ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2021年07月

SkyWatcherから、新しい経緯台VIRTUOSOが発売されました。「ヴィルトオーソ」と呼ぶそうです。サイトロンさんから試用を頼まれましたので、いろいろ試してみようと思います。


初心者のために

VIRTUOSOの特徴はなんといってもその値段で、自動導入経緯台のみで実売税込みで2.8万円、口径13cmのニュートン反射型の鏡筒まで込みで実売税込み約4万円と、これまでにない値段となっています。口径15cmニュートン反射、口径127mmのマクストフカセグレンのモデルもあります。星を始めてみたいという初心者の方にも相当注目されるのかと思います。



というわけで、今回からターゲットをこれから星空観察を始める初心者に絞って、実際に使用しながら各種機能を見ていきたいと思います。今のところの予定ですが、
  1. 明るいところでの準備
  2. 実際に天体を見てみよう
  3. 電視観望に星雲に挑戦
  4. リモート観望できるかな?
というようなテーマで、4回くらいに渡ってこのブログでできるだけ詳しく解説していこうと思います。

あらかじめ使用するものを挙げておきます。

準備段階:
  • 小さめのプラスドライバー(スコープファインダーの電池カバーを外します)
  • 単3電池8本(充電式が経済的)
眼視での天体観測
  • 水準器
  • スマートフォン、またはタブレット(iPhoneでもAndroidでもOK)
電視観望
  • CMOSカメラ(今回はPlayer OneのNeptune-C IIを使おうと思っていますが、他にも選択肢はたくさんあります)
  • PC(Windows10が走るくらいの性能があれば十分)
  • USBケーブル(CMOSカメラを繋ぐためのもの)
なくてもいいが、あると便利なもの
  • 0.5倍レデューサ(視野が広くなるので導入しやすくなります)
  • 椅子(意外に覗くところの位置が低いので、低めの椅子があるといいです)
  • 机(電視観望の時にPCを置くのに机があると楽です)
 
今後試す過程で、他にも必要なものが出てきたら、随時追加しています。


到着から開封まで

今回到着したモデルは、13cmのニュートン反射型とセットのものです。大きな箱に入っています。

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段ボールの蓋を開けるときにテープをカッターなどできるときは注意です。すぐ下に日本語マニュアルが入っているので、これを切ってしまわないように刃を少しだけ出して、テープだけを切るようにするか、安全のためハサミなどでテープをカットするようにしてください。

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下の写真のように茶色のダンボール箱の中に、VIRTUOSOの箱が入っていますが、この中の箱は無理に取り出さなくていいです。茶色の箱を処分したい場合はこの限りではないですが、そうでなければ無理せずに茶色の中にVIRTUOSOの箱を入れたままVIRTUOSOの箱の蓋を開け、そこから中身を取り出した方が楽です。

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中身は上から引っ張り上げて取り出してもいいですが、箱を倒してゆっくり横に引っ張り出してもいいでしょう。

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本体は結構大きいので、気をつけてください。ちなみに、VIRTUOSOの箱の中に英語版のマニュアルが入っています。これと日本語版を比べると、かなりそのまま訳したものをサイトロンジャパンの方でつけているのかと思います。ただし、日本語版も英語版も最低限の説明は書いていますが、全くの初心者だとこれでは辛いかもしれません。このブログでできるだけ補足していこうと思います。

他に箱が入っていて、その中には
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  • スコープファインダー
  • 25mmアイピース
  • 10mmアイピース
  • 光軸調整用接眼キャップ
が入っています。まずは、これらの機器のセットアップから始めます。


昼間の明るいうちにできる準備

何の準備もせず、夜に突然外に機器を持ち出して組み立てようとしても、まずうまくいかないでしょう。最初に明るい所でやれる準備をできるだけしておくべきです。

まず最初に重要なことは、経緯台に鏡筒をしっかり固定すること。車で運んで暗いところに持っていく等でいずれ外すとしても、一度は明るい所で練習しておいた方がいいでしょう。アリガタ、アリミゾと呼ばれるクランプ構造で、ネジを締めて固定します。

その際の位置決めですが、経緯台外側のパネル上部にある大きな固定ネジを手で緩めて、鏡筒がスムーズに動くようになったのを確認してから、鏡筒が水平になるように動かします。手を離しても水平を保てるように、重さバランスが大体合うように左右アリミゾの位置をずらしながら位置を決めます。位置が決まったら、一旦鏡筒を垂直に立てて、下側が経緯台に当たらないか確認してください。これで当たるようなら、下に行き過ぎです。ちなみにどちらが上に来てどちらが下に来るかですが、アイピースを挿し込む覗き口が付いている方が上になります。下側奥には主鏡と呼ばれる、メインの大きな鏡が取り付けられています。

鏡筒が固定できたら、スコープファインダーを取り付けましょう。スコープファインダーはLEDを使い、その光の指している方向にターゲットの天体を合わせることで鏡筒の向きを調整する機器です。LEDをつかうので電池が入っています。電池の蓋は小さめのプラスドライバーでねじをゆるめて開けます。電池と電極の間に薄いプラスチックのシートが入っているので、まずはそれを取り除きます。再び蓋を閉め、ネジを締めます。これで電源が入るようになるので、次に横にあるつまみをカチッと音が鳴るように回します。すると赤いLEDが光るはずです。それが確認できたら、鏡筒の前部にあるファインダー台のところにはめ込み、ネジを締めて固定します。LEDはつけっぱなしだと電池を消耗するので、すぐに消すのを忘れないでください。

アイピースも明るい所で一度つけておいた方がいいかと思います。最初に使うのは25mmの方で、プラスチックのキャップを外しておきます。このキャップはアイピースの保管の時に必要なので、無くさないようにして下さい。次に接眼部のネジを緩めてアイピースを差し込みますが、その際ネジを緩めすぎて落とさないようにして下さい。暗い所で落とすとみつからないこともありますので、どこら辺まで緩めればいいか確認しておくといいでしょう。アイピースを奥まで差し込んだら、ネジを締めて固定します。

次に経緯台本体に電池を入れます。まず経緯台外側パネルのところにある電池ケースの蓋を開け、電池ケースを取り出します。このケース、ケーブルの収まり具合が微妙で、方向を間違えるとうまく入らなくなることがあります。ケースを取り出してケーブルから外すときに、ケーブルの収まり方と、ケースの方向をよく確認しておくといいでしょう。電池は単3のものが8本必要です。恐らく一晩を数回使うと電池は空になると思うので、これから何度も使うことを考えると、充電タイプの単3電池を8本用意したほうが経済的かもしれません。

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あと、このVIRTUOSOを操作するためには、スマホかタブレットが必要になります。PCでもいいのですが、スマホかタブレットの方が手軽でしょう。あらかじめSynScan Proというアプリを検索して、ダウンロード、インストールしておいて下さい。

ただし、Android版でGoogle Playストアでダウンロード出来るSynscanアプリは、バージョンが古すぎてandroid11ではクラッシュしてしまうそうです。回避する為にはSkyWatcherサイトの該当ページから最新版を直接ダウンロードしてください。詳しくはサイトロンのページをご参照ください。





明るいうちにアイピースを覗いてみよう

できるならば一度、練習がてら望遠鏡で昼の景色をみておいた方がいいでしょう。

経緯台外側のパネル上部にある大きな手回しネジを緩めて鏡筒がお辞儀方向に動くように、経緯台下の真ん中にある大きな手回しネジを緩めて経緯台の上部を鏡筒ごと回転できるようにします。これで鏡筒がどの方向でも自由に動くようになるはずなので、なにか遠くの景色をアイピース を覗いてみて下さい。最初はピントが全然ずれているので、ボケボケだと思います。アイピースを覗きながら、アイピースの下の接眼部についているつまみをゆっくり回して、ピントが合うところを探してみてください。このとき、ピントを合わせるのにつまみをどれくらいの速度でまわせばいいかの感触をよくつかんでおいてください。夜に星を見ながらだと、早く回しすぎたり、動かなさすぎてピントが合わなかったりで、何も見えないということもあります。昼間に練習しておけば、夜に慌てなくてすみます。

ここまでのことが暗くなってもできるように、明るいうちに何度も練習しておくといいのかとおもいます。


次回

今回はここまでです。次回の記事では、実際に夜にVITUOSOを外に出して、天体を導入し、アイピース で見てみます。うまく見えるでしょうか?





連載記事:VIRTUOSOを使いこなそう

 

 

 

 

 
 

Mちゃんがくることに

4連休の中の金曜日、Mちゃんが自宅に来ることに。前回の牛岳でAZ-GTiを使って自動導入でき、M27、M13、M31など撮影できたのですが、やはりMILTOLなのでハロがどうしても大きいのです。それを直すために声をかけました。なので今回の目的はUV/IRカットフィルターを入れてみて、どれだけ星像が改善するかです。ついでに、キャンプとかの外でPCを充電するバッテリーを選びたいようなので、お母様とはそちらを相談です。

実は連休前にお誘いしたときに、天気予報で晴れそうだったのが水曜と金曜です。金曜の方が都合がいいとのことだったので、19時でも20時でもと言っていたのですが、20時頃になっても連絡がありません。後から聞いたのですが、ケーキ屋さんのお仕事が連休で忙しく、遅くなってしまったとのことです。お仕事のこととか考えていなかったので申し訳なかったです。それでも20時半頃でしょうか、無事に到着しました。


大容量外部バッテリー

ちょうどその時間、オリンピックの開会式もやってたので、まずはクーラーの効いた涼しい家の中に入ってテレビを見ながらバッテリー談義です。

目的は電視観望で使っているDELLのノートパソコンを、キャンプとか行った時に何日か使いたいというものです。話を聞く限り、予備のDELLの専用バッテリーを持つのは不可能、Type Cとかでもないので汎用で充電するのも不可能のようで、結局専用のACアダプターで充電するのが唯一の方法のようです。一応自動車からAC出力にして充電するのは持っているとのこと。でも車のエンジンをかけないと充電できないので、予備のバッテリーを持っておきたいということのようです。

今買うんだったら、40000mAh以上、70000mAhくらいが値段的にもこなれているようです。もちろんこれ以上の大きさのものもありますが、
  • 2万円以上と高価になってくること
  • 当たり外れがあること
  • 長期間の使用では性能低下か壊れる可能性があること
など懸念事項もあります。私が思うのは「値段的にも技術的にもこなれたものを、調子が悪くなったら交換し続けるほうがいいのでは」という話をしました。

例えば、今私が使っているバッテリーは2018年に買ったものですが、結構調子が良くて、AC100Vも12VDCも問題なく、充電の入力もDCでできるので、車から充電することもできます。ですが、この機種自身はもう販売されていなくて、その後継機が



になります。これを勧めておきましたが、それとて実際に当たるか外れるかはわかりません。外れたらすぐに返品すること、実際にキャンプに行く前に何度か本当に充電できるかとか確かめておくこととか話しました。

あ、そもそも40000mAh(ミリアンペアアワー)とかがどういう意味かなどを話しました。40000mAhは40Ahと同じ、かつ3.3Vで考える必要があるので、40と3.3をかけて150Wh(ワットアワー)にいかないくらいだということ。150Whだと150Wの機器がで1時間使えるということなどでです。これでもピンと来ていないようだったので、例えば600Wの電子レンジが15分使えるという説明にするとやっと実感できたようです。もちろん600Wの電子レンジは出力が高過ぎて使えないのですが、どれくらいの時間持つかという感覚はわかってもらえたようです。

実際にはACアダプターでPCを充電するので、効率も悪く、おそらくこの外部大容量バッテリーで1回かせいぜい2回近く充電できるかくらいかと思います。PCがフル充電のとき、カメラを接続して持つ時間がこの間の牛岳の実績から2時間半くらいでしょうか。なので屋外で使うときは最初から外部バッテリーに接続しておいた方がいいかもしれません。外部バッテリーが無くなったら、あと残り2時間半とか考えるといいのかと思います。


UV/IRカットフィルターを試す

話している間に外食していた家族が帰ってきてたので、あとはお母さん同士で話してもらって、Mちゃんと私は外でフィルターを試します。牛岳の後、AZ-GTiを使ってみたらしいのですが、北に向けるのを忘れたりとか、PCの充電を忘れてたりとかで、まだあまりうまくいってないようです。今回は基礎も含めて、
  • 三脚の水平を出すこと
  • MILTOLの水平を出すこと
などを確認しました。水準器は三脚とAZ-GTiについているのですが、精度的にあまり当てにならないことが多いので注意が必要です。MILTOLの水平出しは、別途カメラ用の水準器が余っていたのでそれを使ってもらうことにしました。

その結果、ワンスターアラインメントでもそこそこの精度で自動導入ができていました。もちろん初期の北向きの精度が出ないので、初期アラインメントの時の水平のズレは探って探さなくてはいけません。でもそれさえやってしまえば、あとはASI224MCの小さなセンサー面積でもそこそこの精度で自動導入できるようになります。

今回はわかりやすい月で初期アラインメントしていったん撮影し、次に前回牛岳で撮影したM27を導入し撮影しました。この時点で、前回牛岳で撮ったM27と比較すると、明らかに星像が小さくなっています。ただし、満月前日の月夜なので、M27自信のあぶり出しとしては前回の牛岳の方が有利で、Mちゃんは星雲部の仕上がりは少し不満だったようです。でも前回はASIImageで露光時間を長くして撮影しただけですが、今回はASILiveを使ってライブスタックして分オーダーの撮影をしたので、そこは有利なところです。その後、M20三裂星雲、M8干潟星雲と進みます。

M27ではないですが、実際の画像を比較してみます。前回牛岳で撮影したM13がこちら。恒星が大きく肥大しています。

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今回、M27の後に見たM8干潟星雲です。星像があからさまに改善しているのがわかるかと思います。

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いくつか気になったこと

ヒストグラムのオートストレッチで少し気になることがありました。Niwaさんからチリの電視観望でASI Studioのバージョンを上げたらオートストレッチが効きすぎるようになったというのです。ところが我々のほうは逆で、オートストレッチが弱過ぎてマニュアルでもっと三角の間を狭めてやらなければあぶりだせないことが多かったです。どうもこれ、ノイズに関してもオートストレッチのデータとして使っているようで、月明かりのようなノイジーな状況ではどうしても三角の幅が広がってしまうようです。こう考えると、Niwaさんがチリのようなノイズがない環境で強調されすぎるというのは理解できるような気がします。

そういえば、AZ-GTiでSynScan Proの上ボタンを押しても下ボタンを押しても両方とも鏡筒部が下に行くというトラブルが何度かありました。自動導入し直すと元の位置に戻るので、ハード的に空回りしているとかではないようで、どうもソフト的なバグか、バックラッシュが大きい気がします。私のAZ-GTiはそんなことはないので、個体差なのかもしれません。あと、牛岳の時にあった接続ができなくなるトラブルはもう無くなったと言っていました。今回もそんなトラブルはなかったです。


撤収

私はこの日虫除けを塗って、かつ長ズボンでいたので蚊には悩まされなかったのですが、Mちゃんは蚊に刺されまくっていたようです。「虫除けいる?」と聞いたのですが、既に塗っているとのことで、全然効いていないようです。あまりに痒がるので、結局自宅に退散しました。その後はもう撤収となり、前回持っていった「宙のまにまに」の続きの後半5巻と、釣りキチ三平で有名な矢口高雄の「やまびこ」の残りを持って、帰宅となりました。

その際、サイトロンの電視観望入門の冊子を持っていくか聞いたのですが、AZ-GTiを買ったら付いてきたとのこと。どうやら当初のPlayer Oneのカメラだけでなく、いまではかなりの機器に付属しているようです。「協力者のところに私の名前入っているんだよ」と言ったら、そのことは気付いていなかったらしくて驚いていました。

そうそう、ケーキを大量に持ってきてくれました。お母様がケーキ屋さんならではなのですが、もうとってもとっても美味しくて、私もパクパク食べました。でもあまり無理しないでくださいね。気軽にきていただくのが私としては嬉しいです。もしお店で余ったとかだったら嬉しいので、ありがたくいただきます。

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既に子供に一個食べられています。

まとめ

さて、今回はUV/IRフィルターで星像が格段に改善しました。次のハードのアップデートはQBPとかでしょうか。でもその前に、フリーソフトとかで画像処理が先ですね。画像処理で仕上がりは格段に良くなるはずです。

今回もとても楽しかったです。またきてくれるかな?

そうそう、このブログを書いている今日、Mちゃんが同じ学校の友達を自宅に集めて月とかを見るそうです。うまくいっているといいのですが。ポルタとかなら慣れているので、大丈夫だとは思います。


昨日光軸調整したVISACですが、その日の夜遅くに晴れてきたので、少し見てみました。

結果だけ言うと、シンチレーションがいまいちで星が揺れていて、いろんな方向にぶれていたので評価は保留です。まだ3つの固定具を視野から隠してないこともあるので、きちんとした評価はそれが終わってからにしようと思います。ただ、一応ある程度きちんと星には見えていたので、少なくとも光軸調整が全然間違っていたということはなさそうです。


満月間近の月

その後少しだけ月を撮影しましたが、画面で見ていても細かい揺れが多く、細部を比べると前回ほどの解像度は出ませんでした。やはりシンチレーションがよくなかったのかと思います。それでも全体を写した月と思えば、強拡大しない限り細部にそこまでこだわる必要もないので、私的には満足です。

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  • 月齢12.7日
  • 撮影日: 2021年7月23日0時22分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: SIGHTRON IR640 
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MM Pro(常温で使用)
  • ガイド: なし
  • 撮影: SharpCap、露光時間5ミリ秒x125/250枚  
  • 画像処理: AutoStakkert!3、ImPPG、ICE、DeNoise AI
でもこれ実は画像処理で少しインチキしています。画素数が多過ぎてRegistaxが使えないので、ImPPGを使っているのですが、どうしても細かいノイズがのってしまいます。ノイズ除去をするために、ここにDeNoise AIをSharpを1と最低にして、ノイズ除去を20と軽くかけてみました。

DeNoiseの処理としてはかなり軽くて、暗い部分のノイズはてきめんに減りましたが、明るいところのノイズがまだ残っています。ただ、やはり月の場合は偽線が出る可能性が否定できなく、今回は試しに使ってみましたが、明るいところのノイズが消えるくらいまで強くするとどうしても不自然に見えてしまい、あまり使いたくないなあというのが正直な感想です。今回は最低限のノイズ除去だけという感じです。ちなみに、Sharpen AIも試しましたが、こちらは偽線が出まくりでさすがに使うのを躊躇しました。

Registaxが使えないという理由でImPPGを使い続けるなら、うまく相性が合うノイズ処理を見つけるのが課題かと思います。


赤外の透過波長の違いの比較

今回の撮影は少し余裕があったので、IRパスフィルターの比較をしてみました。使用したのはサイトロンのIR640、IR720、IR800で、それぞれ640nm、720nm、800nm以上の波長のみを通します。

撮影したのは上の画像の左上の方。上の写真は撮影後回転しているので、下の写真では右上に見えてしまっています。ASI294MM Proを常温で、Bin1モードにして分解能を上げ、画角を一辺4分の1の2072x1410にしました。露光時間を5ミリ秒に固定していますが、ゲインは画面の明るさに合わせてヒストグラムがフルになるように変えています。IR640、IR720、IR800の順にそれぞれゲイン200、270、340です。

撮影中の動画で見ている分にはIR640、IR720はあまり変わらなかったですが、IR800は明らかに見た目で揺れが少なくなっているようでした。もちろんその分IR800では暗くなります。

画像処理はAS!3でRegistaxになります。Waveletのパラメータは比較しやすいように全て同じにしてあります。画素数を少なくしたのでこれらの画像はRegistaxを使うことができました。RegistaxのDenoiseが細かいノイズに結構効くので、ImPPGよりももう少し攻めることができます。

とりあえず3枚並べます。

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IR640

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IR720

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IR800

わかりやすいように一部切り出して拡大します。

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左からIR640、IR720、IR800です。IR640、IR720はほとんど変わりませんが、細かいところを比べるとIR800は解像度が明らかによくなっています。ただ、IR800の場合は光量が減ったのを補正するためにゲインを上げたせいかと思いますが、ノイズが少し残っています。

波長が長くなれば揺れが小さくなるという、まあそこそこ予測通りの順当な結果ですが、分解能の違いがあると言ってもごくごくわずかで、シンチレーションの違いで出るさの方が遥かに大きい気がします。なので無理してIR800以上で撮るとかよりは、揺れの少ない日を狙った方が素直な気がします。


かゆくて、かゆくて

本当はもっと続けたかったのですが、とにかく蚊が多くて、あまりにかゆくて自宅に引き返しました。明るいところで見たら三十箇所くらい刺されてました。自宅なのでゆるゆるの格好で、Tシャツ、短パン、サンダルとかなので、そりゃあだめですよね。

ムヒを塗って痒みが収まってきたところで再び外に出たら相当曇ってきてました。雨の心配もあったのでその時点で撤収することにしました。


まだまだ連休

連休中は天文イベント目白押しです。

今回の月の撮影は木曜夜のことで、ブログは次の日の金曜夜に書いてますが、この金曜の夜はMちゃんが自宅に来てくれました。そのことも記事にしたいのですが、ネタがどんどん溜まって書ききれなくなりそうです。

しかも明日の土曜は13時から天リフの「星と宇宙の夏ライブ2021」です。こちらもかなり楽しみです。




わたくしSamがオススメの重力波のお話、よかったら聞いてみてください。




連休初日、朝からVISACにかかりきりでした。懸案事項だった光軸調整です。色々やりましたが、多分正しい方法に辿り着いたと思います。


準備

道具はASI294MCと小さなCマウントレンズ。副鏡あたりにピントを合わせて見るために、別途レンズが必要です。VISACには2インチのアイピースなどが取り付けられるアダプターを使います。カメラで映した画面を見るためのPCなども必要です。

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最初の試み

まずは最初の挑戦です。これは失敗その1となります。

1. ASI294MCに50mmのCマウントレンズを取り付ける。
2. VISACに2インチアダプターを取り付け、そこにレンズごとASI294MCを取り付ける。
3. 取り付ける際、アダプターにカメラの前面が平面できちんと接するように押さえながら取り付けること。
4. カメラの像をPCに映す。使ったソフトはSharpCapです。同心円状のガイド線を出すとわかりやすいです。
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画面を見る限り、中心から明らかにズレているのがわかります。

5. 画面に見えている副鏡の中心が、画面の中央に来るように、鏡筒手前の内側の3つの押し引きネジを調整する。
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すでに結構あっているように見えます。でもまだ早とちりです。

6. 画面に見えている中心の副鏡の外周が中心に来るように、副鏡の角度を3本の押しネジと、1本の真ん中の引きネジで調整しようとしたら、画面に見えている副鏡の中心も動いてしまったので、接眼部の調整が全く意味が無いことになり、ここで行き詰まります

ざっと試してみてこの段階で分かったことは、2インチアダプターにカメラを挿入しても結構隙間があるのでガタガタ。横に揺れるというよりは、ぐらぐら回転してしまいます。ネジの固定具合で画面の中心が簡単にずれてしまいます。ネジを占める際、アダプターにカメラの前面が平面できちんと接するように押さえながら取り付けると、毎回同じように固定でき再現性があることがわかりました。


2ndトライアル

少しVISACの光軸調整で検索してヒントを得ることにしました。すると副鏡を外すことで、そのねじ穴を接眼部の調整の指標にするアイデアが見つかりました。でも結局はこの方法も途中で行き詰まり、失敗2となります。新しいところは赤で書いておきます。

1. ASI294MCに50mmのCマウントレンズを取り付ける。
2. VISACに2インチアダプターを取り付け、そこにレンズごとASI294MCを取り付ける。
3. 取り付ける際、アダプターにカメラの前面が平面できちんと接するように押さえながら取り付けること。
4. カメラの像をPCに映す。
5. 副鏡を取り外す。
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外した副鏡の鏡面を見てみると、大したことないですが少し汚れてました。
良い機会なので掃除をしておきます。

6. 副鏡を取り付けるネジ穴の位置を画面上で確認。
7. ネジ穴の中心が画面の中心にくるように、鏡筒手前の内側の3つの押し引きネジを調整する。
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8. 副鏡を再度取り付け、
画面に見えている中心の副鏡の外周が中心に来るように、副鏡の角度を3本の押しネジと、1本の真ん中の引きネジで調整する。
9. 鏡筒手前の外側の3つの押し引きネジを調整し、4本のスパイダーが中心になるように持っていく。
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10. これで完了と思ったのですが、ASI294MCの前面をアダプターにぴったりくっつくようにしながら、アダプターのネジを緩めて、カメラを180度回転させると、なんとが全てあっていた同心円とスパイダーが画面中心からずれてしまいました。ここで失敗と判断しました。

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合わせ終わったと思ったところ。

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カメラを180度回すと、画像の中心から全然ズレてしまいました。


一体何がおかしいのか

ここでかなり迷いました。何がおかしいのか?ずれている可能性があるものを挙げてみると
  1. カメラセンサーの法線と、カメラの円筒ケースの軸もしくはカメラの前面の平面がずれている。
  2. フォーカサーが接眼部の軸と平行に取り付けられていない。
最初に考えたのはこの二つです。

でも1はこれまでもカメラを回転させたりして撮影していますが、ここまで顕著にずれが見えたことはありません。
2についてはフォーカサーを前後に動かしてみましたが、画面は対称に拡大縮小されるので、恐らくこれも大丈夫そう。

ここで思いついたのが、もしかしたらCマウントレンズの光軸がズレているのではというものです。

最初床の上でレンズをつけたままカメラを転がしてみたのですが、どうもよくわかりません。ここで、副鏡を外したVISACに取り付けて、カメラをアダプターにピッタリつけたまま回転させてみました。センサーがきちんと取り付けられていて、レンズの光軸もずれていなければ画面の中心を軸として画面が回転するはずです。ここで明らかにずれが見えたので、レンズの軸がずれていると考えることにしました。


3度目の正直か

レンズの光軸にずれがあると仮定して、どうしたら光軸調整ができるか考えたのが、次の方法です。
  1. ASI294MCに50mmのCマウントレンズを取り付ける。
  2. VISACに2インチアダプターを取り付け、そこにレンズごとASI294MCを取り付ける。
  3. 取り付ける際、アダプターにカメラの前面が平面できちんと接するように押さえながら取り付けること。
  4. カメラの像をPCに映す。
  5. 副鏡を取り外す。
  6. 副鏡を取り付けるネジ穴の位置を画面上で確認。
  7. ASI294MCの前面をアダプターにぴったりくっつくようにしながら、アダプターのネジを緩めて、カメラのみ回転させる。
  8. 回転させた時の画面上の回転中心が、ネジ穴の中心になるように、鏡筒手前の内側の3つの押し引きネジを調整する。これはレンズの光軸ががカメラセンサーの法線とずれている可能性があるからです。
  9. カメラのみをアダプターから傾けて、画面の中心にネジ穴の中心が来るように、頑張ってアダプターのネジを調節し固定する。このアダプターですが、ネジが2つしかないので、もう一つ穴を開けタップを切って3つのネジにしたほうがいいかもしれません。
  10. 上手く固定できたら、それがずれないように気をつけながら副鏡を取り付け、画面に見えている中心の副鏡の外周が中心に来るように、副鏡の角度を3本の押しネジと、1本の真ん中の引きネジで調整する。
  11. 同じくカメラがずれないように注意しながら、鏡筒手前の外側の3つの押し引きネジを調整し、4本のスパイダーが中心になるように持っていく。
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最終的に合わせ終わったところです。
まだカメラは傾いたまま取り付けられています。

写真を撮る余裕がなかったので、取れたのは調整後の写真だけです。 

最後に、カメラのズレを直して見てみました。
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なんと、上下は少しずれてますが、触る前の一番最初の写真の位置とよく似ています。おそらく、最初から光軸はかなりあっていたと思われます。長くかかりましたが、そのことに確証が持てただけでも良かったのかと思います。


まとめ

この方法、原理的には多分正しいと思います。少し心配なのは、
  • カメラをずらして固定するのが難しかったので、少しズレがあるかも。先にも書きましたが、3つ目のねじ穴を空けた方がいいかもしれません。
  • そもそもカメラをずらした方が良かったのか、カメラをずらすのでなく見えている中心を画面中心と改めて定義してから合わせた方がいいのか?
2つ目の疑問は、多分前者の方が正しいと思います。全然間違ったことをやっていないか、星像を見て試そうと外に出たのですが、曇りで月も見えません。なのでこのブログを書いているというわけです。
(2021/8/22 追記: レンズの光軸ずれの誤差が大きいと思い、その影響を小さくする光軸調整の方法を考えていました。)




あと、今回の記事の鏡筒内のどの写真にも写っていますが、主鏡の固定具でしょうか3つの遮蔽物がかなり目立ちます。おにぎり星像の原因の可能性大です。本当は光軸調整よりこちらを隠すようなリングを作るべきなのですが、今回は光軸調整としました。(2021/8/21 追記: 主鏡どめのマスクを作りました。)




四連休は

明日の金曜はMちゃんが来る予定。UV/IRフィルターを入れて星像がどう変わるか試してみようと思っています。
明後日土曜はいよいよ天リフさん主催の「星と宇宙の夏ライブ2021」です。気合を入れて参加します。


 

そういえば、6月26日に開催された天リフさん主催の天リフ超会議「ガチ天」ですが、まとめ記事を書くのを忘れてましたので、ちょっと前のことですが思い出してみます。




ガチ天に参加!

わたしはまだ、ガチと呼ぶにはそれほど長くこの天文趣味を続けているわけではありません。他の多くのガチ勢の方々みたいに、天文少年だったような思い出もありません。なので最初「ガチ天」に参加しようとは思っていませんでした。ガチ天の講演者がある程度揃った時の顔ぶれを見るとあまりにすごくて、自分も含めてとてもじゃないけどこのメンバーに分け入って話をしようとは思えませんでした。こりゃあしばらく埋まらないんだろうなと思って、天リフ編集長さんに聞いてみたところ、案の定なかなかメンバーが集まらず「ガチ」と言うのが響きすぎたようだとのこと。ならいっそのこと怖いもの知らず状態で、どんなネタにするか相談させて頂きつつ、頑張ってエントリーしてみましょうかということになりました。

最初考えていたネタは4つくらいありました。
  • いつもの電視観望
  • ノイズの話
  • 太陽の話
  • 制御の話
などです。

電視観望に関しては、天リフ編集長から「今回は別の話の方が」とのお勧めがあり、最初に外しました。

ノイズの話はあぷらなーとさんと被りそうだったので、少しあぷらなーとさんと話しました。すると、一般的なノイズというよりはあぷらなーとさんがこれまでやってきた独自ノイズハンティングの話ということでした。できるだけかぶらないようにと、私はもし話すとしたらセンサー解析のようなことにしようとその時点で考えました。天リフ編集長もセンサー解析に興味がありそうでしたが、真面目に話すと本当にガチのガチみたいな話になってしまいます。冷静に考えると興味がある人にはいいけど、興味ない人には面白くないような気がしてきました。

制御の話も似たような反応になるかもしれません。制御も面白いとは思うのですが、もし話すとしても天文というよリはもう少し一般的な話になってしまう気がします。


太陽の話に決定!

太陽はこのブログでも反応の少ない部類でこれもまたマニア向けなのですが、こちらは機材の改造で進化していく様子を見せることができます。これなら太陽自身にはあまり関心がなくても、天文機材の話としても聞いてもらえそうなので、天リフ編集長に話し、結局太陽の話でエントリーさせて頂くことになりました。

と言っても、太陽も古くから成果を出している方も多くいて、果たして私のような高々太陽暦3年の初心者が、ガチなんかと言って話していいのかという心配もあります。話せることは、手持ちではせいぜい魔改造と大口径くらい。真っ当な太陽道とはかけ離れています。

でも、工夫して機材の性能を出すというアマチュア天文の醍醐味のような話は太陽という分野に限らず、同じ天文仲間ならわかってくれると信じながらの話を組み立てて、スライドを作っていきました。太陽の話を他人にするのは初めてのことなので、資料作りは一からです。太陽観測は危険も伴うので、安全に対する喚起もとても重要です。でも、ストーリー自体は頭の中にある程度できていたので、資料作りは思ったより順調に進み、かなり早くにまとまりました。

前回のCP+の生中継の反応がすごくよかったので、当日天気が良ければ、C8での太陽Hαの生中継をしようとも考えました。


ガチ天当日

ところがガチ天の前日の天気予報ではトークの時間はどんどん下り坂です。当日、朝のうちはまだ晴れていたので、もう生中継は諦めて、事前にビデオを撮影しておくことにしました。

さて、いよいよ6月26日の午後、本番です。あらかじめ講演者と参加希望の視聴者のいるZoomへつなぎます。私が接続したのは、ガチ天が始まる20分くらい前だったでしょうか。開始の15時まですぐに時間が過ぎます。始まりは天リフ編集長の司会から。講演のトップが大御所の津村さん。ものすごい歴史で、もうただただ尊敬です。津村さんの話が終わると、二番手はとうとう私です。今回は1人で45分間と「ガチ」の名に相応しく長丁場です。

実際には自分のトークが始まってしまえば、あとは特に緊張することもなく、スライドに沿って話していくだけです。ネット越しなので反応があまりわからないのですが、チャットには刻々と書き込みがなされていきます。と言っても話しながら読む余裕はないので、やはり感触はあまりわからないのですが...。自分のトークが終わってしまえば後はもう気楽なもので、他の方の話もリラックスして楽しく聴くことができました。

もし私の太陽トークに興味がある方で、また見ていない方は、天リフさんが講演者別に別途切り出してくれています。


自分のトークを改めて見てみると、まあ早口になってしまったりであまりスムーズとはいえないのですが、それよりも中継時のビデオの解像度がかなり落ちてしまっているのが問題でした。そもそも太陽Hαの動画なんて、モノクロでノイズみたいに見えるので、どうしても解像度を自動的に落とされてしまうのかもしれません。ここは今後の課題です。


Q&A

せっかくなので、当日コメントで出ていた質問に答えておこうと思います。

星の玄さん:  「20cmでも結局入ってきた熱は、反射して筒先から逃げていく、と考えて良いのでしょうか?なんか不思議...」
  • そうだと思います。UV/IRカットフィルターがどれくらい吸収しているか定量的に評価するのは難しいのですが、外して触ってみても全く熱を持っていません。なので、反射か透過でここで吸収していることはほとんどないと思います。エタロンもHαとそのFSR周期以外は反射なので、フィネスが20だとすると全エネルギーの95%は反射です。

PicoTubeさん: 「フィルターの反射光が鏡筒内の部品に当たって熱を持ったりしないのかな?」
  • 基本的に逆経路を辿るはずなので、副鏡と主鏡に当たるのみだと思います。副鏡も触ってみる限り全然熱くないです。

星の玄さん:  「昼間のひなたでのPC使用だと、液晶画面が見にくいことが多いのですが、何か工夫していることはありますか?」
  • 車のトランクのドアを開けて、その下に机と自分自身が入るようにしています。自分自身も影に入らないと、画面に反射して見辛くなります。この状態でも部屋の中で見るのと比べると相当な差があり、どうしてもの時はリモートで自宅の中から操作、撮影しています。

PicoTubeさん: 「筒先フィルターでフィルム状のやつがありますが、使わなかったのはデメリットがあるのでしょうか?」
  • あれはND4とかND5なので、1万分の1とか10万分の1の明るさになってしまいます。そこからHαを見ようとすると暗過ぎてしまうからです。

播州やたらさん:「ERFに7nm幅のHαフィルターを使うって、レンズの前にでしょうか?」
  • BFの後、CMOSカメラの先端です。ここまでで十分減光されているので、この位置で構いません。

MASAHIRO KUSABAさん:「Daystarだとどのくらいいけるのでしょうか」
  • すみません、Daystar使ったことないのでわかりません。でもDaystarで大口径を攻める方が遥かに正しい道なのでERFを先端にきちんと付けるとかすれば、PSTよりも簡単に、真っ当に解像度を出せると思います。

でもこうやって改めてチャットを見ていると、当日の反応がわかってありがたいですね。MaxHeadさんや、のん太さんの「ひので」というコメントは、私にはもったいなすぎるくらいの褒め言葉でとてもありがたいです。

後日、天リフ編集長からアンケートで書かれていた感想が送られてきました。たくさんの意見があったのでここでは紹介しきれませんが、読んでいてとても力づけられる嬉しいものばかりです。一部だけ紹介させていただきます。
  • 切磋琢磨し得た成果は何であってもうれしいものです。太陽の細かな表情を観ることができ感動しました。
  • これぞ趣味。市販の機材をどう活用するか、目から鱗が落ちた。
  • 学生時代ファブリペローエタロンを使った研究をしていたのでとても愛着があります。
  • PSTは私も分解したことはあるので、よく最後までばらしたなぁと、感心するやら驚くやら。いちばん楽しかったです。
  • 危険性をきちんと把握したうえで次々にチャレンジしているのに感心しました。
  • PSTの性能を最大限発揮させるという考え、行動力に脱帽です。
皆様、暖かい感想、本当にありがとうございました。

あと、気になったのが当日のTwitterであったGiraud-Sunさんの
  • あんなイメージしやすいエタロンの説明ははじめて聞きました。唸りました…
というコメントです。エタロンの原理についての説明は自分で考えたので多分オリジナルです。これが伝わったのが、実は一番嬉しかったです。


後日談

さらに後日談ですが、懸賞プレゼントに当たってしまいました!!!

大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会さんの「おほしさまかんそくちう!」Tシャツです。

ちょうど今日到着しました。天リフさん、迷人会さん、どうもありがとうございました。星見の時に着ていって、声をかけられたら迷人会さんの宣伝しておきます。

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いよいよ週末は「星と宇宙の夏ライブ」

さて、今週末の7月24日土曜日はいよいよ「星と宇宙の夏ライブ」です。オンライン配信で、昼の12時55分開催です。



今年も星まつり開催は厳しそうなので、天リフさんのイベントは全国の星仲間と交流ができる貴重な機会になります。

今回は天文といってもいろんな分野からいろんな人が話してくれます。どれもとても楽しみなのですが、私のお勧めは最初の重力波のお話かな...。
 


研究クラスタからの話ですが、面白い話をしてくれると期待しています。ただ非常に残念なことに、私はちょうどその時間なぜか忙しい予定で、リアルタイムで聞くことができないです。直接聞いた方からの感想なども教えていただけると嬉しいです。

今年は「星と宇宙の夏ライブ」で交流できると嬉しいですね。


やっと梅雨が明け、とてつもなく暑いですが、連日晴れの日が続くようになりました。これから満月期に向かっていくので、月もそこそこの時間まで出ています。平日でそこまで遅く起きているのも大変なので、気軽に月の撮影としました。


ASI294MM Proでの広角、高分解能の月撮影

やりたかったのは、ASI294MM Proのbin1モードでピクセルサイズ2.3um、8288×5644の高解像度でどこまで月の分解能が出るか確かめたかったことです。具体的な比較として今後も含めてやりたいことは
  1. ASI294MCとASI294MMのbin2での同ピクセルサイズでカラーかモノクロ化の直接比較->分解能は2倍違うはず。
  2. ASI294MCとASI294MMのbin1でのピクセルサイズ半分でカラーとモノクロの違いの比較->分解能は4倍違うはず。
  3. ノーフィルターとサイトロン製IRパスフィルターの640nm、720nm、800nmで違いがあるか?
です。
 
今回は初日ということで、とりあえずの条件出しです。
  1. 鏡筒はVISAC、赤道儀はCGEM II。揺れが効きそうだったので三脚の各足の下に手製の防振パッドを入れています。
  2. ASI294MM ProをBin1の常温で撮影。
  3. フィルターは640nm以上を通すように。
  4. 露光時間はとりあえず10ms、Gian120。
  5. 枚数は500枚のうち上位50%の250枚をAutoStakkert!3でスタック。
  6. あぶり出しはImPPG、仕上げにPhotoshop。
としました。

撮影は、1枚だと月全体が画面内にギリギリ入るか入らないかだったので、2枚としICEでモザイク合成しました。問題はファイルサイズ。SharpCapで500枚をser形式で保存すると1ファイルが50GBになります。処理もかなり時間がかかります。本当は上にあるように、きちんと条件を変えて色々撮影したかったのですが、今回はこのファイルサイズでめげてしまって、モザイク分2枚撮影しただけで諦めました。

あぶり出しはこれまでのようにRegistaxを使いたかったのですが、大きすぎる画像は処理できないようで、今回はImPPGを使いました。ところが、多分Registaxに比べた弱点だと思うのですが、処理を強くすると細かいノイズが出てしまいました。RegistaxのDenoiseに相当することができないようです。太陽だと気にならなかったのですが、のっぺりした面がある月ではそのノイズが目立ってしまいダメでした。なので弱く炙り出すに留めてます。他にはNik CollectionのOutput Sharpner、TopazのSharpen AIなどはわざとらしくなってしまったり、偽線が出てしまう可能性があるので使えませんでした。PixInsightが使えそうなのですが、今回は使う余裕がなかったので、今後の課題にしたいと思います。


結果

一応画像処理まで終えて、結果は、以下のようになりました。

21_56_42_lapl4_ap7882_IP.2tif_stitch
  • 月齢9.5日
  • 撮影日: 2021年7月19日21時56分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: SIGHTRON IR640 
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MM Pro(常温で使用)
  • ガイド: なし
  • 撮影: SharpCap、露光時間10ミリ秒x250/500枚  
  • 画像処理: AutoStakkert!3、ImPPG、Photoshop CCI

撮ったのはこの1枚(2枚合成)だけなので、その他パラメータとの比較はできませんが、かなり解像度も出ている感じです。そこそこ満足の結果です。

昨晩はここまで、次の日も仕事なのでここで就寝です。


少し比較してみた

せっかくなので、いくつか以前の結果と比較してみたいと思います。


リンク先ページの1枚目の写真と比較してみます。VISACではこれまで最も分解能が出ていたと思っているものです。鏡筒は同じ、ピクセルサイズも同じなので、カラーかモノクロかの違いになります。右がASI178MC、左が今回のASI294MM Proです。

VISAC_178MC


うーん、どうでしょう?クリックして拡大して比べてもらった方がわかると思いますが、同等か、下手したら右の178MCのほうが分解している気もします。

もう一つ比較してみましょう。


C8_01

右の178MCはピクセルサイズが問題になってきそうなくらい分解能を使い切った感じ。対する左の294MMはモノクロになった分ピクセルサイズに余裕が出たものの、細部はそれほど出ていない感じです。


まとめ

どうやら今回のASI294MMでの撮影は、過去のもっとよかったものに比べると、カメラの性能では優っているはずが、シンチレーションがそこまでよくなかったか、もしくはピントを合わせ切れていないかでしょうか。これはリベンジ案件ですね。余裕があったらもう少し続けてみます。

といっても、ここまで解像度が出て、月全体を丸々撮れているので、自分的には十分満足なのですが。

続けるにしてもファイルサイズが大きすぎるので、もう少し小さな面積で分解能比較はしたいと思います。あと、もしこれ以上高分解能を追求するならバローを入れた方がいいかもしれません。あとはシンチレーション の良い日を狙うのでしょうか。

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