ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2022年07月

先日、飛騨コスモス天文台の観望会のあとに、かんたろうさんの45cmドブソニアンで見せてもらったリング上星雲M57に色がついた話ですが、天リフの特選ピックアップにとりあえげられるなど、反響がすごかったので少し補足しておきたいと思います。

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色がついた時の詳細

この時、M57は都合3度ほど見ました。そこまで記憶が定かではないのですが、まず最初に70倍、ついで360倍、また70倍だったと思います。もしかしたらその後さらに360倍を見たかもしれません。

ほぼどの回も、私はずっと電視観望でUranus-Cのテストをしていたので、直前までそこそこ明るいPCの画面を見ていました。PCがある場所から45cmドブソニアンまでは10m位離れていますでしょうか。途中Hさんが撮影している場所を通るので、見えにくい目で注意しながらHさんを避けてドブソニアンのところまで行き、これまた見えにくい目でかんたろうさんに接眼部の場所を聞き、頭をぶつけたりしないように注意しながらアイピースを覗きます。

  1. まず最初に70倍で見た時。ちょっと緑色に見えているように感じましたが、背景の色も緑に見えるような気もして、色がついていると言うには全然確証が持てませんでした。
  2.  一旦電視観望のところに帰り、明順応になった状態で再び360倍。この時は気のせいと思うこともできないほど色が全くついたようには見えませんでした。
  3.  再び70倍。よく見ると決して明るくはないですが、M57の中がはっきり青と緑の2色に分かれています。「あ、これは色がついてる!」と叫んで、確証した瞬間です。真ん中が青で、その周りが緑。細い外周が一瞬オレンジ色か赤っぽく見えましたが、見ているとすぐにその色は確認できなくなっていました。
あ、でもこの時点は実際にはどの色がどの順で見えるべきかの確証はなかったのですが、後で画像で確認すると見事に中が青で、外に行くに従って緑、最外周はオレンジだったので、ここで改めに確証が持てました。

今回は最低限2色、もしくは3色見えたことが「星雲に色がついた」ということの確証です。

それでも、オレンジ系は気のせいかとも思っていて確証が持てなかったのですが、その後の天リフ特選ピックアップで編集長が「M57の外周部が口径20cmでほんの少しオレンジ色に感じたことがあった」と書いています。Twitterで黒天リフさんが発言していたのですが、これは電視観望の名付け親のHUQさんも同時に見ていたとのことです。これを聞くと、私も気のせいなどではなかったのではと思えてしまいます。おそらく、何か見える要因があるのでしょう。

今回、星雲に色が付くことは理解でき、実際に見えたのでやっと納得できました。2016年の原村の星まつりでドブソニアンの人たちに聞きまくって、当時10歳だった下の息子が「緑に見える」と言ってもどうしても私には色がついて見えるようには思えませんでした。その後どうしても観望会で色付きの星雲をお客さんに見せたくて電視観望への道が開たのですが、今後は明順応を前提にした観望会もやってみたいと思うようになりました。

今後はM57のオレンジや、M42などの明るい星雲の色がどこまで見えるのか、いろいろ検証できたらと思います。

かんたろうさん、素晴らしい眼視経験、本当にありがとうございました。でも今のところかんたろうさんの45cmのドブ頼りです。自分で一本持った方がいいのかなあと思い始めています。


自宅で順応実験

さて、天気も悪く、もちろん手元にドブも無いのですが、もう少しできることとして、その後、自宅で少し実験してみました。

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夜中目が覚めてトイレに起きた時は確実に暗順応状態です。なので、まずは暗順応から試しました。実験は、廊下にある電気のスイッチのところについている小さなオレンジ色の明かりを使います。暗順応状態でも、目を普通に開けて普通に見るとオレンジ色がそのまま見えます。そこで、暗くするために目を細めます。目を細めていくと、あるところから色が消えて白い明かりがあるように見えますが、それでも形ははっきりとわかります。おそらくこれが暗順応した目で星雲を見ているような状態だと思います。

次に、起きている間に、夜に電気を消して廊下周りを暗くして同じスイッチのオレンジ色の光を見ます。目を開けているとオレンジ色に見えるのは同じです。同じようにだんだん目を細めていきますが、あるところから真っ暗になります。暗順応の時に見えたような白い明かりは全く見えません。これが明順応で見た状態に相当すると思うのですが、M57を明順応で見たときは少なくともまだ形が見えてたので、廊下で見た暗くなる状態よりは、目に入る光量は多かったと考えていいのかと思います。

暗順応状態でも、明順応状態でも、ある程度の明るさがあれば色はついて見えることはわかりました。色がついているものが、色がつかないように白く見えるのは暗順応の方ということもわかりました。問題は、最低限色がつく明るさが、明順応の方が暗順応よりも暗いのかどうかです。

  • 廊下で暗い状態で見た小さなオレンジ色の明かりが、明順応の方がより暗い状態で色が付くのならば、今回見たM57の色もかなり説明がつきます。
  • 逆に、暗順応の方がより暗い状態で色が付くのならば、今回見たM57は説明がつきにくくなります。
  • ですが、暗順応の場合に、色が付かなくてより明るく見えるために、その明るさが色を消してしまうようならば、まだ今回見たM57の色は説明がつきます。
今回は目をつぶりかけるということで明るさを調整しているために、明順応、暗順応で色がついたときの明るさを定量的に比較できていないことが、今回の廊下スイッチ方法の最大の欠点です。

でも少なくとも明順応と暗順応で、暗く色がついた光の見え方に明らかな違いがあることが確認できました。簡単な方法なので、よかったら皆さんもぜひ試してみてください。


いよいよ明日は

さて、いよいよ明日は志賀高原の天空フェスタで電視観望セミナー。今から楽しみです。

実は、M57を見た時に同時にしていた電視観望は、この天空フェスのスライド作りのためでした。その後、晴れる日があるかどうか心配で、最後のチャンスかと思っていたのですが、結局今日まで晴れる日はなくて、本当にあの時が最後のチャンスでした。

スライドの準備もほぼ完了。ブログ記事をこんなふうに書いているくらいなので、精神的にも少し余裕があります。天気がちょっと心配ですが、来てくれた方には精一杯付き合おうと思います。せっかくの機会なので、満足して帰っていただけるよう頑張ります。

今週末の7月29日金曜日18時30分から、

において
をすることになりました。
  • 天空フェスはリフトで標高1,960mの山頂へ行き、『熊テラス』から眼下に広がる夜景と綺麗な夜空を堪能できる星イベントです。夏休みの行事として、ご家族連れで参加されても楽しいかと思います。
  • セミナーの内容は初心者向けにわかりやすく、一般の方にも興味を引くようなものにしようと思っています。


会場はタイトルにあるように長野県の志賀高原の熊の湯キャンプ場(〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏7148)になります。

実は今回の話、有料イベントと知らずに引き受けてしまったのですが、セミナー参加料2000円の他に、イベント入場料(一部アトラクション代、保険代、リフト乗車代が含まれます。):
  • 大人:税込2,500円
  • 小学生:税込2,000円
  • 小学生未満:無料
が必要とのことです。

さらに私の講演は平日の金曜にあるので、なかなか参加しにくいかもしれません。定員20名ですが、まだ枠はあるとのことです。もし電視観望に興味があり平日時間が取れる方は、よろしければぜひご参加ください。

お申し込みはこちらから


お願いいたします。



当日はサイトロンの天文機器の販売ブースも出ますので、講演を聞いて興味が出たらその場で機材を買うこともできるようです。せっかくの機会なので、

その場で購入した機材を使って、
私Samといっしょに
電視観望のセットアップを組むことができたら

と考えています。さらに、もし天気が良ければ

実際にその機材で電視観望で星雲などが見えたら

と思います。
NEWTONY

なお、7月30日の土曜日は17時30分から
も開催されます。

こちらも合わせて、皆様のご参加を是非お待ちしています。


 

恒例の飛騨コスモスの観望会ですが、前回6月はJAPOS出席のために休んでしまったので、2ヶ月ぶりになります。


久しぶりの観望会

2022年7月23日、この日の天気予報は微妙でした。そもそも早くに梅雨明けしたはずなのに、全然晴れてくれないです。予報も晴れか曇りか、時間によってころころ変わり、SCWで見てもそこそこ雲の率が高そうです。でも北の富山よりも南の岐阜の方が少しマシなようで、当日の午後に判断するに、まあ何か見えるのではないかと思い、 準備して出発することにしました。でも撮影までは無理そうなので、観望会用に電視観望セットと、子供への解放用にSCOPETECHの屈折、あとは星座ビノくらいです。

夕方、早めの簡単な食事を自宅でとり、17時40分頃に出発。途中コンビニに寄り、夜食とおやつなど買い込み、富山を後にします。岐阜に入ると途中に青空も見え始めてきて、天気もなんとかなりそうです。

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到着

飛騨コスモス天文台に到着すると、すでにかんたろうさんと、富山県天文学会のHさんが来ていて、機材を展開していました。写真を撮るのを忘れてしまいましたが、かんたろうさんはYさんから譲ってもらった新兵器の45cmのドブソニアンを出しています。一方Hさんも、長いことかんたろうさんから借りていたGP赤道儀をとうとう返却し、なんとSCOPIOで手に入れたという未開封中古のEM200のTEMMA2モデルを設置してます。HさんはさらにFMA180にCeres-Cで電視観望セットも出しています。

程なくして飛騨コスモスの会のスタッフのSDKさんとSTさんが到着です。SDKさんと話すと、ドームで長年使っていた自作の口径250mm、焦点距離3000mmの鏡筒は、返却したとのことです。段ボール箱を組み合わせて箱を作って送ったそうなのですが、重さが70kgほどもあったそうです。

だんだん一番星が出る時間になってきます。STさんがものすごく目がいいことがわかりました。私は全然見えなかったアのですが、STさんはークトゥルス、ベガ、アルタイル、スピカなど次々に見つけていきます。私は途中から星座ビノを使い、やっとSTさんに追いつくことができました。STさんは老眼で遠視だからと言っていましたが、ちょっと羨ましいかもです。


Uranus-C

その後、私も機材を展開し始めます。暗くなり始めでなかなか初期アラインメントのプレートソルブがうまくいきません。そうそう、今日の電視観望では新兵器のIMX-585を搭載したUranos-Cを導入です。

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観望会ついでにいろいろテストしてみようと思っています。

目的は
  • ピクセルサイズが2.9umと小さいが、電視観望で使えるのか?
  • DPS(Dead Pixes Suppressioin)機能がどれくらい効くのか?
  • 1/1.2インチサイズはPlayer Oneのカメラの中でも最大。これでASI294MCにどこまで太刀打ちできるのか?
  • 電視観望で見た画像を保存して画像処理すると、天体写真として成り立たせることはできるか?
などです。この日使うPCにPlayer Oneの最新ドライバーをインストールし、SharpCapで認識して画像が出るところまで自宅で確認しておきました。

鏡筒はいつものFMA135、これにCBPをつけます。ASI294MCがフォーサーズで19.2mm x 13.1mm、Uranus-Cが1/1.2インチで11.2 x 6.3 mmなので、横で1.7倍、縦で2.1倍、面積で約3.5倍とそこそこの差はあります。これとFMA135で大きな北アメリカ星雲やアンドロメダ銀河がどこまで入るのか?分解能は良くなるので、例えばM57がどこまで見えるのかが興味の対象です。


楽しいお客さんとのやりとり

さて、電視観望の結果は後述するとして、うまくいかなかったASTAPでのプレートソルブですが、なぜかAZ-GTiにフィードバックすると星が認識できなくて、フィーバックしないプレートソルブのみだとうまく位置を特定できるような状況でした。もちろん、SharpCap上でのAZ-GTIへの接続はうまくできていて、矢印ボタンで動かすことはできる状況です。その後、SharpCapを立ち上げ直すと、AZ-GTiにフィードバックしてもきちんと星認識をして、ズレを直して、希望方向に向いてくれるようになりました。結局原因は不明ですが、そろそろお客さんも来始めているので、早速M27を導入し見てもらいます。

最初に来てくれたのは家族4人連れ。お父さん、お母さん、保育園の双子?の女の子です。星雲をみて最初「おおー」と言ってくれてたのですが、まだ完全に暗くなっていなかったので、星座ビノで星が増える様子を観察してもらいました。子供用にcokinとNikon、大人用に旧型のWideBinoと笠井の2倍です。子供も含めて、星がたくさん見えることを実感してもらって、さらにSIGHTRONの3倍も投入して、「交換すると見え味が違って面白いですよ」というと、家族間でいろいろ見比べが始まりました。「星座がちょうど入るくらいの星座用の双眼鏡です」と説明して「星座アプリとかで形を見て、それを実際の空でトレースするのも楽しいですよ。ここの空は肉眼でも十分星座が見えますけど、この双眼鏡を使うとさらに細かい星があることもわかります。」などというと、この星座ビノの良さが少しわかっていただけたようでした。

次の家族はお母さんと小さな多分4歳か5歳くらいの女の子と、小学5年生のお姉ちゃん。下の子が「アルデバラン」とか「シリウス」とかいうので、「すごい!よく知ってるね!」とか言ってたのですが、残念ながらこの時期には見えません。どうも昨年この観望会に参加れていて、秋や冬の星座を見て覚えてくれていたようです。「アンタレス!」というので、「あ、それならあそこに見えるさそり座の赤い星だよ」といって、今度はSCOPETECHで見てみようということになりました。お姉ちゃんは5年生ということなので「じゃあ、望遠鏡自分で使ってみようか」と、早速二つ穴での導入の仕方を説明します。勘のいい子で、すぐに2つの穴に導入することができ「じゃあここ覗いてみて」と接眼部を覗いてもらうと「入ってる!」と。ピントを合わせてもらって、妹に「お姉ちゃんが頑張って入れたやつだよ」と言って見てもらいました。

勘の良かった子なので、前回と同じクイズをしてみました。太陽が東から昇り、西へ沈むことはすぐに答えられました。でもやはり月はどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができません。一緒にいたお母さんもわからなかったようです。でも5年生なので、地球が回っていることも知っているはずで、そのことを思い出してもらうと、すぐに月がどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができ、「じゃああのアンタレスは?」と聞くと、すぐにきちんと「東から登って、西に沈む」と答えることができました。少しきっかけがあると頭の中ですぐに考えることができるようで、勘のいい子です。

お母さんもかなり興味があるようで、前回来たときに地球は銀河の中にあるという話をきいたとのことです。じゃあまたここで問題です。「あちらに見えている天の川の濃いところは、銀河で言うとどの向きでしょうか?」と聞くと、最初はなかなか答えられませんでしたが、冬にも銀河があること、銀河の円盤の中にいること、その円盤の中から見ると天の川が濃い薄いも含めて、全天を一周することなどを説明すると、最後は南の濃く見えている天の川は銀河の中心方向だということを答えることができました。

残念だったことは、私がそのお母さんと話していると、下の子が多分ヤキモチを焼いたと思うのですが「もう帰ろー」とか言い出すのです。「ごめんねー、難しかったねー」と言って謝っておいたのですが、なんかとても可愛かったです。


雲と共に雨が

実は天の川クイズを出していた頃には雲が出てきてしまい、天の川は見えなくなってしまっていたのですが、それどころか、霧雨のようですが明らかに雨が降ってきています。PCなどもあるのと、予報では天気は悪くなる方向だったので、私はそこで機材を撤収しました。

結局電視観望で見せたのはM27だけ、対応した家族も2組だけでした。でもこの時点でもまだ星は見えていて、Hさんもかんたろうさんも多少の雨には負けずに頑張っていました。雨がだんだん強くなってくるとじきに二人もカバーをかぶせたり、撤収したりでここで中止。お客さんも徐々に帰って行きました。

かなり雲で覆われていますが、全く星が見えなくなることなく、それでも霧雨はずっと振り続けています。この辺りはほとんど風はないのですが、おそらく山頂で降っている雨が、強い風にあおられてばらまかれているのではなどとみんなで話していました。

その後、みなさん諦めて機材を車の中に詰め込んで、少し雨も小降りになってきたので、椅子を出してまったりモードで、スタッフのSDKさんと、コーヒーを差し入れてくれたSTさんも交えて話していました。

まあここからなのですが、天文あるあるで徐々に空は快晴に!まずはHさんが我慢しきれずに機材を出し始め撮影を開始。ついでかんたろうさんが最初は120mmの屈折で眼視。私は双眼鏡でかんたろうさんのコーチを受けながら、天の川方向の星雲星団を双眼鏡で追いかけることに。


双眼鏡で見るDSO

途中方向によっては多少曇っていたりで、かんたろうさんのコーチには全然ついて行けずに、結局星座アプリで天体の位置を確かめなが落ち着いて見ることに。

まず、教えてもらったM6、M7両方を視野に入れることができ、次にM8とM20が見え、さらにバンビの横顔も確認、その上のM16、M17まではっきりと見えました。他にも星座アプリで確かめながらNGC系をいくつか見ました。双眼鏡でも明るいDSOなら十分見えるんですよね。これもまた空が暗い飛騨コスモスならではの観望会なのかと思います。

途中、白鳥座の方に移り、双眼鏡で網状星雲の「い」の字の一画目が見えたのは感動でした。残念ながら2画目は淡すぎて私での目では見ることができませんでした。

でも今日はもっと感動したことがあったのです。双眼鏡観察をしばら続けていると、かんたろうさんが「45cm出せば良かった」と悔やんだ声を出しはじめました。あまりの空の良さに、結局再度ドブも組み立てることに。ついでに私も、再度電視観望機材を出して目的のUranus-Cの評価です。


電視観望

この時点で23時半頃、月が出るまで1時間の勝負です。

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まずは最初にお客さんには見せたM27。本当は羽根が出るまでスタック時間を稼ぎたいのですが、数もかせぎたいので1対象あたり5分に限ります。

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1ショットあたりの露光時間は6.4秒ですが、ゲインを失敗して350に抑えてしまいました。ゲインは最大800まで上げることができるのでもう少し攻めてもよかったかもしれません。ASI294MCの最大ゲインが570なので、上げられるゲイン幅が23dB分の14倍くらい大きいことになります。ここら辺も回路関連の技術が上がっているせいでしょうか。また、オフセットも数値だけ見ても500まで上げることができます。実際にオフセットが上がる量も画面を見ているとわかりますが、(実用上はどうあれ)かなり大きなところまで上がるようです。

あと気づいたのが、ノイズが小さいことです!ヒストグラムを見ても、山の幅がかなり小さいです。DPSが効いているのでしょう、ホットピクセルの数もかなり少ないです。でも全くの0ではなくて、いくつか目に止まるくらいは存在しています。


次は北アメリカ星雲。今回は90度回転が合ってなくて、縦横が逆になってしまっていますが、ASI294MCの時にはペリカン星雲も込みで全景を入れてもまだ余裕がありますが、Uranus-Cではちょうど全景がぴったり入るくらいでしょうか。

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同じようにどこまで入るか見ようとして、近くの網状星雲を入れてみましたが、なぜか全く出てきませんでした。位置が間違っていた可能性もありますが、もしかしたら大きすぎて入らなかった?とにかく時間がないのでスキップです。

同じく近くの三日月星雲です。

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この時間、ほぼ天頂に近く経緯台の最も苦手な領域になります。少しの時間での移動に追いつくために、大きな回転が必要になるため、6.4秒毎の露出で星が流れてしまっています。

次は南の天の川を見ようとしたら、いつの間にか雲に覆われています。しかたないので秋のアンドロメダ銀河へ。こちらも大きさの比較がしやすいです。うん、FMA135とUranus-Cだとアンドロメダ銀河は画角的にぴったりですね。

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あとはどこまで分解能があるのか見るためにM57を導入します。ピクセルサイズがASI294MCより1.5分の1くらい小さくなるので、分解能は少しマシになります。それでもジャギーは見えています。
05_M57


45cmドブで衝撃的なことが

と、ここらへんで全面が曇ってきました。先のM57は雲の影響もだいぶ受けています。電視観望はこの時点で終了なのですが、実は電視観望の間、ずっとかんたろうさんの叫び声が響いていて、「(何々が)入ったよー」との招集でHさんと私は45cmドブを覗きにいきます。

今回も色々見せてくれました。M13の中心のベンツマーク型の暗黒帯とか、銀河がすぐ隣の恒星のゴーストに見えるのとか、他にも色々見せてくれたはずなのですが、M57のインパクトがありすぎて記憶が飛んでしまっています。

なんと今回M57に明らかに色がついて見えたのです!もちろんすごく淡いのですが、中心付近は青色、外に行くに従って緑色、大外枠の細いラインで少し赤っぽい色も見えていたかもしれません。青と緑については、見間違いとか、錯覚とか、偶然とかいうレベルとは一線を画します。70倍の時には色がよく見え、逆に360倍で大きく見たときには色は認識できませんでした。これは明るさの違いかと考えています。そもそも淡いので、70倍の方がより単位面積当たりの光子として情報が目に入ってくるのでしょう。さらに、後で画像で色を確認すると、中の方が青に近く、外に行くに従って緑、外側が赤なので、見た色と実際に合っています!

ところが、かんたろうさんは色はそこまでではなかったみたいです。多分一つ理由があって、私はずっと電視観望でPCの明るい画面を見ながら、呼ばれるたびにドブのところまで行っていたので、暗順応が全くできてなかったのです。PCの画面を離れてから30秒後くらいにドブを覗いていたとかいう状況でした。そのことを話すと、かんたろうさんもスマホの画面をみて暗順応を崩していましたが、あまり改善はされなかったようです。

とにかく今回、初めて目で見て星雲に色がつきました。これは2016年に星を初めて、6年越しの達成です。もともと、この星雲の色を見たいがために電視観望に走っていたようなものなので、これは私にとってはそうとう大きな出来事です。

輝度の明るい星雲、例えばオリオン大星雲とかも、この暗順応させない方法で一度試してみたいです。


とうとう撤収

午前1時頃には高層の雲が全面にかかってしまい、全体が霞んだ星空になってしまいました。東の方が少し月で明るくなってきた気もします。流石に皆さんそろそろ撤収です。私も電視観望だけだったので、すぐに片付けることができます。かんたろうさんもドブを片付け終わってます。大きさの割に出し入れがかなり早いという印象です。HさんがEM200で新しい機材のせいか、少し時間がかかってきます。私も眠気が出てきて、このままいると寝てしまいそうなので、先に帰宅することにしました。


画像処理

次の日(日曜の今日)、電視観望で5分ライブスタックで保存したM27だけ少し画像処理してみました。といっても処理に掛けた時間は15分ほどで、ライブスタックで保存したFits画像を、PCCで色を補正して、ASでストレッチ、StarNetで恒星と背景を分離して、Photoshopで簡単に仕上げただけです。

M27

たかだか5分でこれくらいにはなるので、もっと時間をかければさらに見栄えは良くなると思います。

Uranus-Cですが、心配していたピクセルサイズの小ささは電視観望でも大した問題ではないようで、十分に天体を見ることも、ある程度の観賞用の画像にすることもできそうです。というか、ノイズも小さいし、感度も悪くないし、センサー面積もそこそこ、DPSでホットピクセルも少なく、かなり使い勝手の良いカメラだと思います。Player Oneの中でもセンサー面積だけ見たら電視観望に最も向いていると言えますし、ASI294MCと比べてもホットピクセルが少ないのは明らかに利点になります。値段的には税込みで6.5万円程度。ASI294MCが税込みで10万ちょいなので、値段的にも少し差があります。

2017年に発売されたASI294MCが長いこと築いていた電視観望ベストカメラの牙城も、少しづつというか、やっと崩れ始めてきた気がします。


まとめ

天気が微妙な観望会でしたが、それでも最初の1−2時間はお客さんも星を楽しめましたし、小雨の後の快晴では双眼鏡でのDSOや、45cmのM57で色がつくなど、かなりインパクトが大きかったです。目的のUranus-Cの電視観望も時間はあまり掛けられなかったですが、ほとんどの目的は達成できました。ずっと思い出に残るような、ある意味とても感慨深い観望会になりました。

太陽粒状斑撮影にフィルターワークで新兵器投入です。今回はサイトロンから新発売のPlayer One社のPhotosphere filter。540nm付近を10nmの幅で透過するようなフィルターです。



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元々Barrderで「Solar Continuum Filter」という名前で同様のフィルターが古くから販売されていたようなのですが、国際光器のページを除いても在庫なし、本国のページを覗いても今も2インチしか残っていないようです。

最近Player Oneから同等のフィルターが発売されたことを本国のページから知ったのですが、PayPalでは自宅住所の県の情報が入らないという、おそらくシステムのエラーのようで、うまく購入することができませんでした。その足で少し前にシュミットさんに問い合わせてみたら、いずれ日本でも発売するとのこと。期待して待っていると、早速6月24日に発売開始のアナウンスがあり、早々と使ってみたというわけです。

さて、このフィルターで何が見えるかというと、太陽の光球面のベナール対流起因の粒状斑と呼ばれるものです。下層から上がってくる斑の中心の明るい部分と、下層に下がっていく周りの暗い部分の境界の温度が6000K程度になっていて、波長で言うとちょうど540nm程度でその明るさの差が見やすくなるため、粒状班模様としてよく見えるようです。

明暗がはっきりと

前回の撮影ではこのフィルターの代わりにBaaderのYellowフィルターを使っていましたが、模様の明暗部分のあぶり出しにかなり苦労していました。

今回はその明暗のあぶり出しは相当楽になりました。結果はというと、

final

くらいで、分解能に関しては今回は前回の結果には達しませんでした。今回導入したフィルターと画像処理方法がある程度確立してきたため、この程度のものはコンスタントに出るようにはなってきました。ただし前回も今回も強画像処理の影響が大きく、もう少し画像処理をしなくても自然に粒状斑が出るよう、まだ撮影に改善の余地がありそうです。


何が効いているのか?

うまく見えるかかどうかは
  • シーイング
  • シンチレーション
  • ピント
  • 波長
  • 焦点距離 
  • カメラの分解能
  • 口径
に依存します。上に行くほど運で、下に行くほど装備といったところでしょうか。何が足りていて、何が足りないのか、少しだけ検討します。
  • 口径はC8で20cmでそこそこ十分なはずです。まだ惑星撮影の典型的な分解能に達していないので、口径制限とはなっていないはずです。
  • ピントは合ったと思った前後を何ショットか撮っておけばいいでしょう。
  • シーイングは今日はそこまで良くなかったようですが、冬よりは遥かにマシになっているようです。これは日に依るので、地道に繰り返していい日を待つしかありませんが、基本的に休日しか撮影できないので、つらいところです。朝早く起きるか?多分無理です。
  • シンチレーション等意味では、外気温40度近い状態での撮影なので、多分鏡筒などの温度が物凄いことになっています。筒内気流がどうなっているか?まだ全然考えていないので、ここら辺がキーになるのかもしれません。
  • 波長に関しては、今回のPhotosphereフィルターを使うことができるようになったので、これ以降は解決のはずです。
  • 今回はPowerMATEの2倍を入れてC8の焦点距離2000mmを4000mm換算で撮影しました。ピクセルサイズから考えるとまだ全然アンダーサンプルです。なので焦点距離を伸ばす方向が正しい気がしています。手持ちのScience Exploereの5倍のバローを次回導入してみようと思います。もしかしたら以前使ったことのあるPowerMATEの4倍を購入するかもです。

今後

とにかく、もう少し焦点距離を伸ばして、十分なオーバーサンプル状態のカメラで、シーイングのいい日を狙って撮影ということになりそうです。筒内気流はどうするか?もう少し考えます。

Baaderの減光フィルム、Televueの2倍のPowerMATE、Player OneのPhotosohereフィルターときて、状況は徐々にですが、着実に改善されてきています。もう少しでしょうか。

最近すごく忙しくて、太陽なんかやっている暇ないはずなのに、せっかくの休日の晴れだとどうしても試したくなってしまいます。ゴールデンウィークの頃に撮影した溜まっている画像の処理も全然進んでいません。うーん、大丈夫か?


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