ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2025年01月

網状星雲は今回で4度目の挑戦になります。2020年8月にFS60CB+EOS 6DでフィルターにCBPを使って初撮り、2021年10月には同じセットアップでフィルターをDBPにして、2023年5月にはε130D+ASI6200MM ProのテストとしてナローのAOOで撮影しています。だいたい1年半おきくらいでしょうか。なんだかんだ言って結構コンスタントに撮っていることになります。






4度目の撮影の目的

3度目はε130Dを買ってすぐでの撮影でした。まだ鏡筒のテスト段階で、HαとOIIIのみのAOOです。撮影時間も十分に取れていませんでしたが、この明るい鏡筒でどこまで出るか試していて、かなり淡いところまで出ていたので、明るさ的には十分な鏡筒だということが確認できました。この時の反省点としてはRGBを撮っていなかったので、恒星の色が赤っぽくなってしまったことでしょうか。あと、ε130Dを含む横側に接眼部が付いている鏡筒一般に出ると思われれる、迷光によるリング上の迷光の跡が残ってしまっていますが、当時はまだテスト開始時で何が原因かも分かってなかったですし、あまり問題視もしていませんでした。

また、既にこの時にも書いていて、今回の撮影のきっかけにもなっていますが、網状星雲の右側がいつも何か暗くなることに気づいています。2020年の最初のCBPの時にも既にその傾向が見えていることも確認ができました。これが分子雲か何かなのか?その正体を暴きたいとずっと思っていました。昨年の夏に、風の民さんが大きなヒントをくれました。


これを見る限り、明らかに分子雲と思われます。ナローバンドフィルターを使っていると出てこないようで、これはブロードで撮らないと出ないのではと思っていたのですが、上記画像もやはりノーフィルターでブロード撮影したとのこと。

これらのことから、今回の目的は、
  1. 恒星をRGBでまともな色にすること
  2. 鏡筒ムラをなくす
  3. 右側にあると思われる、広い範囲に広がる淡い分子雲のようなものを、ブロードで撮影して出す
などとすることにします。


迷走状態の撮影

撮影は長期にわたりました。HαとOIIIに関しては、前回の3度目の撮影の時に、光害地の自宅でもそこそこ出ることはわかったので、そこはあまり時間をかけませんでした。それよりも、右側の淡い分子雲と思われるものがこの自宅から撮影できるかどうか、全然見通しが立たなかったので、むしろRGBの方に撮影時間を割きました。

ε130DでR、G、Bフィルターでそれぞれ別撮りした画像を、RGB合成したものを見てみます。撮影は4日に渡っていて、約6時間分になります。
Image20_org

これで見る限り、分子雲と言えるようなものはほぼ何も見えていないと言っていいでしょう。この画像は4日分ですが、初日に2時間分くらいでRGB合成した時にも全く分子雲が写らず、本当に見通しが立っていませんでした。

それでも分子雲があるはずだという根拠の一つが、R画像でもG画像でもB画像でもいいのですが、スタック後に背景と恒星を分離して、恒星側を見てみると、右側3分の1くらいの領域の星が明らかに暗くなっていることがわかるのです。
star_mask
ここでの推測は、おそらくですが分子雲に遮られてその背景に見える恒星の光が遮られてしまい暗くなっているのではと考えました。過去3度の撮影でも右側の恒星が暗くなる傾向はあったので、たまたまとかではないはずです。

また、F3.3のε130Dではまだ暗いのかと思い、とにかく明るくという方針で手持ちのF1.4のシグマの105mmのレンズと画角をある程度揃えるためにUranus-C Proで撮影してみたのが下の画像です。背景の色の違いがわかるように恒星を分離しています。かろうじて茶色の分子運の濃淡がわかりますが、解像度がイマイチで使えるレベルではないようです。さらにノーフィルターで撮っていたので、やはり網状星雲自身の色さえもあまり出なくて、5時間くらい撮影しましたがお蔵入りとしました。

4144x2822_EXPOSURE_60_00s_RGB_integration_ABE_ABE

その後再びε130Dに戻り、RGB画像の撮影枚数を増やしていって、あるとき105mmレンズで分子雲を見ようとした時みたいに、恒星と背景を分けて背景を見てみたら、何か写るのでは?と気付きました。恒星分離して、ABE、DBE、HGC、GraXpert、マニュアルでの迷光補正など、ありとあらゆることを試しましたが、下の画像くらいが限界でした。
Image16_ABE

それでも網状星雲本体の右上に、少なくとも何か構造が写っているのがわかります。自宅の光害地でもRGBで何か写ることがこの時点でやっとわかりました。但し、ε130Dの迷光で出るリングくらいの淡さのにしか出ていません。これで進めてしまうか、それともRGBはお蔵入りして、AOOだけにするか、その後ずっと迷走していて時間だけが過ぎ、夏から撮影していたはずなのにあっという間に年末近くになってしまいました。


MGCでとうとう進展が!

長い時間をかけて処理をしている間に、PixInsightが2024年12月末に1.8.9から1.9.0に、


そこから程なくして1.9.2までアップデートされました。Lockhartですか...、私はどちらかというとKisaragiの方が...。懐かしいですね。

アップデートの際、WBPPの過去のインスタンスが使うことができなくなってしまいました。正確にいうと、一部使えるものもあるのですが、少なくとも1.8.9で網状星雲の処理に使っていたWBPP設定は内容を確認することもできなくて、全て最初からやり直しとなってしまいました。

WBPPはとりあえず置いておくとして、今回のアップデートで重要なのはとうとうMARSプロジェクトを利用したMGC(Multiscale Gradient Correction)が使えるようになったことです。これまでも背景処理にはシンプルなABEから、DBE、GradientCorrection、PI以外でもGraXpertなど、さまざまなフラット化処理がありました。それでも背景が分子雲で満たされているような場合は、処理によってずいぶん結果に差が出てしまい、何が正しいのか指標となるようなものがほとんどなかったというのが実情でした。MGCはMARSと呼ばれる35mmと135mmレンズで撮影された、全天とはいかないまでもかなり広い範囲の背景データを用いて、分子雲に満たされた背景を広い範囲と矛盾なく強力に補正してくれます。これは特にモザイク合成の接続などにも威力を発揮するようなので、これまで試しても結局仕上げを諦めていたモザイク合成もまた試してみようと思います。

今回の網状星雲でMGCを実際に試したところ、やはり威力はかなりのものです。触ったパラメータはGradient Scaleだけですが、デフォルトの1024から段階的に256まで変えたところで下の画像のように相当な改善が見られました。
Image20

あからさまに右側に分子雲と思われるものがはっきりと出ているのがわかります。これまでのフラット化の処理は画面内で閉じていたので、このように例えば左右で明らかに輝度に差がある背景などはうまく処理する方法がありませんでした。同様のことはこれまで例えばかもめ星雲でもありました。

本当はかもめの頭の上の画面の半分くらいが暗いはずですが、この時はなんとか誤魔化して処理しています。こういったものに使うことができるはずです。


画像処理

それでも、そこからの画像処理は難航を極めました。分子雲に加えて、Hαの赤と、OIIIの青がどこまで淡いところが出るかも一緒に表現したいのです。Hα単体、もしくはOIII単体ならそこそこ出ることがわかります。特にHαに見える、星雲本体を左から上側に取り囲むような淡いリングをなんとか表現したいと思います。
Image118_DBE1

Image91

ちなみにOIIIフィルターですが、これまではBaaderの眼視用のものを使っていてハロが出ていたりしましたが、やっと今回からBaaderの「撮影用」の6.5nm透過のものを使うことになりました。福島の星まつりで買ったものです。OIII画像を見る限り、ハロが出なくなったことと、コントラストがより出るようになったのかと思います。

HαとOIII2つを重ねるのがとても難しいです。明るいところは白くなりがち、淡いところは両色ともなかなかうまく表現できずと、単色の迫力からはどうしても劣ってしまいます。
Image108

これらと、さらに分子雲のRGB画像、RGB画像から作った恒星画像を重ねていきます。


結果

出来上がった画像です。

「網状星雲」
Image20_9_cut
  • 撮影日: 2024年7月5日0時9分-2時57分、9月10日22時35分-9月11日1時24分、9月11日23時8分-9月12日2時37分、9月14日1時2分-3時9分、10月9日20時14分-21時10分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、R、G、B
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 28枚、OIII: 20枚、R: 35枚、G: 29枚、B: 10枚の計121枚で総露光時間10時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、OIII: 0.2秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

MGCを使ったとしても、その後の画像処理が入っているので、分子雲がどこまで正しいのかよくわかっていません。それでも少なくとも何か存在することはわかったので、今回の目標は達成と言っていいかと思います。分子雲は主にRとGによく写っていて、B画像やHαとOIIIなどのナローバンドではほとんど写らないこともわかりました。

ただし、RGB画像のみだと網状星雲本体が出てこないので、同時にHαとOIIIで星雲本体もやはりあったほうが見栄えがいいでしょう。赤いリングもなんとか表現できたのではないかと思います。

それでも特にHαはやはり撮影時間が絶対的に足りていないです。左のリングを無理して出しているので、同等の明るさの中心部の淡いところの諧調が出ていません。OIIIももっと露光時間を伸ばしても良かったかもしれませんが、2024年は秋から冬にかけて富山の天気が全然ダメで、網状星雲の季節も過ぎてしまい、諦めざるを得ませんでした。実際、1年半前の前回の撮影の時の方がHαもOIIIも撮影時間が長く、淡い階調もきちんと表現できていたので、この画像を足そうかとも思いましたが、画角が微妙に違っていたので諦めました。来年以降に持ち越しでしょうか。


まとめ

いろいろ時間がかかりましたが、それでもとうとう網状星雲が分子雲込みで撮影できました!ε130Dでやりたかったことがまた一つ達成できたことになります。

OIIIフィルターもやっとまともなものになったので、今後も淡いOIIIに挑戦できるかと思います。

その一方、光害地でギリギリを攻めるのに疲れてきているのもあるので、しばらくはSWAgTiで明るくてよく出る対象にするかもしれません。でもSCA260でも試してみたいことがあるんですよね...。春になって天気が良くなったら考えることにします。


日記

しばらくブログ更新ができていなかったので、ちょっと事情を。

年末年始の休暇が終わった段階で、今回の網状星雲の画像処理はある程度目処をつけていました。でももう少しだけ直したくて少し放っておいたら、また体調を崩してしまいました。平日はかろうじて最低限の仕事だけして基本早めに寝て、休日はほとんど寝てるというのがしばらく続きました。1月も終わり近くになり、やっと体調も戻りつつあり、今回の画像処理とブログ書きとなりました。

やはり体調管理はとても大切で、調子が悪いとほとんど何もできなくなることを再認識しました。あまり無理をせずに、できる範囲で楽しみたいと思います。

2024年に撮影した天体写真のまとめです。2023年のまとめはこちらにあります。

2025-01-02 - miyakawa2_cut


ε130D

「Sh2-308: イルカ星雲」
Image17_ABE4_SPCC_BXTx3_HT_HT_back7_cut_low

Image17_ABE4_SPCC_BXTx3_HT_HT_back7_rot_half2_wall

up2
  • 撮影日: 2023年12月5日0時3分-3時9分、12月9日0時2分-1時5分、12月29日22時3分-30日4時20分、2024年1月4日20時50分-22時43分、その他2夜
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm、R、G、B
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 39枚、OIII: 59枚、R: 8枚、G: 9枚、B: 8枚、の計123枚で総露光時間10時間15分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、OIII: 0.2秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

「IC2177: かもめ星雲」
Image109_back_HT_NXT2_cut
  • 撮影日: 2024年1月4日22時59分-5日0時9分、1月14日1時48分-3時8分、3月14日20時59分-22時37分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、R、G、B
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 17枚、R: 8枚、G: 8枚、B: 12枚、の計45枚で総露光時間3時間45分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.1秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「Sh2-129: ダイオウイカ星雲」 
final4_cut2
  • 撮影日: 2023年12月4日19時13分-23時47分、12月8日18時53分-22時45分、12月29日17時56分-21時53分、12月30日18時5分-21時13分、2024年1月2日17時54分-20時47分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 28枚、OIII: 125枚、R: 11枚、G: 14枚、B: 11枚、の計189枚で総露光時間15時間45分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、OIII: 0.2秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「M31: アンドロメダ銀河」
4144x2822_180_00s_RGB_integration_ABE4_SPCC_BXT5_red_cut
  • 撮影日: 2024年10月13日0時46分-4時33分 (カラー)、2024年11月25日18時24分-23時39分 (Hα)
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)  (カラー) 、ε130D (430mm、F3.3)  (Hα)
  • フィルター: UV/IR cut  (カラー)、Baader 6.5nm  (Hα)
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)  (カラー)、CGEM II  (Hα)
  • カメラ: ZWO ASI294MC Pro (-10℃) 、ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)  (Hα)
  • ガイド: なし (カラー)、f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング (Hα)
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 64枚 = 192分 = 3時間12分 (カラー)、Gain 100、露光時間5分 x 60枚 = 300分 = 5時間00分 (Hα) 
  • Dark, Flat: なし (カラー)、Gain 100、露光時間5分 x 117枚 = 585分 = 9時間45分 (Hα)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


RedCat51

「NGC281: パックマン星雲」
180_00s_RGB_drizzle_2x_ABE2_SPCC_BXT02_0_10_MS_HT_2_5s
  • 撮影日: 2024年10月9日21時3分-10日2時48分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: サイトロンDBP
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: PlayerOne Uranus-C Pro (-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、bin1、Gain 100、露光時間3分 x 94枚 = 282分 = 4時間42分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「IC434: 馬頭星雲と、NGC2024: 燃える木」
180.00s_drizzle_2x_SPCC_BXT_MS_SCNR_HT6_cut_s
  • 撮影日: 2024年10月12日2時29分-4時45分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: サイトロンDBP
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: PlayerOne Uranus-C Pro (-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、Gain 100、露光時間3分 x 36枚 = 108分 = 1時間48分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「M31: アンドロメダ銀河」
4144x2822_180_00s_RGB_integration_ABE4_SPCC_BXT5_cut
  • 撮影日: 2024年10月13日0時46分-4時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: UV/IR cut
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: ZWO ASI294MC Pro (-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 64枚 = 192分 = 3時間12分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「M45: プレアデス星団 (和名: すばる)」
3856x2180_180.00s_RGB_GC_SPCC_BXT_AS_MS_NXT5_cut
  • 撮影日: 2024年12月2日19時56分-3時38分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: Player One Uranus-C Pro(-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 127枚 = 381分 = 6時間21分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


SCA260

「M104: ソンブレロ銀河」
Image07_rot_Hubble_mod_cut

Image07_ABE1_crop_ABE4_DBE_BXTc_SPCC_BXT_LRGB_BXT_back_GHSx3_low
  • 撮影日: 2024年4月10日20時27分-4月11日3時18分、4月12日21時49分-4月13日0時46分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: 無し
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120で露光時間1分でL: 115枚、R: 59枚、G: 51枚、B: 64枚、総露光時間289分 =4時間49分
  • Dark: Gain 120で露光時間1分が204枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120で露光時間 LRGB: 0.01秒でそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop


「ヘルクレス座銀河団」
Image15_cut_low

Image15_cut_small_rot
  • 撮影日: 2024年4月13日1時35分-4時8分、4月13日22時17分-14日2時32分、4月14日22時26分-15日3時27分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: ZWO社のLRGBフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120で露光時間1分でL: 274枚、R: 57枚、G: 54枚、B: 60枚、総露光時間445分 =7時間25分
  • Dark: Gain 120で露光時間1分が64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120でLRGB: それぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop


チリリモート

「NGC3372: イータカリーナ星雲」
300_00s_ABE4_BXTc_SPCC_BXT_GHS_back_GHS2_s
  • 撮影日: 2024年5月5日0時4分-1時35分、5月5日19時33分-5月6日0時4分
  • 撮影場所: チリ El Sauce Observatory
  • 鏡筒: Askar FRA300 Pro(焦点距離300mm、口径50mm、F5)
  • フィルター: なし
  • カメラ: ZWO ASI2600MC Pro (-10℃)
  • ガイド: ASI174MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin1、Gain 100、オフセット 50、露光時間5分x63枚=5時間15分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

「SMC: 小マゼラン星雲」
300.00s_FILTER-L_RGB_BXTc_SPCC_BXT_GHS_GHS3
  • 撮影日: 2024年5月6日1時40分-6時2分
  • 露光時間5分x50枚=4時間10分

「LMC: 大マゼラン星雲」
BNCc_SPCC_BNC_s
  • 撮影日: 2024年5月6日20時46分-23時59分
  • 露光時間5分x38枚=3時間10分


彗星

「紫金山アトラス彗星」
integration_ABE4_ABE4_ABE4_comet_star_SPCC_MS_HT3
  • 撮影日: 2024年10月20日18時49分-19時21分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: UV/IRカット
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: Canon EOS 6D(天体改造)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: BackYard EOS、ISO1600、露光時間30秒 x 47枚 = 23分30秒
  • Dark: ISO1600、露光時間30秒 x 32枚、Flat, FlatDark: ISO1600、1/50秒 x 32枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「地平線と紫金山アトラス彗星」
LIGHT_Tv2s_1600iso_f2-8_+20c_20241014-18h25m43s212ms

「ネックライン構造」
2_00s_FILTER_NoFilter_RGB_integration_ABE1_ABE_back_ABE3_cut


「紫金山アトラス彗星の核の回転」
integration2_49files_LS_cut_mono_middle_rot_cut_arrow


太陽


「2024/5/28: サージ(ジェット型プロミネンス)」
09_33_03_lapl2_ap1826_IP_cut


2024/6/29: AR3727」
08_19_45_lapl3_ap2554_IP_2_5_3


まとめと反省

2024年はゴールデンウィークに体調を崩してしまい、撮影どころか、趣味としての天文自身がままならない状況でした。それでも前半に撮り溜めていたものと、しばらく間が空いて後半少し撮ったもので、自分の印象よりは枚数を稼いでいたようです。数えてみると全部で12天体と紫金山アトラス彗星で、ここに出したのは彗星の分も合わせて21枚です。チリでまとめて3天体、SWAgTiで気楽に撮影できた4天体というのが枚数を稼ぐ一要因だったかと思います。

これまで撮ったことのない新規天体が「イルカ星雲」「ダイオウイカ星雲」「パックマン星雲」「ヘルクレス座銀河団」「イータカリーナ星雲」「大マゼラン星雲」「紫金山アトラス彗星」の7天体で、過去に撮ったことのある天体のリベンジは「かもめ星雲」「アンドロメダ銀河」「馬頭星雲と燃える木」「すばる」「ソンブレロ銀河」の5つです。

「イルカ星雲」と「かもめ星雲」は構図、解像度、色バランス、階調と、いろんな意味で満足できたものです。暗い撮影地でなく、自宅でここまで出ることがわかったで、そこそこ明るい天体ならば今後も自宅で楽しんでもいいのかなと思う結果でした。そこそこ明るいといっても、イルカ星雲はある程度淡い部類に入りますし、そのイルカの中にあるHαが脳みそや心臓みたいに見えているので、かなりのところまで出たと言えると思います。

逆に、本当に淡い天体は自宅だとどうにも太刀打ちできないということも改めて実感できました。2023年のスパゲティ星雲もそうだったのですが、今年で言うと例えばダイオウイカ星雲です。一見本体は綺麗に出ているように見えますが、これは画像処理で相当無理をしていて、背景に広がるOIIIはほとんど何も表現できませんでした。最後の方で撮った、アンドロメダ銀河の背景に広がるHαなんかも、まだ全然不十分ですが、こちらはもしかしたら単に露光時間が圧倒的に足りていないだけなのかもしれません。

また、M104は銀河本体はハッブルと多少は比べてみようと思うくらいに解像度も出たのですが、恒星に関してはハッブルのバーっとばら撒くような微恒星には全く太刀打ちできませんでした。これも自宅周りの光害からくるスカイノイズに埋もれてしまっているのではと思っていて、暗いところで微恒星に挑戦してみたいと思っています。

全く逆の意味で、明るい天体に関しては自宅といえど無理をすることはないという考えから、気軽にダーク補正もフラット補正も無しで挑戦したのが、一連のSWAgTiでの撮影になります。鏡筒もRedCat51で、比較的広角でF5と明るくもなく暗くもなく、軽くて周辺減光のないものを選び、画角はカメラのセンサー面積で決めます。もちろんモノクロ撮影なんて面倒なことしないで、カラーカメラ一択です。ホットピクセルを抑えるために冷却はするようにしました。SWAgTiはSWATの追尾精度を利用して、ノーガイドで3分露光で、変な突発的な外部の揺れとかなければ採択率は100%に近いです。ガイドはしないのですが、数時間位以上の長時間露光時に出てくる縞ノイズを避けるために、ディザリングのみしています。このガイド無しディザリングはSharpCapでもNINAでもできることを確認していて、ガイド鏡がいらないのでセットアップがものすごく楽になります。画像処理も、気軽にダーク補正もフラット補正も無しという方針なので、ダークファイルもフラットファイルもバイアスファイルも撮影しなくてよく、かなり手間が省けます。これはある意味自宅の光害という悪い環境で撮影画像がスカイノイズで支配されているということを利用していて、ダークノイズもリードノイズも全体のノイズにはほとんど効いていないということが根拠になります。

最近の悩みが、SWAgTiがあまりに楽すぎて、それに比べるととにかく重すぎるSCA260+CGX-Lの稼働率が相当減っているのと、段々ε130D+CGEM IIも面倒になってきていることです。2025年は体力もある程度戻るはずなので、少しテコ入れする必要がありそうです。

このように、自宅でできることとできないことがだんだんわかってきていて、この環境でどこまで迫れるかと、この環境でどこまで手を抜けるかという、二方向で攻めているような状態です。

画像処理面はある程度手法が確立してきたように思います。以前は恒星処理がどうしようもなく苦手だったのですが、今はBXTがあり、StarNetで恒星分離ができるので、ある程度安定に仕上げることができるようになってきました。その一方、背景の分子雲モクモクの炙り出しがまだ安定していなくて、画像によっては変なくぼみができたりすることがあります。2024年の最後にPixInsightのMultiscale Gradient Correction (MGC)でとうとうMARSデータを一部ですが使うことができるようになりました。アンドロメダ銀河の背景のHαでMGCを使いたかったのですが、MGCはRGB画像でしか使えないようなので、2024年のうちは使えませんでしたが、今後はこれである程度安定に背景の勾配などを調整できるようになるのではと期待しています。

あと、私が自覚している画像処理の欠点なのですが、淡いところを出そうとする弊害だと思いますが、結果として全体が霞んだように見えるものが多いです。今後直しす方向で進めようと思います。

太陽や月はあまり盛り上がりませんでした。太陽は2024年中はわずか3回撮影しただけ。Galleryに載せでいいものかというくらいの成果しか出ていませんし、月に至っては撮影さえしていません。その中で、太陽のジェットが、これは本当に偶然ですが、撮影できたことは結構面白かったです。太陽はやりたいことがあるので、2025年はもう少し盛り上がるかもしれません。

2024年はこんなところでした。あまり活動的だったとは言い難いですが、体調が悪いと趣味自体何もできないこともよくわかったので、2025年もあまり無理をせずに粛々とこなしていきたいと思います。

全体の活動についての2024年のまとめの記事は、またいつものように1月末くらいに書くことになると思います。

このページのトップヘ