少し前に網状星雲をDBP(Dual BP Filter)で撮影し、かなり青いところが出てきたことを記事にしました。
今回、星フェスの記事はちょっとお休みで、少し前に画像処理を済ませていたDBPで撮影したハートと胎児星雲のまとめです。DBPでの2例目になります。
対象はハート星雲と胎児星雲。FS-60CBとフルサイズ一眼のEOS 6Dで二つぴったり入る画角になります。
機材のセットアップと言っても、実際には前回の網状星雲と全く同じです。それもそのはずで、網状星雲が西に沈んだその後、まだ高い位置にあるハートと胎児の両星雲をそのまま導入し直すだけです。なので今回の記事は書くことがあまりありません。
今回は7時間と長く撮影したので、ノイズも少なく画像処理がかなり楽でした。DBPがよく働いてくれて、Hαも一枚撮りで見てもかなり出ています。
画像処理は、まずはいつも通りPIでWBPPです。Cosmetic Corectionを外したのがいつもと違うところくらいでしょうか。でも大勢には影響がないはずです。フラット補正もうまく当たっているようで、背景もABEを1次でかけただけで、DBEもかけてません。PCCはさすがにちょっと変なけっかになりますが、恒星は擬似的に最もそうな結果にしてくれるのかと思います。その代わり星雲を含む背景はどこまであってるか分からないので、適当に補正します。基本赤が多いので、のっぺりならないように、特に青を、加えて緑も強調してやります。
結果ですが、以下のようになります。
7時間の露光のせいなのか、かなり淡いところまで出たのかと思います。胎児のオナラとプンプンもよく出てます。ハートの背景の淡いところもそこそこ出ています。富山は町が北にあるために北の空はいつも不利ですが、ハートと胎児はかなり北の空に近くなります。それでも光害をあまり気にせず撮影できるDBPは相当強力だと言わざるを得ません。
おまけのAnotationです。
実はこの画像、星と自然のフェスタの直前には仕上がっていて、Twitterではすでに公開していました。星フェスの準備とブログ書きなどで、結局記事にするのが今になってしまいました。
その小海の「星と自然のフェスタ」で何人かの人にDBPで撮ったと言って見せたのですが、かなり好評でした。と言っても、シュミットブースのところでDBPを買おうか迷っている人とかなのですが、後押ししてしまったのかもしれません。自己紹介用のネームプレートをつけていたので、何度か店員さんと間違われてしまったようで「これいくら?」とか聞かれてました。「いえいえい、私はただの客です」と答えるのですが、それくらい星フェスでのDBPの注目度は高かったです。
今回はDBPで富山の北の空でも十分に結果が出ることを示すことができました。これまで北の空はほとんど諦めていたのですが、道が開けたような感じがします。今後もDBPに適した天体があればどんどん撮影していこうと思います。
今回、星フェスの記事はちょっとお休みで、少し前に画像処理を済ませていたDBPで撮影したハートと胎児星雲のまとめです。DBPでの2例目になります。
セットアップ
対象はハート星雲と胎児星雲。FS-60CBとフルサイズ一眼のEOS 6Dで二つぴったり入る画角になります。
機材のセットアップと言っても、実際には前回の網状星雲と全く同じです。それもそのはずで、網状星雲が西に沈んだその後、まだ高い位置にあるハートと胎児の両星雲をそのまま導入し直すだけです。なので今回の記事は書くことがあまりありません。
今回は7時間と長く撮影したので、ノイズも少なく画像処理がかなり楽でした。DBPがよく働いてくれて、Hαも一枚撮りで見てもかなり出ています。
画像処理と結果
画像処理は、まずはいつも通りPIでWBPPです。Cosmetic Corectionを外したのがいつもと違うところくらいでしょうか。でも大勢には影響がないはずです。フラット補正もうまく当たっているようで、背景もABEを1次でかけただけで、DBEもかけてません。PCCはさすがにちょっと変なけっかになりますが、恒星は擬似的に最もそうな結果にしてくれるのかと思います。その代わり星雲を含む背景はどこまであってるか分からないので、適当に補正します。基本赤が多いので、のっぺりならないように、特に青を、加えて緑も強調してやります。
結果ですが、以下のようになります。
「IC1805: ハート星雲とIC1848: 胎児星雲」
- 撮影日: 2021年10月30日1時15分-5時2分、10月31日0時57分-5時2分
- 撮影場所: 富山県富山市自宅
- 鏡筒: Takahashi FS-60CB(f355mm) + マルチフラットナー(f370mm)
- フィルター: サイトロン Dual BP Filter
- 赤道儀: Celestron Advanced VX
- カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
- ガイド: f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
- 撮影: BackYard EOS、ISO1600、露光時間300秒x83枚 = 6時間55分、bias: ISO1600, 1/4000秒x100枚、dark: ISO1600, 300秒x76枚、flat: ISO1600, 1/100秒x128枚、flatdark: ISO1600, 1/100秒x128枚
- 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
7時間の露光のせいなのか、かなり淡いところまで出たのかと思います。胎児のオナラとプンプンもよく出てます。ハートの背景の淡いところもそこそこ出ています。富山は町が北にあるために北の空はいつも不利ですが、ハートと胎児はかなり北の空に近くなります。それでも光害をあまり気にせず撮影できるDBPは相当強力だと言わざるを得ません。
おまけのAnotationです。
星と自然のフェスタにて
実はこの画像、星と自然のフェスタの直前には仕上がっていて、Twitterではすでに公開していました。星フェスの準備とブログ書きなどで、結局記事にするのが今になってしまいました。
その小海の「星と自然のフェスタ」で何人かの人にDBPで撮ったと言って見せたのですが、かなり好評でした。と言っても、シュミットブースのところでDBPを買おうか迷っている人とかなのですが、後押ししてしまったのかもしれません。自己紹介用のネームプレートをつけていたので、何度か店員さんと間違われてしまったようで「これいくら?」とか聞かれてました。「いえいえい、私はただの客です」と答えるのですが、それくらい星フェスでのDBPの注目度は高かったです。
まとめ
今回はDBPで富山の北の空でも十分に結果が出ることを示すことができました。これまで北の空はほとんど諦めていたのですが、道が開けたような感じがします。今後もDBPに適した天体があればどんどん撮影していこうと思います。
コメント
コメント一覧 (12)
今回、コメントさせて頂いたのはAnotationについてです。
このような機能のソフト(アプリ)の名称を教えて頂けないでしょうか?
お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします。
タンネさん、こんばんは。
これはPixInsightという画像処理ソフトの中のほんの一機能です。
プレートソルブで位置を特定し、そこに情報を加えます。
ものすごく高機能で、画像処理にはかなり便利なソフトなのですが、ちょっと躊躇するのは英語なのと、230ユーロ多少高いところでしょうか。
でも画像処理をやり込んでいくと必須のソフトになります。
Samさん、おはようございます。
PixInsightの情報 ありがとうございます。
まずは、体験版で楽しんでみようと考えてますが、一ヶ月はちょっと短いような内容豊富なソフトですね。
アノテーション機能はほんのおまけで、画像処理を追求しようといろんなものを詰め込んでいるようなパッケージソフトのイメージでしょうか。それらたくさんの機能から必要なものをユーザーが選んで画像処理をしていきます。典型的な手順とかは調べれば日本語でもすぐに出てくると思います。
とにかく超高機能です。私も機能の3分の1も使えてないと思います。
まずはアノテーションということなので、試したい機能を絞って見てみるのがいいと思います。
使い方がわからなかったらまたコメントください。
天体写真を始めて一月ほどのKと申します。
初心者ながらいつも楽しく拝見させていただくと同時に、勉強させていただいております。
今回はDBPフィルターの使用について質問させていただきたく思いコメントさせていただきました。
と言いますのも私も同じフィルターを使用しているのですが青色が全く出てこず、困っています。
原因として心当たりがあるのが「露光時間が一枚1分x30程度で短すぎる」「色の処理をステライメージの自動処理に任せている」あたりかと考えているのですが関係あるでしょうか?
もし、Samさんが青色を出すために工夫されていることなどありましたら、ご教授いただければ幸いです。
Kさん、はじめまして。色に関してはDBP、QBP、CBPの順に癖が強いので、普通に処理したら赤のっぺりになりがちです。基本的に青は出にくいです。
でもステライメージだと多分無理です。もしかしたらマニュアルだと可能かもしれませんが、少なくとも自動処理では絶対無理だと思います。
まずトーンカーブを触れるソフトを用意します。例えばPhotoshopやGIMPです。そこで青を持ち上げてみてください。持ち上げるのは真ん中のみで、右と左は保ったままです。
露光時間は長ければ長いほどいいですが、画像処理とはまた別の問題です。露光時間を長くしても画像処理で頑張って出さないと青は出ないと思います。同様に、露光時間が短いと、画像処理でどれだけ頑張っても、情報として青が含まれていないものは引き出せません。
まずは手持ちの画像で画像処理で頑張ってみてください。それでもダメならやはり露光時間を伸ばして撮影すべきかと思います。
DBPならかなり暗くなるはずなので、鏡筒にもよりますが1枚あたり最低3分、10分かけてもいいかもしれません。トータル露光時間は、ターゲット天体にもよりますが、最低2時間かけてやるとそこそこ出てくると思います。こちらは長ければ長いほどいいです。本当に淡いものは10時間コースになるかと思います。
Samさん、アドバイスありがとうございます。
トーンカーブ弄ってみましたがなかなか全体でバランスを取るのが難しいですね。このあたりは経験もあるでしょうか。もう少し画像処理に時間をかけて勉強していきたいと思います。
一枚あたりの露光時間に関してですが、だいたいヒストグラムのピークが中央よりやや左を目安に調整した結果、1分としていました。この場合感度を下げて露光時間を伸ばしたほうがよいのでしょうか?
総露出時間はやはり全然足りていないのですね。もう少し粘ってみたいと思います。
トーンカーブのBlueで山の左に1ー2点、差散らないように明るいところに1ー2点固定点を打ち、山の右の星雲の情報が含まれている部分を持ちあげるようにします。より色バランスよく見えるようにGreenをあげるのもありです。
鏡筒とカメラはどんなのでしょうか?DBPありで1分でヒストグラムが中央近くにい行くというと、かなりISOもしくはゲインを大きくしている気がします。ISOもしくはゲインが高いとダイナミックレンジが取れなくて恒星が飽和することがあります。
どこまで淡いところが出るかは、まずは総露出時間が効くので、自分が思うより青が出ていないという場合はまずは長く撮ることだと思います。2時間と5時間は全然違って、5時間と10時間近くでも全然違います。この違いは画像処理の楽さに直結します。長く撮ってノイズが少ないと画像処理にかける時間がかなり短くなります。
Samさん、たびたび恐縮です。
鏡筒はF3.9のものでカメラはASI482MCをゲイン300で使っていました。
やけに恒星が白っぽいなとは思っていたのですが、これが飽和してしまっているということなのですね。教えていただいた時間を目安にゲインを下げてやってみます。
電子観望でそこそこ見えていたのをいいことに撮影にも手を出してしまった次第ですが、やはりきちんと見られるものを撮るとなるとシビアさが全然違いますね。5時間は今の装備的に厳しいものがありますがまずは2時間、近々チャレンジしてみます。
電視観望からだったのですね!
電視観望だと、短時間に出す意味でも、飽和を多少犠牲にしてでも高いゲインにするのがいいのかと思いますが、撮影の場合はダイナミックレンジを稼ぎたいので、もっと低いゲインにします。482ならゲイン80のところでアンプが切り替わり有利になるので、ゲイン80とか100とかくらいがいいのかと思います。例えばゲインが300から100に変わると明るさは10分の1になります。なので3分とか、5分とかでピーク位置が半分よりかなり下に行くと思いますが、これくらいでいいのかと思います。10分でピーク位置が半分なので、おそらくこれでギリギリですね。
撮影になると色々大変なことが出てきます。数時間を超えると縮緬ノイズが問題にになることがあるので、オートガイドでディザリングするのが必要になってくるかもしれません。ダーク補正やフラット補正、バイアス補正もあった方がいいかと思います。フラットダークも必要かもしれません。一度にやると大変です。一歩一歩、必要に応じて進めていけばいいかと思います。
と同時に、画像処理のあぶり出しのところでも結果は大きく変わります。特に淡いところは画像処理が効いてきます。こちらも焦らずに、着実に技術を進めていくことが大事かと思います。
こうやって考えると大変かもしれませんが、実際にはやれば確実に成果が出るので、ある意味撮影の醍醐味でもあり、最も楽しめるところなのかと思います。
ゲインを200下げるだけで明るさがそこまで変わるのですね。普通のカメラのISOに近い感覚でいたので驚きです。カメラスペックのリードノイズグラフの意味も今初めて理解しました。本当に勉強になります。
拘ればこだわるほど色々な意味でコストが膨れ上がりそうですね。なんだか危険な沼に足を突っ込んでしまっているような気がしますが、実際とても楽しいのでやめられないですね。おっしゃる通り少しずつ着実にステップアップしていこうと思います。
200増えると20dBなので10倍、400増えると40dBで100倍になります。
逆に200減ると-20dBなので0.1倍、400減ると-40dBなので0.01倍です。
あと、60増加が6dBで2倍、100増加が10dBで約3倍。あと、60減が-6dBで半分、100減が-10dBで約3分の1です。
ものすごく大雑把な換算ですが、ISO100がざっくりゲイン0に相当し、ISO200が60、ISO400が120、ISO800が180、ISO1600が240、ISO3200が300といったところでしょうか。正確な換算はUnity gainというのを比較するとわかります。たとえばEOS 6DのISO575がASI482MCのゲイン210に相当します。この場合ISO100がゲイン58に相当します。なのでASI482MCのゲインは普通のカメラに比べて倍くらい高めに設定してあるようですね。
もしここら辺に興味があれば
http://hoshizolove.blog.jp/archives/cat_485063.html
を読んでみてください。