ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 観測・撮影

実際のフェニックスの大口径化作業がどんどん進んでいて、ブログ記事の方が追いついていないです。とりあえず連休中の分を書いておきます。


前回までは、エタロン前に置いたコリメーターレンズの収差と思われるのが原因で、像がボケボケだったものを、PSTのエタロンに付いていた対物側の焦点距離-200mmのレンズを使うことで、分解能が一気に出たことを書きました。でも、この分解能が果たしてまだ収差に制限されてしまっているのか、それともシーイングが制限になってしまっているのかが不明でした。今回はこれに決着をつけたいと思います。


分解能を制限しているのは何?

今回は、これまでのように30秒ごとに1時間程度、合計120ショット撮影を続けて、その中で前回撮影したものより明らかに分解能が良いものがあれば、前回の撮影はシーイングリミットだった、ほとんど変わらないなら収差リミットだったと言えるのかと思います。もう少し言うと、前回は12cmよりも10cmの方が若干分解能が良く、少なくとも10cmに比べて12cmの口径としての分解能は確認できていません。シーイングは時間によってばらつきがかなりあることはわかっているので、前回の10cmと12cmでみた逆転や差は誤差の範囲内の可能性が高いと思っています。

さて、2026年5月6日のゴールデンウィーク連休最終日、実際に撮影してみました。実際には前回の記事の撮影日の次の日に撮影していて、比較のためにもセットアップは何もいじっていなくて、全く同じ状況での撮影になります。

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シーイングができるだけいい時間帯ということで、撮影は午前中にしましたが、あいにく全体に薄雲が掛かっている状態で、時折晴れに近くなったり、時折熱い雲が通ったりと、状況的にはかなりイマイチでした。それでもその中で1枚でも前回よりいい分解能で見えるなら、前回の撮影は収差リミットでなかったと言えるので、撮影を敢行しました。

曇が通ると写らないこともあるので、結局合計235ショットを撮影しました。曇りのせいか、そもそもこの日はシーイングが悪いのか、ほとんどの画像は分解能は出ていませんでした。前回程度のものもありますが、前回よりも数多く悪いものもあります。でもその中の少なくとも9ショットは、やはり明らかに分解能が出ているものがありました。その中で、ベストのものがこれになります。
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前回のものが以下になります。明らかに上の方がいいですね。
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少なくとも前回を越すものが1枚でもあったということから、前回の結果は収差リミットではなく、シーイングが悪く、改善の余地はあったということがわかります。また、前回は10cmと12cmの分解能が逆転していましたが、今回は前回の10cmで撮影した結果よりも分解能も出ているので、前回はシーイングのばらつきでたまたま順位が変わったと考えてよさそうです。


まだ結論は出ていない

た、だ、し、だからと言って、今回撮影した結果がまだシーイングリミットなのか、これで収差リミットになったのかは判断がつきません。特にこの日は曇りで、平均的にシーイングがそもそも良くなかったと思われるので、まだシーイングリミットの可能性もあります。上の画像は、その中でもシーイングがいい時間帯を選んだことになるので、この画像の時は十分シーイングとしては良く、実際に分解能の制限に効いているのは改めて収差になった可能性もあります。というのも、上の画像でもまだ口径10cmのヘリオスター100Hαに迫っているとは言えず、口径12cmの性能を引き出し切っているとはとても思えないからです。

シーイングリミットにしろ、収差リミットにしろ、もしくはその他の原因にしろ、統計的に考えたら、無相関なバラツキの和になるので、それぞれのブレの2乗和のルートで効くと考えればいいはずです。全体で見ると、大きなブレが支配的になり、ブレが小さい成分は効きが一気に弱くなります。
  • 例えばシーイングのブレ成分が1として、それに収差のブレ成分が半分だとして混ざると考えたら、2乗和のルートで考えるとsqrt(1^2+(1/2)^2) = sqrt(1+0.25) ~ 1.18なので、ブレは2割も増えません。
  • シーイングのブレ成分が1で、収差のブレがその10分の1なら、sqrt(1^2+(1/10)^2) = sqrt(1+0.01) ~ 1.004と、それぞれの成分で見て1割あったはずの増加分は、全体で見るとわずか0.5%以下の増加になります。
  • 収差のブレが1で、シーイングのブレが同じ程度の1あったとしても、全体ではsqrt(1^2+1^2) = sqrt(2) ~ 1.4倍程度にしかなりません。
大きなブレがあると、それが支配的になりやすいということです。

なので今回言えることは、「このセットアップで、少なくとも今回撮影したところまでの分解能を出す性能があることはわかった」ということだけなのかと思います。繰り返しになりますが、今回の撮影で得た分解能を制限している原因はまだ分かっていません。でも、今回の撮影の結果から、前回の分解能が収差で制限されていたわけではなかったということは言えますね。


次は?

次に確かめるべきこととしては、明らかに今回よりもシーイングのいい時を狙って、さらに分解能が改善されるかどうかを見るべきでしょう。もうこれ以上改善されないなら、収差制限か、もしかして他の原因による制限かもしれないけれど、それが今のセットアップでの限界ということになるので、その原因を取り除くような改善をしていくべきなのでしょう。

さて次回ですが、実はもう撮影は終わって暫定的ですが結果も出ています。また記事にします。


先週試したフェニックスに口径10cmの鏡筒を付ける試みですが、半分成功、半分失敗といったところでしょうか。少なくとも口径4cmのオリジナルのフェニックスよりは分解能は出ましたが、なんかボケボケで、まだ口径10cmの性能が出ているとは思えません。今回は、なぜ分解能が期待通り出ないのか、どうすればいいのかを試してみました。


3枚レンズの合成焦点距離

前回の記事のコメントで、銀命堂さんが合成焦点距離に関して有益な情報を提供してくれました。銀命堂さんには、以前VISACの光軸調整のシミュレーションのページでお世話になり、このブログにもコメントをいただいた方で、光学設計に詳しく、同ブログにある天体写真を見ても相当な実力をお持ちの方です。

3枚レンズの合成焦点距離は、銀命堂さんがコメントに式も書いてくれていますが、、今回の合瀬焦点距離はきちんと計算にはこのページが便利です。



物体距離を1000000とかかなり大きな数にして、物体距離 
  • 第1レンズの焦点距離: 1000
  • 第1-2レンズの間隔: 800
  • 第2レンズの焦点距離: -200
  • 第2-3レンズの間隔: 50
  • 第3レンズの焦点距離: 400
と順次数値を入れて計算を実行すると、合成焦点距離が2000mmと出ます。これも便利なのですが、簡易的な計算としては銀命堂さんがおっしゃるとおり、1000mm/200mm =5 倍のガリレオ式望遠鏡と考え、この倍率にフェニックスの対物レンズの焦点距離400mmを掛けた 5 x 400mm =2000mmと出すのが、暗算でも求められるので簡単です。

ちなみに、C8+PSTだと合成焦点距離は2000mmでした。これはC8の2000mmに-200mmのレンズで10倍、それにエタロン後部の200mmを掛けて2000mmと同様に暗算でも計算できます。今回焦点距離が1000mmの鏡筒なのに合成焦点距離が伸びてしまったのは、コリメートレンズを-200mmにして、フェニックスの対物レンズが倍の400mmと絶対値に違いがあるからです。

コリメートレンズの焦点距離を決めると、平行光の条件 (1/f = 1/f1 + 1/f2 - d/(f1*f2) で f=∞ を解くとd = f1+f2、今回の場合d = 1000 -200 = 800mm) でレンズ間距離が一意に決まります。鏡筒の焦点距離の手前に、コリメートレンズの焦点距離部だけ鏡筒側に食い込んで置かなければならず、今回のMagellanもフォーカサー部を外すことでこの条件の位置に置くことができました。前回記事のコメントでエレキさんが言われたように、もっと焦点距離が負側に長いコリメートレンズを置けば収差が減っていいのかもしれませんが、そうなってくると鏡筒を切断するとか、別途鏡筒に変わる何かを用意する必要がありますし、そもそもパッと探した限り-300mmくらいの凹レンズが最長で、それ以上は簡単には手に入れることができません。


エタロンの中央遮蔽が問題?

ここら辺までが、前回のブログ記事をアップしてからジタバタ考えていたことでした。今回まず試したいことは、前回ブログの最後の方にも書いた、このボケがフェニックスエタロンの中方遮蔽から起こるのではないかという推測の確認です。方法は、手持ちの口径8cm、焦点距離400mmの鏡筒に同じ-200mmのコリメートレンズを付けてフェニックスを接続してやります。エタロン位置での平行光条件から、最初のレンズから200mmの位置にコリメートレンズを置くようにすると、エタロン位置でのビーム径が40mmになり、前回のビーム径20mmに比べて十分に大きく、中央遮蔽を避けることができるはずです。これでボケボケなのが解決されるなら、中央遮蔽が悪かったということになります。

10cm鏡筒が載っていたアルミフレームには、アルカスイス互換のクランプが取り付けてあります。鏡筒側にアルカスイス互換のプレートを取り付けていれば、クランプの開け閉めだけで、鏡筒をを容易に取り替えることができます。

持ち手代わりのためと、ガイド鏡やファインダーを付け替え可能にするために、ほとんどの鏡筒にアルカスイス互換プレートをつけるようにしています。なので10cmの鏡筒を8cmのものにすぐに交換することができます。ただし今回の場合は、二つの鏡筒の光軸を合わせるために、特に「高さ」を調整して合わせなければいけません。8cm鏡筒と10cm鏡筒はまた交換したくなるかもしれないので、今回はフェニックス側の高さは変えずに、8cm鏡筒の高さを間にプレートを挟むことで調整しました。

高さ調整後、アルミフレームに2つの鏡筒を載せた状態にします。2つの鏡筒の相対的な距離に関しては、アルカスイス互換のクランプを緩めることで、かなりの範囲を位置を調整できます。

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結果はというと、SharpCapの画面上で見ても相当ボケボケでした。ピントが合う位置が無いような状態で、10cmの時より全然ひどいです。

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全く改善がないということで、中央遮蔽は関係なく、コリメートレンズの収差が問題だという可能性が高くなってきました。

ここで疑問が湧きます。今回のコリメートレンズはAmazonで見つけた安いもので、直径50mm、焦点距離-200mmの球面の凹型の単レンズです。単レンズでは収差を避けることができないので仕方ないのですが、ではなぜPSTでは8cmや10cmと組み合わせてもきちんと見えていたのでしょうか?

改めてPSTのエタロンの対物側のレンズを外して確認にしてみたのですが、やはり以前見たとおり単レンズにしか見えません。

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理由がよくわからないのですが、少なくともPSTの大口径化ではうまくいっていたと考え、とりあえず試しにこのPSTエタロンの対物側のレンズを使ってみることにしました。

このレンズは焦点距離は-200mmで同じですが、径が23mmで、Amazonで買った50mmのレンズに比べて小さいです。光はこの径しか通り抜けることができないので、フェニックスエタロンの中央遮蔽の影響はより出るはずですし、このレンズ径で制限されるとすると8cmになった口径を生かしきれないので、分解能的に不利になるはずです。不利なことしかない気がしますが、それでも像が改善されるなら、収差がなくなるような何らかの理由が存在すると思っていいでしょう。

こちらも簡単に、テープでフェニクス前面に貼り付けてやります。さらにその上にUV/IRカットフィルターを付けます。
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結果はどうなったかというと、SharpCapで見る段階で大幅に改善しています。
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うーん、なぜなんでしょう?それでも、少なくともこの結果から、中央遮蔽の影響は象には関係ないと言えそうです。


10cmをPSTレンズで再び試す

中央遮蔽の問題ではないことが確認できたので、ビーム径は小さくてもいいと考え、再び口径8cmから口径10cmに戻します。その際に、PSTレンズも10cmの方に付け替えてやります。F10鏡筒なので、エタロン位置でのビーム径が20mmになり、PSTレンズにほぼぴったりの径になります。

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SharpCap上で確認すると、口径10cmの場合でも、PSTレンズを使えばかなりの分解能が出ることが確認できました。
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せっかくなので、動画で撮影して画像にまで仕上げてみました。
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これならば十分な解像度が出ていると言えます。

ついでにフェニックスオリジナルと比較してみましょう。左がフェニックス単体、右が口径10cm+フェニックスになります。
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前回のアマゾンで買ったコリメートレンズの時よりも、明らかに細かい線が出ていて、分解能が上がっていることがわかります。

あと、それぞれの画像の下にある倍率を見ると505%と100%となっていて、5倍の違いになっているのがわかります。これはフェニックスの400mmの焦点距離が、2000mmになって5倍になったのと一致しているので、実際に合成焦点距離が計算通りに出ていることがわかります。



TSA-120を使い、口径12cmに

調子に乗って、口径12cmのTSA-120で試します。こちらは合成焦点距離が900mm / 200mm x 400mm =1800mmとなり、エタロンでのビーム径が120mm x 200mm/900mm = 27mmとなります。その手前のレンズ径が23mmなので、120mmの口径は完全には生かしきれず、単純には120mm x (23mm/27mm) = 104mm相当になります。 

ただし、TSA-120は鏡筒の外径が大きいため、光軸を合わせるために、今度は高さの低いフェニックス側の高さを調整する必要があります。それだけならいいのですが、TSA-120に取り付けてあるアルカスイス互換プレートは、ネジ穴位置の関係から鏡筒バンドの中間に取り付けられていなくて、中心から1cmくらいオフセットがあります。下の写真でわかりますでしょうか?
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鏡筒バンド上部に取り付けてあるプレートが、
3つあるねじ穴の2つを利用して固定されているので、
片側に寄ってしまっています。

このオフセットを取り除くのはネジ穴加工が必要となるため、今回はとりあえず保留としました。TSA−120とフェニックスをきちんとアルミフレームに合わせて平行に取り付けると、1cmくら光軸がずれてしまいますが、まあなんとかなるでしょう。うまくいったらプレートの方を加工し直そうと思います。

赤道儀に乗せる際ですが、もともとアルミフレームの下側にVixen規格のアリガタを取り付けてあるのですが、ちょっと心もとないので、上下をひっくり返してTSA-120についているLosmandy規格のプレートで赤道儀に固定することにしました。そのため、フェニックスは上から吊り下げられたような状態になってしまいますが、これで問題なく安定に固定できています。

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なんか魔改造っぽくなってきました。

さて、結果はというと、
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と遜色ない分解能が出ています。10cmの場合と比べると、今回の12cmの方が少し分解能が落ちているようですが、シーイングは時間的にかなりのばらつきがあることはわかっているので、誤差の範囲内でしょう。


コリメートレンズの謎

分解能を出すという意味では、一応ここまでの結果を見る限り、大成功と言っていいのかと思います。

ただし、なぜAmazonで買ったレンズではダメで、PST付属のものだと収差がなくなるのか、その理由がまだわかっていません。焦点距離は同じで、両方とも単レンズです。同じようなレンズなので、単純に考えても収差がなくなる理由がよくわかりません。それとも収差ではない、何か他の原因があるのでしょうか?

色々考えていて、ふと思いつきました。もしかしたらPST付属のレンズを使った場合は「テレセントリック条件に近くなっているのではないか?」ということです。テレセントリック系を構築するには絞りが必要になります。平行光に近い焦点位置近くに絞りを入れることにより、その後のレンズで平行光に戻す際にはどの光束も全て平行になります。今回はコリメートレンズ以降が平行光になり、そのコリメートレンズの径が小さくなったということは、絞りを入れたことと同等の効果があります。もちろん完全なテレセントリック条件ではないですが、近いことは起こるはずです。

もっと単純に言い換えると、レンズ系を絞ったことにより、レンズの端の影響の球面収差を抑えることができたり、光束が細くなりコマ収差や非点収差が軽減されると考えてもいいでしょう。

いずれにせよ、収差に関してはレンズ径が小さい方が有利そうです。その一方、暗くなったり、エタロンの径を生かしきれないという不利な点が出てくることになります。


まとめと今後

PSTレンズを使うことで、口径8cm、10cm、12cmのいずれの場合も分解能が出るということがわかりました。実際には、PSTのレンズというよりは、小さいレンズ径が有利ということもわかってきました。

でも、このレンズ径の小ささで十分収差は除去されているのかというと、それはまた別の問題のはずです。今の像がまだ収差で制限されているのか、それともシーイングなどで制限されているのかというのが疑問として残ります。

シーイングリミットならもうシーイングのいい時を待つしかないのですが、もしまだ収差が問題だというのなら、これ以上径を小さくするのは分解能を制限する方向なっていって、あまり現実的ではなくなってきます。そうなると次は、収差の小さいレンズを作ることが次の課題になります。

次回は、今の疑問のシーイングリミットか、収差リミットかの切り分けをしてみたいと思います。希望的観測としては、PST+C8でもシーイングリミットが大半で、(収差が問題になるようなことはなく) きちんと分解能が出ていたという事実があります。


最終的には口径20cmのC8と繋ぐことを目指しているのですが、フェニックスをC8にそのまま繋ぐと合成焦点距離が4000mmとさすがに長すぎになってしまいます。前回と今回の検討から、今後の合成焦点距離も課題として持ち上がってきたことになります。


今回はとうとうフェニックスのエタロンを利用して鏡筒部分の大口径化に挑戦します。まずはその第一歩です。

最初に、とても重要なことです:
太陽望遠鏡の改造は危険を伴います。失明や火事など、重大な事故を起こす可能性があります。もし試す場合は、くれぐれも安全には気をつけて、自己責任の範囲内で進めるようにしてください。この記事を見て試してみて何か起きたとしても、私は何の責任も取ることができません。

今回の挑戦で一つ重要なことは、フェニックス自身には直接には何の改造もしていないことです。フェニックスにレンズを取り付けていますが、そのレンズを外して再び単独で使用する分には完全に元の状態と変わりません。メーカー出荷時と同じ状態なので、安全の観点からも安心できます。

ただし、もともとフェニックスはエタロンと接眼部のBFやERFを取り外せる構造になっています。外した状態で太陽を見てしまう危険もあるので、太陽を見る際はエタロンがついていることと、太陽用の接眼部になっていることを、「指差し確認」するくらいのレベルで、必ず毎回確認するのがいいでしょう。


これまでの試み

これまで、口径20cmのC8と、PSTのエタロンを用いて、大口径望遠鏡でどこまで太陽のHα画像の分解能が出るかを試してきました

自分的には大成功で、PST単体からは考えられないような高分解の太陽のHα線周りの様子を観察することができました。でもPSTのエタロンにはやはり不満があって、
などの問題点がありました。C8でこれ以上を求めようとすると、次はいよいよエタロンをより高性能のものに交換することになりそうです。

それでももしかしたら、PSTエタロンのコントラストが悪いだけなら、ストレッチ時に輝度のオフセットを除くことでコントラストを改善することができるのではと、淡い期待を持っていました。最後にまだPSTエタロンを使い続けようとあがこうともしましたが、分光撮影の評価から、Hαの中心波長からズレると像自体が変わってしまうということがはっきりわかったので、とうとうフェニックスを購入して、エタロン交換の準備を着々と進めてきました。


概要設計

最初の計画では、フェニックスのエタロン部分を外して前後にレンズをつけて、その後距離を稼ぐための筒を適当に取り付けようとか思っていました。でも、色々考えていくと、エタロンが鏡筒前部にすでに確実に取り付けれらていて、その後ろのレンズ系と筒、BFとERFはすでにフェニックスとして完成してるんですよね。そのことに気づいてからは、別途大口径鏡筒の後ろにフェニックスをそのまま配置し、エタロンに平行光を入射させるためにフェニックス前にレンズを取り付ける方向を模索し始めました。世界でも同様の考えに達する人が何人かいたようで、それを見て、あーやっぱりこうなるのかと納得しました。

次に検討したことは、どうやってフェニックスと大口径鏡筒を接続するかと、エタロン前のレンズをどうやって取り付けるかでした。最初は接続アダプターのようなものを3Dプリンタで作ることを考えていて、3Dプリンタそのものは年末に発注し、正月には届いていました。でも、いざ鏡筒同士を接続する段階になって、強度的に大丈夫かどうか不安になってきました。仮に強度的に大丈夫だとしても、相当大きな部品を作ることになりそうですし、取り付け精度と、取り付けた後にぐらつかないかなどの安定性も不安です。

結局、鏡筒の接続は金属ベースにした方がいいことと、できるだけ特殊部品は作らずに一般に入手できるものがいいと考えるようになりました。結果として使ったのは、モノタローで手に入るアルミフレームです。強度的にも十分で、重量的にも重くなく、専用のはめ込みナットで強固に固定でき、しかも簡単に組み換えられるなど、汎用性も十分です。

アルミフレームは各種ありますが、金額ベースで決めて、一番安価なSUS社のものにしました。40x40mmの太さなので、撓みとかもほとんどなく強度的には十分でしょう。長さは無理に細かい長さにせず、当日出荷のキリのいい800mmにしました。端部につけるキャップとか、固定用ナットをM6とM4で、後からレールに傾けてはめ込むことができるナットもいくつか買っておきました。


組み立て

実際にアルミフレームを組み上げてみました。といっても、鏡筒を固定するための手持ちのアルカスイスタイプ互換のクランプを取り付けるだけです。赤道儀側はVixen規格のアリガタにしました。強度的に不足そうなら、Losmandy規格のプレートが一枚余っているので、そちらに載せ替えるかもしれません。

接続する鏡筒は手持ちの口径10cm 焦点距離1000mmの国際光器のMAZELLAN 102を使うことにしました。ここにアルカスイス互換のプレートを取り付けます。同じくフェニックスにもルカスイス互換のプレートを取り付けます。問題は、2本の鏡筒の外径が違うので、高さが合わないことです。そのため、フェニックス側に底上げのプレートを一枚追加しました。

実際にアルミフレームに鏡筒2つを載せてみて分かったのですが、意外に2本の鏡筒の中心を合わせるのが大変でした。高さ方向もそうですが、横方向の傾き調整がアルカスイスタイプ互換のクランプの取り付け時の遊びで決まってしまいます。その一方、水平方向に関してはアルミフレームがで水平面がきちんと出ているので、それほど問題にはならなさそうです。

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肝心のレンズですが、とりあえずテストということでテープで止めるだけにしました。うまくいったら3Dプリンタで取り付けアダプターを作ろうと思います。レンズはPSTと同じ焦点距離-200mmの凹レンズにしました。Amazonで売っている安いレンズで、これで問題ないかどうかはテストしてみないとわかりません。光量を落とすために、レンズの後ろにUV/IRカットフィルターを入れました。エタロンに入る熱をカットして保護するためです。

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実際に太陽を導入してみる

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準備ができたので、外に出て実際に太陽方向に向けて、どうなるかを試します。熱で溶けたり燃えたりしないように、最初は少しだけ光を入れて、光が当たっている場所に手を置いてそれぞれの機材が熱くなっていないかなどを確かめながら、少しづつ光量を増やしていきます。

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レンズは透過、UV/IRカットフィルターは反射、エタロンも共振する光以外は反射なので、基本的に吸収はないはずなので熱くなるようなことはないと思うのですが、念のために一つづつ確認しながら進めました。接眼部のところまで光が来ていて、かつ十分減光されているこをと確認し、カメラに光を入れます。

これでやっと、SharpCapでカメラの像を見ることができます。両鏡筒がピントが合う範囲にあるかどうかもわからないので、まずは2つの鏡筒をそれらしい位置にセットして画面を見てみます。まあ当たり前ですが、最初は全くピントは合わなくて、明るくなるので太陽が入っているのがわかる程度です。

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何箇所かMazallanの位置を移動してみて、それぞれの位置でフェニックスのフォーカサーを前後に目一杯動かして見ると、ある程度傾向がわかってきました。少なくともピントが出る範囲はありそうです。

ここで問題になってくるのが、フェニックスとMazellanの相対的な位置です。どうやって調整したかというと、まずフェニックス単体でピントの出る位置を探り、フォーカサーの位置を固定します。

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Mazellanからの光をフェニックスに入れた時に、その固定したフォーカサー位置でピントが出るように、SharpCapの画面を見ながら相対位置を調整します。最後の微調整はフォーカサーでしますが、相対位置はミリメートル単位くらいで合わせる必要があるようです。相対位置が少しずれて、それをフォーカサーで補正しようとすると、フォーカサー位置をかなり大きくずらす必要があります。

実際の撮影時の画面を見てみます。
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まず、視野が狭いです。カメラの端で像が暗くなってしまっています。

あと、ピントの山がものすごく見分けにくくて、ピントがきちんと合わないように思えます。でもまだ少し試しただけなので、光学的に何か問題があるのか、それともあまりにシーイングがひどくて合わせにくいのかの切り分けが、まだできていません。

ちなみに、下がフェニックス単体の撮影時の様子です。これでさえもボケボケなので、少なくともかなりシーイングが悪かったことはわかります。
スクリーンショット 2026-04-26 142802

あと、連結した場合とフェニックス単体で比べた場合、エタロンのHα調整の回転つまみの最適位置がかなり変わりました。つまみで調整できる範囲内でしたが、両端に達するような勢いで、エタロンがかなり温められている可能性があります。PSTのエタロンと違い、中央に遮蔽があるタイプなので、エタロンを壊さないように少し気をつけた方がいいかもしれません。


撮影できた画像

撮影した画像を処理して見てみます。カメラはG3M678M、撮影は8ms露光で、ゲインは800 (=180(ZWOのゲイン) =18dB =8倍)、14時15分に500フレーム撮影して上位100フレームを使っています。処理はごく普通にAS!4でスタックして、ImPPGで細部出しをしました。

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昨日の記事でアップしたフェニックス単体の画像を拡大して同じような画角にしたものと比較してみます。左がMazellan+フェニックス、右がフェニックス単体です。

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これだけ見ると少なくとも右側の口径4cmのPhoenix単体よりは、左側の口径が10cmの方が分解能がでていて効果があったように見えるので、まずは成功と言えるでしょう。でもこれで大成功かというと、まだまだ程遠いです。

まず、ImPPGでの処理でわかったのですが、完全にオーバーサンプリングです。もしくは、シーイングが悪すぎるのでしょうか?Unsharp maskingのsigmaは通常0.5からせいぜい2なのですが、4とか5という大きな値でやっと模様が出てきました。処理するベースのピクセル数が大きいことを意味していて、カメラピクセルが生きるような細部の処理は意味がないことになります。ボケボケと言っていいのかもしれません。


焦点距離1000mmをくっつけた時の倍率

フェニックス単体で撮影した画像と、連結して撮影した画像を比べて見ると、倍率は2.9倍程度でした。焦点距離400mmが1000mmになったはずなので、2.5になるはずです。少し大きいですが、あからさまに変な倍率ではないでしょう。

と、最初思っていたのですが、多分これ間違いです。1000mmの対物レンズに、対物レンズから800mmの位置に-200mmのレンズを入れ、平行に光を飛ばして、再び200mmのレンズで焦点を結ぶ場合は、トータルの焦点距離が1000mmになるので、倍率は2.5倍になります。でも今回は200mmではなくフェニックスの対物の400mmレンズで焦点を結んでいるわけです。そうするとおそらく1000mm - 200mm + 400mmでトータル1200mmになり、1200/400=3倍程度になるはずです。実測は2.9倍なのでこちらに近いのですが、まだちょっと計算に自信がないです。


なぜボケボケなのか?

少なくとも大成功とは言えないので、その原因を探る必要があります。

まず、今回のはテストでワンショット撮って時間が尽きてしまったので、ボケが機材のせいなのか、シーイングのせいなのかさえ、まだ切り分けができていません。

機材が原因である可能性としては、エタロンの中央遮蔽です。PSTのエタロンは2枚の鏡のみで面内に邪魔なものはありませんが、フェニックスのエタロンは中央に遮蔽があり、入ってくる平行光の中央部分がブロックされてしまいます。ピントが出にくかったり、ボケボケになったのはこの中央遮蔽が原因かもしれません。

もし中央遮蔽が問題だとすると、今回は-200mmの凹レンズを対物レンズから800mmのところに入れる設計のために、エタロン上のビーム径は20mm程度になり、径があまり大きくならないということは、かなり深刻な問題でしょう。エタロンの有効径が40mmあるので、もう少し緩いレンズにしてビーム径を大きくしてもいいのかもしれません。

この観点から考えると、
  • 手持ちの口径8cmの焦点距離400mmの鏡筒で試すと、今の-200mm凹レンズでビーム径が40mmになるので、まずはこちらから試した方がよかったのかもしれません。
  • もしくは、焦点距離900mmのTSA-120だとビーム径が27mm程度になるので、これでもましかもしれません。
  • 一方C8だと、焦点位置の移動範囲は結構大きく、実行焦点距離も1900mmから2100mm程度になるのですが、それでもエタロン上のビーム径は20mmから大きくは変わらないはずです。凹レンズの焦点距離をもう少し負側に伸ばすか、もしくは大口径でも、もう少しF値の低い鏡筒を考えるべきかもしれません。
ただ、このこの検討はまだ仮説の域を出ていないので、実際に試してみて中央遮蔽の影響がどこまであるかきちんと検証すべきかと思います。


その他改善案

UV/IRフィルターはレンズ手前に入れた方がいい気がします。レンズまでは温められているので、熱レンズ効果などで焦点距離そのものがズレたり、不安定になってボケボケに可能性があることに後から気づきました。本当は、2インチのHαフィルターがあると、エタロン前に取り付けることができていいのですが、撮影用に使っているものしかないので、必要なら透過幅が広くてもいいので安価なものを手に入れようと思います。星まつりで探すことになるかもしれません。

まだまだたくさんやることはありますが、次回テストできそうなのは、ゴールデンウィークの最後の方です。前半は少し忙しいのと、天気も悪そうです。それまでに他にも改善案がないか、もう少し考えてみます。


まとめ

長年温めてきた、エタロンアップグレード計画がとうとう進み始めました。まだ今回はテスト段階で、大成功とは言えませんが、少なくとも4cmの分解能よりはよく見えたので手応えを感じています。

太陽は一歩間違えると大変危険なのですが、Phoenix自体が無改造というのもいいです。どこまで行けるかわかりませんが、口径20cmの性能を出し切れるところまで持っていけたらと思っています。

エタロンに目処がついたら、いつか30cmに挑戦したいのですが、これはまだまだ先になりそうです。



フェニックスで撮影した2026年4月26日14時25分の太陽です。記録記事になります。

午後の撮影で、シーイングはかなり悪かったと思います。この日は午前もシーイングが悪く、晴れてはいましたが、風も強くてあまり撮影向きの日ではありませんでした。午前は先の記事で書いた粒状斑を撮影していましたが、きちんと粒状斑が出た画像はなかったために全部没にしたくらいでした。午後は、フェニックスを口径10cmのアクロマート鏡筒に取り付けて大口径化するようなことを試していましたが、これは別途記事にしたいと思っています。

これと比較のために、フェニックス単体でも撮影したので、その太陽全景画像を記録がてら載せておこうと思います。いつもの、モノクロ、反転、カラー、カラー反転画像になります。

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  • 撮影日時: 2026年4月26日14時25分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒:  ACUTER OPTICS Phoenix (f400mm、F5)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Touptek G2M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (= 6dB)、露光時間4ms、800/1000 frames
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools

私の天文活動の公開先は、基本的にはこの「ほしぞloveログ」がメインで、ブログ更新時の宣伝とその日にやっていることをたまにリアルタイムで「X」に投稿するくらいです。

いくつか他のサービスでアカウントは作っていますが、Facebookは今はほぼ触っていないですし、Instagramも全く更新が止まっています。動画は見ることさえもあまり好きでないので、YouTubeはブログからリンクを貼るだけの撮影記録の保管先に成り下がっていて、全く活用できていません。


SolarChatへの投稿

太陽をやってきたこの1年でよく見るサイトの一つに「SolarChat」というのがあります。ここは太陽専門のサイトで、分光専門のフォーラムがあるのでよく見ています。半年くらい前、分光の成果が出てきた頃に、思い切って投稿してみようと思いアカウントを作ったのですが、結局何も投稿せずにほったらかしになっていました。

CP+で発表した太陽黒点の3分周期振動はかなりインパクトがあったのですが、あくまで日本の中での話です。何人かの方にもっとアピールしたらいいとアドバイスを受けたのですが、せっかくなので海外にも宣伝した方がいいのではと思うようになり、重い腰上げてやっとSolarChatに投稿してみました。

ターゲットはSolarChatの中の「This is SolarChat !!」というフォーラムにしました。ここはトピック数もポスト数も他と比べて一桁多い、メインのフォーラムになります。その中に「Clear propagation of 3-minute oscillations in a sunspot (H-alpha animation)」というタイトルをつけて投稿してみました。反応は「REPLIES」と「VIEWS」の数である程度わかり、他と比べてもそこそこ反応はあり、4月に入ってからの150くらいのトピックの中で上位5番目くらいの反応数になります。

コメントでも「すごい」というような意見を多く頂いたのですが、その中で注目すべきが「同様の振動を2016年にLUNTの50mmで見た」というコメントがあったことです。Astrobinへのリンクが張ってあるので、興味がある方は見てください。今回私が撮ったのほどクリアではないですが、それでもはっきりと振動が見えます。実は、黒点振動に関しては今の所発見できた動画はいまだにこれだけです。研究レベルでは普通に取られているらしいですが、基本的に出回っていないのでいまだに見つけられていません。なので、アマチュアでこの振動が見えるのはやはりすごいという認識は、今でも正しいようです。


SolarChatにもう一つ

SolarChatにはもう一つ、ヘリオスター100Hαのエタロンの透過特性測定の結果を投稿してみました。こちらもまだテスト投稿に近いです。フォーラムとしては、SolarChatを見るきっかけにもなった分光関連の「Spectroheliographs, Spectroscopy and Magnetometry」です。そこに「Transmission Profile Measurement of the Heliostar 100Ha Etalon using SHG700」というタイトルで投稿しました。分光関連の投稿数は、先のThis is SolarChat !!に比べたら全然少ないですが、それでもSolarChatの中では比較的活発なフォーラムです。といっても、平均だと分光フォーラム全体で全トピックに対する返信が1日1通以下なので、大した数ではないです。

この投稿したトピックの中で、astrosurfで記事を書いているchristian viladrich氏がいくつかコメントしてくれました。彼もエタロンの透過特性を測定しているのですが、手法としてはシングルピークをたくさん作ってフィッティングするのが好きなようです。でも、Fabry-Perotエタロンは原理的に櫛形の周期関数なので、私はきちんと周期関数でフィットする方が正しいと思っています。シングルピークだとFSRがフィッティングで求まらないこと、共振付近のフィットだけでなく、非共振部分でのフィットも意味があることなどが理由です。私も、最初は一般のフィッティングアプリを使いビルトインの関数でシングルピークをフィットしたりも試しましたが、やはりピークを持つ関数とオフセットとの和で表すことになり、FPのいくつかの重要なパラメーターを使わずにおいてしまうのでもったいないと思ってしまいます。

まあ、考え方の違いなのでそれはいいのですが、議論の途中で一ついいことがありました。測定とフィッティングが、共振の裾のところで多少ずれていたのですが、それは以前書いたように長時間測定しているからだと考えていました。でも、共振以外のところのオフセットが光起因なのか、ノイズ起因なのか考えてはいなくて、これがノイズ起因だとしたら、フィティングが合わない理由にもなり得るのではと、思いつきました。こうやって考え直すきっかけになるのは非常にありがたいです。


AstroBinへのアップロード

同じ時期に、Astorbinにも黒点振動動画をアップロードしてみました。

こちらはアカウントを持っていなかったので、新規に作りました。太陽と言ってもあまり一般には見ることがない黒点振動なので、もしかしたら多少評価してもらえるかもしれないと思い、IOTD/TPの候補として画像を提出しようとしたのですが、最初うまくいきませんでした。

まず、無料版のアカウントでは提出できないとのことで、有料アカウントにすることにしました。3つプランがあって、一番安いプランだと制限も多いこと、真ん中のプランを月額で払うのと、フルプランを年間で払うのは金額的に違いがあまりなかったので、年間のフルプランにしてしまいました。フルプランだと処理途中の画像もアーカイブ的に保存できるみたいなので、うまく使うとバックアップの冗長性が増すのかと思います。

ただ、有料プランにしただけだとまだ提出できず、デフォルトではIOTD/TPノミネーションを受け付ける設定がOFFになってしまっていて、各画像の編集画面の「設定」から、画像のプライバシー設定を一部変更する必要がありました。その上で、自らノミネートを申請することができるようになるようです。しかもアップロードしてから2日以内に提出する必要があるなど、他にも細かいルールがあるみたいです。アップロードした画像を全て自動でノミネートする設定もありますが、今後まだどのように使っていくかわからないので、とりあえず今はオフのままにしてあります。

さて、この申請どうなることか。CP+でもSolarChatでもそこそこ反応がありましたが、AstroBinでどう評価されるのか、はたまた全く相手にされないのか。ちょっと様子見です。


AstroBinの使い方

ついでにその黒点振動の動画の中で一番シーイングが良かった時の静止画もアップロードしてみました。こちらはIOTD/TPの候補には提出していません。

さらに、週末にフェニックスで撮影した画像もアップロードしてみました。モノクロ画像に加えて、リビジョンとして反転画像、カラー画像、カラー反転画像もアップロードしてます。このリビジョン機能は、画像処理などが改善して新しいバージョンとしてみてもらうこともできるし、今回のようにリビジョン的に派生画像的に扱うこともできるみたいなので、結構使い勝手はいいです。これらの画像はテストアップロードのような位置付けですが、過去画像もアップロードすべきか、新規のものだけにするとか、まだ自分の中でも方針はあまり決まっていません。


週末の太陽撮影

一応このブログにもフェニックスで太陽画像をアップロードしておきます。よく考えたらCP+以降は的間記事ばかり書いていて、久しぶりの撮影になります。

というより、実はヘリオスター100Hαロスになってしまっていて、全く撮影する気がおきなかったというのが正直なところです。それくらいインパクトがある鏡筒でした。

そうは言っても、手元のフェニックスも全景なら十分な画像が撮影できるので、また気軽な太陽の記録として、ちょくちょく撮影は続けていこうと思っています。こちらも、モノクロ、反転、カラー、カラー反転と載せておきます。

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  • 撮影日時: 2026年4月12日15時55分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒:  ACUTER OPTICS Phoenix (f400mm、F5)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Touptek G2M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200(=6dB)、露光時間4ms、450/500 frames
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop CC

今回の太陽画像ですが、特に反転画像に何か周期的な大きめの斑点のような模様が出てしまっています。最初何か画像処理時に発生したフェイクかと思ったのですが、スタック前の動画の時からそれらしい模様があります。午後の撮影なので、もしかしたらシーイングが悪かったせいかもしれませんが、どうも他の方の画像を見ても同じような模様が出ている画像が結構あります。

なので、どうやらこれはフェイクなどではない模様で、しかもCaKと同時に撮影した画像だと、CaK画像の特徴的な斑点模様に一致しているように見えます。これまで白いモヤモヤ以外はこんなふうに一致するのは気づいたことがなかったので、もしかしたらまだ面白い物理が背景にあるのかもしれません。


まとめ

海外に少し手を伸ばしましたが、今後どうなるのでしょうか?

AstroBinの課金は年間で1万円ちょっととそこそこの額になるので、ある程度は使い倒そうと思っています。特に高画質の画像を保存できるのが魅力です。静止画は多少のサイズでも大丈夫かと思うけれど、動画はどこまで高画質で保存できるかちょっと興味があります。ただ、みなさんレベルが高いので、いいものだけをアップするのか、本当に何でもアップして使うのか、まだちょっと迷っています。

SolarChatは投稿が続くのかはまだちょっとわかりません。ブログと二重で書くことになりそうですし、元来相手を考えながら返事を書いたりするのが苦手なので、長い議論となるとめんどうでそのうち嫌になってしまうかもしれません。面白い結果が出た時に、たまに投稿するくらいのペースになるかと思います。



いよいよCP+で話したネタ
の記事化も、これで最後になります。

これらのネタを、今回の記事も合わせて4つの記事にしました。どれも、少なくとも日本のアマチュア天文ではあまり話題になったことがないものです。

海外を見るとヘリオスター100Hαのエタロンの測定結果はいくつかアップロードされていて、その中の最新の#5は私が測った結果とほぼ同じFWHMの値が出ています。#3はFSRが全然違うので、何か波長のキャリブレーションを失敗している気がします。

こうやってみると、CP+のセミナーのために色々試したとはいえ、新しいことも多く、今後も参照できるような結果になったのではないかと思います。

というわけで、今回はCP+でも目玉になった、5番目の太陽黒点の3分周期振動についてです。


撮影

撮影データは前回記事のシーイングの時間変化を検証した際の30秒に一回で200フレーム撮影し、60分で120枚撮影したものと同じになります。

120枚の画像を見比べている最中にまず思ったことは、「黒点の形が結構変わる」ということです。これは最初シーイングが時間変化しているからかと思っていました。でもある時、PixInsightのBlinkで短時間で連続的に表示していった時に、どうも何か意味のある動きのように見えました。

改めてよく見てみると、どうも黒点の動きが周期的に変化していることに気づきました。その黒点の動きが周りにシュワシュワと広がっていっているように見えたのです。どうやら黒点自身が振動していて、その動きが周りに伝搬しているようです。ここで「黒点、振動」で検索をかけると、3分周期の振動が存在すると言うことがわかりました。画面上で実際に周期を測定してみると、約6枚ごとに振動しているように見えました。1枚あたり30秒ですので、ほぼ3分周期で間違いないようです。

その後さらに、3分周期の動画がないかいろいろ検索してみました。探した限り、わずかに黒点周りが揺れてるような動画は見つかりましたが、あまりはっきりせず、むしろその動画からFFTでスペクトル計算し、そのピークを見積り周期が1÷3分=0.00556秒程度と求めていて、それで3分周期の振動があると結論づけているものがほとんどで、動画などでクリアに見るというよりは解析の結果の振動と結論づけているような印象でした。ましてや、振動が周りに広がっていくような動画を見つける事は、少なくとも探した範囲ではできませんでした。

ちなみに、撮影をしたのが2月14日で、画像処理を進めながら黒点が動いていることに気づいたのが2月23日くらい、振動していると気づいて「黒点 振動」で検索してみたのが2月26日で、CP+に出発するわずか前々日のことです。

この段階で、CP +での発表は結構インパクトがあるものになるのでは?と予測できましたが、相変わらず宣伝は下手くそなので、Xでそれとなく呟いただけで、事前にうまく知らせる事はできませんでした。結局、せいぜい発表前日の会場で会った知り合いの方たちに「すごいのが撮れた」と話すのが関の山でした。

実際にセミナー本番で見せたときにはかなりのインパクトで、会場でも「おぉー!」というような雰囲気でした。その後のSNSでの反応もかなりすごいものがありました。もっとうまく事前に宣伝しておけばよかったと、後になって思いました...。


タイムラプス映像

下はCP+で見せたものと同じ、2倍のバローを入れて撮影したもので、その日見えていた一番大きな黒点になります。


黒点が揺れている様子、その揺れが周りに伝わっている様子がかなりはっきりとわかるかと思います。もし振動らしい映像が見えない場合はおそらく解像度がSDになっているので、Youtubeの設定でHDモードを選んでみてください。かなりマシになると思います。

ちなみに、アップロードする際に、なぜこれまで黒点振動の映像があまりなかったかがわかった気がします。モノクロだとYoutubeの画像圧縮が働いてしまい、うまく振動に見えないのです。フォーマットを264にして解像度を1440pにしてやっと振動がはっきり見えてきました。それでも手元のオリジナルファイルでローカルで見るものよりもどうしても劣ってしまっています。このような、モノクロで、画面の一部の淡い揺れに近に注目して欲しいような動画は、かなりうまくアップロードしないとノイズなどと勘違いされてしまうようです。

さらに次の日の別のタイムラプス動画で、こちらはバローなしの1倍で、30秒おきではなく、1分おきに撮影した、太陽の全景の下半分程度の画角のものです。

ただしこれだと、動いている様子などはほとんどわからないので、黒点部分を一部を拡大してみます。

同様に、もう一つの黒点も拡大してみます。

今回は1分ごとの撮影なので、コマ数が少なく振動がわかりにくいですが、それでも振動が広がっていく様子はわかると思います。

プロミネンスも激しく動いているのがわかります。

ダークフィラメントはプロミネンスと同じものですが、上から覗いている形になり、動きがわかりにくいです。それでも下の動画を見る限り、1時間で大きく動いていることがわかります。



静止画像

全体の高解像度画像で最も分解能よく撮れたものも載せておきます。モノクロと、よくある反転、カラー、カラー反転になります。このように加工してもまた印象が違って見えて面白いと思います。

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さらに、そこから切り出した画像です。そこそこ高解像度なので、切り出し画像でも十分見応えがあルカと思います。

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こんなふうに口角から切り出して楽しめるのは、全景に近い画角が撮影範囲内に入り、なおかつ分解能がそこそこあるからで、ヘリオスター100Hαはとても使いがいのある太陽望遠鏡なのかと思います。かなりバランスがとれていて、フラッグシップと呼ぶに相応しい性能と言えるのかと思います。モウスコシヤスケレバ...。


太陽の振動

CP+の時にはまだ黒点振動が見えただけくらいで、そもそもなぜこんなことが起こるのか理由はあまり把握できていませんでした。今回ブログ化するにあたり、時間もあったので少し調べてみました。

そもそも、太陽には5分周期の振動があるそうです。これは検索するとすぐに出てきて、1960年代に発見され、「対流」が起源で励起される「音波」のpモードと呼ばれる「固有振動」で説明できるということが1970年代くらいにわかってきたそうです。

起源である対流は表面では粒状斑となって現れることが有名で、私もちょっと前にやっとうまく撮影することができました。粒状斑の典型サイズは観測から L=1000km のオーダーで、典型速度 v = 1-2 km/s とわかっています。大きさと速度から、ざっくりとした寿命 τ が L/v で計算でき、τ ~ 500s となり、5-10分ほどのオーダーになります。

このように粒状斑のスケールからわかるように、対流が5分オーダーの音波を供給して、太陽内部の「pモード」と呼ばれる固有振動 (共鳴) を励起します。pモードのpはpressure (圧力) の意味だそうです。 pモードは3つの固有モードn, l, mで表され、
  • n: 半径方向の節数
  • l: 球面調和次数
  • m: 方位角次数
という関係があるそうで、pモードの周期は主にnのみで決まるとのことです。この中で周期5分オーダーのモードはn=20の場合で、このモードが先の対流が原因で最も大きく励起されます。

ではなぜ5分の周期が3分の周期になるのでしょうか?これはどうやら、黒点にこのモードが現れる際に、重力加速度と音速で決まるようなローパルフィルターの効果があり、それが5分程度のカットオフ周波数をもち、そこより多少低い周波数成分のみが通り抜け、結果として3分周期が最も大きく観測されるというのが今の解釈のようです。

カットオフ周波数 f は重力加速度 g と音速 Vs を用いて f = g/(2 Vs)/(2π) と表すことができます。太陽表面重力はg = 274 [ms^-2]、音速は光球付近では大体 Vs = 7 [km/s] 程度とのことなので、f = 0.00312 [Hz]となり、周期 P で書くと 1/f = 320 秒 = 5分20秒となります。これが黒点においては、磁場に沿った伝播と温度構造の変化によって有効カットオフが少し下がり、Pが3−4分になるとのことです。5分周りに広がったスペクトルが、黒点においては3分の成分だけが残るという理解だそうです。

さらに波の増幅という効果があって、波の振幅 a は密度 ρ と a ∝ ρ ^(−1/2) という関係があり、上空に行くと密度が急減するので波の振幅は一気に増幅します。すわなち、伝播できる波だけが急激に強くなるという効果があります。このようにして3分成分が大きく観測観測されるということのようです。

ここまでで、自分としては3分周期になる理由はカットオフ周波数によるスペクトル選択だと納得しました。でも、なぜ黒点のみ3分になるのでしょうか?カットオフが理由なら、光球面の周期も5分ではなく3分になっていい気がします。もう少し調べてみました。

黒点だけが3分になる主な原因は「磁場による波の導波(wave guiding)」だそうです。波が彩層まで届くかどうかが、黒点と、光球面などの静穏領域で違うとのことです。静穏領域では5分の波はほぼ水平に伝播するため彩層まで行かずに反射と干渉を繰り返します。一方、黒点では強い垂直磁場があり、音波は磁力線に沿って伝播します。波が垂直に導かれる(wave guide)ため、ローパスフィルターの影響が顕著になり、3分周期が支配的になるとうことのようです。

ここら辺まで来て、やっと納得できました。

さらに調べていくと面白い記述を見つけました。「3分振動は黒点の中心から同心円状に外へ波として広がることがあります。これは sunspot oscillation wavefront と呼ばれ、黒点が 巨大な波動導波管(magnetic waveguide) のように振る舞っている証拠と考えられています。」とのことです。今回撮影できたの映像のように、振動が広がっていく様子がはっきり見えたのも、この導波(wave guiding)の効果と考えられるようです。

とりあえずの調べ物はこれくらいにしておきます。


まとめ

黒点振動を含めて、ここまでの画像が撮れるとは思っていなかったので、自分自身もうびっくりでした。これもヘリオスター100Hαの高性能エタロンと高分解能のおかげだと思います。CP+セミナーのための評価というだけでなく、エタロンの透過特性の測定も合わせて、十分すぎるほと楽しまさせていただきました。サイトロンさんには改めて感謝いたします。

やっとCP+の顛末をまとめることができたので、次は何をしようかちょっと迷っています。やりたいことがまだありすぎで、時間は限られているので、天気とかのタイミングと、その時の興味と、いろんな準備状況など合わせて、少しづつ、焦らずに進めていこうと思います。



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