周期は8分くらいのはずなので、少し長いです。周期側の測定はそれほど誤差が出ないはずなので、ちょっと謎が残りました。


いずれにせよ結論はかわらず、ノータッチガイドではピリオディックモーションで露光時間がリミットされるということになります。今回の結果から、前回やった2分露光で半々くらいの枚数が使えるというのは、妥当な判断だっとことがわかります。平坦なところだけをねらって使えば、今回の600mmでも数分の露光は可能かもしれませんが、使えない枚数の確率も増えることと、それでもずれは多少見えるはずなので、ノータッチガイドは1分以内というのが現実的な解かと思います。また、PECも試そうと思ったのですが、PECの記録にオートガイド(マニュアルでもいいらしいですが)が必要とのことなので、とりあえずノータッチガイドのための課題として残しておきます。

さあ、次はいよいよオードガイドです。



電視に大分満足してきたので、少し精度面を見直そうと思います。

2016/11/7、まず手始めにSharpCapでの極軸合わせです。SharpCapでの極軸の合わせた方自身は以前の記事でレポートしたのですが、その後牛岳での実戦投入で惨敗でしたので、改めて自宅で試しました。

セットアップはAdvanced VXにFS-60CBをつけ、その上にASI224MCを載せました。50mmのCマウントレンズにCSへの変換アダプターを付けてCCDにつけています。その際の画角と画素数から計算すると、1素子あたり15.2秒角になります。

今回、SharpCapを使っての極軸合わせ自身は特に問題なくできました。Advanced VXには微調整のネジがPitch(上下の回転)とYaw(横の回転)方向についているので、合わせ込むと誤差が10秒角以下になるくらいまでになったと表示させることができます。

IMG_0584


ただ、画素の細かさから言ってもこの値自体にはあまり意味がないことは言うまでもありません。実際の誤差がどれくらいか知りたくて、一旦極軸を合わせて誤差10秒以下と表示されてから、再び同じことを何度も繰り返したり、赤経周りに反対に回転させてみたりと試すと、大まかに言って平均で2.5分角くらいの精度でした。

IMG_0587


ただし、今回は赤道儀を赤系方向に手で回してしまったので、モーターで回せばもう少し精度が出るのかもしれません。 また、セットアップの簡略化の一環で、赤道儀の足のところにつけるアイピース台を取り付けなかったので、足を開き上げることができていないため、架台として少し弱い可能性があります。また、鏡筒はFS-60のみと軽かったのですが、赤道儀にウェイトを取り付けなかったのでバランスが悪く、もしかしたらこれが悪さをしている可能性もあります。今回は如何に手を抜いて実用的に出せる精度を見てみたのですが、精度追求という意味でこれらの欠点をなくして今一度確かめたいと思います。また限界を知ると言う意味で、レンズももう少し焦点距離の長いものを使うのもいいかもしれません。

と言うわけで、この状態でカメラでの撮影に挑むと、やっと1分の露光ではほとんど流れなくて、2分露光で流れるものと流れないものが半々というくらいです。特に風もなく、それでも流れるものが半分ということは、すでにピリオディックエラーの影響が出始めている可能性があります。とすると、実際には極軸としてはこのくらいの精度が実用ともいえますので、ピリオディックエラー補正に挑戦してどれくらい改善するのかをみるのが次の手でしょうか。それでも最終的にはガイドが必要だという結論になりそうです。

上の結果を踏まえた今日の成果です。撮影に際し、FS-60CB状態からエクステンダーを再び付けてFS-60Q状態にし、焦点距離を600mmとしました。Canon EOS 60D、ISO6400、120秒でとったM45です。JPEGの撮りっぱなしで未加工です。

M45_LIGHT_120s_6400iso_+19c_60D_20161107-22h23m18s517ms


RAWでも撮っていますが、頑張って加工すれば星間ガスくらいは見えそうです。でもまだダークノイズも撮っていないし、フラット画像をも撮っていないしで、準備不足です。なによりまだ画像処理ソフトがGIMPなどのフリーのものばかりしかないので、これからいろいろ揃えたいと思っています。加工はもう少し先に試そうと思います。

極軸調整その2に続く











昨日のTG-SPの自動追尾テストに引き続き、追尾の精度を出すためにSharpCapで極軸の調整をしてみました。使った機材は手持ちのCMOSカメラASI224MC16mmのCSマウントのレンズです。

はっきりいってむちゃくちゃ便利です。しかもとても簡単です。あえて難しいところを言うなら、日本語に対応していないところだけでしょうか。

1. まず、CMOSカメラをどこかにマウントします。今回は高橋の鏡筒バンドの上に固定しました。

IMG_0274


2. CMOSカメラを赤経用の回転軸とだいたい同じ方向に向けます。SharpCapの途中の説明の中には1度から5度までの精度と書いてありました。

3. 次に、赤経回転軸がだいたい北に向くように三脚ごとでいいので、方向を合わせます。これも5度くらいの精度でいいでしょう。実際にはカメラ画像に北極星周りが入ればよく、その範囲はカメラの画角で決まるので、今回のASI224MCで16mmのレンズを使うの場合、横17度、縦12度くらいの範囲が見えます。なので画面の真ん中あたりを中心に使うとすると、5度までというのは的を得た値だと思います。

4. SharpCapを立ち上げ、ToolメニューからPolar Alignを選びます。最初に説明が書いてあるので読んだほうがいいですが、書いてあることは、
  • 赤道儀が必要。
  • 1度から5度までの画角が必要。200mmの焦点距離のガイダーが理想。(と書いてますが、今回の16mmでも十分使えています。)
  • 10個から15個の星が見える必要がある。
  • 初期のアラインメントは5度くらいの精度が必要。
  • 赤道儀は望遠鏡が上方を向くホームポジションから始めるといい。
逆に必要のないものは
  • 正確なファインダーのアラインメントやコーンエラーを正すこと
  • 自動導入
  • 他のソフトやインターネット接続
など、何が必要で何が必要ないかという一般的なことで、大したことではありません。

5. Nextを押して、いよいよ北極星周りの認識です。15個くらいの星を認識しないとダメみたいです。
この時点で北極星周りがきちんと見えていると、Plate solvingでデータとして持っている星図と比較して、各星の位置が認識され、極軸周りに同心円が多数見えます。

IMG_0271

6. 星の認識がうまくいくと、右下のCould not soleveがSolevedに変わります。CMOSカメラの露出時間とゲイン、およびPolar Align設定の中のNoise Reductionが結構効きます。私は0にしました。うまくいくと写真のようになります。

7. Solvedの状態がある程度続くようになったら、Nextを押します。

8. CMOSカメラを含めて、赤道儀を赤経方向に90度位回転させます。

9. 再び星の位置が認識され、写真のようにターゲットの星を矢印のところまで持って行けという指示が出ます。

IMG_0276

10. 三脚をずらすなどして赤道儀全体を動かして、微調整します。このとき注意なのですが、当然赤道儀のモーターを利用して合わせてはいけません。あくまで、架台の方の移動(大きな赤道儀には微調ネジがついていますが、ポタ赤などにはそんな豪華なものは付いていないので、本当に三脚をずらします。)で位置を調整します。合わせている途中で、移動量に応じてターゲットの位置もリアルタイムでずれていきます。ほぼ合わせ終わったのが下の写真です。

IMG_0277


11. ある程度合わせてからNextを押すと、誤差がどれくら残っているか表示されます。

IMG_0280


初めてやったにもかかわらず、実作業は15分くらいでした。この記事を書いている時間の方がはるかに長いです。慣れれば、ものの数分で終わると思います。恐ろしく簡単です。

途中画面上で星の位置を移動して合わせるのに、三脚の足の長さを変えて微調整したのですが、星の村のスターライトフェスティバルでHUQさんに見せていただいた、

IMG_0199


のようなものがあると便利そうです。これどこのメーカーのものなのでしょうか?(2016/10/20 追記: タカハシ製でした。Vixenでもよく似たものを出しているみたいです。「三脚アジャスター」で検索すると出てきます。)

赤道儀の水平出しはしなくていいのでしょうか?とか、考えていたのですが、赤道儀自身がポタ赤で自動導入はしないので赤径の回転軸さえあっていればよく、そもそも水平などもなす必要がないために、このような簡易調整で十分なのですね。

それと似た話で、実は最初極軸を合わせる前、CMOSカメラの中心は赤径の回転軸と合ってなくていいのだろうか?とか、センサー平面は赤経回転軸に垂直になってなくていいのだろうか?など、いろいろ考えました。でも無限遠のものに合わせて回転させて見ているので、場所も角度も極軸が画面内に入るくらい大雑把でいいという事が、やっと理解できました。いやあ、簡単です。(追記: 2016/11/3 牛岳でAdvanced VXにBKP200を乗せ、その上にFS-60を乗せて、さらにその上にASI224を乗せて試した時は全くうまくいきませんでした。合わせ終わって回転させると、回転軸が全く極軸からずれたところで回っています。その後2016/11/7に自宅で試した時はうって変わってうまくいきました。BKP200を無くしたからかもしれません。)



さらにHUQさんが以前コメントで教えてくれたのですが、CMOSカメラが完全にファインダーの代わりになります。しかもより広範囲を明るく見ることができるのと、無理な体勢で覗かなくていいので、はるかに便利です。これでFS-60Qについているファインダーを外して、さらに軽量化する目処がつきました。取り外したファインダーは青色でかっこいいので、同じ青色でまだファインダーのついていないMEADのLX200-25に取り付けようかと思います。

さて、極軸調整の結果ですが、今回は誤差にして10分の1度くらいのオーダー、写真で撮ると20秒くらいは追尾できるようになりました。

LIGHT_Tv20s_3200iso_+23c_60D_20161016-00h21m47s283ms

それよりも他の問題が発生して、どうも追尾できるときと全く追尾しない場合で別れる現象が見られました。どうもギヤの駆動に合わせてどこかでスリップしているみたいです。撤収してから明るいところで調べたら、2箇所ネジが緩んでいました。これは自分のミスです。また、赤道儀自身も中のネジが調整されていないと精度が出ないという記事もどこかにありました。これはメーカーの方で調整する部分だそうです。まだ犯人は確定していませんが、とりあえず自分で閉め忘れていた箇所は締め直し、今晩以降、再度検証です。(追記: 2016/10/17に解決しました。)

あと、追尾がうまくいっているときに問題になるのが、風です。結構揺らされて星像が流れます。さらに機材を軽くしたいのですが、風の揺れのほうで問題になるのかもしれません。三脚がまだたわんで揺れるので、もう少しいい三脚が欲しいです。



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