ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2022年02月

今年2022年も昨年に引き続き、CP+のサイトロンブースでトークをさせてもらえることになりました。


今年も話すことになりました!

事の発端は小海の「星と自然のフェスタ」でのシュミットさんでのお手伝いの時です。「また今年もCP+に出展するので電視観望でお話しできませんか?」というオファーでした。二つ返事でOKといきたかったのですが、ちょうどその頃の予定を見ると仕事の方がかなり立て込んでいます。「まだ日程も決まっていないし、どれだけ枠が取れるかもわからない」ということで、決定は後日ということになりました。

その後、プロデューサー役の天リフ編集長とのスケジュール調整で2月25日土曜の昼からのパシフィコ横浜会場でのステージ枠が唯一の時間が取れる場所ということで、決定となりました。

ところが皆さんご存知の通り、今年もリアル開催は中止になってしまい、オンライン配信のみとなってしまいました。もしかしてライブ配信も可能かと少し考えたのですが、実は土日が仕事で東京に滞在する予定になっています。夜まで仕事があるので、諦めて土曜日朝からサイトロン本社に立ち寄って収録という運びになりました。天リフ編集長もきてくれているらしいので、楽しい撮影になりそうです。


今年の内容

今年は「もっと入門寄りに」というリクエストを受けています。そこでタイトルは

「電視観望入門」
NEWTONYとCeres-Cで星雲の色を観てみよう

としました。この一年の間に最安に近いCMOSカメラCeres-Cも販売され、それを活かす短焦点鏡筒というという形でNEWTONYが使えます。できるだけ敷居を下げて、これまで星雲などを見たことない方や、天文初心者に電視観望を体験してもらえればと思っています。

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あとは、特にCP+ということで天文以外のカメラクラスターの方にも聞いてほしくて、一眼レフカメラ用のレンズを利用した電視観望も少し話そうと思っています。

一応スライドなどの準備は全てできましたが、とにかく今年は晴れの日が極端に少なくて、しかも月がかなり明るい日で撮影に苦労しました。もしかしたら今週木曜夜にもうワンチャンスあるかもしれません。うまくいったら少し枠組みを変えて、土曜日の収録に臨みたいと思います。


いよいよ日曜夜の配信です!

というわけで、

2月27日(日)の夜21時20分から
サイトロンジャパン CP+2022オンラインセミナー 
 
をご覧ください

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CP+の中でも日曜一番遅くの時間帯でオオトリのような感じになってしまっていす。皆さんよろしくお願いいたします。
 

また晴れました。貴重な時間です。でも月齢17日と、満月直後くらいで月が明るすぎです。こんな時は、明るい時にできることをします。


シリウスBチャレンジ

まず、シリウスBのチャンレンジ。前回のシンチレーションはそこそこいい方でしたが、眼視ではダメで、カメラで撮影して炙り出したら見えました。



今回の機材も前回と同じくTSA120とXW3.5mm。どうも今回のほうがシンチレーションは少し悪いようです。まず前回余裕で見えたリゲルBは少し苦労しました。常時見えているというよりは、たまに見える感じです。ちょっとそらし目っぽいことをやるとかなりきちんと認識できるといった状態です。こんな状態なので、シリウスBは今回は当然見えません。一応見てみますがやはりカスリもせず、シリウス本体の方もチラチラと盛大に飛び跳ねてます。内外像もユラユラでした。


月の撮影

シリウスBチャレンジはここで諦めて、次はせっかく月が明るく出ているので、月の撮影です。まだSCA260で月を撮ったことはないので試してみます。口径26cmがどこまで分解能に効くか楽しみです。

これまで月は口径20cmのVISACで高分解能撮影に挑戦してきましたが、これを超えることができるのでしょうか?



今回の撮影では、軽量化したSCA260をCGEM IIに載せてありますが、やはりこの赤道儀には少し重荷で揺れが心配です。あとシンチレーションはそこまでよくないので、これがマイナスに効くかもしれません。

カメラはASI294MMのBIN1モード、8288x5644ピクセルの高解像度撮影です。明るいのでダークは気にすることはなく常温稼働ですが、外は気温0度くらいなので十分冷たくなってるでしょう。あと、フィルターホイールを外したくないのですが、ホイールにはL用のフィルターが入っていないので、とりあえずRフィルターを使いました。

撮影はSharpCapで1000フレームをserファイルに落としましたが、100GB近くになりました。これだと何回も撮影はできないので、(一応失敗したファイルも捨てない方針なので)ほぼ一発勝負です。

一旦設置した後の撮影とか調整は、ほとんど自宅の中からリモートでやっています。寒いですから...。
特にピント合わせはEAFが活躍してくれます。50カウントくらいの精度で最適焦点が分かります。


画像処理と結果

画像処理はAutoStakkert!3で上位50%(500枚)をスタック、PixInsightのMultiscaleLinearTransformationでwavelet変換をして細部を出しました。

細部出しについてですが、Registaxは大きすぎる画像を扱う事ができません。気楽なImPPGは細部のノイズリダクションができません。PIのMLTはRegistaxにかなり近い操作性でもう少し高機能ですが、ノイズ処理は効きが少し鈍いみたいなのでIterationの回数を増やしています。今回はLayerを4つにして、Layer1が+10、Layer2が+4でノイズリダクションがThreshold10のAmountが1、Iteration5、Layer3が+1です。これでImPPGで出すより、(同程度のノイズで)細部がもう少し出せたと思います。

結果です。このブログでは高解像度画像もアップロードできるようにしていますので、是非とも拡大してから細部を見てみて下さい。

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  • 月齢17日
  • 撮影日: 2022年2月18日23時58分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SCA260
  • フィルター: Baader Red
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MM Pro(常温で使用)
  • 撮影: SharpCap、露光時間2.5ミリ秒x500/1000枚、ゲイン120 
  • 画像処理: AutoStakkert!3、PixInsight、Photoshop CC
モザイク合成という意味でない1枚撮りでは一応十分高解像度なのですが、念のため過去画像と比べてみます。

左が今回のSCA260、右が2021年7月19日にVISACで撮ったものです。太陽の当たり方が左右逆なので、できるだけ当たり方が同じで比較しやすい場所を選びました。

SCA260_vs_VISAC

これはどう贔屓目に見ても過去のVISACの方が分解能が出ています。なぜだか考えてみました。

  1. まず画像を比較している最中に気づいたのですが、同じエリアをピックアップしてもVISACの画像の方が大きい事です。これは焦点距離がSCA260:1300mm、VISAC:1800mmと1.4倍近く違うので当たり前なのですが、このことを忘れてました。要するに、SCA260は焦点距離が足りなくて、カメラの分解能の制限の方が先に効いてしまい、口径が本来持っている分解能にたどり着けていないと言うわけです。これを回避するには、バローレンズなどを入れて拡大して撮影して、モザイク合成をすることになります。
  2. もう一つの理由ですが、やはりシンチレーションかと思います。撮影した動画を拡大して見返してみると、画面内でゆらゆら揺れています。ただ、一部全体が揺れている時もあるので、こちらは赤道儀の揺れのせいかもしれませんが、月は明るくワンショットが短時間露光なので、その効果はたとえあったとしてもスタックの時点でほぼキャンセルされているかと思います。

もう一つ面白かったところですが、右のVISACの画像にはっきりと写っていた直線の壁は今回の左のSCA260の画像ではほとんどわかりません。白い線がうっすら言えているだけです。
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これは解像度が悪いということではなく、日の当たり方が左右反対というところです。これだけ変わってしまうんですね。


まとめ

SCA260とフォーサーズサイズのASI290MM ProのBIN1の高解像度モードで満月後の月を撮影してみました。ちょうど収まりも良く、分解能はそこそこはでましたが、過去のVISACの分解能には届きませんでした。焦点距離が短くなったことと、シンチレーションがあまり良くなかった事が原因で、口径分の効果を引き出すには至っていません。

次は2倍のバローレンズを入れて撮影してみることにします。


皆さんこんにちは。ほしぞloveログのSamです。もう2月も半ば過ぎで遅きに失していますが、昨年の天文活動をまとめます。

実はこの記事1月中旬くらいから書き始めていたのですが、長すぎてちょっと嫌になり始めています。でもまとめておくと後から楽なので、とりあえず今年はなんとかまとめてみました。

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昨年の一番大きな出来事、SCA260の購入です。


機材

機材関連で去年の目標を見てみると
  1. モノクロ冷却CMOSカメラを手に入れる。
  2. 反射の口径の大きい性能の良い鏡筒を手に入れる。
となっています。

これは見事に2つとも達成できました。

1. モノクロ冷却CMOSカメラですが、ASI294MM Proを手に入れナローバンド撮影を試してみました。TSA−120での撮影ですが、M27は自宅でも淡いところまで出ることがわかり、かなり綺麗に仕上がりかなり満足しています。
 

でもこれ、ある意味次の新鏡筒のためにモノクロに進んだと言ってもいいのかもしれません。


2. 反射の口径の大きい高性能な鏡筒ですが、大口径のアストログラフィー鏡筒SCA260を手に入れたことは昨年一番の大きな出来事でしょう。一昨年のTSA120に引き続き、性能重視の大型鏡筒ということになります。手持ちの赤道儀CGEM IIに載せることができる最大口径に近く、かつ星像重視で、いまの私が持てる物としてはある意味最高クラスの鏡筒になるかと思います。予算的には妻との厳しいやり取りがありましたが、なんとか許可してもらいました。感謝しています。

いろいろ苦労していますが、どんどん星像が改善していくのは、はっきり言ってかなり楽しいです。 




性能については実際に撮影で確かめ始めていて、M33NGC253などすでにかなりの分解能で非常に満足しています。




ただし、15kgという重量は手持ちの赤道儀CGEM IIに対してはまだ重いところもあり、軽量化など工夫しているところです。



昨年の増強策で、鏡筒とカメラに関してはしばらくの間十分楽しめるくらいの機材の充実度になっています。その代わり赤道儀が少し物足りなくなってきているので、来年の目標は
  1. 大型赤道儀を手に入れる
とします。とにかくSCA260で安定に撮影できること実現したいのですが、機材の大型化は性能を求める代わりに機動性を犠牲にします。大型機材が本当に必要なのか、もしかしたらもっと気軽なほうがいいのかわかりませんが、まずは大型機材も手に入れて試さないことには判断もできません。

あと多分なんですが、鏡筒で満足したら赤道儀が欲しくなり、赤道儀に満足したらまたそれに載っかる鏡筒が欲しくなってしまうのかと思います。大型機材が揃ってくるとそのうちドームとか言い出すのでしょう。いつになったらこの沼から抜け出せるのか?仕方ないですね...。


撮影

1. 光害に対する挑戦
撮影に関しては、天気があまり良くなかったこともあり、大した数を撮れていません。むしろ天気の悪かった冬に月夜にもかかわらずノーフィルターで挑戦したM87なんかは、光害下でどこまで出せるのかという、面白い挑戦になりました。


M87で味を占めて、光害がある自宅でどこまで淡い天体を出せるか、青い色をどこまで出せるか、少し挑戦しました。



上の3例を見る限り、多少は健闘しましたがやはり淡い天体は暗いところに行く方がいいのかもしれません。ただし後半2つは機材を小口径に制限しているので、明るい機材を使っての再挑戦はあるかもしれません。

そう言った意味では、DBPで試した青色の挑戦はそこそこ上手くいったのかと思います。ハートと胎児星雲も青に気をつけて透明感が出るように処理してみました。


流石にワンショットナローのHαとOIIIだけなので恒星の色は厳しいですが、自宅でここまで出るのならまあ満足かと思います。

そもそもの目的が光害に対する挑戦とは違いますが、おとめ座銀河団をFC60CBで広角で撮ったのはものすごい数の銀河が入っていて、しかも長時間で露光したので細部まで細かく出ていて、相当面白かったです。
 
それでもこれも自宅撮影のフィルターなしなので、ここら辺まで撮れるのなら多少の多少の光害もなんとかなるのかもしれません。まあその分画像処理が大変になるのですが。


2. 星景写真

昨年は星景写真は真脇遺跡の一例だけです。


ちょうどスピリッツで連載の「君は放課後インソムニア」で真脇遺跡で撮影していた時で、その日出発した頃にかんたろうさんからそのことを教えてもらって、かなり盛り上がっていました。しかもこのころLivedoorブログの編集部の「推し」ページに何度か選ばれて、特にこの真脇遺跡のページはPVが劇的に増えるのでビビってました。


3. 太陽
太陽のタイムラプスも最初の頃は頑張ってました。


でもこれものすごいディスク喰いなのと、ずっと長い時間連続で快晴でないと撮影できないので、その後あまり挑戦していません。太陽タイムラプスは位置合わせが大変で、一時期ファインダーで太陽見ながらFirecaptureのガイドで位置ずれを起こさないようにできるかと思いましたが、やはりどうしてもブレてしまい結局いまだにいい方法は編み出せていなくて、手で一枚一枚位置合わせするのが一番です。


4. 月
月で昨年の一番大きかったことは、月食です。皆既月食ではなかったですが、これまで皆既に近いものをきちんと撮影できたことがなかったので、初めてのまともな撮影でかなりうれしかったです。念願だったターコイズフリンジも撮影でき満足でした。
 

が、ターコイズフリンジについては撮影後思うところもあり、こんな記事を書いてしまいました。


こうやって上の二つのリンクの見出し画像を遠目に見ると、ターコイズフリンジの色合いがよく似て見えるのは気のせいでしょうか?

あと、中秋の名月というのを初めて撮ってみました。ずっと曇りで諦めてたのですが、夜中から晴れたのを覚えています。
 


5. 分解能
分解能ベンチマークの一環で、ASI294MMを手に入れてからBIN1でどこまででるのか、月を使って試していた時期があります。


実はこれ、意外に気に入っていて、モノクロなんですが物凄い分解能が何気に出ています。かなり拡大しても耐えていてかなり楽しいです。シンチレーションとの戦いですが、口径の効果も大きく、SCA260を手に入れたことなので、これからもどこまで出るのか挑戦していきたいです。

他にも恒例のM57分解能にも昨年も挑戦しました。こちらもASI294MMを使い、モノクロの分解能を生かすべくRGB撮影で撮影してみました。
 
果たして更新できたかというと、シンチレーション制限のせいか以前撮ったASI178MCより少しだけいいか変わらないかという位です。今年はSCA260も参入できるので、これは継続して続けたいと思います。

分解能という意味では、春の銀河撮影もその一環です。昨年の春時点ではまだカラーのASI294MCしかなかったのですが、これも同じくVISACを主に撮影しています。
 
 
 
 
 
 

ただしこのVISACですが、この子はかなりのじゃじゃ馬です。
 
 
 
 

シミュレーションの結果から、物凄い調整制度が必要なことが分かったのですが、悩んでいる間にSCA260に走ってしまったので、全然進んでいません。事実上の敗北です。軽くて、中古ならこなれた値段で周辺まで鋭くいい鏡筒だと思うのですが、おにぎり星像だけはいただけません。これが出たり出なかったりなのですが、もう少し安定してくれていればSCA260に手を出さなかったかもしれません。

今年はSCA260で春の銀河祭りに参戦したいので、 分解能出しの目標は継続でしょう。


さて、昨年の目標を振り返ってみますと、
  1. モクモク暗黒体を撮影する。
  2. 銀河も積極的に手を出す。
と書いています。これに相当するのは飛騨コスモス天文台で撮影したアイリス星雲くらいでしょうか。


最近はほとんど自宅での撮影が多いので、これは珍しい遠征での撮影となります。ただし、撮影時間をそこまでかけることができなかったので、ノイジーだったのは否めません。暗い夜で撮影時間に制限があるのがいいのか、多少の光害地でも自宅で時間を十分にかけて長時間露光で攻めるのがいいのか、まだ迷っています。いずれにせよ、あまり目標が達成できたとは言えません。

今年は撮影目標は分解能を出すという意味で、
  1. SCA260で銀河まつりに参戦
としたいと思います。


画像処理

画像処理に関しては撮影の数が大したことがなかったのもあり、進化したのかどうか?一応昨年の目標を見てみると、
  1. ハッと思われる画像処理を目指す。
  2. 隙のない画像処理を目指す。
とあります。これらはあまり達成できていない気がします。

1ですが、色に関しては2020年はかなり派手目でした。昨年2021年は少し落ち着きましたが、まだ他の方から見たら派手かもしれません。海外のを見ると、もっと派手にしてもいいような気持ちもまだあります。M33の赤ポチもある程度抑えましたが、実はもっと派手目が好きだったりします。迷走状態ですね。

また、2の仕上げに関しても隙だらけです。恒星の処理は相変わらず上手いとは自分ではとても思えません。画像処理の腕というよりも、機材のおかげで良くなったところはあるかもしれません。例えば、SCA260の分解能は少し希望があるかもしれません。最近短時間撮影ではだんだん満足できなくなってきているので、10時間以上とかの超長時間撮影に走っていくのかもしれません。とくに銀河などの長焦点ではシンチレーションも気になってしまいます。こういった撮影時の隙をなくして、初めて画像処理で隙のないものを仕上げることができるのかと最近実感しています。

というわけで、今年の画像処理の目標は
  1. 妥協しない
としたいと思います。もちろん撮影時に妥協しないことも含みます。でもだんだん修羅の道ですね。大変そうだ...。


電視観望

昨年の目標は
  1. コロナ禍のうちはリモートでの企画を続ける
  2. 晴れてコロナ禍が終わったら、星まつりや観望会で電視観望の魅力を伝えていく
というものでした。一時期回復を見せたコロナ禍もまだ続いていますが、自分でのリモート企画はほとんどできませんでした。忙しかったり、天気が悪かったりもありますが、まあ言い訳ですね。

そのかわりですが、電視観望の普及という観点ではかなり活動できたかと思います。 まず、昨年のこの時期にCP+のサイトロンブースで電視観望についてライブ配信できたことです。

準備も含めて宣伝とかもしていました。その際に、明るいうちの中継でアラインメントが取れないとかの必要に応じで試した、AZ-GTiの経緯台モードでのシンプルプレートソルブは、配信を別にして反響が大きかったです。


当日は配信開始時にはドン曇りで、スライドもロングバージョンにしたのですが、トークが終わって空を見たらなんと快晴!そこから生電視観望配信で、特に自宅からのバーナードループはかなりインパクトがあったのかと思います。


反響もすごくて、星ナビでも扱ってもらいました。


もっと嬉しかったのは、「カメラバカにつける薬」で私のセットアップがそのままマンガ中に出てきたことです。キヤノンとかニコンに混じってですよ!これはとても嬉しかったです。


配信は当初は期限が設けられると聞いていたのですが、結局その後もYouTube に残されました。Youtubeは会話に英語の字幕をつける機能があるらしくて、なんと海外の方も見てくれているという情報が入ってきました。使ったスライドは日本語なので、急遽別途英語版のスライドも作りました。海外の方にも日本の電視観望技術が広まってくれると嬉しいのですが。
 
今年もCP+で話す機会をいただいたので、今度はもっと入門寄りにして、できればこれまであまり宇宙に興味を持てなかった方や、せっかくのCP+なのでカメラクラスターの方々にもっとアピールできたらと思っています。

他にも、「星をもとめて」でのオンライン講演でも電視観望について話す機会がありました。

最初は入門用と考えていたのですが、蓋を開けてみればCP+の続編のような形になってしまい、かなりマニアックな内容になってしまったのは大きく反省しているところです。

多分本州では唯一のリアル開催の星まつりの「星と自然のフェスタ」では、サイトロンブースにお邪魔して電視観望の宣伝をさせてもらいました。

FMA135+Neptune-C IIとSCA260+Ceres-Cと、口径も焦点距離も値段も10倍違うという、両極端な電視観望でリアル星まつりならではの比較でした。かなりの方に見てもらって、電視観望への注目を集めることができたのではと思います。

一方電視観望機材の方は、いくつか進化がありました。特にFMA135とASI294MCでの超コンパクト電視観望は、その広域特性も活かして、マニュアルでの導入も可能で、相当シンプルなセットアップに行き着くことができました。



ある意味、究極的な電視観望の一つの方向性なのかと思います。

他にも入門用に安価で手軽な機材のテストも継続して続けています。今年のCP+の配信でも話そうと思っているのですが、IMX224を使った最安部類のCMOSカメラCeres-Cの値段はかなりインパクトがあり、短焦点で安価なNEWTONYと組み合わせることで、電視観望の敷居がグッと下がることを期待しています。


ダーク補正のコツみたいなのも書いています。



こうやって考えると、電視観望の普及等観点からはやはりCP+のオンライ配信が大きいかと思います。2022年2月現在で3万再生に達しようとしています。また、星まつりでの実演では観望会を主催や手伝うくらいのマニアの方も多かったと思うので、実際に見てくれた方が地元でさらに電視観望を発展させてもらえればとても嬉しいです。

というわけで今年の目標は2つで、これまでのことを引き続きと、今まであまりやってこなかったことという意味で
    1. 電視観望の普及を目指す
    2. 長焦点電視観望を試す
    としたいと思います。


    眼視

    一昨年前の2020年の最初の頃はTSA120で眼視を少し楽しんでいました。でもそこからしばらくおざなりになってしまい、2021年の秋頃に飛騨コスモス天文台の観望会で何度かかんたろうさんにOrionの25cmで星雲、星団など見せてもらいました。これがまた意外なほど面白くて、特に反射と屈折の見え方の違いがあり、TSA120の像があまりに動かないのにびっくりでした。ちょうど手に入れたSCA260でも見てみましたが、像はブレブレ。シンチレーションのせいなのか、今考えるとすでに光軸があっていなかったのかもしれません。




    今年に入ってからSCA260の光軸ぶれ問題が解決したので、26cmの反射と12cmの反射の見比べはまだまだ楽しみです。

    今年の目標は、
    • 自分の鏡筒で眼視をもう少し真面目にやってみる
    とします。シリウスBの挑戦も楽しそうですし、26cmで星雲星団をじっくり見たらどう見えるのか?「自分の鏡筒で」というのが多分重要で、興味のある天体を思う存分、時間の許す限りじっくり見てみたいと思います。


    調整、検証、考察など

    機材調整:
    まずは機材関係です。星を始めてすぐに買ったAdvanced VXですが、長年の酷使からかガタが目立つようになってきました。以前も一度直したのですが、再度調整です。

     
     

    AVXだけでなく、次はCGEM IIの赤経体のところに少しガタが出ていたのですが、冬になって寒くなると収まりました。今年は一度CGEM IIの方も分解する必要がありそうです。

    StickPCの電源にはいろいろ惑わされました。
     
    PDのGen3なら大丈夫という情報があり、別途Gen3対応のバッテリーを購入し試しましたが、やはり負荷が大きいと落ちてしまうことがわかりました。なので結局外でもACアダプターを電源に挿して使っています。


    機材評価:
    昨年もいくつかの機材を評価しています。サイトロンさんからは2019年のEVOGUIDE、2020年のEVOSTAR 72EDに続いて、2021年はVIRUOSOの評価を引き受けました。

     
     
     
     
     
     
    もう一つの重要な機材が、FMA135です。撮影なども少し試しましたが、フルサイズでもいけそうな雰囲気で、APS-C以下ならもう十分な星像を叩き出してくれます。
     
     
    ところがこれ、最初撮影にと思っていたのですが、電視観望のところにすでに書いてありますように超コンパクトな電視観望機材と昇華しました。


    解析:
    EOS 6Dの解析も少し進展がありました。
     
    結局自分で出したUnity gainはあてにならなかったですが、その過程で調べたユニティーゲインが判明してISO570付近だと分かったのが最大の成果です。また、場合に応じてどのISOで撮影すればいいかかなり明確になったのも嬉しかったです。

    それについての解説が難しいという話を聞いたので、出来るだけわかりやすく書いてみました。
     
    これまで書いてきたことの繰り返しの部分も多いですが、理解しておくと次のカメラの時にどのセンサーがいいとかの目安になるのかと思います。


    開発:
    センサーのクリーニング体制を充実させたのも良かったです。どうも私は扱いが荒いらしくて、センサー面が意外なほど汚れてしまいます。センサーの状態を見る方法、クリーニングするツール、クリーニング方法などある程度確立できたのかと思います。これは今後の撮影に役立っていくでしょう。
     
     
     


    その他、アイデア、トラブルシューティングなど:
    いろいろくだらないアイデアも記事にしていますが、昨年は数が少ないですね。
     
     
     

    目標についてですが、昨年も同様のことを書いたのですが、ここら辺のことはその都度問題になったときに考えたりするので、また今年も何かあったら適時記事にしていきたいと思います。


    観望会やオンラインイベントなど

    相変わらずコロナがなかなか収まらないのですが、年末までの一時期に少し活動がありました。

    飛騨コスモス観望会:
    まずは恒例の飛騨コスモス天文台での観望会ですが、結局昨年はわずか2回です。でも2回でもできただけでもマシなのかもしれません。ポストカードがわりに画像を印刷していって配ったのですが、子供たちがすごく喜んでくれて、キラキラした目で話しかけてくれたのが印象的です。




    Mちゃん:
    科学博物館はよく考えたら昨年一度も行っていないかもしれません。コロナがもう2年にもなるので、特に市などの公共が主催の活動は相当制限されてしまいます。スーパー小学生Mちゃんとは自宅や牛岳で何度か一緒に星を見ました。今は中学入試で頑張っているはずです。春になったらまた一緒に活動したいと思います。






    星仲間:
    県天の星仲間が自宅に来ました。その後牛岳で何度か会うことになります。


    富山の新しい星仲間のHさんをつれて、県天の人たちと牛岳で集まりましたが、天気が悪くて残念でした。その後も冬の天気になってしまい、休日になかなか天気が良くならないので、春になったらまた一緒に、今度こそ綺麗な電視観望を見せてあげたいと思います。


    名古屋でykwkさんとお会いしました。その後SCOPIOでC8を購入され、PSTも購入され、ブログでも大活躍ですね。



    星まつり:
    昨年参加した星まつりは2つだけです。他はほとんど中止か配信のみです。胎内も少し試聴していましたが、やはりリアルの星まつりには及ばないなあというのが率直な感想です。コロナ禍では仕方ないですね。コロナが収まってきた時を狙ったかのような唯一のリアル開催は「星と自然のフェスタ」の一つだけです。これは久しぶりで本当に楽しかったです。



    今年の状況はまだ全然予測できません。オメガ株が収まってくれるのか、そのまま高止まりという話も出ています。人との実活動は無理をせず、できる範囲で続けれたらと思います。


    その他、ブログについてなど

    その他、天文活動ではないですが記事にしたことを。

    一つはケーキ作り

    なぜか反響が大きかったです。Livedoorブログ編集部の「推し」ページにも選ばれました。

    もう一つは地獄谷の光です。

    このときはTwitterがバズってびっくりしました。結局結論は出ていませんが、また行く機会があったらもう少し近くに行って見てみたいと思います。

    ブログについてですが、22021年の1月1日から12月31までに114本の記事を書きました。3日に一本くらいですね。でもこれも波があります。書くときは毎日に近く、書かないときは数週間書かない時もあります。大抵はネタ切れや、なんかの拍子でやる気がなくなったときです。土日は時間が取れるのでそこで本数を稼ぐことも多いです。

    目標と言っていいのかわかりませんが、最近長い記事で時間がかかってしまうことも多いので、少し短めにして気楽に書こうと思っていますが、果たしてほんとに短くなるのか心底心配してます。過去にも何度か短めにするとか言っていたのですが、全然実行できてないです。

    今この記事を見返してみると、天気が悪かったとか、忙しかったとか思ってましたが、結構いろんなことやってますね。今年は6月にとうとう50歳の大台に乗ります。まだ大丈夫ですが、そのうち体力も無くなっていくので、できるうちにできることをやっておきたい気もします。でも焦らずに、無理はせずに、着実に、何より楽しみながら今年も続けれたらと思います。

     

    2022年2月14日、晴れているのですが月齢13日と満月期に近いので、TSA120を出してシリウスBにチャレンジです。

    IMG_4582

    ブログの記事になっているシリウスBの挑戦は、TSA120を購入した約2年前のことです。


    今シーズンは同じTSA120で3-4回挑戦していますが、いずれもシーイングが悪く諦めました。今日のシーイングは瞬き具合を見ても、そこまで悪くはなさそうです。


    20時頃、まずは眼視でリゲルを導入。Pentax XW3.5mmで余裕でリゲルBは分離します。

    次にシリウスです。同じくPentax XW3.5mmで見ますが、かなり瞬いていて惨敗。21時過ぎまで粘って、多少高度も上がって明らかに瞬きは減りましたが、それでもどうしても見えません。

    いったん諦めて、カメラに切り替えてみます。手近にあったCeres-CをTSA120に取り付け、SharpCapで御t見ます。とりあえずの画面では露光時間やゲイン、ヒストグラムを色々いじってもやはり見えません。

    ここで6.25ミリ秒、ゲイン0で1000コマ、serフォーマットの動画で撮影します。動画を再生してみてもやはりシリウスBらしきものは確認できません。

    この画像をAutoStakkert!3で上位20%をスタックし、PixInsightのSTFで炙り出すと、主に緑と青を攻めてみるとやっとシリウスBが出てきました。赤をいじってもシリウスBの出現にはほとんど影響がなく、波長が短い方が影響があるようです。

    その後、Regitaxでエッジを出すと、かなりはっきりしてきました。

    21_17_40_lapl6_ap1_ST_RScut
    • 撮影日: 2022年2月14日21時17分
    • 撮影場所: 富山県富山市
    • 鏡筒: TAKAHASHI TSA120(f900mm)
    • フィルター: 無し
    • 赤道儀: Celestron CGEM II
    • カメラ: Player One Ceres-C
    • 撮影: SharpCap、Gain 0、露光時間6.25ms、上位200/1000をAutoStakkert!3でスタック
    • 画像処理: PixInsight、Registax6、Photoshop CC

    上が北で方角的にはシリウスBは北東で左上方向に出るはずです。1ピクセル0.856秒程度なので、11.3秒角離れているシリウスBはシリウス中心から13.2ピクセルくらい離れているはずです。撮影した画像からピクセルを数えてみるとほぼ13ピクセル。なので間違いないでしょう。

    シンチレーションで眼視では見えなくても、多数枚スタックで多少のシンチレーションの悪さは回避できそうです。ただし、PixInsightで炙り出したとき、見える範囲は意外に小さく、落ち着いてやらないと見えないと判断してしまうかもしれません。


    前々回前回のトール兜星雲画像処理の時に、ライトフレームやフラットフレームを見ていて、いろいろ問題があることがわかりました。

     
     

    問題点は以下の通りで
    1. Hα、OIIIのナローバンドのみ周辺減光が大きい、RGBはそれほどでもなく許容範囲。
    2. センサーの埃がひどすぎる。
    3. OIIIのフラットがムラだらけ。
    とかいうものです。一つづつ見ていきます。


    なぜナローとRGBで周辺減光に差があるのか?

    同じバーダーのフィルターを使っているのに、撮影画像を見るとナローとRGBに明らかに差があります。

    例えばR画像です。
    Capture_00001 15_27_36_WithDisplayStretch
    四隅も欠けて見えますが、かなり炙り出して見ているので、実際の撮影でフラット補正してしまえばほとんど気にならないレベルになります。GもBもRと同様です。

    次にHα画像です。
    Capture_00001 15_31_36_WithDisplayStretch
    明らかにHαの方が欠けている部分が明らかに大きいのが分かると思います。ホコリのリングがあまりはっきり見えていないことから分かるように、たいして炙り出しもできていません。R画像と比べるても見た目以上に周辺減光が大きいことが推測できます。さすがにこのレベルだとフラット補正でも補正しきれなくて、画像処理の時に無視できないレベルで四隅は結構な範囲でクロップするしかなく、少しもったいないです。

    何故こんな違いが出るのか、ナローバンドフィルターとRGBフィルターをよく見比べてみると、リングが結構違います。下の写真のホイールの裏から見た場合ですが、左側がHαフィルターで、右がBフィルターです。
    IMG_4405

    左のナローの方の内側のフィルターの受け皿の内径が明らかに小さいです。どうやらここが周辺減光の原因になっているようです。

    とりあえず、ナローフィルターのフィルターだけをホイールに直接載せればいいかと思いました。

    まずはHαフィルターをリングから外します。外したフィルターをフィルターホイールの穴に直接載せてホイールに付属のフィルム型のリングでとめようと考えました。ところがところが、フィルターをホイールの穴に置こうとしたらなんとそのまま通り抜けてしまい、センサーのところまで落ちていってしまいました。どうやらフィルター径の方が穴の径よりも小さいようです。

    気を取り直してフィルターのリングはとりあえず使うことにしますが、さてどうしましょうか?

    手持ちの機材をいろいろ漁ってみると、昔星まつりでジャンク価格で買った古いORIONのオレンジとかバイオレットとかの、さすがに使いそうにないフィルターがあり、そのリングが今回使えそうなことがわかりました。内径は少なくとも今のナローバンドのリングよりも小さそうです。
    IMG_4408
    IMG_4410
    左がORIIONのOrangeフィルター、右がバーダーのHα

    フィルターのリングを取り替えて、ホイールに再び取り付けます。さて再度カメラで見てみると...
    Capture_00001 16_15_11_WithDisplayStretch

    おお!周辺減光が明らかに改善しています。

    OIIIも同様に変更しておきます。


    センサーのゴミ

    前回の記事で見せたマスターフラットです。

    masterFlat_BIN_2_FILTER_HA_Mono_integration_ABE

    ABEを4次で欠けてさらにフラット化しているので相当強調されていますが、流石にあまりにひどい汚れです。どこが原因か探ってみます。

    まず鏡筒に対して接眼部全体を回転させてもホコリの位置がかわらないので、接眼部が原因です。さらにホイールに対してカメラのみ回転させてもホコリの位置が変わらないので、カメラで確定です。ホコリのリングの大きさかが全て同じなのと、その大きさから言って、センサー面ではなく少し離れた保護ガラス面に乗っかったホコリでしょう。

    でも目で保護ガラス面を見ても全く汚れているようには見えません。おそらく相当細かいホコリか何かです。

    とりあえずよくわかりませんが、保護カバー面を以前買ったセンサー掃除用のスワブを使いました。



    持っているのは6Dのためのフルサイズ用でしたが、スワブの短辺が、フォーサーズセンサーの長辺と同じくらいなので、そのまま使うことができました。

    一度拭っただけで効果は的面で、9割方のホコリをとることができました。
    Capture_00001 16_53_05_WithDisplayStretch

    欲を出して同じスワブでもう2−3度拭き取りましたが、逆にたくさんのホコリが乗っかってしまいました。えっ!と思いましたが、冷静になってブロアーで吹き飛ばすと、今度は完璧で、見る限りホコリは全て取れたと思います。
    Capture_00001 17_02_03_WithDisplayStretch


    ムラ

    次にOIIIフラット画像のムラについてです。まずはOIIIのフラット画像を見てみます。少しホコリが乗っかってしまっていますが、これはブロアで吹き飛ばせるものです。
    Capture_00001 17_01_02_WithDisplayStretch

    でもこれ、左右で明るさの差はありますが、ムラには見えません。どうやら前回の画像処理の時にすでに勘違いしていたみたいで、改めて今回見るとOIIIはほぼムラはなく、逆にHαに同じような形のムラがあります。

    おそらくですがこれはNINAの問題で、一旦シーケンスを走らせて、途中で止めてフィルターを別のものに入れ替えてから、シーケンスを再開するとフィルターが変わったことを認識せずに、そのままその時のフィルターで初めてしまうことがあるようです。フォルダ名やファイル名にフィルター名を書いておいても、実際に使っているフィルターでなく、最初にシーケンスで指定したフィルター名のままになってしまいます。

    OIIIで撮ったと思っていたのが実際にはHαで撮影していてためにムラが出たしまったのかと思いますが、少し腑に落ちないところもあります。まあ、今回はとりあえずムラが見えているHαフィルターについて考えます。

    Hαフィルターでのフラット画像をリアルタイムで見ながら、いろいろやってみました。例えば明るさやゲインを変えてみたりしましたが、暗いと見えにくくことはあっても消えるようなことはありません。形はカタカナの「コ」の字のようです。RGB、OIIIのいずれにもこんな模様は見えませんが、Hαには再現性を含めて存在しそうです。フィルターを回転させても模様は変わりません。

    ここで、バーダーのHαフィルター自体に問題があるのではと思い、もう一枚持っていたサイトロン製の同じ7nmのHαフィルターに交換してみました。同じ7nmと言っても、見た目でフィルターの色が違うので、少なくとも特性が全く同じとは思えません。その結果が以下です。

    Capture_00001 17_23_51_WithDisplayStretch

    ホコリは無視するとして、ムラの形が相変わらずカタカナの「コ」でほとんど変わっていないのです。

    これは何を意味するのでしょうか?

    ふと立ち止まってしばらく落ち着いて考えていましたが、結局結論としてはセンサー面の個々のピクセルがこの波長に対して感度差があるのではということくらいしか思いつきません。可視光に対してはメーカーも感度ムラをきちんと検証していても、赤外に近いHαについては検証し切れていないのかもしれません。もしこれが正しいなら、ある程度仕方ないので、フラット補正を木tんとするということくらいしか対策はありません。次回、本当にきちんと補正ができるかなど、気を付けて見てみたいと思います。

    あと、最後の画像でついたホコリについてです。できるだけセンサーを逆さにしながらフィルターを取り替えたりしましたが、結構なホコリが付くことがわかります。原因は、ネジを締める時の金属粉、指を使って閉める時に爪が少し削れた粉、空気中にあるホコリがフィルターを外した時についてしまうなどです。フラット補正で多少のホコリは問題ないことは分かっていますが、やはりあまり気分の良いものではないので、フィルター交換時などはできるだけ気をつけたいと思います。


    まとめ

    周辺減光もホコリ取りも十分な効果がありました。また、ムラはおそらく赤外に近い波長に対するセンサーそのものの感度ムラの可能性が高そうなことがわかりました。

    今わかっている問題に対しては、手持ちの機材でできることはだいたいこれで対応し尽くした気がします。これ以上は赤道儀を大型化するとか、フィルターを大きくするとかしかないのかと思います。まずはこの状態で次の天体を撮影し、効果の程をみたいと思います。


    次期フィルターホイール

    RGB撮影と、AOO撮影は試したので、次はSAOとかに挑戦したいと思っています。その場合、今の5枚装着できるフィルターホイールでは不足です。かと言って、フラットがずれることや、今回わかったホコリが入ることなどから、フィルターをその場で入れ替えての撮影は避けたいと思います。

    今フィルターは31.7mmですが、次期フィルターホイールをそのまま31.7mmで枚数だけ増やすか、36mmか、さらに2インチにいくべきか迷っています。将来的なことを考えたら2インチにしておくべきなのかもしれませんが、とにかくフィルターが高い!ナローバンド3枚で波長幅にもよりますが10万円から20万円コースです。36mmならZWOでグッと安いのがあり、とりあえずこちらにすべきか?

    予算だけ考えるとまずは31.7mmの8枚ホイールだけを買うことになりそうですが...。

    前回の記事でSCA260の赤道儀の反転時のガタつきによる光軸ズレを解決しました。


    早く撮影したいのですが天気はしばらく回復しなさそうなので、ガタつきが判明した反転前の前半のトール兜星雲の画像を撮り増し分を加えて、以前の画像に追加して仕上げてみました。


    以前の画像の問題点

    前回仕上げた際画像の問題点は、
    1. 露光時間が足りないため、背景がノイジーで炙り出しにくかったこと
    2. Hα画像とOIII画像を合成すると、背景に大きなムラが出てしまったこと
    3. おそらく光軸があっていなかったために特に微恒星などにシャープさがないこと
    4. シャープさ、とくに恒星の中心が出ていないせいか、StarNetで恒星と青雲を含む背景が分離できなかったこと
    などです。

    1については今回追加した分でHα: 3分x27枚、OIII: 3分x36枚、総露光時間3時間9分となり、前回までのHα17枚、OIII19枚の計36枚で総露光時間1時間45分に比べて倍近くになりました。

    2についてはOIII画像のフラットフレームのみ変なムラがあったので、OIIIのライトフレームにHαフィルターで撮影したマスターフレームを適用することで、かなりましになりました。なぜOIIIのフラットのみそんなにムラがあるのか理由は不明です。曇った日の窓からの光が壁に当たるのを使いましたが、壁の反射などどこかでOIIIの帯域に関して均一でないのかもしれません。また、フィルターのおかげで暗くて十分な光量が取れなかったのかもしれませんが、まだ何も根拠はありません。これは時間をとってもう少し追求してみます。

    3については、SCA260の光軸を合わせてから赤道儀を反転するまでの画像を追加で使ったので、少しマシかと思います。それでも時間と共に光軸合わせをした水平からどんどんずれていくので、撮影した画像の四隅をよく見ると少しズレの影響が出ているようです。今後はもうずれないはずなので次回以降の撮影に期待したいと思います。

    4ですが、今回たまたまStarNet2がリリースされていて、かなり性能アップされているので少し比較してみます。


    StarNet2の威力

    これまでもStarNetは背景と恒星を分離してくれて、スターマスクにするなど非常に強力なツールでした。でも、恒星分離がうまくいかないことも多くあり、例えば風などでブレてしまった時、長焦点距離で恒星が大きくなってしまった時、そして前回のトール兜撮影の時のように光軸がズレた時など、主として恒星の中心が出ていない時に恒星を恒星として判断できないようで、分離できない微恒星がたくさん残ることが時々ありました。特に長焦点での場合などは頻繁に起こりました。

    これは前回のトール兜でStarNetで分離しようとして全然うまくいかなかった画像です。かなりの星が残ってしまっています。

    Image11_DBE_DBE_AS_HT_HT

    このような場合には、事前にSTFのオートストレッチとHistgramTransformatioinでわざと恒星をサチらせてとか、ExponentialTransformationでわざわざ中心を尖らせてからStarNetをかけるとかしていましたが、今回のトール兜はそれらのテクを駆使しても全く太刀打ちできませんでした。前回の仕上げの時の炙り出しで攻めきれなかったのは、このStarNetがうまくいかなかったことが大きな原因の一つです。

    ところが、今回リリースされたStarNet2はものすごい威力で、この全く太刀打ちできなかった画像もなんなく恒星分離できてしまいます。



    StarNet2のインストールに関してはすでに各所で解説されているので、ここでは詳しくは書きませんが、一つだけ。Mac版のPixInsightですが、その時点の最新版の1.8.8-12にしたら、StaNet2をダウンロードしてくると付属されているlibtensorflow.2.dylibとlibtensorflow_framework.2.dylibがすでにPixInsightのbinに入っていました。私は結局StarNet2に付属のものはコピーせずに、PIに入っていたものをそのまま使いましたが、今のところ特に問題は起きていません。

    StarNet2はオプションも簡単で、背景も同時に出力するオプションにチェックを入れるだけで、あとはStrideも256のままで、以前よりも短時間で遥かに強力に恒星を分離でき、以前は目立っていた恒星の後のブロック状のノイズもほとんどわからなくなっています。

    上のStarNetでうまくいかなかった画像をStarNet2で処理してみるとここまで綺麗に分離してくれます。
    Image11_DBE_DBE_AS_HT_HT

    ここまで綺麗に分離してくれると、いろいろ応用できそうです。


    画像処理と結果

    撮り増し分も合わせて、StarNet2を使い、トール兜星雲を仕上げてみます。前回との違いは、
    1. Hα: 3分x27枚、OIII: 3分x36枚、総露光時間3時間9分と大幅増加。前回までのHα17枚、OIII19枚の計36枚で総露光時間1時間45分に比べて倍近くになりました。
    2. ムラのあるOIIIのフラットフレームは使わずに、HαのマスターフラットをOIIIのライトフレームのフラット補正に使いました。
    3. StarNet2を使って恒星を分離。
    4. StarNet2でうまく分離できたので、恒星のL画像を使いEZ Star Reductionを使いました。明るい星は小さくなりましたが、微恒星はほとんど変わらず、やはり甘いです。
    5. 普通は分離した構成画像をマスクとして使いますが、今回は恒星だけの画像も、背景の画像も変なブロックノイズがないので、Photoshop上で「覆い焼き(リニア) - 加算」で合成しています。
    とこれくらいでしょうか。

    この中で大きく貢献しているのはStarNet2だと思います。撮り増し分は星像に関しては少しシャープでマシなのですが、低空で透明度が悪かったので微恒星の写りがあまり良くなく、暗い星が写っていないのと、トール兜の写りも淡いです。それよりも、きちんと構成と背景を分離できたことで思う存分あぶりだせたのが大きいです。あと、OIIIのムラが緩和されたのも、炙り出ししやすくなったという意味で地味に貢献しています。

    結果です。

    「NGC2359: トール兜星雲」
    Image07_DBE_PCC_DBE_AS_HTx3_reducestar2_3_crop_mod
    • 撮影日: 2022年1月22日22時2分-23日2時5分、1月27日18時57分-21時00分
    • 撮影場所: 富山県富山市自宅
    • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
    • フィルター: Baader Hα:7nm、OIII:7nm
    • 赤道儀: Celestron CGEM II
    • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
    • ガイド: オフアクシスガイダー + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
    • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα27枚、OIII36枚の計63枚で総露光時間3時間9分
    • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
    • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間0.2秒、128枚
    • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
    前回の画像と比べても、背景ムラがなくなり、恒星がシャープになり、トール兜星雲本体も細かく出るなど、かなり良くなっているかと思います。まだ微恒星のシャープさは不満がありますが、これは今回は仕方ないでしょう。次回以降に期待したいです。でもまあ、総じてそこそこ満足です。次は別の天体に移りたいと思います。

    いつものAnnotationです。

    Image07_DBE_PCC_DBE_AS_HTx3_reducestar2_3_Annotated


    まとめ

    StarNet2のリリースもあり、うまく撮り増し分が生きたと思います。微恒星のシャープさがまだ足りませんが、次回以降にさらに挑戦したいと思います。シーイングにもよるので、これくらい以上がコンスタントに出るなら、まあ満足かと思います。

    今回ももそうですが、恒星の処理がまだあまりうまくないので、もう少し時間をかけてどんなのがいいか挑戦してみたいと思います。

    天気が悪くてなかなか欲求不満が改善されませんが、少しガス抜きになりました。早く晴れて欲しいです。

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