今回はとうとうフェニックスのエタロンを利用して鏡筒部分の大口径化に挑戦します。まずはその第一歩です。
最初に、とても重要なことです:
太陽望遠鏡の改造は危険を伴います。失明や火事など、重大な事故を起こす可能性があります。もし試す場合は、くれぐれも安全には気をつけて、自己責任の範囲内で進めるようにしてください。この記事を見て試してみて何か起きたとしても、私は何の責任も取ることができません。
今回の挑戦で一つ重要なことは、フェニックス自身には直接には何の改造もしていないことです。フェニックスにレンズを取り付けていますが、そのレンズを外して再び単独で使用する分には完全に元の状態と変わりません。メーカー出荷時と同じ状態なので、安全の観点からも安心できます。
ただし、もともとフェニックスはエタロンと接眼部のBFやERFを取り外せる構造になっています。外した状態で太陽を見てしまう危険もあるので、太陽を見る際はエタロンがついていることと、太陽用の接眼部になっていることを、「指差し確認」するくらいのレベルで、必ず毎回確認するのがいいでしょう。
これまで、口径20cmのC8と、PSTのエタロンを用いて、大口径望遠鏡でどこまで太陽のHα画像の分解能が出るかを試してきました
自分的には大成功で、PST単体からは考えられないような高分解の太陽のHα線周りの様子を観察することができました。でもPSTのエタロンにはやはり不満があって、
それでももしかしたら、PSTエタロンのコントラストが悪いだけなら、ストレッチ時に輝度のオフセットを除くことでコントラストを改善することができるのではと、淡い期待を持っていました。最後にまだPSTエタロンを使い続けようとあがこうともしましたが、分光撮影の評価から、Hαの中心波長からズレると像自体が変わってしまうということがはっきりわかったので、とうとうフェニックスを購入して、エタロン交換の準備を着々と進めてきました。
最初の計画では、フェニックスのエタロン部分を外して前後にレンズをつけて、その後距離を稼ぐための筒を適当に取り付けようとか思っていました。でも、色々考えていくと、エタロンが鏡筒前部にすでに確実に取り付けれらていて、その後ろのレンズ系と筒、BFとERFはすでにフェニックスとして完成してるんですよね。そのことに気づいてからは、別途大口径鏡筒の後ろにフェニックスをそのまま配置し、エタロンに平行光を入射させるためにフェニックス前にレンズを取り付ける方向を模索し始めました。世界でも同様の考えに達する人が何人かいたようで、それを見て、あーやっぱりこうなるのかと納得しました。
次に検討したことは、どうやってフェニックスと大口径鏡筒を接続するかと、エタロン前のレンズをどうやって取り付けるかでした。最初は接続アダプターのようなものを3Dプリンタで作ることを考えていて、3Dプリンタそのものは年末に発注し、正月には届いていました。でも、いざ鏡筒同士を接続する段階になって、強度的に大丈夫かどうか不安になってきました。仮に強度的に大丈夫だとしても、相当大きな部品を作ることになりそうですし、取り付け精度と、取り付けた後にぐらつかないかなどの安定性も不安です。
結局、鏡筒の接続は金属ベースにした方がいいことと、できるだけ特殊部品は作らずに一般に入手できるものがいいと考えるようになりました。結果として使ったのは、モノタローで手に入るアルミフレームです。強度的にも十分で、重量的にも重くなく、専用のはめ込みナットで強固に固定でき、しかも簡単に組み換えられるなど、汎用性も十分です。
アルミフレームは各種ありますが、金額ベースで決めて、一番安価なSUS社のものにしました。40x40mmの太さなので、撓みとかもほとんどなく強度的には十分でしょう。長さは無理に細かい長さにせず、当日出荷のキリのいい800mmにしました。端部につけるキャップとか、固定用ナットをM6とM4で、後からレールに傾けてはめ込むことができるナットもいくつか買っておきました。
実際にアルミフレームを組み上げてみました。といっても、鏡筒を固定するための手持ちのアルカスイスタイプ互換のクランプを取り付けるだけです。赤道儀側はVixen規格のアリガタにしました。強度的に不足そうなら、Losmandy規格のプレートが一枚余っているので、そちらに載せ替えるかもしれません。
接続する鏡筒は手持ちの口径10cm 焦点距離1000mmの国際光器のMAZELLAN 102を使うことにしました。ここにアルカスイス互換のプレートを取り付けます。同じくフェニックスにもルカスイス互換のプレートを取り付けます。問題は、2本の鏡筒の外径が違うので、高さが合わないことです。そのため、フェニックス側に底上げのプレートを一枚追加しました。
実際にアルミフレームに鏡筒2つを載せてみて分かったのですが、意外に2本の鏡筒の中心を合わせるのが大変でした。高さ方向もそうですが、横方向の傾き調整がアルカスイスタイプ互換のクランプの取り付け時の遊びで決まってしまいます。その一方、水平方向に関してはアルミフレームがで水平面がきちんと出ているので、それほど問題にはならなさそうです。
肝心のレンズですが、とりあえずテストということでテープで止めるだけにしました。うまくいったら3Dプリンタで取り付けアダプターを作ろうと思います。レンズはPSTと同じ焦点距離-200mmの凹レンズにしました。Amazonで売っている安いレンズで、これで問題ないかどうかはテストしてみないとわかりません。光量を落とすために、レンズの後ろにUV/IRカットフィルターを入れました。エタロンに入る熱をカットして保護するためです。
準備ができたので、外に出て実際に太陽方向に向けて、どうなるかを試します。熱で溶けたり燃えたりしないように、最初は少しだけ光を入れて、光が当たっている場所に手を置いてそれぞれの機材が熱くなっていないかなどを確かめながら、少しづつ光量を増やしていきます。
レンズは透過、UV/IRカットフィルターは反射、エタロンも共振する光以外は反射なので、基本的に吸収はないはずなので熱くなるようなことはないと思うのですが、念のために一つづつ確認しながら進めました。接眼部のところまで光が来ていて、かつ十分減光されているこをと確認し、カメラに光を入れます。
これでやっと、SharpCapでカメラの像を見ることができます。両鏡筒がピントが合う範囲にあるかどうかもわからないので、まずは2つの鏡筒をそれらしい位置にセットして画面を見てみます。まあ当たり前ですが、最初は全くピントは合わなくて、明るくなるので太陽が入っているのがわかる程度です。
何箇所かMazallanの位置を移動してみて、それぞれの位置でフェニックスのフォーカサーを前後に目一杯動かして見ると、ある程度傾向がわかってきました。少なくともピントが出る範囲はありそうです。
ここで問題になってくるのが、フェニックスとMazellanの相対的な位置です。どうやって調整したかというと、まずフェニックス単体でピントの出る位置を探り、フォーカサーの位置を固定します。
Mazellanからの光をフェニックスに入れた時に、その固定したフォーカサー位置でピントが出るように、SharpCapの画面を見ながら相対位置を調整します。最後の微調整はフォーカサーでしますが、相対位置はミリメートル単位くらいで合わせる必要があるようです。相対位置が少しずれて、それをフォーカサーで補正しようとすると、フォーカサー位置をかなり大きくずらす必要があります。
実際の撮影時の画面を見てみます。
まず、視野が狭いです。カメラの端で像が暗くなってしまっています。
あと、ピントの山がものすごく見分けにくくて、ピントがきちんと合わないように思えます。でもまだ少し試しただけなので、光学的に何か問題があるのか、それともあまりにシーイングがひどくて合わせにくいのかの切り分けが、まだできていません。
ちなみに、下がフェニックス単体の撮影時の様子です。これでさえもボケボケなので、少なくともかなりシーイングが悪かったことはわかります。
あと、連結した場合とフェニックス単体で比べた場合、エタロンのHα調整の回転つまみの最適位置がかなり変わりました。つまみで調整できる範囲内でしたが、両端に達するような勢いで、エタロンがかなり温められている可能性があります。PSTのエタロンと違い、中央に遮蔽があるタイプなので、エタロンを壊さないように少し気をつけた方がいいかもしれません。
撮影した画像を処理して見てみます。カメラはG3M678M、撮影は8ms露光で、ゲインは800 (=180(ZWOのゲイン) =18dB =8倍)、14時15分に500フレーム撮影して上位100フレームを使っています。処理はごく普通にAS!4でスタックして、ImPPGで細部出しをしました。
昨日の記事でアップしたフェニックス単体の画像を拡大して同じような画角にしたものと比較してみます。左がMazellan+フェニックス、右がフェニックス単体です。
これだけ見ると少なくとも右側の口径4cmのPhoenix単体よりは、左側の口径が10cmの方が分解能がでていて効果があったように見えるので、まずは成功と言えるでしょう。でもこれで大成功かというと、まだまだ程遠いです。
まず、ImPPGでの処理でわかったのですが、完全にオーバーサンプリングです。もしくは、シーイングが悪すぎるのでしょうか?Unsharp maskingのsigmaは通常0.5からせいぜい2なのですが、4とか5という大きな値でやっと模様が出てきました。処理するベースのピクセル数が大きいことを意味していて、カメラピクセルが生きるような細部の処理は意味がないことになります。ボケボケと言っていいのかもしれません。
フェニックス単体で撮影した画像と、連結して撮影した画像を比べて見ると、倍率は2.9倍程度でした。焦点距離400mmが1000mmになったはずなので、2.5になるはずです。少し大きいですが、あからさまに変な倍率ではないでしょう。
と、最初思っていたのですが、多分これ間違いです。1000mmの対物レンズに、対物レンズから800mmの位置に-200mmのレンズを入れ、平行に光を飛ばして、再び200mmのレンズで焦点を結ぶ場合は、トータルの焦点距離が1000mmになるので、倍率は2.5倍になります。でも今回は200mmではなくフェニックスの対物の400mmレンズで焦点を結んでいるわけです。そうするとおそらく1000mm - 200mm + 400mmでトータル1200mmになり、1200/400=3倍程度になるはずです。実測は2.9倍なのでこちらに近いのですが、まだちょっと計算に自信がないです。
少なくとも大成功とは言えないので、その原因を探る必要があります。
まず、今回のはテストでワンショット撮って時間が尽きてしまったので、ボケが機材のせいなのか、シーイングのせいなのかさえ、まだ切り分けができていません。
機材が原因である可能性としては、エタロンの中央遮蔽です。PSTのエタロンは2枚の鏡のみで面内に邪魔なものはありませんが、フェニックスのエタロンは中央に遮蔽があり、入ってくる平行光の中央部分がブロックされてしまいます。ピントが出にくかったり、ボケボケになったのはこの中央遮蔽が原因かもしれません。
もし中央遮蔽が問題だとすると、今回は-200mmの凹レンズを対物レンズから800mmのところに入れる設計のために、エタロン上のビーム径は20mm程度になり、径があまり大きくならないということは、かなり深刻な問題でしょう。エタロンの有効径が40mmあるので、もう少し緩いレンズにしてビーム径を大きくしてもいいのかもしれません。
この観点から考えると、
UV/IRフィルターはレンズ手前に入れた方がいい気がします。レンズまでは温められているので、熱レンズ効果などで焦点距離そのものがズレたり、不安定になってボケボケに可能性があることに後から気づきました。本当は、2インチのHαフィルターがあると、エタロン前に取り付けることができていいのですが、撮影用に使っているものしかないので、必要なら透過幅が広くてもいいので安価なものを手に入れようと思います。星まつりで探すことになるかもしれません。
まだまだたくさんやることはありますが、次回テストできそうなのは、ゴールデンウィークの最後の方です。前半は少し忙しいのと、天気も悪そうです。それまでに他にも改善案がないか、もう少し考えてみます。
長年温めてきた、エタロンアップグレード計画がとうとう進み始めました。まだ今回はテスト段階で、大成功とは言えませんが、少なくとも4cmの分解能よりはよく見えたので手応えを感じています。
太陽は一歩間違えると大変危険なのですが、Phoenix自体が無改造というのもいいです。どこまで行けるかわかりませんが、口径20cmの性能を出し切れるところまで持っていけたらと思っています。
エタロンに目処がついたら、いつか30cmに挑戦したいのですが、これはまだまだ先になりそうです。
最初に、とても重要なことです:
太陽望遠鏡の改造は危険を伴います。失明や火事など、重大な事故を起こす可能性があります。もし試す場合は、くれぐれも安全には気をつけて、自己責任の範囲内で進めるようにしてください。この記事を見て試してみて何か起きたとしても、私は何の責任も取ることができません。
今回の挑戦で一つ重要なことは、フェニックス自身には直接には何の改造もしていないことです。フェニックスにレンズを取り付けていますが、そのレンズを外して再び単独で使用する分には完全に元の状態と変わりません。メーカー出荷時と同じ状態なので、安全の観点からも安心できます。
ただし、もともとフェニックスはエタロンと接眼部のBFやERFを取り外せる構造になっています。外した状態で太陽を見てしまう危険もあるので、太陽を見る際はエタロンがついていることと、太陽用の接眼部になっていることを、「指差し確認」するくらいのレベルで、必ず毎回確認するのがいいでしょう。
これまでの試み
これまで、口径20cmのC8と、PSTのエタロンを用いて、大口径望遠鏡でどこまで太陽のHα画像の分解能が出るかを試してきました
自分的には大成功で、PST単体からは考えられないような高分解の太陽のHα線周りの様子を観察することができました。でもPSTのエタロンにはやはり不満があって、
- 半値幅が広いこと。これはのちにSHG700で分光してFWHMを測定することにより、定量的にはっきりしました。隣のピークの漏れ光もあることがわかり、コントラスト的に不利なこともはっきりしました。
- 視野にHαのよく見える範囲にばらつきがあること。
- 視野が狭い。
それでももしかしたら、PSTエタロンのコントラストが悪いだけなら、ストレッチ時に輝度のオフセットを除くことでコントラストを改善することができるのではと、淡い期待を持っていました。最後にまだPSTエタロンを使い続けようとあがこうともしましたが、分光撮影の評価から、Hαの中心波長からズレると像自体が変わってしまうということがはっきりわかったので、とうとうフェニックスを購入して、エタロン交換の準備を着々と進めてきました。
概要設計
最初の計画では、フェニックスのエタロン部分を外して前後にレンズをつけて、その後距離を稼ぐための筒を適当に取り付けようとか思っていました。でも、色々考えていくと、エタロンが鏡筒前部にすでに確実に取り付けれらていて、その後ろのレンズ系と筒、BFとERFはすでにフェニックスとして完成してるんですよね。そのことに気づいてからは、別途大口径鏡筒の後ろにフェニックスをそのまま配置し、エタロンに平行光を入射させるためにフェニックス前にレンズを取り付ける方向を模索し始めました。世界でも同様の考えに達する人が何人かいたようで、それを見て、あーやっぱりこうなるのかと納得しました。
次に検討したことは、どうやってフェニックスと大口径鏡筒を接続するかと、エタロン前のレンズをどうやって取り付けるかでした。最初は接続アダプターのようなものを3Dプリンタで作ることを考えていて、3Dプリンタそのものは年末に発注し、正月には届いていました。でも、いざ鏡筒同士を接続する段階になって、強度的に大丈夫かどうか不安になってきました。仮に強度的に大丈夫だとしても、相当大きな部品を作ることになりそうですし、取り付け精度と、取り付けた後にぐらつかないかなどの安定性も不安です。
結局、鏡筒の接続は金属ベースにした方がいいことと、できるだけ特殊部品は作らずに一般に入手できるものがいいと考えるようになりました。結果として使ったのは、モノタローで手に入るアルミフレームです。強度的にも十分で、重量的にも重くなく、専用のはめ込みナットで強固に固定でき、しかも簡単に組み換えられるなど、汎用性も十分です。
アルミフレームは各種ありますが、金額ベースで決めて、一番安価なSUS社のものにしました。40x40mmの太さなので、撓みとかもほとんどなく強度的には十分でしょう。長さは無理に細かい長さにせず、当日出荷のキリのいい800mmにしました。端部につけるキャップとか、固定用ナットをM6とM4で、後からレールに傾けてはめ込むことができるナットもいくつか買っておきました。
組み立て
実際にアルミフレームを組み上げてみました。といっても、鏡筒を固定するための手持ちのアルカスイスタイプ互換のクランプを取り付けるだけです。赤道儀側はVixen規格のアリガタにしました。強度的に不足そうなら、Losmandy規格のプレートが一枚余っているので、そちらに載せ替えるかもしれません。
接続する鏡筒は手持ちの口径10cm 焦点距離1000mmの国際光器のMAZELLAN 102を使うことにしました。ここにアルカスイス互換のプレートを取り付けます。同じくフェニックスにもルカスイス互換のプレートを取り付けます。問題は、2本の鏡筒の外径が違うので、高さが合わないことです。そのため、フェニックス側に底上げのプレートを一枚追加しました。
実際にアルミフレームに鏡筒2つを載せてみて分かったのですが、意外に2本の鏡筒の中心を合わせるのが大変でした。高さ方向もそうですが、横方向の傾き調整がアルカスイスタイプ互換のクランプの取り付け時の遊びで決まってしまいます。その一方、水平方向に関してはアルミフレームがで水平面がきちんと出ているので、それほど問題にはならなさそうです。
肝心のレンズですが、とりあえずテストということでテープで止めるだけにしました。うまくいったら3Dプリンタで取り付けアダプターを作ろうと思います。レンズはPSTと同じ焦点距離-200mmの凹レンズにしました。Amazonで売っている安いレンズで、これで問題ないかどうかはテストしてみないとわかりません。光量を落とすために、レンズの後ろにUV/IRカットフィルターを入れました。エタロンに入る熱をカットして保護するためです。
実際に太陽を導入してみる
準備ができたので、外に出て実際に太陽方向に向けて、どうなるかを試します。熱で溶けたり燃えたりしないように、最初は少しだけ光を入れて、光が当たっている場所に手を置いてそれぞれの機材が熱くなっていないかなどを確かめながら、少しづつ光量を増やしていきます。
レンズは透過、UV/IRカットフィルターは反射、エタロンも共振する光以外は反射なので、基本的に吸収はないはずなので熱くなるようなことはないと思うのですが、念のために一つづつ確認しながら進めました。接眼部のところまで光が来ていて、かつ十分減光されているこをと確認し、カメラに光を入れます。
これでやっと、SharpCapでカメラの像を見ることができます。両鏡筒がピントが合う範囲にあるかどうかもわからないので、まずは2つの鏡筒をそれらしい位置にセットして画面を見てみます。まあ当たり前ですが、最初は全くピントは合わなくて、明るくなるので太陽が入っているのがわかる程度です。
何箇所かMazallanの位置を移動してみて、それぞれの位置でフェニックスのフォーカサーを前後に目一杯動かして見ると、ある程度傾向がわかってきました。少なくともピントが出る範囲はありそうです。
ここで問題になってくるのが、フェニックスとMazellanの相対的な位置です。どうやって調整したかというと、まずフェニックス単体でピントの出る位置を探り、フォーカサーの位置を固定します。
Mazellanからの光をフェニックスに入れた時に、その固定したフォーカサー位置でピントが出るように、SharpCapの画面を見ながら相対位置を調整します。最後の微調整はフォーカサーでしますが、相対位置はミリメートル単位くらいで合わせる必要があるようです。相対位置が少しずれて、それをフォーカサーで補正しようとすると、フォーカサー位置をかなり大きくずらす必要があります。
実際の撮影時の画面を見てみます。
まず、視野が狭いです。カメラの端で像が暗くなってしまっています。
あと、ピントの山がものすごく見分けにくくて、ピントがきちんと合わないように思えます。でもまだ少し試しただけなので、光学的に何か問題があるのか、それともあまりにシーイングがひどくて合わせにくいのかの切り分けが、まだできていません。
ちなみに、下がフェニックス単体の撮影時の様子です。これでさえもボケボケなので、少なくともかなりシーイングが悪かったことはわかります。
あと、連結した場合とフェニックス単体で比べた場合、エタロンのHα調整の回転つまみの最適位置がかなり変わりました。つまみで調整できる範囲内でしたが、両端に達するような勢いで、エタロンがかなり温められている可能性があります。PSTのエタロンと違い、中央に遮蔽があるタイプなので、エタロンを壊さないように少し気をつけた方がいいかもしれません。
撮影できた画像
撮影した画像を処理して見てみます。カメラはG3M678M、撮影は8ms露光で、ゲインは800 (=180(ZWOのゲイン) =18dB =8倍)、14時15分に500フレーム撮影して上位100フレームを使っています。処理はごく普通にAS!4でスタックして、ImPPGで細部出しをしました。
昨日の記事でアップしたフェニックス単体の画像を拡大して同じような画角にしたものと比較してみます。左がMazellan+フェニックス、右がフェニックス単体です。
これだけ見ると少なくとも右側の口径4cmのPhoenix単体よりは、左側の口径が10cmの方が分解能がでていて効果があったように見えるので、まずは成功と言えるでしょう。でもこれで大成功かというと、まだまだ程遠いです。
まず、ImPPGでの処理でわかったのですが、完全にオーバーサンプリングです。もしくは、シーイングが悪すぎるのでしょうか?Unsharp maskingのsigmaは通常0.5からせいぜい2なのですが、4とか5という大きな値でやっと模様が出てきました。処理するベースのピクセル数が大きいことを意味していて、カメラピクセルが生きるような細部の処理は意味がないことになります。ボケボケと言っていいのかもしれません。
焦点距離1000mmをくっつけた時の倍率
フェニックス単体で撮影した画像と、連結して撮影した画像を比べて見ると、倍率は2.9倍程度でした。焦点距離400mmが1000mmになったはずなので、2.5になるはずです。少し大きいですが、あからさまに変な倍率ではないでしょう。
と、最初思っていたのですが、多分これ間違いです。1000mmの対物レンズに、対物レンズから800mmの位置に-200mmのレンズを入れ、平行に光を飛ばして、再び200mmのレンズで焦点を結ぶ場合は、トータルの焦点距離が1000mmになるので、倍率は2.5倍になります。でも今回は200mmではなくフェニックスの対物の400mmレンズで焦点を結んでいるわけです。そうするとおそらく1000mm - 200mm + 400mmでトータル1200mmになり、1200/400=3倍程度になるはずです。実測は2.9倍なのでこちらに近いのですが、まだちょっと計算に自信がないです。
なぜボケボケなのか?
少なくとも大成功とは言えないので、その原因を探る必要があります。
まず、今回のはテストでワンショット撮って時間が尽きてしまったので、ボケが機材のせいなのか、シーイングのせいなのかさえ、まだ切り分けができていません。
機材が原因である可能性としては、エタロンの中央遮蔽です。PSTのエタロンは2枚の鏡のみで面内に邪魔なものはありませんが、フェニックスのエタロンは中央に遮蔽があり、入ってくる平行光の中央部分がブロックされてしまいます。ピントが出にくかったり、ボケボケになったのはこの中央遮蔽が原因かもしれません。
もし中央遮蔽が問題だとすると、今回は-200mmの凹レンズを対物レンズから800mmのところに入れる設計のために、エタロン上のビーム径は20mm程度になり、径があまり大きくならないということは、かなり深刻な問題でしょう。エタロンの有効径が40mmあるので、もう少し緩いレンズにしてビーム径を大きくしてもいいのかもしれません。
この観点から考えると、
- 手持ちの口径8cmの焦点距離400mmの鏡筒で試すと、今の-200mm凹レンズでビーム径が40mmになるので、まずはこちらから試した方がよかったのかもしれません。
- もしくは、焦点距離900mmのTSA-120だとビーム径が27mm程度になるので、これでもましかもしれません。
- 一方C8だと、焦点位置の移動範囲は結構大きく、実行焦点距離も1900mmから2100mm程度になるのですが、それでもエタロン上のビーム径は20mmから大きくは変わらないはずです。凹レンズの焦点距離をもう少し負側に伸ばすか、もしくは大口径でも、もう少しF値の低い鏡筒を考えるべきかもしれません。
その他改善案
UV/IRフィルターはレンズ手前に入れた方がいい気がします。レンズまでは温められているので、熱レンズ効果などで焦点距離そのものがズレたり、不安定になってボケボケに可能性があることに後から気づきました。本当は、2インチのHαフィルターがあると、エタロン前に取り付けることができていいのですが、撮影用に使っているものしかないので、必要なら透過幅が広くてもいいので安価なものを手に入れようと思います。星まつりで探すことになるかもしれません。
まだまだたくさんやることはありますが、次回テストできそうなのは、ゴールデンウィークの最後の方です。前半は少し忙しいのと、天気も悪そうです。それまでに他にも改善案がないか、もう少し考えてみます。
まとめ
長年温めてきた、エタロンアップグレード計画がとうとう進み始めました。まだ今回はテスト段階で、大成功とは言えませんが、少なくとも4cmの分解能よりはよく見えたので手応えを感じています。
太陽は一歩間違えると大変危険なのですが、Phoenix自体が無改造というのもいいです。どこまで行けるかわかりませんが、口径20cmの性能を出し切れるところまで持っていけたらと思っています。
エタロンに目処がついたら、いつか30cmに挑戦したいのですが、これはまだまだ先になりそうです。

























