ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2023年10月

今回の「星と自然のフェスタ」、前回に引き続いて今回もかなり以前から講演を頼まれていたので、かなり気合が入っています。2023年10月27日(金)、平日ですがこの日は休暇を取り、準備万端で朝から小海まで移動します。


小海に向けて出発

昨年より1ヶ月近く早くなった開催日のために、まだそこまで寒くはなく、道が凍結するとかの心配もないので、いつも行く北陸道ー上信越道で佐久ICから南下するルートではなく、高速代とガソリン代を節約すべく、ほとんど下道の松本経由で行くことを計画していました。でも、妻が(前日に松本方面から行くと話したにもかかわらず)富山方面から行くと思い込んでいてしまい、同じ方向だからと子供に朝学校まで送ることを約束してしまいました。学校への往復だけで1時間以上かかるので、泣く泣く富山IC方面(実際に乗ったは一つ先の立山IC)から行くことになりました。出発は午前8時でしたが、高速に乗ったのは9時過ぎなので、昼過ぎくらいに着く予定になります。

昼頃になり、昼食をどうしようかと思い、小布施SAだとまだ昼には早く、東部湯の丸SAのレストランを見たけどいまいち食べたいものがなく、

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結局佐久北ICで降りて食べることにしました。佐久JCTで別れた後の中部横断自動車道は無料道路なので、気軽にどこでも降りられます。妻に言わせると、私が庶民的なところが好きらしいので、ローカルな個人経営のようなレストランを選んでくれました。年配の女性の方が一人で切り盛りしているみたいですが、出てきたランチは超大盛り。看板メニューのハンバーグ海老フライ唐揚げランチを頼んだら、メニューに書かれていない天ぷらだけで4つ、サラダに果物2種、味噌汁は多分山梨文化でカボチャとすいとん入りの超具沢山。どれもおいしくて、お腹が一杯になりました。妻は一番少なそうなナポリタンスパを頼みましたが、これも海老まで入っていて、実際にはすごい量でした。さらにメニューにのってないはずのコーヒーなどが選べるとこのこと。聞いたらサービスだそうです。

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食べた直後は大満足だったのですが、これが実は大失敗。後々まで尾を引くことになりました。


星フェス会場到着

小海のガトーキングダムに着いたのは13時半頃でしょうか。今回は講演の準備もあるので、落ち着いた場所が欲しくて、ホテルの部屋をとってもらいました。到着後チェックインを済まし、早速エーデルワイスのある眼下の第一会場へ歩いて移動します。そこそこの距離で、行きはまだいいのですが、帰りが大変そうです。

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左の建物がエーデルワイスで中はかなり広いです。昨年までのホテル前の会場から移動してきましたが、屋根付きで。しかも暖かくで、かなり快適でした。このことは特に夜になると身に染みて感じます。

写真の奥の坂の上に見えるのがホテルになります。まだ星フェス開始前なので、会場では、スタッフの方、ボランティアの方、企業ブースの方達が準備の真っ最中でした。とりあえずはサイトロンブースで、今晩のデモの打ち合わせをします。メインは土曜の明日なので、とりあえず今日は20時頃から、準備やリハーサルがてらのんびり始めることにしました。

この時間ですでに国際光器さんは販売を始めていました。いつも一番早くから、一番遅くまで販売してくれていて、とても頭が下がります。先月の星もとでOIIIフィルターを欲しいと頼んでおいたのですが、サイズをきちんと伝えていなくて、わざわざ用意して頂いたのに、サイズ違いで申し訳ないことをしました。私はナローバンドフィルターは星まつりの度に、国際光器さんで少しづつ買い集めてます。また来年の星まつりで探そうと思います。

妻を放っておいて、いろんな方との再会で盛り上がっていたら、いつの間にか約束の14時半近くになってしまいました。もう待ちくたびれていたらしく、道を使わずに草原の方を登ってホテルに向かっています。私も後を追っかけましたが、どこかしこに多分鹿さんの落とし物が...。昼間はまだいいですが、夜は避けて通れないので歩かない方がいいですね。


ウェルカムスイーツ!!!

なぜ14時半だったのか、それはウェルカムスイーツのためです。噂にはずっと聞いていて、去年はホテルに泊まったのになぜかチェックインの時に案内されず、やっと今回辿り着けた、念願のウェルカムスイーツです。実際は少しつまむだけかと想像していたら、さすがシャトレーゼのガトーキングダム(お菓子の王国)の名に恥じない、ビュッフェ形式でケーキなど食べ放題です。
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この後も何度かおかわりしたのですが、昼ごはんを腹いっぱいになったのを忘れて食べていたら、本当にもうお腹がはち切れそうになってきました。ほら、だんだんやばいことに...。


再び外へ

腹ごなしに、ホテル前の第2会場を覗きますが、まだセッティングの最中で、あまり人はいませんでした。第2会場は眼視と電視観望の予定とのことです。
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私はこの第2会場に少なくとも一般の人とかはたくさん集まって、もしかしたら下の第1に人が来ないのではないかと思っていました。でも蓋を開けてみると、エーデルワイスが快適なせいか、第2会場の方が人が多かったと思います。その一方、夜は第2会場はキャンプ場でもあるので、あまり遅くに騒がしくすることはできず、第1会場の方に人が集まったようです。

この後、第2会場に再び歩いて移動します。この時に、昨年の小海で初めて会って、自宅にまで遊びにきてくれて、9月の星もとでも再開したOさん一家と会いました。TwitterやAramisさんのブログでも紹介されていますが、小学6年生のスーパー天文少年です。なんでもBORGの型番で会話していたとか。同じく小海で会い、自宅に来てくれたEさん一家ですが、講演の時に会うことができましたが、私が忙しくてほとんど話すことができず、申し訳ありませんでした。でもOさんのところと、Eさんのところは、お互い色々話せたらしく、小海星フェスが取り持つ縁でこうやって輪が広がっていくのが、星イベントの魅力かと思います。

準備の時間とは打って変わって、ブースはすでにかなりの盛況ぶりです。
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サイトロンブースでは、SkyWatcherの新製品の太陽Hα望遠鏡を見せてもらいました。新製品と言ってもロゴも何も入っていない、まだ4本目の試作機みたいです。口径は76mm、焦点距離が630mmで、PSTと同じような、回転タイプの波長調整機構のエタロンです。太陽Hα望遠鏡の新規参入は久しくなかったはずで、性能、値段共にかなり期待できそうです。晴れたら星フェス会場で太陽を見るとのことなので、楽しみです。
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真ん中の緑色の小さな円筒は、太陽ファインダーです。

エタロンと共に興味のあるブロッキングフィルターです。径は5mmか、もう少しありますでしょうか。
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一旦休戦

夜のデモがあるので、少し早めに会場を後にして部屋に戻ります。夕食までまだ少し時間があったので、今のうちに温泉に行きます。温泉を出た後にアイスが食べられるのですが、今回はお一人様一本との紙が貼ってあったので、(多分)一番美味しいミルクアイスをいただきました。

夕食の時間になってもまだお腹がこなれていません。頑張って食べようと思ったのですが、プレート1回でギブアップ。その代わりケーキだけは大きいのを食べました。これが夕食ビュッフェの一番の楽しみです。
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ビュッフェ会場で、女性の方に「Samさんですか?」声をかけられました。私のこと認識してれくれているみたいです。よくよく話を聞いてみると、星まつりにどうにか参加してみたくて、なんと盛岡から!電車で来られたとのこと。中学の頃から星が大好きで、親からVixenのポラリス赤道儀を買ってもらい、しかも当時では珍しいモーター駆動。写真を撮ろうと挑戦したのに、ガイド鏡がさらに必要とわかって、さすがに親にそこまで欲しいと言えずに当時諦めたとのことです。久しぶりに星の世界に戻ってきたら、浦島太郎状態で世界が変わっていて、昔やろうとしたことが今ならできそうということで、一大発起して参加したとのことです。周りに同じ趣味の人がいるでもなく、ネットで調べていて、会場に来たらネットで見た本人がいる状態とのことで、大興奮で話してくれました。実際この後も何度かお会いして、夜にも一緒に望遠鏡の傍、色々お話しさせていただきました。

夕食後、すぐに第2会場に移動します。妻もやはり食べ過ぎたとのことで、この日はベットでゴロゴロのんびりタイムとのことでした。


三度第2会場へ

会場に着くと、外山電子の外山さん、ユニテックのKさん、大学の先輩であり陣馬写真工のHBさんという、そうそうたるメンバーが。「これまでだと寒かったけど、エーデルワイスみたいな建物があると暖かいので、次回出店してみようかな」と言っていました。外山さんが、前回の星まつりで私が「読んでみたい」と言っていた雑誌「Interactive」を全巻持ってきてくれていました。以前香川の天体望遠鏡博物館でパラパラっと見ることしかできなくて、内容は今では考えられないくらいにとても鋭くつっこんだ雑誌で、いつかじっくり読みたいと思っていたのです。結構貴重な雑誌でヤフオクとかにもあまり出てきません。全巻通しで読めるのは非常にいい機会です。お貸ししてくるということで、家でじっくり読みたいと思います。ちなみにこのInteractiveですが、今この場にいるKさんが昔作った雑誌とのこと。レジェンドです。

19時半頃からは電視観望機材を外のテーブルのところに出し始めました。準備をしていると、けーたろさんからコーヒーをいただきました。寒い中暖かいコーヒーはとても美味しかったです。そうこうしてると、サイトロンさんも機材を出し始めます。サイトロンさんの機材はなんとAskerの151 PHQです。151mmの屈折アポで贅沢にも電視観望をしてしまおうという企画です。私は気楽に35mmの1970年代のNIKKORレンズで、気楽に天の川電視観望です。でも時間的には天の川は少し遅くて、目玉のM8とかは高度が低すぎて見えませんでした。その代わりに、デネブ周りの北アメリカ星雲やサドル周辺などを含めての広角電視観望でした。私の機材は三脚に自由雲台と手軽なものですが、サイトロンさんの方は結構手こずっていました。SharpCapから赤道儀がうまくつながらないようです。結局ASCOMドライバーを入れ替えて、無事につながったとのことです。この日途中から雲が出てきてしまい、ほとんど何かをお見せすることはできなくて、21時半頃には撤収となりました。

途中、ブラックパンダさんのショップに寄ったのですが、ちょうど天リフの編集長さんがいて、「Samさん、これ見ました?」と「Stella Glasses」という名前の、一見何の変哲もないメガネのようなものを紹介してもらいました。なんでも、ブラックパンダさん考案で、普段使っているメガネの上からかけられて、星がはっきり見えるものだそうです。一通り説明を聞いて、「えっ???」と思い、すぐにサンプルをお借りして外へ。星を見てすぐに「うぉぉぉ!」となり、即買いしました。これは天才的なアイデアです!私はメガネの度数がだんだん合わなくなってきていて、星を見るために少し強めのメガネを作ったのですが、結局普段使いでは疲れてしまいほとんど使用せず。いつも「星がもう少し綺麗に見えたらなぁ」と思っていました。かといってメガネの交換は面倒なのです。観望会中はこのStella Glassesをつけていればもう困ることはありません。私の場合、今後の全ての星見で使うことになると思います。久しぶりの大ヒットで、これだから星まつりはやめられません。

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そうそう、途中あっかさんが見にきてくれました。最初にブログでコンタクトを取ったのは何年前でしょうか?たぶん2018年くらいなので、もう5年も前です。Zoomの何かの会議で話したことはありますが、お会いできたのは初めてです。電視観望初期の頃からRevolution Imagerで試してくれていて、いわば歴戦の猛者といった感じの方です。

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ぶれてしまっていますが、あっかさんです。

その後、天文あるあるで、22時半頃からかなり空が晴れ渡ってきて、夕食の時に声をかけてくれた女性の方とも合流して、昨年の私の講演を聞いて電視観望から始めてみたという方のところで天文談義となりあました。最近活躍目覚ましい、まつのりさんもご登場。女性の方二人の熱意が凄まじいです。まつのりさんからの、結構雲があるにもかかわらず「ガイドをしてみたら」という提案で、ガイド信号におかしな形が出ると、もうそこかしこから「あそこが悪いのでは、ここを直したらどうか」など大盛り上がりです。あまりの声だったのでしょう、スタッフの方から「キャンプ場なので夜間は静かにしてください」と大目玉を喰らいました。撮影をするなとということではないので、そのまま撮影は継続だったかと思いますが、やはり話せないとなかなか辛いものもあり、そのまま流れ解散です。

その後、少し第2会場に行きましたが、明日もあると思い23時半頃ですが、部屋に戻りました。

2日目に続きます。


 

 

 

10月26日、講演参加特典など追加しました。本ページ下部をご覧ください。


今年も長野県小海で開かれる「星と自然のフェスタ」で
電視観望の講演をします!

電視観望をやってみたい人、もしくは初心者に向けて基礎からきちんと解説したいと思っています。


日時と場所ですが
10月28日 16時00分~16時50分
ガトーキングダム小海(旧小海リエックスホテル)
2階特設会場
になります。

タイトルは
「初心者のための
カスタム型電視観望入門」
としました。

eVscopeをはじめ、Vesperaや、最近発売されたコストパフォーマンスに優れるSeestarなど、一体型のスマート電視観望機器が種類も豊富になり、特に初心者にとっては、電視観望を気軽に試すことができる、素晴らしい時代になりつつあります。一体型のいいところは、初期知識ゼロ、もしくはほんの少しの知識で星雲や銀河などが簡単に見えてしまうことでしょう。その一方、あらかじめ一体型に組み込まれた機器なので、望遠鏡部分やカメラ部分などを入れ替えることは難しく、そのためにどうしても見える範囲には制限ができてしまいます。「電視観望機器」を望遠鏡の一種と考えると、入門用の一体型と、より柔軟に機器の交換ができるカスタム型に分かれていくのはごく自然な流れなのかと思います。一般的な望遠鏡で焦点距離や明るさを変えることができるように、カスタム型の電視観望では
  • 天の川を見るような超広域を見る
  • 比較的広がりのある大きな星雲を見る
  • 小さな銀河を見る
など、望遠鏡やカメラなどの機材を変えることでさまざまな天体に対応することができます。

今回の講演は、
  • もっと電視観望の可能性を広げたい
  • 一体型電視観望機器では物足りない
  • 今は一体型電視観望を楽しんでいるけれど、将来を見越して電視観望をカスタマイズを考えてみたい
というような方に聞いて頂きたいと思っています。

自分で電視観望システムを組むときにどういった方向で進めればいいか、何がポイントかなど、かなり初心者向けに特化して一から丁寧お話ししたいと思います。その中で、電視観望においても機材をカスタマイズしていく楽しさのようなものをお伝えできればと思います。

なお、今回の講演は参加費用(1000円)を頂くことになります。対象はホームページの案内では高校生~大人となっていますが、興味があり聞いてみたいと思うならば年齢は問いません。心配な場合は、当日講演会場で直接私までご相談ください。また、会場の広さには制限があり、参加希望者が多数の場合は入場制限をすることがありますので、ご了承ください。

昨年は事前にチケットを購入して頂く形でしたが、

今年は講習会会場入り口でお支払い、
ご入場となりますので、事前予約は必要ありません



ここから、星フェス直前の追加情報です!
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特典1: 「電視観望向けCMOSカメラの系譜」図の配布

カスタム電視観望用のカメラ選択の助けになるように、完全オリジナルのA3版のCMOSカメラの系譜図を配布します。下に一部を抜粋していますが、最近のCMOSカメラは種類がたくさんありすぎて、その関係を把握するのがかなり大変になっています。どのカメラがどのカメラの後継になるのかなど、メーカーを跨いで掲載しています。

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特典2: 「サイトロン製フィルター特別割引クーポン」の配布

参加費をご負担いただく代わりにというわけではないですが、サイトロン様の協賛で
「電視観望入門応援企画」
として、講演会場内で、
サイトロン製フィルター特別割引クーポン
をお渡しします。このクーポン券を使うことで
  • CometBPフィルターアメリカンサイズ
  • DualBPフィルターアメリカンサイズ 
  • DualBPフィルター48mm
のうち1点が特別価格で購入できます。金額などは当日サイトロンブースでご確認ください。

注意点ですが、
  • クーポンは一人1枚、所有のご本人様に限り1商品のみ対象です。
  • 商品はなくなり次第終了となります。
  • お取り置きや後日発送は承れません。
  • 10/28日22時まで有効です。29日の出店はありません。10月28日のみご利用可能です。10月29日は出店しませんのでご注意下さい。
この講演を聞いて、是非とも電視観望に有効な上記フィルターを手に入れてください。

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特典3: 講演ファイルのダウンロードとブログ記事へのリンク

講演参加者には、プレゼンファイルのpdf版のダウンロード先をお知らせします。講演を聞いて、その場で把握しきれないなど、後から確認できるはずです。

さらに、いくつかのページには、この「ほしぞloveログ」の該当記事へのリンクを書き込んでおきました。当ブログは情報はたくさんあるかと思いますが、膨大すぎてどこに何の情報があるのか、把握が困難な状況になっているかと思います。いくつかのリンク先はかなり過去の記事で、情報が古い場合もありますが、後から詳しい説明が欲しい場合に役に立つかと思います。リンク先の記事がいつもの通り長いのは、どうかご容赦ください。


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アナウンス1: サイトロンブースでの電視観望デモ
星フェス当日、天気が良ければ、サイトロンブースで電視観望のでもを行います。場所は企業ブースがあるエーデルワイスの前となる予定です。

今回のテーマは

「ハイエンド機器での電視観望」

です。憧れの大口径アポクロマート屈折など、電視観望で使うにはちょっと勿体無いとも思われる機器を使い、ハイエンドでの電視観望を行いたいと思います。電視観望がどこまで行けるのかの一端を見せることができればと思っています。当日は簡易的な画像処理までして、天体写真として仕上げようとも思っています。ただ、木曜現在での天気予報が、金曜はまだいいのですがメインの土曜が曇りになりつつあります。金曜日はリハーサルがてら準備も含めておそらく20時頃から始めることになると思います。メインは土曜日ですが、天気の様子を見て始めることになるかと思います。ホテルからは少し遠いですが、是非エーデルワイス前の観望会場にお越しください。


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アナウンス2: 天文楽者のRYOさんの電視観望講演

この電視観望講演の後に、同じく土曜の18時から、天文楽者のRYOさんによる

「近赤外線で見る新しい星空の世界」

という講演があります。こちらは電視観望の応用のような形になるはずです。よろしければ是非とも2つ併せてお聴きいただければと思います。RYOさんの講演ではHαフィルターの割引チケットを手に入れることができます。



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アナウンス3: 気軽に質問してください!
星フェス当日ですが、私は金曜午後過ぎくらいから日曜朝くらいまで会場にいる予定です。「Sam」と書いたネームプレートをかけていますので、どうかお気軽にお声かけください。特に、講演を聞いて分からないところなどもできるだけ答えますので、もし会期内にSamの姿を見かけたら、遠慮せずにつかまえてどんどん聞いてください。


それでは会場で、皆様とお会いできるのを
楽しみにしています。


2023/10/12、久しぶりに新月期で晴れです。平日なのであまり無理をしたくないのですが、せっかくなので撮影を敢行しました。


久しぶりの撮影

実は前日の10月11日も晴れていたのですが、ε130Dの光軸調整で時間を潰してしまい、何の成果もありませんでした。実際光軸調整も大したことはできず、せっかくの晴れでもったいないです。なんとか撮影の成果だけは残そうと思い、SCA260+ASI294MM Proで簡単な撮影をしました。この日の撮影は、前半がM27、後半がM45です。でも結局撮影が忙しくて、せっかくε130Dを出してセットアップまでしたのに、光軸調整はやっぱりできないんですよね。平日に二つのことは厳しいです。

今回M27にした理由ですが、5月にHα画像を写していました。その後続けてOIIIも撮ったはずなんです。でも撮影後に確認したら、実際に撮影していたのはB...。AOO撮影のはずなのに、Aの次はBと思い込んでしまったようです。今回はそのリベンジで、OIIIの撮影です。でもここでも痛恨のミス。縦横を合わせ損なって90度ずれてしまい、使えるのは重なる正方形の部分だけとなってしまいました。

前回M27を撮影したのは2年前のTSA120を使ってです。2021年9月になります。この時が、そこそこセンサー面積があるモノクロカメラを使った初のナローバンド撮影で、まだフィルターホイールも持っていなかったので、手でフィルターを付け替えてのAOO撮影でした。本体周りの羽の部分を出したくてOを重点的に出そうとしました。羽はそこそこ写ったのですが、意外にAが出なくて、Aのリベンジが課題だったことを覚えています。



それでもこの時のM27には結構満足していて、もうしばらく撮ることはないなと思っていましたが、2年経つとアラも見えてきますし、SCA260でさらに光量が稼げるとか、BXTが台頭してきたとかで、状況も大分変わってきています。高度も高く、夏を中心に一年のうちのかなりの期間撮影が可能なので、ベンチマークがわりに再びM27を撮影しようとここしばらく思っていて、やっと実現できたというわけです。


撮影

SCA260での撮影は久しぶりです。少しづつ思い出しながらのセットアップになりますが、それでもほとんどトラブルもなく、比較的順調に撮影開始となりました。一つだけミスがあって、StickPCを使っているのですが、SCA260+ASI294MM Proで使っているStickPCと、ε130D+ASI6200MM Proで使っているStickPCが入れ替わっていて、気づかずにカメラの設定やフィルターごとのEAFのピント位置とかの設定でファイルを上書きしてしまいました。気づいたのはプレートソルブがどうしてもできなくて、ε130Dの焦点距離の400mmが入っていた時でした。でも面倒なのでそのままStickPC交換せずに使い続けたのですが、色々不具合が出てきて、すぐに交換すればいいと後から後悔しました。
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撮影中のNINAの画面。ガイドも順調です。

撮影は順調に続き、OIII画像が溜まっていきます。23時位になるとM27が隣の家の屋根にかかってしまい、次に考えたのが、ずっとやってみたかったモザイク撮影です。以前拡大撮影したM45: プレアデス星団が次のターゲットですが、これは別の記事で書きたいと思います。


追加撮影

OIIIの撮影直後は5月に撮影したHαと合わせて仕上げてしまおうと思っていましたが、縦横の間違いが悔しかったので、結局10月17日にHαを、OIIIと同じ方向にして撮影し直してしまいました。こうなってくるとOIIIもHαももう少し追加したくなり、18日にも追加撮影して、5分露光でHαが44枚、OIIIも44枚で、合計88枚、総露光時間440分で7時間20分となりました。17日から18日にかけては庭に望遠鏡を出しっぱなしにしていたので、すぐに撮影に入ることができ、18時台から撮影を開始できています。


フラットでトラブル

久しぶりの撮影なので、フラットを撮り直しています。フラット撮影は、昼間に明るい部屋で白い壁を映しています。ところが、今回条件を一緒にしようとして「冷却して」撮影したのは失敗でした。結露が起こってしまったことに後から気づき、結局常温で全て撮影し直しです。DARKFLATも温度を合わせるため、こちらも全部取り直しです。
2023-10-14_14-00-20_M 27_2x2_FLAT_R_-10.00C_0.01s_G120_0000
フラット撮影中にオートストレッチして、こんな風に真ん中にシミのような大きな模様ができていたら、結露しています。拡大すると、おかしな黒い点々が見えたりします。

普段はフラットは昼間に部屋が明るい時に撮っていましたが、雲があると明るさがバラバラになるのでダメですね。今回は早く画像処理を始めたかったため、暗くなってから部屋のライトをつけて撮影しました。でもこれ、もしかしたらダメなのかもしれません。特にHαですが、微妙にフラット補正が合わずにムラになってしまいました。

以前記事に書いたことがあるのですが、ナローバンド系はフラットファイルそのものがどうしてもムラムラになってしまいます。



当時、センサー自身のムラではないかと予測したのですが、その後ZWO自身がこのムラはセンサーの特徴だと言及しているページを見つけました。



当時このページの存在は知らなかったのですが、後からやはり推測は正しかったと分かりました。でもいずれにせよ、このムラはフラット補正で解決できましたし、ZWOの説明でも同様のことが書いてあります。

でも今回は、フラット補正をしてもどうしても、ムラの形が残ってしまいました。まず、今回撮影したフラット画像のうちの1枚です。ナローバンド特有の大きなムラ構造が出ています。
masterFlat_BIN-2_4144x2822_FILTER-A_mono

次に、AOO合成した直後の画像です。上のフラット画像と比べてみると、ムラの形がよく似ていて、暗いところが赤くなってしまっているのがわかると思います。
Image11_ABE

まだ未検証ですが、部屋の明かりを使ったのが悪かった気がしています。明かりとしては、蛍光灯と電球を合わせたのですが、それぞれ波長が違っていて、違った種類の光源が複数方向から来ているので、複雑な形の輝度勾配ができてしまっていた可能性があります。もし時間が取れるなら、再度晴れた日の明るい部屋の中で自然光を光源に、再度撮影してみたいと思います。あ、多分ですが、晴れた日にの薄明時に鏡筒を空に向けるのが一番いいのかとは思いますが、時間が限られるので、壁での方法を確立しておきたいということです。

今回問題だったフラットのムラはHα、OIIIともにDBEを細かくかけることで、なんとか見える程度にすることができました。


ダークの撮影

あと、今回ついでにダークも久しぶりに撮影しました。ダーク系を撮るのも昼間は注意が必要です。カーテンを閉めてできるだけ部屋を暗くするのはもちろんですが、鏡筒や特にフォーカサー部などにきちんと暗幕(タオルとか、服とか)をかけて撮影しないと、完全にダークになりません。今回は二度に分けてダークを撮りましたが、最初の暗幕が甘くて、十分暗くなりませんでした。
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こんな風に望遠鏡をくるんで、さらに部屋を暗くしてダークを撮影してます。


最新版PixInsightと、Mac M1でのStarNet

私は画像処理にMacのM1を使っているのですが、最近PixInsightを1.8.9-2にアップデートしたら、StarNet V2が使えなくなりました。その後StarNet V2もアップデートされ、最新バージョンのPIでも使えるようになったということでしたが、再インストールの方法を忘れてしまい少し手間取りました。Niwaさんのページやその参照元のCloudy Nithtsに解説があるのですが、自分の環境とは微妙に違っていて、そのままではうまく動きません。うまく動いた方法を書いておきます。

まず、ダウンロードページに行って、



をダウンロードします。その後、ファイルを解凍します。
  1. StarNet2_weights.pbとStarNet2-pxm.dylibは/Applications/PixInsight/bin/にコピーします。
  2. libtensorflow.2.dylibとlibtensorflow_framework.2.dylibはApplications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/にコピーします。PixInsight.appの中身は、PixInsight.appを右クリックして「パッケージの中身を表示」を選ぶとアクセスすることができます。
  3. 以下のコマンドを、一つ一つコピペしてターミナルから実行します。
  • sudo chown root:admin           /Applications/PixInsight/bin/StarNet2_weights.pb
  • sudo chmod 644                  /Applications/PixInsight/bin/StarNet2_weights.pb

  • sudo chown root:admin      /Applications/PixInsight/bin/StarNet2-pxm.dylib
  • sudo chmod 755             /Applications/PixInsight/bin/StarNet2-pxm.dylib

  • sudo rm -f             /Applications/PixInsight/bin/libtensorflow*
  • sudo chown root:admin  /Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/libtensorflow*
  • sudo chmod 755         /Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/libtensorflow*

あとはREADME.txtに書いてある通りに、
  • PI上でPROCESSES=>Modules=>Install Modulesで'Search'を押すと、StarNetが出てきます。
  • その後他のボタンは何も押さずに'Install'を押します。
  • うまくいくとStarNet2がPROCESSES-><Etc>もしくはPRECESSES-><All Processes>に出てくるはずです。
怖かったのは、マニュアルに「ちゃんと手順を踏んでやってもサーチでStarNetが出てこない場合は、AVXに対応してないから仕方ないとか、心を折るような記述があることです。でもM1のMacでPIの最新版で、確実にStarNet V2をインストールできたので、諦めずに正しい手順でやってみてください。


結果

画像処理に関しては、あとはほとんど問題はありませんでした。ナローなので、色決めに一意の解はなく、SPCCも恒星の色を合わせるように設定したので、星雲の色は自由度があります。他の画像を見ていてもM27の色は様々で迷いますが、前回TSA120で出した色が比較的好みなので、今回も近い色としました。

画像処理の結果が下のようになります。
masterLight_BIN_2_300_AOO_SPCC_BXT_DBE_MS_MS_BG2_cut_X3
  • 撮影日: 2023年10月12日20時59分-22時52分、10月17日20時34分-23時29分、10月18日18時18分-22時35分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260 (f1300mm)
  • フィルター: Baader Hα, OIII
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、Hα:44枚、OIII:44枚の計88枚で総露光時間7時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、42枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα, OIII:10秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ちなみに、2年前に撮ったTSA120の画像が以下になります。
Image09_DBE2_stretched7_cut_crop_b


比較と評価

2年前と今回を比較してみます。
  • 最初のスタック画像を見ていると、微恒星に関してはどうも前回のTSA120の方がより出ている気がしました。これまで同じ対象でTSA120とSCA260を比べて、SCA260が負けたことはないので、意外な結果でした。原因はシンチレーションくらいしか考えらないです。もう夏の気候は終わってしまったので、揺れは大きくなっているのかもしれません。それでもBXTをかけて改善する余地があったので、結果としては今回の方が微恒星は数も鋭さも出ています。
  • 狙いの本体外側の蝶の羽の部分は、今回の方が明るい鏡筒で露光時間も倍以上と長いため、明らかに綺麗に出ています。羽の部分はOIIIの青よりも、Hαの赤の方がやはり淡いようで、前回よりも出てはいますが、フラットムラのこともあり、まだ露光時間を伸ばすか、このレベルの淡さになってくると自宅よりはさらに暗いところに行ったほうが効率がいいのかと思います。ここ最近の記事で、明るいところと暗い所のスカイノイズの影響が数値で定量的に出るようになってきたので、いずれこの淡さならこの場所に行くべきというようなことが言えるようになるのかと思います。
  • 中心部の微細構造は、口径とBXTの効果で圧倒的に今回の方がいいです。ただし、淡い羽部分の分解能との差がありすぎるので、多少なりともバランスを取るために、あえて少し分解能を落としてあります。
今回のM27、羽の部分、中心部分の分解能、微恒星の鋭さ、背景のノイズなど、ほぼ全てを2年前の結果を上回っていて、自己記録更新です。あえていうなら、透明度みたいなのだけは以前の方が良かったように思いますが、これは画像処理に依っていて、まだ私も確信を持って(少なくとも見かけの透明度さえも)透明度をコントロールできていないので、偶然によってしまっています。それ以外はトータルとしてはかなり満足しています。


まとめ

久しぶりのSCA260での本気撮影でしたが、かなり満足な結果でした。自宅庭撮りで、M27の羽がここまで出るのなら、十分なのかと思います。その一方、これ以上出すのは撮影時間がかかりすぎることなどから難しく、暗いところに行く必要があると思います。次のシーズンに飛騨コスモスでしょうか?

ε130Dの光軸調整がなかなかはかどっていないので、しばらくはSCA260での撮影も継続していこうと思います。


前回の記事では、ノイズだけ考えたら露光時間を短くしてもいいという結論でしたが、一つ重要なことを言い忘れてました。今回の記事につながることなのですが、露光時間を短くしすぎると、天体自身が暗くなりすぎる場合があります。これまで考えてきたノイズNに対して、目的の天体である信号Sが小さすぎて、S/N(Signal to Noise ratio, SN比)が悪くなってしまうということです。

露光時間を伸ばしたり縮めたりすることで、ADC(Analog to Digital Converter)のダイナミックレンジ内に、適した大きさの信号を入れるということです。露光時間を伸ばすと、ダークノイズもスカイノイズも大きくなるので、単に暗いからといって闇雲に長くすればいいというわけでもないです。

露光時間もそうですが、カメラのゲイン(一眼レフカメラならISO)も同じような状況で、こちらも信号をADCのダイナミックレンジ内に持ってくるという重要な役割があります。同時に、ゲインを変えると読み出しノイズの効きも変わってくるので、こちらも単純な話ではありません。




ゲインの調整

まず簡単なゲインの方から片付けましょう。最近のCMOSカメラのゲインの選択については、天体写真撮影の場合、ほぼ2択のみだと考えています。具体的には、ゲイン0か、HCG (High Conversion Gain)モードが起動するところです。HCGが起動するゲインはカメラによりますが、典型的にはゲイン100とか120とかです。少しピックアップしてみると
  • ZWO ASI294MC, MC Pro, MM Pro (IMX294): gain 120
  • Player One Artemis-C Pro (IMX294): gain 120 
  • ZWO ASI533 MC Pro, MM Pro (IMX533): gain 100
  • Player One Saturn-C (IMX533): gain ~125
  • ZWO ASI2600 MC Pro, MM Pro (IMX571): gain ~100
  • Player One Poseidon-C Pro, M Pro (IMX571): gain ~120
  • ZWO ASI2400 MC Pro (IMX410): gain ~140
と、100から140、典型的には120ですかね。センサーが同じでもHCG発動ゲインはメーカーによって違うので、これはセンサー自身で決まるのではなく、カメラメーカーの組み込みの際のアナログ回路のゲイン調整で決まるものかと推測されます。

どのカメラも、グラフを見てもらうとわかりますが、ゲインが0かHCGのところでダイナミックレンジが大きいです。このダイナミックレンジが大きいというのが有利なところになるので、ゲインは2択となるわけです。明るい対象ならゲイン0、暗い対象ならHCGということです。

ラッキーイメージや電視観望など、露光時間が極端に短く、ダイナミックレンジを犠牲にしても明るく撮りたい場合は、ゲインをもっと上げて信号をADCの適正範囲内に持ってくるということは、戦略として正しいかと思います。私はラッキーイメージはあまりやりませんが、電視観望の場合はゲインを400とかそれ以上にします。

さて、典型的なHCGのゲイン120ですが、ゲイン0とどれくらい明るさが違うのでしょうか?ゲインの単位は0.1dBなので、12dBの違いがあることになります。では12dBとはどれくらいの倍率なのでしょうか?

定義式は20 x log10(gain)なので、0dBで1倍、20dBで10倍、40dBで100倍、−20dBで0.1倍、-40dBで0.01倍、6dBで2倍、−6dbで1/2倍、10dBで約3倍、−10dbで約1/3倍とかなるので、12dbだと6+6dBで、2x2=4倍になります。実測でもほぼ4倍になります。そう、高々4倍なのですよね。

高々これくらいの違いなので、淡い天体写真の場合にはゲインを上げて明るく撮ったほうが有利なので、実質的にはゲインはHCGのところ一択だと思っていて、私はゲイン0dBで撮影したことは未だありません。

というわけで、ゲインはHCGのところで固定としましょう。これ以降の明るさ調整は、露光時間のみで行うことにするとします。


露光時間の調整

ゲインが固定なら、露光時間は目標天体が十分な明るさになるように設定すればいいだけです。でも、この「十分な明るさ」というのが、ものすごく難しいのです。

ある露光時間で撮影した天体の明るさと、前回までで求めたノイズからS/Nが決まります。当然S/Nは高いほどいいので、露光時間を伸ばせば伸ばすほどS/Nは上がり、星雲などの淡い天体はよく見えるでしょう。でも撮影しているのは星雲とかの淡い天体ばかりではなく、恒星など狭い範囲ですが非常に明るくなる天体も含まれています。露光時間を長くすると、当然このような明るい恒星などは飽和してしまいます。そのため、露光時間に上限ができます。それでも画角内に3等星や2等星以上の明るい恒星があると、飽和を避けて淡い天体を写すことは難しくなってきて、その場合は飽和を許容し、明るい恒星のためにあえて露光時間を短くして暗くして別撮りし、HDR(High Dynamic Range)合成などという手を取ることもあり得ます。

露光時間の上限は飽和のみで決まるというわけではなく、赤道儀などの性能でも決まり、星像が流れない範囲で露光時間の上限が決まるということもあるでしょう。突発的な車のライトの映り込みなどもあり得ることを考えると、露光時間を例えば1時間とすることはあまり現実的ではありません。


S/Nの見積もりかた

これまでの検証で、具体例として開田高原で撮影したM81の1枚画像では、背景光の部分は14.9 [e]くらいのノイズがあって、その中でスカイノイズが支配的だということがわかっています。

でも1枚撮りの画像を見ているだけだと、どこが分子雲でどこが背景なのか、なかなかわからないと思います。例え分子雲がある場所だとしても、この1枚画像だけでは分子雲としての信号に相当するSが小さいため、S/Nが相当低くなってしまっていて、おそらく1以下とかになっているということです。

ではここでクイズです。そもそも、S/Nが「1」ということはどういうことなのでしょうか?単純にはノイズNに対して、同じ大きさの信号Sがあるということです。でも、Nと同じ大きさのSというのも、よく考えるとあまり単純なことではありません。例えば、ノイズとして背景光が支配的で、背景光の量が100、そのノイズがルートをとってN=10と仮定します。この時、天体が写っている領域の輝度を測定したとして、一体幾つならば、S/Nが1となるでしょうか?単位は面倒なのでノイズも信号も [ADU] (ADCのカウント数)とします。

ノイズが10 [ADU]なので、測定された輝度が10 [ADU] となる所がS/Nが1となるのでしょうか?でも、一番暗いはずの背景光自身が100もあるので、(ある領域の輝度を平均した場合)輝度が10の所なんて、そもそも無いですよね。なので、ここでは測定された(平均)輝度から背景光を引いたものと比較するとしましょう。色々考えたのですが、こう考えるのが一番自然かと思います。この場合、輝度が110と測定されたところが110-100=10でSが10となり、S/Nが1となる所です。例えば、輝度が200ならば、200-100=100でS/Nが10になりますね。

でも実はこれだけではまだ不十分で、まず撮影された画像には底上げされたオフセットがある可能性があります。SharpCapやNINAで「輝度」とか「オフセット」とかいう値です。ASI294MM Proではこの値に16をかけたものが画面全部に加わっています。 この値をあらかじめ輝度から引いてやらなければならないことに注意です。私は撮影時はいつも40という値を使っているので、40x16=640を、測定した輝度から引いた値が正しい輝度になります。

さらにややこしいのが、天体部分の明るさからくるショットノイズがノイズとして加わります。分母のノイズ部分に、明るさのルートからくるショットノイズを2乗和のルートを取る形で加えてやり、それがノイズNとなります。淡い天体部分ではあまり効きませんが、明るい天体部分では無視できないでしょう。 

さらに忘れてはいけないのは、背景ではスカイノイズが 支配的として考えましたが、ダークノイズや読み出しノイズが支配的な状況では、これらのノイズも2乗和のルートを取る形で加えてやる必要があります。

こうしてNが決まるので、多少ややこしいですが、Sの値としては、測定した輝度値から背景光量とオフセット量を引くということに注意すればいいのかと思います。


実際の画像でのS/Nの見積もり
 
では、実際の撮影画像でどれくらい信号があるのか見積もってみましょう。評価したいのはこれまでと同じ、開田高原で撮影したM81のL画像の1枚撮りです。1枚撮りのRAW画像をストレッチしたものが下になります。

2023-01-21_22-52-45_M 81_L_-10.50C_300.00s_0000_HT
 
今回は背景と分子雲のところの違いを見たいのですが、1枚撮り画像だと背景と分子雲の見分けがつきません。そのためまずはスタック済みでS/Nを上げたものを使います。

ただし、通常のWBPPなどのプロセスでスタックしたものは、ダーク補正やフラット補正、さらにIntegration時に背景の規格化などをしていて、背景の値が変わってしまうため、今回はこれらの補正や規格化を一切しないでスタックした画像を、別途用意しました。スタック済み画像で評価して、スタックの効果を取り除いて1枚画像でのS/Nを評価しようという算段です。

下が、スタック済み未処理画像をjpegにしたものです。リニア画像なので、実際の見た目は真っ暗で、所々に恒星が見えるだけです。
just_integration1_HT_normal

わかりやすくするためにマニュアルでストレッチしたものを下に載せておきますが、測定はあくまで上の真っ暗な画像を使います。フラット補正や、ABE、DBEなどをしていないため、周辺減光もそのまま残ってしまっています。それでも銀河本体の周りに分子雲があるところなどがわかると思います。

just_integration1_HT

その中で、右下部分で、下の画像のように三点を抜き出して評価します。
previews

  • Preview01が「背景」に近いかなり暗いところ
  • Preview02が少なくとも「分子雲」とはっきりわかるところ
  • Preview03が「銀河の腕」の部分
の3箇所で進めます。一点での測定ではノイズのため輝度にばらつきが出てしまうので、PixInsightのプレビュー機能を使い、ある程度の面積の平均輝度を測定しました。実際の測定は暗いリニア画像を用いています。
    結果は
    • 背景: 940.8 [ADU]
    • 分子雲: 943.2 [ADU]
    • 銀河の腕: 974.9 [ADU]
    となりました。今回、背景と言っても本当の背景かどうかはわからないのですが、周辺減光の影響があまりなさそうな所でかなり暗いところを選んだので、ここの輝度を背景光の平均輝度とします。このシリーズのその1で測定した920と20程度の差がありますが、あの時は比較的暗い画像を選んだので、スタックして平均をとるとこのくらいになるのかと思います。場所は同じようなところを選んでいます。

    これらの値から、オフセット分の40x16 = 640を引くと
    • 背景: 300.8 [ADU]
    • 分子雲: 303.2 [ADU]
    • 銀河の腕: 334.9 [ADU]
    となります。これが実測の輝度となります。

    さらに、天体部分の後ろ2つから、背景光分の輝度300.8を引くと
    • 分子雲: 3.2 [ADU]
    • 銀河の腕: 34.9 [ADU]
    となりますが、これが信号のSに相当します。単位は[ADU]なので、コンバージョンファクターを使って[ADU]から[e]に変換します。コンバージョンファクターは測定値の[ADU]から、比較に便利な共通単位の[e]に変換できる、重要な値でしたね。ここでは横軸gainが120の所の、0.9 [e/ADU]を上の値に掛けてやります。その結果
    • 分子雲: 2.9 [e]
    • 銀河の腕: 31.4 [e]
    となります。

    一方ノイズですが、同じ場所の実測値を使います。これまで見積もり値を使ってきましたが、実測値とよく一致していることがもうわかっているので、そのまま実測値を使ってしまっていいでしょう。なぜ実測値を使いたいかというと、天体の明るさが起因のショットノイズも含んでいるからです。そのため、より現実的なS/Nを得ることができるからです。ノイズの実測値は、単位を[e]にするところまで求めて、
    • 背景: 3.07 [ADU] -> 2.76 [e]
    • 分子雲: 3.16 [ADU] -> 2.84 [e]
    • 銀河の腕: 3.73 [ADU] -> 3.36 [e]
    となります。

    SとNが単位[e]で出たので、S/Nが計算でき、
    • 分子雲部分のS/N: 2.9/2.76 =  1.04
    • 銀河の腕部分のS/N: 31.4/3.36 = 11.0
    となりました。

    ヒョエー!?
    分子雲のところ、何とS/Nがわずか1程度です!
    しかもこれ28枚の画像をスタックした後の値ですよ...。

    S/N=1ということは、背景に比べた明るさの持ち上がり具合が、そこでの輝度のばらつき具合と同じくらいということです。実際、スタックされた画像を見る限り、やはりそれくらいかと思います。

    さらに1枚画像で考えると、S/Nはルート28 = 5.3分の1に減るので、1.04 / 5.3 = 0.196となります。やはり1枚画像ではS/Nが1よりかなり下で、分子雲がノイズの中に埋もれてしまい、見分けがつかなかったということに納得できます。

    その一方、銀河の部分はかなり明るくS/Nも10以上と高いです。スタックの効果を無くした1枚画像でも、同様の計算で11.0 / 5.3 = 2.08となり、S/Nが2を超えていて十分に大きく、撮影直後でもストレッチさえしてしまえば腕の形も認識できることがわかります。
     

    まとめ

    今回は信号を考えてみて、実際の画像の特に淡いところを見積もってみました。S/Nの具体的な評価方法がかなり見通しよくなったかと思いますし、実際の画像を見た直感的な印象ともかなり一致すると思います。

    今回の計算中に、前の記事での細かい計算ミスが見つかり、直しておきました。もしかしたらまだ大きな勘違いがあるかもしれないので、もし何か気づいた方がいましたら、コメントなどお願いします。







    この記事は、実画像のノイズ評価(その1): 各ノイズの貢献度合


    の続きになります。


    前回の復習

    かなり前の記事になってしまうので、私自身忘れてしまったことも多くて記事を読み返しながら今回の記事を書いています。前回の記事で何がポイントだったのか、復習がてら少しまとめ直してみます。

    前回の記事では読み出しノイズ、ダークノイズ、スカイノイズの3つについて、実際に撮影した画像を元に数値的に具体的な値を見積もりました。特にこれまでスカイモイズをどう見積もるかが難しかったこともあり、あまりきちんと評価されてこなかったようです。前回の記事では画像の明るさからコンバージョンファクターを使いスカイノイズを見積もるという手法を提案し、実際のスカイノイズを数値で出すという試みをしています。

    その結果、撮影地で有名な暗いと言われる開田高原の空でさえ、スカイノイズが支配的で、15.9[e] 程度ありました。読み出しノイズ、ダークノイズがそれぞれ1.8[e] と1.5[e] で10分の1程度です。実際の効きは2乗して比較すべきなので、それぞれスカイノイズに対して(15.9/1.8)^2 = 1/78、(15.9/1.5)^2 = 1/112と78分の1とか、112分の1とかしか影響していないことがわかります。

    これが富山の街中の自宅になると、スカイノイズがさらにひどいことになり48.0[e] となり、3倍近くの大きさです。開田高原と同じクオリティーにしようとしたら、(48/15.9)^2 = 9.1で9.1倍ほどの露光時間を必要とします。開田高原で5時間45分かけているので、自宅だと52時間20分かけて撮影すると同じになるというわけです。自宅だと平日も撮影して放って置けるのですが、北陸で冬に1週間も連続で晴れることはほぼありえないので、実質不可能です。こうやって具体的な数値を入れてみると、大きな違いになることがわかります。

    このように、スカイノイズが支配的な場合は読み出しノイズやダークノイズはほとんど効いていないので、露光時間をもっと増やしてもいいのではないかと疑問を投げかけた形で前回の記事を終えています。今回はその疑問に応えるような形で、撮影条件やパラメータを変えながら、検討してみます


    どこまで露光時間を縮めることができるか?

    簡単のため、L画像のみを考えます。カラー画像も原理は同じですが、ディベイヤーなど計算が複雑になるので、とりあえずここではモノクロとします。

    読み出しノイズ:
    まずは露光時間を短くして、スカイノイズを小さくして、読み出しノイズと同程度になるような状況を考えてみましょう。露光時間をどこまで短くできるかを求めてみます。

    今回使った開田高原で撮影したM81の画像では、露光時間300秒の時に、スカイノイズと読み出しノイズの比が

    15.9[e] : 1.8[e] = 8.8 : 1

    で約9倍の差があります、スカイノイズを約9分の1にすればいいので、明るさで考えると2乗で81分の1にしてやればいいことになります。露光時間で考えると300秒を81分の1にしてやればいいので、300[s] / 81= 4.8 [s]と、露光時間をわずか3.7秒にまで短くするとやっとスカイノイズが読み出しノイズと同等になります。こんなに短くていいんですね!?

    ダークノイズ:
    次に、スカイノイズがダークノイズと同程度になる温度を求めてみます。まずは300秒露光だとすると、スカイノイズとダークノイズの比は前回記事の計算から

    15.9[e] : 1.5[e] = 10.6: 1

    と10.6倍程度の余裕があるので、−10℃で撮影した時のダークノイズが10.6倍程度になるには、暗電流で考えると2乗になるので、−10℃での暗電流が10.6^2 = 112倍程度になるところの温度を暗電流のグラフ(縦軸が2倍ごとの対数グラフであることに注意)から読み取ってやればいいはずです。−10℃での暗電流が0.007程度なので、112倍だと0.79とかなってしまい、もう30℃超えとかの温度になってしまいます。今回くらいスカイノイズが支配的ならばもう冷却に関しては全然気にしなくていいと言うことになってしまいます。


    本当にそんなに余裕はあるのか?

    開田高原の暗い空でさえ、露光時間は3.7秒以上ならOK、温度は30℃以下ならOKと、にわかには信じ難い数字が出てきました。さらに(今回撮影した日の)開田高原より明るい空ではこの条件は緩和され、さらに短い露光時間でも、高い温度でもよくなります。これまでおまじないのように露光時間を伸ばし冷却をしてきたのですが、実際にはほとんど効いていなくて、1枚あたりの露光時間を減らしていいし、センサー温度ももっと高くてもいいということになります。

    でも、ここまでの検証、本当に正しいでしょうか?

    答えは原理的にはYesですが、実用上はNoでしょう。まず、暗い空に行けば行くほどこのパラメータの余裕は少なくなっていきます。また光害防止フィルターを使うと、実質的に暗くなるのでスカイノイズは小さくなり、上記露光時間と温度の余裕は少なくなっていきます。これらの場合1枚あたりの露光時間を増やした方が有利になるし、センサー温度も低い方が余裕が出ます。

    例えばHαのようなナローバンド撮影の場合を考えます。典型的な7nmのナローバンドフィルターを使うとしましょう。7nmというのはフィルターを透過する光の波長の(多分ですが)FWHM(Full Width Half Maximum、半値全幅、縦軸のピークの半分の値をとる時の横軸の全部の幅、他にも半値半幅などがある)が7nmということなので、仮にASI294MMが可視である波長のFWHMを380nmから800nmの420nmとしましょう。420nmが7nmとなるので、単純に考えると明るさは60分の1になります。スカイノイズにするとルートで効くので8分の1程度でしょうか。

    今回の計算ではスカイノイズと読み出しノイズの比が8.8分の1、スカイノイズとダークノイズの比が10.6分の1と見積もっていたので、大きく余裕あると思っていました。でもナローバンド撮影の場合スカイノイズが8分の1になるいうことは、この余裕を全て取り去ってしまいます。ナローバンド撮影だと300秒露光と−10℃での撮影で、スカイノイズと、読み出しノイズと、ダークノイズが大体一緒くらいになるということになります。


    現実的な露光時間と温度

    ナローバンドでは300秒という露光時間も、−10℃というセンサーの温度も妥当だということは分かったのですが、明るいL画像ではやはりこれまでの検証に特におかしなところはなく、露光時間も温度も全然余裕があるということは(私が大きな勘違いをしていなければですが)事実です。

    でも、途中の複雑な機器設定の変更で撮影が失敗するリスクなどを考え、同じようなセッティングで全ての光学フィルターに対して対応しようとするのは戦略として全然おかしくはなく、その場合、一番厳しいところにセッティングを合わせることは十分妥当でしょう。
     
    このように全部一緒のセッティングにするということも一理ありますが、明るい場合にはパラメータに余裕があることを理解した上で、フィルターによっては露光時間を変える、ゲインを変えるという戦略を立てることは次の可能性につながるのかと思います。例えばHαをRGBに混ぜる赤ポチ画像を作るのに、StarNetなんかで背景と恒星を分離するときなんかは特にそうです。この場合、恒星は大きさも色情報も使えなかったりもするので、背景のみにダイナミックレンジを振ることができ、余裕ができるはずです。

    ただし、露光時間やゲインを変えてパラメータ数を闇雲に増やすと、その後の画像処理に対して必要なダークファイル、フラットファイル、フラットダークファイル、バイアスファイルなどの種類も増えていく羽目になります。少しまとめておきます。

    露光時間とゲインという観点では:
    • 露光時間もゲインも変えたくないもの: ダークファイル
    • ゲインを変えたくないもの: フラットファイル、フラットダークファイル、バイアスファイル
    光学フィルターごとという観点では:
    • それぞれのフィルターに対して撮影するもの: フラットファイル
    • 共通で撮影できるもの: ダークファイル、フラットダークファイル、バイアスファイル
    くらいになりますでしょうか。

    特にダークファイルは撮影に時間がかかるので、できるだけ種類を少なくしておきたいです。明るい時と暗い時の2パターンくらいに決めておけるなら、ダークだけ設定ごとに一度撮ってしまって使いまわすことで、後の手間はそれほど変わらないと思います。あらかじめダークライブラリーを作っておくと気にしないでよくなるかもしれません。バイアスもゲインごとのライブラリを作ることができますね。

    フラットはホコリなどの状況でかわってしまうので、その都度撮影した方がいいかもしれませんが、センサー面やフィルター面を暴露しないようにしてホコリなどの混入があまりない状況を作れるのなら、使い回しが効くと思います。

    多分大丈夫だとは思うのですが、フラットとフラットダークはできれば同時に取ったほうがいい気がしています(温度が変わると縞ノイズに影響があるかも、でも未検証)。


    まとめと今後

    今回は露光時間とセンサー温度について、本当に理屈通りでいいのか、実際の撮影などのことも含めて少し検証してみました。実用上はフィルターなどの変更もあるので、これまで通りの露光時間やセンサー温度でも構わないかもしれませんが、これらのパラメータを変更する場合にどれくらい余裕があるかを知っておくことは、今後の方針を立てる上で有利になるのかと思います。

    まだまだ検証したいことはたくさんあって、ゴールまではかなり遠いです。これまではノイズのみの議論で、ノイズ同士がどうなるかだけを問題にしていて、信号についてはまだ何も議論していません。ノイズに対して、撮影目標の天体が信号ということになるのですが、信号SとノイズNの比S/N (SN比)が重要になります。また、スタックすることでS/Nを稼ぐことができます。でも真面目に信号部分を考えるのって結構大変なんですよね。またゆっくり考えてみます。


    この記事の続き



    になります。実際に信号を考えてS/Nを求めています。








    休日が晴れた時は太陽撮影をできるだけしようと思っています。やっと秋らしくなり、昼間の撮影でも暑くなくて快適です。

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    最初準備している時は曇りがちだったので、C8の補正板の清掃をしたり、カメラのチルターを新しいものに交換したりなど、少し機材メンテナンスをしました。補正版はここしばらく触ってなかったのでほこりだらけでした。

    あと、新しいPCで太陽撮影ができるようにアプリをいくつかインストールしました。といってもすでに電視観望で使っているPCなので、新たにインストールしたものはCelestronのASCOMドライバーとImPPGだけです。あとはSharpCapを最新版にしたくらいでしょうか。

    まずはPSTでのHα画像です。鏡筒はC8でカメラはASI290MMなので、そこそこ拡大しています。曇りの間を狙っての撮影となりましたが、シーイングも良くないので、ボケボケです。大きな黒点は見当たらず、細かいものがいくつか出ていました。下の画像は一つ一つは小さいですが、少し密になっている黒点で、上半分がAR3451群で、下半分がAR3452群になります。

    13_14_38_lapl4_ap493_IP_cut


    プロミネンスもでていますが、その中で一番大きいものを。
    13_17_29_lapl4_ap194_IP

    次に、白色画像です。あ、カメラをASI290MMそのまま使ってしまったので、いつも入れているPlayer OneのPhotosphereフィルター入れるの忘れてました。なので、白色光です。上で見せた黒点AR3451群とAR3452群になります。シンチレーションは良くないのに、さらにPhotosphereフィルター入れてないのに、意外に粒状班が見えています。前回のApollo-M MINIからカメラのピクセルサイズが半分程度になったのが効いているのかと思います。

    13_26_53_lapl4_ap504_IP_cut

    その後、4倍のPowerMATEを入れて、シーイングが良くならないか少し期待して30分ほど粒状班撮影をしてましたが、全然ダメでした。上の等倍のと解像度がほとんど変わらないくらいです。カメラの分解能は上がっているので、逆に倍率が高すぎたのでしょうか?明日と明後日、昼間晴れたらもう少し試してみます。

    いずれにせよ、シーイングはとにかく見てみないと分からないので、今後もうしばらくは続けたいと思います。でももう秋だから北陸だとそもそもシーイングはダメなのかもしれません。

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