2022年12月29日、かねてからかんたろうさんに誘われていた周参見(すさみ)に遠征に行ってきました。周参見は和歌山県のほぼ南端。富山からはかなり遠かったです。
前日の28日は休みを取ったので、午後から準備をします。きはらっちさんからSCA260見たいとリクエストがあり、頑張って積み込みました。というのも、予定していた荷物をたくさん積めるノアが急遽故障、仕方ないのでラクティスにします。SCA260にはCGX-Lもセットなので、後ろの座席も助手席もイッパイイッパイです。夜のうちに準備した荷物を朝車に積み込み、何とか出発できる状態に。
富山を朝9時に出て、実家の名古屋で少し用事を済まし、14時に名古屋を出発。どの経路で行くか迷いましたが、津市のアイベルに寄りたかったので、紀伊半島を東から回ることに。実家は名古屋の北区で、津までいくなら名二環から入るといいと教えてもらいました。途中工事で蟹江インター付近が少し渋滞していましたが、それ以外は順調でした。怖かったのは、カーナビが古くて新しい道ができているので、何箇所かJCTでどちらに行けばいいか迷い、しかも最近関西方面の地名に疎いので、ギリギリで判断するということがありました。あらかじめ調べておかないとダメですね。
アイベルに着いたのは16時過ぎくらいだったでしょうか、11月に自宅に来てくれたEさんが、三重に引っ越すというのでアイベルに顔を出し、わざわざ私のためにVixenのカレンダーを頂いてきてくれました。そのお礼と、アイベルにはコロナ以前に数回行っただけなので、久しぶりに覗いてみたかったのです。
そういえば前回アイベルに行ったのも今回の初回集まりで、今見たら2017年ですね。もう5年ぶりになります。
アイベルでは残念ながら何も買うものがなかったんのですが、店員さんと少しだけお話しさせていただきました。ε130が展示されていたので一応「売り物じゃないですよね?」と聞いてみたのですが、やはり展示用に借りているものだそうです。いま発注しても1年半待ちとのことなので、現物があれば欲しいと思っていたのですが、シリアル番号を見たら確かに「DEMO」と刻印が打たれていました。そういえば最近は細かいものも揃ってしまっているので、星まつりでもそうなのですがあまり買い物していません。店舗にいってもその場で欲しいと思うものに出会うことも減ってきてしまいました。ちょっと寂しいです。
「これから周参見に行くんです」と話すと、「3時間はたっぷりかかる」とのこと。「何も購入できなくてすみません」と挨拶して、アイベルを17時前くらいに出発しました。
そこからの道は迷うことはありませんでしたが、高速道路が尾鷲を通り越して熊野で終わりでした。これも全然調べてなかったのが悪いのですが、下道でまだ100km以上もあります。ここでかんたろうさんに電話をかけて「まだ2時間くらいかかりそうです」と話して、のんびり海岸沿いの道を進みます。熊野ってあの熊野古道の入口なんですね。途中熊野古道の看板があり実感したのですが、よく考えたら和歌山ってあまり来たことがなく、多分子供の頃に家族で行った紀伊長島が私にとって最南かと思います。今回は先っぽまで行くのですが、真っ暗な中での行き帰りなので一度時間をとって明るい時にじっくりこの辺りを回りたいと思いました。
熊野からは下道だけかと思ったのですが、途中新宮から10kmくらい、周参見の直前も10kmくらい、無料の高速道路?があって少し距離を稼げました。でもあとは普通の下道で、しかも海岸沿いの道なのでカーブも多くスピードも出せないので、安全運転で進みます。
結局周参見についたのは21時くらいだったでしょうか。途中コンビニで弁当を買って食べてたりもしましたが、アイベルから4時間はかかったことになります。
到着して皆さんと挨拶を交わす間もなく、すぐに天リフさんの生中継のインタビューを受けます。
動画開始から38分頃から出てきます。ライブビューでもそうですが現場でも、富山から遠く周参見まで来たことに驚かれたようです。現地ではヒロノさんの66cmを筆頭にドブが何本も並び、眼視が相当に盛り上がっていました。フラッシュなどたけなかったので写真はありませんが、天リフさんの動画でその雰囲気はわかるかと思います。
到着した頃はまだ月が出ていたのですが、月の反対側はすでにかなり星が見ていて、基本的に暗いのと透明度がいいのが実感できました。月が沈んでからは全方向かなり暗くなり、かなりいい環境で、皆さんが集まる場所だというのが理解できました。実際、今回声をかけたメンバーだけでなく、関西の常連さんが数多くいらしていました。聞くところによると、冬場は関西からだと比較的暖かい周参見がほぼ一択とのことです。スタッドレスタイヤをつけている車が少ないので、路面が凍結しないということが重要だということでした。実際、空は全方向かなり低空まで開けているし、カノープスが普通に見えたのにはちょっと驚きました。
私はとりあえずSCA260を出したのですが、結局風が強いのと、ミニワイヤレスルータの電源のUSB-Bケーブルが破損しかけていてうまくLANでStick PCに繋げなかったので、撮影は諦めてしまいました。一応、リクエストしてくれてきはらっちさんには見せることができたので、まあよしとしましょう。他の方も撮影した画像はかなりの率が風でブレてしまっていたそうです。
その一方で今回はもう一つ、新兵器のお披露目がありますです。小海でサイトロンさんからお借りした、まだ日本では未発売のACUTER社の自動導入、自動追尾の経緯台です。AZ-GTiと同じようにSynScanやSynScan Proで操作できるものですが、AZ-GTiよりもかなり小さくて軽いです。しかも単3電池3本で稼働するので、電源も気軽です。
元々のセットアップは三脚付きです。
接続は3/8インチネジなので、普通のカメラ三脚なら大丈夫でしょう。なのでFMA135と合わせてこうしました。
ちょっと暗くて見にくいですが、三脚もミニ三脚にして地面に直置きです。長年追い求めていた超コンパクト電視観望セットです。小さすぎてそこにあるのに気づかずに蹴飛ばされるのが心配なくらいです。実際、自分で一度蹴飛ばしてずらしてしまいました。見にきてくれた人もこの小ささと、実際に出てくる電視観望の画面のギャップにかなり驚いていたようです。
これまでの最小セットアップとして、FMA135と自由雲台を使ったセットは試したことがありますが、やはりお客さんがいる観望会だと導入に戸惑ってしまうので、できれば自動導入があったほうがいいです。
これくらいコンパクトだと、カバンの中に潜めておいて、特に観望会とか計画するでもなく機会があったときにパッと取り出し、その場で星雲とかを見せるができます!少し心配なのは、こういったマニアの所業が一般の人に果たして理解されるのか?白い目で見られないように気をつけながら、一度くらいはやってみたいと思っています。
さて、実際の動作の具合です。スマホやタブレットのWiFiで繋ぐ必要がありますが、今回はiPhoneXで試しました。SSIDに「ACUTER」と表示されるので、すぐにわかるでしょう。設置はAZ-GTiと同じで、鏡筒を水平北向きに置きます。最初左中を間違えて、初期導入で鏡筒が下の方を向き始めてしまいました。どうやら北を向いた時に後ろから見て、鏡筒が左にACUTERを右に設置するのが正しいようです。ACUTER本体に水準器がついているのですが、今回の三脚は各脚の高さの微調整が難しく、水平方向がうまく出ないので、そこそこ合わせるくらいで試しました。鏡筒の水平方向も重要です。これまではFMA135にアルカスイス互換のぷれーとをつけて、Vixenアリガタとアルカスイス互換クランプへの変換アダプターを自分で組み合わせたものを使っていましたが、これさえも大きく感じてVixenアリガタの小さいものをFMA135に取り付けました。アルカスイス互換クランプには水準器が付いていたので鏡筒の水平も取れていたのですが、今回は水準器がないので鏡筒の水平も見た目でだいたいです。
とりあえずM42オリオン大星雲を見ようと思い、初期アラインメントはワンスターアラインメントにして、リゲルを導入しました。FMA135の焦点距離が短いのと、Uranus-Cのセンサー面積も1/1.2とそこそこ大きいので、ある程度の水平出しでもすぐに初期アラインメントのターゲットが入ってきます。その後、M42を入れてみますが、AZ-GTiのようにごくごく普通に導入が成功します。
この時点で再び天リフさんがきてくれました。どうやら有線中継のようで、その場に中継機材を持って来れないようで、写真に写してからそれを中継してくれました。上にリンクを貼ってある天リフさんの動画の2時間15分くらいの頃から出てきます。
ACUTERについては、途中でモーターの特に水平方向の動きが止まらなくなるということが数回ありました。方向ボタンも効かなくなってしまいます。それでも接続は継続していて、一旦切ろうとしてSynScanを落としても動きは止まらず、その状態でSynScanで再接続はできるのに動きは止まりません、一旦こうなると、本体の電源を一旦切っても再び電源をつけるとまた動き出してしまいます。電源を切って電池を抜いてしばらく待って、電池を再び入れて電源を入れるとやっと止まりました。電源を切るだけでしばらく待つというのは、その場では思い付かずに試せませんでした。少なくともそれらしい動きが2回は確認できたので、何らかの不具合が存在するようですが、どこをどうしたら発動するかはまだ良くわかっていません。もしかしたら寒かったのと充電タイプの電池で試したので、電圧降下が不具合の原因はあります。これは今後もう少し使い込んで検証したいと思います。
トラブルがない時は普通に操作でき、その後何人かの方に電視観望を見てもらいました。他に電視観望をやられている方はいないようだったのですが、そもそもこういった有名遠征場所に行ったことがほとんどないので、どう振る舞えばいいのかあまりよくわかっていなくて、眼視が主なのであまり邪魔にならないように少し離れた場所に設置して、画面もあまり明るくならないように注意します。普段の撮影はほとんど一人が多く、観望会でも仲間内の場合が多いので、他の方に迷惑をかけていなければよかったのですが。
他には馬頭星雲と燃える木、あとプレアデス星団(スバル)を見てみました。さすがの周参見です。かなり環境が良く、馬頭星雲はものすごいコントラストです。
スバルに至っては青い分子雲が余裕で見えています。
電視観望でここまでM45の分子雲が出たのは初めてです。
電視観望はせいぜいこれくらいで、滞在時間の多くはドブの方を見せてもらっていました。かんたろうさんには45cmでスバルとかトール兜とか見せてもらいました。特にトール兜は2本のつのまではっきり見えたのでビックリでした。OIIIをフィルターを入れてあるそうですが、フィルターなしの場合も見せてもらいました。フィルターなしでもかろうじて見えるのは面白かったです。周参見の空の暗さと45cmの威力でしょうか。
ヒロノさんの66cmでM42を見せてもらいましたが、今回初めてオリオン大星雲ではっきり色がついていることがわかりました。特にトラペジウムの辺りは私には青紫に見えました。これは気のせいでも、神の目も何でもなく、はっきり意識できた色でした。その一方、ウィングの部分は少しピンクに、M43のあたりは黄色がかって見えているようでしたが、これらはトラペジウム周りほどははっきり色がわかったわけではなく、気のせいの可能性もあります。少なくともトラペジウム周りと、M43あたりの色が確実に違うということはよくわかりました。さらに25cm、8cmでも同じM42を見せてもらいましたが、少し青い色は認識できましたが、改めて66cmを見せてもらうとやはり口径の効果でしょう、明らかに色づきは66cmが圧倒的でした。
その後かんたろうさんに再びスバルを見せてもらい、メローぺ周りに分子雲が見え、少し青紫の色が付いている気がしました。トラペジウム周りの色と似ていると思いましたが、やはりトラペジウムほど濃い色ではなく、やはりこちらも気のせいの可能性もあります。
いずれも他人様のドブソニアンでのけいけんになりますが、飛騨コスモスでのM57に次いで、今回とうとうM42も色がついて見えました。輝度の高い星雲はやはり色がつくようです。色が付くといっても暗い中での色なので、濃いかもしれませんが、鮮やかに見えるようなことはありません。それでも星雲の色が目で見て見えるというがわかるのは素晴らしい経験です。今回のM42のヒロノさん、夏のM57のかんたろうさん、どうもありがとうございました。
観望の途中、少し天リフ編集長と話しました。話題は天リフが採算ベースに乗るかとか、最近の仕事がどうかとか、アマチュア天文業界の発展とかです。中国の天文メーカーの台頭も大きですし、日本の天文メーカーが元気がなさそうな心配もあります。でも天文人口が増えて欲しいというのでは一致した意見でした。他にも動画編集の大変さや、ブログを続けることの悩みなど、情報を発信することの苦労とかも話せました。こういったことが話せるのはオンラインよりは、やはり面と向かってですね。
さて、集まったみんなで記念写真をとったり、いろんなところに顔を出したりで、午前1時頃になりました。その時点で風も強くて撮影はあきらめたので、撮影機材の方は片付け始めました。
結局午前2時頃にはその場を出ました。参加メンバーの津村師には彗星は明け方間近がいいとアドバイスを受けましたが、残念ながらその時点で退散することにしました。その日に高校の同窓会があり、昼前にはちょっと体裁を整えて名古屋駅に行かなくてはならなかったからです。周参見から名古屋まで仮眠をとりながらだと思ったよりかかりそうです。
結局名古屋の実家に着いたのは午前9時過ぎ、シャワーを浴びて準備をしたらもう出発する時間でした。普通は星見から帰って朝から寝るのですが、この日はわずかな仮眠でほとんど寝ることもできず、同窓会の2次会が終わった頃にはもうヘロヘロでした。実家についてすぐ寝てしまい、結局14時間寝てやっと元気になりました。もういい歳なので、あまり無理はせずに星を続けるべきかと改めて思いました。
遠かったけど、とても楽しい観望会でした。誘ってくれたかんたろうさん、どうもありがとうございました。現地でお会い出たみなさんも、いろいろお世話になりました。どうもありがとうございました。年末で名古屋の実家に行くので参加できた周参見かと思います。来年も時間が許したらまた参加したいとおもいます。
富山を主発
前日の28日は休みを取ったので、午後から準備をします。きはらっちさんからSCA260見たいとリクエストがあり、頑張って積み込みました。というのも、予定していた荷物をたくさん積めるノアが急遽故障、仕方ないのでラクティスにします。SCA260にはCGX-Lもセットなので、後ろの座席も助手席もイッパイイッパイです。夜のうちに準備した荷物を朝車に積み込み、何とか出発できる状態に。
富山を朝9時に出て、実家の名古屋で少し用事を済まし、14時に名古屋を出発。どの経路で行くか迷いましたが、津市のアイベルに寄りたかったので、紀伊半島を東から回ることに。実家は名古屋の北区で、津までいくなら名二環から入るといいと教えてもらいました。途中工事で蟹江インター付近が少し渋滞していましたが、それ以外は順調でした。怖かったのは、カーナビが古くて新しい道ができているので、何箇所かJCTでどちらに行けばいいか迷い、しかも最近関西方面の地名に疎いので、ギリギリで判断するということがありました。あらかじめ調べておかないとダメですね。
久しぶりのアイベル
アイベルに着いたのは16時過ぎくらいだったでしょうか、11月に自宅に来てくれたEさんが、三重に引っ越すというのでアイベルに顔を出し、わざわざ私のためにVixenのカレンダーを頂いてきてくれました。そのお礼と、アイベルにはコロナ以前に数回行っただけなので、久しぶりに覗いてみたかったのです。
そういえば前回アイベルに行ったのも今回の初回集まりで、今見たら2017年ですね。もう5年ぶりになります。
アイベルでは残念ながら何も買うものがなかったんのですが、店員さんと少しだけお話しさせていただきました。ε130が展示されていたので一応「売り物じゃないですよね?」と聞いてみたのですが、やはり展示用に借りているものだそうです。いま発注しても1年半待ちとのことなので、現物があれば欲しいと思っていたのですが、シリアル番号を見たら確かに「DEMO」と刻印が打たれていました。そういえば最近は細かいものも揃ってしまっているので、星まつりでもそうなのですがあまり買い物していません。店舗にいってもその場で欲しいと思うものに出会うことも減ってきてしまいました。ちょっと寂しいです。
「これから周参見に行くんです」と話すと、「3時間はたっぷりかかる」とのこと。「何も購入できなくてすみません」と挨拶して、アイベルを17時前くらいに出発しました。
いざ周参見へ
そこからの道は迷うことはありませんでしたが、高速道路が尾鷲を通り越して熊野で終わりでした。これも全然調べてなかったのが悪いのですが、下道でまだ100km以上もあります。ここでかんたろうさんに電話をかけて「まだ2時間くらいかかりそうです」と話して、のんびり海岸沿いの道を進みます。熊野ってあの熊野古道の入口なんですね。途中熊野古道の看板があり実感したのですが、よく考えたら和歌山ってあまり来たことがなく、多分子供の頃に家族で行った紀伊長島が私にとって最南かと思います。今回は先っぽまで行くのですが、真っ暗な中での行き帰りなので一度時間をとって明るい時にじっくりこの辺りを回りたいと思いました。
熊野からは下道だけかと思ったのですが、途中新宮から10kmくらい、周参見の直前も10kmくらい、無料の高速道路?があって少し距離を稼げました。でもあとは普通の下道で、しかも海岸沿いの道なのでカーブも多くスピードも出せないので、安全運転で進みます。
結局周参見についたのは21時くらいだったでしょうか。途中コンビニで弁当を買って食べてたりもしましたが、アイベルから4時間はかかったことになります。
到着して皆さんと挨拶を交わす間もなく、すぐに天リフさんの生中継のインタビューを受けます。
動画開始から38分頃から出てきます。ライブビューでもそうですが現場でも、富山から遠く周参見まで来たことに驚かれたようです。現地ではヒロノさんの66cmを筆頭にドブが何本も並び、眼視が相当に盛り上がっていました。フラッシュなどたけなかったので写真はありませんが、天リフさんの動画でその雰囲気はわかるかと思います。
到着した頃はまだ月が出ていたのですが、月の反対側はすでにかなり星が見ていて、基本的に暗いのと透明度がいいのが実感できました。月が沈んでからは全方向かなり暗くなり、かなりいい環境で、皆さんが集まる場所だというのが理解できました。実際、今回声をかけたメンバーだけでなく、関西の常連さんが数多くいらしていました。聞くところによると、冬場は関西からだと比較的暖かい周参見がほぼ一択とのことです。スタッドレスタイヤをつけている車が少ないので、路面が凍結しないということが重要だということでした。実際、空は全方向かなり低空まで開けているし、カノープスが普通に見えたのにはちょっと驚きました。
私はとりあえずSCA260を出したのですが、結局風が強いのと、ミニワイヤレスルータの電源のUSB-Bケーブルが破損しかけていてうまくLANでStick PCに繋げなかったので、撮影は諦めてしまいました。一応、リクエストしてくれてきはらっちさんには見せることができたので、まあよしとしましょう。他の方も撮影した画像はかなりの率が風でブレてしまっていたそうです。
ACUTER自動導入経緯台のテスト
その一方で今回はもう一つ、新兵器のお披露目がありますです。小海でサイトロンさんからお借りした、まだ日本では未発売のACUTER社の自動導入、自動追尾の経緯台です。AZ-GTiと同じようにSynScanやSynScan Proで操作できるものですが、AZ-GTiよりもかなり小さくて軽いです。しかも単3電池3本で稼働するので、電源も気軽です。
元々のセットアップは三脚付きです。
接続は3/8インチネジなので、普通のカメラ三脚なら大丈夫でしょう。なのでFMA135と合わせてこうしました。
ちょっと暗くて見にくいですが、三脚もミニ三脚にして地面に直置きです。長年追い求めていた超コンパクト電視観望セットです。小さすぎてそこにあるのに気づかずに蹴飛ばされるのが心配なくらいです。実際、自分で一度蹴飛ばしてずらしてしまいました。見にきてくれた人もこの小ささと、実際に出てくる電視観望の画面のギャップにかなり驚いていたようです。
これまでの最小セットアップとして、FMA135と自由雲台を使ったセットは試したことがありますが、やはりお客さんがいる観望会だと導入に戸惑ってしまうので、できれば自動導入があったほうがいいです。
これくらいコンパクトだと、カバンの中に潜めておいて、特に観望会とか計画するでもなく機会があったときにパッと取り出し、その場で星雲とかを見せるができます!少し心配なのは、こういったマニアの所業が一般の人に果たして理解されるのか?白い目で見られないように気をつけながら、一度くらいはやってみたいと思っています。
ACUTERでの電視観望操作の実際
さて、実際の動作の具合です。スマホやタブレットのWiFiで繋ぐ必要がありますが、今回はiPhoneXで試しました。SSIDに「ACUTER」と表示されるので、すぐにわかるでしょう。設置はAZ-GTiと同じで、鏡筒を水平北向きに置きます。最初左中を間違えて、初期導入で鏡筒が下の方を向き始めてしまいました。どうやら北を向いた時に後ろから見て、鏡筒が左にACUTERを右に設置するのが正しいようです。ACUTER本体に水準器がついているのですが、今回の三脚は各脚の高さの微調整が難しく、水平方向がうまく出ないので、そこそこ合わせるくらいで試しました。鏡筒の水平方向も重要です。これまではFMA135にアルカスイス互換のぷれーとをつけて、Vixenアリガタとアルカスイス互換クランプへの変換アダプターを自分で組み合わせたものを使っていましたが、これさえも大きく感じてVixenアリガタの小さいものをFMA135に取り付けました。アルカスイス互換クランプには水準器が付いていたので鏡筒の水平も取れていたのですが、今回は水準器がないので鏡筒の水平も見た目でだいたいです。
とりあえずM42オリオン大星雲を見ようと思い、初期アラインメントはワンスターアラインメントにして、リゲルを導入しました。FMA135の焦点距離が短いのと、Uranus-Cのセンサー面積も1/1.2とそこそこ大きいので、ある程度の水平出しでもすぐに初期アラインメントのターゲットが入ってきます。その後、M42を入れてみますが、AZ-GTiのようにごくごく普通に導入が成功します。
この時点で再び天リフさんがきてくれました。どうやら有線中継のようで、その場に中継機材を持って来れないようで、写真に写してからそれを中継してくれました。上にリンクを貼ってある天リフさんの動画の2時間15分くらいの頃から出てきます。
ACUTERについては、途中でモーターの特に水平方向の動きが止まらなくなるということが数回ありました。方向ボタンも効かなくなってしまいます。それでも接続は継続していて、一旦切ろうとしてSynScanを落としても動きは止まらず、その状態でSynScanで再接続はできるのに動きは止まりません、一旦こうなると、本体の電源を一旦切っても再び電源をつけるとまた動き出してしまいます。電源を切って電池を抜いてしばらく待って、電池を再び入れて電源を入れるとやっと止まりました。電源を切るだけでしばらく待つというのは、その場では思い付かずに試せませんでした。少なくともそれらしい動きが2回は確認できたので、何らかの不具合が存在するようですが、どこをどうしたら発動するかはまだ良くわかっていません。もしかしたら寒かったのと充電タイプの電池で試したので、電圧降下が不具合の原因はあります。これは今後もう少し使い込んで検証したいと思います。
トラブルがない時は普通に操作でき、その後何人かの方に電視観望を見てもらいました。他に電視観望をやられている方はいないようだったのですが、そもそもこういった有名遠征場所に行ったことがほとんどないので、どう振る舞えばいいのかあまりよくわかっていなくて、眼視が主なのであまり邪魔にならないように少し離れた場所に設置して、画面もあまり明るくならないように注意します。普段の撮影はほとんど一人が多く、観望会でも仲間内の場合が多いので、他の方に迷惑をかけていなければよかったのですが。
他には馬頭星雲と燃える木、あとプレアデス星団(スバル)を見てみました。さすがの周参見です。かなり環境が良く、馬頭星雲はものすごいコントラストです。
スバルに至っては青い分子雲が余裕で見えています。
電視観望でここまでM45の分子雲が出たのは初めてです。
眼視でM42に色が!
電視観望はせいぜいこれくらいで、滞在時間の多くはドブの方を見せてもらっていました。かんたろうさんには45cmでスバルとかトール兜とか見せてもらいました。特にトール兜は2本のつのまではっきり見えたのでビックリでした。OIIIをフィルターを入れてあるそうですが、フィルターなしの場合も見せてもらいました。フィルターなしでもかろうじて見えるのは面白かったです。周参見の空の暗さと45cmの威力でしょうか。
ヒロノさんの66cmでM42を見せてもらいましたが、今回初めてオリオン大星雲ではっきり色がついていることがわかりました。特にトラペジウムの辺りは私には青紫に見えました。これは気のせいでも、神の目も何でもなく、はっきり意識できた色でした。その一方、ウィングの部分は少しピンクに、M43のあたりは黄色がかって見えているようでしたが、これらはトラペジウム周りほどははっきり色がわかったわけではなく、気のせいの可能性もあります。少なくともトラペジウム周りと、M43あたりの色が確実に違うということはよくわかりました。さらに25cm、8cmでも同じM42を見せてもらいましたが、少し青い色は認識できましたが、改めて66cmを見せてもらうとやはり口径の効果でしょう、明らかに色づきは66cmが圧倒的でした。
その後かんたろうさんに再びスバルを見せてもらい、メローぺ周りに分子雲が見え、少し青紫の色が付いている気がしました。トラペジウム周りの色と似ていると思いましたが、やはりトラペジウムほど濃い色ではなく、やはりこちらも気のせいの可能性もあります。
いずれも他人様のドブソニアンでのけいけんになりますが、飛騨コスモスでのM57に次いで、今回とうとうM42も色がついて見えました。輝度の高い星雲はやはり色がつくようです。色が付くといっても暗い中での色なので、濃いかもしれませんが、鮮やかに見えるようなことはありません。それでも星雲の色が目で見て見えるというがわかるのは素晴らしい経験です。今回のM42のヒロノさん、夏のM57のかんたろうさん、どうもありがとうございました。
観望の途中、少し天リフ編集長と話しました。話題は天リフが採算ベースに乗るかとか、最近の仕事がどうかとか、アマチュア天文業界の発展とかです。中国の天文メーカーの台頭も大きですし、日本の天文メーカーが元気がなさそうな心配もあります。でも天文人口が増えて欲しいというのでは一致した意見でした。他にも動画編集の大変さや、ブログを続けることの悩みなど、情報を発信することの苦労とかも話せました。こういったことが話せるのはオンラインよりは、やはり面と向かってですね。
さて、集まったみんなで記念写真をとったり、いろんなところに顔を出したりで、午前1時頃になりました。その時点で風も強くて撮影はあきらめたので、撮影機材の方は片付け始めました。
眠かった
結局午前2時頃にはその場を出ました。参加メンバーの津村師には彗星は明け方間近がいいとアドバイスを受けましたが、残念ながらその時点で退散することにしました。その日に高校の同窓会があり、昼前にはちょっと体裁を整えて名古屋駅に行かなくてはならなかったからです。周参見から名古屋まで仮眠をとりながらだと思ったよりかかりそうです。
結局名古屋の実家に着いたのは午前9時過ぎ、シャワーを浴びて準備をしたらもう出発する時間でした。普通は星見から帰って朝から寝るのですが、この日はわずかな仮眠でほとんど寝ることもできず、同窓会の2次会が終わった頃にはもうヘロヘロでした。実家についてすぐ寝てしまい、結局14時間寝てやっと元気になりました。もういい歳なので、あまり無理はせずに星を続けるべきかと改めて思いました。
遠かったけど、とても楽しい観望会でした。誘ってくれたかんたろうさん、どうもありがとうございました。現地でお会い出たみなさんも、いろいろお世話になりました。どうもありがとうございました。年末で名古屋の実家に行くので参加できた周参見かと思います。来年も時間が許したらまた参加したいとおもいます。