しばらく無黒点だった太陽に、再び黒点が現れました。


今日は太陽撮影日和

土曜日の朝、太陽が出てるようなので、朝9時頃に(休日にしては)早起きして太陽望遠鏡を出しました。いつものC8とPSTです。

以前から気にはなっていたのですが、C8の先端についているシュミット補正板あまりに汚かったので、少しクリーニングしました。そんなことで普通は光軸とかずれるはずはないのですが、その後見た太陽像があまりにもひどい。どれくらいひどいか動画で撮影しておきました。


これでもピント合わせた後です。もう全く象になっていません。シーイングがあまりに悪いのか、それとも他に何か原因があるのか?一番怖いのはPSTのエタロン部が壊れたことです。エタロンがずれて像がぼやけることは十分にあり得ます。

ラチが開かないので、とりあえず切り分けのためにPSTをはずしてC8だけでみることにしました。


C8光軸調整

いい機会なので、C8の光軸調整をすることにしました。C8は赤道儀に乗せて、追尾をオフにして固定します。電源入れておいて、コントローラーで視野を動かせるようにしておきます。

光軸合わせの際のカメラはASI294MC Proを使いました。センサー面積が広いので楽なのです。遠くの動かない人工物で小さくてエッジが見えやすいものを選びます。C8の副鏡のところにはBob`s Knobsをつけてあるので、手で簡単に調整できます。

一見すると遠くの像は見えますが、やはりシャープではないです。でも上で見た太陽動画ほどの壊滅的なものでもないように見えます。(でもそれはASI294MCの広角で見てたからで、先の動画と同じASI290MMのせまい画角で見てたら結構酷かったのではと、後で思いました。)

今回どこまでずれているかもよくわからなかったので、一度全部リセットするつもりで、Bob`s Knobsを中間位置に回しなおして初期設定します。中間位置というのは、まずカメラの像を見ながら、ネジを一本緩めます。画面に動きがなくなったら、今度は同じネジを逆に締める方向に回します。副鏡が動き始めるところを確認し、そこからネジが締まりきって回らなくなるまでの回転数を数えて、副鏡が動く範囲の中間点に戻すという意味です。

3本とも同様の中間位置にした後、調整時にはそのうち2本だけ弄ります。その際、3本のネジの1本がちょうど下に来るようにしておくと、ざっくりですが、下のネジをいじると像が縦方向に、残り2本のうち一本をいじると横方向に、像が動くようになるので見分けがつけやすくなります。

慣れないと調整していても、いい方向に向かっているのか悪い方向に向かっているのかわからないのですが、そんな時はネジを大きく動かして確実に悪くなるのを確認して、その悪くなるのがなくなる方向に動かすとわかりやすいです。ピコピコ動いている画面なのかのターゲット像ができるだけ収束するように調整します。

具体的にやってみます。
  1. ターゲットの像を選びます。例えば遠くに見える小さな丸い穴とかですが、これを画面真ん中に持ってきます。ROIを選び、ある程度拡大してみるとわかりやすいです。
  2. まず3本ある副鏡調整の下側にあるのネジを右に回し、ターゲットが画面の下(もしくは上かも)までくるようにします。
  3. 移動後は必ずピントを合わせます。
  4. ターゲットの像が収束したかどうか見ます。
  5. 収束性がよくなったなら赤道儀のコントローラーでターゲットを真ん中に持っていきます。(迷ったら元の位置になるように下のネジを左に回し戻すことで、いつでも元の状態に戻せます。ターゲットの「位置」で見ることでネジの回転よりも精度良くもとにもどすことができます。)
  6. 収束性がいまいちわからなければ下のネジを左に回し、今度はターゲットを画面の上まで持っていきます。
  7. ピントを合わせて収束するか見ます。
  8. よくなったなら同様にコントローラーで真ん中に持っていきます。
  9. これでも収束性がよくわからない場合は、よりROIを調整して広い画面で見ます。
  10. 縦と横を繰り返して、そこそこ合ってきたら画面をさらに拡大して同じことをします。
最後は光軸がずれているのか、ピントがずれているのか、空気揺らぎで揺れているのか、風で赤道儀などが揺れているのか、地面が揺れているのか区別がつかなくなります。ここまでいったらよしとします。

一つ例を出します。最初の映像がある程度調整を終えたもの。真ん中左の電線に巻かれているワイヤーに注目です。

次の映像が、赤道儀の足の下に防振用の柔らかいシート(参考記事1参考記事2)を置いたもの。


わかりにくいかもしれませんが、速い動き(高周波成分)がなくなっているのがわかります。防振シートの共振周波数より高い揺れが抑えられたと考えられます。このように調べることで、像の揺れの原因を地面振動からあるていど切り分けることができます。

最初がどれくらい揺れていたのか記録していなかったので、定量的にはわかりませんが、定性的にC8単体での像自身が見たら明らかによくなりました。


午後から再撮影

その後、午後に食い込みましたが再度撮影してみました。

午前中の動画と比べても分かるように、光軸調整の結果か、たまたま悪かったシーイングが午後になってよくなったのかは確定はできませんが、像が目に見えて明らかに改善しました。

一応推測です。前回太陽を撮影したのは半月ほど前になります。でもそこからピントはほとんどいじっていません。今回シュミット補正版をいきなり掃除してから、次に像を見てみたらピントがモノズごくずれていました。このことから考えると、補正版のクリーニングで大きく光軸がずれた可能性が一番高いです。でもその後、副鏡周りを結構力をかけて動かしてみたのですが、像はほとんどずれなかったので、やはり謎です。あ、今思ったのですが、半月の間望遠鏡ごと玄関にずっと置いてありました。もしかしたら家族の誰かが望遠鏡にぶつかったとかかもしれません。これが一番可能性が高いかも。とにかく、PSTとかが壊れてなくてよかったです。

この動画からスタック処理してみますが、今回はゴミのようなものは全く見当たりませんでした。前回やったASI290MMのクリーニングの効果が如実に出ています。

今後はカメラを外したりして暴露するときは、必ず下を向けてとか、相当気を使うようにします。

画像処理はAutoStakkart!3とImPPGです。基本的にはここと同じですが、

最近はもう少し簡略化していて、ImPPGで光球面もプロミネンスもトーンカーブを利用して一発で出してしまいます。擬似カラー化することもありますが、モノクロのままの場合も多いです。

まずは黒点です。

12_42_38_lapl4_ap1472_IP_cut
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0beta (64bit)
  • 撮影時間: 2021/5/8 12:42 gain120, 2.5ms x 1000フレーム中上位50%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registaxで細部出し、PhotoshopCCで後処理
相当細かく出ています。大きな黒点の下に小さな黒点もいくつか見えています。スピキュールもツンツンです。今回の撮影はかなり満足です。毎回これくらいコンスタントに出てくれれば、相当楽しいです。

ここで見えた黒点にはAR 2822という番号がついていて、どうやら4月22日頃まで見えていたAR 2817が裏に回って再び出てきたもののようです。ちなみに、黒点の番号はアメリカ海洋大気庁 (National Oceanic and Atmospheric Administration, NOAA)が付けるらしく、NOAA Active Region 2882とか書くようです。これは略してNOAA AR 2882とかAR 2882とかとも書かれるとの事。このブログでも今後はAR 2822とか書くようにします。

擬似カラー化したものも載せておきます。
12_42_38_lapl4_ap1472_IP

続いてプロミネンスです。いくつか出てましたが、この一番大きなものを撮った後、2つ目を撮影している最中に曇ってしまい、その後晴れることはなく撤収となりました。

12_44_21_lapl4_ap1344_IP_cut

こちらもスピキュールも含めてかなり分解しています。


まとめ

この日は最初からトラブル続きで、途中だんだんいやになってきました。上には書かなかったですが、極軸が合ってなくてすぐに像が流れていったり(最初から極軸の取り直し)、カメラのフレームレートが毎秒5枚くらいから上がらなかったり(ケーブルを変えたり、何度か挿し直したりで80fps位に解決)、それに上のピンボケが重なり散々でした。でも最後はうまくいったので、地道にトラブルシューティングしてよかったです。

毎回安定してこれくらい撮れると、かなり楽しいのかと思います。この記事書いている日曜も、午後から晴れの予報です。今一度黒点がどれくらい動いたか、見るのが楽しみです