この記事は「胎内星まつり2023参加記(その2): 土曜朝から夕方位まで」の続きの記事になります。
胎内星まつり2日目の土曜、徐々に日も暮れてきてこの日のメインのSWAT + AZ-GTI = 「SWAgTi」のデモの準備を始めます。
SWAgTiのコンセプトは、追尾精度のいいSWATを撮影時のみ使い、それまでの自動導入とかプレートソルブなどの高度な操作はAZ-GTiに任せてしまうということです。撮影までは、精度は良くないけれどもAZ-GTiの高度な機能で楽をして、撮影になったらAZ-GTiの追尾を切ってSWATの高精度追尾に切り替えるという、AZ-GTiとSWATのいいとこ取りをしてしまおうという魂胆です。
まずお詫びですが、以前の記事で予告してあったEOS 6Dでのプレートソルブのデモは全く出来ませんでした。というよりも、6Dまでもたどり着きませんでした。
そもそも、星まつり会場に来てSWAgTiの展示に興味がある人たちと話してみると、まずは単純に動作しているところを見たいということでした。確かにそれはそうかと思い、まずはこれまでやってきた、CMOSカメラでの極軸合わせから、普通にCMOSカメラで見ながらAZ-GTiで導入し、撮影するところまで見せてから、余裕があったら6Dにすればいいやとか、気軽に考えていました。ところが実際には、その一番最初の極軸合わせのところからつまづきまくりです。
極軸合わせはSharpCapを使ってやります。鏡筒がタカハシのFS-60CB+マルチフラットナーなので焦点距離が370mm、カメラがASI294MCでフォーサーズサイズなので、北極星周りで十分な視野があるはずです。実際、自宅ではついこの間試して、これで何の問題もなくうまくいきました。でも会場で試しすと、全く全然位置を特定しないのです。大気補正しているので緯度経度情報がおかしいと思い、改めて正しい値を入れてみても、大気補正をオフにしてみてもうまくいきません。しかたないので、普段撮影時に極軸合わせに使っているガイド鏡を持ってきたのですが、それでもうまくいきません。
確かに、まだ幾つか問題となりそうなところはあります。まずは、SWATの下についている微動雲台を外しました。構造的に一番弱そうなところです。というのも、SharpCapで800ms以上の露光では恒星がボヤーっとしてしまい、露光時間を短くするごとにキリッと締まります。これは細かく揺れているからに他なりません。微動雲台を外すと、何度か位置特定しましたが、安定ではなく結局は状況は改善せず。
次の問題点はカーボン三脚の足を伸ばしすぎていることです。普段私は撮影時は安定化のために基本的に三脚は最短にします。この日はデモだったので、三脚の足をかなり伸ばしています。でも足を縮めると北極星が見えなくなることに気づきました。そもそもブーステントの南側でデモをしていたのですが、北極星を見るためにテントとテントの隙間を狙っていたのです。テントの北側に持っていくことも考えたのですが、今度は北側の木が邪魔しそうです。この時点で、極軸を取ることは諦めました。
とりあえずそこそこは北の方を向いているとして、構わずにAZ-GTiで初期アランメントをしてしまいます。画角的にはアルタイルは入りそうなので、とりあえずアルタイルです。極軸がずれているので、最初の導入では当然アルタイルは入ってきません。そこで、SharpCapでプレートソルブです。
AZ-GTiへの同期までだとうまくいかなかったので、最近やっている初期アラインメント時の最後の方の「マニュアルで合わせてください」というようなところで、SharpCapのプレートソルブの4つのオプションの一番最後の「オフセットのみを合わせる」とかいうので合わせます。この4つ目のオプションは、2つ目のオプションの「同期までする」というのが動かない場合でも、かなりの確率で動くことがわかってきたのですが、今回もその通りでした。
プレートソルブ機能を使って初期アラインメントもうまくいくことまで示せました。次は目標天体の導入です。今回は近くのM27としました。近いのでこれは確実に画面内に持ってこれるのですが、「一回で入るのですか!?」と驚きの声をあげる方もいらっしゃいました。天体の導入にはやはり苦労されている方も多いと思いますが、確かに鬼門の一つなのかと思います。
導入時は800msくらいの露光時間で、星の動きもわかるくらいのスピードでやっていたのですが「導入する時点でもう星雲も見えてしまうのですね!?」という驚きの声もありました。M27はそこそこ明るいので、800msもあれば動いている状態でも星雲本体の軌跡が残るくらいわかってしまいます。
導入後は撮影のために、試しに露光時間を10秒、30秒、1分、3分と段階的に伸ばしていきます。今回は3分では星像が大きく流れてしまいました。自宅での実験ではこの鏡筒と、さらにピクセルサイズの小さいUranun-Cでも、3分露光で100%の歩留まりでした。今回3分で大きく流れるのは、上に書いたように極軸が全然あっていないためです。1分では見た目良さそうでしたが、拡大するとやはり少し流れているのがわかります。30秒では完全に点像になったので、30秒で撮影を開始することにしました。
ここで、AZ-GTiの(電源を切るとかではなく)追尾モードをSynScan Proで切り、自動追尾をSWAT側た担当するように切り替えます。SWATは電源を入れる際に大きくキックして、しばらくすると元の位置に戻ってくることがわかっているので、その様子を実際に見てもらいました。これの解決策としては、SWATの電源をあらかじめ入れておいて、追尾モードを「DEC」に合わせるとずっと止まってくれていて、追尾をAZ-GTiから切り替えるときに追尾モードを「STAR」にするとキックなしで開始することができます。
それでもAZ-GTiからSWATへの切り替えのタイムラグなどで目標天体が画面中央からずれることがありますが、AZ-GTiの追尾だけ切っているのでモーターはまだ電源が入って生きています。SynScan Proから矢印て向きを操作することもできます。なのでここでは、AZ-GTi側を使って天体の位置を微調整します。追尾はすでにSWAT、画家の微調整はAZ-GTiというこれもまたいいとこどりです。
撮影が始まってからは、そのまま放っておきます。質問タイムや、一般の方に「星雲が見えてますよー」とか声をかけながら、ライブスタックで見えているM27をネタに、会話を楽しみます。
今回の星まつりですが、星マニアばかりではなく一般の方がかなり多い印象でした。特に夜は結構星が見えていたので、地元の方が多く参加されたのかもしれません。ただ、晴れていたかというとそうでもない印象で、少なくとも肉眼で見える星の数は大したことなく、例えば天の川方向も(会場が明るかったせいもあるかもしれませんが)ほとんど星が見えなかったです。一応35mmレンズとASI294MCの広域電視観望セットも用意していたので、早い時間帯は天の川を写したりもしていました。そのうちこちらも、雲越しの天の川に変わっていき、最後は雲しか見えなくなってしまいました。
M27の撮影を続けていたのですが、ユニテックの方が非常に面白い試みをしていました。元々極軸があっていなかったので、流れて縞ノイズが見えていたのですが、三脚の足の長さを適当に少し変えて、わざと極軸からずらして流れる方向を変えて、縞ノイズを目立たないようにしているのです。これを何度か繰り返しすと、ライブスタックでも目に見えて縞ノイズが改善されています。ずらしている最中の星が流れる画像は、ライブスッタクで星の位置合わせができないので自動的に落としてくれます。また雲であまり写りが良くない画像も勝手に落としてくれます。なのでライブスタック画像はかなり綺麗なものになります。
ここでふと、もしかしたらSWATってこのやり方がいいのではと思ってしまったのです。そもそも、SWATには本体に穴が空いていてい、そこを覗いて北極星が見えるようにすると、簡単な極軸合わせができます。もちろんSharpCapで合わせるほどの精度は出ないのですが、私は大前提として極軸はとことんまで合わせるべきだと思い込んでいたのです。でも、ある程度適当に合わせて、そこから少し定期定期にずらしてやるというのは、簡単撮影という方針から考えると全然アリなのではと思ったというわけです。ある意味、百戦錬磨のSWAT開発者の何気ないすごい手法を見たのかと思ったら、結構納得してしまいました。必ずしも「合わせこむということ」を「しない」方法があるということです。
今回はライブスタックだけでなく、RAW画像も同時に保存していたので、ユニテックの方にお渡ししました。ユニテックさんのブログに画像処理までされたM27が掲載されています。ダーク補正もフラット補正もしていないはずで「ノイズはすごかった」とおっしゃっていましたが、十分見える画像になっていると思います。興味のある方はぜひご覧ください。
SWAgTiでの撮影が始まると私も少し余裕が出てきたので、スタッフの方が買ってきてくれたたこ焼きを頬張って、その後会場内を回ってきました。興味があったのは電視観望のデモをしているブースが出ているかです。あらかじめある程度は聞いていたのですが、一体型の機器を含めて少なくとも7箇所、気づいてないところもあったかもしれないのと、観望エリアに行けなかったのでもしそちらでもやっていたらもっとと、とにかくすごい数です。電視観望がいかにイベント向きとはいえ、星まつりのブースでここまで増えているのを見ると、特に胎内だと私的にはかなり感慨深いです。これを見る限り、天文マニアへの認知とかは完全にすんでいて、むしろ一般のお客さんに(電視観望の手法というよりは)普通に星雲星団銀河を見せているような印象でした。すごい!
興味を引いたのはBITRANさんでした。かなり高性能のカメラを開発しているところで、話を聞いたら出ているのはほぼ研究用、アマチュア天文ではなかなか売れないとのことでした。デモしていたのはフラッグシップモデルなのでしょうか、専用ソフトでカメラを制御するそうです。そのカメラでM57を写していました。ライブスタック機能とかはないのかと思います。「これだけ見えたのは初めてだ」とのことでした。他機種のカメラのいくつかはASCOM経由でSharpCapでもコントロールできるようです。多分センサーをセレクションして相当性能のいいものを使っているはずです。一度撮影とかで本気で使ってみたいです。
いつもご一緒させていただいているサイトロンブースですが、今回はユニテックさんのところにいたのでお手伝いできませんでしたが、もうごくごく普通に電視観望をしています。スタッフの方と、小海で何か面白いことをやろうと話したので、またご一緒させてもらうことになるかと思います。
あと、五藤さんも電視観望を試していました。私的には意外だったのですが、他の方に聞いたら星まつりでは結構よくやっているとか。この時は網状星雲を入れていました。
22時半すぎでしょうか、だんだん曇ってきてしまい片付けることにしました。片付けが終わった後には、暑かったのと寝不足で疲れ果てていて、まだ少し心残りですがそのまま帰宅することにしました。本当は観望エリアに行きたかったのですが、もう体力は残っていませんでした。
今回のSWAgTiのデモはまだお披露目レベルです。今後もう少し試して、さらにこなれていくと思います。京都の「星もと」でもまた展示することになるかと思いますので、興味のある方はぜひいらしてください。ユニテックの方とも、しっかりとした手応えを感じたことを確認して、ここで解散となりました。
会場を23時半頃に出て、高速に入る前のコンビニで少し食料を買い込み、食べながら運転して高速に入りましたが、やはりすぐに眠くなってしまいました。あまり覚えていないのですが、新潟を過ぎたあたりのどこかの小さなパーキングエリアで泥のように寝てしまいました。一旦起きて結構走ってからまた眠くなり再びパーキングエリアで睡眠。結局自宅に着いたのは午前8時頃でした。とにかくシャワーを浴びて汗を流し、そのまま午前も午後もよく寝て、夜も早くにベットに入り、ほとんど一日中寝ていた気がします。炎天下の中、やはりかなり疲れていたようでした。
今回手に入れたものはかなり限られています。一つは、シュミットブースで購入した新品のセレストロンの赤道儀のコントローラーです。家には3台のセレストロン赤道儀があるので、壊れたときの予備として買っておきました。星まつりにしては珍しく、買い物はこれのみです。
もう一つはZWOブースで貰えた布バッグです。嬉しかったのは中にASIカメラのキーホルダーが入っていたことです。実は既に一個持っていて、これで2個目になります。超カワイイです。
よく考えたら、今回オークションも抽選会にも参加していませんでした。ちょっとだけ見たのは、新潟のローカルアイドル「コーテシー」のコンサートくらいでした。写真を撮るのは禁止されていたので、その時のステージ周りの雰囲気だけですが、宇宙の侵略者の方達もアイドルコンサートは外せないみたいです。
今回あまり星まつり公式行事に参加できなかったのは、ものすごく暑かったのも原因の一つだと思います。オークションもこれまでとは違い日陰で行われていましたが、その頃には私もすでにかなり疲れ果てていて、夜のSWAgTiデモのために体力を温存しておきたいような状態でした。それでもたくさんの方と話すことができたので、とても楽しくて、現地開催が素晴らしかったことは言うまでもありません。
久しぶりの現地開催の胎内星まつりでしたが、やはりたくさんのブースがあり、多くの人が来る星まつりはよかったです。来年以降もまた現地開催で続けて頂けると嬉しいです。あ、きちんと寄付(英世さん1枚ですが...)もしましたよ。天気に文句を言ってもしかたないのですが、暑くなければもっとうれしいです。
最後に、星まつりを運営しているスタッフの方たちに感謝したいと思います。猛暑の中大変だったと思います。本当にありがとうございました。
SWAgTiのデモ: 導入まで
胎内星まつり2日目の土曜、徐々に日も暮れてきてこの日のメインのSWAT + AZ-GTI = 「SWAgTi」のデモの準備を始めます。
SWAgTiのコンセプトは、追尾精度のいいSWATを撮影時のみ使い、それまでの自動導入とかプレートソルブなどの高度な操作はAZ-GTiに任せてしまうということです。撮影までは、精度は良くないけれどもAZ-GTiの高度な機能で楽をして、撮影になったらAZ-GTiの追尾を切ってSWATの高精度追尾に切り替えるという、AZ-GTiとSWATのいいとこ取りをしてしまおうという魂胆です。
まずお詫びですが、以前の記事で予告してあったEOS 6Dでのプレートソルブのデモは全く出来ませんでした。というよりも、6Dまでもたどり着きませんでした。
そもそも、星まつり会場に来てSWAgTiの展示に興味がある人たちと話してみると、まずは単純に動作しているところを見たいということでした。確かにそれはそうかと思い、まずはこれまでやってきた、CMOSカメラでの極軸合わせから、普通にCMOSカメラで見ながらAZ-GTiで導入し、撮影するところまで見せてから、余裕があったら6Dにすればいいやとか、気軽に考えていました。ところが実際には、その一番最初の極軸合わせのところからつまづきまくりです。
極軸合わせはSharpCapを使ってやります。鏡筒がタカハシのFS-60CB+マルチフラットナーなので焦点距離が370mm、カメラがASI294MCでフォーサーズサイズなので、北極星周りで十分な視野があるはずです。実際、自宅ではついこの間試して、これで何の問題もなくうまくいきました。でも会場で試しすと、全く全然位置を特定しないのです。大気補正しているので緯度経度情報がおかしいと思い、改めて正しい値を入れてみても、大気補正をオフにしてみてもうまくいきません。しかたないので、普段撮影時に極軸合わせに使っているガイド鏡を持ってきたのですが、それでもうまくいきません。
確かに、まだ幾つか問題となりそうなところはあります。まずは、SWATの下についている微動雲台を外しました。構造的に一番弱そうなところです。というのも、SharpCapで800ms以上の露光では恒星がボヤーっとしてしまい、露光時間を短くするごとにキリッと締まります。これは細かく揺れているからに他なりません。微動雲台を外すと、何度か位置特定しましたが、安定ではなく結局は状況は改善せず。
次の問題点はカーボン三脚の足を伸ばしすぎていることです。普段私は撮影時は安定化のために基本的に三脚は最短にします。この日はデモだったので、三脚の足をかなり伸ばしています。でも足を縮めると北極星が見えなくなることに気づきました。そもそもブーステントの南側でデモをしていたのですが、北極星を見るためにテントとテントの隙間を狙っていたのです。テントの北側に持っていくことも考えたのですが、今度は北側の木が邪魔しそうです。この時点で、極軸を取ることは諦めました。
とりあえずそこそこは北の方を向いているとして、構わずにAZ-GTiで初期アランメントをしてしまいます。画角的にはアルタイルは入りそうなので、とりあえずアルタイルです。極軸がずれているので、最初の導入では当然アルタイルは入ってきません。そこで、SharpCapでプレートソルブです。
AZ-GTiへの同期までだとうまくいかなかったので、最近やっている初期アラインメント時の最後の方の「マニュアルで合わせてください」というようなところで、SharpCapのプレートソルブの4つのオプションの一番最後の「オフセットのみを合わせる」とかいうので合わせます。この4つ目のオプションは、2つ目のオプションの「同期までする」というのが動かない場合でも、かなりの確率で動くことがわかってきたのですが、今回もその通りでした。
プレートソルブ機能を使って初期アラインメントもうまくいくことまで示せました。次は目標天体の導入です。今回は近くのM27としました。近いのでこれは確実に画面内に持ってこれるのですが、「一回で入るのですか!?」と驚きの声をあげる方もいらっしゃいました。天体の導入にはやはり苦労されている方も多いと思いますが、確かに鬼門の一つなのかと思います。
導入時は800msくらいの露光時間で、星の動きもわかるくらいのスピードでやっていたのですが「導入する時点でもう星雲も見えてしまうのですね!?」という驚きの声もありました。M27はそこそこ明るいので、800msもあれば動いている状態でも星雲本体の軌跡が残るくらいわかってしまいます。
SWAgTiのデモ: 撮影へ切り替え
導入後は撮影のために、試しに露光時間を10秒、30秒、1分、3分と段階的に伸ばしていきます。今回は3分では星像が大きく流れてしまいました。自宅での実験ではこの鏡筒と、さらにピクセルサイズの小さいUranun-Cでも、3分露光で100%の歩留まりでした。今回3分で大きく流れるのは、上に書いたように極軸が全然あっていないためです。1分では見た目良さそうでしたが、拡大するとやはり少し流れているのがわかります。30秒では完全に点像になったので、30秒で撮影を開始することにしました。
ここで、AZ-GTiの(電源を切るとかではなく)追尾モードをSynScan Proで切り、自動追尾をSWAT側た担当するように切り替えます。SWATは電源を入れる際に大きくキックして、しばらくすると元の位置に戻ってくることがわかっているので、その様子を実際に見てもらいました。これの解決策としては、SWATの電源をあらかじめ入れておいて、追尾モードを「DEC」に合わせるとずっと止まってくれていて、追尾をAZ-GTiから切り替えるときに追尾モードを「STAR」にするとキックなしで開始することができます。
それでもAZ-GTiからSWATへの切り替えのタイムラグなどで目標天体が画面中央からずれることがありますが、AZ-GTiの追尾だけ切っているのでモーターはまだ電源が入って生きています。SynScan Proから矢印て向きを操作することもできます。なのでここでは、AZ-GTi側を使って天体の位置を微調整します。追尾はすでにSWAT、画家の微調整はAZ-GTiというこれもまたいいとこどりです。
撮影が始まってからは、そのまま放っておきます。質問タイムや、一般の方に「星雲が見えてますよー」とか声をかけながら、ライブスタックで見えているM27をネタに、会話を楽しみます。
今回の星まつりですが、星マニアばかりではなく一般の方がかなり多い印象でした。特に夜は結構星が見えていたので、地元の方が多く参加されたのかもしれません。ただ、晴れていたかというとそうでもない印象で、少なくとも肉眼で見える星の数は大したことなく、例えば天の川方向も(会場が明るかったせいもあるかもしれませんが)ほとんど星が見えなかったです。一応35mmレンズとASI294MCの広域電視観望セットも用意していたので、早い時間帯は天の川を写したりもしていました。そのうちこちらも、雲越しの天の川に変わっていき、最後は雲しか見えなくなってしまいました。
ユニテック流?SWATでの撮影
M27の撮影を続けていたのですが、ユニテックの方が非常に面白い試みをしていました。元々極軸があっていなかったので、流れて縞ノイズが見えていたのですが、三脚の足の長さを適当に少し変えて、わざと極軸からずらして流れる方向を変えて、縞ノイズを目立たないようにしているのです。これを何度か繰り返しすと、ライブスタックでも目に見えて縞ノイズが改善されています。ずらしている最中の星が流れる画像は、ライブスッタクで星の位置合わせができないので自動的に落としてくれます。また雲であまり写りが良くない画像も勝手に落としてくれます。なのでライブスタック画像はかなり綺麗なものになります。
ここでふと、もしかしたらSWATってこのやり方がいいのではと思ってしまったのです。そもそも、SWATには本体に穴が空いていてい、そこを覗いて北極星が見えるようにすると、簡単な極軸合わせができます。もちろんSharpCapで合わせるほどの精度は出ないのですが、私は大前提として極軸はとことんまで合わせるべきだと思い込んでいたのです。でも、ある程度適当に合わせて、そこから少し定期定期にずらしてやるというのは、簡単撮影という方針から考えると全然アリなのではと思ったというわけです。ある意味、百戦錬磨のSWAT開発者の何気ないすごい手法を見たのかと思ったら、結構納得してしまいました。必ずしも「合わせこむということ」を「しない」方法があるということです。
今回はライブスタックだけでなく、RAW画像も同時に保存していたので、ユニテックの方にお渡ししました。ユニテックさんのブログに画像処理までされたM27が掲載されています。ダーク補正もフラット補正もしていないはずで「ノイズはすごかった」とおっしゃっていましたが、十分見える画像になっていると思います。興味のある方はぜひご覧ください。
会場内の電視観望
SWAgTiでの撮影が始まると私も少し余裕が出てきたので、スタッフの方が買ってきてくれたたこ焼きを頬張って、その後会場内を回ってきました。興味があったのは電視観望のデモをしているブースが出ているかです。あらかじめある程度は聞いていたのですが、一体型の機器を含めて少なくとも7箇所、気づいてないところもあったかもしれないのと、観望エリアに行けなかったのでもしそちらでもやっていたらもっとと、とにかくすごい数です。電視観望がいかにイベント向きとはいえ、星まつりのブースでここまで増えているのを見ると、特に胎内だと私的にはかなり感慨深いです。これを見る限り、天文マニアへの認知とかは完全にすんでいて、むしろ一般のお客さんに(電視観望の手法というよりは)普通に星雲星団銀河を見せているような印象でした。すごい!
興味を引いたのはBITRANさんでした。かなり高性能のカメラを開発しているところで、話を聞いたら出ているのはほぼ研究用、アマチュア天文ではなかなか売れないとのことでした。デモしていたのはフラッグシップモデルなのでしょうか、専用ソフトでカメラを制御するそうです。そのカメラでM57を写していました。ライブスタック機能とかはないのかと思います。「これだけ見えたのは初めてだ」とのことでした。他機種のカメラのいくつかはASCOM経由でSharpCapでもコントロールできるようです。多分センサーをセレクションして相当性能のいいものを使っているはずです。一度撮影とかで本気で使ってみたいです。
いつもご一緒させていただいているサイトロンブースですが、今回はユニテックさんのところにいたのでお手伝いできませんでしたが、もうごくごく普通に電視観望をしています。スタッフの方と、小海で何か面白いことをやろうと話したので、またご一緒させてもらうことになるかと思います。
あと、五藤さんも電視観望を試していました。私的には意外だったのですが、他の方に聞いたら星まつりでは結構よくやっているとか。この時は網状星雲を入れていました。
富山へ帰宅
22時半すぎでしょうか、だんだん曇ってきてしまい片付けることにしました。片付けが終わった後には、暑かったのと寝不足で疲れ果てていて、まだ少し心残りですがそのまま帰宅することにしました。本当は観望エリアに行きたかったのですが、もう体力は残っていませんでした。
今回のSWAgTiのデモはまだお披露目レベルです。今後もう少し試して、さらにこなれていくと思います。京都の「星もと」でもまた展示することになるかと思いますので、興味のある方はぜひいらしてください。ユニテックの方とも、しっかりとした手応えを感じたことを確認して、ここで解散となりました。
会場を23時半頃に出て、高速に入る前のコンビニで少し食料を買い込み、食べながら運転して高速に入りましたが、やはりすぐに眠くなってしまいました。あまり覚えていないのですが、新潟を過ぎたあたりのどこかの小さなパーキングエリアで泥のように寝てしまいました。一旦起きて結構走ってからまた眠くなり再びパーキングエリアで睡眠。結局自宅に着いたのは午前8時頃でした。とにかくシャワーを浴びて汗を流し、そのまま午前も午後もよく寝て、夜も早くにベットに入り、ほとんど一日中寝ていた気がします。炎天下の中、やはりかなり疲れていたようでした。
戦利品
今回手に入れたものはかなり限られています。一つは、シュミットブースで購入した新品のセレストロンの赤道儀のコントローラーです。家には3台のセレストロン赤道儀があるので、壊れたときの予備として買っておきました。星まつりにしては珍しく、買い物はこれのみです。
もう一つはZWOブースで貰えた布バッグです。嬉しかったのは中にASIカメラのキーホルダーが入っていたことです。実は既に一個持っていて、これで2個目になります。超カワイイです。
最後に
よく考えたら、今回オークションも抽選会にも参加していませんでした。ちょっとだけ見たのは、新潟のローカルアイドル「コーテシー」のコンサートくらいでした。写真を撮るのは禁止されていたので、その時のステージ周りの雰囲気だけですが、宇宙の侵略者の方達もアイドルコンサートは外せないみたいです。
今回あまり星まつり公式行事に参加できなかったのは、ものすごく暑かったのも原因の一つだと思います。オークションもこれまでとは違い日陰で行われていましたが、その頃には私もすでにかなり疲れ果てていて、夜のSWAgTiデモのために体力を温存しておきたいような状態でした。それでもたくさんの方と話すことができたので、とても楽しくて、現地開催が素晴らしかったことは言うまでもありません。
久しぶりの現地開催の胎内星まつりでしたが、やはりたくさんのブースがあり、多くの人が来る星まつりはよかったです。来年以降もまた現地開催で続けて頂けると嬉しいです。あ、きちんと寄付(英世さん1枚ですが...)もしましたよ。天気に文句を言ってもしかたないのですが、暑くなければもっとうれしいです。
最後に、星まつりを運営しているスタッフの方たちに感謝したいと思います。猛暑の中大変だったと思います。本当にありがとうございました。