つい先日仕上げた勾玉星雲ですが、赤が強いのが気に入らなかったので再処理しました。


RGB画像の見直し

WBPPまでは同じですが、そこからはかなり方針を変えています。元々はAOOにRGBの恒星を加えたようなものでした。Hαはよく撮影できているので、この階調の豊かさを残したかったのです。問題はOIIIで、星雲本体の際中心部以外にはほとんど構造を持っていなくて、結局は背景を含むほとんどの場所が赤一色になってしまい、もうどうしようもないです。

そこで改めてRGB画像を見てみました。自宅撮影で背景光が明るくて、スカイノイズが支配的なためにノイジーなのですが、強炙り出ししてみるとそこそこ階調が残っていることがわかります。例えばHαとR画像を比較すると、

Hα画像:
MGC2048_5_10_better_BXT_HT_NXT_back_LHE_A_s

R画像:
Image22_R_s
と、Hα画像に比べてR画像はノイジーですが、同じような形の模様が見えています。

ところがOIIIとB画像を比べてみると

OIII画像:
integration_O_ABE2_SPFC_BXT_back_LHE_OIII_s

B画像:
Image22_B_s
B画像の方が当然ノイジーなのですが、より広い領域にわたり青成分が広がっているのがわかります。

ちなみにG画像は以下のようになり、これもOIII画像より構造を含んでいます。
Image22_G_s

というわけで、方針としてはRGB画像のRをHαと入れ替え、GとBは少しきつめのノイズ軽減をしてきちんと使い、OIIIは最初から使わないという方向でいきます。


比較

結果は
Image26_HT4_cut_s

となり、赤の諧調をそこそこ残しつつ、星雲本体の中心以外はほぼ赤一辺倒だったものから脱却し、多少なりともBとかGを生かすことができました。前回はMGCで頑張って調整したRGBをほぼ全く生かせてなかったのですが、これでMGCの結果も生かせたことになります。

ちなみにAOOベースのものはこれだったので、やはりかなり赤だけが相当強いのがわかります。
Image03_AOO2_s_brighter_cut

ただ、こうやってAOOベースと比べるとRGBベースはどうしてもノイジー感が出てしまいます。これは痛し痒しで、まあ彩度とノイズレスのどちらを取るかなので、仕方ないですね。


MARSデータベースのアップデート

3月21日にこの記事を書いているのですが、画像処理は昨日のうちに終えています。ちょうど今朝、新しいMARSデータベースがリリースされたとアナウンスされました。なんとOIIIデータが含まれたらしいです。これでAOOは可能になり、SAOもRをSに適用することで簡易的に可能となったとのことです。あと、オリオンのデータの露光時間が68分から11時間と約10倍になったとのことですが、もうオリオンも季節終わりなので、実際に使えるのは来シーズンでしょうか。

今回のRGB+Aでの画像処理ですが、せっかくのMARSアップデートなので、今一度OIIIを復活させて再再処理してみてもいいかもしれません。