ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:鏡筒 > C8

4月26日と27日の土日は太陽三昧でした。特に26日は朝から1日中快晴で、多くの撮影と機材のテストができました。26日の撮り逃し分を27日に撮ったのですが、風が強くて結構大変でした。


足回りの強化

待ちに待った週末の休みです。しかも土曜は快晴の予報。実際、金曜夜の23時頃から晴れてきて、朝までSCA260とRedCat51+SWAgTiで撮影してました。SCA260を出したので、赤道儀はCGX-Lと大型のものになります。いつも太陽でC8を載せて使っているCGEM IIよりも一回り大きいので、安定度が増すはずです。太陽撮影時に細かい揺れがちょっと気になっているので、いい機会だと思い、出しっぱなしのCGX-Lを使うことにしました。

IMG_1214

ついでに、今の構造で一番弱そうだと思われるC8下のVixen規格のアリガタを、Losmandy規格の幅広のものに載せ替えました。それでも鏡筒バンドの下部の接続部が一番細くてそこがネックになりそうなので、以前VISACでやったような、真ん中のネジ加えて2本のイモネジを左右に入れて、押しネジ状態にして強度を増しています。

IMG_1194

実際かなり揺れは収まったようで、PHD2のガイドグラフを見てても明らかに静かになりました。ただし、風の状況などにもよるので、もうしばらく様子を見てから結論を出そうと思います。


この週の目標

今週末にやりたいことは
  1. いつもの口径20cmのC8+ASI290MM+PSTでプロミネンスを1時間撮影し、ベストの静止画を作り、あわよくばタイムラプス映像を作る。
  2. 同セットアップで黒点周りを1時間撮影し、ベストの静止画を作り、あわよくばタイムラプス映像を作る。
  3. 太陽減光フィルムをC8先端に取り付け、PST部分を2倍のバローに置き換え、粒状斑の撮影を1時間程度。
  4. 口径8cmの鏡筒+PST+ASI290MMで、太陽の全景を見ながら、手持ちの2つのPSTを比較。
  5. 同セットアップで、太陽の全景を見ながら、エタロンの位置の違いで分解能が変わるかのテスト。
  6. 同セットアップで、ベストの選択肢で太陽の全景を撮影。
  7. 同セットアップで、SharpCapのリアルタイムスタックで撮影したらどうなるかのテスト。
  8. PST付属の4cmと、口径8cmで分解能は得するかの再検証。
  9. C8+ASI290MM+PSTに戻して、エタロン視野拡大の初期テスト。
と、結構な量があります。


1時間の撮影を3本

午前中のシーイングのいい時を逃さないために、まずは撮影で1と2と3です。この日のシーイングは普通か、それより少しいいくらいでしょうか。朝だからといって、必ずしもものすごくいいというわけではなさそうです。

大きなプロミネンスがいくつも出ていますが、いいシーイングを探すために撮影場所を一箇所に絞って長時間撮影したいので、全部のプロミネンスを撮影することは大変です。とりあえず今回は一番見栄えの良い、リング状に広がっている10時半方向のものを選びました。太陽周辺に沿ってかなり広がっているので、カメラの横手に入るように向きを変えて撮影しました。

露光時間は1.25ms、ゲインは100で、1ショットあたり200フレーム撮影しています。1ショット撮影した後に30秒のインターバルが入って、トータル120枚撮影しました。これまで誤解していたのですが、SharpCapで指定できるのはインターバルタイムなので、例えば何かのトラブルでフレームレートが落ちたりするとその分撮影にかかる時間が増え、1枚1枚の間隔もずれてしまいます。1枚目が7時46分22秒、120枚目が8時54分30秒なので、1枚1分計算より8分8秒余分にかかっています。これを120枚で割ると、1枚あたりの平均撮影時間は4.07秒ということになります。タイムラプス映像のためには、フレーム数で指定するより撮影時間で指定する方がいいのかもしれません。できればキリのいい等間隔で、フレーム枚数も揃えたいのですが、可能なのかどうかまだ調べられていません。

撮影を開始て少し落ち着ついたので、1時間後にアラームかけて、ここで自宅に入り朝食をとりながら少しのんびりします。1時間後、アラームが鳴って続いて黒点の撮影です。この時点で午前9時くらいです。条件はプロミネンスの時と同じで、30秒インターバル毎に200フレームでトータル120枚です。

こちらも撮影を開始すると時間ができるので、早速先ほどのプロミネンスの画像処理を並行で進めます。とりえあえず選別のために、全部を上位90%をスタックします。AutoStakkert4!でのスタックは結構時間がかかり、120枚をバッチ処理すると1時間では収まりません。待っているのも時間がもったいないので、処理ができた端からImPPGにかけてチェックしていきます。

見たいのはシーイングの度合いです。やはりそこまでいいわけではありませんでしたが、中には飛び抜けて分解能が出ている画像が何枚が見つかりました。なので、この時点で少なくとも静止画用の画像は確保できたと思って良さそうです。

そうこうしているうちに黒点の撮影時間が終わり、続いて粒状斑の撮影に移ります。減光フィルターを鏡筒先端に取り付け、PSTを外して、2倍のPowerMATEを付けて午前10時20分くらいから撮影開始です。この撮影中も画像処理を続けました。

その後、黒点周りと粒状斑撮影分も画像をチェックしましたが、この日の粒状斑ぶんは画像処理をする価値がないほどのシーイングになってしまっていました。明らかにプロミネンスや黒点を撮影していたときよりは悪化しています。やはり午前の早いうちの方がシーイングがいいことが多いようです。


静止画

この日の粒状斑撮影ぶんは諦めて、プロミネンスと黒点周りのみ画像処理を進めます。この時点で私としては珍しく粒状斑を撮影した動画ファイルはすべて削除しました。流石に使うことはもうないという判断ですが、それでもまだ少し心配なのは性格ですね。

まずはプロミネンス、黒点共にベストのものを選びます。それぞれ120本のserファイルから、上位90%をスタックし、ImPPGで細かいところを出したものを見比べます。

やはりシーイングは4月5日には程遠かったですが、何枚かは突如分解能がいいものがありそうです。分解能がいいのは10分から20分に1回くらい出てきて、そのいい時は2-3枚続くこともあるいった状況でしょうか。一番いいものでも、4月5日の6つのレベルのうち、せいぜい上から2番目の内の悪い方くらいでしょうか。全体的には4月12日よりは幾分いいのかと思います。


プロミネンス:
静止画のために選んだプロミネンス画像は、8時0分9秒と8時1分15秒。一つ飛ばしの比較的近い2つの画像で、その二つの元の動画のserファイルをTIFFに分解し、再びAS4!で上位75%をスタックしたものを使いました。チェックの最中で、プロミネンスの方には途中で大きな吹き上がりがありそうなことがわかり、タイムラプス映像も楽しみになってきました。

プロミネンスの静止画を仕上げたものですが以下になります。シーイングはそこまで良くはなかったですが、そこそこ細部も出ているので、まあ十分な仕上がりかと思います。

TIFF_lapl3_ap2603_IP_ST_color_inv_cut


黒点周り:
一方、黒点周りの画像はあまり時間的な変化が大きくないので、少し飛ばして9時31分41秒と9時36分38秒のserファイルをTIFFに分解し、AS4!で上位75%をスタックしました。

2つのseeファイルを使った理由は、200フレームだとどうしてもノイズが目立つというのが主です。75%を使ったので結局合計300フレームですが、これでもまだ少しノイジーで、画像処理でノイズ軽減ツールが必須です。ノイズレスにするためには少なくとも500フレームは必要そうですが、1ショットにこれだけ撮影するとディスク容量を食いすぎます。実際今回は、1時間の撮影でserファイルだけで100GB近くになります。3種撮影で300GBで画像処理も含めるともっと大きくなります。現在1TBのSSDを使っていますが、でこれが2倍とか3倍になると考えると今のセットアップではもう無理で、さらに外部の速い接続でのディスクなどが必要になってしまいます。それに付随して、電源やケーブル、ファイルの転送速度などまで考えると、どんどん大変になってくるので、今の所はこの複数のファイルを使うという方法になっています。

結果です。通常のカラーと、反転したもの2枚を載せておきます。

TIFF_lapl2_ap3951_IP_ST_color_2_mod

TIFF_lapl2_ap3951_IP_ST_color_inv

こちらも最良のシーイングからは劣りますが、自分的には十分満足な結果です。


タイムラプス映像

プロミネンス:
続いてタイムラプス映像です。今回は4月5日の分に続き2度目ということもあり、処理手法に関しても大分こなれてきました。前回はいろんなテストも兼ねていたので、1週間ほどかかってしまいましたが、今回はプロミネンスの方は2日後の月曜には動画になるまでに完成し、一旦Xに投稿しています。

手法はこなれたので、仕上げのためのなめらか具合とかも出るようになってきましたが、やはり良シーイングには勝てなくて、分解能に関しては前回の方が上かと思います。プロミネンスは途中で大きな速い噴出があったので、結構なインパクトがあります。こんな面白さがあるのは太陽ならではですね。夜の天体でここまで激しいのは余程のイベントとかでない限り、なかなか無いです。


このタイムラプス動画ができたときに、噴出のところを得意げに妻に見せました。

私: 「見て見て! これすごくない?飛び出てるよ!」
妻: 「うーん、要するに炎でしょ? たき火やるとこんなのよく見るよ。」
私: 「え?... 違う... これ...太陽の...」

残念ながらすごさは全く伝わりませんでした。


黒点周り:
プロミネンスが面白かった一方で、黒点周りはほとんど動きがなく、途中まで処理してやる気を無くしました。このままお蔵入りにしようと思っていたのですが、1時間程度ではこれくらいの動きだということで、カラー化も仕上げもしてないですが、参考程度に公開しておきます。左側のダークフィラメント以外、ホントに動かないのでつまらないです。むしろ、動かないこと自体に価値があるのかもしれません。


やはり動画は、動かない黒点周りよりも、動きがダイナミックなプロミネンスの方が面白いです。

今後は1本あたりを撮影時間をトータル30分くらいにして、プロミネンスの本数を増やし、黒点は静止画だけにするのも手かと思います。動きの少ない黒点の動きを見ようとしたら、最低2時間くらいの撮影時間が欲しいです。


粒状班の再現性

ちょっと時間は前後しますが、先に粒状斑のことを書いておきます。4月26日は10時半頃からの撮影でしたが、この時点でシーイングはボロボロで、処理は諦めました。その晩も晴れていたので、夜はSCA260
に載せ替えてM101を撮影。そのまま27日の日曜の朝も晴れだったので、昨晩は午前3時頃に寝たにもかかわらず、午前6時半ころから起きて、気になっていた粒状斑の撮影のみ再開しました。

ただし、風が部屋の中にいてもビュービュー音が聞こえるくらいだったので、細かい分解能が必要な粒状斑の撮影は厳しそうでした。午前は何度かに分けて30分程度の撮影を繰り返しましたが、結局全部使い物にはならず、もう諦めて撮影を開始して放っておいて外にモーニングを食べに行ったりしてました。自宅に帰ってからは少し雲も出始めたので、もう半分以上諦めていたのですが、風も収まってきた午後1時過ぎに雲の合間に撮影したものが意外なほど分解能がよく出ました。なので必ずしも午前だけがシーイングがいいのではなく、午後にもチャンスはあるということがわかりました。

粒状斑はまだタイムラプスにできる見込みは全くないので、途中曇って暗くなっても構わないですし、ダメだと判断した動画ファイルはすぐに捨てることができます。なのでディスク容量が許す限り撮影して、判断した端から捨てていけば、かなりの時間撮影することができそうです。

午後に撮影したものの中から、分解能が良さそうな4本の動画ファイルを選び、今回は一旦全てTIFF画像に分解するのではなく、PIPPでゲインとガンマ補正をした後に、一つのserファイルに結合しました。合計800フレーム分になります。これをAS4!で上位10%、20%、50%、80%とスタックして、細部出しは同じ条件にしたImPPGを使い、それぞれの画像を比較してみました。

上位画像を絞った方が分解能が出ると思ったのですが、見た限り有意な違いは認識できませんでした。それよりも、ノイズが残るかどうかの差の方がはるかに大きく、10%や20%ではImPPGの炙り出しの時点で粒状のノイズが目立ってしまい、ノイズ軽減処理が必須になりそうです。50%や80%ではノイズ感はかなり軽減され、ノイズ軽減処理なしでもなんとかなりそうです。

これに関連して、最近はImPPGの「Lucy-Richardson deconvolution」の「Sigma」の値をいつも最低の0.5にして使っています。これを少しでも上げると、つぶ状のノイズが一気に目立つようになるからです。このことは結構以前から気づいていて、大きな値はシーイングが悪く分解能が出ていない時には有効のですが、最近のようにシーイングいい時を選べるようになると、デフォルトの1.3でも仕上がりの分解能が劣ってしまいます。さらに最近の撮影のようにフレーム数が少ないとつぶ状のノイズがどうしても目立ってしまいます。シーイングを選んで撮影したときは結局0.5一択になってしまい、ImPPGを使う意味が薄れてきてしまいました。

そのため今回はPixInsightのMultiscaleLinearTransformでwavelet変換をしてみました。Registaxでも良かったのですが、もう流石に古すぎるのと、PIのMLTの方がもう少し細かいパラメータ設定ができること、将来的にContainerを使ってバッチ処理もできることなどが理由です。

MLTで画像処理してみると、先週の4月19日に撮影したものよりも少し劣る程度で、一応は粒が見えるくらいの画像が得られました。

13_34_29_pipp_lapl3_ap3858_PI_cut._modjpg

粒状斑については、結局二日かけてもベスト更新はなりませんでしたが、これである程度の再現性もある程度あることがわかったので、次はもう少し条件を変えてみる予定です。


まとめ

今回の記事は目標の1から3までです。残りの4以降もまだまだ盛り沢山なので、一旦区切って今回の記事はここまでにしておきます。

とにかく、プロミネンス画像と黒点画像はコンスタントに撮れるようになってきました。タイムラプス映像も工程がこなれてきたので、処理にかかる時間は大幅に減っています。次の記事の分はすでに大体のテスト結果が出たのですが、その結果を元にまたやりたいことが出てきてしまいました。連休中に進められるといいのですが。





2週連続の太陽撮影です。七夕の日の日曜の朝の撮影です。


3度目の朝の撮影

朝の撮影は5月18日(土)6月29日(土)に続いて今回で3回目です。過去2回解像度もそこそこ出て、前回は粒状斑を出す手法も少しわかってきました。今回はどうだったでしょうか?

まずHα画像ですが、これを撮影して画像処理をすることでシンチレーションの指標になるようになってきました。 具体的には、ImPPGのLucy-Richardson deconvolutionのsigmaの値が小さくて済む場合はシンチレーションがいいです。細かい模様が残ると言う意味です。シンチレーションが悪いとそのsigmaをある程度大きくせざるを得ず、解像度はそれなりに悪くなっていきます。前回は1.5程度、今回は2-3程度が良かったので、シンチレーションは少し落ちたくらいかと思います。それでも十分良かった方だと思います。

撮影条件は前回とほとんど同じです。違うところは三脚にゴム板を置いたこととだけですが、風が結構強かったので、揺れは結構大きかったです。やりたかったPSTの調整は暑くて、やる気になりませんでした。この日は朝8時頃からもう30℃になっていてたので、準備も含めて、Hαも白色撮影も短時間で済ませました。

まず一番大きな黒点AR3736です。
09_00_42_lapl2_ap2554_IP3_7_8_ABE3_ABE4

東側のAR3738群です。プロミネンスも同じ画面に収めてみました。
09_06_27_lapl2_ap2046_IP_2_6_7

西端に近いAR3733です。
08_58_48_lapl2_ap2111_IP_1.5_4_9

この結果を見る限り、シンチレーションはやはり前回の方が良くて、それに隠れてか地面の揺れを防止したことの影響は見えていなさそうです。


粒状斑

今回も白色光を撮ってみました。違いは、前回初めて使ったGreenフィルターに加えて、UV/IRカットフィルターを加えたことです。後のセットアップは同じで、C8にOD5のAstroSolar Safety filmをつけ、Apollo-M MINIで撮影しています。まだOD3.8のフィルターは準備ができていません。

まずは前回撮り忘れたPowerMATEなしの画像です。黒点の数はだいぶ寂しくなっているのがわかります。1週間で結構変わるものです。
08_33_06_lapl2_ap897_IP_cut

次にx4のPowerMATEを入れた画像です。前回試したように、事前にser playerで模様をある程度出しておきます。
08_42_42_F0001-1000_lapl3_ap1099_IP_0.5_4_4_PI_cut

まあ、前回と同じくらいのレベルまで出ているので、再現性もあると言えるかと思います。でももう少し出て欲しいです。何が問題なのでしょうか?


まとめ

朝の撮影はやはり良さそうです。特に夏は暑くて早くから太陽も高くなるので、早いうちにパッと撮影してしまうことがいいでしょう。粒状斑はまだ一段階くらい何か謎がありそうな気がしています。実は今回PSTでHαから大きくずらして白色光に近いものを撮影したり、Photosphereも使ってみましたが、前者は解像度は出るものの粒状斑はでず、後者は解像度がでずで諦めました。次の一手が機材なのか、シンチレーションなのか、画像処理なのか、もう少し考えたいと思います。

先週の土曜、この日は梅雨の合間の珍しく晴れ間が見える日でした。この天気も夕方くらいまで、夜からはまた曇りで次の日からは2週間予報でずっと雨です。せっかくの休日なので、朝から起きて太陽撮影を開始しました。


朝のシーイング

機材はいつものC8+PST+ASI290MMをCGEM IIに載せています。前回の5月18日の撮影も、朝でまあまあのシーイングでしたが、今回も解像度がそこそこ出たので、やはり朝の方がシーイングがいいことが多いようです。何枚か見栄えがいいものを撮影したので結果だけ示します。

まずは一番大きな黒点のAR3727です。黒点の番号はここ「宇宙天気ニュース」で確認しています。黒点の南にあるダークフィラメントも結構大きくて見栄えがします。
08_19_45_lapl3_ap2554_IP_2_5_3

クリックして拡大してもある程度耐えられるくらいの解像度になっているので、シーイングは良かったことがわかります。

私はスタック後の細部出しにImPPGをよく使うのですが、シーイングがいい時の撮影ほど画像処理に負担がないです。今回のImPPGのパラメータはLR deconvolutionのsigmaが2.0、Unsharp Maskingのsigmaが5.0、Amountが3.0とかなり小さい値で十分でした。特にLRの値は大きくするとせっかく撮れた細かい模様が荒く潰れてしまいます。

課題はPSTのHαの良像範囲が限られていることと、ピントが出る範囲が限られていることです。そのため今回の画像は端部をある程度クロップしています。良像範囲に関してはちょうどこの日にgariさんがPSTのペンタプリズムの光軸を合わせてかなり改善したという報告がされていたので、近いうちに私も試してみたいと思います。

続いて東の方のAR3729です。上の黒点よりは迫力は落ちますが、小さいものが3つ並んで賑やかです。
08_18_58_lapl3_ap2568._IP_1.5_5_4tif

黒点最後は西端のもう間も無く裏に回ってしまうAR3719です。こちらはダークフィラメントが端までかかっていて、プロミネンスが飛び出している様子がわかります。スピキュールを見る限りそこそこ解像度は出ていると思うのですが、光球面の解像度が少し落ちてしまったようです。
08_23_38_lapl3_ap2533_IP_2.5_6_6

あとはプロミネンス2つです。上の黒点のすぐ下に大きく出ていたものです。
08_25_57_lapl3_ap2556_IP1.5_4_6

もう一つは東側にでていたものです。少しジェットのようなものが見えています。
08_34_01_lapl3_ap1332_IP_2_5_7

ところで、今回もドップラーシフトしたサージ(ジェット)が見えないか、PSTのエタロンの角度を大きく回して太陽全面を見てみましたが、それらしいものはありませんでした。やはり前回はかなりラッキーだっのかもしれません。今思ったのですが、ドップラーシフトを見るだけなら波長は多少Hαからズレていいので、もっとセンサー面積の大きなフォーサーズのASI294MCとかで全面を一度に見た方がいいのかもしれません。もしくはモノクロがいいなら1/1.2インチと294よりは少し小さいですが、Apollo-M MAXでもいいかもしれません。


粒状斑

撮影した時間は前後するのですが、Hαの前にC8にBaaderのAstroSolar Safety film(ただしOD5の眼視用)をつけ、PlayerOneのApollo-M MINIで白色光を見てみました。

フィルターは、これまではBaaderの青緑色とかを使ってましたが、今回新たに緑色のフィルターを使ってみました。一枚やっと余ったからです。青緑だと波長粒状班の波長から少しずれるはずで、多分緑の方があっているのかと思います。

画像を保存し忘れましたが、全体を見渡すと黒点がたくさん出ています。小さいものまで合わせると結構な数です。Appolo-M MINIはグローバルシャッターで速い撮影に向いているのですが、ピクセルサイズが4.5μmといつも使っているASI290MMの2.9μmより少し大きいので、4倍のPowerMATEを使って拡大して分解能を出します。そのまま普通にAS!4でスタックしてからImPPGで細部出しをします。
08_10_59_lapl3_ap1_IP._0.5_4.5_5_gamma0.55
それでもやはり、何か少し見えるものの、粒状班らしき形には全然なりません。シーイングが十分でない可能性もあるのですが、ここでふと気づきました。Hα画像の細部に全然敵わないことです。

同じ時間帯、同じ鏡筒で撮影した場合、シンチレーションはそこそこ同じなので、分解能はそれほど変わらないはずです。今回は朝の撮影ということもあり、シーイングはそこそこよさそうなので、Hαは結構細部が出ています。それに比べて白色光はより細部があからさまに出ていない気がします。なぜそうなるのか?可能性はパッと思いつくだけで
  1. 見ている波長域が広いため、色収差などの影響でシャープさに欠けること
  2. 背景が明るいために模様のコントラストが出なくて、スタック段階でうまく位置合わせができていないのでは
の2つあります。

今回はまずは後者を疑ってみました。実際撮影したserファイルを見ても、黒点以外の背景はフワッとした淡いモヤモヤが見えるだけです。AS!4は画面上に打ったたくさんのポイントが合うように画面を歪ませながらスタックしていくのかと想像します。でも、模様がはっきり見えないと位置合わせのしようがないのではないかということです。

serファイルの動画の中に情報としては何か模様は残っているはずなので、その模様を参照して位置合わせをした方がいいはずです。そこで、ser playerのPreprocessingでガンマ値とゲインをいじって動画の段階で模様を見えるようにしてみました。その状態で、一旦別のserファイルに書き出し、それをAS!4でスタックしてみました。

結果は、同様にImPPGでいじるだけでかなり粒状斑らしきものが出てきます。それも、LR deconvolutionのsigmaを上げると粗い点々のようになってしまうので今回は0.5として、ほぼ何も効果を出さずに抑えます。Unsharp Maskingのsigmaが4.5、Amountが5.0とこちらも抑え気味でも十分粒状斑らしき形になりました。どうやら明らかに効果があるようです。
08_10_59_F0001-1000_lapl3_ap680_IP_0.5_4.5_5
一つ上の画像と全く同じパラメータで処理しています。明らかに構造が出ています。

よく考えると、模様が出ない可能性の1も密接に関連しているはずです。粒状斑が見える波長域は限られています。今回はGreenフィルターを使いましたが、まだ波長域が広すぎか、このフィルターは特価で買ったものなので、もしかしたら眼視用でUV/IRに透過領域がある可能性もあるので、動画の背景が明る過ぎる可能性があります。以前使っていたPlayerOneのPhotosphireフィルターは透過波長幅が10nmとかなり暗かったので使わなくなってしまったのですが、減光フィルターを眼視用のOD5から撮影用のOD3.8のものに変えるとかなり明るくなるはずなので、撮影時からコントラストをよくすることができるかもしれません。

ImPPG後にPixInsightのABEの2次をかけフラット化し、MultiscaleLinearTransformをかけさらに細部出しをし、最後にPhotoshopで仕上げたのが以下のものになります。
_08_10_59_F0001_1000_lapl3_ap680_IP_0_5_4_5_5_ABE_MLT_cut
以前はかなり無理な画像処理で無理やり何か出していましたが、今回は無理な画像処理はしなくても、粒状斑に見えるようなものが出始めています。とりあえずの、ポイントはスタック前の処理だったわけです。

少なくとも少し手がかりは見えたので、今後はもう少し方針立てて改善できそうです。改善ポイントは
  • OD3.8フィルターに交換
  • Green+UV/IRカットにするか、Photosphireフィルター
  • 地面の揺れをカットするために三脚の足にゴムを挟む
などでしょうか。まだシンチレーションが悪い可能性もあるので、いい時間帯を狙うことも続けていきたいと思います。


連休中の一連の太陽撮影で、PSTでのHα撮影と、白色光撮影で粒状斑出しに挑戦しています。




時間的には少し前後しますが、今回は連休2日目の朝に太陽撮影で朝から粒状斑に挑戦した時の記事です。


アルミシート巻き

まず朝からC8の周りにアルミシートを貼り付けます。アルミシートは手持ちでいくつか持っているので、単に幅だけ合わせてハサミで切って両面テープで取り付けるだけです。

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4倍PowerMATE

もう一つの新しいことは、かんたろうさんにお借りしているTeleVueの4倍のPowerMATEを使ってみたことです。以前も試したことはありましたが、それ以前にシーイングがボロボロで全く意味がありませんでした。前日に続き、この日もシーイングは悪くありません。もしかしたら何か見えるかもと期待ながら試します。

少し出たか?

4倍の画像です。

09_55_18_lapl4_ap631_PI_cut

結果だけ見てみると、多少ですが明らかに粒状班らしきものが出ています。シーイングは昨日とそこまで変わっていないと思います。アルミシートを貼りはそこまで効いているわけではないと思います。

では何が一番違ったかというと、画像処理です。昨日の粒状班を出そうとした画像で、PowerMATEなしの1倍での画像はそれらしき粒のようなものが見え始めているのに、PowerMATEで2倍にしてもその効果がほとんど分からないほどつぶつぶ感は出てきませんでした。画像処理はAutoStakkert!3で重ねた後、ImPPGを使っているのですが、2倍に拡大したらより大きな構造での解像度を上げるべきではないかと思ったわけです。ImPPGだとその調整ができないので、PixInsightのMultiscaleLinearTransformを使って、必要な大きさの構造を強調するようにしてみました。すると、無理な画像処理をすることなく上記くらいの粒々が出てきました。この方法、実は以前も試しているのですが、シーイングがダメな時はやはり何をやってもダメなようで、今回は春のゆらぎの落ち着きでここまで出てきたのかと思います。

昨日の2倍の画像も同様に再処理してみました。こちらはPixInsighの代わりにRegistaxを使っています。
13_36_09_lapl4_ap737_RS_cut

こちらも前日の処理よりはかなり粒状斑っぽくなってます。

でも逆に言うと、さらに粒状感を増そうと思ったら、もっとましなシーイングが必要だということです。今回も撮影中のPCの画面をじっくりみていると、1分の動画の中でも例えば10秒くらいのスパンであからさまに解像度が良くなったりすることがありました。そういう時を狙って撮影して、更にラッキーイメージでその中でもいい画像を抜き出すことで解像度を出していくのかと思いました。撮影中の分解能のゆらぎが見えるくらいまでになっていれば、ピントがあっているかどうかという判断もできるようになってきました。

まとめ

今回粒状斑についていくつかの改善をしました。
  • カメラがグローバルシャッタータイプになったこと。
  • 鏡筒にアルミシートを巻いて筒内気流を軽減したかもしれないこと。
  • 4倍に拡大したこと。
  • 画像処理を拡大率に応じて変えたこと。
などです。それでもシーイングの良し悪しに大きく依存しそうです。しばらく気流は安定している季節なので、もうし少し挑戦してみたいと思います。

あと、4倍のPowerMATEはかんたろうさんから長期間お借りしているものなので、流石にそろそろ返さなければいけません。 

最近太陽の黒点群やそれに伴うフレアがすごいと騒がれてます。でも残念ながら土日は曇りでチャンスがありませんでした。

2022年4月25日、今日は在宅勤務。せっかくなので、昼休みを利用して太陽撮影といきたいと思います。実は赤道儀は昨晩からのM104の撮影をそのまま朝までとっておいたので、極軸も取れていてかなりの手抜きで精度良い追尾が期待できます。鏡筒をSCA260からC8+PSTに載せ替えるだけです。

シーイングはそれほど悪くはないようですが、何しろ時間がありません。でも黒点の数がけっこうあるので、それを回るだけでも時間がかかり、プロミネンスなどは見ることができませんでした。

サクッと画像処理を済ませてしまいます。共通のデータは以下の通りです。
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registaxで細部出し、PhotoshopCCで後処理

まずは一番大きなAR2993、2994です。
11_55_30_lapl3_ap2556_IP_cut
  • 撮影時間: 2022/4/24 11時55分
  • gain70, 0.6ms x 1000フレーム中上位80%を使用
こうやってみると、これだけ大きい黒点群だとエタロンの精度の均一さが追い付かなくて、周辺とかはHα線からかなりずれてしまっています。そろそろPSTの限界を感じてしまいます。

可視光画像です。といってもPSTのエタロンをHαからずらしただけです。
12_01_46_lapl3_ap2356_IP_cut
  • 撮影時間: 2022/4/24 12時1分
  • gain70, 0.15ms x 5000フレーム中上位80%を使用

AR2995です。一つだけだとまだマシですが、これもHαが出ているところか黒点がずれてしまってますね。
12_04_11_lapl3_ap2490_IP_cut
  • 撮影時間: 2022/4/24 12時4分
  • gain70, 0.5ms x 1000フレーム中上位80%を使用

最後は出たばかりの新しい黒点で、まだ番号はついていないみたいです。撮影時はきづかなかったのですが、ここには大きなプロミネンスも出ていたので画像処理で出してみました。
12_09_29_lapl3_ap1726_HP_L

こうやってみると最近の撮影の中ではシーイングは多少良かったですが、まだそこそこです。季節的にはどんどんよくなるはずなので期待したいです。特に可視光はもう少し細かく見えてもいいのではと思います。

どうも全面でHαを見るのが難しいので、エタロンを一度調整する必要があるかもしれません。もしくはもう少し焦点距離の短い鏡筒(以前使っていた10cmで1000mm、F10の屈折?)で低倍率にして、エタロンのいい範囲に入る面積を増やして広角で見ると、全体の中に黒点がどこら辺にあるか分かっていいのかと思います。もしくは、もう一台持っているPSTを別の鏡筒付けるかです。

時間をかけてタイムラプスもやりたいですが、流石にこれは休日でないと無理っぽいです。

夏の酷暑で太陽撮影は控えていたのですが、最近はめっきり涼しくなってきました。ちょうど休日で快晴、しかも最近は黒点もコンスタントに出ているようです。


昨晩から快晴に

前の晩の土曜は天リフのDSPでそのまま双望会に参加していました。0時頃に終了しましたでしょうか。外に出ると快晴で、M33を朝まで撮影していました。M33についてはまた別の記事にしますが、日曜の朝は意外に9時過ぎに目が覚めて、いつものコメダ珈琲へ。ブログ記事を書きつつ、昼前くらいに自宅に戻り、太陽撮影です。

最後の撮影が6月26日、ガチ天の準備でトーク当日の朝にテスト的に撮ったものなので、もう3ヶ月以上前になります。その後一度機材を出して撮影しようとしたところ、機材全体が熱くなりすぎてしばらくお休みにしようと決めたので、機材を出すのもそれ以来です。

機材はこれまで通り、口径20cmのC8にPSTを接続しています。赤道儀はCGEM II、しかも前日の夜からの撮影で極軸も取れているので、鏡筒を載せるだけです。

ケーブルもカメラを繋ぐだけなので、DSOの撮影みたいに冷却などの電源もなく手軽なものです。また、撮影時間も1ショット10秒程度と短いので、何ショットか撮っても大した時間にはなりません。 

久しぶりの太陽を画面で見てみると、太陽真ん中らへんに突然大きな黒点が現れました。

キャプチャ
SharpCap上で見ている画像です。


あと、太陽右上の方にかなり小さな黒点も見えました。プロミネンスも淡いですが、いくつか出ています。


撮影結果

結果だけ示します。AR2882です。

「AR2882」
13_06_17_lapl3_ap2496_IP_cut
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
  • 撮影時間: 2021/10/10 13時6分 gain70, 1.25ms x 2000フレーム中上位50%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registaxで細部出し、PhotoshopCCで後処理

シンチレーションは可もなく不可もなくといったところでしょうか。黒点が大きいこともあり、そこそこの解像度が出ています。あと、Hα特有の縞模様が見えている範囲が限られています。特に黒点の左側はほとんど見えていません。PSTの限界でしょうか。撮影時にもう少しはっきりわかればいいのですが、次回は気をつけてよく見ながら撮影してみたいと思います。

小さい方の黒点です。この黒点前日にはなかったみたいで、撮影日の日曜に出たみたいです。月曜に見てみると「AR2883」という番号がついていました。でもやはり解像度が足りないですね。これくらい小さい黒点だとあるていどシンチレーションが良くないときれいに見えないです。
13_02_44_lapl3_ap539_IP


続いてプロミネンスです。でもあまり気合が入っていないので画像処理も適当です。
13_10_40_lapl5_ap279_IP_cut
プロミネンスの一つですが、やはり解像度は出ていません。

白色で見てみる

あと、夏の間に手に入れたアイテムが一つあります。太陽用のNDフィルターです。フィルムタイプは国際光器などで扱っていますが、ガラスタイプはジズコで扱っているORIONのものしか見つけることしかできませんでした。



C8は200mmなので、240mmタイプにしました。ネジで3方向から固定するので、一度取り付けたら外れたりするようなこともありません。ND5タイプのようで、光を10万分の1にするため十分な減光効果があります。

今回これで撮影してみたのですが、シンチレーションがそこまでいいわけではないようで、べナール対流のような粒状斑を確認するには至りませんでした。

13_28_26_lapl3_ap2553_IP

口径から考えたら、分解能はなんとか足りるはずです。表面に何らかの模様があるようなのは確認できましたが、ハッキリとはしません。白色光だと見にくいのかと思い、7nmのHαを取り付けてみましたが、光量も足りなくなり余計見にくくなりました。フィルターは他の種類もいくつか試してみてもいいかもしれません。いずれにせよ、シンチレーションが勝負な気がしています。撮影できるのは休日のみなので、チャンスは少ないですが、いつかうまく撮影できればと思っています。


まとめ

久しぶりの太陽でした。黒点は楽しめたものの、シンチレーションはたいしたことなかったです。機材は揃ったはずなので、今後日を改めてベナール対流のチャンスを狙おうと思います。

晴れが続いているので、夜も通して連続撮影です。実は太陽撮影の後、簡易画像処理をしてTwitterに投稿した後、VISACの光軸調整に挑戦したのですが、時間切れでまだ大した成果は得られず。その後はM33の撮り増しでした。晴れるのはいいけど、ずっと続くと体が持ちません。月曜は雨でしたが、火曜以降また少し晴れるみたいです。どうなることやら。
 

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