過去の縞ノイズでも試してみる
もしかしたら、flat補正の効果が今回の撮影だけの特別な場合だった可能性もあります。なので、過去の画像で縞ノイズが出たファイルを再処理してみます。使ったのは、2年以上前のPixInsightを最初に使い始めた頃に撮影したM33。
シンプルにするためにフラットの有無だけで比較します。撮影条件は
- 鏡筒: タカハシFS-60Q、焦点距離600mm
- 赤道儀: Celestron Advaned VX
- カメラ: ZWO ASI294MC
- ガイド: ASI178MCと50mmのCマウントレンズをPHD2にて
- 撮影条件: SharpCapでゲイン270、温度-15℃、露光時間300秒x25枚 = 2時間5分
- ディザー: なし
- ファイル保存形式: RAW16bit、fits形式
です。本質的なところではカメラは常温ですが同じ、長時間、ディザーなしというのでよく似た条件です。Flat frameの内容はというと、記録から
- flat frame: light frame撮影後すぐに、鏡筒に状態でスーパーの白い袋を2重に被せて撮影。ゲイン270、露光時間300秒、常温で、3枚撮影。
まずはflat補正あり。やはり以前と同じように縞ノイズは盛大に出るので再現性もあります。
次にflat補正なし。ゴミの跡とかは目をつぶってください。当然周辺減光も出ますし、アンプグローも残ります。その代わりに、バラ星雲の時と同じで縞ノイズは消えます。厳密に言うとバラ星雲の時も今回のM33の時も同じで少しの縞ノイズは残っています。でもflat補正のあるなしで、いずれも劇的な違いがあることはわかります。
この時点で、PIに限られますが違う画像でも起きているので、一般的にも十分あり得る話だということがわかります。
PixInsight以外では?ステライメージで確かめてみる
もしかしたらこれ、PIのflat補正のアルゴリズムに問題があって、PIだけの問題という可能性があります。他のソフトの代表で、ステライメージ8で確かめてみました。
そう言えば最近Windowsを入れ直してステライメージまだ入れてませんでした。久しぶりに再インストールして、M33を使ってflat補正をしてみました。自動処理モードは使わずに、詳細編集モード(マニュアルモード)で試しました。自動処理モードはこれまでもほとんど使ったことがないのと、一応は試したのですがうまく色が出なかったからです。
最初の結果がこれです。
「お、縞ノイズないじゃん!なんで?PIだけの問題か?」と思ったのですが、よくみるとゴミの跡も残っていてフラット補正全くされていないみたいです。自動処理モードでやっても結果は変わらず、flatファイルが悪いのかとか色々疑ったのですが、原因はステライメージのバグ。バージョン8をディスクからインストールしたてで、アップデートしていなかったことが原因でした。現行のバージョン8.0hにして試してみると、
ちゃんとflat補正もされて、縞ノイズも盛大に出るようになりました。なので、PIだけの問題でないということが分かります。
ちょっと蛇足です。久しぶりにステライメージ触ったのですが、随分といろんなことを忘れていました。今回サボりましたがflat darkとかも本当は撮らないとダメ(flat darkあるなしで縞ノイズに影響がないことは確かめています)なんですよね。その代わりにbiasファイルを撮らなくていいとか、今思うとPIとはだいぶん違います。
初心者向けの自動処理モードも「ほとんど何も設定出来ない」との批判も多いですが、私はこれでいいと思います。多分ステライメージは、初心者にとっては天体画像処理ソフトとしては唯一の選択肢です。日本語で操作できて、マニュアルも(十分ではないかもしれませんが)日本語で読むことができてという意味で、敷居がずいぶん低いはずです。初めて天体写真に挑む人は、一番最初は本当に何も分からず手探りでやるので、自動モードもこれくらい簡潔にしておくのはある意味正しいと思います。自動モードで理解できてきたら、詳細モードに行って、詳細モードでいろんな操作をして理解して、その上で不満が出たらより高機能なPixInsightという手もあるかと思います。
ステライメージで一つ不満があるとしたら、「ベイヤー・RGB変換」のところでしょうか。バッチ処理が無いので、一枚一枚手で変換しなくてはダメなんですよね。ALTキーでI、ALTキーでYで、Enterで処理、マウスで最小化ボタンを押して次の画像というのを繰り返し、出来るだけ楽に進めてます。今回20枚程度でしたが、100枚とかはやりたくないです。最近はPIで1000枚とかの処理もする時があるので、これだとステライメージでは現実無理です。せめてコンポジットやホット/クールピクセル除去機能みたいにバッチ処理ができるようになるといいのですが。
ついでにDSSでも
あと日本で流行っているスタックソフトの残りは、惑星用除いたらあとは、DSS(DeepSkyStacker)とRAP2くらいでしょうかRAP2は有料で持っていないので試せませんが、DSSはフリーなので試すことはできます。DSSは星を始めた4年前にまだ有料ソフトに手を出す前に、フリーだからと少し試しただけくらいの経験しかありません。もう久しく触っていませんが、いい機会なので試してみます。
昔はものすごく複雑だった印象があるのですが、機能自身は今思うとまあ一直線で素直ですね。少なくともPIに比べるとはるかにシンプルです。特に困ったところは2箇所だけで、一つはRegisteringのところで進まなくなってしまったところ。これは検出する星の数が多すぎたことが原因で、「Register Setting」の「Advanced」タブの「Star Detection Threshold」を増やして、検出する星の数を減らすことで解決しました。もう一つは一度最後まで処理をしたのですが、モノクロのままだったので、メニューの「RAW/FITS Settings」の「FITS Filters」できちんとdebayerしてやることでした。
さて結果です。フラットもうまく補正されたようです。
あー、ダメですね。やはり縞ノイズ出ますね。
と言うわけでflat補正問題、PixInsightだけの問題でもなく少なくともステライメージとDSSも含めて、同様に縞ノイズを発生させることがわかりました。日本で使われている3大スタックソフト(惑星用除く)で同じ状況というので、flat補正が縞ノイズに与える影響はかなり一般的と言っていいかと思います。
とりあえず、今回の記事のまとめ
他のデータでも、他のソフトでも同様の傾向で、flat補正の影響はあると言えそうです。
ただしやはり気になるところは、flatの撮り方が2例とも撮影後すぐに同露光時間、同ゲインで、スーパーの袋をかぶせて空で撮っていることです。露光時間が長いので、明るさ的に足りないことはないと思います。ただし、カラーバランスはかなり黄色っぽくなってしまっています。また、枚数が足りない可能性もあります。
次回以降はここら辺のflat frame自身についてもう少し検討できたらと思っています。実は今回の謎の答えもう出ています。今検証を進めているところです。乞うご期待です。






コメント
コメント一覧 (6)
次回記事の展開を固唾をのんで見守ります!
※Samさんの結論を見てから、追試してみますね。
何が普通かは人によっていろいろあると思いますが、flatで縞ノイズが出る条件と出ない条件は見当がついたと思っています。出ないやり方でやっている人は、やはり出ない理由ありで正しいと思います。
今検証と記事を書いています。
確証を持ってからの公開にしたいと思います。
しばしお待ちを。
まず今回の分で、ステライメージにはベイヤー・RGB変換のバッチ処理はありませんが、ワークフローがあります。ベイヤー・RGB変換のみのを作成すれば(1行)それで済む気がします。私はそうしています。
前回の分で、ガイドの撓みなどで位置がズレ、結果的に縞ノイズがでる+フラットで悪化するように書いてありましたが、ガイドが完璧で位置ずれが0の場合は本当に縞ノイズがでないんでしょうか?
同じ設定で夜間の曇り空などを撮影して(星空だと微恒星で分かりずらいので)、位置合わせを行わなずにImageInteglationをしたものに、フラット補正をするとノイズが出ないはずですが、本当にでないんでしょうか。
仮に出た場合はガイドの撓みなどというのは違うことになりと思います。
また、TwitterでBooKuuさんがスタックの方法を変えたら縞ノイズが消えたと言っておりましたので、気になるレベルならそっちのアプローチもありだと思います。
情報ありがとうざいます。確かにワークフローでできるんですよね。でもバッチ処理にしてしまってもいい気がするんですが、昔のステライメージの記事とかを見ると、もともと基本一枚一枚の処理なんですよね。バッチが後からできた特殊な機能みたいな位置付けな気がします。
たわみがないと縞ノイズ出ないと思います。だって、流れる要素がないですもの。でも完全にたわみがないっていうのは難しいのかと思います。
同様に、位置合わせを行わない場合も縞ノイズは出ません。こちらは簡単に試すことができるので、もし縞ノイズが出てる画像があったら自分でも一度試してみてください。
あと、スタック方法を変えるとかいうのは数学的なモデルが全く想像できないので、あまり興味がもてません。もしそんなのがあるとしたら、何か隠れた別処理をしているのかと思います。もしそうだとしてもソフトのブラックボックスになっているところを探るのは面白くはないので、こちらはあまりよくわかりません。
今回の記事を見ながら、普段m自分がSI8を使っている方法について、疑問を持ったので、書き込みさせていただきました。
ASIカメラでの撮像はfitsファイルで、カラー表示(という表現が正しいか分かりませんが)するためにはDebayerしないとだめですよね。
さて、フラット補正するとき、LightフレームやのフラットファイルはDebayerする前の状態で行うのか、それとも、両方ともDebayer下後のデータで行うのか。どちらが正しいのでしょうか。
普通はフラットやダーク補正はdebeyerの前にやる必要があるはずです。
昔はそのままそうなんだと思い込んでいました。でも何が正しいか信じられず、カラー化してから補正とかもいろいろ試していた時期があります。
今はなぜ補正してからdebayerにすべきかという理由がよくわかります。
debayerというのは、一つのピクセルを作るのに同じ色の周りのフレームを巻き込んで作り上げます。そのため、元の生の一つのピクセル情報は周りと平均化され、debayer後は元の情報を保てません。その上でフラットやダーク補正をしても、間違った補正をしてしまいます。
なので、カラー化する前にまずは生の状態で各種補正をしてから、カラー化して、その後ノイズを平均化するためにスタックするというのが正しい順序になると思います。