年明けからCP+での講演のためにでPhoenixに付き合って以来、太陽熱が再燃しています。でもPhoenixはもう返してしまったので、手持ちのPSTで楽しもうと思います。
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CP+が太陽熱再燃のきっかけに

昨年度の振り返りでも太陽にはほとんど触れなかったことからもわかるのですが、ここしばらく太陽から離れてしまっていました。たまに撮影とかするのですが、あまり進展がないのでイマイチ盛り上がっていませんでした。理由としては
  • 粒状斑が一向に分解能よく見えてこない。
  • C8は焦点距離が長いので、PSTでみると良像範囲がどうしても限られてしまい、画面の中で分解能がいいところと悪いところに差ができてしまう。
  • 良像のところは満足だが、結果がシンチレーションに依ってしまい、機材ではもうこれ以上伸ばすのはあまり簡単ではない。
などでしょうか。何か機材などで進化したことを撮影で確認するというのが一番楽しくて、進化がないのに撮影を続けるのは結構苦痛になってしまうのです。

太陽が盛り上がってきた理由はいろいろあります。例えば、
  • 今太陽活動の最盛期か少し過ぎたくらいなのに、この時期を楽しまないのは勿体無い。
  • Phoenixのエタロンの精度がかなり良かったので、PSTエタロンをもう少し活用できないか考えたくなった。
  • CP+のサイトロンブースでのフォトコンの裏側の話で、選考には残らなかった画像の中に、ものすごい分解能の粒状斑を写した画像が紹介されていた。
など、CP+のスライドを作っていた時とか、CP+で聞いたセミナーがきっかけだったりします。


良像範囲の検討

良像範囲がどんなメカニズムで決まっているかを確認するために、普段使っているASI290MMよりもセンサー面積の大きいApollo-M miniで見てみました。どうやら光がセンサーまで届く範囲はそこまで大きくはなく、円状になっているのがわかります。右と左では、左の方がより暗くなっているようです。

09_38_44_Sun_00001 09_38_44_WithDisplayStretch

さらに、エタロンの良像範囲はリング状に分布していることがわかりました。上のそこそこエタロンの回転角があっている場合から、エタロンの回転角を変えていきます。
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09_39_04_Sun_00001 09_39_04_WithDisplayStretch

どんどん中心が明るくなって、同心円状に広がっていく様子がわかります。明るくなっているところは波長がずれているところにあたります。

現在2台のPSTを所有していて、以前良像範囲については一度検討しています。1台目はリング状に、2台目は線上に良像範囲が変化すると書いてありますが、どうもこれは見ている場所が違うだけで、結局は2台ともリング状に変化すると思って良さそうです。


ペンタプリズムの位置調整

実は先々週、1台目のPSTの箱の部分の蓋を開け、ペンタプリズムの位置を動かしていろいろ調整してみました。
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元々こんな風ペンタプリズムは組み込まれています、下に見えるバネ付きの棒が焦点合わせのつまみで、これが回転することでペンタプリズムが載っている台が前後します。上の黒い塊はただの押さえで、さらに上に貼り付けられたフェルト生地で箱の上蓋に接していて、フェルトで滑りやすくなっています。

これをはずして、下の台座からプリズムをカッターナイフを使って外しました。
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上の良像範囲の画像で見た、画面の左側の方が暗いのを、左右均等にしようとかしたのですが、ペンタプリズムの位置をどう変えても、この状況を大きく変更することはできませんでした。光が当たる範囲を上下させることはできるのですが、左右に変化させることはほとんどできません。どうやら、光がペンタプリズムの厚みで制限されてしまっていることが原因とわかってきました。

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手前から光がペンタプリズムに入射し、奥の面、右側の面と2回反射し、左側に抜けていきます。左の黒い壁に投影されている光を見ると、ペンタプリズムの厚みで上下がカットされているのがよくわかると思います。

1台目のPSTのペンタプリズムの位置をある程度最適化すると、2台目のPSTの見え方にかなり近くなりました。左側がどうしても欠けること、エタロンの回転角でリング状に良像範囲が変わることは2台ともほぼ同じです。なのでこの見え方はPSTにある程度固有のものと捉えて、今回はこれ以上は諦めることにしました。


2つのピント合わせの使い分け

今週になってもう一つ、C8でのピント合わせと、PSTでのピント合わせのどちらが得かを検討してみました。

結論としては「PSTのネジを締め込んで、C8でピント合わせした方が良像範囲が多少広がる」ということがわかりました。
  • PSTのネジを引き出して、C8でピント合わせ: PST内での光路長が長い場合
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  • PSTのネジを締め切って、C8でピント合わせ: PST内での光路長が短い場合
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画像を見比べると、明らかに下の方が両像範囲が大きいです。例えば、わかりやすいところでは、四隅の黒い部分は下の方が小さくなっています。

理由を考えてみます。PSTのネジを締め込むということはペンタプリズムがよりアイピース口に近づくということになります。PSTのピント合わせがどんな位置にあるにせよ、C8の焦点調整範囲ははるかに広くてセンサー面に焦点をあわせることができます。最終的にピントが合った状態では焦点位置はセンサー面で固定すると考えると、PSTの焦点つまみをいじることは「C8の副鏡からセンサー位置の間のどこにペンタプリズムを置くか」ということに他なりません。すなわち、PSTの焦点つまみを締めることはペンタプリズムをより光の径の小さい焦点側に寄せるということになります。上でも書いたように、ペンタプリズムの厚みで光がカットされていると思われるので、そのカットをできるだけ小さくするためにペンタプリズムを焦点側に寄せると、より良像範囲が広がるということで、ある程度納得できます。


カメラセンサーの位置

さらにもう一つ試したことが、カメラをアイピース口にの奥まで差し込んだ方がいいのか、抜き気味で遠くで固定した方がいいのかです。

現在一番径が小さいところはBF部分です。直径5mmほどでしょうか。ここで焦点になれば一番得なはずなので、最終的に焦点が合うはずのセンサー面がBFに近い方がいいと予測しました。でもどうも結果は逆で、センサー面を遠くに置いた方が良像範囲が広がるようなのです。
  • カメラをアイピース口の奥まで押し込んだ場合
09_51_38_Sun_00001 09_51_38_WithDisplayStretch_camera_near

  • カメラをアイピース口で少し浮かせて固定した場合
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わかりにくいですが、下のカメラを離して固定した方が、特に画面右側の広がりが明るくなっています。

画像を見てピントが合った状態にしてから、カメラとBFとERFを外して、PSTの出射口から出てくる光に手を当ててみると、どうも径が一番小さいところはセンサー面が元にあった位置ではなく、もっとPST寄りに見えます。例えばここの図にもあるように、確かにセンサー面である広がりを持つので、最小径はその手前ですね。

というわけで、今回の場合はカメラはある程度離した方がいいことがわかります。必要なら、もっと積極的にBFに焦点を持ってくるようにきちんと計算して距離を決めてもいいかもしれません。


エタロンの良像範囲

いずれにせよ、以前よりも良像範囲が少し広がったというのが、先々週と今週でやったことの成果です。良像範囲という言葉を適当に使ってしまっていますが、今回改善した良像範囲はあくまで光の欠けが小さくなった部分のことで、エタロン起因の波長のズレによる良像は何ら改善していないです。

エタロンの像がどうしてリング状になるのか少し考えてみました。

元々PSTのエタロンはF10を仮定して前後にレンズが置かれています。このF10の傾きに合わない光線ならリング状に波長ズレが起こってもおかしくないです。でもC8はF10で大丈夫なはずと思っていましたが、よく考えたらC8はカセグレン系鏡筒です。主鏡と副鏡の組み合わせで短い距離でF10を実現しているだけなので、F10とは名ばかりで光線の収束具合は違うはずです。最初コレか!と思ってレンズを用意する必要があると思ってC8の設計を調べたのですが、このページにある8インチのシュミカセの典型的なデザインを見ると、副鏡から焦点までの距離が127+240+127~500mmで光の半径が24mm (~直径50mm)になるので、副鏡より後ろはF10と思って良さそうです。このデザインがC8と同じかはわかりませんが、あまり変な設計にするとは思えないので、とりあえずエタロンが入る位置でのF10相当の傾きは正しいと思うことにします。

そうすると他の可能性ですが、例えば熱レンズ効果でしょうか?エタロン手前にUV/IRカットフィルターが入れてあるとはいえ、エネルギーの半分くらいを占める可視光はそのままエタロンに入り得るので、そこそこの光量になります。エタロンでは櫛状に入ってきた光が10回程度のオーダーで折り返されるので、もしエタロンにロスがあったら中心部が温まりエタロンに温度勾配ができる可能性があります。温度勾配はレンズと同じ効果をもつので、平行光にならずにリング状のモードが見えてもおかしくはありません。

これを確かめるために、エタロンに入る光量を下げてみました。具体的にはUV/IRカットフィルターの後にMarumiの赤いR2フィルターを追加しました。そうです、以前熱で割れてしまったものと同じフィルターです。波長域で考えると少なくとも光量は4分の1くらいにはなるはずなので、もしこの熱レンズ効果が犯人なら何らかの違いが見えることでしょう。でも結果はほとんど違いは分からず。どうやら熱が原因ではないようです。

ちなみに今回は手前にUV/IRカットフィルターがあるためにR2フィルターはほとんど熱くもならず、そのまま入れておいても問題なさそうなので、入れっぱなしで残しておきました。やはりUV/IRカットフィルターだけでもかなりの効果があり、そこの反射光を実際に見てみると、十分に広がって対物側に返ってきていることもわかりました。集光はほぼされていないので、たとえ仮に目に入ったとしても、太陽を直接見るよりもエネルギーは小さいはずです。

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ちょっとわかりにくいですが、C8の対物側のカバーの裏に鏡筒内からの
反射光を当てています。右に見える半円の明るい部分が鏡筒内の
UV/IRカットフィルターで反射された光です。

というわけで、エタロン部の改善は引き続き課題なのですが、もうこうなってくると本当にエタロンの精度そのものが悪いという結論にもなってきます。この件、今後もう少し調べます。


とりあえずの撮影結果

先々週の3月9日と、今週3月22日に、調整作業のついでにC8で太陽撮影しました。9日はシーイングがボロボロでしたが、22日ものは多少見ることができそうなので、ここに載せておきます。

黒点AR4030まわりです。
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  • 撮影日: 2025年3月23日8時40分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10)  + Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影: SharpCap Gain 150、露光時間1.25ms、500/1000 frames
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop CC

カラー版です。
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上の画像はトリミングしているのでそこそこ解像度が出ているのかと思いますが、元の画像を見るとやはり全面一様というよりは、中心以外はかなり粗く、ボケているのがわかります。
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これでも良像範囲の調整はしたあとなので、以前よりは多少マシになっています。

その後、次の日の3月23と合わせてPHD2のガイドなども試しましたが、これは次の記事で書くことにします。