少し前にカラーマネージメントができるBenQのモニターSW270Cを手に入れたことを書きましたが、ただ既存のMacBook Proのモニターとの見た目の比較をしただけで、キャリブレーションまではしていませんでした。
一方、前回の記事でフジプリに頼んで天体画像の印刷を試してみました。せっかく手元にきちんとしたプリンタで印刷されて画像があるので、今回モニターをキャリブレーションしてみて、印刷画像と比べてみました。さてさて、実際どれくらい色が一致するのでしょうか?
今回使ったキャリブレーターはX-Rite社のi1DISPLAY PROです。ソフトは付属(実際にはダウンロード)のi1Profilerを使いました。BenQのモニターにはPalette Master Elementというキャリブレーションソフトがあるのですが、MacBook Proのモニターもキャリブレーションして見たかったので、ソフトはより一般的なi1Profileを選びました。
USBでキャリブレーターを繋いであれば、自動でi1Profileのライセンスが認証されるようです。これは毎回立ち上げるたびにライセンス認証しているみたいで、うまくライセンスが認証されないように思っても、Macにキャリブレーターを繋いでありさえすれば、しばらく待てば認証されます。
キャリブレーターとi1Profilerの細かい使い方はマニュアルや他のページに譲るとして、気づいたことを書いておきます。
1. 何はともあれ「ディスプレイのプロファイル作成」を選んでキャリブレーションを始めます。「簡易モード」と「詳細モード」がありますが、今回モードは「詳細モード」しか試していません。
2. 光源タイプはBenQ、Macともに「白色LED」が自動で選択されたのでそのまま進めます。
3. 最初は一般のモニターで見る場合の標準と言われている6500Kに合わせてみます。選んだところは3カ所だけ。
4. モニターが対応している場合は調整を全部もしくは一部を自動でやってくれます。今回使ったBenQ SW207Sは自動調整に対応しているようなので「自動ディスプレイコントロール(ADC)」を選びました。
手動は「ブライトネス、コントラスト、RGBゲイン」が調整できるようで、こちらも試しましたが、ブライトネスは調整でき、コントラストは調整そのものが出てこなくて、RGBゲインは調整してもなにも反応がなかったといった状況だったので、SW207Sの場合はこれ以降全て自動で調整するようにしています。(後で気付くのですが、ここが「トラブル2」のポイントでした。最後の方に解説してあります。)
5. 結果は、元々見ていた設定に比べて多少赤側により、結構暗くなりました。最初は違和感がありましたが、でも不思議な物でものの数分も見ていると慣れてしまって、これが普通だと思えます。
6. 同じi1Profileの「品質検証」でキャリブレーション の結果を検証してみても(もちろんエラーバーによりますが、何度か試しても変な失敗をしない限り普通に平均ΔEが1以下、最大ΔEが2以下もしくは3以下になります)合格と出ますし、何度か繰り返してもかなり再現性がありそうです。ここまででとりあえず、目的のパラメーターにすることは可能だということは分かりました。
その後、大きなトラブルにあたり何日も悩むのですが、これについてはこの記事の最後のほうに「トラブル1」として書いておきます。興味がある方(特にMacな方)は読んでみてください。
次に同じことをMacBookProのモニターでやってみます。同様にD65、120cd/m^2、ガンマ2.2です。
特筆すべきはMacBook Proの応答の線形性です。ほぼ一直線です。
BenQ SW207Sは少なくとも真っ直ぐにはなりませんでした。
キャリブレーションした2つの画面を比べて見ても、非常によく似た色合いになっています。一応写真に撮ったので載せておきます。iPhoneでの撮影なので、かなり色調補正され強調されてしまって元の色の再現性はできていないですが、相対的な違いはわかるかと思います。
ちなみに、MacBook Proで以前好みだったプロファイルだと、以下の右の画面のようになります。写真だと分かりにくいですが目で見ると相当違っていて、かなり青みがかった画面で普段作業していたことがわかります。
次に、印刷用のプロファイルとしてD50、90cd/m^2、ガンマ2.2というのでSW270Cをキャリブレーションしてみました。輝度は議論があるところですが、「星の牧場2」のよっちゃんさんによると、90cd/m^2くらいがよく印刷結果と合うとのことなので、とりあえずこの値で試します。
と、ここでまた深刻なトラブルが。複数のプロファイルがうまく切り替えられません。こちらも最後の方に「トラブル2」として、解決策とともにまとめておきます。
同様に、MacBook Proのモニターにも同じD50、90cd/m^2、ガンマ2.2を適用します。この時点でBenQ SW207SもMacBook Proも、6500Kでも5000Kでも、目的の色になることは確認できました。i1Profileの「品質検証」で検査してもかなり再現性があります。両方のモニターを目で見比べても、どちらの色温度でもよく似た色になっています。
これらの結果を、前回フジプリで印刷した結果と比べて見ます。印刷物を見るときは、本当は印字をした設定のはずのD50用のライトというのが売っていて、この光の元で比較すべきです。でもこのライトが高い!なので今回は天井の電球色と、机の位置や傾きを調節できるスタンドライトの昼光色(FHC22ED)を適当に混ぜて3つの色が同じように見えるようにして見ました。
3つを比べた結果が下になります。繰り返しますが、iPhoneで撮っているので、多少画像処理が入るため、絶対的な色は派手目に出てしまっています。相対的な違いを見てください。
見ている限りはそこそこ色は合っている気がします。むしろ3枚モニターがあるみたいで、印刷とモニターがここまで合うものなのかと、ちょっとびっくりなレベルです。あえて言うなら、Macが少しずれているでしょうか。でもズレ具合は6500Kの時に示した写真程度で、まあ私的には許容範囲内かと。モニター同士の色の違いは写真で撮った方が顕著になるようです。逆に印刷は目で見ると光の当たり具合の影響(見ている位置も含めて)なかなか違いが判断できなくて、むしろ写真に写した方がどれくらい合っているかわかりやすいです。
印刷した色がどれに一番近いか、モニターの元の色と6500Kと5000Kをじっくり目で見て比べると、やはり5000Kでした。もちろん環境光の影響をものすごく受けるのですが、例えば背景の色が比較的わかりやすく、明らかに5000Kが一番近いです。それでも本当に一緒の色かと言うとやはり違って見えて、印刷されたものの方が一番赤く、また色温度にあまり左右されない緑が印刷されたもののほうが一番濃かったのです。
比較のために、MacのモニターだけD65 (6500K)、120cd/m^2、ガンマ2.2に戻したのが下の写真になります。
写真でもMacのモニターだけ明らかに青みがかっているのがわかります。こちらは目で見た方がもっとよくわかります。
見慣れると6500Kが一番自然な色に見えてきます。以前好きだった色はかなり青によって見えてしまいます。5000Kはやはり黄色っぽく見えてしまいますし、暗いです。なので普段使いでは6500Kにして、輝度をもう少し明るくして使うことにします。
あと、Macについている「補正」機能も試しましたが、温度とガンマを合わせてもどうも全然違う色になるようです。なのでこの機能はこれ以上使うことはないと思います。
というより、キャリブレーターを一つ持っていれば、Macでもカラープロファイルで調整できる範囲内(ADC(自動調整)を使わないソフト的なと言う意味)で十分に色合わせができます。他のハードウェアキャリブレーションがない、一般のモニターではどうなのでしょうか?結局今回はSW270Cのハードウェアの調整はしていないことになる(下の方の「トラブル2」を参照)と思うので、もしかしたら色域とかの問題はあるものの、安いモニターでもそこそこの(私くらいの素人が、印刷したものと比較するくらいのレベルでの)色合わせくらいはできるのかもしれません。
やっている途中に大きな問題が起きました。
一旦キャリブレーションが終わって、比較しようとして以前のプロファイルにしても全然元の色には戻らず、明るすぎになってしまいます。
ところが一旦Macと接続を外したり、BenQの電源を切ったりして、再びMacBook ProとAW270Cを接続すると、明るすぎだった元の設定が、以前のようにまともに見えるようになります。そうすると今度は、キャリブレーションした設定が暗く見え過ぎてしまいます。こうなるとせっかくキャリブレーションしたプロファイルも意味がなくなってしまうので、一からやり直しです。
ここはかなり悩みました。その後、何日かいじってやっと原因がわかりました。
結局どうしたかというと、HDRモードをオフにしました。でもこのHDRモードをオフにするやり方がBenQのマニュアルとかサポートなど検索しても全く出てこなくて「条件を満たせば自動でHDRモードが選択されます」とあるだけです。逆に言えば条件を満たさないようにすればHDRをオフにできるはずなので、色々探してやっと見つかりました。Macの方のの設定にそれがあります。
「システム環境設定」の「ディスプレイ」を選んで、「BenQ SW270C」の「ディスプレイ」を選ぶと「ハイダイナミックレンジ」オプションが見つかりました。これをオフにすると色々うまくいくようです。
HDRをオフにした後、カラーモードを「Adobe RGB」にして、キャリブレーションを一からやり直しました。キャリブレーションが終了するとカラーモードは「ユーザー1」になりますが、今度はUSB-Cケーブルを抜き差ししても色はキャリブレーション されたままの色で、変なことにはなりません。
でもこれ、まだ問題を抱えていることに後で気付くのですが、詳しくは次の「トラブル2」を見てください。
ここでまたトラブルです。SW270Cで2種以上のカラープロファイルはほとんど意味をなさないことがわかりました。とにかくキャリブレーションするとSW270Cの中のカラーモードの「ユーザー1」にその設定が保存されます。次に別のキャリブレーションでカラープロファイルを作っても「ユーザー1」が上書きされてしまい、元のプロファイルに戻すことができなくなるのです。なのでキャリブレーション 前後の比較がうまくできません。
そこで「カラー調整」から「色設定を保存」にして、設定を「ユーザー2」にコピーします。その上で新たにキャリブレーションします。新しいキャリブレーション の設定は「ユーザー1」に入るので、元に戻したい場合には「ユーザー2」を選べばいいというわけです。でもこれ、Macの環境設定の「ディスプレイ」から行ける「カラー」のところにそれぞれのキャリブレーションで保存されたプロファイルが、全く意味をなさなくなります。どうも設定内容を全てSW270Cの設定に押し付けてしまうようです。ここら辺はもう少しやり方がありそうなので、引き続き試してみました。
解決策としては「自動ディスプレイコントロール(ADC)」も手動調整「ブライトネス、コントラスト、RGBゲイン」も両方とも選択しないことです。そうすると、調整結果が.iccのカラープロファイルの中に反映されるようです。検証しても最大許容エラーで2以下でも合格しますので、再現性もあるようです。
さらにこのことから、もう強制的に「ユーザー1」に設定が保存されることもなくなるので、最初からAdobe RGBにしておけば、色範囲が広いカラーモードでキャリブレーションができて、その設定がファイルという意味でのカラープロファイルに反映させるのかと思い試しました。狙いはバッチリで、Adobe RGBのまま、D65、120cd/m^2、ガンマ2.2もD50、90cd/m^2、ガンマ2.2も、再現性込みでカラープロファイルを選ぶだけで切り替えができるようになりました。
これでやっとまともなやり方にたどり着いたことになります(多分)。でもHDRとADCの適用範囲、ものすごくわかりにくいです。もう少し改善して欲しい気がします。
もう一つ気づいたトラブルですが、キャリブレーション 最後にカラープロファイルを保存するときののファイル名を変えられない時がありました。わかりにくかったのですが、日本語入力モードになっているときでした。入力はできるのですが、保存されたファイル名は入力を無視してデフォルトのものとなってしまいます。一番の問題は日本語モードになっていても半角でファイル名がきちんと表示だけされているので、気付きにくいことです。英字入力モードにすれば普通にファイル名を任意のものにできます。
ボタンや選択が全くできなくなる時があります。多分これはバグかと思います。i1Profile、もう少しきちんと検証して欲しいと思います。
ところで、色温度を簡単に測定する方法はないのでしょうか?キャリブレーションの時に、マニュアル調整を選ぶと、調整時にその時の色温度を測定してくれて表示してくれます。それを設定値に合わせろと言うのですが、調整時でなくてただ単に測定だけしてくれるモードがあればいいのですが。今のところ測定だけという方法は見つかってません。
長かったのですが、まとめると
比較的新しいMacと、一部のBenQモニターの組み合わせの場合、気をつけることとして、
今回、トラブル記事など冗長で長くなっているだけの気もしますが、私自身後から見てもわかるようにと、他にも悩んでいる人もいるかもと思い、そのまま残しておきます。誰かの役に立ったら嬉しいな。
一方、前回の記事でフジプリに頼んで天体画像の印刷を試してみました。せっかく手元にきちんとしたプリンタで印刷されて画像があるので、今回モニターをキャリブレーションしてみて、印刷画像と比べてみました。さてさて、実際どれくらい色が一致するのでしょうか?
使用機器
今回使ったキャリブレーターはX-Rite社のi1DISPLAY PROです。ソフトは付属(実際にはダウンロード)のi1Profilerを使いました。BenQのモニターにはPalette Master Elementというキャリブレーションソフトがあるのですが、MacBook Proのモニターもキャリブレーションして見たかったので、ソフトはより一般的なi1Profileを選びました。
USBでキャリブレーターを繋いであれば、自動でi1Profileのライセンスが認証されるようです。これは毎回立ち上げるたびにライセンス認証しているみたいで、うまくライセンスが認証されないように思っても、Macにキャリブレーターを繋いでありさえすれば、しばらく待てば認証されます。
実際にBenQ SW270をキャリブレーションしてみる
キャリブレーターとi1Profilerの細かい使い方はマニュアルや他のページに譲るとして、気づいたことを書いておきます。
1. 何はともあれ「ディスプレイのプロファイル作成」を選んでキャリブレーションを始めます。「簡易モード」と「詳細モード」がありますが、今回モードは「詳細モード」しか試していません。
2. 光源タイプはBenQ、Macともに「白色LED」が自動で選択されたのでそのまま進めます。
3. 最初は一般のモニターで見る場合の標準と言われている6500Kに合わせてみます。選んだところは3カ所だけ。
- 白色点は「D65」というのが6500Kを意味し
- 輝度は「120cd/m^2」
- ガンマを「2.2」
4. モニターが対応している場合は調整を全部もしくは一部を自動でやってくれます。今回使ったBenQ SW207Sは自動調整に対応しているようなので「自動ディスプレイコントロール(ADC)」を選びました。
手動は「ブライトネス、コントラスト、RGBゲイン」が調整できるようで、こちらも試しましたが、ブライトネスは調整でき、コントラストは調整そのものが出てこなくて、RGBゲインは調整してもなにも反応がなかったといった状況だったので、SW207Sの場合はこれ以降全て自動で調整するようにしています。(後で気付くのですが、ここが「トラブル2」のポイントでした。最後の方に解説してあります。)
5. 結果は、元々見ていた設定に比べて多少赤側により、結構暗くなりました。最初は違和感がありましたが、でも不思議な物でものの数分も見ていると慣れてしまって、これが普通だと思えます。
6. 同じi1Profileの「品質検証」でキャリブレーション の結果を検証してみても(もちろんエラーバーによりますが、何度か試しても変な失敗をしない限り普通に平均ΔEが1以下、最大ΔEが2以下もしくは3以下になります)合格と出ますし、何度か繰り返してもかなり再現性がありそうです。ここまででとりあえず、目的のパラメーターにすることは可能だということは分かりました。
その後、大きなトラブルにあたり何日も悩むのですが、これについてはこの記事の最後のほうに「トラブル1」として書いておきます。興味がある方(特にMacな方)は読んでみてください。
MacBook Proのモニターをキャリブレーション
次に同じことをMacBookProのモニターでやってみます。同様にD65、120cd/m^2、ガンマ2.2です。
特筆すべきはMacBook Proの応答の線形性です。ほぼ一直線です。
BenQ SW207Sは少なくとも真っ直ぐにはなりませんでした。
キャリブレーションした2つの画面を比べて見ても、非常によく似た色合いになっています。一応写真に撮ったので載せておきます。iPhoneでの撮影なので、かなり色調補正され強調されてしまって元の色の再現性はできていないですが、相対的な違いはわかるかと思います。
ちなみに、MacBook Proで以前好みだったプロファイルだと、以下の右の画面のようになります。写真だと分かりにくいですが目で見ると相当違っていて、かなり青みがかった画面で普段作業していたことがわかります。
印刷用のプロファイル
次に、印刷用のプロファイルとしてD50、90cd/m^2、ガンマ2.2というのでSW270Cをキャリブレーションしてみました。輝度は議論があるところですが、「星の牧場2」のよっちゃんさんによると、90cd/m^2くらいがよく印刷結果と合うとのことなので、とりあえずこの値で試します。
と、ここでまた深刻なトラブルが。複数のプロファイルがうまく切り替えられません。こちらも最後の方に「トラブル2」として、解決策とともにまとめておきます。
同様に、MacBook Proのモニターにも同じD50、90cd/m^2、ガンマ2.2を適用します。この時点でBenQ SW207SもMacBook Proも、6500Kでも5000Kでも、目的の色になることは確認できました。i1Profileの「品質検証」で検査してもかなり再現性があります。両方のモニターを目で見比べても、どちらの色温度でもよく似た色になっています。
実際に印刷したものと比べてみる
これらの結果を、前回フジプリで印刷した結果と比べて見ます。印刷物を見るときは、本当は印字をした設定のはずのD50用のライトというのが売っていて、この光の元で比較すべきです。でもこのライトが高い!なので今回は天井の電球色と、机の位置や傾きを調節できるスタンドライトの昼光色(FHC22ED)を適当に混ぜて3つの色が同じように見えるようにして見ました。
3つを比べた結果が下になります。繰り返しますが、iPhoneで撮っているので、多少画像処理が入るため、絶対的な色は派手目に出てしまっています。相対的な違いを見てください。
見ている限りはそこそこ色は合っている気がします。むしろ3枚モニターがあるみたいで、印刷とモニターがここまで合うものなのかと、ちょっとびっくりなレベルです。あえて言うなら、Macが少しずれているでしょうか。でもズレ具合は6500Kの時に示した写真程度で、まあ私的には許容範囲内かと。モニター同士の色の違いは写真で撮った方が顕著になるようです。逆に印刷は目で見ると光の当たり具合の影響(見ている位置も含めて)なかなか違いが判断できなくて、むしろ写真に写した方がどれくらい合っているかわかりやすいです。
印刷した色がどれに一番近いか、モニターの元の色と6500Kと5000Kをじっくり目で見て比べると、やはり5000Kでした。もちろん環境光の影響をものすごく受けるのですが、例えば背景の色が比較的わかりやすく、明らかに5000Kが一番近いです。それでも本当に一緒の色かと言うとやはり違って見えて、印刷されたものの方が一番赤く、また色温度にあまり左右されない緑が印刷されたもののほうが一番濃かったのです。
比較のために、MacのモニターだけD65 (6500K)、120cd/m^2、ガンマ2.2に戻したのが下の写真になります。
写真でもMacのモニターだけ明らかに青みがかっているのがわかります。こちらは目で見た方がもっとよくわかります。
見慣れると6500Kが一番自然な色に見えてきます。以前好きだった色はかなり青によって見えてしまいます。5000Kはやはり黄色っぽく見えてしまいますし、暗いです。なので普段使いでは6500Kにして、輝度をもう少し明るくして使うことにします。
Macの「補正」で色合わせとか...
あと、Macについている「補正」機能も試しましたが、温度とガンマを合わせてもどうも全然違う色になるようです。なのでこの機能はこれ以上使うことはないと思います。
というより、キャリブレーターを一つ持っていれば、Macでもカラープロファイルで調整できる範囲内(ADC(自動調整)を使わないソフト的なと言う意味)で十分に色合わせができます。他のハードウェアキャリブレーションがない、一般のモニターではどうなのでしょうか?結局今回はSW270Cのハードウェアの調整はしていないことになる(下の方の「トラブル2」を参照)と思うので、もしかしたら色域とかの問題はあるものの、安いモニターでもそこそこの(私くらいの素人が、印刷したものと比較するくらいのレベルでの)色合わせくらいはできるのかもしれません。
トラブル1: HDRの罠
やっている途中に大きな問題が起きました。
一旦キャリブレーションが終わって、比較しようとして以前のプロファイルにしても全然元の色には戻らず、明るすぎになってしまいます。
ところが一旦Macと接続を外したり、BenQの電源を切ったりして、再びMacBook ProとAW270Cを接続すると、明るすぎだった元の設定が、以前のようにまともに見えるようになります。そうすると今度は、キャリブレーションした設定が暗く見え過ぎてしまいます。こうなるとせっかくキャリブレーションしたプロファイルも意味がなくなってしまうので、一からやり直しです。
ここはかなり悩みました。その後、何日かいじってやっと原因がわかりました。
- MacBook ProをUSB-Cで繋ぐと、SW270のHDR(ハイパーダイナミックレンジ)モードが自動でオンになっていたのです。この場合、SW270Cの「カラー調整」が「輝度」「コントラスト」「シャープネス」「彩度」「色のリセット」以外は全て無効になります。SW270C上では他のカラーモードを選ぶことさえできません。
- ところが、キャリブレーションを進める過程で、「測定を開始」を押した後にすぐ、強制的にカラーモードはHDRオフになり、その状態でキャリブレーション が進み、カラープロファイルが作成されます。キャリブレーション 後確認してみると「ユーザー1」が選ばるようです。その選ばれたモードは何かモニターを操作するまでは持続します。
- i1Profileを立ち上げたままBenQの電源を一度切ると、i1Profileが(誤動作で)落ちる。その後、自動でHDRモードに戻ってしまい、キャリブレートしたプロファイルで見ると画面が暗く見えるなどの問題がある。
- 一旦Macと接続を外して再度接続すると、モニターが認識されないとう問題がある。BenQの電源を一度切ったりするとモニターが認識されるが、自動でHDRモードに戻ってしまい、キャリブレートしたプロファイルで見ると画面が暗く見える。
結局どうしたかというと、HDRモードをオフにしました。でもこのHDRモードをオフにするやり方がBenQのマニュアルとかサポートなど検索しても全く出てこなくて「条件を満たせば自動でHDRモードが選択されます」とあるだけです。逆に言えば条件を満たさないようにすればHDRをオフにできるはずなので、色々探してやっと見つかりました。Macの方のの設定にそれがあります。
「システム環境設定」の「ディスプレイ」を選んで、「BenQ SW270C」の「ディスプレイ」を選ぶと「ハイダイナミックレンジ」オプションが見つかりました。これをオフにすると色々うまくいくようです。
HDRをオフにした後、カラーモードを「Adobe RGB」にして、キャリブレーションを一からやり直しました。キャリブレーションが終了するとカラーモードは「ユーザー1」になりますが、今度はUSB-Cケーブルを抜き差ししても色はキャリブレーション されたままの色で、変なことにはなりません。
でもこれ、まだ問題を抱えていることに後で気付くのですが、詳しくは次の「トラブル2」を見てください。
トラブル2: ADC(自動調整)と複数のカラープロファイル
ここでまたトラブルです。SW270Cで2種以上のカラープロファイルはほとんど意味をなさないことがわかりました。とにかくキャリブレーションするとSW270Cの中のカラーモードの「ユーザー1」にその設定が保存されます。次に別のキャリブレーションでカラープロファイルを作っても「ユーザー1」が上書きされてしまい、元のプロファイルに戻すことができなくなるのです。なのでキャリブレーション 前後の比較がうまくできません。
そこで「カラー調整」から「色設定を保存」にして、設定を「ユーザー2」にコピーします。その上で新たにキャリブレーションします。新しいキャリブレーション の設定は「ユーザー1」に入るので、元に戻したい場合には「ユーザー2」を選べばいいというわけです。でもこれ、Macの環境設定の「ディスプレイ」から行ける「カラー」のところにそれぞれのキャリブレーションで保存されたプロファイルが、全く意味をなさなくなります。どうも設定内容を全てSW270Cの設定に押し付けてしまうようです。ここら辺はもう少しやり方がありそうなので、引き続き試してみました。
解決策としては「自動ディスプレイコントロール(ADC)」も手動調整「ブライトネス、コントラスト、RGBゲイン」も両方とも選択しないことです。そうすると、調整結果が.iccのカラープロファイルの中に反映されるようです。検証しても最大許容エラーで2以下でも合格しますので、再現性もあるようです。
さらにこのことから、もう強制的に「ユーザー1」に設定が保存されることもなくなるので、最初からAdobe RGBにしておけば、色範囲が広いカラーモードでキャリブレーションができて、その設定がファイルという意味でのカラープロファイルに反映させるのかと思い試しました。狙いはバッチリで、Adobe RGBのまま、D65、120cd/m^2、ガンマ2.2もD50、90cd/m^2、ガンマ2.2も、再現性込みでカラープロファイルを選ぶだけで切り替えができるようになりました。
これでやっとまともなやり方にたどり着いたことになります(多分)。でもHDRとADCの適用範囲、ものすごくわかりにくいです。もう少し改善して欲しい気がします。
その他、細かいトラブル
もう一つ気づいたトラブルですが、キャリブレーション 最後にカラープロファイルを保存するときののファイル名を変えられない時がありました。わかりにくかったのですが、日本語入力モードになっているときでした。入力はできるのですが、保存されたファイル名は入力を無視してデフォルトのものとなってしまいます。一番の問題は日本語モードになっていても半角でファイル名がきちんと表示だけされているので、気付きにくいことです。英字入力モードにすれば普通にファイル名を任意のものにできます。
ボタンや選択が全くできなくなる時があります。多分これはバグかと思います。i1Profile、もう少しきちんと検証して欲しいと思います。
ところで、色温度を簡単に測定する方法はないのでしょうか?キャリブレーションの時に、マニュアル調整を選ぶと、調整時にその時の色温度を測定してくれて表示してくれます。それを設定値に合わせろと言うのですが、調整時でなくてただ単に測定だけしてくれるモードがあればいいのですが。今のところ測定だけという方法は見つかってません。
まとめ
長かったのですが、まとめると
- 今回、設定を変える前の元の色、6500K、5000Kと比較しました。SW270Cでも、MacBook Proのモニターでも、設定を変えるとはっきり違いがわかります。
- BenQ SW207SもMacBook Proもそれぞれ同じ設定でキャリブレーション すると、目で見ても見分けがつかないくらいのレベルでかなり近い色になります。
- 自分が好きな色(元々使っていた色)はかなり青より(高い温度)だと言うことがわかりました。また、かなり明るい画面でも全く気になってなかったこともわかりました。
比較的新しいMacと、一部のBenQモニターの組み合わせの場合、気をつけることとして、
- HDRモードにはしない、もしHDRモードになっていたらMacの環境設定のディスプレイからオフにする。
- カラーモードはAdobe RGBを選んでおく。
- ADC(自動調整)はオフ、マニュアル調整もオフ。
- 一度キャリブレートしたらSW270Cの設定は弄らず、カラープロファイルのみで設定を切り替える。
今回、トラブル記事など冗長で長くなっているだけの気もしますが、私自身後から見てもわかるようにと、他にも悩んでいる人もいるかもと思い、そのまま残しておきます。誰かの役に立ったら嬉しいな。
コメント
コメント一覧 (14)
Macは以前から結構長い間色温度5000、ガンマ1.8がデフォルトでした。(最近の機種のデフォルトは不明、多分Windows同様色温度6500、ガンマが2.2のモニタが増えていると思います。(モニタ特性から見るとガンマの数値を上げないと中間調が出にくいため)
印刷現場での反射原稿のプロファイルとして使用されているものをそのまま採用していたからだそうです。(私も作業用のPCはその値にしています。)
正確な測定は環境光もそろえる必要がありますが、身近なものだと昼白色(緑色のパッケージ)の蛍光灯と普通紙(コートされていないもの)でホワイトを確認するとそこそこ揃います。(コート紙は蛍光剤が入っているので青いです。)
T-Studioさん、情報ありがとうございます。
私はカラーマネージメントはほぼ初なので、まだよくわかっていないことだらけです。そもそも、青く明るいのが好きだったようで、適当に設定していても全然気にならない口でした。でも他の人にどう見えているかとか、印刷までしようとして、やっと見えている色が気になってきた程度です。
MacとWindowsでは文化が違うのは理解できます。Macの方が印刷に近かったというのも納得できますし、普通にみるのにはWindowsに近くなるというのもユーザー数からなるほどと思います。でも、印刷も含めるとどちらもやはり5000Kに行き着くのですね。
環境光も含めて本当は正確にやりたいのですが、なかなか大変だと言うこともわかりました。普通紙の方がよくて、やはり白で揃えるべきなのですね。とりあえず今回白ではないですが、そこそこ揃ったみたいなので、この光を基準にして揃えようかと思ってます。ただ、スタンドライトの位置に依存するので、毎回測定し直しになりそうです。
カラーマネジメントモニター、良いですよね。
最終的な出力がプリントじゃなくても、鑑賞写真を完成させるには無くてはならない必需品になりました^^
複数台のモニターを同一の表示になるようにキャリブレーションするのは快感ですね。
私はプリントを鑑賞する場合の部屋の照明の色温度が低すぎるので、なんとか改善しようと思っていたところでした。
そうか、複数の光源を組み合わせるというのもアリなんですね!
印刷に合わせたキャリブレーション後も、最初天井のライトだけでは全く色が合いませんでした。スタンドライトの当たり具合を調整して、キャリブレーションしたモニターと、業者で印刷した結果を色合わせをしたことになります。
これである程度ライトの方に目安がつくようになりました。
天体の場合は非常に微妙なグラデーションを調整するのでモニターがトーンジャンプなどを起こしてしまっていると調整数値が大分変ってしまいます。
基準の白(5000が反射原稿の真っ白、モニタは現在は6500がデフォルトになっているようです)とグレースケールが色の偏りがなく均等に表示されれば大分色が合います。
順番としては昼白色の蛍光灯で普通紙をみてモニタの白もその色に合わせると大まかにホワイトは取れます。(厳密には管理された光源が必要ですが、一般家庭ではむずかしいのでこの方法が手軽です)
その後モニタのグレースケールを調整します。
印刷用の色見本とそのデータがあればモニタに映して見比べて調整するとより良いです。
いずれにしてもモニタは8ビットしか表現幅がありませんので、天体の16ビット以上のデータは完全には確認できません。
しかしグレースケールの偏りをなくしておけば画像処理などでの調整がしやすくなるかと思います。
少し分からなくなってきました。T-Studioさんの方法はキャリブレーターを使わないという意味でしょうか?
キャリブレーターを使いモニターを合わせ、更に色見本があるなら、モニターと印刷物を合わせるためには、後はもうライト(環境光)しか自由度がないはずです。でもT-Studioさんが言うように、ライトを昼白色で固定して、固定された紙もしくは色見本と比べて調整するとしたら、キャリブレーターを使わずにモニターをマニュアルで調整することになります。
キャリブレーターは結果を検証すると正しいと出て、印刷物は業者の物なので正しいと仮定しているので、今回の私のコンセプトは一番不確定な環境光を正しいと思われる物を使って合わせこんだということです。
もしかして何か私、大きな勘違いをしてますでしょうか?
室内灯は6灯全てRa90ですが…いつか業務用にしたいんですけど高い。
T-Studio さんの言いたい事は私もわかるような、わからないような…言葉で説明しにくいですね。
キャリブレーションセンサを使う利点は、モニタの劣化などによる白が変わるのでそれを元に戻すこと、グラフィックボードが出力するRGB各色の出す出力を調整することだと思っています。
そのためキャリブレーションセンサが劣化するとそもそもの測定結果が役に立たなくなります。
印刷の色見本はそのままで、紙によって色が異なるからだと思います。
極端な話すると、自分の画面で設定して印刷依頼をしても、それが目的の紙色ではないかもしれません。新聞紙に印刷すると思っていた色と違う感じになると思います。たぶんそんなこと言いたいのでは?
天体写真では気にするレベルではないと思いますが、寒色系の用紙に人物を印刷すると顔色悪くなってしまうので気を使ったりします。
なので寒色系の用紙に合わせて色調整するんですが…
用紙の色まで気にしたら沼一直線なのでホドホドで良いと思います。
そこが楽しいんだけどなぁ!友達は理解してくれない。
みおさん、コメントありがとうございます。
印刷も、キャリブレーションセンサーも、光源もなかなか条件を確定させるのは大変ということですね。
光源についてはもう少し調べてみました。LED化も徐々に可能になりつつあるようで、しかもそこまで高額でもないこともわかってきました。
まあ、完璧を求めるのはいずれにせよ大変なので、私はとりあえずはできる範囲でやることになるのかと思います。
私が記載した事項は測定器を使わない方法です。
が、測定器を使ったとしても追い込みで使用する方法になります。
最終的にはプロファイルを作った後、見本とそのデータをモニタに映し見ながらの微調整になります。
(モニタの場合、業務用の測定器をつかってもある程度までしか調整してくれません(モニタを反射的に測定していますし、液晶も測定器のカメラもどちらも完璧な状態のものはありません、あくまで指標です。)
コマーシャルフォトの現場でも最終的には現物合わせなんですよ。
(現物がある場合は)
ただ、そこに行くまでにみんながバラバラな指標で確認していたらいつまで経っても結論が出なくなります。
なので、印刷の場合はデータ作るときには刷り物の特性に合わせておいてね。
白の基準は5000でガンマは1.8、これで見本通りにうちは印刷できるようにしてますよ。会社によってはうちの出力の特性(プロファイル)でも確認しておいてね、と出力機のプロファイルを配布しているところもあります。
最低限モニタと基準となる見本(白、グレースケールなど)同じように見えてグレースケールが全てニュートラルに見えれば大きくは外れないということです。(モニタは非常にコントラストが強く、グレースケールがきれいに揃いづらいです。)
天体写真とかは淡いグラデーションの集合体なので、出力などを行う場合かなりズレが出やすいです、が、それがズレていると感じるのはデータを依頼した本人だけです。(印刷環境と合わせていない場合は特に)
そのずれを少なくする方法として簡単ですが結構効果がある方法の一つとお考え下さい。
なるほど、勉強になります。
やはり測定器を使ったとしてもなかなか確定した基準というのは難しいのですね。
最後の追い込みみたいなのが大事だということも気にしておきます。
まあ、所詮素人なので会社レベルはなかなか難しいと思っています。しばらくはフジプリに頼むことになるので、その色が予想できたら私の場合はゴールに近いです。
いろいろコメントありがとうございます。
フジプリのサイトなどでプロファイルや見本などを配布していたら入手しておくといいですよ。
モニタが調整されていれば、フォトショップのプロファイルプレビューなどである程度最終確認ができます。
ご自身でおつくりになったプロファイルでフォトショップなどで横2560ピクセルで0~255のグレースケールのグラデーションを描いて表示すると原理的には横10ピクセルで1ずつ変化するはずです。
これをピクセル等倍で見てみるとグレーがピンクになっていたり、グリーンになっているところがあるかもしれません。
これが気にならないくらいに最終調整しておくと業者のプリントとご自身のモニタでの出力が大体合いますよ。(業者がプロファイル配布していればプロファイルプレビューすればさらに合います)
目視での追い込みになりますので、環境光も5000にしておいた方がいいですが、昼の曇り空ならそこそこ見分けられます。(太陽の光も5000なので)
みおさんがお使いの5000K Ra99の蛍光灯があればとても良いですが、とても高いので手軽に済ませるなら蛍光灯は昼白色(5000)のインバータータイプにしておくと良いです。(蛍光灯の電球なんかはこれですね、まあまあ演色性がいいです)
なるほど、さらにありがとうございます。
プロファイルと色見本探してみます。プロファイルプレビューがよくわかっていないですが、ちょっと調べてみます。
あと、ピクセル等倍でみるというのは眼から鱗です。どんな風に見えるのか、一度試してみたいです。
今の時点ではまだ蛍光灯のほうがいいみたいですが、部屋に蛍光灯をつけるのが難しいので、LED球でいいのがないか探してみました。少し色再現性が劣るみたいですが入手できるみたいです。こちらも少し考えてみます。
だとすると、注文するときに自動補正オフにして依頼した方が良いかもです。フロンティアは富士フィルムが写真屋さん向けに販売していたレーザー出力機なので設定値などは公開されていません。
次に依頼するときにテストチャートデータ(フォトショップなどでグレースケールとRGB各色の0〜255のグラデーション)作ってプリントチェックして、次に送るときに特性に合わせて画像調整してから送った方が早いと思います。(印刷用の調整はトーンカーブで可能です。)
フォトショップでのピクセル等倍確認はズームツールをダブルクリックで、プロファイルプレビューはプロファイルをフォトショップによみこんでからメニュー:表示→校正設定で行えますよ。
自動補正は必ずオフにしています。天体写真の場合にはこれはほぼ常識みたいですが、私もオンにしたことはないので、その効果はわかりません。今のところオフで不満に思ったことはないので、これでいいのかと思ってます。
テストチャート作ってみました。今度印刷してみます。