前回の記事で4月12日にシーイングの持続時間を評価してみましたが、もう一つ試したことが太陽の全景撮影です。
全景撮影に関しては、前週の4月5日にも口径102mm 焦点距離1000mmの国際光器のMAGELLAN 102で試しています。面積の広いフォーサーズを使い、一応全景を入れて撮影はできました。でもPST的には、BFの5mmという径も、エタロンの良透過波長エリア的にも、プロミネンスがほとんど出ていなかったことからも、限界を超えていると言っていいでしょう。
問題点は焦点距離が長すぎるために、太陽の径が大きくなりすぎてしまい、BFで蹴られることでした。これはBFのマウントの穴径を広げることで、ある程度回避しました。もう一つは、エタロンの良像範囲がリング状に変化していき、Hαに一致する範囲に制限があることです。焦点距離1000mmでの太陽径では、この波長が合う面積内に全体を入れることが難しかったということです。
いずれにせよ、焦点距離が問題なので、鏡筒を変更する必要があります。レデューサーは像が決まった後に入れるものなので、今回は使えないでしょう。
とにかく全景に関しては、焦点距離1000mmではこれ以上解がなさそうなので、焦点距離の短い鏡筒を考えます。
また、カメラもフォーサーズのASI294MM Proはそもそも冷却も使う必要がないのでちょっと勿体無いです。しかも、冷却をしないとしても12V電源を別途繋がなければ使えないので、余分なケーブルが必要となり取り回し的にも面倒です。元々は、高分解能目的でbin1のピクセルサイズ2.3μmを狙っていたのですが、bin1だと(いまだに理由はわからないのですが) 4x4のピクセルパターンがどうしても出てしまうので、bin2での撮影にせざるを得ないということがわかりました。このことは、Phoenixで試したときもそうでしたし、4月5日に試したときもそうだったので、今のところ少なくとも太陽にASI294MM Proのbin1を使うことはできないという結論です。DSOにどこまで影響があるのかは、今のところ気付いたことはないのでよくわかっていません。
というわけで、カメラはモノクロでピクセルサイズが小さいものという観点から、とりあえず手持ちのASI290MMで入る範囲ということにしました。センサーサイズは1/3''とかなり小さいので、全景を入れようとしたら、計算上は焦点距離は400mmよりもかなり短くなってしまいます。実際、焦点距離400mmのPhoenixでもASI290MMだと全景は一度に入りませんでした。ただ、400mm以下だと分解能がかなり悪くなってくるので、とりあえず今回は焦点距離400mmにASI290MMで2枚のモザイクというので妥協します。今後センサーサイズの大きいカメラを使うことを検討しているので、そのうち1枚で写せるようになるかと思います。
さて口径です。順当に行くとPSTの鏡筒がちょうど焦点距離400mmなのでそれでもいいのですが、以前手持ちの口径8cmで焦点距離400mmのiOptronの安価な鏡筒を太陽で試して、口径4cmのPSTよりも分解能がよくなったので、今回も同じことをやってみます。
適当にレールを組み合わせ、PSTを無理やりっぽいですが、何とか鏡筒に取り付けます。でも全然ピントが出ません。上の記事を改めて見て写真を確認してみると、PSTをかなり鏡筒内部に入れ込むような状態で取り付けています。同じような距離になるくらいに組み直してみると、やっとピントが出ました。やっぱり記録のための写真は撮っておくものですね。
その状態でそれぞれ1000フレーム撮って上位75%をスタックしたもの2枚をモザイク合成したものになります。細部出しはImPPG、カラー化にはSolar Toolboxを使いました。カラー化後にモザイク合成を、Photoshopを使って手作業でやりました。
中心部の分解能と周辺部のHαの出方にまだ違いがあるので少し不満はありますが、口径10cm、焦点距離1000mmのMAZELLANで撮ったものよりも、はるかにHαの模様が出ています。全然出なかったプロミネンスも、少なくとも形が判断できるくらいには十分出ています。分解能も、モザイクで2枚に分けている効果もあり、同じASI290MMで1枚で撮ったものよりも出ています。
まあとりあえず全景撮影用として何とか使えると思うことにしますが、特にHαのコントラストでPhoenixには劣るので、いいエタロンが欲しくなります。
分解能は口径10cmの時よりもよくなっているので、10cmという口径は全景撮影には全然貢献していなくて、ほとんど意味がないことを示しています。カメラの解像度や、Hαの良像範囲のほうが聞いていたと言っていいでしょう。では、今回の口径8cmは分解能に貢献しているのでしょうか?同じ焦点距離で口径4cmと比較してみればわかるはずです。一応以前の結果では意味があったと結論づけているので、もし時間があれば今一度同じことをやってみてもいいかもしれません。
さて、ここで疑問になってくるのが、そもそも「PSTのエタロンはF10を仮定してあるはずのでは?」ということです。もう少し正確にいうと「エタロンのところで平行光になるようにエタロン手前にレンズ(調べた限り焦点距離200mmの凹レンズらしい)が入っていて、そのレンズがF10の光に対してエタロンに平行光を作り出すはずなのでは?」という意味です。
でも今回使った鏡筒は口径10cmで焦点距離400mmなので、F5です。今のレンズだと平行光にならないはずなのに、なんでこれでうまくエタロンが働くのでしょうか?
いくつかわからないことが出てきました。
ここら辺の疑問が、なぜPSTのエタロンは現状リング状に良像範囲が変わっていくのか?という疑問につながります。これまでは単純にモードが合っていなくてLaguerre-Gaussianモードが見えていると思っていたのですが、これだと上の疑問に全く答えられません。
ちょっとトリッキーですが、何とか太陽全景をそこそこの分解能で写し出すことができました。でも、なんでF5鏡筒でPSTエタロンが問題ないのかがよくわかっていません。とにかく事実としては、特に平行光を注意して作らなくてもエタロンは少なくとも働いているように見えることから、もしかしたら全くの思い違いをしている可能性もあります。ちょっとまだ答えは出ていないので、もう少し考えて、今後色々試していこうと思います。
4月5日の挑戦
全景撮影に関しては、前週の4月5日にも口径102mm 焦点距離1000mmの国際光器のMAGELLAN 102で試しています。面積の広いフォーサーズを使い、一応全景を入れて撮影はできました。でもPST的には、BFの5mmという径も、エタロンの良透過波長エリア的にも、プロミネンスがほとんど出ていなかったことからも、限界を超えていると言っていいでしょう。
問題点は焦点距離が長すぎるために、太陽の径が大きくなりすぎてしまい、BFで蹴られることでした。これはBFのマウントの穴径を広げることで、ある程度回避しました。もう一つは、エタロンの良像範囲がリング状に変化していき、Hαに一致する範囲に制限があることです。焦点距離1000mmでの太陽径では、この波長が合う面積内に全体を入れることが難しかったということです。
いずれにせよ、焦点距離が問題なので、鏡筒を変更する必要があります。レデューサーは像が決まった後に入れるものなので、今回は使えないでしょう。
口径8cm、焦点距離400mmで挑戦
とにかく全景に関しては、焦点距離1000mmではこれ以上解がなさそうなので、焦点距離の短い鏡筒を考えます。
また、カメラもフォーサーズのASI294MM Proはそもそも冷却も使う必要がないのでちょっと勿体無いです。しかも、冷却をしないとしても12V電源を別途繋がなければ使えないので、余分なケーブルが必要となり取り回し的にも面倒です。元々は、高分解能目的でbin1のピクセルサイズ2.3μmを狙っていたのですが、bin1だと(いまだに理由はわからないのですが) 4x4のピクセルパターンがどうしても出てしまうので、bin2での撮影にせざるを得ないということがわかりました。このことは、Phoenixで試したときもそうでしたし、4月5日に試したときもそうだったので、今のところ少なくとも太陽にASI294MM Proのbin1を使うことはできないという結論です。DSOにどこまで影響があるのかは、今のところ気付いたことはないのでよくわかっていません。
というわけで、カメラはモノクロでピクセルサイズが小さいものという観点から、とりあえず手持ちのASI290MMで入る範囲ということにしました。センサーサイズは1/3''とかなり小さいので、全景を入れようとしたら、計算上は焦点距離は400mmよりもかなり短くなってしまいます。実際、焦点距離400mmのPhoenixでもASI290MMだと全景は一度に入りませんでした。ただ、400mm以下だと分解能がかなり悪くなってくるので、とりあえず今回は焦点距離400mmにASI290MMで2枚のモザイクというので妥協します。今後センサーサイズの大きいカメラを使うことを検討しているので、そのうち1枚で写せるようになるかと思います。
さて口径です。順当に行くとPSTの鏡筒がちょうど焦点距離400mmなのでそれでもいいのですが、以前手持ちの口径8cmで焦点距離400mmのiOptronの安価な鏡筒を太陽で試して、口径4cmのPSTよりも分解能がよくなったので、今回も同じことをやってみます。
適当にレールを組み合わせ、PSTを無理やりっぽいですが、何とか鏡筒に取り付けます。でも全然ピントが出ません。上の記事を改めて見て写真を確認してみると、PSTをかなり鏡筒内部に入れ込むような状態で取り付けています。同じような距離になるくらいに組み直してみると、やっとピントが出ました。やっぱり記録のための写真は撮っておくものですね。
今回、PSTをこれくらい鏡筒の中に入れ込みました。
太陽全景画像
その状態でそれぞれ1000フレーム撮って上位75%をスタックしたもの2枚をモザイク合成したものになります。細部出しはImPPG、カラー化にはSolar Toolboxを使いました。カラー化後にモザイク合成を、Photoshopを使って手作業でやりました。
中心部の分解能と周辺部のHαの出方にまだ違いがあるので少し不満はありますが、口径10cm、焦点距離1000mmのMAZELLANで撮ったものよりも、はるかにHαの模様が出ています。全然出なかったプロミネンスも、少なくとも形が判断できるくらいには十分出ています。分解能も、モザイクで2枚に分けている効果もあり、同じASI290MMで1枚で撮ったものよりも出ています。
まあとりあえず全景撮影用として何とか使えると思うことにしますが、特にHαのコントラストでPhoenixには劣るので、いいエタロンが欲しくなります。
分解能は口径10cmの時よりもよくなっているので、10cmという口径は全景撮影には全然貢献していなくて、ほとんど意味がないことを示しています。カメラの解像度や、Hαの良像範囲のほうが聞いていたと言っていいでしょう。では、今回の口径8cmは分解能に貢献しているのでしょうか?同じ焦点距離で口径4cmと比較してみればわかるはずです。一応以前の結果では意味があったと結論づけているので、もし時間があれば今一度同じことをやってみてもいいかもしれません。
あれ?、F値は?
さて、ここで疑問になってくるのが、そもそも「PSTのエタロンはF10を仮定してあるはずのでは?」ということです。もう少し正確にいうと「エタロンのところで平行光になるようにエタロン手前にレンズ(調べた限り焦点距離200mmの凹レンズらしい)が入っていて、そのレンズがF10の光に対してエタロンに平行光を作り出すはずなのでは?」という意味です。
でも今回使った鏡筒は口径10cmで焦点距離400mmなので、F5です。今のレンズだと平行光にならないはずなのに、なんでこれでうまくエタロンが働くのでしょうか?
いくつかわからないことが出てきました。
- 平行光を生み出す200mm凹レンズの位置に対する要求はあるのか?焦点より後ろにレンズを置いた場合は、光がさらに広がっていくのダメなことはすぐわかります。じゃあ焦点の前ならば、どこでも平行光になるのか?特に、焦点に近づくと変なことは起こらないのか?
- エタロンは本当に平行光しか受け付けないのか?鏡の間の距離が短くてフィネスが10程度のオーダーなら平行光にこだわる必要はないのではないか?
- そもそも、F値ってなんなのでしょう?今の口径8cm、焦点距離400mmの鏡筒の対物側に、直径4cmの穴を中心に空けたキャップをつけたらF10になるのでしょうか?
- 口径を制限する穴は、カメラレンズで言う「絞り」と同等なんだと思いますが、絞りの位置はどこでもいいのでしょうか?エタロンの後に入れたら無意味なのはわかるのですが、例えばエタロンより前の対物側にだったらどこにつけてもいいのでしょうか?
ここら辺の疑問が、なぜPSTのエタロンは現状リング状に良像範囲が変わっていくのか?という疑問につながります。これまでは単純にモードが合っていなくてLaguerre-Gaussianモードが見えていると思っていたのですが、これだと上の疑問に全く答えられません。
まとめと今後
ちょっとトリッキーですが、何とか太陽全景をそこそこの分解能で写し出すことができました。でも、なんでF5鏡筒でPSTエタロンが問題ないのかがよくわかっていません。とにかく事実としては、特に平行光を注意して作らなくてもエタロンは少なくとも働いているように見えることから、もしかしたら全くの思い違いをしている可能性もあります。ちょっとまだ答えは出ていないので、もう少し考えて、今後色々試していこうと思います。



コメント
コメント一覧 (5)
ご推察の通り凹レンズの位置が変わると平行光ではなくなります。普通の望遠鏡を太陽に向けて(危険!)最適位置に凹レンズを置くと凹レンズより後ろに射出される太陽光の直径はどこまでいっても変わりませんが、凹レンズを対物に近づけると光線が広がり、対物から遠ざけると光線が収束するようになります。
凹レンズのF値よりも対物のF値が大きい場合、最適位置に凹レンズを置くと対物がケラれてしまうので8cmF5でも実質4cmF10として動作するはずですが、それで分解能が向上していたとしたら理由が謎ですね。
直径6cm公称半値幅0.7Åのエタロンで自分が試した限りでは凹レンズの位置を1~2cm前後させてもHαの見え方に変化があるようには見えませんでしたが、更に位置を変えていくと最適な位置では見えていたダークフィラメントや彩層のうねり、果てはプロミネンスも全く見えなくなりました。完璧に平行光でなくともエタロンは機能するようですが、平行光でなくなるにつれて透過波長がずれたり半値幅が広がったりするようです。エアギャップエタロンだとF70くらいの光線(約0.41度)なら凹レンズなしでも透過波長や半値幅が保たれるそうなので、平行光からのズレがそれくらいなら許容範囲なのかもしれません。
2枚のレンズf1とf2があった時に、合成レンズの公式 1/f = 1/f1 + 1/f2 - d/(f1 f1) から、平行光(太陽光)が対物レンズに入ってきて、エタロン手前のレンズを通り抜けた時に平行光になるいうことは、f=♾️ということなので、1/f1 + 1/f2 = d/(f1 f1) が成り立ち レンズ間の距離: d = f1 + f2 が最適距離になり、それからズレると平行光からズレるというので理解しています。gariさんはそれを太陽で実際に試されたということですね。納得です。
上のように考えると、PSTの場合F10というのが一人歩きしているように思えます。PSTでの実際の値を入れてみると、
400mmレンズ-> 距離200mm-> -200mmレンズ-> 平行光-> 距離200mm-> 焦点
となり、これで上の合成レンズの式を満たします。ここには口径が入ってこないので、この条件は口径8cmでも成り立ち、F5とかF10というのは意味をなさないことになります。
口径4cmの焦点距離400mmで、200mm進むとビーム径は半分の直径20mmになります。口径8cmの焦点距離400mmで、200mm進むとビーム径は半分の直径40mmになります。レンズ径は実測で23mm程度なので蹴られますが、少し得するはずです。
もう少し進めて、エタロンが平行光をそこまで要求しないとしたら、レンズ間距離が多少適当でも大丈夫ということにもなります。たとえば対物レンズと最初のレンズの間の距離が短いと、そこに不十分な凹レンズを入れても平行にはしきれなくて、緩い収束のまま進み、後ろのレンズでより収束させるためにエタロン後の焦点の位置がエタロンに近づくというような状況も可能かと思います。逆にレンズ間距離が長いと、エタロン後のレンズで集光しにくくなり、焦点距離が伸びます。もちろん、gariさんが試されたようにエタロン側にも受け入れる光の限界はあるはずなので、ある限られた範囲なのかと思いますが、多少自由度は増えるはずです。
これらのことを考えると、PSTを使う場合、焦点距離が同じ鏡筒で口径を増やすと、レンズを含めたエタロン全体を、(エタロンが働く範囲で)できるだけ後ろに置いた方が得するということになります。ただし、エタロン後の焦点距離が伸びるので、カメラ位置を後ろにする必要があるかもしれません。たとえば2cm後ろに下げたら1割得するはずで、元々のレンズの余裕が15%ほど程度あるので、合計で3割程度解像度が増すということになります。
一応計算すると、口径4cmの時のドーズ限界が2.9秒角くらい、口径8cmの時が1.45秒角くらいです。今のASI290MMだと焦点距離400mmで1.4秒角/pixとかなので、まだ違いを検証できる範囲です。
これらの考えが正しいなら、記事の中で挙げた疑問は結構解決しますし、口径8cmのF5でも解像度が多少上がったというのもあるていど納得できてきます。
言われてみればHαの見え方が許容できる範囲でなるべく後ろにレンズを置けば対物の有効径は増すので解像感が増すのも納得です。自分でレンズの位置と光の広がり方を確認しておきながら気づいてませんでした😅
まだ見落としていることがある気がしていて、なぜPSTエタロンがリング状に変化するのか、実は原因もはっきりとはわかっていないという状況なので、なんとか改善まで辿り着きたいと思っています。