先週、今週と2回にわたり撮影したホタル。前回記事にした静止画に引き続き、今回動画をまとめました。ホタルのリアルタイム撮影は超高感CMOSかめらを手に入れてからずっとやって見たいと思っていたことでした。
カメラはこれがあって初めてリアルタイムのホタル撮影が実現したと言ってもいいZWO社のASI294MCで、そこに50mmのオールドNIKORレンズをつけています。F1.4なので、ASI294MCの高感度と相まってかなり明るく撮ることができます。ソフトはいつものSharpCapです。それでも実際のホタルが飛ぶのが映るくらいのリアルタイムでの撮影は相当暗かったので、いくつか工夫をしています。
まず動画と言うためには、最低10FPSほどないとスムーズに見えないことがわかりました。できれば20FPSくらいあるとかなり滑らかになります。露光時間でいうと50msということです。今回の動画は主に20FPSで撮ったもので、一部10FPSです。それ以下のものはホタルの軌跡に飛びができてしまっていて使うことを諦めました。15FPS程度が明るさとスピードの妥協点くらいかもしれません。
FPS数を大きくすると、当然一コマあたりの露光時間が短くなるの、でゲインを上げる必要があります。ゲインを上げすぎるとノイズが大きくなり、ダイナミックレンジが小さくなってくるのであまり上げたくありませんが、それでも明るく取ろうとするとほぼ最大ゲインレベルに近いものが必要となります。
それを回避するためにハードウェアビニングを2としました。これで明るさが4倍になります。解像度は落ちますが、それでももともとASI294MCは高解像度なのでビニングしても2072x1410ピクセルで撮影でき、Full HD(1920x1080)を十分確保できます。実はASI294MCのフル解像度4144x2822で撮影すると転送速度の制限で数FPS程度にまで落ちててしまいます。4Kのリアルタイム撮影は、画素数的には足りていてもかなり厳しいのかと思います。
解像度だけを落として転送速度を上げることもできますが、それだと画面の一部だけ切り取ってしまうので、ASI294MCの特徴の4/3インチ大センサーの恩恵が生きてきません。ビニングだと画角は最大のままで解像度だけ落ちるので、大センサーの恩恵が使え、そのまま広角で撮ることができます。
一つ不思議だったのが、RAW16で撮影すると表示画面が相当暗くなってしまうことです。撮影されたファイルを見てもRAW16の方が見た目暗くなるようです。仕方なく今回はRAW8で撮影しましたが、なぜこうなるのか理由がわかっていません。もしかしたらバグの可能性もあります。
撮影した動画の編集はMac上のiMovieで行いました。SharpCapのRAWファイルは.ser形式なので、まずはSER PlayerでAVIに変換します。それでもiMovieはAVIをそのまま読み込むことはできないので、例えばHandBrakeでMP4形式などに変換するか、QuckTime PlayerでMOV形式に変換します。最初HandBreakでやっていたのですが、どうもQuickTimeの方が階調が豊かに出るようです。もちろんビットレートなどの条件によるので一概には言えませんが、編集環境がMacで閉じるならば標準でついて来るQuckTime Playerの方が最初から強制的にMOVに変換して表示してくれるので楽だと思いました。
iMovie上では多少の画像処理ができます。ホワイトバランス、Brightness、コントラスト、レベル補正に相当するもの(ただしRGBまとめて)、彩度、カラーバランスくらいでしょうか。ないよりは遥かにマシですが、やはり少し物足りません。本当は動画上でトーンカーブがいじれればもう少ししまった仕上がりにできたのかもしれませんが、無料のiMovieにそこまで求めるのは酷かもしれません。Premireクラスだとそういったこともできるのでしょうか?他にも、タイトルとかキャプションももう少し豊富だとありがたいと思いました。
タイトルです。シンプルなものを選びました。
最初の動画は、歩いて行くと一番初めに見えてくる川べりです。いつもはここはそれほど飛んでいないのですが、今年は大量に飛んでいました。さすがに暗いのである程度ノイジーになってしまいます。
娘のNatsuの手の中で遊んでいるところです。捕まえると小さい子とが寄ってきます。ここは地区を挙げてホタルを保護しているところです。当然ですが、すぐに逃がしてあげます。持って帰るようなことをする人は見たことがないです。地域の方とおしゃべりすることができるのもこの場所の魅力でしょう。ここまでがASI294MCとNIKKOR50mmでの撮影です。
水路のところの遠景と近景です。この景色が一番好きかもしれません。この2ショットはASI294MCとNIKKOR35mmで10FPSでの動画です。初日でビニングも思いつかなかった、まだ試行錯誤段階の時です。
次が前回も出した比較明合成のために撮ったもののタイムラプス映像です。EOS 60DとシグマのF3.5, f10-22mmです。
再びASI294MCとNIKKOR50mmで動画撮影です。かなり暗くて相当厳しいです。
最後がASI294MCシグマのF3.5, f10-22mmでの天の川撮影です。天の川はそこそこ出ているのですが、調整不足で周辺がかなり流れてしまっています。
さて、実際の動画ですが、下がYouTubeにアップしたものになります。まともに動画を編集しようとしたのは今回が初めてで、YouTubeへのアップも初めて少し真面目にやって見ました。推奨のH.264で15Mbpsでアップしましたが、それでもやはりオリジナルのものからは、特に階調と細部描写は多少落ちてしまっているようです。ここら辺はもう少し最適化の余地があるかと思います。
この動画を作るにあたって、ホタルの動画を検索しましたが、ホタルが飛んでいる動画を、リアルタイムかつ明るく、なめらかに撮っているものはそれほど多くは無いようです。いくつかSONYのα7Sで撮影しているものが見つかりましたが、暗いものも多いです。センサー自身はASI294MCよりα7Sの方が高性能のはずなのですが、ASI294MCは計算機を必要とする代わりに、ビニングなどの微調整をPC上でできるのが有利に働いているのかもしれません。それでもいくつかはα7Sで綺麗に撮れているものがありました。レンズなどの機材や撮影技術にももちろん依るのかと思います。あと、NIKONのD800で今回の私と全く同じ場所を撮った素晴らしい動画がありました。この方は動画編集にAdoveのPremireを使っているようです。ものすごく綺麗な画質で出ています。
私も相当昔、まだ学生の頃、動画処理がやっとできるかどうかという時代に秋葉原の当時のTSUKUMOでIEEE1394カードと、SCSI3(!)接続の不思議な格安の10GBの大容量(笑)HDDを買って、そこについてきたPremireを使って動画編集をしていたことがあります。今ではもうほとんどどんな機能だったか忘れてしまいましたが、その当時から飛び抜けて高機能だったので、今もすごいのかと想像してしまいます。高感度カメラもどんどん一般になって来るので、将来はもっと楽に取れるようになるのかと思います。
今回の反省点です
反省点は多々ありますが、今回初の本格的な動画編集で、念願のホタル動画が撮れたこともあり、結構満足です。
ちなみに今日は自分の誕生日。いつのまにやらもう46です。家族には先週末に祝ってもらい、物は赤道儀をかなり前に先物買いしてしまったので、この動画は自分自身の誕生日記念になりそうです。
カメラはこれがあって初めてリアルタイムのホタル撮影が実現したと言ってもいいZWO社のASI294MCで、そこに50mmのオールドNIKORレンズをつけています。F1.4なので、ASI294MCの高感度と相まってかなり明るく撮ることができます。ソフトはいつものSharpCapです。それでも実際のホタルが飛ぶのが映るくらいのリアルタイムでの撮影は相当暗かったので、いくつか工夫をしています。
まず動画と言うためには、最低10FPSほどないとスムーズに見えないことがわかりました。できれば20FPSくらいあるとかなり滑らかになります。露光時間でいうと50msということです。今回の動画は主に20FPSで撮ったもので、一部10FPSです。それ以下のものはホタルの軌跡に飛びができてしまっていて使うことを諦めました。15FPS程度が明るさとスピードの妥協点くらいかもしれません。
FPS数を大きくすると、当然一コマあたりの露光時間が短くなるの、でゲインを上げる必要があります。ゲインを上げすぎるとノイズが大きくなり、ダイナミックレンジが小さくなってくるのであまり上げたくありませんが、それでも明るく取ろうとするとほぼ最大ゲインレベルに近いものが必要となります。
それを回避するためにハードウェアビニングを2としました。これで明るさが4倍になります。解像度は落ちますが、それでももともとASI294MCは高解像度なのでビニングしても2072x1410ピクセルで撮影でき、Full HD(1920x1080)を十分確保できます。実はASI294MCのフル解像度4144x2822で撮影すると転送速度の制限で数FPS程度にまで落ちててしまいます。4Kのリアルタイム撮影は、画素数的には足りていてもかなり厳しいのかと思います。
解像度だけを落として転送速度を上げることもできますが、それだと画面の一部だけ切り取ってしまうので、ASI294MCの特徴の4/3インチ大センサーの恩恵が生きてきません。ビニングだと画角は最大のままで解像度だけ落ちるので、大センサーの恩恵が使え、そのまま広角で撮ることができます。
一つ不思議だったのが、RAW16で撮影すると表示画面が相当暗くなってしまうことです。撮影されたファイルを見てもRAW16の方が見た目暗くなるようです。仕方なく今回はRAW8で撮影しましたが、なぜこうなるのか理由がわかっていません。もしかしたらバグの可能性もあります。
撮影した動画の編集はMac上のiMovieで行いました。SharpCapのRAWファイルは.ser形式なので、まずはSER PlayerでAVIに変換します。それでもiMovieはAVIをそのまま読み込むことはできないので、例えばHandBrakeでMP4形式などに変換するか、QuckTime PlayerでMOV形式に変換します。最初HandBreakでやっていたのですが、どうもQuickTimeの方が階調が豊かに出るようです。もちろんビットレートなどの条件によるので一概には言えませんが、編集環境がMacで閉じるならば標準でついて来るQuckTime Playerの方が最初から強制的にMOVに変換して表示してくれるので楽だと思いました。
iMovie上では多少の画像処理ができます。ホワイトバランス、Brightness、コントラスト、レベル補正に相当するもの(ただしRGBまとめて)、彩度、カラーバランスくらいでしょうか。ないよりは遥かにマシですが、やはり少し物足りません。本当は動画上でトーンカーブがいじれればもう少ししまった仕上がりにできたのかもしれませんが、無料のiMovieにそこまで求めるのは酷かもしれません。Premireクラスだとそういったこともできるのでしょうか?他にも、タイトルとかキャプションももう少し豊富だとありがたいと思いました。
タイトルです。シンプルなものを選びました。
最初の動画は、歩いて行くと一番初めに見えてくる川べりです。いつもはここはそれほど飛んでいないのですが、今年は大量に飛んでいました。さすがに暗いのである程度ノイジーになってしまいます。
娘のNatsuの手の中で遊んでいるところです。捕まえると小さい子とが寄ってきます。ここは地区を挙げてホタルを保護しているところです。当然ですが、すぐに逃がしてあげます。持って帰るようなことをする人は見たことがないです。地域の方とおしゃべりすることができるのもこの場所の魅力でしょう。ここまでがASI294MCとNIKKOR50mmでの撮影です。
水路のところの遠景と近景です。この景色が一番好きかもしれません。この2ショットはASI294MCとNIKKOR35mmで10FPSでの動画です。初日でビニングも思いつかなかった、まだ試行錯誤段階の時です。
次が前回も出した比較明合成のために撮ったもののタイムラプス映像です。EOS 60DとシグマのF3.5, f10-22mmです。
再びASI294MCとNIKKOR50mmで動画撮影です。かなり暗くて相当厳しいです。
最後がASI294MCシグマのF3.5, f10-22mmでの天の川撮影です。天の川はそこそこ出ているのですが、調整不足で周辺がかなり流れてしまっています。
さて、実際の動画ですが、下がYouTubeにアップしたものになります。まともに動画を編集しようとしたのは今回が初めてで、YouTubeへのアップも初めて少し真面目にやって見ました。推奨のH.264で15Mbpsでアップしましたが、それでもやはりオリジナルのものからは、特に階調と細部描写は多少落ちてしまっているようです。ここら辺はもう少し最適化の余地があるかと思います。
この動画を作るにあたって、ホタルの動画を検索しましたが、ホタルが飛んでいる動画を、リアルタイムかつ明るく、なめらかに撮っているものはそれほど多くは無いようです。いくつかSONYのα7Sで撮影しているものが見つかりましたが、暗いものも多いです。センサー自身はASI294MCよりα7Sの方が高性能のはずなのですが、ASI294MCは計算機を必要とする代わりに、ビニングなどの微調整をPC上でできるのが有利に働いているのかもしれません。それでもいくつかはα7Sで綺麗に撮れているものがありました。レンズなどの機材や撮影技術にももちろん依るのかと思います。あと、NIKONのD800で今回の私と全く同じ場所を撮った素晴らしい動画がありました。この方は動画編集にAdoveのPremireを使っているようです。ものすごく綺麗な画質で出ています。
私も相当昔、まだ学生の頃、動画処理がやっとできるかどうかという時代に秋葉原の当時のTSUKUMOでIEEE1394カードと、SCSI3(!)接続の不思議な格安の10GBの大容量(笑)HDDを買って、そこについてきたPremireを使って動画編集をしていたことがあります。今ではもうほとんどどんな機能だったか忘れてしまいましたが、その当時から飛び抜けて高機能だったので、今もすごいのかと想像してしまいます。高感度カメラもどんどん一般になって来るので、将来はもっと楽に取れるようになるのかと思います。
今回の反省点です
- いくつかのホットピクセルと思われる輝点が出てしまっています。露光時間も感度も決まっているので、ダーク補正をリアルタイムするべきでした。
- ASI294MCにZWOのCanonレンズアダプターを付けて、さらにNIKORレンズにCanonアダプターを付けて撮影しています。そのため周辺がボケまくってしまいました。レンズからセンサー面の距離をきちんと調整していないためかと思われます。あと、少しガタがあるので間にテープなどを詰めてガタつかないようにしなくてはいけません。
- 動画はASI294MCが適していますが、比較明合成するための20秒程度の長時間露光はEOS 60Dの方が楽だと思いました。当たり前ですが計算機など必要無く単体で撮ることができます。露光時間をかけることができ、画像処理もじっくりできるなら、わざわざCMOSカメラで撮る必要はないという意味です。動画の場合は高感度センサーのASI294MCの方が圧倒的に有利です。
反省点は多々ありますが、今回初の本格的な動画編集で、念願のホタル動画が撮れたこともあり、結構満足です。
ちなみに今日は自分の誕生日。いつのまにやらもう46です。家族には先週末に祝ってもらい、物は赤道儀をかなり前に先物買いしてしまったので、この動画は自分自身の誕生日記念になりそうです。
コメント
コメント一覧 (9)
これほど鮮明かつ滑らかに写せるとは、正直ビックリ。手の中のホタルも趣がありますねー。来年こそは、是非チャレンジしてみようと思います。
ありがとうございます。さきにやってしまいました。
ては中2の娘です。今度一緒にお伺いしますのでよろしくお願いします。
まだヘイケボタルやヒメホタルもチャンスがありそうなので、天気が良ければ今年もう一回くらいどこかで撮影するかもしれません。
「16bitで暗くなる」件は、今度お越しになった時に『議論ごっこ』しましょう(笑)。
参考までに星空を写した場合はどんな感じでしょうか?
同じ撮像素子のBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K+10.5mm F0.95
で撮影した場合はこんな感じでした。
DaVinci Resolve 17 | Blackmagic Design
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DaVinci Resolveは、編集、カラーコレクション、VFX、モーショングラフィックス、オーディオポストプロダクションをひとつのソフトウェアに融合した、世界唯一の ...
Edit · トレーニング · 新機能 · Studio
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DaVinci Resolve (ダビンチ・リゾルブ)の使い方や無償版と ...
https://www.dospara.co.jp › パソコン(PC)の使い方編
2021/04/02 — DaVinci Resolve (ダビンチ・リゾルブ)はハリウッドでも利用されている動画編集ソフトの名称です。高機能ですが無償版があります。
DaVinci Resolveでノイズリダクション処理などを行っています。
https://www.youtube.com/watch?v=h7UcLs5Isnc
https://www.youtube.com/watch?v=dvG0_HemchU
その通りです(笑)
SharpCapと同じです。買った直後に試したのがこちらになります。かなりインパクトありました。
http://hoshizolove.blog.jp/archives/28162220.html
動画も見させていただきました。これだけ見えると良いですね。
リアルタイム動画用にも使えそうな気がします。あとは、買うだけですね(^^;