この日は夕方から、富山市科学博物館において、所属する富山県天文学会 (通称「県天」) の例会とその後は観望会がありました。今回の例会のテーマは電視観望がメインでした。最近入会した何人かの方が、電視観望に興味があるというのです。
これまでいろんなところで電視観望の話をしてきましたが、実を言うと地元の富山できちんと電視観望について話したことはありませんでした。もちろん興味がある方もこれまでいて、地元の観望会などでは私の他にも何人かの方が電視観望でお客さんに見せていたりしていました。それでも全国の星まつりなどで接する人たちの熱心さがすごくて、地元富山でそこまで頻繁に質問とかされることはあまりなかったので、内心少し寂しかったところもあります。
少し様子が変わってきたなと思ったのは、コロナが明けて今年観望会が普通にできるようになってきてからです。観望会のたびに、私が出している電視観望のセットアップを見にくるメンバーの方が結構いるのです。質問も頻繁にされるようになりました。特に細かいセットアップの質問が多いので、結構な本気度を感じます。あからさまに状況が変わったように感じて、なんでかな?と考えていたのですが、少なくとも原因の一つにあるのがSeeStarだと思っています。SeeStarがあの値段で出てきて、一気にシェアをとっていったっとともに、電視観望の認知度というか、観望会の手段として普通のものとして一般層にまで認知されるようになってきました。その影響のついでにこれまでやっていた電視観望も一つの手法として「あり」だと思われて、自分でもやってみたいとかなったのではと、勝手に分析しています。
多分県天に新たに電視観望目的で来られた方達も、実際にやってみたいからだと思います。そこでちょうどいい機会なので、例会に乗じて少しまとまった話をしてみました。内容は、スマート望遠鏡から始めて、これまでの機材を自分で選ぶことができるカスタム電視観望へと導きます。わざわざ地元のグループに入って情報を仕入れたいくらいなので、実際の情報を欲しているのかと思います。なので、カスタム電視観望の方をメインに話しました。新人さんの一人が最近配布が開始されたDWARF3を注文していて、もうすぐ手元に来るはずだとのことで、かなり楽しみなようでした。
メンバーの反応ですが、もう電視観望も特別なものでもなんでもなく、普通の観望会の手段として十分有りうるものという認識で、県天の備品で揃えてもいいのではという意見もありました。今回は、単にお話と、その後の観望会でいつも通りお客さん相手に見てもらっただけですが、新規メンバーの方には改めて実践講習とかしてもいいのかもしれません。
さて、県天の例会が終わったのが19時くらいで、その後外に出て、20時までの観望会に参加しました。富山市科学博物館では毎週土曜日に市民向けに観望会をしています。県天メンバーはボランティアでこの観望会を手伝っていて、私もこれまでも何度か参加しています。
ここ数日間、夜も含めてかなり天気がいいので、観望会会場に着くと、すでにたくさんのお客さんが来ていました。いつものように机を出して電視観望の準備をしていると、小さな女の子が「ここは何をしているんですか?」というので、「これから星雲を見ますよ、いま準備をしているので、もう少し待っていてください。ところで、星雲って知っていますか?」と聞くと、大きな声で「知ってる」と答え、「じゃあ待ってる!」と言います。「望遠鏡みたいに並ばなくていいから待ってなくていいよ。もう少し時間がかかるから、他の望遠鏡を見てきてね。」と言って、準備を進めました。
ちょっと細かいトラブルなのですが、この日はM1 MacのArm Windows 11上で走らせたSynScan Proで、プレートソルブのSynMatrix Alignを試してみたところ、カメラの認識がうまくいきませんでした。繋いであるカメラはUranus-Cなのですが、カメラの選択リストにPlayerOneカメラはおろか、ZWOのカメラも出てきませんでした。Windowsノートで走らせたSynScan ProでAZ-GTiに繋いでSynMatrix Alignを走らせた時は、同じUranus-Cを繋いで、PlayerOneカメラも、ZWOのカメラも出てきました。個別にWindowsノートで走らせたSynScan Proでトラバースを繋いで、Uranus-Cを繋いだ時も、カメラリストには普通にPlayerOneカメラも、ZWOのカメラも出てきました。違いはM1 Macの仮想Windowsか、普通のWindowsノートかの違いだけです。Xでfollow8801さんという方が、同じようにカメラがリストに出てこないと報告されてましたが、同様に私のM1 Macも何かまだうまく設定できていないところがあるのかもしれません。
結局今回はSynScanのプレートソルブは使わずに、SharpCapのプレートソルブを使いましたが、こちらはこれまで通り、問題なく動きます。準備の間に、隣の望遠鏡の解説の声が聞こえてきて、どうやらM57、リング状星雲を見てもらっているようです。なので、こちらの電視観望もM57を最初に入れることにしました。
準備ができたところで「こちらでもリング状星雲が見えますよー!」と声をかけると、何人かの方が見にきました。PCの画面を見て、皆さん「わー、すごい」と盛り上がっていたので、「望遠鏡ではリング状星雲見えましたか?」と聞いたのですが、ほとんどが「見えなかったー...」とか、「モヤーっとしていた」など、やはりなかなか見えにくかったみたいです。多分見ていた望遠鏡はMEADEの26cmだと思うのですが、月明かりで街中なので、M57が輝度の高い星雲だとしても、一般の人がきちんと星雲を見分けるのはなかなか大変だと思います。
リング状星雲での話題が一通り尽きつつあったので、「では次に近くの亜鈴状星雲を入れてみましょう!」と言って、小さな望遠鏡が動く様子なんかを見てもらいます。小さな女の子とお母さんに亜鈴状星雲の説明をしていたのですが、「5歳だと鉄アレイもダンベルもわからないですからねー」とお母さんがどう説明したらいいのか困っていたので、「形だけ見ると、食べ終えたリンゴの芯ですよね、最近私はリンゴの芯星雲とか勝手に呼んでますよ」と説明します。するとお母さんが笑いながら「でもまだ、こんなに豪快には食べれないよね」と、子供に向かって話していました。
その後は、ちょうどアンドロメダ銀河が建物の上から出てきていたので、導入しライブスタックを始めました。最初はノイジーでも、時間が経つにつれて腕の構造とかもだんだん見えてきます。そうそう、この日のセットアップは、いつものFMA135とUranus-Cをトラバースに載せたものですが、この小ささで大きな銀河が画面いっぱいに広がる様子に、皆さんかなり驚いていて、興味津々の様子でした。
小さな電視観望セットを見て、大抵「これ幾らくらいするのですか?」と聞かれるのですが、最近はあまり値段を言わずに、SeeStarの方を薦めるようにしています。天文マニアから見たらSeeStarは格安なのですが、最初に始める場合にはSeeStarでもそこそこの値段だと感じてしまうはずです。でもとにかく簡単なので、初めて電視観望するにはトラブルも少ないはずで、SeeStarや最近評判の良さそうなDWARF3や、ちょくちょく情報が出始めているSeeStar S30なんかも勧めるようにしています。
この日は実質19時から20時までの1時間の観望会だったので、あっという間でした。実は私は最初21時までと思い込んでいてのんびりしていたら、科学館のスタッフの方が「もうあっという間に20時を過ぎてしまいました、そろそろ切りのいいところで締めてください」とかアナウンスがあって、初めてもう終わりだと気づいたのです。なので結局この日見せることができたのはM57、M27、M31の3つだけでした。でもお客さんといろいろ話せたので、十分楽しむことができました。ちょうど終わることに、息子から電話があって、富山駅に迎えに行くことになったので、20時半には片付け終わりすぐに観望会場を後にしました。
地元富山での電視観望の解説
これまでいろんなところで電視観望の話をしてきましたが、実を言うと地元の富山できちんと電視観望について話したことはありませんでした。もちろん興味がある方もこれまでいて、地元の観望会などでは私の他にも何人かの方が電視観望でお客さんに見せていたりしていました。それでも全国の星まつりなどで接する人たちの熱心さがすごくて、地元富山でそこまで頻繁に質問とかされることはあまりなかったので、内心少し寂しかったところもあります。
少し様子が変わってきたなと思ったのは、コロナが明けて今年観望会が普通にできるようになってきてからです。観望会のたびに、私が出している電視観望のセットアップを見にくるメンバーの方が結構いるのです。質問も頻繁にされるようになりました。特に細かいセットアップの質問が多いので、結構な本気度を感じます。あからさまに状況が変わったように感じて、なんでかな?と考えていたのですが、少なくとも原因の一つにあるのがSeeStarだと思っています。SeeStarがあの値段で出てきて、一気にシェアをとっていったっとともに、電視観望の認知度というか、観望会の手段として普通のものとして一般層にまで認知されるようになってきました。その影響のついでにこれまでやっていた電視観望も一つの手法として「あり」だと思われて、自分でもやってみたいとかなったのではと、勝手に分析しています。
多分県天に新たに電視観望目的で来られた方達も、実際にやってみたいからだと思います。そこでちょうどいい機会なので、例会に乗じて少しまとまった話をしてみました。内容は、スマート望遠鏡から始めて、これまでの機材を自分で選ぶことができるカスタム電視観望へと導きます。わざわざ地元のグループに入って情報を仕入れたいくらいなので、実際の情報を欲しているのかと思います。なので、カスタム電視観望の方をメインに話しました。新人さんの一人が最近配布が開始されたDWARF3を注文していて、もうすぐ手元に来るはずだとのことで、かなり楽しみなようでした。
メンバーの反応ですが、もう電視観望も特別なものでもなんでもなく、普通の観望会の手段として十分有りうるものという認識で、県天の備品で揃えてもいいのではという意見もありました。今回は、単にお話と、その後の観望会でいつも通りお客さん相手に見てもらっただけですが、新規メンバーの方には改めて実践講習とかしてもいいのかもしれません。
いつもの定例観望会
さて、県天の例会が終わったのが19時くらいで、その後外に出て、20時までの観望会に参加しました。富山市科学博物館では毎週土曜日に市民向けに観望会をしています。県天メンバーはボランティアでこの観望会を手伝っていて、私もこれまでも何度か参加しています。
ここ数日間、夜も含めてかなり天気がいいので、観望会会場に着くと、すでにたくさんのお客さんが来ていました。いつものように机を出して電視観望の準備をしていると、小さな女の子が「ここは何をしているんですか?」というので、「これから星雲を見ますよ、いま準備をしているので、もう少し待っていてください。ところで、星雲って知っていますか?」と聞くと、大きな声で「知ってる」と答え、「じゃあ待ってる!」と言います。「望遠鏡みたいに並ばなくていいから待ってなくていいよ。もう少し時間がかかるから、他の望遠鏡を見てきてね。」と言って、準備を進めました。
ちょっと細かいトラブルなのですが、この日はM1 MacのArm Windows 11上で走らせたSynScan Proで、プレートソルブのSynMatrix Alignを試してみたところ、カメラの認識がうまくいきませんでした。繋いであるカメラはUranus-Cなのですが、カメラの選択リストにPlayerOneカメラはおろか、ZWOのカメラも出てきませんでした。Windowsノートで走らせたSynScan ProでAZ-GTiに繋いでSynMatrix Alignを走らせた時は、同じUranus-Cを繋いで、PlayerOneカメラも、ZWOのカメラも出てきました。個別にWindowsノートで走らせたSynScan Proでトラバースを繋いで、Uranus-Cを繋いだ時も、カメラリストには普通にPlayerOneカメラも、ZWOのカメラも出てきました。違いはM1 Macの仮想Windowsか、普通のWindowsノートかの違いだけです。Xでfollow8801さんという方が、同じようにカメラがリストに出てこないと報告されてましたが、同様に私のM1 Macも何かまだうまく設定できていないところがあるのかもしれません。
結局今回はSynScanのプレートソルブは使わずに、SharpCapのプレートソルブを使いましたが、こちらはこれまで通り、問題なく動きます。準備の間に、隣の望遠鏡の解説の声が聞こえてきて、どうやらM57、リング状星雲を見てもらっているようです。なので、こちらの電視観望もM57を最初に入れることにしました。
準備ができたところで「こちらでもリング状星雲が見えますよー!」と声をかけると、何人かの方が見にきました。PCの画面を見て、皆さん「わー、すごい」と盛り上がっていたので、「望遠鏡ではリング状星雲見えましたか?」と聞いたのですが、ほとんどが「見えなかったー...」とか、「モヤーっとしていた」など、やはりなかなか見えにくかったみたいです。多分見ていた望遠鏡はMEADEの26cmだと思うのですが、月明かりで街中なので、M57が輝度の高い星雲だとしても、一般の人がきちんと星雲を見分けるのはなかなか大変だと思います。
リング状星雲での話題が一通り尽きつつあったので、「では次に近くの亜鈴状星雲を入れてみましょう!」と言って、小さな望遠鏡が動く様子なんかを見てもらいます。小さな女の子とお母さんに亜鈴状星雲の説明をしていたのですが、「5歳だと鉄アレイもダンベルもわからないですからねー」とお母さんがどう説明したらいいのか困っていたので、「形だけ見ると、食べ終えたリンゴの芯ですよね、最近私はリンゴの芯星雲とか勝手に呼んでますよ」と説明します。するとお母さんが笑いながら「でもまだ、こんなに豪快には食べれないよね」と、子供に向かって話していました。
その後は、ちょうどアンドロメダ銀河が建物の上から出てきていたので、導入しライブスタックを始めました。最初はノイジーでも、時間が経つにつれて腕の構造とかもだんだん見えてきます。そうそう、この日のセットアップは、いつものFMA135とUranus-Cをトラバースに載せたものですが、この小ささで大きな銀河が画面いっぱいに広がる様子に、皆さんかなり驚いていて、興味津々の様子でした。
観望会で見ていたアンドロメダのライブスタック画像を
少し画像処理して仕上げてみました。
少し画像処理して仕上げてみました。
小さな電視観望セットを見て、大抵「これ幾らくらいするのですか?」と聞かれるのですが、最近はあまり値段を言わずに、SeeStarの方を薦めるようにしています。天文マニアから見たらSeeStarは格安なのですが、最初に始める場合にはSeeStarでもそこそこの値段だと感じてしまうはずです。でもとにかく簡単なので、初めて電視観望するにはトラブルも少ないはずで、SeeStarや最近評判の良さそうなDWARF3や、ちょくちょく情報が出始めているSeeStar S30なんかも勧めるようにしています。
この日は実質19時から20時までの1時間の観望会だったので、あっという間でした。実は私は最初21時までと思い込んでいてのんびりしていたら、科学館のスタッフの方が「もうあっという間に20時を過ぎてしまいました、そろそろ切りのいいところで締めてください」とかアナウンスがあって、初めてもう終わりだと気づいたのです。なので結局この日見せることができたのはM57、M27、M31の3つだけでした。でもお客さんといろいろ話せたので、十分楽しむことができました。ちょうど終わることに、息子から電話があって、富山駅に迎えに行くことになったので、20時半には片付け終わりすぐに観望会場を後にしました。