ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2022年06月

島根で行われた公開天文台協会の全国大会で電視観望の話をしました。元々は天文普及教育研究会でのトークでの懇親会で電視観望の話をして下さいということでお誘いを受けていました。


観望会における電視観望

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8時間かけて到着した出雲市駅。ここからさらに車で1時間の三瓶山に向かいます。

参加メンバーは全国の科学館やプラネタリウムなどの天文台を持っている施設関連の方がほとんどで、私がこれまであまり関連を持てなかった方達ばかりで、非常に貴重な体験でした。これまでのブログでの配信や、星まつりでのデモとは違った層の方達に電視観望をアピールすることができるので、かなり気合が入ります。今回のテーマが「多様化の時代に求められる観望会とは」 というもので、その中でも電視観望は重要な手法の一つとして捉えていただいているようです。基本的に一般の方達に天文を広めていくプロの方たちの集まりです。参加者からさらに電視観望が広がっていくかもしれないので、大いに期待してしまいます。

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会場準備中の写真。

研究会は3日間の日程です。個々の発表があり、自らの施設の紹介、コロナ禍での施設運営、光害の話や、博物館方についての議論など、内容は様々ですが、どれも非常に興味深かったです。KYOEIさんが光害防止フィルターについて発表されていたのも印象深かったです。

自分の電視観望の発表は1時間近くあったので、かなり詳細に話すことができました。かなり好評だったようで、その場での質問も多く出ましたし、トーク終了後もかなりの方に個別に色々聞かれました。今回皆さんと話していてわかったのは、公開天文台においてもかなりの率ですでに電視観望が実施されている、もしくは非常に興味があって導入を検討しているというところが大多数であるということでした。なので皆さんトークもかなり真剣に聞いてくれていて、とても心強く感じました。また、参加者の中にはこのほしぞloveログをすでに読んんでくれている方もいましたし、電視観望に否定的な意見も出るかなとも心配していたのですが、それは全くの杞憂であって、もう完全に観望手段の一つで、今後電視観望を導入していかない手はないというような雰囲気でした。アマチュア天文から発展し、公的な天文台等にもきちんと認識されているということがわかっただけでも、私としてはかなりの収穫でした。

トークで一つ強調したのは、皆さん施設において大きな望遠鏡を触れる立場の方が多いはずなので「是非ともCMOSカメラを付けてみて下さい」ということです。焦点距離が長くても、導入精度のいい赤道儀もあるはずなので、系外銀河とかも難なく見えるはずです。私自身はそんな大型の望遠鏡を触ったことがないので、ある意味羨ましいのですが、色々試していただいてまたどのように見えるのか、何が難しいのかなどノウハウが蓄積されていき、その情報が共有できるといいのかと思います。


電視観望の実演

梅雨が心配だったのですが、会期中に梅雨も明け3日とも夜は晴れるというコンディションで、当然夜は電視観望のデモを行いました。機材は電車でも持っていけるように、FMA135+ASI294MC+AZ-GTiをミニ三脚に載せた非常にコンパクトなものです。トークの最中に明るいところでも機材を見てもらいましたが、鏡筒の小ささに皆さん驚いていました。

トークの中でも重点的に説明したのですが、ライブスタックよりもまずはヒストグラムの左の2本線で挟むこと、これを実演して見せることができました。後で聞いたら、「電視観望やっているけど、2本線で挟むことをやっていなくてあまりはっきり見えていなかった。帰ったら早速試してみる。」と言ってくれた方もいました。

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初日の電視観望で観た、雲越しの北アメリカ星雲

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定番のM27。この頃から雲も少なくなってきました。

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網状星雲。

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アンタレス付近のカラフルタウン。青が少し出始めたか?

上の画像は初日のものですが、最後の夜に30分ほどでしたが、M57、M27、北アメリカ星雲を参加者のかなりの方に見てもらうことができました。トークの後での実演だったので、本当にこんな小さなシステムでここまで見えるんだと、びっくりされた方も多かったようです。


配信システム

今回の大会で、特筆すべき欠かせない役割として活躍したのが、会場とオンラインのハイブリッド開催を担う配信システムでした。

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普段から星空中継などをされているチームがボランティアベースで構築してくれていたのですが、ハードウェアコーディングなどの機材を実際に見ることができてかなり勉強になりました。PCベースだと不安定で、ハードベースにすることでかなり安易したシステムにしているとのことです。また、発表スライドの表示形式や配信にあった設定などもとても詳しくて、自分のトークの時にも色々設定していただきました。

今後の天文イベントはこういった配信体制の確立は必須だなあと実感させられました。もちろん一般のにも応用が効きそうな方法なので、色々参考にしたいと思います。


発表会以外のプログラム

発表以外のイベントも楽しくて、歩いて5分くらいのところにある三瓶自然館サヒメルでは、日本最大のスライディングルーフがあり、GOTOのクーデ型の望遠鏡4台を覗かせてもらったり、

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西村の口径15cmの屈折で電視観望、口径60cmの反射望遠鏡で眼視と、M5球状星団を見比べることができました。

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電視観望ではM5の恒星の色を見分けることができ、皆さんその威力を垣間見ることができたのではないかと思います。その後のプラネタリウムでは特別ゲストで生ブラック星博士が出てきたり、

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三瓶自然館サヒメル

せっかくなので、少しだけ三瓶自然館サヒメルについて。

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時間があったので施設の見学をしました。三瓶山の自然や動植物、昆虫などの展示が多く、家族連れで楽しめる施設になっています。埋没林が印象深く、火山で埋もれた高さ十数メートルの木を掘り出したものを展示してあります。かなりの迫力です。

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車で移動ということなので行けませんでしたが、埋没林博物館というのもあるとのことです。

望遠鏡は先に書いたスライドルーフに納められたクーデ式と60cmの反射があります。堀田仁助という地元出身の江戸時代の天文方の展示があり、プラネタリウムではその伝記のプログラムもあります。

SANBE BURGERという地元の肉を使ったハンバーガーショップもあります。

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看板メニューの三瓶バーガー美味しかったです。

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まとめ

会場でお会いできた皆様、電視観望の実演を含めていろいろお話させていただきありがとうございました。普段聞けないような話も色々していただきとても参考になりました。電視観望が観望会でかなり使われていることを聞いて、とても嬉しかったです。私のトークやデモが実際に参考になってくれれば幸いです。またJAPOSの役員の皆様、サヒメルのスタッフの皆様、3日間大変お世話になりました。とても快適に楽しく過ごすことができました。本当にありがとうざいました。

3日という短い間でしたが、最後の解散の時は名残惜しかったです。もしまた機会があれば参加してみたいです。
 


実は4月くらいから太陽粒状斑の撮影を何度かしています。でもほとんど失敗か進化なしで、ブログの記事にしていませんでした。今回は久しぶりの進歩です。


とうとう粒状斑が出た!

本日2022年6月19日、梅雨なのに朝から快晴です。早速の太陽粒状班撮影です。最近はもう粒状斑ばかりで、PSTでのHαは放っておいてます。

最初から結果です。どうでしょう?粒状斑出たといっていいのでしょうか?多分いいですよね!やっとたどり着いた太陽の粒状班です。長い間の目標の一つでした。この模様はベナール対流と呼ばれる、下から湧いて上まで昇ってきて、また下に降りていくようなモコモコの模様で、味噌汁とかの表面でも見えるような現象です。
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  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 撮影時間: 2022年6月19日14時27分-15時12分
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • バローレンズ: TelVue PowerMATE x2 (焦点距離約4000mm)
  • フィルター: Baader Planetarium AstroSolar Solar Filter OD5.0
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
  • 画像処理: AS3にてスタック、PixInsightで細部出し、PhotoshopCCで後処理
写っている黒点はAR3034ですが、テスト撮影なので向きとかは適当です。かなり強度な画像処理をしたのち、やっと細かい模様が出てきました。大きさ的にも正しそうですし、少なくとも何らかの構造が見えているのは間違いないでしょう。ただ、画像処理の加減がまだわからず、もしかしたら変な模様になってしまっている可能性もあります。


ここ最近の機材の改良点

まずこれまでと決定的に違うとことは、減光フィルターをOrionの厚みのあるガラス板状のものから、Baaderのフィルム状のものに変えたことです。フィルムのものは手元に以前国際光器に注文したOD3.8と、福島の星まつりで国際光器のブースで特価で買ったOD.5.0の2種類ありますが、とりあえず5.0のを使ってみました。

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見ての通り、フィルム取り付けの工作はまだ超適当です。今回は効果があるかどうかを見るのが目的です。実際、撮影の時に少し光が漏れていて、PCでの画面が明るくなっていたので、もう少しパーマセルテープで塞ぎました。

カメラ側につけるフィルターは今回もBaaderのDark Blue、Yellow、サイトロンの640nm以降を通す赤外線などいくつか試しましたが、上の画像はYellowで撮影しました。

その他機材はこれまでと同じで、C8にASI290MMで撮影しています。今回はさらに拡大するためにTeleVueの2倍のPowerMATEをつけています。

撮影はSharpCap。リアルタイムフラット補正をしながら、ヒストグラムのレベル補正で小さな黒点を炙り出し、その黒点の平均的なピントが一番合うところを探していきます。シーイングはそこそこよかったと思いますが、ベストからはまだ劣ると思います。今回のは条件を変えて10ショット撮影して、これが一番まともでした。他のはここまで出てません。

画像処理ですが、スタックはAS!3でこれまでと同じですが、模様出しは全然違います。ImPPGだとPowerMATEを入れたときのベースの解像度が違うみたいで全く歯が立たず。Registaxもいまいちダメでした。最後はPIのMutiscaleLinearTransformでかなり微調整して、やっと粒状班の構造が出てきました。


雑感

今回少なくとも分かったことは、これまで使っていたようなガラス板状の減光フィルターはやはりダメということ。これまでどうやっても出なかった細かい模様が、すんなりとは言いませんが、出すことができるようになりましした。PowerMateを付けない画像でも顕著で、ImPPGでものすごい処理をしてなんか見えたような気がするとか言っていたのが、今日も含めて過去2回新しいフィルムで試していて、どれもあっさり画像処理で同等以上の模様が見えます。

これを見て、昔C8の光軸合わせを夏の暑い日にクーラーをかけた部屋の中から、窓ガラス越しでやっていたことを思い出しました。ブレブレになって細かいところが何も見えないのです。窓ガラスを開けたとたんに、ブレがピターっと止まって、あー、ガラス越しはダメなんだと実感しました。もしかしたら同じようなことなのかもしれません。

かと言って、撮影中にPCの画面で大きな違いが出たかというとそんなこともなく、少なくともSharpCapの画面を見ている限りはよくわかりませんでした。画像処理後の違いとして認識できるのみです。


今後

まだ改良できそうなところですが、鏡筒が黒くて熱を窮するので、反射アルミ箔とかを巻くこと。でも実際の撮影では鏡筒を太陽光に完全に平行に向けるのであまり熱くならないため、そこまで効果はないかもしれません。

あと、今回使ったYellowのものの代わりに、フィルターを専用のものにするとコントラストが上がるかもしれません。Baaderのものを頼んで気長に待つかなどです。Player Oneのを輸入するかです。


まとめ

今回、フィルムタイプの減光フィルターに変えた効果はあからさまにあったと言っていいでしょう。ただ、まだ画像処理は手探りで、もう少しまともな方法をいろいろ試したいと思います。シーイングがもっといいと、無理な画像処理はしなくていいのではないかと期待しています。


今回の記事は、2022年5月28日の飛騨コスモス天文台の観望会の後に撮影したIC1396の画像処理です。




IC1396を選んだ理由

ゴールデンウィークにASI2400MC Proで青い馬星雲を撮影しましたが、5月中は借りていて良いということになり、もうワンショット何か撮影できればと思っていました。



せっかくのフルサイズのカラーカメラなので、飛騨コスモス天文台の利点を生かした北の暗い空で、フィルターなしでどこまで出るのかを、できるだけ広角で大きな天体で試してみたいというのが第一です。いろいろ考えて、IC1396:象の鼻星雲(Elephant's Trunk Nebula)をターゲットとしました。ケフェウス座にあるかなり大きな星雲で、北アメリカ星雲より大きいくらいです。

実はこの前後に、象の鼻の部分をSCA260で拡大して撮影しています。こちらはナローバンドフィルターを使って撮影しているので、比較が楽しそうという理由もあります。

機材はFS-60CBとCGEM IIで、青い馬星雲を撮った時と同じです。カメラもASI2400MC Proなので同じものですが、露光時間とゲインも同じにしました。設定も含めて全く同じにしたのはダークやフラット、フラットダークフレームを使い回しするためです。NINAだとまた撮影時にカメラを認識でトラブりそうなので、今回は最初からSharpCapを使っての撮影です。それでも認識させるまでに何度か接続し直しをしました。青い馬星雲の撮影時と同じように、ディザーをしていないので縞ノイズがでる可能性があります。青い馬ではとりあえず出ていないようだったので大丈夫かともいますが、おそらく今回の方が淡いので少し心配です。

あと、青い馬星雲を撮影した時はバックフォーカスを合わせる手段がなくて、現地でFC76用のマルチフラットナーのリングを使って適当にマルチフラットナーからセンサーまでの距離合わせましたが、今回はZWO製のフルサイズクラスのCanon EFマウント用のアダプターを使い、さらに足りないフィルターホイール分の11mmを別途M54のアダプターを使い、1mm単位でバックフォーカスを合わせることができました。比較すると、青い馬星雲のときの四隅を見ると相当ずれていたのがわかります。

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今回の四隅は下のようにかなりマシになりました。でもよく見ると、左より右側が流れています。カメラのスケアリング調整が必要なのでしょうか?アダプターをいくつも使っているので、微妙にずれた可能性もあります。

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撮影は3分露光で全部で45枚、合計2時間15分の撮影時間なので、大して長くはないです。撮影はかなり安定していて、45枚全てを画像処理に回すことができました。気になるのは人工衛星で、45枚中11枚に軌跡が入り込んでいます。ひどいのは3分で3つの線が入っています。そんなのが2枚ありました。

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撮影はもう先々週のことになるのですが、これが一番新しい素材で、他に4月から未処理の画像が大量に溜まっています。それでもカメラを返す必要があるので、こちらを先に処理することにしました。


画像処理

PixInsightが5月18日にアップデートされて1.8.9-1となりました。StarNet V2だけは相変わらず手動インストールが必要でした。

新しいこととしては、WBPPで途中経過を示すスクリーンが出るようになりました。これを見ていると、Local Normarizationに一番時間をかけていることがわかります。馬頭星雲の画像処理の時にLocal Normarizationの有り無しでかなり差が出たので、時間はかかっても今後もオンのままで行こうと思います。

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スタック直後の画像をオートストレッチしたものがこちら。結構淡いですが、まあなんとかなるでしょう。

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あと、フラットフレームが室内での壁撮影だったこともあり、1次の傾きがあるかもしれなないため、ABEの1次で補正しました。実際上の画像は右側が暗いです。Deconvolutionは試しましたが、ほとんど効果がなさそうで適用せず。その後ストレッチして、少し星がうるさかったのでEZ StarReductionのみかけました。後はPhotoshopに渡して仕上げです。


結果

「IC1396: ケフェウス座散光星雲」
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  • 撮影日: 2022年5月29日0時57分-3時13分
  • 撮影場所: 岐阜県飛騨市
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI2400MC Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイド
  • 撮影: SharpCap、Gain 150、露光時間3分x45枚で総露光時間2時間15分
  • Dark: Gain 150、露光時間3分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 150、露光時間 0.1秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
オレンジ色のガーネットスターが綺麗です。わずか2時間ちょっとの露光としてはかなり淡いところまで出たのかと思います。自宅富山では得られないような暗い北の空なのでそもそも有利なのですが、カメラの性能のおかげというのもかなりあるのかと思います。画像処理に関しては以前同じカメラで撮った三つ子銀河青い馬星雲と同じような感想で、とても素直で、露光時間が短いにも関わらず手間がかかりません。やっぱり素直にASI2400MC Proはかなりいいカメラだと思います。

今回、周りの淡い部分を出すために全体を明るくしているため、右側から伸びる象の鼻のところをうまく出すことができませんでした。ここは結構明るい部分なので、そこにある暗黒体は潰れてしまいがちで、もっと輝度を落とすと出てくるのですが、それだと全体が暗くなってしまいます。この部分はSCA260で撮影したナローでリベンジかと思います。

あと、どうしてもSolverがうまくいかなかったため、今回Annotationは無しです。ストレッチ前の画像ではきちんとできるので、ストレッチの過程で星がうまく検出できない何かが起きているようです。それでも最高で98%まで検出できていると出てくるので、後少し何かが違うだけだと思うのですが...。別画像でSolverをかけてその情報を他の画像に移す用法もある気がするのですが、ちょっとわかってません。


まとめ

それにしてもカラーカメラは楽でいいですね。分解能を求めるような系外銀河とかでなければ、もうカラーで十分な気がします。特に短焦点の広角はそこまで分解能必要ないですし、フルサイズの方がより大きなエリアを見ることができるので、このカメラはベストに近い選択の気がします。もう一つ上にASI6200MC Proがありますが、逆にこちらはピクセルサイズが小さくなり画像サイズが大きくなるので、感度的には2400の方がいいのと、画像サイズ的に使い勝手がいいのかもしれません。でも6200の16bitは少し気になるし、モノクロと合わせてLとRGBの2つで撮るとかの応用も効くので、こういった活用なら6200はかなり魅力です。

とまあ、お借りしたカメラをもとに感想を言っているだけなので気楽なものですが、今回も含めてこれだけ出るのなら、値段さえ許すなら本当に今の6Dを置き換えたいです。でも中古の6Dが4-5台分、どうしても考えてしまいます。

今回を含めて、このASI2400MC Proで「三つ子銀河」「青い馬星雲」「IC1396」と3つの作品を仕上げました。これだけの高性能のカメラを使わせていただく機会を与えていただき、感謝しています。自分としてはどれもこれまでにない仕上がりとなり、心置きなく返却できます。いや、かなり後ろ髪をひかれます...。もうちょっと使いたい...。できれば欲しい...。



初日からの続きです。




起床後の太陽

星の村天文台星まつりの2日目、土曜日の朝。昨晩寝たのが午前2時近くでしたが、7時半頃には目が覚めました。雲もありましたが、晴れ間もかなりあり、駐車場で太陽望遠鏡をセットし始めます。赤道儀はCGEM II、そこにいつものPSTにC8をつけます。いや、今回の場合はPSTにC8をつけたと言った方がいいでしょうか。PSTを持っている方も多く、その改造に注目してくれます。

機材のセットアップを終え、PCを出したり初期アラインメントの晴れ待ちの間に、さすがは星まつり会場、かなりの興味を引いたようで、次々と話しかけられます。

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例えば初期アラインメントで対物側のシュミット補正版の明るいスポットを見ながら、スポットが真ん中に行く様子を見せ、画角的にもカメラに太陽がきちんと入ることをわかってもらったりしました。

プロミネンスも大きく迫力があるものが出てましたし、黒点も2箇所、はっきりと見えるものが出ていました。今回は太陽撮影ではなく、ある意味太陽を電視観望で見てもらうことを目的としました。なので撮影した画像はないのですが、リアルタイムで見るだけでも解像度が半端ないことは皆さん皆さんよく理解してもらえたようです。

そもそも、こんな魔改造機に注目する人は、ほとんどPSTを自分で持っている人なのです。中には2つ持っているという人もいました。しかもかなりの人が、最近よく見えなくなってきてあまり使ってなと言うのです。初期のものは対物レンズについているコーティングがERFを兼ねていて、そこが経年劣化でダメになることが多かったりします。オリジナルのPSTは口径4cmで、これが5倍の20cmになったC8になるとさすがに分解能は相当違い、画像処理をする以前のPCのリアルタイム画像でさえも、プロミネンスや黒点もかなりはっきり見えてしまいます。PSTはF10前提で、C8ならピッタリとか、皆さん基本すぐに理解してくれ、カンどころを話しても通じるとことがありがたいです。

実際にPCの画面を見てもらうときは、明るさが一番の敵なので、上のようにPCを箱に入れ、さらに自分自身の明るさが画面に反射するのを防ぐために、下のように雨用のカバーをかぶって見てもらいます。

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「今回の会場内で一番見応えがあった」という方もいて、星まつりで大口径の可能性を見せるという価値はあったのかと思います。

使われなくなったPSTは恐らくかなりの数が全国にあって、再利用という意味では大口径化はかなり魅力的に映ると思うのですが、安全には相当気をつける必要があります。会場でもそもそも「熱くならないか?」と聞いてくれる方もたくさんいて、これまでこの「ほしぞloveログ」で書いてきたように「UV/IRフィルターを入れて熱を吸収しないようにしている」と説明しました。そもそも、
  • PSTの分解が大変なこと、
  • PSTを改造したら少なくとも私はそれ以来一度もアイピースでのぞいたことがないこと
など、相当の注意と覚悟を持つ必要があることを強調して説明しています。この方法は実験としては面白いかもしれませんが、決して推奨する方法とは言えず、まっとうにはDayStarなどを使って大口径に挑戦するのが本道です。

そもそも太陽観測は危険を伴い、観望会などで使うのはどうしても躊躇してしまいます。口径に関わらず、CMOSカメラを使って太陽観測をするのは、万が一のことを考えると機器の破損だけですみます。そもそも目で見ないので、失明などを避けることができるはずで、まだ安全なのかもしれません。そう言った観点からも太陽電視観望を導入する利点があることなども話しました。


やっと会場へ

太陽電視観望でひっきりなしで人が来ていて、駐車場から会場に初めて行けたのがもう抽選券を配り始める11時ちょっと前。会場では星友のIさんがVRで天の川を見せてくれました。

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写真にも写っているように、専用の2つレンズで撮るとのことで、最近やっと天の川もうまく撮れるようになってきたとのことです。昼間にも関わらず、顔や目線を動かすとその方向に見えるVRでの天の川はかなりインパクトがあります。

外山さんのところは相変わらず面白いです。写真を撮り忘れてしまいましたが、ある回路を見せられて「これが何かわかりますか?」と聞かれました。全く想像もつかなかったのですが、なんとアナログのPEC(ピリオディックエラーを補正するもの)だそうです。8個石が載っていて、信号を8段階に分けて覚えているようで、速い信号を返すのは難しいが、低い周波数の信号で十分補正ができるとのこと。製品化はさすがに難しいと思いますが、こんな実験的な楽しいことをやってしまうのも外山さんならではです。

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同じブースでピリオディックモーションの実測もやっていました。大学時代の先輩でもあるHBさんともたくさん話すことができました。

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今回食事はほとんどふもとのコンビニです。クーラーボックスを持ってきてその中に氷を入れておくことで、ある程度の買い溜めができます。会場での食べ物はしいたけ屋さんくらいと、ワッフルなどのキッチンカーが1台出ていたくらいなので、あらかじめ用意してきた方がいいかもしれません。この日の昼も、一度下まで降りて、コンビニで夕食分まで買い込んでおきました。


抽選会

15時になると、抽選会が始まります。私はなんと2番目に当たって、ポスターをいただきました。

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早くに当たってしまったので、当たったポスターを片付けがてら車に戻り、ちょっと休憩。休憩中に星友の仙台の木人さんがちょうど会場に着いたようで、駐車場を歩いているところで話しました。その際、手作りの魔除けならぬ、「雲よけ」を3枚いただきました。何が書いてあるかはわかりませんが、これで雲が去ってくれれば万々歳です(笑)。

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木人さん、この日の夜の電視観望にも来てくれたのですが、遅くまでいられないそうです。なんでもこの日は残業していることになっているとか。「自宅には疲れた顔をして帰らなければ」とか言っていました。以前CANPでお会いした時も、何故か一眼レフカメラとレンズで惑星を撮影していることになっているとか、相変わらずユニークな方です。


講演

17時からは恒例の渡部先生の楽しいトークです。なんでも金曜日に海外から帰ってきたそうで、なんとかトークに間に合ったとのことでした。予測した流星群が出るかどうか確認しに行って、見事に出現して予測が当たったそうで、話もとても楽しかったです。

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渡部さんに引っ張られるように重力波の話も出てきました。皆さん結構笑っていたので、内容としては面白かったのかなと思います。

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電視観望も2日目

その後、徐々に暗くなってきたので、この日も電視観望の準備。もともと天気予報ではせいぜい20時頃まで天気がもつくらいでしたが、なんとこの日も23時頃までずっと快晴。星まつりで二日連続で晴れるなんて、相当貴重です。梅雨入り前というのはやはり日程的にいいのかもしれません。

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この日も最初は定番の三つ子銀河やM81とM82です。

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さらにM57とかの定番も見ましたが、この日面白かったのが、山から登る北アメリカ星雲でしょうか。こんなのは電視観望ならではですね。

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途中、SharpCapが難しいと言う意見があり、ASILiveを試してみました。サドルから三日月星雲です。簡単に操作できるのですが、何か微調整しようとするとあまり自由度がないのは相変わらずです。初心者はこちらの方が扱いやすいかもしれません。慣れて不満が出てきたらSharpCapというのが王道でしょうか。ただし注意として、このAISLiveはZWO社のASIシリーズのカメラでしか使えないので、もしこのソフトを使うことを念頭に置いているならZWO社のカメラを選ぶ必要があります。

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考えさせられたこと

一緒に付き合ってくれていたさすらいさん、やまのんさんなど、いろいろな方と話したのですが、その中で木人さんから言われたことはかなり考えされられました。「電視観望はそんなに簡単だ簡単だと言っていいのか?」という疑問です。やはり天体観測につながるようなことなので、当然ですが難しいところもあります。

私は基本をものすごく大切にしてて、例えば電視観望でも架台や鏡筒の水平を取ることとか、無闇にケーブルを増やしてトラブルになるよりはできるだけシンプルにして安定な稼働を目指すべきで、必要なら最低限のケーブルを追加していくとかです。「簡単だ」と言う呼びかけが「基本を疎かにしてもできる」というように解釈されてしまうと、それはやはりおかしくて、むしろ基本をきちんとした方が実際の稼働はトラブルが少なく簡単になることが多かったりします。

実際に、この日の電視観望を見に来てくれている方の中にも「以前挑戦して難しかったから諦めてしまった。これを見てもう一度やってみようかなあと思った。」というような方が少なくとも二人いて、こういった方たちを救いきれてこなかった現実に、私は愕然としてしまいました。今回天文ガイドに書いている記事も、ある人にとっては物足りないでしょうが、ある人にとってはやはり難しすぎたりするのです。いろんなレベルの人、いろんな考えの人がいて、もちろん全部に一人で対応するのは全然無理なのはわかっているのですが、まだ初心者に対しての考え方が全然不十分だったようです。

この日の昼間に、前回の福島スターライトフェスティバルで会うことができた、VixenのIさんに再会できました。とても若い方で、今回も私の姿を見つけて声をかけてくれました。Vixenブースにいなかったのでなんでか聞いたら、わざわざプライベートで来ているとのことで、本当に星好きな方です。Vixenは日本では初心者のことを重要な顧客として考え商品展開をしている最大手です。電視観望のことも当然話しました。Iさん含め、若い社員が新しいことをいろいろ考えているみたいです。初心者を含めて、星の魅力を伝えていくという方針も素晴らしいと思います。Vixenさんが本気になってくれれば、相当のことができるのかと思います。初心者を大切にして裾野を広げることが、星を趣味にする若い方を増やすことにもつながるのかと思います。私は個人的にVixenさんの底力みたいなのをかなり期待しています。

途中、木人さんのところに、岡山で行われているCANP組のかんたろうさんから電話がかかってきました。天リフ編集長にもつながり、話すことができました。全然違う場所で星好きな人が集まっていて連絡を取り合うと言う、趣味はやっぱり距離も近くするんだなあと改めて思いました。


後片付け

さて、23時くらいになってくると少し雲がかかってきました。網状星雲を見たのですが、すでに薄い雲がかかっているような状態で、晴れていればもう少しきれいに出たのかと思いました。

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この網状星雲でこの日の電視観望もおしまい。また再会を約束し、片付け始めました。駐車場で荷物をしまい、まだ少し晴れ間があるのでドブ組のところによりました。最後M5を見せてもらいました。ヒロノさんもずっと解説していて疲れていたようで、その後曇ってこの日は皆さんおしまいになっていったのかと思います。

私は日曜に少し用事があったので、ここで会場を後にします。ふもとのコンビニで少し食事をとり、飲み物と帰りのおやつを買いこみ、0時半頃に帰路につきます。でもすぐに眠くなり、猪苗代湖手前くらいで午前4時くらいまで寝てしまいました。目覚めた後は眠気もなく、自宅まで順調に午前8時過ぎくらいにはたどり着き、そのまま片付けもしてしまい、シャワーを浴びて昼くらいまで寝てました。


戦利品

今回の戦利品は本当に少ないです。いつもは独立ページを作るのですが、今回はここで書くくだけです。太陽フィルムと、2インチのキャップ。あとは木人さんにいただいた雲避けシール、あぶくま洞のクリアファイル、抽選で当たった月のポスターです。


お疲れ様でした

今回の星まつりも、やはり人に会うのと、あとは電視観望、太陽機材を見てもらうのが主目的です。そう言う意味では十分に目的を果たせました。披露した機材をネタに、さらに新しい星友もできていきます。これだから星まつりは楽しいです。

今回お話しさせていただいた方々、今後ともよろしくお願いいたします。また、このような大きなイベントを実現してくださった、天文台台長はじめスタッフの方々、本当にありがとうございました。最終日を待たずに帰宅してしまい、申し訳なかったのですが、また来年も時間の許す限り参加したいと思います。

参加されたすべての皆さま、お疲れ様でした。


福島の星の村天文台で行われた星まつりに参加してきました。前回まではスターライトフェスティバルと呼ばれていたもので、昨年から開催時期を6月に移動し、名前を星まつりと変えましたが、昨年度はコロナ禍で中止となったので、実質的には変更後初めての開催となります。




出発

6月3−5日の金土日の開催で、平日でしたが金曜の午前中に出発することにしました。

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北陸道から新潟で磐越道に乗り替え、福島に入り猪苗代湖を越えしばらく走り、ETC専用の田村スマートインターチェンジが最寄りになります。途中、北陸道の最後の方の黒崎サービスエリアで恒例のスターバックス。

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このスターバックス、毎回何かしら話しかけられます。今回は「抹茶好きなんですか?」と「コーヒーはのあまり飲まないんですか?」でした。そういえば1年半前の時も話しかけられたことを思い出しました。「年1回くらいの福島まで行くんです。前の時も話しかけらたんですよ!」とか言ったら「何かあるんですか?」と聞かれたので「星まつりというのがあって福島まで行くんです。」とか会話がはずみます。来年もまた黒崎でトイレ休憩することになりそうです。


会場到着と開会式

現地到着は15時半頃だったでしょうか、会場に一番近い駐車場もまだそこそこ空いていました。

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会場に着いたら各ブース設営準備でした。

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すでに開いていた国際光器さんのところに行き、先週OD3.8の太陽フィルターを購入させていただいたことを報告。ついでにOD5.0のシートが特価だったのでその場で追加購入しました。今回主な買い物はこれだけです。星まつりでしたが、今回はうまく物欲をコントロールできました。

会場で星仲間との再会です。最初に福島に参加したのが2016年。途中2度ほど台風などで中止になりましたが、開催された時には必ず参加していました。多くの知り合いもでき、歩いているはしから挨拶とお話しとで、そのまま17時の開会式になだれ込みます。

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星の村天文台長の挨拶です。

開会式では6月に移した理由が語られました。とにかく10月の台風に悩まされたこと。梅雨前の6月第1週が晴天率がいいからということでした。この判断は大正解だったと思います。実際、事前の天気予報に反し、どんどん予報も良くなり、金曜夜も土曜夜も、それぞれ0時頃、23時頃までと快晴で、天の川が2本の構造がわかるくらいかなりはっきりと見えました。地元の人によると、年何回あるか位のレベルの透明度だそうです。あと、まだ虫が出る前だったこと、多少寒かったですが、これまでの10月末とかの寒さに比べると遥かにマシで、車中泊も寝袋一つで十分に快適でした。


個性的な天体機器

開会式終了後、駐車場へ戻り少し回ってみると、utoさんがすぐ近くにいらっしゃいました。以前天リフの行事の時にオンラインではご一緒したことがあるのですが、お目にかかるのは初めてでした。念願の極小手作り反射鏡筒の実物を見ることができました。

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作りが細かくて素晴らしいです。夕方のまだ明るいうちの月を見せて頂きましたが、実用レベルできちんと見えるところがすごいです。

ちょうどその場にいた方が、面白いものを取り出しました。極小繋がりで、なんと100円ショップの時計を利用した赤道儀です。

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時計なら「24時間で一回転」というまさにコロンブス的発想で、コンパクトさ、コスト、アイデアなど、もう天文マニアとして申し分ない逸品です。電池は動作させっぱなしで1年持つそうです。すごすぎます。

実際には以下のように使うとのことで、バランスを取ることで余分なウェイトなどを必要せずに実用で使えるとのことです。

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utoさんが自分のコンパクト反射に入れたがっていました。今はアイピース入れに使っているという、本体の小さなスペースに本当に入りそうなくらいの大きさです。

実はこの方、昨年の小海で車を止めてすぐに会った方で、金沢から来たOさんということがわかりました。ドブ使いで、小海でもみた黄色の手作りドブを出していました。やはりすごい方は何を作ってもすごいですね。

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星仲間のヒロノさんの66cmドブでも月を見せてもらいました。「星の村天文台の65cmより1cm大きい」とのことでした。

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電視観望関連

ヒロノさんといっしょに、19時からプラネタリウム内で始まるKYOEIさんの電視観望講座を聞きに行くことに。

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プラネタリウムのプロジェクターでスライドを表示させて話すのですが、この椅子がいけません。完全リクライニング型でかなり倒れ込むので、確実に眠くなります。私はがんばって起きてましたが、ヒロノさんはよく眠れたそうです(笑)。講演内容はいつもZoomで電視観望を講座をされているだけあって、とてもスムーズで、笑いありの、かなり完成されたレベルでした。質問もたくさん出てました。星まつりでこういった講演会があるのは、情報を知りたい方もたくさんいるはずなので、やはりいいですね。講演予定時間は30分でしたが、この時点で天気がかなり良くなってたので、外に行ってみる方が説得力があるということで、実際のスライドは20分程度、10分質問時間で19時30分には皆さん外に移動しました。

KYOEIブースではZWOの新しい赤道儀AM5が使われていて、かなり注目を浴びていました。まだ日本ではこの1台があるだけとのことです。

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私はここで自分の電視観望の準備を始めます。最初天文ガイドの電視観望特集企画で、天文ガイドブース前に展開しようと思っていたのですが、あいにくKYOEIブースの隣で、邪魔になってしまうと悪いと思い、しいたけ屋さんの販売がすでに終わっていたので、そこで展開することにしました。

あ、しいたけ屋さんといえば、毎回しいたけの串焼きが絶品で、この日もプラネタリウムでん講座が終わってから夕食がてら食べようとしたら、なんと講座の間に閉店。この日は残念でしたが、次の土曜日に焼き鳥とたこ焼きと合わせて、しいたけの串焼き今回も頂くことができました。

肝心の電視観望ですが、今回のセットアップはFMA135+ASI294MC+AZ-GTiの超コンパクトセットです。実は豪華なFS-60CB+ASI2400MC Proのセットも持ってきていたのですが、車から機材を手持ちで運ばなければならないことと、口径3cmという小ささが逆にインパクトになるだろうと思い、FMA135にしました。

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天気が良かったことと空が暗かったこともあり、かなり綺麗に見えたのですが、始める頃の時間帯はこの季節あまり見栄えのする天体が少なく、月の地球照とか見せてました。あとはせいぜい三つ子銀河とM81、82が少し見栄えがくするくらいです。

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程なくしてM57が登ってくると少しカラフルになります。FMA135だと拡大率の限界に近くて、カメラのピクセルが見え始めます。M57のような小さな天体は、視野角と解像度の関係を示すいい例になります。

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KYOEIさんの電視観望実演も含めて、多くのブースが21時頃には片付け始めます。私のところはこれからば本番です。21時頃になるとデネブも見え始め、北アメリカ星雲が見えます。

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その後、サドル付近を見てみます。真ん中に三日月星雲が小さく見えます。

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拡大してみますが、光学性能が優れているFMA135のおかげで、破綻や星像の過度な肥大がすることなく、三日月星雲単体でも十分みることができます。

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他にも定番のM27などです。

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最初の頃は一人でこじんまりとやっていたのですが、途中から何人も立ち寄ってくれました。さすが星まつり、実際に電視観望をやってみたい人、すでやっている方も多かったです。今回の星まつり参加の目的の一つが電視観望のデモなので、疑問とかトラブルとかの解消の仕方をできるだけ実演も含めて話したつもりです。実際のライブスタックが始まったら放っておけばいいので、話す時間は十分にありました。こういった取り回しのしかたも、もしかしたら参考になった人もいるのかもしれません。

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今回もう一つの収穫が、天文ガイドの編集の方に実際に見て頂いたことです。他の方もそうなのですが、わずか口径3cmの鏡筒(ガイド鏡では?と言っている方もいました)でここまで見えるのは驚きなのかと思います。原稿執筆時にも私から説明もいろいろしたのですが、本当に百聞は一見にしかず、やはり実物を見て、あーだこーだ議論して、見たい天体をドンドン変えていきと、もうとにかく楽しいのです。

その中で、編集の方が以前この星の村天文台で電視観望をみた覚えがあるという話をしてくれました。α7sもあったというので、恐らく2016年の最初にスターライトフェスティバルに参加した時で、私もBKP200とASI224MCで電視観望を披露した時です。場所も編集長の記憶と一致していました。あの頃から考えると、もう格段の隔世の感があり、5−6年の間に電視観望自身がものすごく進歩したことを改めて実感しました。

電視観望の技術の進歩といえば、2017年にやはりここ福島で、初めて画面に三日月星雲を映し出す
ことができました。その姿が上がってきたときには「おおーっ」という感じで、相当盛り上がったことを覚えています。まだまだフィルターを使うという概念があまりなく(QBPが発売されるもっとまえのことでした)、淡い天体を炙り出すのに苦労していた時の話です。ちなみにその時出した三日月星雲がこれです。

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上のものと比べると、今の方が口径さらに小さくなっているのに、はるかにきれいに出ていることがわかると思います。


片付け

0時近くでしょうか、だんだん雲が出てきてこの日の電視観望は終了。星友かつ、大学時代の先輩のHBさんに片付けを手伝ってもらいました。HBさんには焼きしいたけやコーヒーをご馳走になったりで、いろいろお話しさせていただいたりで、今回も大変お世話になりました。いつもどうもありがとうございます。

車に荷物を入れ、少しだけドブの方々に眼視で見させて頂きました。M13の粒状感は半端なかったです。他にもM51子持ち銀河や、M81と82のペアなど見せてもらいました。程なくして雲が全面を覆ってしまって終了となりましたが、最近眼視がかなり魅力です。

車に戻り、よく考えたら夕食を食べていないことに気づき、5分ほど山を降りたコンビニに買い出しに。やっと暖かいドリアを食べ、再び会場の駐車場に戻り、そのまま車で寝ました。そこまで寒くなく、寝袋一枚を広げてかけるだけで十分眠ることができ、かなり快適でした。梅雨前のこの季節、かなりいいです。

さて、土曜日のことはまた続きの記事で。

 

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