以前、10月に夜の撮影のリハビリでサドル付近と魔女の横顔星雲を撮影しました。


露光時間不足だったので、サドル付近は撮り増ししたのですが、魔女の横顔星雲もその後、何度かに分けて撮り増しました。でも失敗も多くて時間がかかってしまったが、なんとか画像も溜まったので、再処理してみました。


不調で何度か撮影する羽目に

計3回取りまししたのですが、撮影時の失敗が多かったです。

10月29日はRとB画像は撮影できましたが、寝てしまった後も撮影を続けていて、その後ピントが全然合わなかったようで、GとA画像を丸々3時間20分ぶん捨てることになりました。不思議なのは、EAFの記録を見てもきちんと測定できていたことです。下の画像がその記録なのですが、中心が5924と出ているのに、なぜかセットされたのは6423(下の画像の左上の数値)となっていることです。

キャプチャ

ズレが 6423 - 5924 = 499 と、500に近いので、何か一回分大きく動かすボタンが押されてしまったような感じです。でももう寝てしまっていたので自分でミスるはずもなく、多分NINAの何かの不具合かと思っています。

その後11月22日に、前回撮り逃したGとAを撮り直しますが、その際も寝てしまった後に撮影したL画像のピントがずれてしまっていて、3時間ぶん丸々捨てることになりました。どうやら、オートフォーカスのところでオフセットを使用するように設定してしまったのが悪さをしているようです。そこをオフにしてからは、今のところ変なピントミスは出ていないですが、もう少し様子を見る必要があるでしょう。

さらに翌日の11月23日に、前日撮り逃したLを撮影しましたが、結構流れてしまう画像が多かったです。気づいてキャリブレーションをやり直したりしたのですが、その後雲が出てきてしまい、あまり枚数を稼ぐことができませんでした。しかも、後でわかるのですが、赤道儀の反転後はこれまで合っていたフラットが合わないということが判明しました。なので結局前半しか使えずに、トータルではこの日全部で6時間20分撮ったうちの、わずか50分ぶんしか使うことができませんでした。それでもRGBとLRGBでは微恒星や、星雲の細かい構造に差は出たので、Lを使うことにしました。


画像処理

画像処理の話に移ります。RGBは5分露光が前回処理した時の分も含めて、それぞれ12枚、13枚、13枚となりました。まだ枚数は多くないですが、撮り増しする前の4枚、3枚、4枚というとんでもない短さよりは遥かにマシです。Lも上に書いたように結局10枚と多くはないですが、それでも使わないよりは使った方が明らかに効果があったので、LRGB合成で進めることにしました。

LRGB合成は結構曲者で、なかなか色が出ないと困っている方も多いようですが、Lで分解能を出そうとすると合成直後は下の画像のように一見モノクロかと思うくらいになってしまいます。

Image51s

これでも色の情報としては残っているので、例えばCTのSaturationで彩度をかなりキツく出してやると色が出てきます。
Image51_CTs

ここらへんのことは以前M106を処理する時に検証したので、私も今回もそのページを参照しながら進めました。


逆に、LRGB合成直後に色が残るくらいにしてしまうと、Lが全然生きていなくて分解能が実質出ていないということもM104を処理した時に実感しています。


まとめると、RGBとLを使ってLRGB合成をするときは、Lの比率を十分に高くして、Lが生きて分解能が良くなるような状況で画像処理を進めること。その際、一見色が全く出ていないように見えますが、情報としては残っているので、その後彩度を十分に上げてやることが重要というわけです。

ただし、RGBのそれぞれの色のフラット化がうまくいっていない場合などは彩度を出していくと画面内で色のばらつきが出て、メチャクチャな色に見えてしまうことがあります。その場合ですが、今はMGCがあるので、それを使うのが効果的なのかと思います。

上の画像をさらに強度にストレッチしてみると、今回は一見下のような画像が出ました。赤と緑が馬渡に混ざったような模様が見えています。
Image51_CT_more_s

最初フラット化が全然うまくいっていないのかと思っていたのですが、例えば背景に赤い模様が出ているのは、下の画像のようにHαで撮影した時の構造と一致していることがわかったので、こちらは単に勘違いでした。
drizzle_integration_A_ABE1_crop_s

LRGB段階での背景の村のように見える模様は、その後、上の画像のように別途Hαで撮影した画像を合成していくので、まともに見えるようになってきます。


またしても迷光が

さらにLRGB画像の処理を進めていき、恒星を分離して背景だけを見てみると、なくなっていたはずのε130D特有のリング状の模様のズレが出てしまっていることがわかりました。

Image42_HT_NXT_more_s

「あれ?これ前回の時にフード無しで撮影して全然出なくなったのではなかったのか?」と思い返して、いろいろ調べてみました。

どうやら今回もRGB画像では全くズレは出ていなくて、L画像のみに出ていることがわかりました。もっと調べてみようとして、L画像の一番最初と一番最後のもので比較してみたら、最初はリングは出ていないのに、最後はリングがはっきりと出ていることがわかりました。何が違うんだろうと思ってよく見てみたら、赤道儀の反転で画像が反転していたのです。反転前の画像には一切リングは出ていないのに、反転後には全てにリングが出ています。どうも撮影時の光の入り具合でフラット画像が合うか合わないかが決まるようです。

今回は結局ずれのでていない前半の10枚だけをL画像として、反転後のL画像は捨ててしまいました。一つ試したいのは、フラット画像を撮影する時に、鏡筒を上下逆にして撮影したものを反転後の補正に使えばいいのかもしれません。フラット撮影は昼間の部屋で白い壁を写しているのですが、壁の明るさも一様ではなくて、どうしても窓に近い方が明るくなってしまいます。その輝度変化に対して、鏡筒の迷光の強弱が反転してしまい、過補正および補正不足になるところがリング状にでてしまっているように見えます。鏡筒反転フラット撮影でそれが消えるのではという期待です。いつか時間がある時に試してみようと思います。


LRGB画像にHαを合成

その後、Hα画像をPhotoshopのスクリーンで加えて仕上げます。MGCではHαの補正はあまりきちんとできないようなので、Hαの輝度バランスがどこまで正しいのかはちょっと微妙です。それでも、淡いところまでHαの構造が存在するので、できるだけ表現してみました。魔女の横顔星雲本体からHαが透けて見える様子もわかるかと思います。

「IC 2118: 魔女の横顔星雲」
Image51_CT_BXT_SPCC_MGC_AS_GHS_GHS_HT_SCNRg_SCNRr_NXT4_cut_ss
  • 撮影日: 2025年10月18日1時5分-2時8分、10月30日0時7分-1時46分、11月22日21時51分-23日1時55分、11月23日23時15分-24日3時41分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: ZWO製 R、G、B、L、Barrder製 Hα
  • 赤道儀: Celestron製 CGEM II
  • カメラ: ZWO製 ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、R: 12枚、G: 13枚、B: 13枚、L: 10枚、A: 36枚の計85枚で総露光時間7時間0分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 R: 0.03秒、G: 0.03秒、B: 0.03秒、L: 0.01秒、A: 0.5秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

今回Hα画像をかなり強調して構造を出してみましたが、これはあくまでHα線でみた時に見える構造というだけで、暗い空でブロードで見る場合とは、構造も色もまた違ったものが出てくるのかと思います。


恒例のAnnotateです。たくさんの小さな銀河があることがわかります。
Image51_CT_BXT_SPCC_MGC_AS_GHS_GHS_HT_SCNRg_SCNRr_NXT4_cut_ss_an

特に中心部は形がわかる銀河がいくつもあって、面白いです。
Image51_galaxy


まとめ

無事に撮りましも終えて、やっと魔女の横顔星雲も霧がついた気がします。10月の撮影のRGB撮影でも赤い構造が少し見えていたので、ここをHαで見てみたらどれくらい模様があるのだろうというのが今回の鳥マシの動機でした。でも何度が撮影ミスがあったので、やはりまだ夜の撮影は完全復帰とは言い難い気がしています。

夜の撮影に関しては、新しい機材を試してみたいと思っています。私としてはちょっと珍しい機材です。まあ結果が出るまで時間がかかりそうなので、うまくいったらまた報告します。