ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2026年06月

前回のPhoenix+C8ファーストライトで、ピントは合うにはあったが、視野が狭いということを確認しました。ピントは合ったものの、まだはっきりとした画像とは程遠くて、これがシーイング起因なのか、それともTSA-120からC8に変えたことでなにか新たな問題が起こっているのかだけは、切り分けておきたいと思います。

C8でのシーイングテスト

前回と同じC8 + PST collimator lens + UV/IR cut filter + R2 filter + Apollo-M MINIをCGEM IIに載せて、いつものように30秒ごとに200フレーム撮影して、120ショットで1時間撮影してみました。試したのは2週間前の6月13日で、前々回記事の飛騨コスモス天文台での観望会の日の朝です。この日は午前5時頃には起きて、6時52分から連続撮影を始めています。

結果です。

07_39_52_lapl3_ap3485_out_PI2.Itif

ニュートンリングがすごいことになってますが、まあそこそこ十分な解像度が出ているかと思います。なので、とりあえず前回ボケボケだったのは、やはり午後のワンショット撮影だったのが理由で、シーイングが悪かったと結論付けていいでしょう。ただし、この画像がC8の口径20cmを活かし切っているかどうかは別問題で、今後何例か撮影して検証していきます。

ニュートンリングについては、カメラ前に付けてあるチルターを、F値の低いTSA-120に合わせて角度を小さくしていたためで、角度を大きくして撮影すると
08_51_17_lapl3_ap3450_out_PI
のようになり、ニュートンリングを回避できます。その代わりに、視野が右方向にシフトしてしまいます。この視野シフトはニュートンリングの回避とトレードオフで、できるならカメラの撮影位置をシフトするようなアダプターを3Dプリンタで作るといいのかもしれません。

ちなみに、この画像は一つ前の画像とは別の小さな黒点ですが、シーイングがどんどん悪くなるような時間帯だったらしくて、朝イチの画像ほど解像度は出ていません。


コリメートレンズの交換

C8で写すと視野が狭いと言いましたが、この「狭い」には二つの意味があると思います。
  1. 画面の中でいい像が得られる範囲が狭い。
  2. 焦点距離が長くて拡大率が大き過ぎる。

1から考えます。上の2枚の画像で見てわかるように、きれいに出ている部分はかなり限られています。一番の問題は、前回解説したエタロンへの入射角による波長シフトです。範囲としては、センサーの長辺の半分くらいを直径とした円内くらいでしょうか。前回の議論の結論では、この円の大きさはフェニックスをそのまま使っている限り、大きく変更することは出来なさそうというのがわかっています。

2の意味での視野が狭いというのは、太陽の狭い部分をかなり拡大して見ているという意味です。C8の焦点距離2000mmに対して、対物レンズから1800mmの位置に-200mmのコリメートレンズを置くことで平行光を作っています。2000/200 = 10倍の拡大率が、フェニックスの対物レンズの400mmにかかって、合計の焦点距離は4000mmとかなり長くなります。もし大きな黒点が出ると、おそらく画面に入りきらなくなるはずです。


合成焦点距離を変えて見える範囲を増やす

1の方は、フェニックスを何かいじらない限り改善は難しいので、とりあえず置いておいて、今回は2の方の改善を考えます。とにかくもう少し広い範囲を見たいので、焦点距離を短くすることを考えます。

一番簡単なのはコリメートレンズの焦点距離を負側に大きくすることです。例えば、-400mmの焦点距離のレンズを1600mmの位置に置くことができれば平行光を作ることができ、焦点距離は2000/400 x 400 = 2000 [mm] となります。ただし、-400mmにするとコリメートレンズ位置での光束径は-200mmの場合の約2倍になり、C8のF10では40mm程度になります。そのため、フェニックスエタロンの直径の40mmを有効に使えるようになる一方、コリメートレンズでの収差は大きく出るなど、不利な点もあります。

簡単と言いましたが、実際には結構難しくて、少なくとも2点大変なことがあります。


負のメニスカスレンズが舞い降りた

まず一つめの難しさは、収差の少ない負の焦点距離の長いレンズを「手に入れる」ということです。

これまでPSTに付属のメニスカスレンズを使ってきましたが、これは少なくとも口径120mm程度の口径で収差が問題にならない程度のレンズだということがわかっています。負側に長い焦点距離で、収差の少ないレンズを手に入れる必要があります。ところが、焦点距離が負側に長いメニスカスレンズは単体ではほとんど売られていません。メニスカスレンズどころか、収差の大きい凹凹レンズさえ種類がものすごく少ないです。

一つの方法は、アクロマートレンズを分解して、その一つが負のメニスカスレンズなので、適した焦点距離のものを見つけることです。でも、個々のレンズの焦点距離は普通は示されていないので、個別に分解して確認する必要があります。私も一度は手持ちの使っていないアクロマート鏡筒を分解して試しましたが、TSA-120でピントを出せる範囲が狭かったせいもあるかもしれませんが、結局うまくいきませんでした。実際には、条件に合うものを見つけるのはなかなか大変なのかと思います。

そんな折、以前星まつりで知り合って、自宅までわざわざ遊びに来てくれた、お隣石川県のOさん一家の息子さんが、福島の星まつりのお土産で、なんとメニスカスレンズを買ってきてくれました。



私は腰痛で福島に行けなくてヤキモキしていたのですが、わざわざ星まつりの帰りの日曜に自宅にまで寄ってくれて、何枚かのレンズを頂きました。このブログをいつもよく読んでいてくれて、ちょうど私がコリメートレンズで悩んでいることも知ってくれていてのお土産です。最初に会ったときは小学5年生でしたが、今ではもう中3。でも中3できちんとコリメートレンズのことを理解しているのはすごいです。ちょうど福島で初公開だった、ヘリオスターの150mmの話も聞くことができました。晴れ間がほんの一瞬だったので、長くは見えなかったらしいのですが、やはり口径に応じた素晴らしい見え味だったようで、うらやましい限りです。

負レンズは焦点距離を見積もるのがなかなか難しいのですが、手持ちの焦点距離が-200mmと分かっているレンズと見え方を比較してみると、遠くに見える像が大体半分くらいの大きさになるので、おそらく-400mm程度なでのはと思います。これだと、太陽がより小さく見えるはずなので、写すことができる太陽像の範囲が倍程度になるはずです。


焦点位置の手前400mm

でもここで、もう一つの難しさが出てきます。エタロン用に平行光を作るためには、C8の焦点位置から400mmも手前にこのレンズを配置しなくてはならないことです。

普通の鏡筒なら、筒自体が邪魔をするために、こんな位置に置くことは出来ませんが、C8は主鏡を移動することで焦点を合わせる機構で、焦点位置をかなり大きな範囲で移動させることができます。具体的には、焦点距離が1800mm程度から2300mm程度まで変化するそうなので、焦点位置を500mm位の範囲で動かすことができるはずです。

実際にレンズをC8の手前に置いて試してみました。蛇足ですが、この時点で、赤道儀との固定をVixen規格のアリガタから、ロスマンディー規格のものに変更しました。さすがにこれだけ機材が大げさになってくると、より強固に固定した方が安全そうです。
IMG_3201
アリガタが赤いロスマンディー規格のものに変わって、より安定になりました。

試した限りピント位置はかなりギリギリで、コリメートレンズをC8にできる限り近づけることで、なんとか焦点が合う位置を見つけることができました。具体的にはコリメートレンズ位置を、何もついていないC8の接眼部から2cm程度離すだけで、もうフェニックスをどう置いてもピントが出なくなります。

その一方、フェニックスのフォーカサーのピント位置は遠くになると思ったのですが、意外にも逆の、かなり短い側でしか合わせることができませんでした。恐らくですが、コリメートレンズは平行光を生み出す本来の位置よりも遠くに置かれていて (C8の内部にレンズを入れない限りこれで限界) 、コリメートレンズ後の光は少し収束するような状態になっているものかと思われます。そこにフェニックスの400mmの対物レンズが置かれると、本来の400mmの位置よりも手前で焦点を結ぶというわけです。

それで撮影した画像が以下になります。
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これまで同様に30秒ごとの120ショットから選びましたが、午後でシーイングはかなり悪くなっていたためか、少なくとも口径20cmの分解能が出ているようには見えず、このメニスカスのコリメートレンズが収差的に問題がないかどうかは判断できません。「少なくとも上の画像くらいまでの分解能は出せる」ということが言えるだけだと思います。

よく見えている円内の周りの、波長のズレが激しいのがわかります。左右で比べると、左側の波長ズレが大きいように見えます。また、BFでの絞り効果も画面左下に見えています。それでも合成焦点距離が2000mm程度になっていて、目的だった太陽が小さく見えているので、午前に見た時よりも広い範囲を見ていることになります。


どちらのレンズがいい?

さて、最終的に得ることができる太陽像を考えた場合に、-200mmと-400mm程度のどちらの焦点距離が適しているでしょうか?
  • -200mmで見える範囲は少し狭すぎる気がします。大きな黒点が出ると、周りの模様がみ出してしまうでしょう。大きくない黒点周りを強拡大して見るのなら、これくらいでもなんとかなるかもしれません。
  • 見える範囲だけ考えると、やはり-400mmの方が普通に撮りやすいかと思います。
なかなか結論は出ませんが、コリメートレンズを交換することで見える範囲を調整できると考えると、それはそれで便利なのかもしれません。

次の問題は、うまく見えている範囲をどうやって切り出すかです。一つの方法は、センサー面積の小さいカメラを使うことです。例えばASI290MMです。写る範囲は狭くなりますが、ピクセルサイズは2.9μmなので、Apollo-M MINIの4.5μmよりも分解能は稼げるはずです。ただ、Apollo-M MINIの優位な点であると思われるグローバルシャッターを諦めることになります。

もしくは2倍程度のバローレンズを入れて像の範囲をApollo-M MINIのセンサーサイズに合わせる方法があります。ピクセルサイズが大きいことも解決できるし、グローバルシャッターを生かすことができます。

今のフェニックスをそのまま使う場合は、できることはこれくらいでしょうか。これ以上は、いよいよフェニックスを分解して使うことになります。といっても、エタロン部を鏡筒から外すとかのメーカー指定の分割に過ぎないレベルで、それだけでもできることが一気に増えます。分解というには大袈裟過ぎますね。


まとめ

PSTレンズで合成焦点距離4000mmは何とかなりそうですが、ちょっと拡大しすぎなので、2000mmで試してみました。一応ピントは出ますが、こちらはもう少し検証が必要そうです。でも、梅雨で天気が悪く、全然進みません。まあ、焦らずに進めたいと思います。


TSA-120を使ってのフェニックスの大口径化の最後の記事で少しだけ見せたのですが、次に更なる大口径、20cmのC8を使うことを考えています。


PhoenixとC8の接続

PhoenixとC8の接続は、TSA-120の時と同様に、アルミフレームを使っています。そもそも、C8で高さが変わることも見込んで、最初からアルミフレームを採用していたというわけです。

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このフレームを縦に2段にすることで、フェニックスの位置を高くすることができ、長穴の空いた板で接続することで高さを調整することができます。


コリメートレンズ

コリメートレンズはTSA-120の時と同様に、PSTの焦点距離-200mmのメニスカスレンズを使いました。TSA-120の時は、コリメートレンズ位置で光束径が27mmと、実測レンズ径の23mmを超えていましたが、C8は焦点距離2000mmのF10鏡筒なので、焦点から200mm対物側に置いてやれば、光束径は20mmになり、レンズ径内に収まるはずです。

C8は主鏡を移動することでピントを合わせる構造となっています。その調整範囲はかなり広く、焦点距離は1800mm程度から2300mm程度まで調整できるそうです。これはフェニックスを置く位置の範囲を、広く取れることを意味します。逆にいうと、この調整範囲の広さから最初は簡単にピントが出るでしょうが、最適化は自由度が大きく大変だということになりそうです。


減光

減光に関しては、PST+C8やTSA120+Phoenixでやった方法と同じで、エタロン前にUV/IRカットフィルターをつけています。

UV/IRカットフィルターは基本的に反射と透過が主で、熱はほとんど発生しません。熱は、反射でも透過でもないわずかのロスで発生するからです。

また、UV/IRカットと言いながらも、実際に太陽光をフィルター単独で反射光を見るとわかるのですが、意外に可視光も反射することがわかります。さらに、見る限り透過光より反射光の方が明るかったりします。そのため、不可視光も含めたパワー的には3分の1程度に抑えることができるはずです。

その後にさらに赤色のR2フィルターを入れています。以前C8の光をこのR2フィルターに直接入れたときは熱で割れてしまいましたが、UV/IRカットフィルターの後に入れた場合はほんのり温かくなるくらいで、全然余裕がありそうです。

エタロンも基本的には反射と透過なので、エタロン自体が熱を持つことはあまりなく、熱で壊れることはないということは、PSTで経験済みです。ただし、フェニックスのエタロンはPSTと違い中央遮蔽があり、そこでのロスが熱になる可能性があるので、十分注意しながらエタロンを壊さないように試す必要があります。今回UV/IRカットフィルターとエタロンの間にR2フィルターを入れたのは、中央遮蔽での熱膨張を心配してです。

副鏡のところではそこそこ集光しているので、鏡以外のところには全光量をあまり当てない方がいいでしょう。最初のアラインメントだけは、鏡筒の蓋を少しだけ開けて、大きくずれていないことを確認してから全部開けるようにしています。

また、焦点から大きく外れたところに平面の反射面を置くと、戻り光が変なところで集光する可能性があります。基本的には焦点から遠くない所に反射物を置きますが、やはり対物側を覗き込まないように気をつけるべきです。戻り光は集光さえしなければ、太陽光以下の光しか返ってこないので、基本的には問題ないはずです。

でも、そうは言っても太陽望遠鏡が危険なことには変わりないです。ここで書いていることが理解できない場合、もしくは危険を軽視して注意を払えないような場合は、太陽望遠鏡の改造などは絶対に試すべきではないです。もし試す場合も、口径が大きな鏡筒での太陽観察は、失明や火事など、本当に深刻な危険が伴うことを十分肝に銘じて、安全に十分な注意を払いながら、自己責任の範囲で進めるようにしてください。この記事を読んで何か事故が起きたとしても、私は何の責任も取ることができません。


太陽光を入れてみる

IMG_3175

C8とPhoenixの2台を繋いだ状態で、実際に太陽を導入してみます。やはり最初は怖いので、鏡筒前の蓋を少しずつずらしながら、熱くなるようなところがないか、手で触ったりして確かめながら進めます。接眼部では最初はカメラをつけずに、手をかざして明るい光が来ていないことを確認しながら、徐々に蓋をずらして開けていきます。

問題なさそうならカメラを取り付けて、早速SharpCapで見てみます。C8のピントノブを回していくと、やはり予想通り範囲内に簡単にピントが合うところがありました。

スクリーンショット 2026-05-25 165132


視野の問題

でも、ピントが合ったというだけで、これで成功かというと、見ている限り問題点が大ありです。
  1. まず、視野が狭いです。カメラはApollo-M MINIですが、像は円状の内部にのみ見え、周りは真っ暗に見えます。
  2. 合成焦点距離が、(2000mm / 200mm)*400mm =4,000 mm とかなり長いので、視野が狭くなってしまいます。

視野が狭いので、PST時代のASI290MMよりも多少センサー面積の大きいということで、Apollo-M MINIを使いました。でもこれだと丸く見える範囲しか使えず、特にピクセルサイズが大きく画素数が多くないので、全然有効活用できていません。

なぜ、視野が狭くなるのか?まず試しに、接眼部についているERFとBFを外してみました。エタロンのいわゆる櫛形の透過光を見ている状態になります。
スクリーンショット 2026-05-25 165455

連続光に近い状態になるのですが、少なくとも周りをカットするようなものはなくなってるようです。BFとERFが何か悪さをしているようなのですが、必ずしもBF、ERFが単体で問題ということは言い切れません。エタロン単体も問題ないと結論付けそうになりますが、これもやはり言いすぎです。エタロンとBFとERFがそろって、Hαのナローになって初めて出てくるような複合要因の問題はまだ残されているかもしれないということです。ここで言えることはせいぜい、「C8とPhoenixの組み合わせで、連続光で見ている限りは変な視野の制限はなさそう」ということくらいでしょうか。

ここでは視野を制限する理由として、2つの原因の可能性を考えてみます。
  1. エタロンに対する入射角がつくこと
  2. センサー前のBF径が小さく、絞りのような状態になっていること
とりあえず思いつくのはこれくらいなのですが、どちらも定性的に考えるだけでは意味がないので、もう少し定量的に実際に見えているものと比較してみることにします。

1と2をそれぞれ個別に議論してみます。


エタロンの入射角

まず、エタロンへの入射角で視野がどれくらい制限されるかの見積りです。コリメートレンズで平行光を作っているはずなので、平行光がエタロンへ入っていくはずで、なぜエタロンに対して入射角がつくか、不思議に思わないでしょうか?ここはきちんと理解しておく必要があるので、今回説明することにします。

最初に、コリメートレンズ中心の光は入射角0度でエタロンに入っていきます。でも、太陽は面積を持っているので、視野の中心位置からズレたところでは「局所的な光束はたとえ平行光」だとしても、「その光束全体が角度を持って」エタロンに入射している状態になります。

まだちょっとわかりにくいかもしれないので、次のように考えてみましょう。(C8とかの接続を考えずに)フェニックス単体でHαで、太陽を中心に導入して、カメラで見ることにします。この場合、鏡筒の対物レンズ前にエタロンがついていることになります。太陽から平行光が入ってきていて、対物レンズ全体でその光をとらえます。センサーの中心に集光する光は太陽中心を見ている光なので、平行光で入射角も0度でエタロンに入った光を見ることになります。その一方、センサーの中心からy[mm]離れた端の位置に集光する光は、面積のある太陽の中心からずれた端の方を見ることになります。その光は、局所的な光束で考えると平行光ですが、エタロンに対しては

y = f tanθ

で表されるような入射角θを持って、エタロンに入射していることになります。ここで、yはセンサー上での中心からの距離、fは対物レンズの焦点距離で、フェニックスの場合400mmになります。

ポイントは、太陽は面積を持ってるということです。それが面積を持っているセンサーの上で像を結んでいるので、(光束としては)平行光ですがエタロンの時点で入射角を持った光を見ているということになります。間違えやすいのは、対物レンズで集光する際の角度とは違うということです。対物レンズ上ではセンサー上よりもっと大きなビーム径になっているので、その集光する角度はもっと大きな角度になります。この角度と、エタロンへの入射角は別物です。

もっとわかりやすい話として、視野角を考えてみましょう。太陽の視野角は0.5度程度です。視野角0.5度の円状の面積が、センサー上に円状の像を結びます。この視野角と、エタロンへの入射角は同じものになります。なので、太陽の縁の所は、センサー上で中心から400[mm] x tan(0.5/2度) = 1.75[mm]の位置に像を結び、その際の光の「エタロンへの」入射角は0.25度ということになります。

センサー位置から逆にエタロンへの入射角を考えて見ます。例えば、Apollo-M MINIのセンサーサイズ横幅8.75mm、縦幅6.6mmの場合、横端では

8.75mm/2 = 400mm  x tanθ

でエタロンへの入射角θ = 0.627度の光が集光している

縦端では
6.6mm/2 = 400mm  x tanθ

でエタロンへの入射角θ = 0.473度の光が集光している

ことになります。

ここできちんと意識しておかなければならないことは、フェニックスのようにエタロンが対物レンズの前に置かれている場合は、この入射角は「対物レンズの焦点距離」と、「センサー上の像の位置」のみで決まってしまうということです。波長にも、口径にも依存しないということはきちんと理解しておくべきでしょう。これは太陽のような平行光を見ている限り、もしくはフェニックスの手前にTSA-120やC8を接続してもコリメートレンズで平行光にしている限り、一般的に成り立つ話です。なので、フェニックス前をどういじろうが、平行光条件を満たす場合は、エタロンへの入射角に対してはフェニックスという決まった対物レンズを使っているので、もうどうにかするような自由度は残されていないということです。これは結構痛いですね。


入射角による波長のずれ

次に、入射角と波長のズレの関係を考えます。エタロンに入っていく光に入射角がある場合の波長のズレは、アマチュア天文の範囲では例えばAstrosurfのこのページで検討されています。中心波長λ0の光が、エタロンへ入射角θを持って入射した場合に、波長のズレΔλは

Δλ = λ0 (θ^2) / 2

というような式になります。でもこの式、きちんとした証明が同サイト内のどこにも書いてないんですよね。根拠がわからない式を使うのは気が引けるので、今回きちんと証明しておこうと思います。

エタロンについては、関係式を太陽を始めた初期の頃にある程度説明しています、エタロンの間の距離dは半波長λ/2の整数倍mになるという条件が課せられるので

m λ/2 = d

となります。もし光がエタロンに対して角度θで入射した場合、dは入射光から見るとエタロン間のギャップの距離が1/cosθで長くなったように見えるので、

m λ/2 = d/cosθ

となるように思えますが、ここは注意が必要で、実際には

m λ/2 = d cosθ

となります。これは隣り合う2つの光の光路長差をきちんと考えると理由がわかります。エタロンの2枚の鏡の内側を反射する隣り合う2つの光が、「後ろ側の鏡を出た時を基準」に光が重なりあうと考えると、一つ目の光のスタート地点は手前側の鏡に入射した地点がスタートではなく、入射角のために遅れた場所がスタート地点となるからです。これはわりと有名な話で、わかりやすい解説などもあるので、ここでの証明は省きますが、興味がある人は調べてみてください。1より小さいcosθが「掛かって」いるので、エタロンへの入射角がある場合には、共振する波長は全て短くなる側にシフトします。

この場合、入射角θを持ってエタロンに入射する波長λ(θ)は、入射角θが0度の時の波長λ0に対して

λ(θ) = λ0 cosθ

と書けることがわかります。θが十分小さいとして、cosθをテイラー展開してやると

λ(θ) = λ0 (1 - (θ^2) / 2)

と書けるので、元の中心波長λ0からの差Δλは、入射角θの関数として

Δλ = λ(θ) - λ0 = -λ0 (θ^2) / 2

と書くことができます。これを元に計算してやります。


先に議論したように、センサー端部に集光する光の入射角はわかっているので、λ0=6562.8Åとして、
  • 横端の像の入射角θ = 0.627度の場合、波長のズレΔλは-0.39Å
  • 縦端の像の入射角θ = 0.473度の場合、波長のズレΔλは-0.22Å
と計算できます。


実画像との比較

この計算値が実際撮影した画像とどれくらい合っているのか見てみましょう。フェニックスのエタロンのFWHMは以前の測定結果を用いて0.37Åとします。これは全幅なので、中心から0.185Åずれると、透過光量が半分になるということです。

上の式から、波長のズレが0.185Åの場合には、入射角は0.43度となり、その場合中心から半径3.0mmの円のところで、光量が半分になるということがわかります。センサーサイズが8.75 x6.6mmなので、縦はほぼ上下の端で光量は半分以下くらいになります。ピクセルサイズは4.5μm/pixelなので、半径667ピクセル、直径で1334ピクセルが光量が半分になるところです。

実際の画像で光量が半分になるところをPhotoshop上で円を描いて測ってみると、直径で約1600ピクセルだったので、少し計算とズレていて、もう少し大きな範囲で見えているようです。さらに、次で議論するBFの絞りでも周りの光量が減るはずなので、実際の有効範囲はもう少し広いと思われます。
スクリーンショット 2026-06-21 202048

ズレの原因は、
  • フェニックスエタロンのFWHMの測定値が良く出すぎていて、実際のFWHMは2割ほど大きい
  • 本来コリメートレンズの位置が平行光を出す位置よりも、C8の対物レンズ側に寄ってしまっていて、広がりのある光束となり、エタロンへの入射角が小さくなることで、波長のズレが小さくなる
などの可能性があります。

BFによる絞り効果

センサーで見える範囲が限られてしまう一つの可能性は、上で説明したようなエタロンでの波長シフトによる透過光量の低下ですが、もう一つの可能性は、接眼部についているBF(Blocking Filter)の径でカメラ上の光束が制限される場合です。絞りの効果と同じですね。

フェニックスのBFの直径は8mm程度です。BFがカメラのセンサー面と同じ位置にあると、カメラセンサー上では直径8mm以上のところには光が来ません。

実際にはBFはセンサー面から手前の離れた位置に置かれ、そこではさらに大きな光束になっています。この場合、BFによって直径8mmにカットされた光束がセンサー上でどのような像を結ぶのか考えてみます。

まず、光の集光具合はF値で表すことができます。フェニックスは太陽モードの時、F10鏡筒で、対物レンズで口径40mmの光が、焦点距離の分400mm進むと径が0になります。傾きは40/400 = 1/10 = 1/Fとなり、F値のみで集光の傾きが決まりますね。

ただし今回は、口径200mm、焦点距離2000mmのC8と、焦点距離-200mmのコリメートレンズがC8の焦点位置から200mm手前に置かれているために、フェニックス手前で直径20mm (= 200 x 200/2000) の光束径になっています。そのため、口径20mmで焦点距離400mmで決まるF値が実効的なF値と考えるべきです。今回の場合400/20=20で、F20として考えるべきでしょう。

センサー面からs離れた位置にBFのような絞り径を入れると、絞りの端の一点の光がセンサー面でどれくらいの広がりを持った像になるかというと

s/F

になります。今回、直径8mmのBFが、チルターも込みでセンサー面から結構離れた位置に置かれていて、その距離が50mmだとすると、最大で8mm + 50/20 = 10.5mm、最小で8mm- 50/20 = 5.5mmのボケた円像になると考えることができます。

でも、上の考えはまだ不十分で、BF位置の絞りの端の光がセンサー上でどうなるかを見ただけで、より正確にはセンサー上のある位置y に結像する光束の中心が、穴の面ではどこを通るかを考えるべきです。

まず、センサー面から50mm手前にBFがあるので、焦点に向かう光束はBF位置でまだ少し広がっていて、センサー面で中心の1点に結像する光束のBF位置での直径は、

20mm × (50/400) = 2.5 [mm]

となります。

一方、センサー上の位置yに対応する光束中心は、50mm離れた絞り面では0.875yの位置にあります。これは

(400−50)/400 = 0.875

からわかりますね。

センサー上の中心からyの位置に集光する光は、BF位置で0.875yにあり、最大で半径 2.5/2 = 1.25 [mm]の範囲の光が影響し、それがBFの半径 8/2 = 4 [mm]以内であれば、完全に光が通る条件となり

0.875y + 1.25  < 4 [mm]

最小で半径1.25 [mm] の範囲の光が影響し、それがBFの半径 8/2 = 4 [mm]以内であれば少しでも光が届く限界の条件となるので、

0.875y - 1.25  < 4 [mm]

となります。これらを満たすyは

3.14 < y < 6.0 [mm]

となり、中心から半径 約3.14 mm以内では完全に光が届き、半径3.14 mmから6.0 mmでは周辺に向かって徐々にケラれ、 半径6.0 mmより外側では光が届かないということになります。

Apollo-M MINIのセンサーサイズが8.75 x6.6mmなので、BFによる周辺減光は存在するが、光が届かないわけではなく、フラット補正をすれば何とかなりそうです。

別で撮影した、中心がずれてしまっている画像があります。Photoshop上で光が届かない所に円を描いてみます。
スクリーンショット 2026-06-21 210401

中心と思われる点から、完全に光が届かなくなるまでの距離が、SharpCapをキャプチャした画面上で2350/2 = 1175ピクセルくらい、横幅を本来のApollo-M MINIの1944ピクセルで換算すると1337ピクセルで、センサー上の距離にして6.01mmなので、上記の見積もりでかなり合っているように思われます。

このBFの絞りの効果も、フェニックスという縛りがある限り大幅に改善することは出来ず、BFとセンサー面との距離で多少いじることができるくらいです。
  • BFとセンサーを近づければ近づけるほど有効径は小さくなってしまうが、はっきりとした (均一に明るい) 像になる
  • BFとセンサーを遠ざければ遠ざけるほど大きな径で太陽像の情報を得ることができるが、周辺に行くにしたがって徐々に暗くなるような像になる
ということです。

このことは、以前PSTとC8でカメラ位置をより遠くにした場合に見える範囲が広がったことを少なくとも定性的にうまく説明できます。


まとめ

今回、C8+Phoenixで見える範囲が制限される理由として
  1. エタロンの入射角
  2. BFでの絞り効果
の2つを考えました。今のセットアップでは、実画像の上では入射角の方が影響が大きそうです。

入射角はフェニックスの対物レンズの焦点距離で決まってしまい、エタロンに入る光が平行光という条件を満たす限り、その手前がC8だろうがTSA-120だろうが違いはありません。BFによる絞りも同じで、C8だろうがTSA-120だろうが違いはありません。要するに「フェニックスを分解せずに使う」という縛りを設ける限り、大口径化のために接続する鏡筒に何を選んでも、これ以上あまり大きな改善をすることはできないということです。

実際、今回C8で撮影した画像を見ても、以前TSA-120で撮影した画像を見ても、上の二つの理由でうまく像が周辺で悪くなっていく様子を説明できます。ただ、C8の方がTSA-120よりも一見視野が狭いように見えている (急激に周りが落ち込む) のですが、なぜなのかはちょっと不明です。

これらを解決できるのか、解決していくべきなのかが、今後の課題でしょう。解決のためのアイデアはすでにいくつかあるのですが、その前に、少しこの状態でいくつか試したいことがあるので、まずは一旦、この状態で撮影してみたいと思います。


6月13日(土)、夕方から飛騨コスモス天文台の観望会です。


観望会機材の準備

土曜の夕方16時頃から、観望会のための機材の準備を始めます。天気予報はどこをみても晴れなので心配ないはずですが、あいにく出発地の富山は曇りで雨もぱらついていますが、飛騨は大丈夫なのでしょうか?

この日の機材は、暗くなる直前の西の空の木星と金星狙いで①TSA-120、子供用にいつもの②スコープテックの屈折経緯台、あとは③FMA135とトラバースの電視観望セットの3種類です。惑星用はいつものC8が良かったのですが、今は太陽用にC8とフェニックスをくっつけて使っていて、セットアップを崩したくないので、今日はTSA-120が代理です。


出発して現地まで、でも天気が...

機材の準備も完了し、出発は17時ちょっと前。18時過ぎには現地に着く予定です。

途中雨が結構降っていましたが、現地に着く頃にはとりあえず地面は乾いているくらいでした。でも外に出ると、少しだけですがまだ雨がパラパラしています。濡れるとだめなので機材は出せないのですが、車のトランク側のバックドアを上げて屋根代わりにして椅子を出してのんびりしていたら、程なくしていつものスタッフの方達が3人到着です。

到着後は全面曇りに近かったのですが、少し待つと西から北の空が晴れてきました。これなら木星と金星は大丈夫そうです。
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東から南の空にかけて大きな虹がかかっていました。
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惑星は...?

最初のお客さんが来たのは19時少し前くらいだったでしょうか。知り合いのM君一家で、4歳の息子さんを連れて奥様と3人で初参加です。でもこの季節は夏至直前で、まだ全然明るいんですよね。一番星もまだ結構待たなくてはいけません。

待っている間に晴れていた西の空がどんどん曇ってきました。徐々に暗くなってきてもう木星も金星も輝き出す時間になっても、まだまだ曇っています。

その間に少し青空が見えるところがポツポツ出てきて、一番星はそこから見えました。星座ビノや双眼鏡を出して、みんなで見ます。

その頃には他のお客さんも徐々に増えていて、今回はトータルでは20-30人くらいと言ったところでしょうか。始まりの時間が雨とか雲だった割には、集まった方だと思います。どの天気予報を見ても晴れだったはずなんですが、当てになりませんね...。

そうこうしていると、西の空の隙間から、数分間が何回かと言ったところだったでしょうか、一瞬だけ金星が見えました。スコープテックでパッと導入して、見てもらいました。でもスコープテックだと金星の欠けを見るのはちょっと厳しいんですよね。木星だったら衛星や縞まで見えるはずなのですが、結局木星は姿を現すことはなかったです。残念ながら、惑星のために持ってきたTSA-120は、雨が心配だったので出すのを躊躇していて、金星出現で急遽出動したのですが、導入まで時間がかかりすぎで間に合いませんでした。


最初は曇りでしたが、そのうちに...

惑星が見えないのは仕方ないので、TSA-120で雲越しに少しだけ見えていたベガを導入します。目ではまだベガがやっと見えているくらいです。望遠鏡だと、雲越しでもベガの周りにたくさんの星が散りばめられていて、アイピースの中の像に皆さん喜んでくれたようです。

時間が経つに連れ、夏の大三角や北斗七星も見えてきて、天頂付近の雲もだんだんなくなってきました。織姫様と彦星様の話や、北極星の見つけ方、星座ビノを使ったこと座の形の確認など、定番の話で皆さんと交流します。


いつもの電視観望とTSA-120での眼視

この頃には夏の大三角のあたりの低いところの雲もだいぶ薄くなってきたので、電視観望でM57リング状星雲と、M27亜鈴状星雲、北アメリカ星雲を見せることができました。

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でもまだ時折雲が濃くなったり薄くなったり不安定で、ちょうど白鳥座の形が見え始めた時にTSA-120でアルビレオを入れて、色の対比を見てもらいました。

今回は徐々に晴れ渡ってくるところを楽しんでもらった観望会になったのかと思います。21時過ぎにはかなり晴れ渡ってきましたが、その頃まで残っていたお客さんはだいぶ少なくなっていました。「ここまで残っていたご褒美ですかね」とか言いながら、みんなで暗い空を楽しみました。


天の川

もともと都会から来た、知り合いのM君一家は、まだ天の川を見たことがないと言います。でも21時くらいの時点ではまだ低空の雲が取りきれなくて、天の川と認識することができません。4歳の子はこの頃には眠気を超えたのかハイテンションになっていて、それから程なくするとぐっすりと眠ってしまいました。21時半頃には天の川が少し認識できてきます。M君夫妻もなんとなくわかってきたみたいです。22時頃まで粘ると天の川がかなりはっきりしてきます。


TSA-120での電視観望

天の川を待っている間に、M君に銀河を見せてあげようと思い、空いていたTSA-120にASI294MCを取り付けて、M51子持ち銀河を導入してみました。FMA135ではちょろっとわかるくらい、街中でFC-76で見た時は形はわかるくらいでしたが、さすが暗い空と口径120mmのTSA-120です、導入している最中から形がわかるくらいです。下の画像は露光時間が6.4秒の9枚くらいの、トータル57秒ですが、腕のかなり細部まではっきりと写っています。
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ただ、輝点ノイズが目立ったので、SharpCap上でダークを10枚だけ撮影してリアルタイムダーク補正をしました。次に見たM97梟星雲では、目立っていた輝点が全部消えているのがわかると思います。
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ここでM君一家が帰路につきました。車で15分くらいのすぐ近くに住んでいて、自宅に着いたら早速今日のお礼のメッセージが届きました。十分楽しんでくれたみたいです。

結局最後に残ったのはいつものスタッフの方だけで、私を入れて4人だったのですが、実はここからが本番だったと言っていいかもしれません。その頃にはもう空も全面晴れ渡っています。あんなに苦労して見ようとしていた天の川も、2本に分かれるのがはっきりわかるほどくっきりと見えています。電視観望でいくつかリクエストに応じて導入していきます。極軸が全然合っていないので毎回数度程度ズレるのですが、赤道儀がCGEM IIで安定に応答してくれるので、プレートソルブで1-2回同期し直すだけで真ん中に持ってくることができます。

まずは同じ北の空の、M81とM82。カメラの角度が悪かったのですが、こちらも6.4秒露光13枚で、トータルわずか1分23秒の露光ですが、もう十分すぎるほど見えています。銀河なのでフィルターは外しています。
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次はM13。天頂付近です。トータル2分34秒。
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拡大すると色も赤と青と白にはっきり分かれるのが見えます。
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さらに最初にFMA135で見たM57を今度はTSA-120で見てみます。中心星もよくわかります。
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こちらもFMA135で見たM27です。流石に1分程度なので周りの羽まではわかりませんが、星雲本体の構造などは十分わかります。
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最後は三日月星雲です。
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なんか淡いなと思ったら、フィルターを入れていないことに、この時やっと気づきました。外していたCBPを取り付けたのですが、ハロが見えてなんか変です。雲かなと思ったのですがそうでもないですし、鏡筒が曇ったかなと思ってもフードを伸ばしているので全く大丈夫です。あっと思って、カメラを外してフィルターを見たら、完全に曇っていました。外したフィルターを机の上に置いておいたら、湿気で結露してしまっていました。机の上をよく見ると、置いてあった星座ビノや、PCのキーボードまで水滴でベトベトになっています。


撤収

フィルターを乾かすのは大変なのと、もう23時半頃と夜も更けてきたので、ではここら辺で終わりにしますかと言って、撤収に入りました。機材を結構出していたのと結露が酷かったので、片付けはちょっと大変でしたが、スタッフの皆さんに手伝ってもらったので、意外とすぐに片付けることができました。

現地を出たのがちょうど0時頃。自宅に着いたのが1時頃でした。空を見ると、こと座も白鳥座もはっきり形が分かります。さらになんと、天の川を見ることができました。自宅から天の川が見えるのは、年数回あるかないかで、珍しいくらいの透明度でした。でも疲れていたので、2時頃には寝てしまいました。


まとめ

TSA-120の電視観望の破壊力が想像以上でした。暗い空だったことももちろんあるのですが、1分とかの露光でここまで見えるので、待たなくていいです。そのため、次々と対象を変えることができるので、これはかなり楽しいです。

普段惑星の眼視はC8なのですが、たまたまこの日は太陽でC8を使っていたので、代役でTSA-120を持ってきただけなのですが、電視観望でこれだけ見ることができるなら、今後は惑星の眼視も、その他の眼視も含めてTSA-120の方がいいかもしれません。

今回は暗い空だったからかもしれません。明るい場所でもどれくらい強力なのか今度試してみようと思います。


10年のまとめ(その1)を書いてからだいぶ時間が経ってしまいました。ある程度は書き進めていたのですが、フェニックスの大口径化を始めてしまい、まとめ記事になかなか時間を回せなかったのです。この記事に付随したTips記事を書いていて、そちらをまとめるのが大変だったのもあります。できればこのTipsの記事と一緒に読んでほしい、というか、Tipsをまとめたくて今回の記事を書いてるような気もしてきました。



「ほしぞloveログ」のコンセプト

本来このブログは、自分がやっている天文活動を記録していこうと思って立ち上げた、日記的なものなのです。でも時間が経つにつれ、実際には解説記事のようなものが多くなり、毎回長文になってしまっています。コメントや記事の引用など、このブログを読んでくれている人が意外にたくさんいることがわかり、自分で試したことや新しく得た知見を、できる限り隠したり制限したりすることなく、わかりやすく公開することを目指したのが理由です。

そういった意味では、星を始めて、わずか10日後くらいの2016年5月8日に、カメラの操作方法を、初心者なりに解説しようと試みています。その後7月にはもう少し学んだ後の解説記事にしていますが、ミスしやすそうなところを忘れないように書こうとしています。こんなところがこのブログの原点に近いのかもしれません。

最初の調整記事は2016年の5月末と、これも最初期の頃で、ニュートン反射の光軸合わせで単に他の情報を辿るだけでなく、自分で考えたことを拙いながらも書いています。初期の頃で、今考えても無茶だったと思うのはC8の光軸調整で、C8をほぼ全バラしています。この頃はまだあまりに変なことを記事にするのは少し躊躇していたのか、記事にはあらわに書かなかったことを覚えています。でも追加記事では、補正板と主鏡も掃除したとさらっと書いていて、全バラの片鱗が少しだけ垣間見えています。でも、機材を分解するくらいでやっといろいろ理解が進んでいくというのも、天文趣味においてはまた事実で、PSTの頃にはもう全く躊躇せずに分解して記事にしてしまっています。

10年も続けていると、このブログで初めて提供した全く新しいアイデア、一部には認識されていたけれどそれまでほとんど広まっていなかった情報など、今自分で見ても役に立つと思われる情報が、結構膨大にあります。きちんと整理されていればいいのですが、必要な情報を体系立てて探すのが難しくなってしまっているので、今回10周年といういい機会に、一度まとめてみようと思ったのが、この記事と前回のTips記事になります。


電視観望関連の新しい提案

大きなところでは電視観望の普及そのものでしょうか。そもそも、リアルタイムで星雲が色付きで見えることが難しいと考えられていた時代に、そこまで暗くない場所でも、しかも小口径鏡筒でも、淡い天体を見る手法を提案してきました。また、基本は一人で覗く望遠鏡に、その場にいる人たちで一緒に天体を見ながら会話などを弾ませるという、新しいコミュニケーションの方法を提案できたのかと思います。電視観望についてはすでにまとめの(その1)である程度述べているので、ここでは当時提案した、もしくは結果として提案となったような、新しいアイデアなどだけまとめてみます。

CMOSカメラを使った電視観望:
電視観望という言葉は2016年の胎内星まつりでHUQさんから聞いた言葉ですが、当時はSonyの一眼レフカメラでHDMIでリアルタイムで星雲などを色付きで見るというものでした。CMOSカメラを使ったものは、動画を撮影するというようなことは当時も試されていましたが、電視観望のようなその場で楽しむというコンセプトでは当時はまだ誰もやっていなくて、胎内星まつりから帰った直後、2016年8月に実際に試してみて、このほしぞloveログで紹介したのが初めてです。

Revolution Imagerの紹介:
アメリカのオレンジカウンティにある天文ショップのMikeがRevolution ImagerというアナログのNTSC出力のカメラを使った電視観望パッケージを販売していて、それを持ち帰り日本で紹介しました。使い方の記事なども書いていました。後にKYOEIから販売されることになりました。

SharpCapを使った電視観望:
一番最初は電視観望用のソフトにFireCaptureを使っていましたが、上のMikeからSharpCapがいいと教えてもらい、早速使った覚えがあります。当時日本ではまだSharpCapユーザーはほとんどいなかったはずです。当時からライブスタック機能がありましたが、撮影用途ではないので使い方が理解されなかったのが理由かと思います。使い方の解説記事も書いていました。このライブスタック機能は電視観望にはなくてはならない機能で、今に至るまで使い続けています。

小口径の有効性:
原村星まつりで手に入れた口径50mmのSCOPETECHや、福島星まつりで手に入れたFS-60Qなど、小口径鏡筒で電視観望を試しています。小口径でも十分成り立つのは自分では理解していましたが、きちんと言葉にして説明したのは2019年のCANPのときだったようです。このブログできちんとした説明をしているのは2019年の小海での講演のときに使ったスライドの全掲載のところの補足解説だと思います。

広域電視観望:
電視観望にとってワンショットナローバンドフィルターの出現は大きなインパクトがありました。最初に使ったのは2018年大晦日の実家の大都会名古屋での観望会だったようです。2019年9月に改めて検証したりしていますが、インパクトがあったのは2020年2月の焦点距離の短いカメラレンズにCMOSカメラを直接取り付けた、広域の電視観望システムではないかと思います。これはQBPなどが必須で、明るいレンズと相まって、都会などの明るい場所でも淡い星雲がとてもよく見えますし、街の中で天の川などを見る際に使うこともできます。この広域コンセプトはいまだに現役で、機材は多少変わっていますが、今でも観望会で活躍しています。

一眼レフカメラでの電視観望:
ASCOMドライバーが一眼レフカメラに対応してくれたので、一眼レフカメラを使った電視観望に大きな道が開きました。このネタでCP+2023でも一度話しています。

最小構成での電視観望:
何と、口径わずか30mmの超小型望遠鏡での電視観望を試してみました。2021年5月のことです。当時はこんな小さな口径で電視観望が成り立つとは誰も思っていなくて、むしろ私自身も懐疑的でしたが、あまりに普通に綺麗に見えるので自分自身びっくりしたことを覚えています。AZ-GTiからトラバースに移行できたのもさらに小ささを加速させることができました。屋根から昇る北アメリカ星雲とかはいまだにお気に入りです。この小さな電視観望セットは今でも現役で使っていて、観望会では大活躍です。これはSeestar S30やDWARF 3、DWARF miniなどの小型のスマート望遠鏡に繋がっていくようなコンセプトなのかと思います。

他にも、その時その時の新しいことを試したりしていて、SharpCapの2017年11月のオートストレッチの登場ですぐに試してみたり、フォーサーズと当時としてはかなり大きめのセンサーサイズのASI294MCを20217年12月に使ったりと、いろいろ紹介しています。

こうやってみると、電視観望の基本技術は立ち上げ時の2016年から2017年くらいまでのかなり早い段階で確立していて、その後大きなことは広域電視観望が2020年、ミニマム化が2021年で、そのあとはもう安定期に入ってしまったように感じます。逆にいうと、それ以降新しいことはあまりなくて、スマート望遠鏡が出てきてからは、初心者の入口としての役割はスマート望遠鏡にかなり引き継がれつつありますが、自由に構成を変えて試せる手組み電視観望には、まだ別の面白さが残っているのかもしれません。例えば銀河仕様にカスタム化するなど、スマート望遠鏡にはない応用性みたいなことはまだまだ試せるのかと思います。


CMOSカメラのノイズ

電視観望に加えて、このブログのもう一つの大きなテーマは、カメラのノイズ関連でしょう。当時はほとんど知られていなかったカメラの特性グラフの読み方など、このブログがきっかけの一つとなり、今では常識になったものも多くあります。

CMOSカメラの性能評価:
初期の頃の大きなものは、CMOSカメラの性能の評価の仕方の解説かと思います。ASI294MCを手に入れた2017年の頃の話です。もちろんその当時から、開発レベルでは評価方法については確立していて、その結果はカメラメーカーが示すグラフに表れていました。でも、アマチュアレベルでそのグラフをどう見たらいいかを解説している記事は、少なくとも私が探した限り皆無でした。販売店の方でもきちんと理解していたかどうかは怪しくて、公開はしてきませんでしたが、販売店の方達に個別に何度も説明してきたという経緯があります。今では、gainとかコンバージョンファクターなどと呼ばれるADUとeの変換係数の意味や、ノイズをeで評価する意味などもきちんと理解されるようになってきていて、あぷらなーとさんNiwaさんそーなのかーさんなども測定や応用をしてくれています。いずれもほしぞloveログの記事にリンクを張ってくれているのは嬉しい限りです。

ノイズ解析:
その後のノイズの解説記事も、いまだにレファレンスとしてリンクを張られることも多いです。この段階ではまだ一般的なノイズの話でしたが、これがノイズ評価の一連の記事へと発展していきます。特に初回には、これまで定量的に評価しにくかった背景ノイズについて「実際に撮影した画像からどれくらいの量の背景ノイズが全ノイズにどれくらい寄与しているかを推測する方法」を提案していて、撮影画像内にあるノイズの種類別の貢献度をある程度きちんと評価できるようになりました。地味に重要なのは、(その3)で対象天体をどう測定すればいいかを考えてS/Nで議論したことです。明るいところはいいのですが、淡いところは暗い環境が必要なことが如実にわかります。(その6)ではPixInsightではバイアスファイルを使わない方向が主流となっているのですが、その根拠も解説していて、かなり面白いかと思っています。でもこの一連のノイズ評価記事、自分の中では上手くまとめたと思っているのですが、どうも一般ウケはそこまで良くないみたいで、少し複雑すぎたのかもしれません。


太陽関連

太陽望遠鏡の仕組み:
ほしぞloveログでは太陽望遠鏡のファブリーペローエタロンの理解についても促してきました。もともと光共振器については詳しかったのですが、太陽望遠鏡がエタロンを使っているということを当時知らずに、ちょうどPSTを購入する直前の2017年の星まつりでその事を聞いて、なるほどうまいこと利用するなあと、ずいぶん納得しました。でもその後、アマチュア天文で太陽に詳しいという方と何人も話したのですが、誰もエタロンの仕組みについてきちんと理解している人に出会うことができませんでした。この状況はあまり良くないと思い、このブログでも2018年2月のPST購入当初のかなり初期の頃から解説を試みてきましたし、CP+でも2024年に結構ガチに解説してみました。他の日本語の記事でもエタロンについて書かれているのを見るようになってきたので、多少なりとも効果はあったのでしょうか。定性的なほんわかとした記述はいくつかありましたが、数値が入った説明がされていることはなかったか、あってもごくごく稀だったので、いい方向に向かっているのかと思います。

大口径化:
PSTなどの大口径化については、古くから日本でも行われてきました。このブログでも中古のジャンクPST入手直後から、口径8cm、10cmと試してきましたが、最後20cmまで試した例は、今でもあまりないと思います。このブログでは、うまく行った時だけでなく、失敗した例もできるだけ載せています。特に、20cmに挑戦するときに熱でフィルターが割れてしまったことがあるので、安全性についてもかなり呼びかけてきたつもりです。

分光関連:
2022年頃に日本でも流行ったSol'Exはスルーしてしまったので、その後に出たSHG700ではできるだけやったことをまとめておこうと思って記事を書いてきました。2025年の6月からですが、おそらくSHG700を手に入れたのは、日本の中ではかなり早かったと思います。実際、いまだに日本語でのSHG700関連の記事はあまりないので、何を書いても新しいことになってしまいます。その中でも、ジェットのドップラーシフトとか、Hαグレインとか、エタロンの透過特性を測るとか、アマチュア天文の中では世界的にみても結構珍しいことをしてきたのかと思います。


SWAgTi

できるだけ簡単で、かつ精度のいい撮影ということで、高精度低機能赤道儀SWATと、高性能低精度経緯台AZ-GTiのいいところどりで、2つを組み合わせて高精度高機能で、かつオートガイドもなしで簡単に、でも3分程度の露光ができるシステムを組みました。SWAgTiと名付けました。面白いのは、ガイドはしないけれどもディザーはするという、これまた変わった方法を取りました。これは縞ノイズを回避したいという要請からです。でもガイドする手間は省きたくて、最初はSharpCapを使ってかなり苦労して実現しました。その後、NINAでも同様にガイド無しディザーができることがわかり、ある程度システムとしては完成しました。軽くて300mm程度の短焦点鏡筒は、もうこのシステムで手軽に撮影するので十分です。


画像処理関連

画像処理でも、全く新しいこと、あまり知られていなかったことをいくつか取り上げています。縞ノイズの原因の一つが、暗い中で撮ったノイジーなフラットファイルであることを突き止めたり、BXTとDrizzleを併用すると更にBXTの効果が引き出されることや、ビニングについての解説などです。他にも、PCC時代にセンサー間の応答の違いの問題を指摘していて、今のSPCCのようなものが必要だと予言していますが、本当に思ったより早くSPCCで実現されたのはビックリでした。彗星の画像処理ではLarson-Secaninaフィルター原理の説明もしていて、核の回転がよく出ている画像を示しています。

上のことはTips記事にも書いてありますが、画像処理では各々記事で毎回色々議論しています。細かいことが多すぎて探りきれないので、またいい記事に気づいたらTips記事に追加していきます。例えば、LRGB合成に関する議論なんかは面白いと思います。LRGB合成はノンリニアで処理すべきという意見なのですが、私としてはまだ完全に納得できていません。


その他、細かいアイデアなど

まだまだこのブログで提案してきたアイデアなどはたくさんあります。個々それぞれの記事は基本的に「何か新しくあったこと」を書くようにしているので、細かいテクニックなどは普段のブログの記事に埋もれていることも多いです。細かいことを全部挙げるとかなり多いので、最初に述べたように別途記事にTipsとしてまとめました。本記事と多少重なることもあるかと思いますが、これまでの10年に限らず、新たに出てきたことも追加していこうと思っていて、今後リファレンス的に参照してもらえれば嬉しいかなと思います。




まとめ

こうして振り返ってみると、10年間で一貫していたのは、流行りの機材を紹介することではなく、実際に試し、測り、考え、失敗も含めて公開することだったのかもしれません。今後も同じように、まだ誰もきちんと整理していないこと、自分で納得できていないことを、一つずつ試して記事にしていければと思います。

「ほしぞloveログ」で記事にした、役に立つテクニックや面白いアイデア、小ネタなどをまとめておきます。参考になったと思ったら、コメントに感想を書いて頂けると嬉しいです。

各項目を5つの星の数 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)で自己評価していますが、星の数は、実用性、独自性、今でも参照する価値、反響の大きさなどを総合して付けています 。あくまで自己評価です。

今後も新しいことが出てきたら、随時追加していく予定です。


見え方、ノイズ関連など

汎用0.5倍レデューサについて (⭐︎):
最初期の2016年10月頃に書いた光学機材的な話の一つで、なぜ0.5倍がいつも成り立つかについて書きました。その後、2020年1月にその適用範囲についてを記事にしています。

望遠鏡で星の数が多くなる理由 (⭐︎):
最初期の2016年11月、いろいろ考え始めた時期の記事です。なぜ望遠鏡で見ると星の数が増えるかを考えています。同じ記事内に、なぜ望遠鏡で昼間に星が見えるかの理由も書いています。

ノイズについて基本的なこと 
(⭐︎⭐︎⭐︎):
星を初めて半年ちょいの2017年1月、かなり初期の頃にノイズについて定性的に書きました。この頃はまだたいしたことは書いていないのですが、基本は押さえていると思います。その後、2017年12月に定式化した記事を書いています。この式はいまだに参照されることが多いです。ここら辺から凝った記事が多くなってきました。

カメラスペックの見方(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
CMOSカメラの性能評価については当初から販売店のカメラの仕様のページに掲載されていましたが、読み方の説明は一切なく、販売店の方でもきちんと理解されていなかったと思います。ASI294MCを例に、2017年12月にCMOSカメラ特性グラフの読み方を解説したのは、少なくとも当時のアマチュア天文で日本語でここまで具体的に解説した例はあまり見当たらなかったと思います。その後、EOS6Dでも同様の解説をしています。




ノイズの測定方法 (⭐︎⭐︎⭐︎):
ノイズを実際に測定する方法です。普段はSharpCapでセンサーを解析する際にノイズも測定していて、メーカー値と同様の値を得ていますが、PixInsightを使って独立に読み出しノイズを測定して、一致することを確認しています。PixInsightを使わない方法を、Pyhtonか何かで書いてしまった方がいいかもしれません。いつかやります。


ノイズについての議論 (⭐︎⭐︎⭐︎):
2020年10月ノイズについて、みなさんと議論した時の記事です。この頃から結構真剣に考え始めています。今読み返しても、結構考えさせられ、いまだに参考になります。

ダークフレームは何枚必要か? (⭐︎⭐︎⭐︎):
初期の2017年11月にダークフレームが何枚必要かを議論しています。その後、かなり経って2024年3月にもう少し詳しい計算をしていて、2024年8月に更にその計算よりもう少し枚数が少なくていいことを示しています。後者はちょっとアドバンストな内容になっていますが、実用上とても大切な話です。


ノイズの定式化 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
2023年3月からの一連の記事で、各種ノイズを定式化しています。
  1. 最初の記事(その1)で、評価しにくい背景光からくるショットノイズについて定量的に見積もっているのはかなり画期的だったのかと思います。
  2. (その2)では、明るさに応じた適切な露光時間を選ぶという戦略を立てることを提案しています。
  3. ノイズだけでなく、(その3)では信号まで計算してS/Nを数値的に出しています。
  4. 具体的な例として、(その4)でいくつかの場所での明るさの違いで比較しています。
  5. (その5)でダークノイズについての定式化
  6. (その6)でバイアスノイズの定式化と、バイアスファイルの必要性について議論し、PixInsightなどでデフォルトのバイアスファイルはダークファイルに含まれるので必要ないということを、数式上で証明しています。
これらの記事は、ある意味このブログの集大成のようなものでかなり力を入れたのですが、複雑すぎるのか一部の人を除き反応がイマイチでした。でも私のライフワークみたいなものなので、今後も機会があれば続けます。







惑星撮影の分解能の限界 (⭐︎⭐︎):
2018年5月にハッブルの木星の画像を使って、ドーズ限界と、それが破れるのかどうかを議論しています。これはその後、2019年8月にカメラの分解能の議論に繋がり、2026年の太陽粒状斑画像でも議論されて、眼視で恒星という点での評価のドーズ限界やレイリー限界と、CMOSカメラで面を見た場合で違うことが議論されています。




大気分散による色ずれ(⭐︎⭐︎⭐︎):
大気分散でどれくらい赤と青がズレて見えるか計算しています。エクセルの表もアップしてあるので、使いやすいかと思います。

眼視で色つきの星雲 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
あえて明順応させることで星雲に色がつくことを実感しました。電視観望と合わせて楽しめる眼視の楽しみ方です。この記事の後、星まつりなどであえて明順応するのがはやったみたいです。

星座ビノ (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
星座ビノの見え方の評価記事(123)は、今でも人気のある記事です。


機材について

赤道儀の基本的なセッティング (⭐︎⭐︎):
赤道儀を使う時に一般的に気をつけることを書いています。自分でやっていて気づいたことのまとめです。この時期から、基本がいかに大切かを説く記事が出始めています。

カメラの回転角を夜を待たずに合わせる方法 (⭐︎⭐︎⭐︎):
2022年の比較的新しい記事です。追加機材なしで、SharpCapの画面を見てカメラの回転角を精度よく合わせる方法です。昼間でも合わせることができます。

赤道儀設置の時間短縮 (⭐︎⭐︎⭐︎):
プレートソルブを利用した省略したアラインメント方法や、SharpCapの極軸調整を使うことで赤道儀の水平を取らずにセットアップする方法です。意外に時間が短縮できて便利で、いつも使っている方法です。


極軸のズレで追尾はどれくらいズレるか? (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
2017年3月の記事で、初期の頃の傑作記事かと思っています。極軸をどのくらいの精度で合わせたら、追尾はどれくらいの時間でどれくらいズレるのかを、面倒な計算なしで簡単に見積もる方法です。

その他数値見積もりシリーズ (⭐︎⭐︎):
上記シリーズですが、他にも鏡筒の揺れの大きさと、画角でどれくらい揺れるかの変換や、覚えておくと便利な数値集などがありますが、上の見積りが最も実用的かと思います。

振動解析について (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
2019年の夏に前半後半に分けて書いた記事です。初期の頃に、かなり気合を入れて書いた記事です。その後、2020年7月のZEROや、2020年10月の迷人会の自由微動雲台の振動解析につながる、一連の重要な記事です。

たわみの見積もり (⭐︎⭐︎⭐︎):
赤道儀の赤経を90度回した時に、機材がどれくらい撓むのかを、見ているカメラのピクセル単位で何ピクセルくらいズレるかで、ラフに見積もる方法です。SharpCapの極軸調整機能を利用しています。

システマティック化三脚 (⭐︎⭐︎):
中古で買ったエレベーター式のGitzoの三脚をシステマティック化して安定度増し増しにした記事です。Gitzoは心から信頼できる三脚で、揺らしてもピクッともしません。この改造した三脚はいまだに現役で、最も稼働率が高い器材の一つです。

Advanced VXの分解 (⭐︎⭐︎):
最初の赤道儀のAVXは、妻の車にぶつけられ一度大破し、その後自分で修理するなど、分解レベルで磨いたり、ガタ取りを赤経体でしたり、赤緯体でしたり、じっくり付き合いました。


CGEM IIの発振防止 (⭐︎⭐︎⭐︎):
AVXの次に手に入れた赤道儀ですが、ガイド中に発振してしまうことがあります。制御のしくみから、どう解決すればいいかの例を示しています。

SWAgTi (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
高精度低機能赤道儀SWATと、高性能低精度赤道儀AZ-GTiを組み合わせて、両方のいいところだけを使う高精度高機能の赤道儀を組んでみました。オートガイドなしでの追尾でも十分に精度が出るのが特徴で、SWAgTiと名付けました。


ガイドの設定の煩わしさをすべて無くしたのですが、縞ノイズ対策に「ディザーだけはする」という手法です。最初はSharpCapを使って実現しました。


そのうちに、NINAでもガイドなしディザーを実現できることがわかり、システムとしてはある程度完成しました。


ケーブル一本のプレートソルブ (⭐︎⭐︎):
AZ-GTiやトラバースを電池駆動で動作させると、ケーブルはカメラとPCを繋ぐ一本だけになります。かなりシンプルで、かつプレートソルブまでできるという記事です。今でこそスマート望遠鏡もあるので当たり前かもしれませんが、当初は反響が大きかったです。


ガイド鏡の強固な固定 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
ガイド鏡の固定が甘いと長時間撮影で赤道儀が動いていくと、たわみで位置が徐々にズレていきます。どう固定したらいいかの一例を示しています。

アルカスイス互換プレートの利用例 (⭐︎⭐︎⭐︎):
ほとんど全ての鏡筒の上部に、長めのアルカスイス互換プレートをつけています。持ち手と、ファインダーやガイド鏡などの固定に使います。安価で、強固に固定でき、簡単に取り外しできるので、とても便利です。

小ネタ集 (⭐︎⭐︎):
上記2つのアイデアのほかに、揺れを起こさない考え方、暗い電球、テーブルの活用、椅子の選び方、小型PCの使用、SharpCapを利用した極軸調整、初期アラインメントでの簡略化、水平とりの重要性、ピント合わせの実操作方法など、小ネタについて書いています。

その他小ネタ (⭐︎⭐︎):
各種接続アダプターのネジ規格と整理方法についてや、一眼レフカメラを使うときに便利な小ネタ集赤道儀の小ネタも少しあります。



画像処理

縞ノイズの原因 (⭐︎⭐︎⭐︎):
縞ノイズのひとつの原因と思われるものを特定しています。フラット画像の光量が十分でない場合、フラット画像自身がノイジーで、それがスタック時ライト画像を重ねていくときの一方向のずれで、線のようなノイズが出てしまいます。3本立ての記事になっています。


BXTにDrizzleを併用する (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
BXTとDrizzleを併用するアイデアです。最近はある程度一般的になってきましたが、当時はまだ誰も試したことがなかったです。BXTはなかり強力で、BXTそのものにはまだ分解能を上げる余地があるのに、画像の縦横の画素数という意味での解像度が足りていないので、Drizzleで解像度を上げてやるとBXTの引き出しきれていない能力を使い切ってやるというアイデアです。BXT単体よりも、Drizzle単体よりも分解能が上がります。


Software binning使用の推奨 (⭐︎⭐︎) :
上と関連してですが、カメラのbinningについて検討しています。software binningはhardware binningに比べて不利になると言われていますが、それは読み出しノイズで制限されている限られた場合だけなので、そうでなければどんどんsoftware binningを使ってもいいですよというお話です。bin2で撮影して、2倍のdrizzleをかけて、BXTをかけるのが、ファイル容量、処理時の負荷などを考えると、かえって有利になったりもします。具体的に検証もしています。



Larson-Secaninaフィルターの原理 (⭐︎⭐︎⭐︎) :
彗星の画像処理でLarson-Secaninaフィルターを適用して、角の回転をよく見えるようにしてみました。このフィルターはアマチュア天文でもそれまでもよく利用されていたのですが、原理の説明とともにどう使えばいいかを載せておきました。


NINAのオーバーシュートの片側設定(⭐︎⭐︎) :
NINAのEAFのオーバーシュート設定でうまくいかなくて、散々検索してもどこにも解決策が載っていなくて、でも実はマニュアルにちゃんと書いてあったという間抜けな記事です。解決策は片側にのみオーバーシュートのバックラッシュを適用するというものでしたが、その後この解決策は普通に広まったようです。



太陽関連

PSTの分解 (⭐︎⭐︎⭐︎):
2018年2月、PSTを手に入れてわずか3日目にPSTの中身を見せていろいろ解説しています。その後すぐにBF部を分解し、最後、エタロン本体が取り出せるまで分解しています。強力な溶剤をうまく使うことで分解できることを示しています。

エタロンの解説 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
2018年4月、エタロンの原理みたいなものを簡単に解説しています。定式化はしばらくして2020年6月に記事にしています。

口径8cm鏡筒にPSTを繋ぐ (⭐︎⭐︎):
2018年3月にPST大口径化の一番最初のテストと、その後2025年4月に再び試しています。

口径20cmのC8にPSTを繋ぐ (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
ERFがわりにUV/IRフィルターを使って大口径20cmのC8にPSTを接続した記事です。以前に一度熱でフィルターを割っているので、しばらく開発が止まっていて、やっとブレークスルーとなりました。これ以降は分解能が格段に上がっていますが、まだしばらくはシーイングに悩まされます。シーイングを確実に解決することができるようになったのは下の記事からです。


いいシーイングの探し方 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
太陽撮影におけるいいシーイングの探り方を説明しています。C8+PSTヘリオスター100Hα、TSA120+Phoenixで試しています。


太陽画像でのフラット撮影の重要性 (⭐︎⭐︎⭐︎):
太陽撮影の一連の手順を説明しています。特に、フラット補正は実はかなり重要で、細かい模様を出すことにもつながります。


Phoenixエタロンの中心周波数の調整 (⭐︎⭐︎):
Phoenixでエタロンのつまみをいっぱいまで回しても、Hαの中心まで届かないことがあります。そんな時はマイナスドライバー一本で調整することができます。


Phoenixの大口径化 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
2026年からPhoenixの大口径化に挑戦しています。まとめ記事にしてあるので連続で読んでみてください。



分光:
SHG700での分光撮影の一連のまとめ記事です。あまり詳しい解説記事がないと思うので、基本から応用まで、参考になるかと思います。


その中で、いくつか重要なものをピックアップしておきます。

分光器の調整方法 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
SHG700は3つの自由度があるのですが、どこをどれくらいの精度で調整すればいいかという話は、実はほとんどどこにも解説されていません。手順とともに何度か、気付いたたびに詳細に解説しています。
  1. フラウンホーファー線でカメラレンズの位置を合わせる
  2. 購入直後はできるだけ触らない
  3. 波長を変えた時の一連の手順
  4. ミスしやすいところ、スリットの端部を見ることを忘れない

半値幅と見え方の関係 (⭐︎⭐︎⭐︎):
PSTとフェニックスの撮影画像に加え、参考で研究レベルのSMARTの画像を、それぞれの半値幅と関連づけて評価しています。

ジェットのドップラーシフト (⭐︎⭐︎⭐︎):
ジェットを波長ごとにみると吹き上がりと吹き下がりで見え方が全然違うことがわかります。


コロナを見る (⭐︎⭐︎⭐︎):
太陽表面のコロナの構造を、He D3線から推測する方法です。


太陽分光撮影の性能アップ (⭐︎⭐︎):
分光撮影の性能を数値的に評価する方法です。


波長のキャリブレーション (⭐︎⭐︎⭐︎):
エタロンの特性評価で、基準となる波長のキャリブレーションをフラウンホーファー線を使ってする話です。



分光器でエタロンの特性を測る (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
PSTとフェニックス、ヘリオスター100Hαのエタロンの特性を測定しています。絶対値はまだずれがある可能性がありますが、測定方法は全部同じなので、相対的にどれくらいの性能差があるかはかなり正確に測定できているかと思います。





いいエタロンの見分け方 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
太陽Hαの撮影画像からいい半値幅のエタロンの目安がわかることを説明しています。その際見える白いモヤモヤについて解説しています。


太陽黒点の3分間振動の撮影とその解説 (⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎):
アマチュア天文ではほとんど例のない太陽黒点の振動を撮影することができました。




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