ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:software > SharpCap

最近ものすごく忙しくて、土日も仕事のことが多いです。先週末の福島も行けずじまいでした。そんな忙しい状況ですが、先週のある晴れた平日に朝早く起きて、色々と試しました。結局この日は自宅にいたので、セッティングだけして撮影中はほったらかしにしておきます。しばらく梅雨で何もできそうにないので、しばらくこの日にやったことを記事にしていきます。


SharpCapでのリアルタイム処理

最初はSharpCapを使っての太陽全景のタイムラプス映像です。SharpCap単体で、リアルタイムでスタックして細部出し、さらにはカラー化からプロミネンスの炙り出しまでできるので、撮影さえしてしまえば、あとは動画化するだけになります。


上記記事にSharpCapでの太陽全景撮影のための設定は説明していますが、実際の長時間タイムラプス映像はまだ試せていませんでした。なので今回の記事はその続編ということにもなります。


撮影設定など

実際の撮影です。全景撮影で太陽の細かいところまでは見えないためシーイングはあまり関係ないので、午後からの撮影としました。シーイングがいい午前の撮影については、C8で高解像度のテストとしましたが、これについてはまた後日記事にします。

20秒に1枚で、トータル2時間25分の撮影で、数えたら422枚の大量の画像です。枚数は多いですが、ファイル量としてはトータルで高々10GB程度です。同じカメラで動画撮影する200フレームのserファイル換算だと、たった3本分程度です。ちなみに動画の場合は100本レベルで撮影したりしています。しかも処理ずみの画像が保存されるので、それ以上の画像処理も必要なく、心理的にもかなり気楽です。

撮影中はPHD2でのガイドと、SharpCapでのセンタリングを併用しています。SharpCapでの設定内容は以下のようにしました。
スクリーンショット 2025-06-05 150152_cut

以前に示した設定よりも少し凝った設定になっていますが、これでほぼ完全にセンターに保つことができました。後々の位置合わせは全く必要なく、全コマに渡り、見ている限りピッタリ位置が揃っていました。これはすごい。

ただし、このことは快晴だったからというのが大きいと思います。これまで雲がある時にタイムラプス用の連続撮影を試していますが、小さな雲の通過でも影響が大きく、長時間撮影では途中で位置がずれてしまったり、スタックがうまくいかなくなったり、プロミネンスの炙り出しがうまくいかなかったりしていました。なので、このSharpCap単体でのタイムラプス映像のための撮影は(あまり設定にかかわらず
)、本当に雲がないという意味での快晴の時でないと、うまくいかないと思います。


出来上がったタイムラプス映像

繰り返しにもなりますが、今回のやり方の利点をまとめておきます。
  • リアルタイムで、スタック、細部出し、カラー化、プロミネンス炙り出しなど、それ以上の画像処理が必要ないレベルで、画像を保存していくことができる。
  • トータルファイルサイズを節約できる。
  • 各画像の位置合わせの必要が、全くない。
  • あとは、動画化するだけ。
なので、ホントに保存された画像をそのままアニメ化します。今回はPixInsihgtのblinkで動画化しました。blink上でtifから一旦pngにして、mp4で書き出しています。その後、ブログに載せるために以下のコマンドでYoutubeに適したフォーマットにしています。

 ffmpeg -i .\Blink.mp4 -vf "scale=1920:1400" -vcodec libx264 -pix_fmt yuv420p -strict -2 -acodec aac .\Blink_X.mp4

実際に出来たタイムラプス映像です。

見てもらってもわかりますが、はっきり言って全然面白くないんですよね。理由はひとえに動きが少なすぎるからです。でも実際には一部動いていて、たとえば左の大きなプロミネンス部分を拡大してみると以下のようになります。

たしかに動いていはいるのですが、いつものC8のタイムラプス映像と比べると、まあ当然ですが解像度不足なのは否めません。また、拡大して見るレベルだと太陽表面とプロミネンスの境がさすがに不自然です。

全景動画をよく見てみると、まだ他にも動いているところはありますが、上の動画よりはるかに小さな動きでしかありません。

結局、実際に長時間撮影したものをタイムラプス化して面白かったことは、2時間半で太陽の自転がわかったことでしょうか。これはタイムラプスというよりは、最初と最後の画像を比べればいいでしょう。
Blink3

赤道付近の自転の周期が25日程度というので、半回転180度として、それをざっくり12日で回転するとしたら、1日あたり15度、2時間半だと1.5度程度回転するはずです。高々2時間半でこれくらいわかるので、夏場の朝から晩まで、1時間おきくらいに撮影して12時間くらいの自転を見るのも楽しいかもしれません。


問題点

さて、今回長時間撮影してわかった問題点もあります。今後の改善のために列挙しておきます。
  • SharpCapで保存されたtif画像が、階調8ビットで保存されてしまっています。SharpCapのタイムラプスの設定画面の下の方に、画面のストレッチをしたら8bitで保存されると書いてあるので、逆に言うとストレッチしていなければ16bitで保存されるはずなのかと思います。実際、以前PhoenixとASI290MMで撮影した過去画像を調べたらきちんと16bitで保存されていたので、何か方法があるはずです。でも8bitで保存されたとしても、すでにプロミネンスまで炙り出し済みなら、階調は問題でないのかと思います。
  • 黒点やダークフィラメントなど、何か構造が見えるところだけボケてしまっていて、アニメ化するとブレてしまっています。SharpCapから保存されてtifファイルの時点でもうボケが見えているので、スタックの問題か、変なノイズ処理が入っているからとかかと思うのですが、今の所不明です。今回はアニメ化してからこのことに気づきました。次回からは画像をとにかく1枚保存して、きちんと撮れているか確認しようと思います。ちなみに、このボケのため、太陽表面が動いているように見えるものはほとんどフェイクです。
  • 太陽表面の模様があまり出ていない気がします。シーイングがものすごく悪かったのか、設定が悪かったのか、今となっては確認できません。短時間でいいので、serファイルを別途撮影しておけばよかったです。
  • やはり全景では変化がなさすぎてつまらないです。拡大してみるとプロミネンスの変化などがわかるので、拡大を前提に楽しむべきか、それでも拡大するとすぐに分解能の限界でアラが見えるので、どこまで拡大するかのバランスが大事なのかと思います。
  • プロミネンスの境が不自然に見えます。リアルタイム処理なので仕方ないのかもしれません。
  • プロミネンスの境がブレるようです。アニメ化すると目立ちます。

色々問題点もありますが、それでもこれだけ簡単にタイムラプス映像ができるのは、魅力なのかと思います。


まとめ

やっとSharpCapのリアルタイムスタックを利用して長時間のタイムラプス映像まで辿り着きましたが、あまり面白くもないので、これを今後継続するかはちょっと迷っています。ただ、問題点はまだあることはわかったので、もう少しはマシになるはずです。これらの問題点をある程度解決してから判断しようかと思います。







CP+のセミナーの中で、SharpCapを使うと太陽をリアルタイムでスタックして画像処理ができるので楽だという説明をしましたが、ブログ記事にはしていなかったのでまとめておきます。この記事を書く気になったのは本ブログのコメントで、リュウさんから設定画面を見てみたいというリクエストがあったからです。


太陽の導入

カメラをPCに繋いでSharpCapで太陽を映すまではいいでしょうか?特に昼間の導入は意外に面倒だったりするので、少しだけコツを書いておきます。
  1. まず、赤道儀や経緯台の水平をきちんと取ることは必須です。水平出しは、これ以降の精度全てに効いてきますので、水準器を使ってきちんと水平になっているのを確認します。(補足: 昔の記事で赤道儀の場合は極軸さえ合っていれば水平出しは原理的にどうでもいいと書いていますが、それはあくまで極軸が正確に合わせられる場合です。昼間はほぼ太陽しか出ていなくて、極軸を精度よく合わせることは無理なので、最低限水平をきちんと取ってから始めたほうが遥かに楽です。)
  2. 鏡筒をホームポジションの方向に向けます。ホームポジションは赤道儀や経緯台の機種によるのでマニュアルをきちんと見てもらえばいいのですが、赤道儀の場合は北極星方向、経緯台の場合は北向き水平が多いでしょうか。太陽ファインダーを持っていない場合は、ここはできるだけ精度よく合わせたほうがあとあと楽です。
  3. 経緯台の場合、水平方向は鏡筒に水準器を当てるといいでしょう。
  4. 北向きにするのはなかなか精度が出ません。最近ではスマホにコンパスアプリがついているので、それを使うといいでしょう。その場合、設定で「真北」を選んでください。デフォルトでは「磁北」になっている場合が多いので、これだと6−7度ずれてしまいます。
  5. 次に進む前に、ここで重要な確認です。望遠鏡は太陽を見ることができる状態になっていますか?白色光の場合は太陽用減光フィルター、Hα線の場合はエタロンとブロッキングフィルターなど確実に付いていますか?私は必ず指差し確認をするようにしています。慣れてしまうとどうしても確認が疎かになる可能性が出てくるからです。
  6. 次に、カメラを鏡筒にセットし、カメラをPCに繋ぎます。SharpCapの上部メニューの「カメラ」から接続したカメラと同じ名前のカメラを選択します。
  7. ここまできたら、やっと赤道儀や経緯台の自動導入を使って、太陽を導入します。昼間の太陽導入は安全のために機能的に制限されている赤道着や経緯台が多いので、その制限を解除します。解除方法は機種に依ります。
  8. 必要なら導入前に念のため、赤道儀や経緯台の現在位置の設定と、時刻の設定を見直してください。現在位置や時刻がずれていると、これ以降導入がズレが出る可能性が高いです。緯度と経度を入力する場合は、スマホのコンパスアプリなどで今いる場所の緯度経度を確認できるので、その値を入力するのが楽です。
  9. 太陽を自動導入後、SharpCapで画面を確認しますが、大抵の場合は太陽は画面内に入ってこないと思います。
  10. 太陽ファインダーを持っているなら、太陽光がファインダーの投影板の真ん中に来るように、赤道儀の場合は架台部分の「ネジ」を使って水平方向と垂直方向を合わせます。この時点ではモーターを使わないように注意してください。この時点では、設置時の赤道儀の極軸からのズレを補正するためです。経緯台にはネジがついていないと思いますが、ネジの代わりに三脚をの足を伸ばしたり、水平にずらしたりして、水平方向や垂直をある程度合わせてもいいでしょう。
  11. 太陽ファインダーがない場合は、次のようにSharpCapの画面で確認するしかありません。
  12. 太陽ファインダーの真ん中に来たら、SharpCapの画面に入ってきているか確認してください。露光時間は機材に依りますが、1msとかかなり短くていいはずです。ゲインも0とかせいぜい200(=20dB=10倍)までで大丈夫かと思います。
  13. 太陽が画面内に入りかけているか確認するために、SharpCapの右側パネルのヒストグラムのところにあるオートストレッチボタンを押して、画面を明るくします。端の方が明るかったりしたら太陽が近くまで来ているということなので、ここからはモーターを使って明るいのが真ん中に来るように合わせます。太陽が入ってきて、極端に明るくなったら、今一度オートストレッチボタンを押して明るさを調整します。太陽の一部でも入ればあとはモーターで真ん中に持ってくるだけです。
  14. 最後に、赤道儀もしくは経緯台の追尾設定を、デフォルトの恒星から太陽に変更するのを忘れないでください。

ピント合わせ

太陽が導入できたら、次はピントを合わせます。ピント合わせも少しコツがあります。
  1. 赤道儀や経緯台のモーターを利用して、見たい位置に太陽を持ってきます。
  2. SharpCapの画面を見ながら、とりあえずそこそこフォーカサーなどでピントを合わせます。
  3. SharpCap右側パネルのヒストグラムで、オートストレッチをかけます。
  4. ヒストグラムの3本ある線の、左の線を背景光を表す左のピークより少し右側に、右側の線をヒストグラムの盛り上がりの右端くらいに合わせます。
  5. 画面を見ながら、真ん中の線を少し右に寄せ、細かい模様がよく出るところを探ります。グラフが下に凸の形になるはずです。
  6. ピントを微調整します。
スクリーンショット 2025-05-11 105533
ヒストグラムで調整するとこれくらいになるので、
かなりピントが合わせやすくなるはずです。


必要ならフラット化で見やすく

もし画面全体が太陽表面だけを見る場合(太陽の縁より外が画面に入っていない場合)は、常時フラット補正をしておくといいでしょう。これを行うことで、上記ピント合わせも遥かに精度よく見ることができます。
  1. 黒点周りなど、太陽表面の見たいところを赤道儀のモーターを使って導入する。
  2. 鏡筒のフォーカサーでピントをかなりずらす。その際、つまみをどちら向きに何回転くらい回したかを覚えておくといいでしょう。
  3. ボケボケになったところで、SharpCapのメニューの「キャプチャ」の「フラットフレームキャプチャ」を選びます。
  4. 出てきた画面でフラット撮影の設定をします。枚数は16枚とか32枚もあれば十分でしょう。スタートボタンのすぐ下の「撮影後新しいフラットを適用する」とかいうオプションにチェックを入れておくと楽です。
  5. スタートボタンを押します。
  6. フラットが適用されていることを、画面(真っ白になるはず)や下部に出ているヒストグラム(一本の細い山になるはず)で確認します。
  7. 画面下部に出ているヒストグラムを閉じ、ピントを元に戻します。ピントの再調整は、必要なら上の手順に従ってください。今回は太陽表面の輝度差が補正されているので、かなり合わせやすくなっているはずです。

これでセンサーやフィルターのホコリ、太陽表面の輝度の違い、エタロンの中心波長のずれで見えにくくなっていたエリア、ニュートンリングなどが補正され、圧倒的に見やすく、コントラストを上げて撮影できるようになります。この状態では、露光時間やゲインはある程度変更できますが、あまりに違う設定の場合はフラットを取り直してください。また、位置などが大きくズレると補正もずれてしまうので、その場合もまたフラットを取り直してください。


SharpCapの撮影設定

太陽が導入できてピントもあったなら、太陽が見えているはずです。まずはカメラの設定をします。
  1. モードはモノクロカメラならMONO16一択です。カラーカメラの場合はRAW16でしょう。
  2. 明るすぎたり暗すぎたりしないように、露光時間とストレッチ度合いを今一度合わせます。
  3. 露光時間は撮影のことも考え1ms程度、ゲインは0 ( = 0dB = 1倍) とか100( = 10dB = ~3倍) から、せいぜい200( = 20dB = 10倍) くらいまでで、ゲインがその範囲に入らなければ露光時間を長くしたり短くしたりします。適度な明るさとは、ヒストグラムで見て山が右も左も切れていなく、かつ山が全体的に広がっている状態です。
  4. ストレッチは適時オーとストレッチボタンを押します。露光時間やゲインを変えたとき、雲が通過して画面の明るさが変わった時も押すといいでしょう。


太陽画像のリアルタイムスタック

明るさが適度に調整出来、ピントもあっていたとしても、まだシャキッとした画像にななりません。ここでいよいよライブスタックを開始します。
  1. メニューの「ツール」の「太陽/月/惑星のライブスタッキングと強化」を選択します。
  2. 出てきた画面で「Sharping&Adjunstment」を選んで、下の画面を参考に調整します。
  3. 左側の「Gaussian Wavelet Sharpening」は十分な解像度が出ているなら「Fine」を上げるだけでほとんど大丈夫です。Level1以降は画面を拡大しながら上げてもいいですが、たいていは強すぎるのでほどほどにした方がいいと思います。画面を引いてみる場合と拡大してみる場合は、いいと思われる設定は違うと感じると思います。好みで設定すればいいと思いますが、私は拡大したときに強くなりすぎずに、引いてみたときにあっさりしすぎなくらいでちょうどだと感じています。
  4. 同画面右側の「Image Adjustments」はかなり便利です。でもその前に、オートストレッチをリセットしてヒストグラム画面で出ている曲線をきちんと直線にするのを忘れないでください。ヒストグラムで画像調整してしまうと、画像を保存するときに二重に調整効果がかかってしまって、変なことになる場合が多いです。
  5. 画面が明るすぎたり暗すぎたりするときは「Brightness」を調整します。「Gamma」は見栄えに大きく関係するので、毎回いいところを探してください。
  6. その後は好みで「Solar Colorization」をオンにするとカラー化されます。カラーの度合いはあまりいじることはできないはずです。
  7. 次の「Corona Boost」は、全景の場合はもうデフォルトオンでいいでしょう。ただし雲などが通過するとずれて強調されたりするので、その場合はオフにしてください。「Radius Offset」は適時変えてみて、いいところを選んでください。これも好みかと思います。

スクリーンショット 2025-05-11 113714

次のタブは「Frame Filtering」です。これでラッキーイメージ的なことができます。下の画面では250フレームにわたって画質の良さを評価して、上位85%をスタックするという意味です。
スクリーンショット 2025-05-11 113731
ここに出ているグラフはピント合わせに利用することもできます。主にコントラストを見ているようなので、特に全景の場合は太陽と背景のコントラスト比に比例して数値が出ます。言い換えると、ピントを前後させて、一番値が大きいところがピントが合っているところということです。先に説明した方法でうまくピントが出ない場合は、こちらを利用してみてもいいかもしれません。

最後は「Stabilizatin/Alignment」です。私はガイド鏡を使ってPHD2の太陽バージョンでガイドすることが前提なので、個々の設定はかなりシンプルにしています。こうしないと、PHD2とけんかしたり、正しい状況が見えにくかったりするからです。
スクリーンショット 2025-05-11 091737
全景の場合は「Stabilization Mode」は「Planet/Full Dis」のほうがいいのかもしれませんが、「Surface」でも普通にズレずにスタックできています。「Stacking Mode」も「Single Point」で十分なようです。というよりも、雲が来るとどんな設定でもだめで、雲が来なければどんな設定でもいいと言うような印象です。

その一方、フル設定だと以下のようになると思います。今回の記事のために設定してみただけなので、あまりあてにしない方がいいかもしれません。上で書いたように、ここまでしてもアラインメント精度はあまり違いがない印象です。いい時はいいけど、ダメな時はどう設定してもダメっぽいです。「Stabilize to cente...」はカメラの画角の中に太陽全景が入っていさえすえば、太陽を常に画面中心に持ってきてくれます。タイムラプスなどの時は便利だと思いますが、カメラの画角から太陽が出てしまったときは途端に像が崩れます。問題はこのオプションがオンになっていると、画角の端まであとどれくらい余裕があるのかわかりにくいことです。

「Track Planet with Camera ROI」は普段ROIを使うことがないので、私の場合は意味がないです。ROIで画角を制限したときに、fpsが上がればいいのですが、実用的なROIの範囲ではfpsは変わらないので、フルで撮影するようにしています。動画ファイルが大きくなりすぎるなら、ROIを設定するのもありだと思います。

さらにチェックしていない「Re-align...」と「Overlay...」は試してみましたが、何が変わるのかいまいちよくわかりませんでした。モノクロ撮影だからなのかもしれませんが、よくわかりません。

スクリーンショット 2025-05-11 113509

最後、「Time Lapse」タブですが、これもまだあまり試してはいません。できるだけ階調良く保存したいのでフォーマットはSERかTIFFです。でもSERではバグなのか、いまだにうまく保存できないようなので、今がにTIFF一択です。

「Apply Display Histgram...」はここではオンになっていますが、オフの方がいいでしょう。これがオンになっている、もしくはヒストグラムでリセット状態のまっすぐな線になっている場合以外は、たとえTIFFフォーマットだとしても8bitで保存されると下部のノートに書かれています。

「Create short animated GIF...」がオンになっていますが、いまだにうまくGIFファイルが生成されたことがありません。オフでいいかと思います。

あとは何秒ごとに画面を保存するか設定してスタートボタンを押せばいいのかと思います。動画よりもはるかにファイルサイズが小さくなるので、多少間隔を短くしても大したファイル量にはならないでしょう。「Reset stack after...」は経緯台の場合には画面の回転を防いで枠が回っていくのを防ぐことができるので、うまくフレーム数を設定してみるといいでしょう。ただ、タイムラプス撮影をするなら、あえて回転を見たいとかでなければ太陽の場合は素直に赤道着を使った方がいいかと思います。

スクリーンショット 2025-05-11 120116

いくつかはうまく動かない機能があるので、私の環境が悪いのか、バグなのか不明ですが、タイムラプスに関してはまだそこまで期待しない方がいいのかもしれません。

右から二つ目のタブで設定が3通りまで保存、再現できます。設定を変えた時の比較などに使えるので随時使うといいでしょう。


まとめ

以前は惑星も太陽も画面センターにキープできる機能が便利で、FireCaptureで撮影することが多かったのですが、SharpCapの機能が圧倒的に進んでしまい、少なくとも私は太陽用にはもうSharpCapオンリーです。今回はかなり基本的な太陽の導入の仕方から解説したので、よかったら参考にしてください。私なりのテクニックも随所に入れ込んでいます。







久しぶりのSWAgTi ネタです。

1年ほど前から試していた
SWAT+AZ-GTi = SWAgTi (gは発音せず、スワッティ)。


SWATの追尾精度とAZ-GTiの柔軟性を合わせて、単機能に近いSWATに自動導入やプレートソルブなどの現代的な便利な機能を追加して使うことができるようになります。かつ追尾精度はSWATそのままと、互いの弱点を補い、いいとこ取りの機能となります。


SWAgTiの弱点

SWAgTiで目指していたところは「気軽な撮影」です。元々SWAT自身は1自由度の追尾精度がものすごくいい赤道儀で、ガイドなしでもそこそこの焦点距離で星を点像にすることができます。以前の SWAT350のテストでは、370mmの焦点距離で3分露光の場合、ガイドなしで歩留まり率は100%だったので、実用的にも十分だと思います。ガイドなしで気軽なSWATの撮影に、AZ-GTiの2自由度の便利な機能を追加して、さらに気軽にしようというのがアイデアです。

これまでのテストの過程で出てきた唯一の欠点が、長時間撮影時にディザーができないことです。


ディザーができないと、長時間撮影のドリフトなどでホットピクセルやクールピクセルが縞ノイズを作ることがあります。


実際に、SWAgTiの長時間撮影ででてきた縞ノイズの例がここにあります。


上のページでも挑戦していますが、縞ノイズは画像処理で改善しようとしても、緩和することはあっても完全に消すことはかなり困難です。できることなら撮影時に縞ノイズが出ないようにしたほうがはるかに楽で、ディザーはその解決策としては最も有効な方法です。

ところが、SWAgTi動作時にはSWAT側で恒星を追尾して、AZ-GTi側の恒星追尾を切る必要があり、AZ-GTiの恒星追尾がオフになるとSharpCapで出すディザー信号がAZ-GTiのモーター側伝わらずに、ディザーができないという結果になってしまったのです。

もちろんSWAT単体ではディザーすることはできないので、SWAgTiがSWATに比べて不利になったということではありません。ドリフトは数時間以上の長時間撮影で問題になってくるので、短時間撮影だと縞ノイズはそこまで目立ちません。SWAT単体で長時間撮影する際にどうするかですが、SWAT開発者が去年の胎内の星まつりで示してくれたように「撮影中に何度かわざと三脚をずらしてドリフトする方向を変える」とか、今年の福島の星まつりで見せてもらった10時間以上かけて撮影したというオリオン大星雲では「日を変えて何度も撮影することでドリフトの方向を一定にしない」などの対策をしているようです。ある意味余計な機材を使わないシンプルな解決策で、開発者の方が「そんな複雑なことはしてないですよ」とおっしゃられていたことが印象的でした。

なので、少し手間をかければ縞ノイズを避ける方法はあるということですが、私的にはやっぱりなんとかしたいので、再度ディザーに挑戦です。


ソフト的に何か間に割り込ませるか?

では具体的にどうするかですが、最初はSharpCapとAZ-GTiの間に何かソフト的に挟んで、命令を無理やり出せるようにしようと考えていました。Uedaさんがトラバースの赤道儀化でSynScan Appとトラバースの間に赤道儀のふりをするような別ソフトを間に入れて上手くいっているので、同じような手法が使えないかと思いました。幸いなことにソースコードを公開してくださっていて、C#で書かれているようです。初めての言語だったのですが、コードは規模的にも大きくなく、自分でビルドまでできて、とてもいい勉強になりました。SWAgTi用にどうハックすればいいのか、ある程度の目安が立ってきたので、とりあえず取り組んでみようと思っていた矢先でした。


SharpCapが変わった?

まずは状況の確認で、以前のSWAgTiの設定を再現します。再現といっても、プログラミングのための準備なので昼間の明るいうちでの確認になります。SWATとAZ-GTiを組み合わせて、SynScan ProからAZ-GTiに接続し、SharpCapからSynScan Proを操作できるように接続します。

ところがです、いつぞやのSharpCapのプレートソルブ関連の大幅アップデートらへんのことだと思うのですが、AZ-GTi側の恒星追尾をオフにしてもどうもディザー信号がきちんとモータまで届いているようなのです。

具体的にはSharpCapの右パネルの「望遠鏡制御」のところを見るのですが、AZ-GTiが恒星を追尾していると「方位」「高度」「赤経」が動き続けます。AZ-GTiが恒星を追尾を止めると「方位」「高度」は止まり、「赤経」のみ数値が動き続けるようになります。ここで SWATに恒星追尾を引き渡すと、ここまでのAZ-GTiの代わりにSWATが動き出し実際に星を追尾してくれるようになります。この状態でも、SharpCapの「望遠鏡制御」のところの矢印ボタンを押すと、信号はきちんとモーターまで行き、見ている方向を変えることができます。その際「方位」「高度」の数値もモーターへの信号に連動して動きます。ここまでは以前にも試した結果と同じでした。

ここでSharpCap上でライブスタックを立ち上げてディーザーをオンにします。以前はディザーをしようとしても実際にはモーターまで信号がいかなくて、画面は全く揺らされないことは確認していました。でも今回「望遠鏡制御」の数値を見ている限り、ディーザーのたびに「方位」「高度」の数値が動いているのです。以前この数値が動いていた記憶は全くない(動いていれば必ず気づいていたはず)ので、勘違いでなければ何か状況がわかっているはずです。少なくとも、現段階でこれらの動いている数値を信じるならば、ディザーはきちんと作動していることになります。


夜のテストは全くうまくいかず

昼間に試しただけでは、PC上に出てくる数値は動いていても実際の撮影画面が動くかどうかは見ていないので、まだ本当にディザーが動いているかどうかの確証は持てませんでした。なので夜になって実際に試してみました。ところがディザーを試す以前に、かなりひどい状況にぶち当たってしまいました。

IMG_9758

具体的には、一眼レフカメラ(EOS 6D)をSharpCapに繋ぎ、AZ-GTiで操作しました。CMOSカメラでなくてもSharpCapに繋ぎさえすれば、一眼レフカメラで極軸調整もプレートソルブも、全然問題なくできます。


今回も極軸調整をFS-60CBと6Dの画面で直接やり、初期アラインメントも6Dでプレートソルブを使うことで簡単に済ますことができました。
スクリーンショット 2024-08-03 215020_cut

その後、ターゲット天体を導入し、SharpCap右パネルの「望遠鏡制御」の矢印ボタンを使って位置決めをします。ここら辺までは問題ないです。

次に追尾をSynScan ProからSWATに渡して撮影に入る準備をします。ところが長時間露光を開始すると程なくしてSynScanとの接続がダメになります。ディザーをするためにはライブスタックモードにしなくてはいけません。 この接続トラブルはライブスタックに関係なく、ライブスタックをする以前に露光時間を分のオーダーとかに長くした時に発生するようです。SharpCapの「望遠鏡制御」のところでAZ-GTiからの位置情報が数値で見えるのですが、SWATで追尾しているので「赤経」の数値だけが増えていきます。最初はスムーズに数値が変わるが見えるのですが、徐々に数値が飛び飛びになり、最後は止まってしまって、それ以降は接続は切れているような状態になります。処理に時間がかかっているような印象で、何度やっても同じ状況になります。最初はCPUの負荷か何かと思って、SynScanの再起動、SharpCapの再起動、最後はPCまで再起動でもダメでした。

実はSharpCapとSynScan Proとの接続不安定な時は、SynScan Proを管理者権限で立ち上げると安定になるという情報があります。知り合いが試してみて、管理者権限での起動がものすごく効いて、実際にかなり安定になったという例を聞いています。ですが、今回の場合は管理者権限も効果がなく、状況は変わりませんでした。

次に一眼レフカメラが原因かと思って、ASI294MC Proに変えたり、さらにはPCが何か原因の可能性があるとも思い、別PCを持ってきて試しましたが、いずれの場合も最初はプレートソルブまで含めて順調なのに、長時間露光(180秒)の撮影の途中でSynScanとの接続がダメになり、その後はPCを再起動するまでは何をやってもダメです。ダメというのは、SharpCapからSynScan Proになんらかの信号を送った時に接続エラーが表示されるということです。PC再起動後はまたプレートソルブもできるようになりますが、長時間撮影開始でダメになると言うのを何度か繰り返しました。というわけでこの晩はここで諦めましたが、これまで電視観望で同じような状況にはしていたので、もしかしたら長時間露光がダメったのかもしれません。電視観望ではせいぜい10秒露光が最長ですが、今回は撮影ということで3分露光にまで伸ばしています。長時間露光が何か負担になっているのかもしれません。

06
長時間露光を開始すると毎回こんなエラーが出てしまします。 


昼間に原因究明

次の日、昼間に今一度、全く同じ設定で試しましたが、なぜか今度は何をやっても安定します。カメラを変えようが、PCを変えようが、昨晩のトラブルは何だったんだというくらい、どうやっても不安定な状況を再現できません。3分の長時間露光でも全く問題がないです。一体何が問題なのでしょうか?

違うことといえば、昼間で実際に星が見えないので、プレートソルブはしていませんし、ライブスタックも星の位置合わせをせずに単に重ねていっているだけす。


再び夜に試して光明が!

その晩、昼間の状態を再現すべく、試しにプレートソルブなしでマニュアルアラインメントしてから長時間撮影してみたら、何と完全安定です。その後すぐに曇ってしまったので、プレートソルブありで不安定になるかどうかのテストができませんでしたが、長時間露光そのものは大丈夫ということはわかりました。ディザーも実際一回動かすことができて「望遠鏡制御」のところの「方位」も「高度」も数値が変わったのですが、肝心のディザー前後の撮影画像比較での動きがあったのかなかったのか、あったとしても移動量の設定値が小さ過ぎたようで、確証が得られるほどの揺れは確認できませんでした。

雲でこれ以上試せないので、この日はこれで撤収ました。今の段階でディザーが出来ているかどうかの判断はできていません。でも見込みはありそうです。今後もテストを続けたいと思います。

(2024/8/17追記: ディザー撮影成功しました!)



日記

あまりブログ記事にならない細かいネタも多いので、久しぶりに日記としてまとめて書いておきます。

お盆の季節になりました。8月7日の富山環水公園の観望会に引き続き、8月10日も高岡市のおとぎの森で観望会がありました。2週連続になります。初参加の観望会で、これまでは他の予定と重なることも多く参加できてませんでしたが、今年はお盆の休暇の初日で少し余裕もあるので参加することに決めました。機材は先週とと同じく電視観望で、20時20分頃に月によるスピカ食があるとのことで、外部モニターも用意して大勢で見ることができればと思っていました。夕方のまだ明るい頃は月もが見えていたのですが、暗くなり始めて機材も準備もできたころには空一面が曇ってしまい、それ以降は星も明るい月さえも、カメラを通した電視観望でも全く見えないくらいの雲になってしまいました。お客さんは100人以上と、かなりたくさん来てくれていたので、とても残念でした。もうこうなるとどうしようもないので、天文の話やクイズをずっとしていました。一番受けたのはASI294MCで暗闇が見えるかどうかで、カメラの周りには子供達が群がっていて画面に映る自分の姿を見て大騒ぎでした。

次の日の8月11日は自分の出身高校の天文部の合宿に参加させてもらいました。場所は奥飛騨で、富山からだとそう遠くない距離なので気軽に参加できました。昨年の12月にも豊田市元気村の合宿にも参加させてもらったのですが、それに引き続きとなります。年末の合宿もそうでしたが、残念ながら今回も天気には全く恵まれず、星一つ見ることもできませんでした。なんでもコロナ後にやっと復活した1年前の同じ場所での合宿の時は台風で、ここ最近の合宿は天文部としては非常に厳しいとのことでした。私は日を跨ぐ前くらいに帰路につきましたが、次の日は神岡の道の駅にある「カミオカラボ」まで行くそうです。でも夜の天気予報はあまり良くありません。ペルセウス座流星群なので、少しでも見えることができればいいのですが。

実は私も奥飛騨まで行く途中にカミオカラボに寄っていきました。
IMG_9803

IMG_9810
こんな面白い写真が撮れます。


とにかく最近は天気が全然ダメです。昼間はまだ比較的晴れているのですが、夜になるとドン曇りというパターンです。ペルセウス座流星群も自宅から雲の薄いところで1個だけ見ましたが、とても撮影とかするレベルの天気ではないです。せっかくの休暇でまだ月が昇っている時間もかぎられているので、なんとかお盆中に長時間撮影をしたいのですが、天気予報を見る限りまだしばらくは難しそうでうす。


「電視観望技術を利用して天体写真を撮影してみよう」ですが、前回までに機材の準備はある程度整いました。今回は、実際に動作させて、画面に天体を映してみます。




ここで準備するもの

今回必要なものは主に電気関連で、
  • ノート型などのWidows10以上が走るパソコン (PC)
  • PCとメインカメラUranus-C Proを繋ぐUSB3.0以上の、Type-Cケーブル
  • PCとガイドカメラNeptune C-IIを繋ぐUSB3.0以上の、Type-Bケーブル
  • PCと赤道儀を繋ぐ付属のUSB2.0、Type-Bケーブル
  • PCに複数のUSB端子がない場合は、USB増設アダプターなど
  • DC12V出力があるバッテリー
  • バッテリーと赤道儀を繋ぐDC電源用ケーブル(単3電池駆動なら必要ありません)
  • バッテリーとメインの冷却カメラを繋ぐDC電源用ケーブル
  • バッテリーに12V端子が1つしかないなら、二股ケーブルなど
などでしょうか。これだけでも結構大変ですね。

その他、あると便利なものですが、
  • テーブルなど、PCやその他のものを置いたりできる台
  • 椅子
などです。

IMG_8985


テーブルはホームセンターなどで適当なものを見つければいいでしょうか。コンパクトなものをさがせばいいでしょう。

椅子も適当なのでもいいですが、私は座面の高さを変えることができる作業用の椅子を使っています。具体的にはルネセイコウの作業用の椅子です。
 

少し高価ですが、望遠鏡で星を見るときに高さ調整できるのでとても使い勝手が良く、自宅でも玄関にいつも置いてあり、遠征には車に積んで使っています。


ソフトウェア

PCはWindows10以降が動くものなら問題ないでしょう。ソフトウェアは
などが必要になります。それぞれダウンロードしてインストールしておきます。ASCOMプラットフォームはインストール時に、各種ランタイムライブラリーなどのインストールを要求されるかもしれませんので、指示にに違ってください。

SharpCapは無料でも使えますが、有用な機能の多くの部分が制限されています。年間2000円なので、できれば有料版にアップグレーとしておいた方が有利です。しらはいはPayPalが楽でいいです。

カメラのドライバーがないと、SharpCapからカメラが認識されません。忘れないようにインストールしておいてください。同様に、PHD2からPlayerOneのカメラを使うときは、ASCOM経由で使うことになるので、PlayerOneカメラ用のASCOMドライバーをインストールすることも忘れないでください。詳しくはここを参照してください。



機材の設置

機材を夜に外に設置します。空が十分に開けた場所を探しましょう。周りに明るい光があると、撮影時に映り込むこともあるので、できるだけ暗い場所を探しましょう。街の大きさにもよりますが、住宅街程度でも、近くに街灯などがなければおそらく大丈夫でしょう。

まず最初に、すべてのケーブルを接続しましょう。できれば機材の設置も、ケーブルの接続も、できれば暗くなる前の明るいうちに済ませておいた方がいいかと思います。ただ暗くならないと、周りの街頭の明るさなど、わからないこともあるので、事前にロケハンで暗くなる時も合わせて見ておいたほうがいいかもしれません。

今回ケーブルは5本あります。USBが3本で、DC12Vが2本です。PCの電源ケーブルも必要なら6本でしょうか。それぞれ絡んだりしないように接続します。特にカメラに繋ぐUSBケーブルと、冷却カメラに繋ぐ電源ケーブルは、撮影中は時間と共に赤経体が動いていくので、引っ張られたり、噛んだりしないように注意が必要です。ケーブルタイやスパイラルチューブなどを使い、あらかじめまとめておくと良いかもしれません。

赤経体は鏡筒部が上になるような回転方向に、赤緯体は鏡筒先端が一番上になるような「ホームポジション」にして、鏡筒先端が北向きになるような方向で設置します。その際、方角はスマホなどのコンパスアプリを使うのが便利です。アプリによっては「磁北」ではなく「真北」を選べるものがあります。「磁北」は天体観測に必要な「真北」から7度程度ずれているので、もし「真北」が選べるならそちらを選んでください。スマホを赤道儀本体に真っ直ぐになるような面でくっつけて調整するといいでしょう。正確な方向はのちに「極軸合わせ」でするので、ここでは数度の範囲で設置できれば十分です。

三脚は赤道儀がざっくりでいいので水平になるように、足の長さを調整します。足の長さはできるだけ短くしておいた方が、安定になりますので、むやみに伸ばさないようにしましょう。


SharpCapの立ち上げと極軸合わせ

まずはPCとガイドカメラ、PCと撮影用の冷却カメラがUSBケーブルで接続されていることを確認し、PCの電源を入れ、SharpCapを立ち上げます。

SharpCapから最初はガイド用のカメラを接続します。SharpCapの上部のメニューの「カメラ」から今回はガイドカメラとして使っているNeptune II-Cを選択します。
01_SharpCap_Neptune2

画面がカメラ画面に切り替わったことを確認します。明るいライトなどをカメラ前にかざしてみると、画面に何か見えるはずです。何も反応がなく真っ暗な場合は、レンズキャップを外し忘れていないか確認してみてください。

SharpCapの右側のパネルの「カメラコントロール」から、「露出時間」を800ミリ秒とか、1000ミリ秒程度にして、「アナログゲイン」を400程度の高めにして、ガイドレンズのピントを合わせてみます。すでに鏡筒が北の空を向き、北極星の近くを見ていると思うので、うまくピントが合ってくると星が見えてくると思いますが、その星の一つ一つが一番小さくなるようにピントを調節してください。

もし星が暗くてみにくい場合は、アナログゲインをもっと上げるか、右側パネルの「ヒストグラムストレッチ」で雷マークのボタンを押してオートストレッチしてみてください。暗い星も一気に見やすくなると思います。ただし、このオートストレッチ機能はSharpCapの有料版のみで使える機能なので、無料版を使っている場合は、手でこのオートストレッチ相当のことをしてやる必要があります。具体的には、ヒストグラムストレッチ画面に3本の黄色の縦の点線があるのですが、そのうち左側と真ん中の線を移動して、ヒストグラムの山を挟むようにしてやります。

ピントが合ったら、そのままの状態にして、次の極軸合わせに移ります。


極軸合わせ

まず前提条件として、この極軸調整機能も先ほどのオートストレッチと同じで、SharpCapの有料版のみで使える機能です。無料版では使うことができないので、別途SA-GTi付属の極軸望遠鏡などで極軸を合わせる必要があります。でも、極軸望遠鏡で合わせた精度は、SharpCapで合わせることができる精度に遥か及ばないので、SharpCapの有料版を購入することを強くお勧めします。2024年2月現在、年間2000円です。極軸調整だけのためこれだけ払っても十分お釣りが来るくらい、SharpCapはとても強力です。

というより、電視観望で撮影をするためにSharpCapをフルで使うので、あらかじめ有料版にしておく必要があります。そうでないと、便利な機能のかなりの部分が使えなかったり、撮影画像に透かし文字が入ったりすることがあります。

さて、実際の極軸調整を始めましょう。鏡筒はホームポジションに戻してあるので、ある程度北極星の方向をむいているはずです。SharpCapが立ち上がり、ガイドカメラはつながっていますね。この時点ではまだ赤道儀の電源を入れる必要はありません。

まずは準備です。
  • SharpCapのメニューの設定から「極軸合わせ」タブを選んでください。「大気差を補正する」を選択し、インターネットに繋いだ環境で「タイムゾーンから自動的に推測する」を選びます。これがうまくいかない時は「以下の位置情報を使用」を選び、マニュアルで入力する必要があるのですが、経度緯度が何度何分何秒の形式になっていなくて、何点何々度形式なので、正確な値を入れるのに苦労します。まあ、そこそこ合っていれば多少ずれていてもたいしたずれにはならないので、必要なら適当に何点何度くらいまでは入れておきましょう。

実際の曲軸合わせです。

1. 「ツール」「極軸あわせ」から「極軸調整」を選択します。
2. その時のカメラの露光時間は800ミリ秒とか1.6秒くらにしてください。ゲインは高めの400くらいでいいと思います。この時点で、右画面のヒストグラムで雷ボタンを押してオートストレッチをしておくと、星が画面に明るく見えるようになります。
3. 下の「Next」ボタンを押します。
02_polar1

4. 星の位置の認識がうまくいき、位置認識の計算が終わると、下の「Next」ボタンが緑色になるので、押します。
02_polar2

5. 赤経体のネジを緩めて、赤経体が動く状態にして、手で大まかに90度くらい回転させ、鏡筒が赤道儀の横側にくるようにして、ネジを固定します。
IMG_8963

6. 再び星の認識がうまくいき、位置認識の計算が終わると、下の「Next」ボタンが緑色になるので、押します。
02_polar6

7. ある星から長い黄色の線が出ているのでl、赤道儀の上下(ピッチ)方向調節ネジと、横(ヨー方向)方向調整ネジを使って、その線が短くなっていくように、調整します。
02_polar7

8. 線が短くなると同時に、画面右下の「Polar Align Error」の数値が小さくなっていくので、画面を見ながら線の長さが最短近くになるまで合わせ込みます。数値が1分角以下になっていれば十分です。
02_polar8

これ以降は、赤道儀を蹴飛ばしたりしないでください。万が一赤道儀に何か当たって位置がずれてしまったら、この極軸合わせからやり直します。


メインカメラの接続と、ピント出し

いよいよ、メインのカメラの画像を見てみます。SharpCapのメニューの「カメラ」からUranus-C Proを選びます。
01_SharpCap_Uranus

方角的には真北を向いているので、星は入っているはずですが、ピントがずれていて星はほとんど見えていないと思います。

鏡筒のフォーカサーの上についているピント固定ネジが緩んでいることを確認して、フォーカサー左右についているピント調節ネジを、SharpCapの画面を見ながら回してみます。SharpCapの設定は、露光時間は800ミリ秒とか、1000ミリ秒くらいでいいでしょう。アナログゲインは400程度の高めの値にします。

画面が真っ暗のままで全然見えない場合は、鏡筒の先のキャップを撮り忘れていないか確認してみてください。

最初は左側のピント調節ネジで粗動でざっくり合わせてみて、画面に出る星が小さくなってきたら、SharpCapのメニューと同じ段の右の方にある「ズーム」を100%とか200%にして星を拡大してピントを合わせやすくしてから、右側のピント調節ネジの微調整ネジで調節するといいでしょう。

ピントが合ったら、フォーカサーの上部のピント固定ネジを締めておくと、これ以上ピントがずれなくなります。でも次回ピント調整する時は必ずこのネジが緩んでいることを確認してから調整するようにしてください。ネジを締めたまま調整しようとすると、最悪壊してしまいます。

さて、実際にピント合わせをやってみるとわかるのですが、うーん、かなり揺れますね。三脚の頭を手で回転方向に捻ってやると結構動きます。やはり評判通り三脚が少し弱いようです。これだとピント調整する時に鏡筒に触れるだけで揺れ過ぎてしまい、かなり合わせにくいです。少しでも揺れを抑えるために、とりあえず赤道儀と三脚の間に入っているハーフピラーを外すことにしました。

IMG_8984

さらにですが、三脚の足の赤道儀に近い根本のネジを一本につき両側から2箇所、合計6箇所増し締めします。実際、いくつかのネジはかなり緩かったです。

これだけでも多少揺れは収まるので、ピント調整の際も、撮影の際も有利になると思います。


SynScan Proとの接続と初期アラインメント

赤道儀SA-GTiのコントロールパネルの赤いスイッチを入れて、電源をオンにします。

次に、アプリとの接続です。接続は、WiFi、bluetooth、シリアルと3種ありますが、長時間の撮影なので安定性を考えて、USBケーブルを使ったシリアル接続とします。

03_Synscan_net

ちなみにですが、iPhoneのSynScan Proを最新版にしたら、iPhoneからのWiFi接続では、「赤道儀モードか経緯台モードかの判断がつかない」とというエラーが出て、接続できませんでした。旧バージョン(1.19)のSynScan Proだと大丈夫なので、iPhone版の最新版にアップデートする際は注意してください。PCからUSBケーブルで接続した場合は、最新版のSynScan Proでも問題なく接続できました。

接続ができたら、いくつか設定です。
  • 高度制限が入っていると、高いところの天体を導入などできなくなります。「設定」「高度制限」から「Upper Go To Limit」を90度まで上げてください。
  • 緯度経度情報を忘れずに入れてください。PCと接続する場合は、自動的に情報が取れない場合が多いです。私はiPhoneのコンパスアプリを開いて、緯度経度情報を得て、それを手入力しています。

最初にやるべきことはこれくらいでしょうか。これらは最初に一度やればいいことで、大きく撮影場所を移動しなければ、緯度経度情報もいじる必要はありません。逆に、場所を移動して、最初の導入でうまくいかない場倍は、この緯度経度情報が間違っていないか疑ってみてください。


初期アラインメント

最初にやることは、SynScan Proでの初期アラインメントです。初期画面から「アラインメント」で「1スターアラインメント」を選びます。他にも何種類かのアラインメント方法がありますが、赤道儀の極軸がしっかり合わせてあること、次にプレートソルブで導入の補助をするので、1スターアラインメントで十分です。
10_synscanpro_alignment

星はターゲットのオリオン大星雲の近くの「リゲル」を選択しましょうか。
11_synscanpro_alignment_rigel

アラインメントを開始すると、赤道儀がターゲットの方向に向かって動き出します。SharpCapの画面で見ていても、星が動いていく様子が見えると思います。赤道儀が止まったら、SynScan Proは下のような画面になります。
03_Synscan_done


SharpCapの画面を見てみましょう。リゲルは画面の中に入っていますでしょうか?一つだけ明るい星ですので、入っていればすぐにわかるのですが、大抵の場合は画面の中に入ってこないと思います。でもここで落ち込む必要はありません。解決策はきちんとあります。


プレートソルブによる導入補助

次にSharpCapに最近標準で搭載されるようになったプレートソルブ機能を使って、リゲルを自動で画面中央まで持って来ることにしましょう。

まず下準備です。SharpCapのメニューの「ファイル」からSharpCapの設定画面を開き、「プレートソルブ」タブを選びます。

04_SharpCap_setting_platesolve

  1. 「プレート解析エンジン」のところで「SharpSolve(SharpCap's built in plate solver)」を選びます。もしこの選択肢が出てこない場合は、SharpCapのバージョンが古いことが考えられますので、最新版のSharpCapをダウンロードしてインストールしてください。
  2. 焦点距離は自分が使っている望遠鏡の値を正しく入れてください。
  3. 最後に一番下の「適用」もしくは「OK」を押します。

次に、同じくSharpCapのメニューから設定に行き、「ハードウェア」タブのところに行きます。
03_SharpCap_setting_hardware
  1. 「マウント」の「ハードウェアの選択」のところで、接続したい赤道儀を選びます。今回はSA-GTiをSynScan Proで操作するので「SynScan App Driver」を選びます。
  2. 一番下の「OK」を押します。
  3. SharpCap画面の右パネルの「望遠鏡制御」の「接続済み」のところの四角を押します。ASCOMを介して接続するのですが、10秒くらい待ってうまく接続されると数字などが出てきて、赤道儀がどちらを向いているかSharpCapで認識できるようになります。
01_SharpCap_ok_cut

これでだいたい準備は完了です。

実際にプレートソルブを走らせてみましょう。

1. 露光時間を3秒程度にしておくといいでしょう。短すぎると星の数が少なくて、長すぎると星が流れてしまってうまくいかないことがあります。
2. SharpCapメニューの「ツール」から「プレートソルブ後再同期」を選ぶか、右側パネルの「望遠鏡制御」の方向矢印の左下の方角マークのようなアイコンを押します。
04_platesolve

3. 今見ている画面から実際に見ている方向を計算して、赤道儀が認識している方向とどれだけ違うかの差を認識して、その差を赤道儀にフィードバックして、赤道儀が見ていると思っている方向に向きを変えて合わせてくれます。
4. うまく行くと、下の画面のようにリゲルが真ん中に来て、上部の緑色のところにプレートソルブが成功したことが表示されます。今回の場合2.72度ずれていたそうです。
06_platesolve

うまくいったら、PC上で走っているSynScan Proのアラインメント完了の意味で、星マークのボタンを押します。

その後は、SynScan Proを使って、自由に目標の天体を導入してみましょう。例えば今回の目標はオリオン大星雲なので、SynScan Proの初期画面から「ディープスカイ」を選びます。
09_synscanpro

オリオン大星雲はメシエ天体の42番目なので、「メシエ」を選び、「042」と入力し、「導入」を押します。うまく行くと、オリオン大星雲が画面に入ってくるのが見えるでしょう。

05_intro

もし画面内に入らなかったりした場合は、再びプレートソルブを走らせることで画面に入れることもできます。

今回は導入完了のここまでとします。次回は実際に撮影してみます。










SharpCapのバージョン4.1.11226 (10月30日) 以降から、独自のビルトインのプレートソルブ機能「SharpSolve」が搭載されました。これでもう、外部のプレートソルブソフトをインストールする必要がなくなります。不安定だと思われていたトラバースを使って試してみたので、記事にしておきます。


設定方法

使い方ですが、 メニューの「ファイル」SharpCapの設定画面を開き、「プレートソルブ」タブを選びます。
01_PS_setting
  1. 「プレート解析エンジン」のところで「SharpSolve(SharpCap's built in plate solver)」を選びます。もしこの選択肢が出てこない場合は、SharpCapのバージョンが古いことが考えられますので、今一度バージョンが4.1.11226より新しいかチェックしてみてください。バージョン番号はSharpCap画面の一番上のところに表示されています。
  2. 焦点距離は自分が使っている望遠鏡の値を正しく入れてください。
  3. 解析範囲が視野角で0.5度以上の場合はもうこれでOKですが、もし0.5度以下の視野で解析したい場合は、インターネットに繋いだ状態で「インデックスファイルのダウンロード」を押してください。ネットの速度にもよりますが、1分程度でダウンロードが終わり、その後「0.25度」が選択できるようになります。
設定はせいぜいこれくらいです。実際に試してみましょう。


SharpSolverのテスト

今回架台は経緯台のトラバースで試しました。以前ASTAPやASPSでプレートソルブ試した時に、AZ-GTiに比べてトラバースだと明らかに不安定なことがあり、その後コントローラーソフトのSynScan Proを最新版にしてAZ-GTiもトラバースもかなり安定になったという経緯があります。このトラバースで動くなら、おそらく他の架台だとほぼ問題なく動くでしょう。

適当に初期アラインメントをします。画面に星が表示されますが、最初の導入なのでおそらく方向は正確ではないはずです。今回もベテルギウスを導入したつもりが、全然画面内には来ていません。試しにまずはここでASTAPを実行してみました。

ASTAPでの恒星の認識はうまくいくときはうまくいくのですが、たまに(方角や、星の見え方によって)全くうまくいかない時があります。こんなときは代わりにプレートソルブエンジンをASPSに切り替えてその場を凌いでいたのですが、ASPSは解析するのに時間がかかってじれったいのと、ASPSでもうまくいかないことがあって、そんな場合は見ている方向をわざと変えてやって認識させたりしていました。

このSharpSolveはかなり優秀みたいで、今回たまたまASTAPでうまく認識できなかったのですが、SharpSolveに変えたら全く問題なく認識できました。しかも認識の速度がかなり速いです。ASTAPもそこそこ速いと思っていましたが、SharpSolverはそれ以上の速度です。

うまくいくと以下のような画面になり、何度くらいずれていたがが出てきます。
02_PS_setting_success

今回は2.23度ずれていたとのこです。赤道儀や経緯台をSharpCapに接続しておいて、このずれを架台にフィードバックして課題の向きを補正することで、架台が今向いていると思っている方向と、実際に向いている方向を自動的に一致させます。

ちなみに、「プレートソルブ」という単語の意味は、「今見いている視野の方向を計算して求める」ということに過ぎず、架台の方向を補正するという意味は含まれていませんが、最近では「方向の補正」まで含めてプレートソルブという単語で表すことが多くなってきていますね。


まとめ

今回はSharpCapの新機能「SharpSolve」でプレートソルブを試しましたが、安定性、速度はこれまでのプレートソルブソフトを凌駕しています。トラバースでも全く問題なく動いたので、かなりのものでしょう。これでトラバースでの電視観望が完全に実用レベルになったのかと思います。

まだSharpSolveを試していない方は是非とも試してみてください。


めだかと暮らすひとさんが、SharpCapでのライブスタック撮影で、縞ノイズに悩まされているようです。



ここではできる限り簡単な解決策の一つとして、ガイド無しのディザー撮影のやり方を示したいと思います。


縞ノイズの原因

 最近電視観望というと、リアルで見ると言うより、ライブスタックを使った簡単な撮影を指すことも多いようです。めだかと暮らすひとさんも、最近やっとAZ-GTiを赤道儀モードにして、視野回転のない追尾を実現したとのことです。でもまだガイド鏡もなく、ノータッチガイド(死語?)での撮影で、電視観望的にライブスタックを利用して、最後にスタックされた画像を処理しているとのことです。問題は、赤道儀の極軸が合っていないとライブスタックをの間に画面が流れていって、縞ノイズができてしまうことです。これは例え極軸が合っていたとしても、またガイド撮影をして画面が流れないように頑張っても、機材のたわみなどがごく普通に存在するので、1時間オーダーの長時間の撮影では縞ノイズが出ることがよくあります。

縞ノイズの原因は、ホットピクセルやクールピクセルなどの、センサーのある点にいつも存在する異常ピクセルが、画面の流れとともに全て同じ方向に動き、縞のようになることです。


縞ノイズの解決策

縞ノイズ軽減する方法の一つは、ダーク補正することです。SharpCapには簡単なダーク補正方法が搭載されていて、右側パネルの「ダーク補正」の「Hot and Cold Pixel Remove」を選び、簡易補正で済ませます。これはホットピクセルとコールドピクセルを簡易的に取り除く機能ですが、つい最近搭載されたもので、これまでは「Hot Pixel Removal Only」とホットピクセルのみの除去しかできませんでした。以前示したSharpCap上でダークファイルを撮影してリアルタイムダーク補正することもできますが、

ダークファイルでの補正だと基本的にコールドピクセルの補正はできないはずなので、簡易的ですが「Hot and Cold Pixel Remove」の方が有利な可能性が高いです。このオプションががある場合とない場合では数のような違いがあります。
comp
左がオプションなし、右がオプションありです。左の画像を見ると、赤とか緑の輝点が下向きに伸びているのがわかります、右もすごくよく見るとまだ輝点が残っているのがわかりますが、ほとんど目立っていないのがわかります。

それでもダーク補正では縞ノイズを軽減するだけで、完全に消すことはできません。一番確実な方法は、ディザー撮影をすること。ディザーというのは、長時間撮影の途中でわざと画面を数ピクセルとかずらして、異常ピクセルの影響を散らしてやることでかなり軽減できます。今回の問題はこのディザー、一般的にはガイド撮影と込で実現されるので、ガイド撮影をしていない限りディザーはできないと認識されているだろうことです。めだかと暮らすひとさんみたいに、ガイドをしていなくても縞ノイズを解決したいという要求はきっとあることでしょう。


ガイド無しディザーの方法

その方法ですが、前提としてSharpCapで経緯台、赤道儀などが接続されていて、SharpCapからコントロールできることです。赤道儀でなくてもコントロールできるなら経緯台でも構いません。今回はトラバースで試しました。トラバースはAZ-GTiのミニチュア版とも言える、自動導入、自動追尾機能がある経緯台です。

設定方法です。まずメニューの「ファイル」の「SharpCapの設定」の中の「ガイディング」タブで、下の画面のように「ガイディングアプリケーション」を3つ目の「ASCOMマウントパルス...」を選びます。

07_guide_setting
「ディザリング」の中の「最大ディザステップ」はある程度大きくしておいた方が効果が大きいです。私は「40」まで増やしました。値が小さいと効いているかどうかもわかりにくいので、最初多少大きめの値をとっておいて効果を確認し、大きすぎたら減らしていくがいいのかと思います。

その後、ライブスタックの下部設定画面の「Guiding」のところで、最初のチェック「Monitor Guideng Application...」をオンにします。「Automatically DIther」をオンにし、「Dither every:」でどの頻度ディザーするのか選びます。撮影の場合は「Frames」を選んで、何枚撮影することにディザーをするかを選んだ方がいいでしょう。実際には数分に1回くらい散らせば十分なので、今回の1回の露光時間が20秒とすると、10枚に1枚、3分ちょっとに1回ずらすことにしました。
05_dither

するとライブスタックで10枚スタックするごとに、下の画面のように上部にの緑色のバーが現れて、ディザーが実行されます。
06_dither

実際にディザーの効果があるか確認してみましょう。30フレーム分を動画にしてみました。輝点が右下に進んでいきますが、その途中で一度カクッと下に降りて、またカクッと上に上がるのがわかると思います。でもまだずれが少ないので、もっと大きな値でも良かったかもしれません。
Blink

実際のSharpCap上のライブスタック画面では、ディーザーが何度が進むと、最初に見えていたミミズが散らされてどんどん薄くなっていきます(すみません、画像を保存するのを忘れてしまいました)。

ただし、今回は雲がすぐに出てきてしまい、実際の長時間で縞ノイズが見えたわけではないので、ディざーなしで縞ノイズが出て、ディザーをオンにして縞ノイズが消えることを確認すべきなのですが、今回はとりあえず手法を書くだけにしました。後日確認ができたら、また結果を追加したいと思います。


ついでの画像処理

最後に、今回撮影した画像2種を仕上げてみました。FMA135にCBPを付け、Uranus-Cで撮ってます。課題はトラバースなので小さくて楽なものです。ただし経緯台なので星が回転もしくは流れてしまうので長時間露光はできず、1フレーム当たり20秒露光の露光で、ゲインは高めの300としています。共に、かなり淡いところまであぶ出していますが、上の動画でもわかりますが、少なくとも経緯台でガイド無しなので、撮影時にかなり流れてはいるのですが、これくらいの露光時間ではかなり炙り出しても縞ノイズは出ていないことがわかるかと思います。


M42: オリオン大星雲
オリオン大星雲はライブスタックで30フレームの計600秒、ちょうど10分経った時に保存したfitsファイルから画像処理しました。SharpCapの時点でスタックまで終わっているので、かなり楽です。星雲本体周りの分子雲も少し写っています。
Stack_16bits_30frames_600s_21_35_52_crop_SPCC_ABE4_BXT_MS2

向きを変えて星雲部分を切り取り。
Stack_16bits_30frames_600s_21_35_52_crop_SPCC_ABE4_BXT_MS_cut2

口径3cmの高々10分でこれならまずまずではないでしょうか。


M31: アンドロメダ銀河
2枚目はM31、アンドロメダ銀河です。こちらは途中雲がかかり、ライブスタック画像ではかすみがかってしまったので、別途1枚1枚保存してあったRAWファイルから、PixInisightでスタックして処理しました。トータル露光時間はM42よりさらに短く、14枚でわずか4分40秒です。
3856x2180_EXPOSURE_20_00s_ABE4_SPCC_BXT_GHT_HT_bg_rot
こんな短い時間でも、情報としてはある程度残っているものです。さすがにかなりギリギリ出しているので、どうしてもノイジーなのは否めません。


まとめ

今回は、ガイド無しでディザーする方法を示しました。まだ実際の長時間撮影はできていないので、またいつか試したいと思います。

曇りがちで十分な撮影時間をかけることができませんでしたが、それでも口径3cmでもそこそこ情報は残っていて、ある程度画像処理すれば十分見えるくらいにはなることがわかりました。途中で気づいたのですが、ライブスタック時にBrightnessフィルターを入れると、雲が入った時の画像のスタックを回避できるので、そういったことも今後試していきたいと思います。

こうやって見ると、小さなトラバースでも撮影に耐え得るくらい、十分に安定していることがわかります。



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