昨日のSharpCapの一眼レフ対応の騒動から一夜明けてブログを書いています。まだちょっと興奮気味です。
何日か前からSharpCapのβテストフォーラムで3.3βが間も無くリリースされるというニュースはあがっていました。金曜の夜にも確認し、そろそろかなと思って土曜の昼くらいに見たらすでにリリースされてるではないですか!
バージョン3.2から3.3βへの大きな変更点は、シーケンサー操作と、デジタル一眼レフカメラのサポートです。電視観望にとっては後者が重要です。
以前にもSharpCapで一眼レフを使う方法は少なからずありました。2018年の夏頃でしょうか、ASCOMの一眼レフカメラのドライバーを使ってSharpCapからアクセするするというものです。
でも実際私も6Dで試したりしたのですが、全く動きませんでした。その当時、幾らかの実際に動いた人がSharpCapでライブスタックを試したりもしていたそうですが、その方法はかなりトリッキーでした。カメラから直接、PC上のあるフォルダに画像ファイル書き込んで、そのフォルダ内のファイルをSharpCapが読み取ってスタックするというのが唯一の方法だったはずです。私の場合は、そもそもそれを試すところまでたどり着けない状態で、非常に不安定でした。
その後ちょくちょく気にしてはいましたが、年単位でなかなか進展がなく、そのため前回の記事のようにSIGMA fpに走って電視観望を試したりしていました。
ではそもそも、なぜSharpCapで一眼レフカメラが使えるといいのか?
一般的には撮影です。PCからカメラが制御できれば、ファイルのPCへの取り込みや、設定を変えながらの撮影、リモート操作などにつながります。でもこれらのことはこれまでも、少なくともCanonの場合はEOS UtilityやBackYardEOSを使うことでかなり以前から実現されてます。まだ私は試してませんが最近ではNINAを使ってもできるはずです。
でもSharpCapでしかできないことがあります。一般的にいう天体写真の画像処理を、簡易的にですがリアルタイムでしてしまうことです。オートストレッチやヒストグラムを見ながらのマニュアルストレッチ、LiveStackを使ってのノイズ緩和、ダーク補正やフラット補正もリアルタイムでできてしまいます。
さらにスタック時には、撮影した画面を元に星が重なるように画面を移動して追いかけます。しかもただ追いかけるだけでなく、個々の星の位置を認識し、画面を歪ませて星位置を合わせながらスタックしていきます。
これらの機能は、なかなか他のソフトでは実現できていなくて、今のところ知る限りSharpCapとASIStudioの中のASILiveのみです。これらの機能が電視観望へと繋がっていきます。快適な電視観望はこのような高度な機能の上に初めて成り立つのです。
SharpCapで一般の一眼レフカメラを使うことができると、より大きなセンサーをより安価に利用して電視観望を実現する道が開かれるのです。
そこにきて、昨日におけるSharpCap 3.3βのリリースです。まだβテスト段階に過ぎませんが、今回のバージョンでこれまで滞っていた一眼レフカメラのサポートが一気に進んだ感があります。
さて、これらを動かすためにはASCOM環境がインストールされている必要があります。ASCOM Platformはここからダウンロードしてインストールします。DSLR(一眼レフカメラ)用のASMOMドライバーはいまだ開発段階のような状況で、私はここからダウンロードしました。インストールするとわかるのですが、接続方法は
さて、実際のテストの様子です。SharpCap3.3βのインストールはここを見てください。注意書きにもあり、また繰り返しにもなりますが、あくまでβテストです。自己責任で、人柱になるくらいの覚悟を持って、最悪機器が壊れてもいいような環境で試すことを強くお勧めします。撮影に使っている主力機などはまだこの段階では試すべきではないかもしれません。
ASCOM関連もきちんとインストールしてあれば、あとはカメラとPCを繋ぐだけです。SharpCap3.3βを立ち上げてCameraのところを選ぶと、該当するカメラが出てきているはずです。それを選ぶと「カシャーン」シャッタを開ける音がして接続完了です。
この時点で「Snapshot」を押せば、撮影した画像が出てくるはずです。もし何も出て来なかったらカメラのキャップが外れてるかとか、露光時間が短か過ぎないかとか、ISOが低過ぎないかとかきちんと確かめてみてください。夜にいきなり本番で試す前に、一度昼間明るいところで試してみて、まずはきちんと動くかどうか確かめた方がいいと思います。
ここからが新機能です。メニュー下の左端にある新しい「LiveView」を押します。するとシャッターが「カシャーン、カシャーン、カシャーン」と鳴り始め、連続での撮影が始まります。これがこれまでのCMOSカメラでの通常の撮影にあたります。ずっとシャッターを切り続けるので、シャッター回数を気にする人はやはりまだ躊躇すべきかもしれません。もしくは露光時間を長くして対処した方が良いのかと思います。通常、これまでのCMOSカメラはメカニカルシャッターなどは、SharpCapでカメラを接続すると連続でずっと撮影をし続けています。
本当は電視シャッターを持っているか、もしくはミラーアップ撮影ができれば良いのですが、私のところのCanonでも、智さんのところのNikonでもミラーアップにした途端SharpCapが止まってしまいました。私のほうはまだマシで、ミラーアップを解除したらまたSharpCapが動き出したのですが、智さんのところはミラーアップにした途端エラーでSharpCapが落ちてしまったそうです。ここら辺は今後改良されることを期待するしかないと思います。
あと、少し理解しておいた方が良いことは、メニュー下の「Capture」とかは画像データをディスクに「保存する」ということを意味します。カメラを繋いだ段階で、保存はしなくても撮影(PCに画像を送ること)はし続けていて、保存はせずに画像を捨て続けているということです。一眼レフになってもこれは同じ概念のようで、シャッターを切り続けても、PC上のディスクにも、カメラ内の記録カードにも画像は一切保存されません。これがデフォルトの設定のようです。
表示された画像は、ヒストグラムの3本の線で見え方を変えることもできます。簡単なのは真ん中の線で、左右に動かすと明るくなったり暗くなったりするのがわかると思います。画像処理でのあぶり出しの効果を撮影している最中にできるというわけです。SharpCapの有料版のライセンスを持っている方は、オートストレッチもできます。ヒストグラム右の雷のようなボタンを押してください。簡単にある程度の最適化ができます。
ここまでのテストが終わったら、次はLiveStackを立ち上げます。すると、シャッタを毎回切るとともに画像がスタックされていきます。これを見た時、おおっ!!!と感動しました。
さらに、Live Stack中にSave Allというオプションを選ぶことができて、こうするとPCに全てのシャッターの画像ファイルが保存されるようです。でも、それでもカメラカード内には何も保存されないみたいです。
この時点で16時過ぎくらいだったでしょうか。Twitterに投げたところ、すごい反響でした。特にあぷらなーとさんは狂喜乱舞。これまでの複雑な解析手法を相当簡略化できるとのことで、早速追試して、上記の通りカメラを壊しそうになったというわけです。
テストは上記の写真の通り、昼間の明るいうちに行いました。できれば夜に実際の空で試したいのですが、天気予報は曇り。果たしでどうなるか?
夕方過ぎ、暗くなってきたのですが全面に雲が出ています。落ち着かなくてちょくちょく外に出て見てみると、20時半頃でしょうか、ごく一部ですが薄雲越しに星が見えています。雨は大丈夫そうなので、とりあえず機材を出そうと思い、AZ-GTiに6Dを取り付けて外に持っていきます。レンズはNikonの135mm f2.8です。下の写真はちょうど天頂付近をみている様子を上の方から撮影したものです。6Dの文字が誇らしげに見えると思います。
カメラと接続して外に置いたPCではもちろんSharpCapの3.3βを走らせます。さらにAZ-GTiをコントロールするSynScan Proを走らせて、このPC自体を部屋からリモートデスクトップで接続します。まだ暑いので、クーラの効いた部屋で快適リモート電視観望です。
でもこの画面を撮った直後に雲が出てきて、LiveStackはお預け。しばらく待ちます。
その後10分くらい待つとすぐにまた雲がひらけてきて、ついに6DのLive Stackで星雲をはっきり映し出すことに成功しました!!!
LiveStackなので、待てば待つほど背景のノイズが少なくなってきて、星雲がどんどん見えてきます。上の画像で15秒x8=120秒、ISOは6400です。
操作性に関していうと、少なくとも6Dの場合は露光時間もゲインもSharpCap上から調整できます。もうCMOSカメラと変わらないくらいの操作性です。ただしカラーバランスを調整できるのはLiveStack中のみでした。CMOSカメラの時にできた取り込み時の赤と青の調整は、そもそもパネル自体が出てこないです。
とりえずうまくいったのですが、この後またモニター上で見ても雲に覆われてしまって、外に出たら空全体が厚い雲で覆われてました。雨が心配だったのでそのまま機材も片付けることにしました。一瞬のテストチャンスだったみたいです。
今一度一眼レフカメラがSharpCapで使えることのメリットをまとめておきます。
とにかく、これまで面積の大きいセンサーを使うことが(ものすごく高価で)大変で、小さい面積で初心者は四苦八苦してたはずなのです。面積が小さいと、最初に天体がセンサーないに入って来なくて、導入がすごく難しいのです。一眼レフカメラが利用できるとなると、今までベストと言われてきたフォーサーズのASI294MCよりも大きな、APS-Cとか、もしかしたらフルサイズまで安価に手に入れられるかもしれません。もしくは手持ちのカメラがあったら簡単に試すこともできるかもしれません。これらが解決するなら、さらに電視観望の敷居が下がり、天文人口の増加につながるかもしれません。
今回のSharpCapのアップデートは大きなエポックメーキングです。このブログでは電視観望にターゲットを絞って説明しましたが、あぷらなーとさんのように他にもメリットを感じるケースは多々あるかと思います。今回触って感想として、私的には極上の電視観望用のカメラが増えたような、得した気分になれました。
私はSharpCapの開発には全然貢献できていなくて、ただのユーザーにすぎないのですが、開発陣の努力に心から感謝します。今回のようにソフトの改良、特に最近はAZ-GTiのようなハードと柔軟なソフトの組み合わせで状況が劇的に変わり、以前よりはるかに便利になったりしています。プレートソルブなんかも良い例かと思います。私が星を始めてわずか4年の間にも物事は大きく変わってきています。まだまだこれからの将来も楽しみでなりません。
SharpCapバージョンアップ間近
何日か前からSharpCapのβテストフォーラムで3.3βが間も無くリリースされるというニュースはあがっていました。金曜の夜にも確認し、そろそろかなと思って土曜の昼くらいに見たらすでにリリースされてるではないですか!
バージョン3.2から3.3βへの大きな変更点は、シーケンサー操作と、デジタル一眼レフカメラのサポートです。電視観望にとっては後者が重要です。
これまでの一眼レフへの対応状況
以前にもSharpCapで一眼レフを使う方法は少なからずありました。2018年の夏頃でしょうか、ASCOMの一眼レフカメラのドライバーを使ってSharpCapからアクセするするというものです。
でも実際私も6Dで試したりしたのですが、全く動きませんでした。その当時、幾らかの実際に動いた人がSharpCapでライブスタックを試したりもしていたそうですが、その方法はかなりトリッキーでした。カメラから直接、PC上のあるフォルダに画像ファイル書き込んで、そのフォルダ内のファイルをSharpCapが読み取ってスタックするというのが唯一の方法だったはずです。私の場合は、そもそもそれを試すところまでたどり着けない状態で、非常に不安定でした。
その後ちょくちょく気にしてはいましたが、年単位でなかなか進展がなく、そのため前回の記事のようにSIGMA fpに走って電視観望を試したりしていました。
なぜSharpCapと一眼レフカメラ?
ではそもそも、なぜSharpCapで一眼レフカメラが使えるといいのか?
一般的には撮影です。PCからカメラが制御できれば、ファイルのPCへの取り込みや、設定を変えながらの撮影、リモート操作などにつながります。でもこれらのことはこれまでも、少なくともCanonの場合はEOS UtilityやBackYardEOSを使うことでかなり以前から実現されてます。まだ私は試してませんが最近ではNINAを使ってもできるはずです。
でもSharpCapでしかできないことがあります。一般的にいう天体写真の画像処理を、簡易的にですがリアルタイムでしてしまうことです。オートストレッチやヒストグラムを見ながらのマニュアルストレッチ、LiveStackを使ってのノイズ緩和、ダーク補正やフラット補正もリアルタイムでできてしまいます。
さらにスタック時には、撮影した画面を元に星が重なるように画面を移動して追いかけます。しかもただ追いかけるだけでなく、個々の星の位置を認識し、画面を歪ませて星位置を合わせながらスタックしていきます。
これらの機能は、なかなか他のソフトでは実現できていなくて、今のところ知る限りSharpCapとASIStudioの中のASILiveのみです。これらの機能が電視観望へと繋がっていきます。快適な電視観望はこのような高度な機能の上に初めて成り立つのです。
SharpCapで一般の一眼レフカメラを使うことができると、より大きなセンサーをより安価に利用して電視観望を実現する道が開かれるのです。
そこにきて、昨日におけるSharpCap 3.3βのリリースです。まだβテスト段階に過ぎませんが、今回のバージョンでこれまで滞っていた一眼レフカメラのサポートが一気に進んだ感があります。
現段階での対応状況
さて、これらを動かすためにはASCOM環境がインストールされている必要があります。ASCOM Platformはここからダウンロードしてインストールします。DSLR(一眼レフカメラ)用のASMOMドライバーはいまだ開発段階のような状況で、私はここからダウンロードしました。インストールするとわかるのですが、接続方法は
- CanonSdk
- BackyardEOS
- Nikon
- Pentax
- NikonLegacy
とあります。いくつかの説明を見る限り、LiveViewはCanonとNikonのみと書いてありますが、この説明も古い可能性がありますので、ここの機器の対応は現段階では自分で試す必要がありそうです。現状としては、
- Canonは少なくとも私のところで動きました。
- Nikonは智さん、あぷらなーとさんが動かしたという報告があります。ASCOMドライバーのカメラ選択のメニューで「ニコン」だと不安定でしたが、「ニコン・レガシー」だと比較的安定だったとのこと。
- Sony用カメラのドライバーもあるようですが、Sonyカメラを持っていないので試せてはいません。 HUQさんが試したようですが、動かないと言っていました。
ところがです、あぷらなーとさんのところでNikonのD810をSharpCapで動かそうとしたらエラーで本体が壊れたという情報が流れました。幸い「バッテリーを抜いて強制電源OFFした後、電源を再投入してシャッターボタン長押し」で復帰したそうですが、まだ一番最初の一般向けのβテスト段階ですので、何か試す場合も自己責任で、くれぐれもご注意下さい。
SharpCapから実際に一眼レフを動かしてみる
さて、実際のテストの様子です。SharpCap3.3βのインストールはここを見てください。注意書きにもあり、また繰り返しにもなりますが、あくまでβテストです。自己責任で、人柱になるくらいの覚悟を持って、最悪機器が壊れてもいいような環境で試すことを強くお勧めします。撮影に使っている主力機などはまだこの段階では試すべきではないかもしれません。
ASCOM関連もきちんとインストールしてあれば、あとはカメラとPCを繋ぐだけです。SharpCap3.3βを立ち上げてCameraのところを選ぶと、該当するカメラが出てきているはずです。それを選ぶと「カシャーン」シャッタを開ける音がして接続完了です。
この時点で「Snapshot」を押せば、撮影した画像が出てくるはずです。もし何も出て来なかったらカメラのキャップが外れてるかとか、露光時間が短か過ぎないかとか、ISOが低過ぎないかとかきちんと確かめてみてください。夜にいきなり本番で試す前に、一度昼間明るいところで試してみて、まずはきちんと動くかどうか確かめた方がいいと思います。
LiveViewモード
ここからが新機能です。メニュー下の左端にある新しい「LiveView」を押します。するとシャッターが「カシャーン、カシャーン、カシャーン」と鳴り始め、連続での撮影が始まります。これがこれまでのCMOSカメラでの通常の撮影にあたります。ずっとシャッターを切り続けるので、シャッター回数を気にする人はやはりまだ躊躇すべきかもしれません。もしくは露光時間を長くして対処した方が良いのかと思います。通常、これまでのCMOSカメラはメカニカルシャッターなどは、SharpCapでカメラを接続すると連続でずっと撮影をし続けています。
本当は電視シャッターを持っているか、もしくはミラーアップ撮影ができれば良いのですが、私のところのCanonでも、智さんのところのNikonでもミラーアップにした途端SharpCapが止まってしまいました。私のほうはまだマシで、ミラーアップを解除したらまたSharpCapが動き出したのですが、智さんのところはミラーアップにした途端エラーでSharpCapが落ちてしまったそうです。ここら辺は今後改良されることを期待するしかないと思います。
あと、少し理解しておいた方が良いことは、メニュー下の「Capture」とかは画像データをディスクに「保存する」ということを意味します。カメラを繋いだ段階で、保存はしなくても撮影(PCに画像を送ること)はし続けていて、保存はせずに画像を捨て続けているということです。一眼レフになってもこれは同じ概念のようで、シャッターを切り続けても、PC上のディスクにも、カメラ内の記録カードにも画像は一切保存されません。これがデフォルトの設定のようです。
表示された画像は、ヒストグラムの3本の線で見え方を変えることもできます。簡単なのは真ん中の線で、左右に動かすと明るくなったり暗くなったりするのがわかると思います。画像処理でのあぶり出しの効果を撮影している最中にできるというわけです。SharpCapの有料版のライセンスを持っている方は、オートストレッチもできます。ヒストグラム右の雷のようなボタンを押してください。簡単にある程度の最適化ができます。
とうとう、LiveStackができた!
ここまでのテストが終わったら、次はLiveStackを立ち上げます。すると、シャッタを毎回切るとともに画像がスタックされていきます。これを見た時、おおっ!!!と感動しました。
とうとう念願だった一眼レフカメラによる電視観望で、リアルタイムに炙り出しまで実現できる道が開かれたことになります。
さらに、Live Stack中にSave Allというオプションを選ぶことができて、こうするとPCに全てのシャッターの画像ファイルが保存されるようです。でも、それでもカメラカード内には何も保存されないみたいです。
この時点で16時過ぎくらいだったでしょうか。Twitterに投げたところ、すごい反響でした。特にあぷらなーとさんは狂喜乱舞。これまでの複雑な解析手法を相当簡略化できるとのことで、早速追試して、上記の通りカメラを壊しそうになったというわけです。
テストは上記の写真の通り、昼間の明るいうちに行いました。できれば夜に実際の空で試したいのですが、天気予報は曇り。果たしでどうなるか?
実際に夜の星を見てみる
夕方過ぎ、暗くなってきたのですが全面に雲が出ています。落ち着かなくてちょくちょく外に出て見てみると、20時半頃でしょうか、ごく一部ですが薄雲越しに星が見えています。雨は大丈夫そうなので、とりあえず機材を出そうと思い、AZ-GTiに6Dを取り付けて外に持っていきます。レンズはNikonの135mm f2.8です。下の写真はちょうど天頂付近をみている様子を上の方から撮影したものです。6Dの文字が誇らしげに見えると思います。
あとで写真だけ見たら、一瞬背景が星に見えました。実際はアスファルトです。
カメラと接続して外に置いたPCではもちろんSharpCapの3.3βを走らせます。さらにAZ-GTiをコントロールするSynScan Proを走らせて、このPC自体を部屋からリモートデスクトップで接続します。まだ暑いので、クーラの効いた部屋で快適リモート電視観望です。
さて、実際の6Dでの電視観望ファーストショットです。
ISO6400、10秒露光の一発撮りです。10秒ごとにこんな画像が出てきます。QBPがついているので、ヒストグラムであぶりだしてやると、淡いですがすでに星雲が見えています。上の方が網状星雲、下の方が北アメリカ星雲です。
レンズの焦点距離は 135mm。これまでツースターで使っていたフォーサーズのASI294MCと比べて、フルサイズの6Dの場合1.85倍くらいセンサーの一辺が長くなるので、同じレンズで3.5倍くらいの面積が見えます。ASI294MCで135mm/1.85~75mmくらいのレンズを使うと同じような面積になりますが、恒星の見え具合は直焦点の場合レンズの焦点距離に比例してよくなります。6Dで135mmレンズを使う場合、ASI294MCで75mmのレンズを使う場合に比べて1.85倍くらい暗い星まで見えることになります。1等級以上くらい星まで見えるようになります。
星が画面いっぱいに散りばめられたような電視観望にしたい場合は、長焦点のレンズを使うことが必須になります。これまではセンサー面積が小さいと狭い範囲しか見れないことが、フルサイズのセンサーを使うことで解決されたわけです。
ISO6400、10秒露光の一発撮りです。10秒ごとにこんな画像が出てきます。QBPがついているので、ヒストグラムであぶりだしてやると、淡いですがすでに星雲が見えています。上の方が網状星雲、下の方が北アメリカ星雲です。
レンズの焦点距離は 135mm。これまでツースターで使っていたフォーサーズのASI294MCと比べて、フルサイズの6Dの場合1.85倍くらいセンサーの一辺が長くなるので、同じレンズで3.5倍くらいの面積が見えます。ASI294MCで135mm/1.85~75mmくらいのレンズを使うと同じような面積になりますが、恒星の見え具合は直焦点の場合レンズの焦点距離に比例してよくなります。6Dで135mmレンズを使う場合、ASI294MCで75mmのレンズを使う場合に比べて1.85倍くらい暗い星まで見えることになります。1等級以上くらい星まで見えるようになります。
星が画面いっぱいに散りばめられたような電視観望にしたい場合は、長焦点のレンズを使うことが必須になります。これまではセンサー面積が小さいと狭い範囲しか見れないことが、フルサイズのセンサーを使うことで解決されたわけです。
でもこの画面を撮った直後に雲が出てきて、LiveStackはお預け。しばらく待ちます。
ついにLiveStackで星雲がはっきりと!
その後10分くらい待つとすぐにまた雲がひらけてきて、ついに6DのLive Stackで星雲をはっきり映し出すことに成功しました!!!
LiveStackなので、待てば待つほど背景のノイズが少なくなってきて、星雲がどんどん見えてきます。上の画像で15秒x8=120秒、ISOは6400です。
しかもアラインメントも普通に成功です。SharpCapのアラインメント機能はものすごく優秀で、撮影した画面の中の個々の星の位置を認識し、画面を歪ませて星位置を合わせながらスタックしていきます。このためある程度広角のレンズなら赤道儀や経緯台の自動追尾なども必要なく、固定三脚でも十分実用な電視観望ができます。
操作性に関していうと、少なくとも6Dの場合は露光時間もゲインもSharpCap上から調整できます。もうCMOSカメラと変わらないくらいの操作性です。ただしカラーバランスを調整できるのはLiveStack中のみでした。CMOSカメラの時にできた取り込み時の赤と青の調整は、そもそもパネル自体が出てこないです。
とりえずうまくいったのですが、この後またモニター上で見ても雲に覆われてしまって、外に出たら空全体が厚い雲で覆われてました。雨が心配だったのでそのまま機材も片付けることにしました。一瞬のテストチャンスだったみたいです。
一眼レフカメラがSharpCapで使えることのメリットのまとめ
今一度一眼レフカメラがSharpCapで使えることのメリットをまとめておきます。
- まず、センサー面積が大きくなる。
- 同じ面積を見るのに、焦点距離を伸ばすことができる。
- より暗い恒星まで見えるので、星いっぱいの電視観望になる。
- 見える面積が広がるので、特に初心者にとっては導入が楽になる
- 中古一眼レフカメラは安価なので、大きなセンサーが安く手に入る。フルサイズのCCDやCMOSカメラはものすごく高い。初心者では全く出が出ないほど高い。
- カメラ用の安いレンズを電視観望に使うことができる。これはこちらのページをご参照ください。
- 初心者が初めて電視観望を始める時、一番高いのがカメラです。この値段が下がる可能性があるので、電視観望の敷居が一気に下がることが期待できる。
- まだ操作が少し複雑。最初のうちは丁寧なインストラクションや解説が必要。
- 安定性に問題がある。これは時間が解決することになると思う。
- シャッターを切り続けるので、シャッターの寿命が気になる
まとめ
とにかく、これまで面積の大きいセンサーを使うことが(ものすごく高価で)大変で、小さい面積で初心者は四苦八苦してたはずなのです。面積が小さいと、最初に天体がセンサーないに入って来なくて、導入がすごく難しいのです。一眼レフカメラが利用できるとなると、今までベストと言われてきたフォーサーズのASI294MCよりも大きな、APS-Cとか、もしかしたらフルサイズまで安価に手に入れられるかもしれません。もしくは手持ちのカメラがあったら簡単に試すこともできるかもしれません。これらが解決するなら、さらに電視観望の敷居が下がり、天文人口の増加につながるかもしれません。
今回のSharpCapのアップデートは大きなエポックメーキングです。このブログでは電視観望にターゲットを絞って説明しましたが、あぷらなーとさんのように他にもメリットを感じるケースは多々あるかと思います。今回触って感想として、私的には極上の電視観望用のカメラが増えたような、得した気分になれました。
私はSharpCapの開発には全然貢献できていなくて、ただのユーザーにすぎないのですが、開発陣の努力に心から感謝します。今回のようにソフトの改良、特に最近はAZ-GTiのようなハードと柔軟なソフトの組み合わせで状況が劇的に変わり、以前よりはるかに便利になったりしています。プレートソルブなんかも良い例かと思います。私が星を始めてわずか4年の間にも物事は大きく変わってきています。まだまだこれからの将来も楽しみでなりません。
コメント
コメント一覧 (20)
広角レンズで天の川を電視観望してみたいです。
流石にフルサイズのCMOSカメラは買えません。
> ずっとシャッターを切り続けるので、
> シャッター回数を気にする人はやはりまだ躊躇すべき
AsiAirProでも対応カメラによるLive Stackができるのですが、
貧乏性の自分はシャッター連写にびびってすぐ止めてしまいました。
(スポーツや電車を撮るのに比べれば大したことないのでしょうが)
またAsiAirProはRAWファイルしか設定できず、WiFiによるファイル転送に時間がかかり、
一眼レフカメラのLive Stackはまともに使えそうにありません。
ミラーレスカメラの電子シャッターならばシャッター音を気にせず使えるのかもしれませんが、
SONY機はちゃんと動かないようですね。
せろおさん、こんばんは。
ASIAIR PROもLive Stackまでできるのですか?知らなかったのですがそれはすごいですね。アラインメントとかも大丈夫なのでしょうか?
SharpCapはまだまだ不安定でこれからだと思います。SONYの対応ももしかしたらよく似ているのかもしれませんね。ここらへんは大体シェアの順にできていくのかと思います。
シャッター音も解決されると良いのですが、まだしばらく注目していく必要があります。
選択肢が増えることはいいことです。まだこれからもどんどん良いものが出てくると期待したいです。
天リフさんが記事にしていますので、リンク貼っておきます。
ASI AIR PROレビュー(4)ライブスタック編
https://reflexions.jp/tenref/orig/2020/02/24/10150/
AsiAirPROは細かい設定はできませんが、
その分扱いやすいので、面倒くさがりの自分でも使いやすいです。
あ、一番最後に一眼レフでLive Stackできると書いてますね。読み飛ばしてました。
天体写真がさらにぐっと身近になるのではないでしょうか。
身近なカメラで撮影できるというのは電子観望会などでは興味を惹かれる人もいるハズで、天体写真のしきいをぐっと下げてくれると思いました。
UTOさん、こんばんは。
SharpCapのアラインメント機能とスタック機能はものすごく優秀なので、天体写真にもつながると思います。
これで天文人口が増えてくれたらと切に思います。
当方所有の、EOS X2(フィルター改造)みたいな古いカメラでも可能なんでしょうか? できたとしても最高感度がISO1600止まりなので、あんまり機能しないかもしれないですが・・・まあ、値ごなれした中古で適したスペックのカメラが入手できそうではありますので、新しい流れがやってきたのは間違いなさそうですね!
シベットさん、こんばんは。
昨日はこの件でドタバタしていて、双天会結局参加できませんでした。いや、実際22時頃にやっと落ち着いてもしかしたらまだやってるかもと思ってアクセスしたのですが、誰もいませんでした。その頃は智史君の観望会に行っていたんですね。
EOX X2とかで実用なら凄いです。いま中古の値段調べたらレンズキットで1万円くらいです。何とかこれでできないかなあと思います。自宅にX5はあるので、次はこれでテストかなと思ってます。まだまだこれからテストですね。
今朝になり、ようやくじっくりとブログを読ませていただきました。フルサイズセンサーと考えたら、天体専用に比べればコストパフォーマンスがグッと下がりますね。
Twitterのコメントでありましたが、ROIの設定ができたり、高速連写できれば、惑星撮影が可能になりそうですが、まだまだという感じですね。
EOSRやNikonZあたりのミラーレスで人柱的に調査してくれるなんて奇特な方、いませんかね。
一眼レフカメラという意味では本質的な性能は変わらないと思いますが、PCに繋ぐと遥かに柔軟なことができるはずです。
フルサイズのCCDやCMOSカメラと撮影の場で戦うには、まだ温度コントロールとかで負けるのかもしれませんが、フルサイズが使えるというコスト的なメリットは大きいだろうし、撮影以外にもいろいろな応用は効くはずです。
電視観望もその一つかなと。
ミラーレスがキーかもしれませんね。
参考になる話題がたくさんあり、いつも楽しくROMさせてもらってます。面白そうだったので、私も試してみました。
SharpCap側の設定は、
Capture Area=6264x4180
Colour Space=RAW16
Output Format=PNG files (*.png)
SharpCapVersion=3.3.6853.0
です。試した一眼レフは、EOS 6DMark2(SEOーSP4改造)とEOS Rです。結論から言えば、6DMark2はLiveStack可能、EOS Rはダメ、でした。
6DMark2でのstackでは、撮影パラメーターやRAW画像の保存、stackした画像の保存について、形式や保存先の設定で試行錯誤しましたが、室内でのstack画像の保存までできます。その後でも特に問題はありません。
一方、EOS Rでは、Cameraの設定で、ASCOM DSLR がグレーアウトされてしまい、選択できません。他に方法があるのか不明です。接続解除後は問題なく使えます。AdbeのAdobe DNG Converterはインストールしてありますが、デュアルピクセルのCMOSを使い、CR3形式になったことが影響しているかも知れません。試してませんが、Raも同じだど思います(値段を考えるとRaでは試せませんでした。)
steorraさん、はじめまして。コメントありがとうざいます。
EOS Rダメでしたか。ミラーレスなので期待していたのですが...とても残念です。6D Mark2で動いてRで動かないと言うことは、残念ながらやり方も間違ってないという意味ですよね。
6D Mark2でも気づいたかと思いますが、LivewViewモードにするとシャッター切りっぱなしになると思います。6Dの場合はミラーアップにすると止まってしまいました。何度か試しても再現性あります。ミラーレスもダメだというので、今のところメカニカルシャッターを切らずにLiveViewにする方法は見つかっていないと言うことになります。
それはそうと、6D Mark2とRの新機種の投入、下手したら人柱なのですごいです。さすがにRaはやめた方がいいと思います。最悪撮影できなくなるとダメージが大きすぎです。
少しづつ動作例が出てくるのでありがたいです。そのうちリストにでもしますか。
申し訳ありません、12で書き込んだEOS Rの結果、間違ってました。できました。
6DM2と同様に、PCにEOS R接続→カメラをON→EOS Utilityを終了→SharpCap起動→メニューバーのCamerasからASCOM Camera Driver for DSLRを選択→真っ黒の画面→Camera Control Panerでシャッタースピード、フレームレートを設定→メニューバーの下のLive Stackアイコンをクリック→Live Stack開始。スタックを終了するときにはLive Stackアイコンをクリック。
以上で室内のテストではEOS RでもLive Stackができました。
間違った情報をアップしてしまい申し訳ありませんでした。
steorraさん、情報ありがとうございます。
EOS R動いたと言うことは、メカニカルシャッター問題を解決する方法も存在すると言うことになります。
今日の記事の方も早速訂正しておきました。
<ニコンレガシー使用>
D3→◎
D300→◎
D7000→◎
D90→◎
D5000→◎
D3300→◎(SDカード必須)
D3100→◎(SDカード未確認)
<ニコン使用>
D610→○
D810→△
D810A→△
という感じです。結局全機種について、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能であることが判明しました。◎とか△とかは、単に主観的に感じた安定性の差異であるとご理解ください。
あぷらなーとさん、詳しい情報ありがとうございます。
結局全部調べたんですね。素晴らしいです。
思ったよりNikonも使えるという印象です。
使えないといった例も、私も含めてですが、設定ミスとかもあるかもしれません。
まだまだ今後に期待できそうです。
リストの方、更新させていただきます。
最近、始めたばかりで、
ASCOM Platform などをインストールして、D5300を接続し、
SharpCapを立ち上げ、ASCOMカメラ、NikonRegacyを選択したところ、、
ASCOM DSLR Setupのウィンドウが現れました。が、、、
チンプンカンプンです。
ASCOM DSLR Setupの設定法について、どなたか、ご存知でしたら
教えて頂けませんでしょうか?
初登場で、いきなりの厚かましいお願いで恐縮ですが、
視力低下した天文ファンを、、、よろしくお願いします。
SharpCapと一眼レフってあまり安定していないので、初心者がいきなりだと相当に敷居が高いです。CanonよりもNikonの方が動く機種が少なかったはずですが、私が情報集めたのももう1年半前なので、あれから状況は変わっているかもしれません。私はNikonを1台も持ってないので、Nikonの場合どこがポイントなのか、正直あまりよくわからないです。
できることなら普通のCMOSカメラの方がトラブルが遥かに少なくていいのですが...。まずはCMOSカメラでSharpCapの使い方を学んでから、その後に一眼レフに挑戦した方が近道な気がします。
超初心者が厚かましくもD5300 & SharpCapでカラー電視観望をトライ
してみました。
仰る通り、簡単ではなく、しかも非正規?なプロセスでしたが、
それらしい灯りが見えてきました。しばらく続けたいと思っています。
ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
すみません、返事遅れました。
D5300動きそうですか!もしそうなら素晴らしいです。
初心者とへり下っていますが、おそらく相当いろいろやられている方とお見受けいたします。
難しいことを突き進んでいくのも、楽しい道です。Nikonはあまり得意でないですが、SharpCapなら多少はアドバイスできるかもしれませんので、またお声掛けください。