ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2024年12月

2024年の年末、今年も実家の名古屋に帰省しています。普段なかなか帰れなくて、母が一人なので年末年始くらいは一緒に過ごそうと思っているくらいの軽い気持ちです。

ノリタケイオンモール

31日の大晦日、家にいても大して面白くないのと、かと言って年末でどこもほとんど開いていないので、数少ない開いている名古屋駅近くのイオンモールに行きました。このイオンはノリタケインモールとかいうのですが、食器メーカーの「ノリタケ」の工場跡にできたもので、さらに会社名の「ノリタケ」も、そこの地名の「則武」からとっているもので、名古屋の人にとっては昔から馴染みもある名前です。イオンモールの敷地の中には塔のような窯の跡があったりして、訪れるだけでも楽しいところです。

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「THE CITY BAKERY」でモーニング

イオンの開店は10時なのですが、入り口のところにあるカフェ「THE CITY BAKERY」はモーニングメニューがあり、朝かなり早くから開いています。自宅からイオンまでは市バスで一本で便利なので、あえて車で行かずにバスに乗って行きます。この日も9時前のバスに乗り、9時過ぎくらいには到着、早速モーニングの「CBブレックファスト」を注文。
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朝にしてはちょっと贅沢な値段なのですが、とにかく美味しいです。トーストもサラダのドレッシングも、厚くて大きいベーコンも、何気ないメニューなのですが、普段よく食べているガストのモーニングのよく似たセットとは、値段は確かに違いますが、満足度がもう全然違います。しかも、飲み物がおかわりできます。カフェオレのみ追加100円ですが、あとは無料。これもかなり嬉しいです。イオンの開店前なので、基本あまり混んでいないのもいいです。ここでイオンが開店した後もしばらく長居してのんびり過ごしました。


コニカミノルタプラネタリウム

その後少し買い物をして、3階のコニカミノルタのプラネタリウムへ。昼の12時半の回のチケットを取ります。

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ここができた頃の3年近く前にも一度このブログでもレポートしています。

ブログ記事にはしていないですが、実はその後何度か訪れています。

プログラム開始の10分前には中に入ることができます。この10分間のデモ映像も毎回楽しみで、この時間に流れる何気ない空の風景が実は一番満足できたりします。しかもこの時間帯のみは撮影可能で、なんとSNSとかで公開も可能です!この日は期待通りの、昼間に雲が流れる風景から、夕方だんだん暗くなり、星が見えるようになってきます。

この何気ない風景が、ここコニカミノルタプラネタリウムの独自のLEDが全面に張り巡らされた高輝度高コントラストで表現できる真骨頂で、雲が流れる空の臨場感や、夕暮れの少し寂しいような雰囲気は、流石に他の投影型のプラネタリウムではどうやっても味わうことができません。前回10月に訪れたときはこのデモの時間がハロウィン映像でスペシャルなものだったので、私的には少し残念でしたが、今回は普通の空で、この時点でかなり満足していました。

スマホで写したので連続の様子を載せておきますが、これは是非ともその場に行って味わって欲しいです。現在の技術でできる空のシミュレータという意味での、プラネタリウムの最高峰を体験することができます。

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「星とチルするプレイリスト」

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さて今回選んだプログラムの「星とチルするプレイリスト」ですが、とにかく素晴らしかったです。今回でここコニカミノルタは4回目なのですが、これまで見たプログラムの中で圧倒的に良かったです。

ネタバレになるのであまり書きませんが、とにかく星をじっくり見させてくれます。個人的には、天の川を含めた目で見えるような星空を、このハイコントラストの施設を使って、どこまで自然に見えるのかを確かめたかったということです。曲の選択もよく、曲に合った空を字幕で解説してくれます。解説も秀逸で、全体の雰囲気を壊すこともなく、天文好きな人が作ったことがよくわかります。このプログラムが一般の人にどこまで受けるのかはよくわかりません。でも星好きな人、プラネタリウム好きな人は本当に一見の価値ありです。

その上で、あえてコニカミノルタプラネタリウムさんに要望です。できることならプラネタリウムのシミュレータとしての表現を追求してほしいです。例えば朝まずめの空や、夕焼け、雲が流れる星空や、雷などです。彩度を無理に盛ったりすることなく、LEDが持っている輝度の最大限の表現で、日常にある何気ない空をそのまま味わいたいです。他にも、曇天からパーっと一気に星が見えるとか、雲に隠れてた満月が出てくるとかも見てみたいですし、皆既月食とか、果ては皆既日食の雰囲気まで再現できるならと思いますし、昼間の虹やただの雨、嵐とかも表現できるのでしょうか?

実は、この間の全国プラネタリウム研修会でコニカミノルタのプラネタリウムの関係者の方とお会いできたのですが、その時も同じようなことを伝えました。でも今回のプログラムを見た後だったら、今回の感想もお伝えできたので、今となってはそれがとても残念です。いのさんがXで「まだ機能の3割も使えてない気がしてます。」と言っていましたが、私も同じように思ってしまいます。普通のプラネタリウムでは表現できないようなことに是非とも挑戦していただきたいです。


名古屋のソウルフード「スガキヤ」

プラネタリウムを見た後は、モール内にあるフードコートにて、名古屋人のソウルフード「スガキヤ」のラーメンで昼食です。このご時世でも、大盛りで税込540円でした。
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スガキヤは幼稚園に入る前から行っていたことを覚えています。名古屋の西区にあったダイヤモンドシティーというショッピングモールに通っていたことがあり、その頃からたまに親がスガキヤに連れてってくれて、小さなお椀にラーメンを分けてもらって食べてました。そのころの値段が確か160円だったはずです。このダイヤモンドシティーも2000年代に入ってからなくなってしまったので、もう記憶の中にだけにある淡い思い出です。

大学受験のために浪人した頃もスガキヤによくお世話になりました。私は予備校に通わない自宅浪人で、昼間はずっと公立の図書館の自習室で勉強していたのですが、予備校が終わったくらいに友人が図書館に来て、「じゃあスガくか!」と言ってしょっちゅう行っていました。もう動詞になっていて、「スガかない、スガきます、スガく、スガくとき、スガけば、スガけ」と、カ行五段活用というわけですね。

フードコートの奥には有料のワーキングスペースがあるのですが、この日は年末でお休みでした。その代わりなのでしょうか、近くのテーブルには勉強とかしている人がいて、私もちょうどCP+関連でやりたいことがあったので、そこで少し長居してしまいました。帰りのバスの時間を調べてからフードコートを出たのですが、イオンが広くて迷ってしまい、目の前でバスが通り過ぎていってしまい、また少し時間を潰す羽目になりました。


今年もお世話になりました

昨日のアンドロメダの記事で年末最後にしようと思っていましたが、今回のプラネタリウムが素晴らしすぎて、今実家で紅白を見ながら記事を書いています。結局この記事が今年最後の記事になってしまいました。

前回の記事で今年お世話になった方々へのお礼を書くのを忘れていました。今年は体調を悪くしたので、随分とご心配をかけてしまったかもしれません。

一年間このブログを読んでくれた皆様、本当にありがとうございました。直接お会いできた方も、本当にお世話になりました。

また来年も、よろしくお願いいたします。

気づいたらもう2024年も年の瀬です。最近なかなか忙しかったのですが、やっと年末の休暇に入って少し時間が取れそうなので、ずっとほったらかしていた画像処理を少し進めます。まずはM31の続きです。


目的

今回の目的は、少し前の記事で書いたM31: アンドロメダ銀河加えて、ε130D+ASI6200MM Pro+CGEM IIでHα画像を撮影することで、前回のカラー画像に赤ポチを加えることと、できるならM31周りの背景の構造を出せればと思います。

カラー画像が焦点距離250mmに19x13mmのフォーサーズセンサー、今回のHα画像が焦点距離430mmに36x24mmのフルサイズセンサーなので、そこそこ似たような画角になります。違う鏡筒とカメラを使った場合に、画像をうまく合成できるのか?これまであまりやったことがないので、うまくいくかのテストも兼ねています。



そもそもなのですが、銀河の赤ポチ自体あまりやったことがなく、これまでは2021年11月撮影のM33と、2023年3月撮影のM106



あと、申し訳程度で2022年4月に撮影して、2023年4月に再処理したM51くらいでしょうか。


Hα画像をどうやって赤っぽい色に持っていくか、銀河のRGB画像に対して赤ポチをどうやって自然に合成するかなど、まだまだ試行錯誤の段階です。今回は背景の淡い所も出そうと思っているので、明るい赤ポチと淡い背景の輝度バランスを崩さないようにマスク処理も必要になるのかと思います。

Hαで撮影できる背景の淡い構造は、M31で近年撮影され始めたもので、例えば100時間越えの撮影などで詳細な構造が出てきています。OIIIにも構造があることもわかってきていて、例えばこちらはFSQ106で3nmのフィルターで、OIII単体で45時間越えの撮影でOIIIの放射を新たに発見したとあります。こういった比較的広視野での背景の構造は、機器を個人で占有しての長時間露光ができるアマチュア天文で、今後も成果が出てくる分野なのかと思います。

今回は自宅でのHαの、高々5時間程度の撮影なのですが、それでも何か構造が見えるかどうかという挑戦になります。


撮影

カラー画像の撮影についてはすでに前の記事で書いているので、ここではε130Dでのナローの方のセットアップを少し書いておきます。

最初のHα画像の撮影日は10月12日の夜です。前日までの勾玉星雲からM31に切り替えるにあたり、横幅でちょうど銀河が収まるように、鏡筒とカメラを最初にセットして以来今回初めてカメラの回転角を90度変えました。カメラの回転については、ε130Dの接眼部に回転機構が標準で組み込まれているので、それを利用しました。スケアリングとか少し心配ですが、今回は恒星に関してはカラーで撮ったものを使うので、背景のみならあまり目立たないでしょう。今後L画像とか撮影したら問題になるかもしれませんが、BXTがあるのでまあなんとかなるでしょう。

赤道儀は前日からセットしてあったので、架台側をいじる必要はなかったのですが、上記のように鏡筒の方を色々いじっていたら結構時間が経っていて、月が沈む0時過ぎをとっくに超えてしまい、撮影開始は午前1時過ぎになってしまいました。

撮影後の朝になって気づいたのですが、ミスってASI620MM Proのbin1で撮影していたことに気づきました。ダーク画像は以前同設定で撮影したものを持っていたのですが、フラット画像は当然撮り直しになります。bin1だとすごいHDD喰いになるので枚数は50枚と控えて撮影、その後画像処理を進めます。

出来上がった画像を見ると何かおかしいです。撮影されたRAW画像を1枚1枚よく見ると、なんと中心が結露していることが判明しました。40枚撮影したのに、使えそうなのは最初の1-2枚だけでした。どうやらカメラのヒーターを入れ忘れていて、撮影後すぐに結露したみたいです。この結露に気づいたのが11月17日に画像処理をした時で(すでにこの時点で1ヶ月以上経っているのでずいぶんのんびりなのですが)、1-2枚だと全く意味がないので結局全部ボツにして、改めてHα画像を撮影することにしました。

2回目の撮影は11月25日で、今回は忘れないようにいつものbin2に設定します。もう冬に近くなってくるので、アンドロメダも早い時間からそこそこの高度に昇っています。夕方から撮影を開始し、月が出てくる午前2時くらいまで撮影を続けましたが、朝確認してみると天気予報の通り午前0時を回ったくらいで雲が出てきて、それ位この画像は全てボツとなりました。使えたのは5時間分の画像で、もちろん本当はもっと長時間撮影して淡いところを攻めたいのですが、北陸の冬は天気は全く期待できないので、この日撮影できただけでも貴重でした。これ以降撮影できたのは前回記事のM45の12月2日のみで、その後も年末まで全く撮影できていません。


Hα画像が淡すぎ

RedCat51でのカラー画像の画像処理があらかた終わっていたのが11月27日で、その後Hαも交えて画像処理をしたのが11月30日。この時点でカラー画像は決定として、カラー画像完成のブログ記事を書いたのが12月5日です。Hαと合わせた画像処理は主に12月1日に終えていたのですが、まだ出来上がりに迷いがあり、少し置いておいたら結局今回の記事になってしまいました。

その間にPixInsightが1.8.9から1.9.0になり、Multiscale Gradient Correction (MGC)でとうとうMARSデータを一部ですが使うことができるようになりました。うまく使えればカブリ除去に劇的な効果があると思われます。

特に今回のHα画像の背景の淡さには辟易していて、高々5時間の露光では背景の構造があることはわかるのですが、それと同じくらいの輝度でε130Dのリング状の残差光が目立ってしまい、このMGCが使って上手く補正できたらとか思っていました。でも残念ながらどうやらMGCはカラー画像にしか使えないようで、今回はとりあえずHα画像で使うことはあきらめました。

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それでもこのリングを取り除かないことには背景はほとんど出てこないので、MGCの代わりにフラット画像を利用してリングを手作業で丁寧に除きました。具体的にはPhotoshopに移り、かなり輝度を落としたフラット画像を別レイヤーで表示し、差の絶対値で重ね合わせています。フラット画像の輝度を微調整することで、リング状の模様をできる限り消しています。

カラー画像とHα画像は鏡筒もカメラも違うので、画角が違うのですが、合成するためには画角を一致させなければいけません。実際にはカラー画像の方が画角が小さく、Hα画像の方が少し画角が広いので、Hα画像をカラー画像に合わせることになります。これはPixInsightの StarAlignmentを使うことで特に問題なく解決しました。PixInsightの1.9.0からImage Synchronizationという新機能ができたらしいので、今後はそれを使ってもいいかのかもしれません。

下の画像は、RedCat51のカラー画像と合わせる直前のHα画像に相当します。リングを補正したHαから、さらにカラー画像の銀河をモノクロにしたものを引いています。その後、赤ポチ部分にマスクをかけ、背景をさらに炙り出しています。上の画像と比べると相当マシになり、背景の構造が見えてきているかと思います。まだリング構造は少し残っているように見えるのですが、元のカラー画像に対してこの画像を比較(明)で重ねるため、相対的に暗いリング構造は、最終画像にはほとんど出てこなくなるくらいになります。
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結果

最終画像です。

「M31: アンドロメダ銀河」
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  • 撮影日: 2024年10月13日0時46分-4時33分 (カラー)、2024年11月25日18時24分-23時39分 (Hα)
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)  (カラー) 、ε130D (430mm、F3.3)  (Hα)
  • フィルター: UV/IR cut  (カラー)、Baader 6.5nm  (Hα)
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)  (カラー)、CGEM II  (Hα)
  • カメラ: ZWO ASI294MC Pro (-10℃) 、ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)  (Hα)
  • ガイド: なし (カラー)、f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング (Hα)
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 64枚 = 192分 = 3時間12分 (カラー)、Gain 100、露光時間5分 x 60枚 = 300分 = 5時間00分 (Hα) 
  • Dark, Flat: なし (カラー)、Gain 100、露光時間5分 x 117枚 = 585分 = 9時間45分 (Hα)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

前回のカラー画像ではあまり色を出さなかったのですが、これは今回のHαの赤とのコントラストを出すことを見越してです。モノクロに近い銀河に、Hαの赤という組み合わせを狙ってみました。赤ポチは十分明るく撮影できているので、まあ問題ないでしょう。そこそこ派手にしましたが、海外の例を見ているともっと派手なものもあるので、まあこれくらいしておきます。

さて肝心の背景の構造ですが、そもそも正しいのか?他の画像と比較しても、そこまで間違っているわけではなさそうで、かなり明るい部分だけですが何か撮れているのは間違いなさそうです。だからと言って十分とはとても言い難く、ε130Dの比較的明るい鏡筒だとしても撮影時間が絶対的に足りていないでしょう。これ以上の本当に淡いところは全く見えませんでした。自宅での撮影なので光害が問題の可能性もあり、ここら辺は暗いところでの撮影と比較して今後定量的に検証していきたいと思います。改善点としては、一つは暗い場所に行くことですが、もう一つはHαフィルターを3nmのものに変更する手があるかと思います。

なかなか遠征で時間を稼ぐのは今の体力では現実的に難しそうなので、ナローバンドフィルターですでにスカイノイズが無視できて、ダークノイズかリードノイズに支配されているなら、本格的に3nmフィルター導入というのは、アリかもしれません。本当に得するかどうか、こちらも定量的に検討してみたいと思います。


まとめ

秋の代表アンドロメダ銀河も、のんびり処理していたらいつの間にか年末の冬です。残りの未処理画像は夏の網状星雲と、勾玉星雲です。相変わらず天気は悪いので、まだしばらく撮影はお預けになりそうなことを考えると、焦って処理を進めても勿体無いので、ゆっくり進めようと思います。

今年の記事は多分これでおしまいです。すでに実家の名古屋に帰省してこの記事を書いています。みなさん、どうか良いお年を。

PixInsighのメジャーアップデート時には、基本的にはほとんどのモジュールは自動的に再インストールされるのですが、星消しで使うStarNet V2だけは、毎回消えてしまって、手動で再インストールする羽目になります。

最近のStarNet V2のインストールは、継続インストールと新規インストールの2つの方法があるようです。以前はPixInsightのメジャーアップデートのたびに継続でインストールしていて、マニュアルにも間違いがあったりして結構面倒なので、このブログでも正しいと思われるインストール方法をお知らせしてきましたが、今後も継続だと面倒そうなので、今回はPixInsightを1.8.9から1.9.2にアップデートするにあたり、StarNet V2を新規でインストールしました。


Mac版の新規インストールパッケージのダウンロード

まず、ここでの話はMacのみなので、Windowdでは一部通用しないことがあるのに注意してください。このページのメニューのDownloadから、今回は新規インストールパッケージをダウンロードします。



場所は「Mac OS」の中の結構下の方の「PI versions 1.9.0 and higher」の2つ目の

Fresh install: StarNet2_win_2.1.2-0127_TF_x64_install.zip

です。ダウンロード後、ダブルクリックして解凍してください。パッケージといっても、インストーラーがついているわけではなく、基本は手動インストールなのはかわりません。

インストール方法はいくつか注意が必要ですが、英語でわかりにくいかもしれませんので、ここに分かりやすく書いておきます。


Mac版のStarNetV2の新規でのインストール方法

ZIPファイルの中のREADME.txtを読んでみます。まずは「INSTALLATION」です。

1. Close PI.
: PixInsighを閉じます。

2. Copy the files from this folder into PixInsight's 'bin' folder.
   Location should be something like '/Applications/PixInsight/bin'.
   Make sure that StarNet2-pxm.dylib is in the 'bin' folder.
: ZIPファイルの中身のファイルを全て「/Applications/PixInsight/bin」にコピーします。

他は気にしなくていいです。

次にREADME.txtの「TROUBLESHOOTING」に行きます。

1. If after you hit 'Search' PI does not find StarNet, 
 try copying two tensorflow libraries into
    
     /Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/

   If you use finder to do this, you will need to navigate into
   /Applications/PixInsight/, right-click PixInsight and choose
   'Show Package Contents' and go further from there as usual.

今回はこの1に該当しました。この処理をしないと、PixInsight上で新しいモジュールをサーチしても、新規にStarNetのモジュールが出てきません。そのためここではまず、先のZIPファイル内の、「libtensorflow_framework.2.dylib」と「libtensorflow.2.dylib」を「 /Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/」内にコピーします。ただし、/Applications/PixInsight/PixInsight.appは一見ただのアイコンに見えるので、Finderでそのアイコンを右クリックして「パッケージの内容を表示」をクリックして中身を開きます。その中の「Contents/Frameworks/」内に上記2つのファイルをコピーします。

さらに、ホームページ内の注意事項を見ると、

There is a bug in PI for MacOS that results in an error installing process modules (not only StarNet). When installing using Process -> Modules -> Install Modules do not click on the StarNet module after you do search, just hit Search->Install. Otherwise, the installation will error out. If you did click on on module name to view its properties (confirm version, etc.) you will need to restart PI and try again.

とありますが、上で示したように2つのライブラリをきちんと/Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/内にコピーしないとそもそも、PixInsightのメニューから「Process -> Modules -> Install Modules」で下にある「Serach」ボタンを押しても、StarNetのモジュールがうまく検索されません。

上記コピー操作をきちんとすると、きちんと検索されるはずなのですが、さらにここで注意です。検索結果が出てきたら何も考えずに下の「Install」ボタンを押してください。(私は試してませんが)下手に出てきたモジュールを選択したりすると、インストールに失敗するそうなので、その場合はPixInsightを一度閉じて、立ち上げ直してもう一度検索からやり直してみてください。


まとめ

StarNetは毎回面倒なので、自分のメモがわりに記事にしておきました。手間を省くためにも、いい加減有料のStar XTerminatorにしようかとも思っていますが、とりあえずうまくいったのでまた今回もスキップして、StarNetを使い続けることになってしまいそうです。

恒星分離の性能に関しては、StarNet V2であまり不満はないので、無料でこのようなソフトを提供してくれている作者様に対しては、ものすごく感謝しています。

最近大きなことがいくつか重なり、なかなかブログが更新できていません。その大きなことの一つが、2024/12/16-18日に開かれた全国プラネタリウム研修会という集まりの中で、今年はたまたま地元の富山市科学博物館で開催ということで、電視観望の講演をさせて頂いたことです。とりあえず無事に終えて今はホッとしてブログを書いているのですが、でも今回のブログで書きたいことは、電視観望講演のことよりも、全国から集まってきているプラネタリウム関係者のことです。

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私がこの研修会に参加したのは二日目の12月17日だけなのですが、全国からプラネタリウムの関係者が100人程集まり、三日間の研修をフルで行うものです。プラネタリウム解説を始めた新人に近い方が約半分と、かなり若い人が多い印象でした。そもそも、プラネタリウムの解説や技術の向上を目指す研修で、一般の人には基本的に公開されないものなので、あまり詳しくは書きませんが、みなさん本当に真剣に研修に取り組んでいて、こういったプラネタリウム業界全体でのサポートと自己研鑽があって、全国的に高いレベルのプラネタリウム解説が保たれているのだと理解できました。

講演は二日目の午後からで、2部制になっています。第1部は今年2月に富山市科学博物館で行われた一般向けの特別イベントのダイジェスト版で、ある大型天文施設のドーム映像をプラネタリウムに映し出すというテスト的な試みで、臨場感あふれるものでした。第2部が電視観望講演についてです。最初は最近かなり数が出ていると思われるスマート望遠鏡の解説で、次に電視観望の技術などについて、その中で今回の参加者の所属施設に大型望遠鏡があるならぜひともCMOSカメラをつけてみてくださいという内容です。観望会などで電視観望をどう見せればいいか、プラネタリウムに表示しても面白いというような話もしました。技術的な話も多かったので、後日スライドを関係者に配布してもらうことにしました。講演の最中にスライドをスマホやデジカメで撮影している方も多く、予めお伝えしておけばよかったです。

講演が終わってから時間があったので、少し研修の様子を見学させてもらうことができました。研修は3グループに分かれていて、その中でも面白かったのがプラネタリウム解説員として新人さんが集まるグループの研修でした。ちょうど覗いたのが悩み相談室のような時間帯で、解説で不安なことやうまくいかないことなどを話していました。例えば、天文とは全然別分野の動物園から転職してきてプラネタリウムの解説をどう学べばいいのかとか、笑いを取れるネタを知りたいとか、プロの解説員と成長していく皆さんが、それぞれ真剣に悩んでいました。その相談の答えの中に一つ面白い話があって、解説の最後に「ありがとうございました」と言わないようにしているらしいのです。「ありがとうございました」と言ってしまうと拍手が起こるらしく「解説者はあくまで解説者、お客さんから感謝される立場ではない」ということで、こんな発言にもやはり解説のプロとしての矜持が感じられました。

今回は公共施設の学芸員さんが多いのですが、でもそれだけではなく民間のプラネタリウムの解説員さんも参加されているようです。例えば以前訪れた大阪の星カフェSPICAの店長さんも来ていて、ブログ記事を書いた私のことも覚えてくれていました。

今回の参加者層とよく似た集まりに、実は以前参加したことがあります。2022年島根で行われたJAPOS (日本公開天文台協会)の全国大会で、今回と同じように電視観望について講演させて頂いた時です。この時実感したことは、我々アマチュア天文家も観望会などで一般の人に関わることはあるのですが、公共天文台で働く方達は我々なんかよりも、はるかにはるかに一般の方達に天文で関わることが多いということでした。そして学芸員の方達はアマチュアと研究者の間のような存在であるということも少し思いました。というより、その時までは一般の人、アマチュア天文家、研究者という3つの層は認識していたのですが、私自身が学芸員という伝えるプロの、しかも非常に重要な役割を果たしている層の存在をあまり認識できていなかったのです。今回参加させて頂くことも、普段あまり話すことができない層の方達がたくさん集まるので、とても楽しみだったのです。

今回は2年前の島根の時に加えて、もう一つ気づかされたことがあります。夕方から行われたパネルディスカッションというのがあったのですが、その時に最後に出てきたある若い女性の方からの質問にとても考えさせられました。質問は「どうして私たちは宇宙のことについて話さなければならないのでしょうか?」というようなことでしたが、そもそもこの質問の捉え方自体、人によっても立場によっても違うのかと思います。「宇宙のこと」に重きを置くのか、「話さなければ」に重きを置くのかで、答えも変わってくると思います。後から聞いたらこの方は今年入ったばかりの本当に新人の方で、真剣に悩んで考えているようです。

この質問に関して考えることがさらに続きます。この日の行事が終わってから、駅前で飲み会になったのですが、私はできるだけ若い方と話したいと思っていて、そうしたらちょうど悩み相談で動物園からプラネタリウム解説員になったという女性の方の隣の席になりました。当然の如く「なんで動物園からプラネタリウムに?」と尋ねてみたのですが「動物園は命の大切さを伝えてきたが、それだけでなく子供達に何かをもっと伝えたい」というような答えだったと思います。私がいたテーブルは他も若い方が多く「プラネタリアンが狭き門」とかの話題もありましたが、いずれも「話す」ということに関連した話題が中心でした。

パネルディスカッションでの質問と、この飲み会での話題ではたと気づいたのは「あ、この人達は話すこと、伝えることのプロなんだ」ということです。もちろん天文施設関連の方達なので宇宙や星のことが好きな人が多いです。でも、必ずしもそうでもない人もいて、いずれにしても「人に伝えること、解説すること」を生業としているということです。アマチュア天文家は基本的には星が大好きで最優先な人ばかりです。私は普段そういう人達とばかり付き合っているので、この日話したことは普段とは違った観点から考えることができ、とても興味深く、私自身とても勉強になりました。天文人口の裾野を広げたいと常々思っているのですが、今回参加したことは今後の自分の考えに少なからず影響すると思います。その意味でもとても有意義でしたし、何より皆さんとの交流がとても楽しかったです。

飲み会が終わって23時頃に店を出ると、一部別の参加者と合流しました。なんと3つの研修グループのうちの一つのグループの方達で、今の今まで研修していたとのことです。明日が最終日で、研修の課題で盛り上がって全然時間が足りなかったとのことです。すごい研修会で、本当に頭が下がる思いでした。

今回は目的が研修ということなので、それぞれの施設の中でも比較的新人に近い方達が来ているとのことですが、業界の中でこれだけの人数の若い方がいるということ自体、ちょっと羨ましかったです。初参加の方も多く、お互いのことはあまり知っているわけではなく、今回の研修で初顔合わせの人がほとんどとのことです。このような研修と地元に帰ってからの実務での研鑽で、プロの解説員として育っていくのでしょう。皆さんの今後の活躍がとても楽しみで、機会があれば全国の各地のプラネタリウムをまた回ってみたいと思います。


2024年12月2日、前回のM31 アンドロメダ銀河に続いて、同じくSWAgTiを使ってM45 プレアデス星団 (すばる) を自宅で撮影しました。画像処理もサクサク進んだので、早速記事にしておきます。

これまでM45に関しては二度撮影しています。前回は4年前の2020年で、TSA120での撮影になります。


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この時は2週に続けて撮影しましたが、1週目はFC-76で、多分結露か何かでおかしな画像になり、2週目にリベンジしたのですが、今思い出すと画像処理に疲れて途中で投げ出したような気がします。これは今の技術ならもっとよく出るのかと思います。

一度目は更に4年前の2016年11月に、牛岳での撮影です。前回の記事でM31も4年周期で撮影と書きましたが、M45も全く同じく4年周期ということになります。特に狙っていたわけではないのですが、それもそのはずで、2016年11月はM31もM45も同じ日に2対象で撮影しています。この時初めてオートガイド撮影が成功して喜んでいた覚えがありますが、回り回って今回はSWAgTiでガイド無し撮影になったので、進化なんだか退化なんだか...。まあ、研ぎ澄まされた退化とでもしておきましょうか。

と思って過去記事を調べていたら実は更に前に一度、これも2016年11月ですが、上の撮影より一週前にM31とM45を同じ日に2対象で撮影しています。


M45up

まだノータッチガイド(死語)で露光時間も伸ばせなかったことですが、画像処理に初めて有料ソフトしてステライメージを使ったので、私の中では本格DSO撮影の最も初期にあたります。

M31とM45は今後の撮影技術の進化の指標ともなるいい選択なのかと思います。前回までは私としては珍しく牛岳、数河高原と、自宅でない暗い環境での撮影です。今回は自宅なのではるかに光害の多いはずです。しかも前回のM31の撮影では使っていたUV/IRカットフィルターも外して、完全ノーフィルターです。すばるの青い淡いところが、この厳しい環境でどこまで出るのか?挑戦のしがいがあります。

といっても、以前半分遊びで企画したSCA260の拡大撮影で、自宅でM45を撮影しています。F5でそこそこ青も出ることは確証を得ているので、同じF5鏡筒のRedCat51でも同じくらいは出るのではないかと期待しています。



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SWAgTiでの撮影

長い振り返りになってしまいました。とにかくポイントは、自宅で青い星雲がどこまで出るかの挑戦です。

北陸の天気はもう冬型になっていて、晴れの日はとても貴重です。月曜でしたが、天気予報ではほぼ一晩中晴れ。このチャンスを逃す手はないのですが、問題はかなりの強風だったことです。撮影開始時はまだましでしたが、夜中寝ている頃に風の音で何度が起きるくらいだったので、相当な強風だったと思います。撮影後の画像を見ても、基本的に星像は小さくなく、一方向にぶれている画像もたくさんあり、あからさまな雲を除くと、143枚中16枚撮影をブレで落としています。その16枚も結構甘く見積ったので、もう少し落とすべきだったかもしれませんが、今回星像はあきらめてBXTの力に期待することにしました。

機材は
  • SWAT350 V-Spec Premium + AZ-ZTiのSWAgTi。
  • 三脚はGitzo GT3840Cをシステマティック化したもの。
  • 鏡筒はRedCat51。
  • カメラはM45がちょうど入る画角ということで前回交換したASI204MC Proから今回はUranus-C Proにまた戻しています。ゲインはHCGがオンになる220としました。オフセットは定番の40です。露光時間は3分としました。
  • 極軸調整用にUnitecの極軸微動ユニット2を三脚とSWAgTiの間に挟んでいます。SharpCapの極軸調整機能とこの極軸微動ユニット2で簡単に極軸を取ることができます。
  • ハロなどを避けるために、今回はUV/IRカットも含めて、フィルター無しです。

撮影ソフトと手順は、
  1. 極軸調整とピント合わせ、カメラ回転角調整にSharpCapを使います。極軸調整はガイド鏡がないので、主鏡とメインカメラをそのまま使ってしまいますが、特に問題はありません。
  2. AZ-GTiの操作としてPCにインストールしたSynScan ProをWi-FiでAZ-GTi接続。初期アラインメントと、SynScan ProのSynMatrix AutoAlign機能を使いプレートソルブまでしてしまいます。プレードソルブが終われば、SynScan Proで初期導入まで済ませます。
  3. ここでSharpCapからNINAに切り替えて、カメラを接続し冷却開始。オートガイド無しでディザーのみ使うために、ガイドソフトとして「Direct Guider」を選択します。
  4. NINAのシーケンサーで露光時間や枚数などを設定後、撮影開始とともに、自動追尾をSynScan Pro (恒星追尾をオフにする) からSWAT (追尾モードを「DEC」から「STAR」に切り替える) に移し替えます。
  5. 最終的な画角をSynScan ProやNINAの望遠鏡の矢印ボタンなどで微調整します。
  6. 露光を開始します。

12月で新月期なので夜が長いです。天文薄明終了から開始までの撮影は11時間7分も取れるとのことでしたが、カメラ交換などで戸惑って撮影開始は19時56分だったので、2時間くらいロスしています。終わりも途中から雲が出てきて、午前3時38分までの画像が使えました。雲を除くと、合計で143枚撮影し、127枚使ったので、採択率は89.9%でした。除いた16枚は全て強風でのブレです。


SWAgTiでの子午線反転

今回の撮影は長時間に渡ったので、SWAgTiにとってはある特殊なことが必要でした。そうです、子午線反転です。なぜこれが特殊になるかというと、SWAgTiでは恒星追尾を精度の良いSWATに任せるために、AZ-GTiでの追尾を止めて撮影します。そのため、AZ-GTは自分ではもう追尾をしていないと思い込んでいるわけです。

この状態でもNINAとは「望遠鏡」として接続されていて、NINAからAZ-GTiに信号を送り赤経、赤緯とも動かすことはできます。でも天体が子午線近くになり、そのまま子午線反転してしまうと、AZ-GTiは撮影開始位置に留まっていると勘違いしているので、全然明後日の方向に向かって導入してしまうというわけです。

実際に試してみました。
  1. M45が子午線近くに達したので、撮影のための露光をストップします。その後、試しにSynScan ProでM45を導入してみました。
  2. AZ-GTiで自動導入すると、対象まであとどれくらいの角度があるかが表示されます。子午線反転にあたるので、自動導入直後は本来180度くらいずれていると表示されるはずです。でも表示されたずれは50度くらい。これは20時頃に撮影を開始した位置からAZ-GTiが動いていないと思っているため、正しい値と思われます。(実際にはさらに180度ズレるはずですが、どうも180度以上になると180度を引いた値が表示されていると思われますが、ちょっと不明です。)
  3. その結果、鏡筒は明後日の方向を向きます。同時に、SynScan Proの恒星追尾が自動的にオンになってしまいますが、これは仕様のようです。その結果、SWATの自動追尾と二重で追尾することになるので、星がずれていきます。ここで一旦SWATの自動追尾モードを「DEC」に戻して切ります。
  4. ここでおもむろに、再度SynScan ProのSynMatrix AutoAlign機能を使い、アラインメントし直します。これがかなり強力みたいで、数10度とかのオーダーで全然ずれていても、強制的にきちんとしたアラインメントに戻してくれます。しかも、今回2ポイントでアラインメントして、そのうち2ポイント目が建物の方を指してしまい星が何も写らなかったのですが、1枚目のプレートソルブだけで「完了した」と表示されました。
  5. その後、再びSynScan ProでM45を自動導入すると、かなり真ん中に近いところに導入されました。
  6. ふたたび、AZ-GTiの恒星追尾をオフにして、SWATの追尾モードを「STAR」に切り替えオンにします。
  7. 最終的な画角をSynScan ProやNINAの望遠鏡の矢印ボタンなどで微調整します。
  8. 露光を再開します。

これは大きな収穫でした。AZ-GTiから自動追尾をSWATに受け渡しているのは、SWAgTiで天体を再導入する時に原理的な弱点になります。今回のような子午線反転や、一晩に複数の天体を撮影する場合は、どうしても撮影中断時にアラインメント情報を失ってしまっているのです。これまでは一旦ホームポジションに戻して一から初期アラインメントをするなどして、対処療法的に回避していましたが、このSynMatrix AutoAlign機能を使うことで、いつでもSWAgTiとしてののアラインメント情報を再取得できることになります。


画像処理と結果

風は仕方ないのですが、子午線反転を含めて撮影は極めて安定でした。ShapCapを使い極軸をかなり正確に合わせてあるので、8時間程度の撮影でもドリフト(画像の一方向のずれ)も全く許容範囲内です。NINAでのガイド無しディザーも問題なく適用されています。

画像処理は、これもお気軽SWAgTi定番の、ダーク補正無し、フラット補正無し、バイアス補正無しです。今回、センサー面にホコリが付いてしまっていて、少しリング状の模様が出ましたが、そこまで深刻ではなかったので、淡いところを出しすぎない目立たない範囲での画像処理に抑えました。センサーを綺麗に保つことは、画像処理を楽する上でかなり重要だと再認識しました。センサー面を綺麗に保てないなら、お気軽画像処理は諦めてフラット補正は必須になります。

さて、お楽しみの結果ですが、どうでしょうか?

「M45: プレアデス星団 (和名: すばる)」
3856x2180_180.00s_RGB_GC_SPCC_BXT_AS_MS_NXT5_cut
  • 撮影日: 2024年12月2日19時56分-3時38分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: Player One Uranus-C Pro(-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 127枚 = 381分 = 6時間21分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

自宅で光害防止フィルター無しでここまで青が出たことに、まずは驚きです。これまで牛岳、数河高原と暗いところに行って撮影したものより、はるかに淡いところまで出ています。刷毛ではいたような模様もよく見えていて、背景の淡いところもそこそこ出ています。

アノテーションです。
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自宅撮影は不利ではないのか?

今回の方が光害は酷いはずなのに、なぜここまで出たのか?少し冷静になって考えてみました。
  • 鏡筒は4年前のTSA120がF7.5で、今回のRedCat51がF4.9なので、今回の方が有利です。でも明るさで高々(7.5/4.9)^2 = 2.3倍です。
  • S/Nは口径もセンサーサイズも関係無いのは前回のアンドロメダの時にも書きましたが、それよりも1ピクセルのサイズが重要で、6Dが1辺6.5μmでUranus-C Proが2.9μmなので明るさ比較で(6.5/2.9)^2 = 5.0倍前回の方が有利。
  • 露光時間は前回4時間15分で、今回6時間21分で、(381/255) = 1.5倍今回の方が有利。
機材としては明るさ比較で5/2.3/1.5 = 1.4倍なので、S/Nだと更にルートで高々1.2倍前回の方が有利なだけで、あまり差がありません。

空の明るさを考えると、
  • 数河高原は天の川が普通に見えるので、6等星は見えるとしましょう。
  • 一方自宅は、北極星はたまに見えない時もありますが、大抵見えます。こと座の形やはくちょう座の形はたまに見えるときがあり、年に1-2回ものすごく透明度のいい日に天の川がうっすら見えるくらいです。普通の日は3等星が見えるくらいと思っていいでしょう。
ざっくり3等分の差があるとすると、1等ぶんで2.5倍明るさが違うので、2.5^3で16倍くらい前回の方が有利になるはずです。スカイノイズの差と考えるとS/Nはやはりルートで効いてきて、√16 = 4倍くらい差が出ます。これは無視できない有意な差で、前回の方が有利で、今回の方が不利ということです。

こう考えると圧倒的に前回の方が有利なのです。この差を覆るものが何かと考えると、画像処理と考えることもできますが、今は私としてはカメラの違いだと考えています。前回まで使っていたEOS 6Dは低ノイズの一眼レフカメラで長らく天体写真に適したカメラとして使われていますが、発売開始が2012年でもう12年も前のことになります。ここを見ると分かりますが、撮影時のISO1600だとダイナミックレンジは11bitを切っています。


一方、最新のCMOSカメラに近いUranus-C Proはここにある通り、HCGでダイナミックレンジは12bit近くになります。


ホットピクセルやアンプグローなど、新しいセンサーではグラフに出てこない有利な点がかなりあるのかと推測できます。というのも、最新カメラに近いASI2400MC Proで青い馬星雲を撮影したときも、ノイズ処理が楽で、データだけでは説明しきれないような有利さがあったと感じました。

分かりやすい例はEOS 6Dで自宅で撮影した青い馬星雲です。光害地の自宅で6Dだと、どうしようもない限界を感じましたが、


牛岳でASI2400MC Proで撮影した青い馬星雲はもう雲泥の差で、もちろん牛岳の空が暗いのはありますが、カメラの根本的な性能差を実感して、この時にはじめてフルサイズ6DをフルサイズCMOSカメラに代えてもいいかと思いました、


結局フルサイズのカラーCMOSカメラはまだ手に入れていないのですが、サイズこそ違えど最新のCMOSカメラはさすがに10年以上前の一眼レフカメラとは一線を画す性能と思って良さそうです。

というか、これくらいしか今回自宅でM45がここまで出る理由が思いつきません。その一方、もちろんセンサーサイズが小さいので解像度は出ないのですが、すばるの大きな模様の変化を見るにはこれでも十分な気がします。drizzleなどを使う手もあるかと思いますが、お気軽撮影とお気軽画像処理も捨て難いので、ここまで出るならもう十分なのかと思っています。


まとめ

自宅で綺麗な青を出すのは、ある意味一つの目標でした。

SCA260のM45のRGBでの拡大撮影である程度出ていたのですが、今回こんなシンプルな機材で、ここまで青がきれいに出るとはあまり予想していませんでした。出にくい青と言っても、M45くらい明るくて、撮影時間さえ十分に確保できてS/Nが取れるなら、無理してあまり暗いところに行かなくてもいいのかもしれません。星を始めた時の「自宅でそこそこ写せたらいいなあ」というのが、やっと実現できてきた気がします。

「そこそこ」の中には、あまり無理をしないでという意味も入っていて、今回のSWAgTiはガイドやダーク、フラット補正を省いたりして簡略化できているので、その意味でも「そこそこ」がやっと本当に実現できてきたのかなと思っています。


前回までの紫金山アトラス彗星もやっと落ち着きましたが、その後は天気がずっと悪かったり、忙しかったり、イマイチ盛り上がらなかったりで、ブログ記事はしばらく休んでいて、少しのんびり画像処理を進めていました。今回は10月にSWAgTiで撮影したM31アンドロメダ銀河についてです。


自宅に着いてから、さらに撮影

10月12日、昨日の馬頭星雲の撮影に引き続き、まだ天気が良さそうだったのでそのままのセットアップで撮影続行です。昼間は置きっぱなましだったので、極軸を取り直さなくていいので楽でした。

この日はアンドロメダ銀河狙いです。実はこの日は2セット出していて、RedCat51+ASI294MC Pro+SWAgTiでカラー、ε130D+ASI6200MM Pro+CGEM IIでHαで、後で合成する予定ですが、まずは今回は簡単なカラー画像のみの処理までです。

アンドロメダ銀河は結構大きいので、SWAgTi撮影の方の画角を少し広げたくて、カメラをこれまでの1/1.2インチのUranus-C Proからフォーサーズの上記ASI294MC Proに変更しました。あと、銀河なので、これまで入っていた2インチのDBPを外して、同じく2インチのUV/IRカットに変更しました。

SWAgTiを含む架台側のセットアップはそのままでよかったのですが、鏡筒の方を色々いじっていたら結構時間が経っていて、月が沈む0時過ぎをとっくに超えてしまい、撮影開始は午前1時過ぎになってしまいました。

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朝、片付け前の様子。

撮影ソフトはNINAで、ガイドなしでディザーありのSWAgTi特有の「お気楽、でも縞ノイズは出ないよ」撮影になります。撮影時のミスを避けるなどを考えると、SharpCapよりもNINAの方が圧倒的に気を遣わなくて楽で、SWAgTiではこの「NINA、ガイドなし、ディザーあり」がほぼデフォルトになってきました。

RedCat51にASI294MC Proを付けての初撮影だったので露光時間を少し迷いましたが、とりあえず1枚あたり3分としました。3分露光だと、250mmくらいの焦点距離でも、普通の赤道儀ではピリオディックモーションが避けきれなくて採択率が下がってしまうおそれがあります。ここはSWAT350 V-SPEC Premiumの高精度追尾のおかげで普通に100%の採択率を目指すことができます。

ゲインはHCGがオンになる120一択です。HCGのおかげで13stopsくらいのダイナミックレンジを取ることができます。stopsはbitと同じで、2の13乗 = 8192階調で輝度を表すことができるということです。

ゲイン120一択と言いましたが、選択できるゲインは露光時間と密接な関係があります。もし高精度追尾が無ければ、露光時間を十分に伸ばすことができないので、対象天体の淡いところを出そうとすると、その分ゲインを上げなくてはいけません。ゲインを上げることで淡いところの輝度を読み出しノイズより大きくして撮影する必要があるからです。ゲインというのは、「露光時間を延ばせない環境下において、淡い部分を読み出しノイズ以上に持ち上げてダイナミックレンジ内に入れる」という、非常に便利な機能であると考えることもできます。その一方、ゲインを高くすると、当然「ダイナミックレンジを犠牲にしてしまう」ので、恒星などが飽和する可能性が高くなってしまいます。

このように考えると、SWAT350 V-SPEC Premiumの高精度追尾は単にガイド無しで1枚あたりの露光時間が延ばせるだけでなく、「最適なゲインを選ぶ選択肢を持てる」ということが利点の一つになるのかと思います。ただし単に1枚あたりの露光時間だけ伸ばすことができても、トータルで長時間露光を目指すと縞ノイズがどうしてもついて回るので、SWAgTi特有のガイド無しディザーで縞ノイズを避けるというわけです。改めて考えてみても、SWAgTiはかなり理にかなっているのかと思います。

さて、こんなSWAgTiですが、撮影が一旦始まってえば、あとは基本放置で楽なものです。今回の撮影は0時46分スタートで、午前5時1分終了でした。といっても、自宅なので寝ていただけで、後でチェックしたら天文薄明開始の午前4時半頃からあきらかに明るくなっているのでカット。それ以外で省いたものは合計7枚で、7枚のうち4枚は人工衛星がかなり明るく写っていたので、Integration時のsigma clippingなどで綺麗に取り除けない可能性を考えて除きました。残り3枚は連続していて、どれも赤径方向の星像のジャンプで、特にそのうちの1枚はかなり大きなジャンプでした。原因は不明ですが、機材トラブル、風、地震、周りに車や人がいたなどの可能性が考えられます。結局使えたのは全80枚のうち64枚で合計3時間12分です。あえて除いた天文薄明と人工衛星を無視すると67枚のうち64枚なので、96%程度の採択率が今回のSWAgTiの実力と言っていいでしょうか。


画像処理

下は、3時間12分の画像をPixInsightでスタックまでしてオートストレッチだけの画像です。色などは何もいじっていません。例の如く、お気軽撮影を目指しているので、ダーク補正もフラット補正もバイアス補正も無しです。

masterLight_BIN-1_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

まず心配だったのは、ダーク補正をしないことによるIMX294センサー特有のアンプグローです。実際に右上に少しだけ明るい部分が見えていますが、高々この程度です。これを消すためにダークフレームを撮影して、ダーク補正するという手間をかけて、かつダークカレント起因のダークノイズを増やしてしまうことを考えると、ASI294MC Proでもダーク補正をあえてする必要もないかと思います。

1/1.2インチのUranus-C ProよりもフォーサーズのASI294MC Proの方がセンサー面積が大きくなったので、周辺減光も少し心配でした。フラットフレームを撮影していないので、かなり大雑把な見積もりですが、ABEの2次と4次で補正した時のbackground画像の輝度から推測するに、最大でも4%程でした。この程度なら、ホコリなどの局所的な欠損さえ無ければ、光学的なフラット補正はなくても十分なのかと思います。

繰り返しになりますが、上の画像はスタック直後にオートストレッチだけしたもので、彩度アップなどの色調も何もいじっていないです。それでも星の色も分かりますし、M31本体の色もある程度出ています。簡単セットアップで、3時間放っておくだけで、スタック以外特に画像処理もせずにこれだけの画像が撮れるなら、SWAgTiでのこのセットアップはかなりすごいのかと思います。

次が、PixInsightでABEの4次、SPCC、BXT、MaskedStrerch、NXTをかけたものです。次のPhotoshopでの処理のために、輝度は少し抑えています。

4144x2822_180_00s_RGB_integration_ABE4_SPCC_BXT_AS_MS_NXT

こちらも色調整はSPCCのみで、あえて彩度はいじっていませんが、更に色がはっきりしてきています。


仕上げの色使い

もう上の画像でも十分かと思いますが、最後にPhotoshopに持っていって、少しだけ仕上げします。

仕上げはかなり迷いました。アンドロメダ銀河の色って、人によって本当に千差万別ですね。AstrobinのM31で検索した結果を見ると何が標準か全くわからなくなります。派手なものは真ん中が金色に輝いていて、端の方はかなり青に寄っています。地味なのは全体に緑色っぽいものでしょうか。上の画像だとかなり地味な色居合いになります。緑の代わりに黒と白でモノクロっぽくして、あえて赤ポチを目出させているようなカッコイイものもあります。

前回のM31の撮影は4年前の2020年でFC-76とEOS 6Dを使っています。


4年前の時も4年ぶりの撮影とか言っているので、4年枚にメジャー天体を撮影し直すようなペースになっているということでしょうか。6Dのカラー撮影で赤ポチを少しでも表現しようとするような無理をしている感じで、かなり派手目な色使いになっています。今回はHαは別撮りのものがあるので、ここでは比較的シンプルな銀河っぽい感じにしてみました。

「M31: アンドロメダ銀河」
4144x2822_180_00s_RGB_integration_ABE4_SPCC_BXT5_cut
  • 撮影日: 2024年10月13日0時46分-4時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: UV/IR cut
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: ZWO ASI294MC Pro (-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 64枚 = 192分 = 3時間12分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

銀河のシンプルさに比べて、恒星の色をある程度出しました。上にある明るい青い恒星と、散りばめられたオレンジの恒星のおかげで、寂しさはあまり感じられないと思います。

銀河中心が飽和しないように、また腕の構造がある程度はっきり出るようにしてみました。色は私の中ではかなりおとなしめですが、これはのちの赤ポチで派手になることも見越して少し抑えています。


恒例のアノテーションです。周りにすごい数の銀河があることがわかります。
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PGCを無くしたこっちの方がシンプルでいいでしょうか?でもちょっと寂しぎですかね?
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過去画像との比較

ちなみに4年前の画像を再掲載しておきます。
masterLight_DBE1_PCC_AS_all4

今回のものと比較してみると、やはり見た目が全然派手です。あと、私はもともと恒星の処理が苦手で、この頃はまだStarNetで恒星分離ができ始めた頃で試行錯誤をしている最中で、今見るとかなり酷いです。さらに今回はBXTも使えるので、恒星に関しては進歩があったのかと思います。

機材でいうと、口径は76mmから51mmに減っていますが、F値では8から4.9になっているので、単位面積あたりの光子数が多くなっていて、今回の方が有利になります。画角はほぼ同じ(微妙に今回の方が広角)なので、その分センサー全体の大きさは違いますが、S/Nは単位面積あたりの光子数で決まるので、S/N比較ではあまり関係ないです。S/Nはピクセルサイズと密接に関係があり、6Dの6.5μmとASI294MCの4.6μmなので、信号が1ピクセルの面積に比例し、1ピクセルあたりの読み出しノイズは同じと仮定して、その他ノイズを無視してS/Nを考えると、計算上では(8/4.9) / (6.5/4.6) = 1.15とほとんど差は無くなってしまいます。

仮にトータル露光時間が同じとすると、信号Sが1.15^2倍前回の方が今回大きく、ノイズNが1.15倍だけ今回増えるので、S/Nは前回よりも今回の方が1.15倍いいことになるということで、機材としては今回の方が有利ということです。その代わりに分解能が前回の5472×3648から、今回は4144×2822と悪くなっています。S/Nをとるか、分解能を取るかですが、それぞれ別個のパラメータで、このように数値的に比較ができるものなので、画像と合わせてどちらをとるか考えればいいのかと思います。

実際には前回の露光時間が4時間35分で、今回が3時間12分なので、Sqrt(275/192)=1.20となり前回の方が有利なので、先の1.15倍と相殺してS/Nはほぼ同じと思っていいでしょう。分解能は6Dの方がいいので、機材と撮影条件では前回の方が良かったということになります。

それでも見かけでは今回の方がかなり良く見えるのかと思いますが、この違いは鏡筒自身の性能の差、さらにはカメラ自身の性能の差、あとは主に画像処理によるものかと思います。画像処理はBXTなどの分解能をソフト的に上げる効果もあるので、そこら辺も効いているのかと思います。


まとめ

4年ぶりのアンドロメダ銀河の撮影でしたが、機材はSWAgTiのおかげもあり鏡筒と合わせて軽くシンプルになり、撮影もガイドなしでかなり楽でした。ある意味、ここが一番大きな進化だと思います。実際の仕上がりの差はすでに出ていますが、L画像を別途撮影してさらに分解能を増すという手もあるかと思います。

SWAgTiは私の環境ではサブの標準機材としての位置を完全に確立しました。手軽だけれど信頼度は十分です。最近はずっと天気が悪いのですが、冬の星座も出てきているので、天気がいい機会があればパッと出して貪欲に狙っていきたいと思います。



日記: 金沢星の会70周年記念展示会@21世紀美術館

昨日の土曜日、午前中に金沢で用事があったので、午後から21世紀美術館に行って、金沢星の会の70周年記念の展示会に顔を出してきました。

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たまたま私の顔に気づいたNさんが声をかけてきてくださって、いろいろ案内してもらえました。今回70枚展示したとのことですが、70周年で70枚で、狙っていたわけではないですが圧巻でした。というのも、21世紀美術館は北陸では随一の規模を誇る美術館で、集客量もすごくて、今回訪れている間もひっきりなしにお客さんが訪れています。来ている方は星好きというよりは、ごく一般の方がほとんどのような印象でした。このような大きな場所での展示会はかなりインパクトがあり、参考にできるところが数多くありました。準備などもかなり大変だったと想像しますが、それだけの価値があるものだと思います。

展示は星景、季節ごとのDSO、太陽、月、惑星、彗星など多岐に渡り、奥の部屋ではタイムラプス映像を常時流していました。その部屋にも壁に写真が飾られていて、テーマは「能登の天体写真」ということです。今年初めの能登半島地震からの復興を意識しているのかと思います。これも全国から観光に訪れる金沢で、代表的な観光スポットにもなっている21世紀美術館で展示会を開くことが、意義に繋がっているのだと思いました。

天体写真は会員の方達の個性がとても出ていて、撮影者の名前を見ていると、この人はこんな傾向だとか、この人はこんな色使いが好きなんだなとか、いろいろ楽しむことができました。今回の記事と同じアンドロメダ銀河も大きなパネルに引き伸ばして飾ってあり、とても綺麗でした。ちょうど会場にアンドロメダ銀河を撮影した方が来ていたので、話をすることができましたが、ε160と6Dで撮影したとのことで、自分の環境と比較できるので面白かったです。

自分が所属する富山県天文学会も長い歴史があるので、今後何十周年とかなる時には、今回の展示会を参考にできればと思いました。

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