関西唯一の星まつり、「星をもとめて」に参加してきました。今年は星まつりの参加を少し控えています。今回はちょうどSWAgTiでディザー撮影が成功したので、Unitecさんのブースで展示させていただけることになり、日帰りでしたが少し頑張って行ってきました。
できた記事を読み返してみましたが、完全に自分目線の日記がわりなので、星もとの情報を知りたいとか、雰囲気を知りたいとかでは、あまり役に立たないです。ごめんなさい。
出発は星もと当日の日曜日の朝6時頃。私的には星まつりにしてはゆっくりめの出発で、昼前くらいの到着になるでしょうか。そもそも今回の星もと、事前の天気予報はあまり良くなくて、特にSCWだとずっと雨の予想でした。「どうせ何も見えないや」と高を括って、特に撮影や電視観望の事前テストなどはせず、SWAgTiの展示用の機材を用意しておくくらいでした。
富山から日本海側経由で京都に向かう途中、敦賀JCTの手前の南條SAで休憩です。ちょうどお腹が空いたので、朝のレモン味のさっぱりラーメンを食べます。同じものを去年も食べたのを思い出しました。なのでこのラーメン、2年連続になります。
日本海側周りなので基本的に渋滞は全くなかったのですが、結構のんびり運転してたので現場に着いたのは午前11時頃だったでしょうか。今回は機材をUnitecさんのブースに運ぶので、テント裏に車を停めさせて頂きました。偶然にもUnitecさんの車が後ろにきていたので、展示準備のタイミング的にもちょうどいいくらいの時間でした。
今年も場所は「るり渓」なのですが、去年までの北側の駐車場の奥のスペースとは違います。南側の開けた広場のようなところで、ステージがある場所です。聞いたところによると、第4回までの星もとはこの場所で開催されていたとのことです。
かなりダメそうだった天気予報にもかかわらず、雲は厚いですが所々に青空も見えていましたし、広場中央に並べられた太陽望遠鏡も、青空が通るタイミングでプロミネンスがよく見えています。しかも滞在中雨は一滴も降らずに、完全にいい意味での裏切りの天気でした。
何人かの方が言っていましたが、星もとは「胎内などの大型星まつりほど規模が大きくなく、アットホームでいい」とのことです。天気も悪くなかったので、この日は多くの人が来ていましたが、会場が溢れたりすることもなく、食べ物なども普通に買うことができました。関西の方達の気さくな雰囲気もまた、星もとらしさを醸し出しているのかと思います。
今回はUnitecさんと外山電子さんのブースに居候しました。小さな机を出してもらって、その上にモニターを置き、その横にSWAgTiを展示しました。モニターには出発前日の夜寝る前に突貫で作ったパワポスライドで説明ファイルを、ループで表示させておきました。席を空けていても、ある程度理解してもらえるのではと思ったからです。あまりこんなことはやったことはないので、スライドのクオリティはイマイチでしたが、見ていてくれた人もいたので、今後こういったことをやる場合はもう少し作り込んでいければと思います。
今回のSWAgTi展示の事前宣伝に関しては、ディザーのところで記事にしたくらいで、あまり大袈裟にしていなかったのですが、現場にいると意外なほど興味を示してくれる方が多かったです。ブログを読んでくれた方、その場の機材を見て不思議そうな顔をしている方、古くからもSWATファンなど、いろんな人から質問を受けました。この反響にUnitecのスタッフの方も少し驚かれていました。私の方も今年はディザーで縞ノイズを消せたので、少し自信を持って紹介することができました。
SWAgTiは一見「魔改造」に見えるかもしれませんが、実はかなり理にかなっています。オートガイド無しで、かつディザリングは有りという、ちょっと変則的な撮影です。でも、ガイド鏡も、ガイドカメラも、ガイドカメラを繋ぐケーブルも、PHD2などのガイドソフトも、一気に無くすことができるお気軽撮影です。その一方ディザリングだけはして、数時間以上の長時間露光でも縞ノイズを避けることができます。
このガイド無しお気軽撮影は、SWATの超高精度の追尾性能が大前提になります。お気軽と言っても、あくまで長時間露光を目指していて、長時間のドリフトからくる「縞ノイズ」を、AZ-GTiの2軸を使った「ディザリング」で回避しているのです。それに加えて、自動導入やプレートソルブ(まだちょっと不安定ですが...)も可能となるというおまけもついてきます。こんな説明を現地でしていたのですが、聞いてくれた皆さんは、かなり納得されているようでした。「SWATとAZ-GTiの組み合わせがメカメカしくてかっこいい」と言ってくれる方もいました(笑)。
何人かの方から「SWATが高い」という意見を聞きました。SWATは一般的な小型赤道儀どころか、中型赤道儀や大型赤道儀と比較してもまったく遜色ない精度を謳っています。しかも、その精度は全部実測してから出荷しているとのことなので「この値段でこの精度を『確実に』手に入れることができるのは、ある意味安価なのでは」と、私が思っている感想を率直に伝えたりしていました。「最近の冷却CMOSカメラは、本格的なものを揃えようとするとかなりの額になるので、それよりは全然安いですよ」などとも話していたのですが、何人かの方は本気でSWAgTiを試してくれそうな雰囲気でした。SWAgTiユーザーが増えたら、私としてはかなり嬉しいです。
まだ安定性などに少し問題があることも事実なので、できるだけこのブログで情報を発信していこうと思います。今回のブース展示も含めて、Unitecさんにはかなりお世話になっていますが、基本的には完全に私個人のアイデアで、私自身が面白いと思っていて、実用レベルで使いたいからやっているものです。なので、SWATとAZ-GTiを組み合わせることについては、Unitecさんもサイトロンさんも、何のサポートもできないかと思います。そこら辺をご理解いただいた上で、ユーザーの工夫や改造改良で楽しめる天体趣味の醍醐味というものを、各自の責任で楽しんでいただければと思います。
SWAgTiの方はモニターでの解説もあるので、適度に席を立って会場内のブースを回ります。と言っても最近物欲はあまりないので、購入品は本当にちょっとしたものだけです。KYOEIさん名物のジャンク市も遠目で見ていて、少し空いた頃にちょっとだけ箱の中を覗きましたが、何か購入するには至りませんでした。
面白かったのは星見屋さんんところに置いてあった、笠井トレーディング製のStellaBino50でしょうか。アイピース交換可能の、50mmの鏡筒2本をくっつけた双眼鏡で、プリズムなどの余分なものが一切ないので、コントラストが極めて高いです。ちょっと欲しかったですが、今回は我慢しました。
星見屋ではZWOのフルセットも置いてありました。AM5の初期型かなりの特価で出てるのが会場内で話題になっていました、この値段なら欲しい人も多いのではないかと思いましたが、その場の現金でとなるとちょっと考えてしまいます。また、展示されていた新型AM5の、電源ポート付きのアリミゾが便利そうでした。
似たようなコンセプトのものがPegusas Astroにありますが、日本での販売はまだないみたいです。
これと比べても、赤道儀と一体なので、アリミゾの電源入力のケーブルを赤道儀内部から持って生きているのが強みですね。
サイトロンの注目はやはりSkyWatcherの太陽望遠鏡でしょうか。実際に太陽を覗く機会がありましたが、プロミネンスが綺麗に見えていました。挿してあったアイピースがズーム型のもので、簡単に拡大して見ることもでき、表面の模様の詳細がかなりよくわかりました。
他にも太陽関連では、最近色々成果を出しているgariさんと直接話すことができました。エタロンのことなども普通に話ができたので、きちんと理解されて物事を進めているようで、素晴らしいと思います。私も近いうちにPSTの光軸合わせをやってみたいと思っています。SkyWatcherの太陽望遠鏡は先端につけたエタロンが実際に外れることがわかったので、(太陽望遠鏡の改造は当然メーカー非推奨ですが)改造のし甲斐があるとgariさんと盛り上がっていました。
17時からは集合写真の撮影です。司会者の説明によると、集合写真は全員参加が義務とのことなので(笑)、私ももちろん参加しました。オークションはちらっと見ていただけで、落札とかは全然していません。時折ステージからブラスバンドの音楽が聞こえてきたりですが、ずっと聞いているというようなこともなく、会場内をフラフラしていたか、暑かったのでUnitecブースで座って体力が無くならないように過ごしていたのがメインでした。
なんでUnitecブースに長居してしまったか?それは、なんと冷風器が置かれていたからです。星とは全然関係ないのですが、これすごいですよ。コンプレッサーが入っていて、本物のクーラーと同じで冷たい風が出てきます。湿気を取る代わりに水がポタポタ出てくるのもクーラーと同じです。シャツの中に風を入れると相当気持ちがいいです。消費電力は130W程度で、ポータブル電源でも結構な時間持ちそうです。本体値段を聞いたら1万数千円と全然大したことなかったので1シーズンで壊れてもいいくらいのコストパフォーマンスです。
なんで星と関係ないこんなことを強調して書くかというと、去年から現地開催が復活した星まつりの際の暑さで、実際参っている人の話を何人も聞いているからです。3週間前の胎内星まつりで2日目に体調が悪くなって早退してしまった外山電子さん。かなり心配していたのですが、この日は元気に回復されていて、同じブースでお世話になりました。聞いたらやはり胎内では熱中症だったようで、しばらく体調を悪くしてしまい、この星もとがやっと復活しての最初の星活動だとのことでした。Unitecさんも去年の胎内でバテてしまったそうで、今年は暑さ対策ということで今回のクーラーを用意してきたとのことです。去年も今年もとにかく暑くて、星まつりに限らず、外での熱中症対策として私もこのクーラー欲しくなりました。
快適といえば、デモで出ていたクッションでしょうか。
夕方段々と暗くなってきましたが、空を見ると、なんとほぼ一面晴れています。雨予報だったので大した準備もしてなかったのですが、せっかくなのでSWAgTiにRedCat51とUranus-C Proを載せて電視観望兼撮影でもしようと機材を出しました。ところが、手持ちのM1 MacでUranus-C Proを認識できず、諦めてもっと小さな、いつものFMA135と非冷却のUranus-CをSWAgTiに載せてしまいました。しかもSWATは使わずにAZ-GTiのみで、いつもの簡単な電視観望となってしまいました。唯一良かったのが、宣伝用に24インチモニターを使っていたので、それを利用してお客さんの方に向けて電視観望の映像を表示しました。
せっかくの機会なのに、口径わずか3cmで申し訳ないと思ったのですが「それでどこまで見えるか、実際見てみたい」と言ってくれるお客さんもいたので、少し気が楽になりました。導入も少し不安定だったり、月齢12.3日のかなり明るい月もありましたが、それでもM57から始まり、M27、北アメリカ星雲、アンドロメダ銀河、三日月星雲と定番ですが、連続で見せることができました。
アンドロメダ銀河を見ている時に、ちょうど隣で外山電子さんがPHQ80にGFX100のモニター画面でアンドロメダ銀河とか写していたのですが、私の電視観望の画面を見ながらひたすら「けしからん、けしからん」と言っていました。口径わずか3cmですが、PCがあるのでリアルタイムで画像処理をしているようなものなので、やはり炙り出しで大きく有利になってしまいます。「こんないい時代になって、けしからん」ということらしいです(笑)。
21時頃になると空がかなり雲に覆われるようになってきました。電視観望のライブスタックでも星が認識できなくなってドロップし始めたので、少し放っておいて周りをぷらっと歩いてきました。
その途中、3月の「星なかまの集い」でお会いした、惑星撮影の大家のKさんから「惑星を見るのにアイピースで見るのとモニターで見るのどちらがいいと思いますか?」と尋ねられました。私は惑星はアイピースで見た方がいいと思っています。でもKさんの答えは意外で、モニターで見た方がいいという意見が多いというのです。そこで、例えば月を考えました。月はモニターで見るより目で見た方がいいと思います。明るいので十分拡大してもよく、細部まで見えるからです。その一方、星雲は電視観望だとはっきりと色がついて見えるので、眼視とは全く別の楽しみ方だと思います。惑星は月寄りか、星雲寄りかと考えると、どちらかというと月よりだと思うので、アイピースで見た方がいいと思うのです。でもKさんは惑星は暗いと言います。結局Kさんがなぜこんな質問をされたのか、最後まで意図がわからなかったのですが、惑星を極めている方の意見です。何か深い考えがあるのかと思います。大ベテランのKさんですが、自分のやり方を押し付けたり、人がやっていることを否定したりするような素振りは一切なく、一緒にいろいろと考えさせてくれます。この質問もやはり答えが深いかもしれなくて、自宅に帰ってからも今も色々考えてしまいます。
KさんがいらっしゃったブースにC14があり、実際に土星を見させて頂きました。雲越しでしたが、さすが14インチだけあって、大きく拡大していても十分に明るいです。さらに面白かったのが、そのC14を載せている片持ちの赤道儀がどう見ても手作りで、聞いたら一から設計したとのことです。赤道儀だけで重さ40kgとのことなので、さすがC14を載せられるだけのことはあります。その赤道儀のコントローラーに、なんとVixenのスカイセンサー2000がまだ現役で使われているのです。私はSS2000については昔の雑誌で見たくらいの知識しかないのですが、赤道儀の制御を一般化させる画期的な機器だったと理解しています。コンピュータで言うとオープンアーキテクチャのIBM PCといったところでしょうか。当時のVixenは規格そのものをを立ち上げるくらいの勢いがあったことが伺えます。私的には、実際に動いているSS2000を見たのは初めてで、かなり衝撃でした。そこへ飛び込んできたのが外山電子さん。なんとSS2000をまだ7台も持っているというのです。天文界隈にはすごいベテランさんが多すぎです。
雲のせいもあり、会場全体がまったりモードだった気がします。Unitecブースに帰って空を見上げても、まだ一面雲でした。あと1時間くらいで晴れるかもと言う情報を聞きましたが、次の日のこともあるので、ここで片付け始めて帰宅としました。最後挨拶だけして、22時頃に会場を後にしました。
この日の戦利品はわずかこれだけです。
星を始めた頃はものが安く買える星まつりがものすごくありがたかったのですが、私は基本的には買ったものは売ったりしないので、自宅はすでにジャンク部品やあまり使わない鏡筒などで溢れかえっています。なので自分の中で星まつりに参加する目的も変わって来ているのかと思います。少し前までは電視観望の普及にも力を入れてましたが、最近はスマート望遠鏡も出て、普及という意味ではもう十分な気もします。今は人に会ったり、面白い話があったら議論したり、今回のSWAgTiみたいに面白いアイデアがあったら見てもらうとかがメインでしょうか。
帰りの高速では、行きにも寄った南條SAで0時過ぎの夕食です。よく考えたら、売店で買ったサラダ巻きを少し食べただけで、まともな夕食を取っていないことに気付いて、夜中でしたがガッツリ食べてしまいました。
自宅に到着したのは午前2時半過ぎだったでしょうか。そのまま片付けもせず、汗をかいていたのでシャワーだけ浴びてすぐに眠りにつきました。
会場滞在は12時間を切るくらいでしたが、ちょっと体調が悪い今の私ではこれくらいが限界です。次の月曜は祝日で、十分に休養を取りました。そういえば、胎内星まつりは滞在4−5時間でブログも書いていないです。小海も行くかどうか迷っています。今年はとにかくあまり無理をしないで、できる範囲でゆったりと星活動をしていければと思います。
できた記事を読み返してみましたが、完全に自分目線の日記がわりなので、星もとの情報を知りたいとか、雰囲気を知りたいとかでは、あまり役に立たないです。ごめんなさい。
当日朝の移動
出発は星もと当日の日曜日の朝6時頃。私的には星まつりにしてはゆっくりめの出発で、昼前くらいの到着になるでしょうか。そもそも今回の星もと、事前の天気予報はあまり良くなくて、特にSCWだとずっと雨の予想でした。「どうせ何も見えないや」と高を括って、特に撮影や電視観望の事前テストなどはせず、SWAgTiの展示用の機材を用意しておくくらいでした。
荷物の量も大したことありません。
玄関からパッと座席に置いただけで出発です。
富山から日本海側経由で京都に向かう途中、敦賀JCTの手前の南條SAで休憩です。ちょうどお腹が空いたので、朝のレモン味のさっぱりラーメンを食べます。同じものを去年も食べたのを思い出しました。なのでこのラーメン、2年連続になります。
日本海側周りなので基本的に渋滞は全くなかったのですが、結構のんびり運転してたので現場に着いたのは午前11時頃だったでしょうか。今回は機材をUnitecさんのブースに運ぶので、テント裏に車を停めさせて頂きました。偶然にもUnitecさんの車が後ろにきていたので、展示準備のタイミング的にもちょうどいいくらいの時間でした。
今年も場所は「るり渓」なのですが、去年までの北側の駐車場の奥のスペースとは違います。南側の開けた広場のようなところで、ステージがある場所です。聞いたところによると、第4回までの星もとはこの場所で開催されていたとのことです。
かなりダメそうだった天気予報にもかかわらず、雲は厚いですが所々に青空も見えていましたし、広場中央に並べられた太陽望遠鏡も、青空が通るタイミングでプロミネンスがよく見えています。しかも滞在中雨は一滴も降らずに、完全にいい意味での裏切りの天気でした。
何人かの方が言っていましたが、星もとは「胎内などの大型星まつりほど規模が大きくなく、アットホームでいい」とのことです。天気も悪くなかったので、この日は多くの人が来ていましたが、会場が溢れたりすることもなく、食べ物なども普通に買うことができました。関西の方達の気さくな雰囲気もまた、星もとらしさを醸し出しているのかと思います。
SWAgTiの紹介
今回はUnitecさんと外山電子さんのブースに居候しました。小さな机を出してもらって、その上にモニターを置き、その横にSWAgTiを展示しました。モニターには出発前日の夜寝る前に突貫で作ったパワポスライドで説明ファイルを、ループで表示させておきました。席を空けていても、ある程度理解してもらえるのではと思ったからです。あまりこんなことはやったことはないので、スライドのクオリティはイマイチでしたが、見ていてくれた人もいたので、今後こういったことをやる場合はもう少し作り込んでいければと思います。
今回のSWAgTi展示の事前宣伝に関しては、ディザーのところで記事にしたくらいで、あまり大袈裟にしていなかったのですが、現場にいると意外なほど興味を示してくれる方が多かったです。ブログを読んでくれた方、その場の機材を見て不思議そうな顔をしている方、古くからもSWATファンなど、いろんな人から質問を受けました。この反響にUnitecのスタッフの方も少し驚かれていました。私の方も今年はディザーで縞ノイズを消せたので、少し自信を持って紹介することができました。
SWAgTiは一見「魔改造」に見えるかもしれませんが、実はかなり理にかなっています。オートガイド無しで、かつディザリングは有りという、ちょっと変則的な撮影です。でも、ガイド鏡も、ガイドカメラも、ガイドカメラを繋ぐケーブルも、PHD2などのガイドソフトも、一気に無くすことができるお気軽撮影です。その一方ディザリングだけはして、数時間以上の長時間露光でも縞ノイズを避けることができます。
このガイド無しお気軽撮影は、SWATの超高精度の追尾性能が大前提になります。お気軽と言っても、あくまで長時間露光を目指していて、長時間のドリフトからくる「縞ノイズ」を、AZ-GTiの2軸を使った「ディザリング」で回避しているのです。それに加えて、自動導入やプレートソルブ(まだちょっと不安定ですが...)も可能となるというおまけもついてきます。こんな説明を現地でしていたのですが、聞いてくれた皆さんは、かなり納得されているようでした。「SWATとAZ-GTiの組み合わせがメカメカしくてかっこいい」と言ってくれる方もいました(笑)。
何人かの方から「SWATが高い」という意見を聞きました。SWATは一般的な小型赤道儀どころか、中型赤道儀や大型赤道儀と比較してもまったく遜色ない精度を謳っています。しかも、その精度は全部実測してから出荷しているとのことなので「この値段でこの精度を『確実に』手に入れることができるのは、ある意味安価なのでは」と、私が思っている感想を率直に伝えたりしていました。「最近の冷却CMOSカメラは、本格的なものを揃えようとするとかなりの額になるので、それよりは全然安いですよ」などとも話していたのですが、何人かの方は本気でSWAgTiを試してくれそうな雰囲気でした。SWAgTiユーザーが増えたら、私としてはかなり嬉しいです。
まだ安定性などに少し問題があることも事実なので、できるだけこのブログで情報を発信していこうと思います。今回のブース展示も含めて、Unitecさんにはかなりお世話になっていますが、基本的には完全に私個人のアイデアで、私自身が面白いと思っていて、実用レベルで使いたいからやっているものです。なので、SWATとAZ-GTiを組み合わせることについては、Unitecさんもサイトロンさんも、何のサポートもできないかと思います。そこら辺をご理解いただいた上で、ユーザーの工夫や改造改良で楽しめる天体趣味の醍醐味というものを、各自の責任で楽しんでいただければと思います。
会場内
SWAgTiの方はモニターでの解説もあるので、適度に席を立って会場内のブースを回ります。と言っても最近物欲はあまりないので、購入品は本当にちょっとしたものだけです。KYOEIさん名物のジャンク市も遠目で見ていて、少し空いた頃にちょっとだけ箱の中を覗きましたが、何か購入するには至りませんでした。
面白かったのは星見屋さんんところに置いてあった、笠井トレーディング製のStellaBino50でしょうか。アイピース交換可能の、50mmの鏡筒2本をくっつけた双眼鏡で、プリズムなどの余分なものが一切ないので、コントラストが極めて高いです。ちょっと欲しかったですが、今回は我慢しました。
星見屋ではZWOのフルセットも置いてありました。AM5の初期型かなりの特価で出てるのが会場内で話題になっていました、この値段なら欲しい人も多いのではないかと思いましたが、その場の現金でとなるとちょっと考えてしまいます。また、展示されていた新型AM5の、電源ポート付きのアリミゾが便利そうでした。
似たようなコンセプトのものがPegusas Astroにありますが、日本での販売はまだないみたいです。
これと比べても、赤道儀と一体なので、アリミゾの電源入力のケーブルを赤道儀内部から持って生きているのが強みですね。
サイトロンの注目はやはりSkyWatcherの太陽望遠鏡でしょうか。実際に太陽を覗く機会がありましたが、プロミネンスが綺麗に見えていました。挿してあったアイピースがズーム型のもので、簡単に拡大して見ることもでき、表面の模様の詳細がかなりよくわかりました。
他にも太陽関連では、最近色々成果を出しているgariさんと直接話すことができました。エタロンのことなども普通に話ができたので、きちんと理解されて物事を進めているようで、素晴らしいと思います。私も近いうちにPSTの光軸合わせをやってみたいと思っています。SkyWatcherの太陽望遠鏡は先端につけたエタロンが実際に外れることがわかったので、(太陽望遠鏡の改造は当然メーカー非推奨ですが)改造のし甲斐があるとgariさんと盛り上がっていました。
17時からは集合写真の撮影です。司会者の説明によると、集合写真は全員参加が義務とのことなので(笑)、私ももちろん参加しました。オークションはちらっと見ていただけで、落札とかは全然していません。時折ステージからブラスバンドの音楽が聞こえてきたりですが、ずっと聞いているというようなこともなく、会場内をフラフラしていたか、暑かったのでUnitecブースで座って体力が無くならないように過ごしていたのがメインでした。
なんでUnitecブースに長居してしまったか?それは、なんと冷風器が置かれていたからです。星とは全然関係ないのですが、これすごいですよ。コンプレッサーが入っていて、本物のクーラーと同じで冷たい風が出てきます。湿気を取る代わりに水がポタポタ出てくるのもクーラーと同じです。シャツの中に風を入れると相当気持ちがいいです。消費電力は130W程度で、ポータブル電源でも結構な時間持ちそうです。本体値段を聞いたら1万数千円と全然大したことなかったので1シーズンで壊れてもいいくらいのコストパフォーマンスです。
なんで星と関係ないこんなことを強調して書くかというと、去年から現地開催が復活した星まつりの際の暑さで、実際参っている人の話を何人も聞いているからです。3週間前の胎内星まつりで2日目に体調が悪くなって早退してしまった外山電子さん。かなり心配していたのですが、この日は元気に回復されていて、同じブースでお世話になりました。聞いたらやはり胎内では熱中症だったようで、しばらく体調を悪くしてしまい、この星もとがやっと復活しての最初の星活動だとのことでした。Unitecさんも去年の胎内でバテてしまったそうで、今年は暑さ対策ということで今回のクーラーを用意してきたとのことです。去年も今年もとにかく暑くて、星まつりに限らず、外での熱中症対策として私もこのクーラー欲しくなりました。
快適といえば、デモで出ていたクッションでしょうか。
夜は星空
夕方段々と暗くなってきましたが、空を見ると、なんとほぼ一面晴れています。雨予報だったので大した準備もしてなかったのですが、せっかくなのでSWAgTiにRedCat51とUranus-C Proを載せて電視観望兼撮影でもしようと機材を出しました。ところが、手持ちのM1 MacでUranus-C Proを認識できず、諦めてもっと小さな、いつものFMA135と非冷却のUranus-CをSWAgTiに載せてしまいました。しかもSWATは使わずにAZ-GTiのみで、いつもの簡単な電視観望となってしまいました。唯一良かったのが、宣伝用に24インチモニターを使っていたので、それを利用してお客さんの方に向けて電視観望の映像を表示しました。
せっかくの機会なのに、口径わずか3cmで申し訳ないと思ったのですが「それでどこまで見えるか、実際見てみたい」と言ってくれるお客さんもいたので、少し気が楽になりました。導入も少し不安定だったり、月齢12.3日のかなり明るい月もありましたが、それでもM57から始まり、M27、北アメリカ星雲、アンドロメダ銀河、三日月星雲と定番ですが、連続で見せることができました。
アンドロメダ銀河を見ている時に、ちょうど隣で外山電子さんがPHQ80にGFX100のモニター画面でアンドロメダ銀河とか写していたのですが、私の電視観望の画面を見ながらひたすら「けしからん、けしからん」と言っていました。口径わずか3cmですが、PCがあるのでリアルタイムで画像処理をしているようなものなので、やはり炙り出しで大きく有利になってしまいます。「こんないい時代になって、けしからん」ということらしいです(笑)。
夜の会場をぷらぷら散歩
21時頃になると空がかなり雲に覆われるようになってきました。電視観望のライブスタックでも星が認識できなくなってドロップし始めたので、少し放っておいて周りをぷらっと歩いてきました。
その途中、3月の「星なかまの集い」でお会いした、惑星撮影の大家のKさんから「惑星を見るのにアイピースで見るのとモニターで見るのどちらがいいと思いますか?」と尋ねられました。私は惑星はアイピースで見た方がいいと思っています。でもKさんの答えは意外で、モニターで見た方がいいという意見が多いというのです。そこで、例えば月を考えました。月はモニターで見るより目で見た方がいいと思います。明るいので十分拡大してもよく、細部まで見えるからです。その一方、星雲は電視観望だとはっきりと色がついて見えるので、眼視とは全く別の楽しみ方だと思います。惑星は月寄りか、星雲寄りかと考えると、どちらかというと月よりだと思うので、アイピースで見た方がいいと思うのです。でもKさんは惑星は暗いと言います。結局Kさんがなぜこんな質問をされたのか、最後まで意図がわからなかったのですが、惑星を極めている方の意見です。何か深い考えがあるのかと思います。大ベテランのKさんですが、自分のやり方を押し付けたり、人がやっていることを否定したりするような素振りは一切なく、一緒にいろいろと考えさせてくれます。この質問もやはり答えが深いかもしれなくて、自宅に帰ってからも今も色々考えてしまいます。
KさんがいらっしゃったブースにC14があり、実際に土星を見させて頂きました。雲越しでしたが、さすが14インチだけあって、大きく拡大していても十分に明るいです。さらに面白かったのが、そのC14を載せている片持ちの赤道儀がどう見ても手作りで、聞いたら一から設計したとのことです。赤道儀だけで重さ40kgとのことなので、さすがC14を載せられるだけのことはあります。その赤道儀のコントローラーに、なんとVixenのスカイセンサー2000がまだ現役で使われているのです。私はSS2000については昔の雑誌で見たくらいの知識しかないのですが、赤道儀の制御を一般化させる画期的な機器だったと理解しています。コンピュータで言うとオープンアーキテクチャのIBM PCといったところでしょうか。当時のVixenは規格そのものをを立ち上げるくらいの勢いがあったことが伺えます。私的には、実際に動いているSS2000を見たのは初めてで、かなり衝撃でした。そこへ飛び込んできたのが外山電子さん。なんとSS2000をまだ7台も持っているというのです。天文界隈にはすごいベテランさんが多すぎです。
雲のせいもあり、会場全体がまったりモードだった気がします。Unitecブースに帰って空を見上げても、まだ一面雲でした。あと1時間くらいで晴れるかもと言う情報を聞きましたが、次の日のこともあるので、ここで片付け始めて帰宅としました。最後挨拶だけして、22時頃に会場を後にしました。
戦利品
この日の戦利品はわずかこれだけです。
星を始めた頃はものが安く買える星まつりがものすごくありがたかったのですが、私は基本的には買ったものは売ったりしないので、自宅はすでにジャンク部品やあまり使わない鏡筒などで溢れかえっています。なので自分の中で星まつりに参加する目的も変わって来ているのかと思います。少し前までは電視観望の普及にも力を入れてましたが、最近はスマート望遠鏡も出て、普及という意味ではもう十分な気もします。今は人に会ったり、面白い話があったら議論したり、今回のSWAgTiみたいに面白いアイデアがあったら見てもらうとかがメインでしょうか。
帰り道
帰りの高速では、行きにも寄った南條SAで0時過ぎの夕食です。よく考えたら、売店で買ったサラダ巻きを少し食べただけで、まともな夕食を取っていないことに気付いて、夜中でしたがガッツリ食べてしまいました。
自宅に到着したのは午前2時半過ぎだったでしょうか。そのまま片付けもせず、汗をかいていたのでシャワーだけ浴びてすぐに眠りにつきました。
会場滞在は12時間を切るくらいでしたが、ちょっと体調が悪い今の私ではこれくらいが限界です。次の月曜は祝日で、十分に休養を取りました。そういえば、胎内星まつりは滞在4−5時間でブログも書いていないです。小海も行くかどうか迷っています。今年はとにかくあまり無理をしないで、できる範囲でゆったりと星活動をしていければと思います。
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