CP+での星空中継のためのテストをしているのですが、なかなか難しい状況だというのがわかってきました。トークの時間が18時から18時半でまだそこそこ明るい時間帯です。中継を後半に持ってきたとしても18時20分くらいから、それでもまだ西の空に明るさが残ってます。こんな中でも、電視観望の魅力を伝えるためにはやはり星雲を見せたいです。


さて、どうしよう?

あらかじめ天体が導入されていればまだマシなのですが、そもそもトークの始まる18時前にアラインメントを済ませておくのは、さすがに明るすぎて無理です。それにトーク前にあまり焦りたくありません。

どうやれば確実に導入できるか色々考えてました。一番確実なのは、前日にきちんとした赤道儀、例えば手持ちのCGEM IIで極軸を完全に合わせておいて、アラインメントもきちんととっておいて、そのアラインメントを昼間も保っておくこと。でも前日が晴れる保証もないですし、やっぱりせっかくSIGHTRONのブースで話すので、やはりAZ-GTiでやりたいです。

次に考えたのが、カメラをASI294MCにして視野を広げて導入しやすくすること。でもこれもせっかくSIGHTRONブースで、しかも入門用と謳っているからには、やはりここはSV305-SJでどこまで見えるのかを見せたいです。

最後は、親子亀にして一つを広角ファインダーにしてあたりをつける方法。ですが、入門用で複雑に見えるのはやはりダメです。


いい方法を思いついた!

結局色々試してたどり着いた結論は、SharpCapのプレートソルブ機能を使うことでした。それをSyn Scan proと組み合わせます。SV305-SJの取得画像からプレートソルブして、それをAZ-GTiの経緯台モードに返します。

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これ結構すごいですよ。
なんたってケーブルがPCとカメラを繋ぐ1本だけの
超シンプルなシステムでのプレートソルブの実現です。


準備

あらかじめ、SharpCapとSynScan ProがノートPCにインストールされ、共に立ち上がっているとします。また、SynScan ProはWi-Fiを通してAZ-GTiに接続されているとします。

ポイントは

1. まずSharpCapからプレートソルブ(Astapが速くていいです)が動くようにきちんとインストールすること。PCは速いものを使ってください。StickPCクラスだと結構時間がかかります、が不可能ではないです。
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設定画面の一例です。下の方で、AstapがFoundとなっていれば大丈夫かと思います。 

2. ASCOM環境は必須です。ASCOMプラットフォームをカメラを接続したPCにインストールしておいてください。
3. SynScan用のASCOMドライバーをインストールしておくこと。
4. SharpCapの環境設定画面でMountとしてSynScanを選んでおくこと。
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ドライバーの選択です。SynScan App Driverを選んでください。

5. SharpCapの画面右側の「Scope Controls」のところで、「Connected」にチェックを入れること。
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きちんと接続されると、このようにどこを向いているかSharpCapが認識します。

これで準備完了です。


実行方法

  1. まずは通常通り鏡筒を北向きにして置いて、ノートPCで走っているSynScan proからAZ-GTiで初期アラインメントをします。どうせプレートソルブするのでワンスターアラインメントで十分でしょう。
  2. ここで視野にターゲットの天体が入っていなかったら、普通は方向ボタンをマニュアルで押して目的の天体を導入します。ここではそうせずに、SharpCapの「Tools」メニューからプレートソルブを実行します。ここでは「Plate Solve and Resync」を選びます。
  3. うまく位置を特定できると、その情報をSynScanの方に渡して、初期アラインメントで選んだ希望の天体を、ズレを補正して自動で導入してくれます。
  4. もし一度で導入されなければ、再度プレートソルブをします。大抵は2回で導入できるはずです。無事に導入されたら、あとはSynScanでアラインメント完了ボタンを押すと完了です。
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プレートソルブがうまくいくと、こんなメッセージが出ます。

この一連の流れが実現すると、AZ-GTiの設置が相当楽になります。AZ-GTiと鏡筒設置時に水平とかはある程度出しておいた方がいいですが、鏡筒の方向も大体北に向けておけばいいです。もし水平出しをさぼった場合でも、プレートソルブで導入した天体が少しずれ、視野ないに一発で入ってこないだけです。かなり近くまではきてるので、もう一度プレートソルブすればまず入ってくるでしょう。

どうです?結構すごいと思いませんか?しかもAZGTiが電池駆動で、PCがノートとかのバッテリ持ちなら、必要なケーブルはホントのホントにPCとカメラを繋ぐケーブル一本です。


実際に明るいうちからテストしてみた

さて、これらのことをこの時期の18時にやった時にどうなるか?

18時ぴったりだとまだ明るすぎて少し厳しかったですが、18時15分だと問題なくできました。この際、露光時間は5秒程度までにした方が良かったです。そもそもAZ-GTiの追尾の精度が出ていないので、10秒とかにするともう長すぎで星が流れてしまい、プレートソルブで恒星を認識することができませんでした。

CP+本番は今から約1週間後です。太陽が沈む時間がだいたい5分くらい遅くなるので、18時20分ならなんとか見せることができるでしょう。実際に今日の18時15分だと、オリオン大星雲M42なら、十分に見ることができました。

でもまあプログラムが多少遅れることを期待して、もう少し暗くなってから見てもらった方がいいのかもしれません。いずれにせよ、全ては晴れてくれたらのことで、北陸の冬なので厳しいかもしれません。今のところの天気予報、日曜夕方は「曇りのち晴れ」みたいです。


CP+のトークをお楽しみに

今回のアイデアどうだったでしょうか?これ相当シンプルで、ソフトの設定の簡単さはASI AIRには負けると思いますが、ケーブルの数の少なさだけ言ったらASI AIRに負けないと思います。

今回のテストはCP+の星空中継のためなのですが、CP+本番ではこんな凝った話はできないので、ブログに書いておくことにしました。でも晴れていれば実際の過程は(偶然一発でターゲット天体が視野に入らない限り)見ることができるかと思います。

それではCP+でのトーク楽しみにしていてください。


 

星雲がその場で見える!
電視観望にチャレンジしてみよう

日時: 2月28日(日)18時から18時30分

by Sam @ ほしぞloveログ