最近ずっと太陽の記事ばかりですが、夜の撮影も多少進めています。試したのは3月21日と23日で、SWAgTiでモンキー星雲を撮影してみました。
3月21日はひどい春霞でした。黄砂も来ていたらしいです。雲は見えないのに星も見えないという、訳のわからない日でした。明るい星がかろうじて数個見えるくらいです。しかも家の中にいても風がビュービュー吹く音が聞こえるほど強くて、決して撮影に適した日とはは言えませんでした。でも久しぶりの晴れだったので、とにかく何か撮ってみようと試してみたというわけです。
機材は簡単に、RedCat51 + Uranus-C Pro + CBP+ SWAgTiです。CBPはあまり強くないフィルターですが、モンキー星雲なら電視観望で数秒露光でも普通は何か見えます。でもこの日はPCの画面で見ても限りなく淡です。結局この日は3分露光で66枚撮影しましたが、後から見たら風のせいでブレブレで、使えそうなものは約半分の32枚でした。しかも、過去が画像のモンキー星雲のRAWファイルと比べても淡いです。
気を取り直して2日後の3月23日、撮り増しすることにしました。というか、21日の画像が淡すぎたので、できれば一から撮り直したいと思っていました。でもこの日も霞がすごかったです。黄砂予報は少し緩和されたので多少マシかと思っていましたが、後で比べたら結局同じくらいの淡さでした。もしかしたら何か機器の方に問題があるかと思ったくらいです。ちなみに、23日にはε130Dでばら星雲も撮影していますが、こちらはまだ明るい機材のせいか、多少マシなようです。それでも普通から考えたらかなり淡かったです。2つの機器で淡いので、やはりこれは機材のせいではなく、単に春霞がひどいのでしょう。
天体撮影では天気だけはどうしようもないので、この23日もそのまま撮影を続行し、71枚撮って56枚を使うことにしました。21日の画像を比べてもほとんど変わりないくらい淡かったのと、すでに7時間撮影していて、使わないファイルを除いても4時間半分くらいあること、その後の天気があまり良くなかったので、もう諦めて画像処理に進むことにしました。
撮影後の画像処理はすぐに始めたのですが、MGCでストップしてしまいました。フィルターにCBPを使っているのである意味ナローバンド撮影といっていいのでしょうか、MGCを適用すると補正画像がこんなふうになってしまいます。
これだと肝心のモンキー星雲本体が大きく補正されて、かなり暗くなってしまいます。この時はSPCCやSPFCのフィルターをありあわせのもので適当に済ませてしまっていたので、これを直せばなんとかなるかと思い、この時点でしばらくお蔵入りになってしまっていました。
先週末までで太陽のブログ記事を書くのもすこし落ち着いたので、モンキー星雲の画像処理を再開しました。やったことはSPCC用のCBPと、Uranuns-Cのフィルターを作ることです。CBPはだいこもんさんが作ってくれたものを使い、Uranus-C用のIMX585のカラーレスポンスは以前作っていたので、グラフを読み取るとかの手間はなく、ただ単にCBPとIMX585のフィルター情報をFilterManager上で重ね合わせるだけでした。
でも結局フィルターを正しくしてもMGCの補正はほとんど変わりませんでした。MGCはちょうど3月21日ににバージョンアップしていて、MARS DR1 Database Version 1.1が使えるようになっています。
このバージョンアップはかなりの進化で、オリオン領域の露光時間を10倍くらいにしたとか、これまでのHαに加えてOIIIに対応したというアナウンスがされていてAOO画像に対応、さらにSIIもRを代用すればなんとかなるかもということです。
それならばCBPでも対応できるのかと思っていたのですが、フィルターをCBP+IMX585にしても、MGCでナローバンドを設定しても、結局はだめでした。ナローバンドの設定は、例えばBをOIIIにすると青の補正が全くされないとかです。補正するのところをナローに変えると補正されなくなるようなので、例えばRをHα、GをOIII、BをOIIIとかにすると、補正画像側の星雲本体部分が真っ暗で、暗い黒で補正するので星雲本体が明るくボケボケになってしまうような状況でした。
まだ探りきれていないのかもしれませんが、ナローバンド、特に今回のようなワンショットナローバンド画像は、もう少しこなれるのを待っていた方がいいのかと思います。
MGCでの補正はあきらめ、あとは普通通り処理しました。
(2025/4.29: 追記) MGCで星雲本体が補正される問題は、結局Gradient Scaleが小さすぎたことでした。以前勾玉星雲の時にGradient Scaleの値を探っています。ε130Dの迷光の跡を消そうとしてGradient Scaleを小さくして、そのときは256が一番結果が良かったので、そのまま鵜呑みをしてモンキー星雲にも256を使っていました。今回のような大きな星雲が真ん中にドンとあるときは、Gradient Scaleを小さくするのは過補正になる可能性があるということです。実際、Gradient Scaleを1024にすると補正画像からモンキー星雲本体の形が完全に消え、1段階小さい768だともう星雲本体が補正されてしまいます。元々のMGCの目的から考えると、大きな構造を補正する目的なので、細かすぎる補正は目的にそぐわないといっても良いのかと思います。臨機応変に対応しなければと、改めて反省しました。(追記終り)
あ、そういえば今回はセンサー面の埃が目立っていて、星雲本体の上に大きな丸が乗っかってしまっていました。
なのでお気楽撮影という方針には反するのですが、フラット撮影して補正するという手間をかけてしまいました。といっても、自宅で明るい昼間に部屋の中の白い壁を写すだけなので、まあ大した手間ではありません。フラットはフラットダークを撮らないと色々面倒なことが起こる可能性が高いので、フラットダークも撮影しています。フラットもフラットダークも1枚あたり30ミリ秒秒とかなので、大した時間はかかりません。その一方、ダークファイルは撮影に時間がかかるので、今回もダーク補正は無しです。ここら辺はSWAgTiのお気楽撮影を守りたいと思っています。
さて、結果です。
星雲本体の色は出ていますが、まわりの分子雲みたいなのは皆無です。と思って調べたのですが、モンキー星雲の周りってあまり分子運ないみたいなんですよね。その代わりに、モンキーの右下に青い丸ポチがある画像をいくつか見つけました。この青丸、出てる画像と出てないな画像に分かれるみたいです。出ている画像はRGBで、出ていない画像はナローでした。そう言った目で見てみると、ごくわずかですが青っぽい色が出ています。これは比較的弱いCBPを使ったからかと思います。特にCBPは青色領域を結構通すので、色が自然に近くなり処理がしやすく、私は結構好んで使っています。でもいつか、本当のBで撮影したいと思ったのですが、もう季節は過ぎてしまったので、来シーズンの課題とします。
恒例のアノテーションです。結構斜めになってしまっています。玄関に置いてあるのを出してそのまま撮影するので、あまり真面目にセットしていないのがこんなところからもわかってしまいます。
比較のために、以前撮影したモンキー星雲を再掲載します。6年前の2019年1月にFS-60QにEOS 6Dで撮影しています。約2年後の2020年12月にDeNoise AIが出た頃に、一度再処理しています。
色に関しては星雲も恒星も含めて今回の方が階調も出ているのでまだいいのですが、恒星の分解能はそれほど変わらず、星雲の分解能は以前よりも劣っていると言っていいでしょうか。これではベスト更新と言っていいのかどうか?
原因ははっきりとしていて、春霞で暗くてボケボケ、むしろよくここまで出たと言ってもいいくらいです。この撮影を通して思ったことは、やはり条件の悪い時は無理してももうどうしようもないと。その一方、機材や技術の進化で、昔の条件のいい時に撮ったものと、今の条件の悪い時に時に撮ったものが、まあ同じくらいの土俵に上がるので、実際にいろいろ進歩はしているはずです。
北陸の晴れは貴重なので、春霞の中で無理をしてモンキー星雲を撮影しました。やっぱり晴れというだけではダメですね。私は機材とか画像処理とかに進歩があって、その結果を撮影して確認したいクチなので、ベスト更新ができないとかなり凹むこともわかりました。これからもう少し条件が良くなっていくと思うので、また別天体で今後梅雨までの期間を期待したいと思います。
でも、昼間の太陽撮影と夜の天体撮影はかなりきついです。まず、睡眠時間がとれません。撮影の日はやはり遅くまで起きてますし、太陽は朝の方が条件が良さそうなので早く起きます。昼寝とかすればいいのですが、太陽の画像処理は早めにやりたいし、その合間で夜の撮影の方の画像処理も進めます。さらにブログ記事まで書きたいので、流石にちょっと大変です。
性格的にやりたいことがあると延々と作業してしまうので、意識的に他のことをしないとダメみたいです。まだバラ星雲、M101、猫の手星雲、獅子座の銀河あたりの画像処理が残ってます。太陽も土日で大量に撮影とテストをしたので、まとめが全然追いついてません。ちょっとペースを落とした方がいいのかもしれません。
春霞がひどい
3月21日はひどい春霞でした。黄砂も来ていたらしいです。雲は見えないのに星も見えないという、訳のわからない日でした。明るい星がかろうじて数個見えるくらいです。しかも家の中にいても風がビュービュー吹く音が聞こえるほど強くて、決して撮影に適した日とはは言えませんでした。でも久しぶりの晴れだったので、とにかく何か撮ってみようと試してみたというわけです。
機材は簡単に、RedCat51 + Uranus-C Pro + CBP+ SWAgTiです。CBPはあまり強くないフィルターですが、モンキー星雲なら電視観望で数秒露光でも普通は何か見えます。でもこの日はPCの画面で見ても限りなく淡です。結局この日は3分露光で66枚撮影しましたが、後から見たら風のせいでブレブレで、使えそうなものは約半分の32枚でした。しかも、過去が画像のモンキー星雲のRAWファイルと比べても淡いです。
気を取り直して2日後の3月23日、撮り増しすることにしました。というか、21日の画像が淡すぎたので、できれば一から撮り直したいと思っていました。でもこの日も霞がすごかったです。黄砂予報は少し緩和されたので多少マシかと思っていましたが、後で比べたら結局同じくらいの淡さでした。もしかしたら何か機器の方に問題があるかと思ったくらいです。ちなみに、23日にはε130Dでばら星雲も撮影していますが、こちらはまだ明るい機材のせいか、多少マシなようです。それでも普通から考えたらかなり淡かったです。2つの機器で淡いので、やはりこれは機材のせいではなく、単に春霞がひどいのでしょう。
天体撮影では天気だけはどうしようもないので、この23日もそのまま撮影を続行し、71枚撮って56枚を使うことにしました。21日の画像を比べてもほとんど変わりないくらい淡かったのと、すでに7時間撮影していて、使わないファイルを除いても4時間半分くらいあること、その後の天気があまり良くなかったので、もう諦めて画像処理に進むことにしました。
画像処理
撮影後の画像処理はすぐに始めたのですが、MGCでストップしてしまいました。フィルターにCBPを使っているのである意味ナローバンド撮影といっていいのでしょうか、MGCを適用すると補正画像がこんなふうになってしまいます。
これだと肝心のモンキー星雲本体が大きく補正されて、かなり暗くなってしまいます。この時はSPCCやSPFCのフィルターをありあわせのもので適当に済ませてしまっていたので、これを直せばなんとかなるかと思い、この時点でしばらくお蔵入りになってしまっていました。
先週末までで太陽のブログ記事を書くのもすこし落ち着いたので、モンキー星雲の画像処理を再開しました。やったことはSPCC用のCBPと、Uranuns-Cのフィルターを作ることです。CBPはだいこもんさんが作ってくれたものを使い、Uranus-C用のIMX585のカラーレスポンスは以前作っていたので、グラフを読み取るとかの手間はなく、ただ単にCBPとIMX585のフィルター情報をFilterManager上で重ね合わせるだけでした。
MGCのバージョンアップ
でも結局フィルターを正しくしてもMGCの補正はほとんど変わりませんでした。MGCはちょうど3月21日ににバージョンアップしていて、MARS DR1 Database Version 1.1が使えるようになっています。
このバージョンアップはかなりの進化で、オリオン領域の露光時間を10倍くらいにしたとか、これまでのHαに加えてOIIIに対応したというアナウンスがされていてAOO画像に対応、さらにSIIもRを代用すればなんとかなるかもということです。
まだ探りきれていないのかもしれませんが、ナローバンド、特に今回のようなワンショットナローバンド画像は、もう少しこなれるのを待っていた方がいいのかと思います。
MGCでの補正はあきらめ、あとは普通通り処理しました。
(2025/4.29: 追記) MGCで星雲本体が補正される問題は、結局Gradient Scaleが小さすぎたことでした。以前勾玉星雲の時にGradient Scaleの値を探っています。ε130Dの迷光の跡を消そうとしてGradient Scaleを小さくして、そのときは256が一番結果が良かったので、そのまま鵜呑みをしてモンキー星雲にも256を使っていました。今回のような大きな星雲が真ん中にドンとあるときは、Gradient Scaleを小さくするのは過補正になる可能性があるということです。実際、Gradient Scaleを1024にすると補正画像からモンキー星雲本体の形が完全に消え、1段階小さい768だともう星雲本体が補正されてしまいます。元々のMGCの目的から考えると、大きな構造を補正する目的なので、細かすぎる補正は目的にそぐわないといっても良いのかと思います。臨機応変に対応しなければと、改めて反省しました。(追記終り)
あ、そういえば今回はセンサー面の埃が目立っていて、星雲本体の上に大きな丸が乗っかってしまっていました。
なのでお気楽撮影という方針には反するのですが、フラット撮影して補正するという手間をかけてしまいました。といっても、自宅で明るい昼間に部屋の中の白い壁を写すだけなので、まあ大した手間ではありません。フラットはフラットダークを撮らないと色々面倒なことが起こる可能性が高いので、フラットダークも撮影しています。フラットもフラットダークも1枚あたり30ミリ秒秒とかなので、大した時間はかかりません。その一方、ダークファイルは撮影に時間がかかるので、今回もダーク補正は無しです。ここら辺はSWAgTiのお気楽撮影を守りたいと思っています。
結果は...
さて、結果です。
「NGC2174:モンキー星雲」
- 撮影日: 2025年3月21日20時3分-22時56分、2025年3月23日19時46分-23時24分
- 撮影場所: 富山県富山市自宅
- 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
- フィルター: なし
- 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
- カメラ: Player One Uranus-C Pro(-10℃)
- ガイド: なし
- 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 88枚 = 264分 = 4時間24分
- Dark: なし、Flat, Flatdark: Gain 220, 露光時間0.03秒x128枚
- 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
星雲本体の色は出ていますが、まわりの分子雲みたいなのは皆無です。と思って調べたのですが、モンキー星雲の周りってあまり分子運ないみたいなんですよね。その代わりに、モンキーの右下に青い丸ポチがある画像をいくつか見つけました。この青丸、出てる画像と出てないな画像に分かれるみたいです。出ている画像はRGBで、出ていない画像はナローでした。そう言った目で見てみると、ごくわずかですが青っぽい色が出ています。これは比較的弱いCBPを使ったからかと思います。特にCBPは青色領域を結構通すので、色が自然に近くなり処理がしやすく、私は結構好んで使っています。でもいつか、本当のBで撮影したいと思ったのですが、もう季節は過ぎてしまったので、来シーズンの課題とします。
恒例のアノテーションです。結構斜めになってしまっています。玄関に置いてあるのを出してそのまま撮影するので、あまり真面目にセットしていないのがこんなところからもわかってしまいます。
過去画像との比較
比較のために、以前撮影したモンキー星雲を再掲載します。6年前の2019年1月にFS-60QにEOS 6Dで撮影しています。約2年後の2020年12月にDeNoise AIが出た頃に、一度再処理しています。
色に関しては星雲も恒星も含めて今回の方が階調も出ているのでまだいいのですが、恒星の分解能はそれほど変わらず、星雲の分解能は以前よりも劣っていると言っていいでしょうか。これではベスト更新と言っていいのかどうか?
原因ははっきりとしていて、春霞で暗くてボケボケ、むしろよくここまで出たと言ってもいいくらいです。この撮影を通して思ったことは、やはり条件の悪い時は無理してももうどうしようもないと。その一方、機材や技術の進化で、昔の条件のいい時に撮ったものと、今の条件の悪い時に時に撮ったものが、まあ同じくらいの土俵に上がるので、実際にいろいろ進歩はしているはずです。
まとめ
北陸の晴れは貴重なので、春霞の中で無理をしてモンキー星雲を撮影しました。やっぱり晴れというだけではダメですね。私は機材とか画像処理とかに進歩があって、その結果を撮影して確認したいクチなので、ベスト更新ができないとかなり凹むこともわかりました。これからもう少し条件が良くなっていくと思うので、また別天体で今後梅雨までの期間を期待したいと思います。
でも、昼間の太陽撮影と夜の天体撮影はかなりきついです。まず、睡眠時間がとれません。撮影の日はやはり遅くまで起きてますし、太陽は朝の方が条件が良さそうなので早く起きます。昼寝とかすればいいのですが、太陽の画像処理は早めにやりたいし、その合間で夜の撮影の方の画像処理も進めます。さらにブログ記事まで書きたいので、流石にちょっと大変です。
性格的にやりたいことがあると延々と作業してしまうので、意識的に他のことをしないとダメみたいです。まだバラ星雲、M101、猫の手星雲、獅子座の銀河あたりの画像処理が残ってます。太陽も土日で大量に撮影とテストをしたので、まとめが全然追いついてません。ちょっとペースを落とした方がいいのかもしれません。