ここまでε130Dで3例のテスト撮影(1, 2, 3)をしてきましたが、2つの大きな問題があることがわかってきました。
この二つの問題について、福島の星まつりでHBさんから重要な情報を聞くことができました。ε130Dには特有の問題があり、
迷光が存在していることはテスト撮影からある程度わかっています。問題は何が原因なのか、改善する手段はあるかです。
まず、何も設定を変えずにフラットを撮影して再現性があるか見てみます。SharpCapで明暗が見やすいように、ヒストグラムで適当にストレッチしています。
中心が明るくて、右にシャープな円弧状の段差があり、左になだらかな円孤状の減光があります。
前回のおとめ座銀河団の時に示したフラット画像は以下のようでした。ABEの4次をかけたストレッチしたものです。
中心が暗くて、今回の画像と少し形が違うように見えて迷ったのですが、形が良く見えるようにSharpCap上でマニュアルでストレッチしているためと判明しました。RAW画像を撮影して、PixInsightで同様にABEを4次でかけオートストレッチしたら以下のようになったので、そこそこ再現性はあると考えていいでしょう。
以前の画像と一致したので、これ以降はリアルタイム性を優先し、SharpCapの画像で検証するようにします。
ちなみに、SharpCap状でもヒストグラムをいじることである程度再現はでき、
さらに、これは重要なのですが、何もストレッチしないと以下の様になり、
一見少し周辺減光があるだけの、特に何も問題ないようなフラット画像に見えてしまいます。
さてSharpCapで左右非対称な迷光が見えている状態から、鏡筒の回転装置を180度回してみます。その結果が以下になります。
像が反転して、今度は左側がシャープに明暗が分かれます。カメラ側を回転させると像も回転するということは、原因は少なくとも回転装置よりカメラ側ではなく、鏡筒側にあることになります。
次に、フードを被せてみます。福島で特価で買ったプラスチック製のものです。きちんと真っ直ぐ取り付けることに気をつけます。
少し光量は減るので、フードがないと多少入り込む光はあるようです。でも微々たるもので、フードの有り無しで変な形を作る迷光は変わりないようです。
ここまでの結果から、回転装置より鏡筒側が原因で、フードを取り付けた鏡筒入射光側からの迷光も関係ないとすると、結論としては鏡筒の内部そのものに迷光を発生する原因があると言わざるを得ません。
この結果が正しいとすると、外部から何か改善することは期待できず、鏡筒を分解するなどして内部にアクセスして、反射する部分などを見つけて反射防止塗料などで防ぐことになるのかと思います。
例えば、フォーカサーの筒、副鏡、補正レンズなど、外からは見にくいですが、もしかしたら光を反射する明るい部分があるのかもしれません。補正レンズは取り外しができるので、(撮影では使わざるをえませんが)一度取り外して影響があるかどうか見ることは可能だと思います。もしレンズのARコート面からの反射とかだと致命的ですね。
ところでですが、こんな迷光の話ネットを検索しても全然出てきません。少し気になったので、ε130Dのフラット画像がどこかにないか探してみました。少なくともすぐに2つ見つかって、
まず、両サイトともフルサイズの一眼レフカメラ(CanonのEOS 6DとNikonの810A)での撮影です。特徴的なのは上下のケラレです。
まずはこれを確認するために、私も6Dでフラットを撮影してみました。
ぱっと見は上下のケラレも含めて、そこそこ再現できているようで、上記サイトの画像をかなり似ています。この場合の撮影条件は、見た目のDebayerをオフにしてモノクロにしたことと、「ストレッチをかけていない」ことです。
この画像だけ見ると特に問題はないように思えてしまいます。でも実際にはここからが問題です。上の状態から、先の検証でも試したようにSharpCap上で適当にストレッチをかけます。
ストレッチで炙り出すことで、見事にリング状の迷光が現れました。しかも上下のケラレの境の明暗さの方が大きいので、リング状の迷光はケラレに隠されてしまっていたということが言えると思います。
確かによく見るとスターベースの画像も、天体写真の世界の画像も、うっすらですがリング状の明暗さがあることに気が付きます。その証拠に、例えばスターベースのフラット画像をPixInsightでABEの4次をかけ適当にストレッチすると、同様のリング状の形がはっきりと出てきます。ここでは画像は掲載しませんが、興味がある方は各自試してみてください。
おそらくですが、実際にはスターベースのブログに書いてあるとおり、これまでフラット補正についてはあまり問題になっていなかったのかもしれません。そもそも、フルサイズクラスで問題になってくるリングの大きさですし、例えフルサイズでも一眼レフカメラで撮影している限りはケラレの方が大きいので、問題はそこまで露呈しないと思います。フルサイズのCMOSカメラになって初めて顕著になる問題かと思います。
もう一つは、近年画像処理の技術が発達してきて、相当淡いところまで炙り出すことができるようになってきたことも関係するかと思います。私はギリギリまで情報を引き出す傾向があるので、特に問題と感じてしまったのかもしれません。
その一方、前節で検証したようにフードを被せると入射光量は確かに変わるようなので、フラット補正後の残差はフードを使うことで軽減できる可能性はあります。まずは内部をいじるとかよりは、ちゃんとしたフードを作ることですね。これで上手く補正でき問題にならなければ、単なる程度問題なのかと思います。
ここまでの検証で、やはりε130Dには残念ながら一般的にリング状の迷光が存在すると結論づけて良さそうです。でもフードでフラット補正の度合いが改善する可能性はありますし、画像処理をもう少し工夫するなどの手もあるかと思います。次回撮影で検証したいと思います。
言うまでもありませんが、ε130Dの明るさと分解能は特筆すべきものがあるので、いい点を上手く利用して今後も撮影していきたいと思います。撮影したいものもまだまだたくさんあり、今後どう改善していくのか、楽しみでなりません。
- 光軸が合っていないこと、特に、カメラを回転させると像が変わる
- 迷光がありそう
この二つの問題について、福島の星まつりでHBさんから重要な情報を聞くことができました。ε130Dには特有の問題があり、
- 回転装置がアイピース口の光軸に対して垂直な面で回っていない可能性があること。
- ε130D固有の特徴的な迷光があること。
迷光をリアルタイムで見る
迷光が存在していることはテスト撮影からある程度わかっています。問題は何が原因なのか、改善する手段はあるかです。
まず、何も設定を変えずにフラットを撮影して再現性があるか見てみます。SharpCapで明暗が見やすいように、ヒストグラムで適当にストレッチしています。
中心が明るくて、右にシャープな円弧状の段差があり、左になだらかな円孤状の減光があります。
前回のおとめ座銀河団の時に示したフラット画像は以下のようでした。ABEの4次をかけたストレッチしたものです。
中心が暗くて、今回の画像と少し形が違うように見えて迷ったのですが、形が良く見えるようにSharpCap上でマニュアルでストレッチしているためと判明しました。RAW画像を撮影して、PixInsightで同様にABEを4次でかけオートストレッチしたら以下のようになったので、そこそこ再現性はあると考えていいでしょう。
以前の画像と一致したので、これ以降はリアルタイム性を優先し、SharpCapの画像で検証するようにします。
ちなみに、SharpCap状でもヒストグラムをいじることである程度再現はでき、
さらに、これは重要なのですが、何もストレッチしないと以下の様になり、
一見少し周辺減光があるだけの、特に何も問題ないようなフラット画像に見えてしまいます。
問題箇所の特定
さてSharpCapで左右非対称な迷光が見えている状態から、鏡筒の回転装置を180度回してみます。その結果が以下になります。
像が反転して、今度は左側がシャープに明暗が分かれます。カメラ側を回転させると像も回転するということは、原因は少なくとも回転装置よりカメラ側ではなく、鏡筒側にあることになります。
次に、フードを被せてみます。福島で特価で買ったプラスチック製のものです。きちんと真っ直ぐ取り付けることに気をつけます。
少し光量は減るので、フードがないと多少入り込む光はあるようです。でも微々たるもので、フードの有り無しで変な形を作る迷光は変わりないようです。
ここまでの結果から、回転装置より鏡筒側が原因で、フードを取り付けた鏡筒入射光側からの迷光も関係ないとすると、結論としては鏡筒の内部そのものに迷光を発生する原因があると言わざるを得ません。
この結果が正しいとすると、外部から何か改善することは期待できず、鏡筒を分解するなどして内部にアクセスして、反射する部分などを見つけて反射防止塗料などで防ぐことになるのかと思います。
例えば、フォーカサーの筒、副鏡、補正レンズなど、外からは見にくいですが、もしかしたら光を反射する明るい部分があるのかもしれません。補正レンズは取り外しができるので、(撮影では使わざるをえませんが)一度取り外して影響があるかどうか見ることは可能だと思います。もしレンズのARコート面からの反射とかだと致命的ですね。
この迷光はε130D一般のこと?
ところでですが、こんな迷光の話ネットを検索しても全然出てきません。少し気になったので、ε130Dのフラット画像がどこかにないか探してみました。少なくともすぐに2つ見つかって、
- 一つは本家のスターベースさんのもの、
- もう一つはYosshidaさんの「天体写真の世界」
まず、両サイトともフルサイズの一眼レフカメラ(CanonのEOS 6DとNikonの810A)での撮影です。特徴的なのは上下のケラレです。
まずはこれを確認するために、私も6Dでフラットを撮影してみました。
ぱっと見は上下のケラレも含めて、そこそこ再現できているようで、上記サイトの画像をかなり似ています。この場合の撮影条件は、見た目のDebayerをオフにしてモノクロにしたことと、「ストレッチをかけていない」ことです。
この画像だけ見ると特に問題はないように思えてしまいます。でも実際にはここからが問題です。上の状態から、先の検証でも試したようにSharpCap上で適当にストレッチをかけます。
ストレッチで炙り出すことで、見事にリング状の迷光が現れました。しかも上下のケラレの境の明暗さの方が大きいので、リング状の迷光はケラレに隠されてしまっていたということが言えると思います。
確かによく見るとスターベースの画像も、天体写真の世界の画像も、うっすらですがリング状の明暗さがあることに気が付きます。その証拠に、例えばスターベースのフラット画像をPixInsightでABEの4次をかけ適当にストレッチすると、同様のリング状の形がはっきりと出てきます。ここでは画像は掲載しませんが、興味がある方は各自試してみてください。
ちょっと迷光について検討
おそらくですが、実際にはスターベースのブログに書いてあるとおり、これまでフラット補正についてはあまり問題になっていなかったのかもしれません。そもそも、フルサイズクラスで問題になってくるリングの大きさですし、例えフルサイズでも一眼レフカメラで撮影している限りはケラレの方が大きいので、問題はそこまで露呈しないと思います。フルサイズのCMOSカメラになって初めて顕著になる問題かと思います。
もう一つは、近年画像処理の技術が発達してきて、相当淡いところまで炙り出すことができるようになってきたことも関係するかと思います。私はギリギリまで情報を引き出す傾向があるので、特に問題と感じてしまったのかもしれません。
その一方、前節で検証したようにフードを被せると入射光量は確かに変わるようなので、フラット補正後の残差はフードを使うことで軽減できる可能性はあります。まずは内部をいじるとかよりは、ちゃんとしたフードを作ることですね。これで上手く補正でき問題にならなければ、単なる程度問題なのかと思います。
まとめ
ここまでの検証で、やはりε130Dには残念ながら一般的にリング状の迷光が存在すると結論づけて良さそうです。でもフードでフラット補正の度合いが改善する可能性はありますし、画像処理をもう少し工夫するなどの手もあるかと思います。次回撮影で検証したいと思います。
言うまでもありませんが、ε130Dの明るさと分解能は特筆すべきものがあるので、いい点を上手く利用して今後も撮影していきたいと思います。撮影したいものもまだまだたくさんあり、今後どう改善していくのか、楽しみでなりません。










コメント
コメント一覧 (6)
さて、記事にあります「副鏡の影のあるドーナツ状の迷光」には自分も悩まされておりフードとかいろいろ試してましたが、自分の場合、2インチ→T2アダプター内のテーパー構造が原因のようでした。
http://uwakinabokura.livedoor.blog/archives/14176913.html
この記事でのC8や30㎝F5、いずれもレデューサーなしでの画像なのでドーナツ状のカブリ面積が小さいですが、レデューサーなどの補正レンズでFLを短くするともっと面積が大きくなって4/3"では視野を大きくはみ出します。この状況はSamさんのフルサイズでの例に近づく気がしました。
天体写真はまったくの素人なので大変僭越かとも思いましたが、アダプター内の迷光を検討の一端に加えていただければ幸いです。
シベットさん、コメントありがとうございます。
もしかしたら今回見た左右非対称のリングって、横に接眼部が付いている鏡筒全般に共通の、かなり一般的な問題なのかもしれません。さらにはシベットさんが言う通り、左右の非対称性こそ出てこないですが、C8みたいな対称の鏡筒でも出るのかもしれないですね。
アダプター内のテーパー部が原因だったとのことですが、たぶんこれはかなり接眼部に近いところですよね。私の場合は回転装置より対物側でなにか起こっている可能性が高いです。といっても、副鏡で非対称な何かが起きて、それがシベットさんの言うように回転装置より接眼のところで何か増幅している可能性も十分にあるかと思います。
でも本当に副鏡の非対称性が問題だとしたら、本質的に解決しにくいのでかなり厄介です。どこかで反射しているだけならそこを潰せば良いので、まだ解はあるかもしれません。補正レンズとかのAR反射が問題な場合は、これも本質的に解決が困難です。
福島でこの問題を指摘してくれた大学の先輩のHBさんは「こんなものと思って使うのが吉」とも言っていました。でもできれば解決したいです。
e130Dとは構造が異なっているかもしれませんが、参考になれば幸いです。
Rimpaさん、貴重な情報ありがとうございます。
ε130Dでも注意しながら確かめてみたいと思います。
ケニ屋さん、コメントありがとうございます。
とても有益な情報です。やはり昔から同様の問題は認識されていたのですね。しかも130だけでなく、160や200でも!
35mmだと目立たなかったということですが、私の場合はそれでも目立っているので、Dになって何か少し変わっているのか、もしくは炙り出しで強調されているのかもしれません。
やっぱり副鏡あたりの影響が、イプシロン特有の光学系で出てきてしまうんでしょうか?もう少し探っていきたいと思います。