前回までの記事で、SWATにAZ-GTiを取り付けて(SWAgTiと命名)、SWATで自動導入機能を実現して快適な簡単撮影を試してきました。しかしながら、数時間にわたる長時間撮影では縞ノイズがどうしても出てしまい、それをディザーで散らしてやることを考えましたが、今の環境では難しいであろうことがわかってきました。今回は画像処理でどこまで縞ノイズを改善できるか検証してみます。


方針転換

ディザー撮影とは、露光と露光の合間に少し(数ピクセルから多くても数十ピクセル)画角の位置をずらしてやることで、縞ノイズを避ける最も効果的な方法です。縞ノイズとは、長時間における機材のたわみなどで画角が一方向に流れてしまい、ホットピクセルやコールドピクセルなどの固定ノイズが縞状になって表れることです。ですが前回の検証でどうやら、今の機材、今の制御ソフトの範囲ではSWAgTiではディザーができないであろうということが判明しました。

そこで今回は方針転換をします。そもそもディザー撮影も複雑なので、撮影はシンプルそのものに、ガイドやディザーなどなしにして、その分画像処理を多少複雑にしてどこまで縞ノイズを回避できるかを検証したいと思います。


ライブスタックでの縞ノイズ

まずは、SharpCapでライブスタックをしただけだと、どれくらいの縞ノイズが出るのか見てみます。

3分露光で29フレーム、トータルで約1時間半撮影し、そのうち29フレーム中21枚がライブスタックされた画像です。SharpCapに出てくる画像(ストレッチなども含めて)そのものです。

Stack_16bits_21frames_3780s

かなりひどい縞ノイズが出ていることがわかります。ライブスタックだとひどい時にはこれくらい出てしまいます。


RAWファイルでも縞ノイズ

次に、同じ撮影時に保存してあったRAWファイルを使って、上の縞ノイズを再現してみます。PixInsightを使いましたが、ステライメージなどでも同じです。

方法は簡単で、ダーク補正やフラット補正をせずに、位置合わせだけしてスタックするだけです。こうしてできたものが以下になります。

masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

PixInsigtで途中雲で十分な露光ができていな画像を弾いたりしていますが、それらは同様にライブスタック時でも弾かれているはずです。多少(数枚)採用/不採用の違いはありますが、縞ノイズに関してはほぼ再現できていると思います。ようするに、ダーク補正などせずに単にスタックするだけでは、ライブスタック/後からのスタックにかかわらず、縞ノイズに関してはかなり厳しいということです。


ダーク補正とフラット補正

上と同じRAWファイルを、今度はダーク補正とフラット補正をしてスタックしてみます。

masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_dark_flatjpg

劇的に改善されているのがわかるかと思います。

わかりやすいように3枚を拡大して並べてみます。左からライブスタック、PIでダーク補正フラット補正なし、PIでダーク補正フラット補正ありです。

comp

これだけ見ると、やはり簡単撮影といえど、ダーク補正とフラット補正はした方が明らかにいいという結論になるかと思います。


クールピクセル除去

ただ、ダーク補正とフラット補正したとしても縞ノイズはわずかに残ってるんですよね。ここでさらに、あぷらなーとさんが言うクールピクセルの影響の可能性があると考え、クールピクセル除去を試しました。実際にはだいこもんさんがPixInsightでスクリプト化の足がかりを作られだぼさんが実装したコードを使用させていただきました。あぷらなーとさん、だいこもんさん、だぼさんには感謝です。

結果を示します。まだごくわずか縞ノイズらしきものは見えますが、もうほとんど気にするレベルではなく、画像処理でなんとかなるレベルと思います。
masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_cold

わかりやすいように、クルーピクセル除去の効果がわかりやすいところを切り出して拡大してみます。場所は下の真ん中より少し左のあたりです。左がクールピクセル除去なしで、右がクールピクセル除去ありです。

comp

画面の一部ですが、右は明らかにクールピクセル起因の縞ノイズがあって、それが左だと除去されていることがわかります。

でも実はこれ、最初ほとんど効果が見られなくて、Cold Sigmaの値をいくつか変えてみて、やっと違いがわかるくらいになりました。今回の場合0.1が一番良かったです。0でも0.5でも縞ノイズが結構残ってしまいました。0.2よりは0.1の方が少し良かったです。もしかしたら、もう少し調整できるのかもしれません。

縞ノイズが撮り切れていない原因の一つですが、今のところ冷却でないカメラを使っています。ダーク補正も温度をきちんと管理し切れていないので、ダーク補正によるホットピクセルの補正がまだうまくやり切れていない可能性があります。なので、冷却カメラに向かうというのが一つの方向性かと思います。

もう一つの方向性は、一眼レフカメラに向かうことです。SWATを使っている方は一眼レフカメラで撮影している方も多いかと思われます。基本シャッターを切るだけというお手軽な方向は、SWATを使う上での一つの正しい方向だと思います。これでも、今回のように画像処理をきちんとすれば、十分なクオリティーの撮影画像になるかと思います。ただ、お気軽撮影からは少し拡大していきますが...。


まとめと今後

今回見た画像は、1時間半ほどで本当に一方向にのみ進むものなので、縞ノイズ的には相当不利なものです。前回画像処理して最後まで仕上げたものは、トータルでもっと長時間露光で、しかも何方向かに進むものを合わせているので、クールピクセル除去とかしなくても、あまり縞ノイズが目立たなくなっています。

というわけで、前回のようにある程度マニュアルディザー状態になるように、撮影中に何度か位置を変えてやるか、今回のようにクールピクセル処理までしてしまえば、かなりのレベルで縞ノイズを無視できるくらいになるのかと思います。


おまけ: 胎内星まつりで「SWAgTi」展示

今週末に行われる「胎内星まつり」で、ユニテックさんから声がかかり、ユニテックブースにおいて

SWAT + AZ-GTi = 「SWAgTi」 を展示

させて頂けることになりました。

星まつりの期間は8月18日(金)午後から20日(日)昼となっていますが、

展示は19日の土曜となる予定

です(もしかしたら18日の夜には展示できるかも)。私自身はずっとユニテックさんのところにいるとは限りませんが、少なくとも土曜はほぼ一日じゅう会場内にいると思います。名札をかけていますので、もし見かけたらお気軽にお声掛けください。


さらにおまけ: 一眼レフカメラでのプレートソルブに挑戦

展示だけでもいいのですが、せっかくの星まつりなので、夜にはもう少し何かしようと思っています。

今ちょっと考えているのは、一眼レフカメラ(今回は手持ちのEOS 6D、EOS 60Dなど)でプレートソルブができないかです。ユニテックの方と話したところ、SWATに一眼レフカメラをつけて撮影している方が多いそうです。CMOSカメラではなくて、一眼レフカメラで自動導入やプレートソルブができた方が、SWATユーザーにとっては実用的ではないかとのことでした。

でも、見ていただきたいのは6Dでのプレートソルブそのものではありません。そもそもまだ、一眼レフカメラでプレートソルブを試したことがないので、うまくいくかどうかもよくわかっていません。星まつり会場のその場で初めて挑戦しようと思っています。

見てほしいのは、新しいことを試す時に、私Samがいつもどうやって取り組んでいるのか、問題にぶち当たった時にどうやって解決するのかなど、いろいろ試す過程を見ていただきたいと思っています。今回はその場で試してみてのことなので、実際にうまくいくかという保証はありません。でもこういった泥臭いところを見せることで、何かを感じていただければと思っています。

多分独り言をぶつぶついいながらの作業になるかと思いますが、もし興味があると言う方はぜひご参加ください。もちろんその場での質問とかもOKです。

暗くなってきてからのほうがいいと思うので、開始時間は19時過ぎくらいからになると思います。PCの画面が対面で見えるように、外部モニターを持っていこうかと思っています。

胎内星まつりでみなさんとお会いして、いろいろお話しできるのを楽しみにしています。

(2024/8/18追記: 1年越しでディザー撮影に成功し、縞ノイズを撮影時から無くすことができました。)





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