ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2020年09月

今回の記事は大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会工房様の微動雲台のテストです。さてさてどんな結果が出るのか、私自身楽しみです。


あんとんシュガーさんがわざわざ持ってきてくれました

先週の連休にあんとんシュガーさんから大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会工房製作の微動雲台を受け取りました。あんとんシュガーさんがしばらく使っていたのですが、自宅に遊びに来がてらわざわざ届けてくれました。受け取った時のパッと見の印象は、頑丈そうというもの。大きさも径もポタ赤にはちょうどいいくらいかと思います。アルミを削って組み上げてますが、銀色がかっこいいです。

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微動雲台本体です。三脚はアントンシュガーさんのもの。


ポタ赤のための極軸合わせ微動雲台

まず最初に断っておきますと、私はポタ赤には微動雲台は必要ないと思っています。いや、より正確にいうと、弱い微動雲台を加えて揺れるくらいなら無い方がいいという意見です。もし揺れを増加させないような微動雲台があるなら、当然便利になるので使った方がいいと思います。

これまでもポタ赤の極軸を合わせる目的で微動雲台と呼ばれるものは、各種販売されてきています。 ですが、ほとんどのものが強度的に問題がありそうです。私が試したのは以前の記事に書いてありますが、片持ち構造なのが根本的な原因で、撮影では不利になると判断して外してしまいました。同ページの写真を見ても、一見相当頑丈に見えるのですが、やはり鏡筒部がある程度の重さになってくるとどうしても一番弱い微動雲台部分で揺れてしまいます。風などない日は問題ないでしょうが、少し風が出てくるとやはり星像が揺れしまいました。

そのページのコメントにHUQさんがユニテックのものが一番マシと書いてありますが、それでもコストと重量を考えるとあまり大型化もできないことと、本質的に可動部分を持つためにどうしてもこの部分が一番ネックになりやすいのは、ある意味仕方ないのかと思います。


迷人会製微動雲台

この観点からいくと、迷人会工房の物はポタ赤用微動雲台にしては大型の部類に入り、押し押しネジ構造は安定な微動方法、さらに縦、横共にクランプで締め付けることでガタつきをなくすことができそうです。「これまでポタ赤用の微動雲台はあまり使いたくなかったが、これだったら試してみたい」というようなことをTwitterで呟いたら、こたろうさんから「じゃあテストだ!私の決定は絶対じゃあ!(意訳あり)」との命が下り私のところにお鉢が回ってきたというわけです(笑)。

実物の構造を見てみますと、写真でもみたようにpitch(縦)、yaw(横)共に押し押しネジで、クランプで両軸とも固定できるようになっています。クランプを緩めると少しガタついたので、ここがどう効くかがテストのポイントになりそうです。あと、あんとんシュガーさんが「微動ネジを回しているとカクンと動くことがあった」と言っていました。でも雲台単体で動かしてみてもスムーズに動き、そんな変なことはありません。ここもきちんとテストするポイントになりそうです。

この時点で最近ユーザーの多いAZ-GTiの赤道儀モードで試すか、SWATで試すか迷っていたのですが、Twitter上で製作者の井戸端秀樹さんとコンタクトを取り「是非ともSWATで試して欲しい」との要請がありました。AZ-GTiは次回専用ものを作るそうです。

ところが、実際にSWATを取り付けようとしたら雲台のトップが水平でなく、35度くらいの角度がついていることに気づきました。ご存知の方も多いと思いますが、SWATは日本での使用が前提で、水平の台に取り付けても回転軸が極軸方向を向くようにあらかじめ35度くらい傾けた足が付いているのです。

このままだと明後日の方向を向いてしまうので、最初にやったことは雲台の分解でした。といってもトップを外しただけです。外したところを見ると、下部に耳が後付けで斜めのところに付いていて、これを外して最下部付近に取り付けることにより、トップ部をまっすぐ、上部が水平になるように取り付けることができるようです。これは対応するポタ赤を増やす優れたアイデアです。日本で使う限り、基本的にこの2箇所の取り付けで十分かと思います。

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この状態で、微動ネジを回してみるとあんとんシュガーさんが言っていた「カックンとなることがある」というのがわかりました。どうやらSWATを上につけて、それが斜めになっていることで、重力でネジに荷重がかかり、荷重がかかった状態で当たりが悪いとネジの回りが悪くなるのです。これはテストのしがいがありそうです。


極軸調整テスト

雲台を受け取ったのは先々週でしたが、9月は全然晴れなかったのでなかなかテストできませんでしたが、最終週になってようやく晴れたので、平日でしたが、まずは本来の目的である極軸合わせのテストをしました。

まずは実際のSWATを、普段AZ-GTiで使っている三脚とハーフピラーの上に付けてみました。もともとハーフピラーをつけた理由は、鏡筒が三脚に当たることを防ぐためです。今回その役割をサイズ的に微動雲台が担ってくれたので、結局はハーフピラーを外し、三脚に直付けすることにしました。

また問題を切り分けやすくするために、撮影用鏡筒はつけずに、ガイド鏡のみを直接SWATに取り付けました。ガイド鏡は以前胎内星祭で購入した120mm F4のもの。カメラはASI290MMです。取り付け方法はこれまで一番揺れが少なかった、モノタローで買ったクランプを利用しました。そこにアルカスイスクランプを取り付け、上下に2つ溝が切ってあるアルカスイスプレートを挟み、ガイド鏡下部のアルカスイスクランプで取り付けます。

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三脚はいつも使っているシステマティック化したGitzoのバサルト製のものです。写真では足の一本にタカハシの三脚アジャスターをかませてますが、最初の微動雲台でのテストでは外しています。


SharpCapでの極軸追い込み

では実際にSharpCapのPole Align機能を使い、迷人会の微動雲台を使って極軸を調整してみましょう。まずは、とりあえず一番最初に使ってみた時のファーストインプレッションです。最終的に1分角以下になれば十分な精度が出ていると考えていいでしょう。
  1. 最初は当然大きくずれているので、微動ネジのレンジだけでは足りずに三脚の足を伸び縮みさせたり、横にずらしたりして大まかに合わせこみます。
  2. ある程度位置が合ってからは微動の出番です。と言ってもまだそこそこずれているので大きくネジを回す必要があります。その際、ピッチでやはりひっかるようなところがありました。
  3. また、これもピッチですが、一方向に回しても星像が一旦逆方向に動いてまた正しい方向に戻るということがありました。どうもネジの当たり具合で線形に動かない部分があるようです。
  4. でもある程度位置が合ってきて、微動になってくるとそういったことは問題にならず、うまく滑らかに動かすことができます。動かす精度は十分なものがあり、1分角以下で余裕で合わせることができます。
  5. 一旦かなり合わせてからクランプを締めてロックすると、やはり位置がずれてしまいます。なので、ロックした後に微調整で合わせる必要があります。ロックしても微調の範囲では星の位置を動かすことはできます。
  6. ロックさえさせてしまえばガタつきはほぼ皆無。少なくとも私は全く気になることはありませんでした。
  7. この状態で下の写真のように、ロックしてかつ極軸も余裕で1分角以下の精度で合いました。
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この後、何度か同じようなことを繰り返しましたが、最初の印象と違いはそれほどありませんでした。というわけで、上に書いたものが偶然とか、たまたまとかではなく、ほぼ実際の動作状況だと思います。


クランプの影響

あと、みささんも気になると思われるクランプロックの影響を書いておきます。動画で実際の動きを確認してみてください。
  1. まず、クランプロックされた状態で1分角以下、平均30秒角以下程度に合わせます。
  2. 次にyaw方向のクランプを緩める(動画7秒辺り)と、1.5分角程度にズレます。その後、再びクランプを締める(動画17秒辺り)と30秒角程度に戻ります。
  3. さらにpitchのクランプを緩める(動画38秒辺り)と、今度も1.5分程度ズレます。問題はこの後で、閉めて(動画47秒辺り)も戻らずに、時として3分以上にズレが大きくなることがあります。ずれる量は押し押しネジが互いにどれくらい耳に強く当たっているかに依存するようです。


というわけで、やはりクランプ開け閉めの影響は存在するようです。この結果だけ見ると、クランプの影響が大きく思えてしまうかもしれませんので、実際にどれくらいの精度が必要かはきちんと定量的な評価が必要かと思います。

必要な極軸の精度

では、極軸のズレで1分角というのは実際にどれくらい大きなズレなのでしょうか?細かい計算はこのページを見てもらうとして、ざっくり1分角の極軸のズレで、4分間露光して、星像にして最大で1秒角のズレ。

結論だけ言うと、普通の目で合わせる極軸望遠鏡ではほとんど分からないレベルのズレかと思います。ポタ赤で撮影する場合、せいぜい600mm程度が最長の焦点距離になるかと思われます。この焦点距離程度なら、1分角で合わせたら例えば5分間露光しても極軸のズレからくる星像のズレは1秒角程度となります。これをたとえばEOS 6Dで撮影すると、1ピクセル2.3秒程度なので、ズレは1ピクセルの半分以下。ほとんど影響はありません。むしろピリオディックモーションが一般的にポタ赤レベルだと数十秒角、今回使うSWAT200でも10秒程度と遥かに大きくなり、こちらは4ピクセル程度のズレとなるため、支配的になります。

極軸精度で1分角程度、星像のズレに換算してして4分で最大1秒程度というのは、SharpCapなど極軸を正確に合わせることができるツールがあって初めて検証できる精度の話になっています。ちなみに、北緯35度の日本では極軸は大気差で1分30秒角程度ずれるので、大気差補正をしないと意味がないレベルでもあります。SharpCapにはこの大気差を観測場所の緯度に応じて補正する機能があります。1分各程度で合わせ混むことができると、この機能が意味を成してきます。

なので、今回この微動雲台で合わせている精度自体、ポタ赤ではすでに十分すぎるものと考えることができます。


とりあえず触ってみての結論

さて、この状態である程度の結論を言うと、
  • まだ少し引っ掛かりや進行方向の反転はあるけれどもこれは十分改善可能と思われる。
  • 微調整に関しての精度は十分満足。
  • ロック時のズレは気になるが、精度的には十分で、さらに運用で影響を少なくすることはできる。
  • 特筆すべきは、クランプをロックした後の揺れの少なさで、まるで大型の赤道儀の揺れの少なさを彷彿とさせます。振動試験は後で別途やろうと思っていますが、このレベルならば撮影でも全く問題ないと思います。
というわけで、私としてはこの時点でも実践投入可能という意味で十分な合格点を出したいと思います。

動画で見てみる: 微動

上で説明したことを実際に動画で見てみましょう。

1. まずは極軸近辺でpitch方向に微動した時、どれくらいきれいに動くかです。

pitch、微動

動きのスムーズさを見るために、1. 一旦通り越して、2. 反転して戻ってまた一度通り越して、3. さらに反転して微調整して合わせこんでいます。これくらいの操作は余裕ということです。


2. 次にYawの微動です。

yaw、微動

同様に、一旦通り越して、反転して戻ってまた一度通り越して、さらに反転して微調整して合わせこんでます。


動画で見るとわかると思いますが、pitch、yawともかなり精度よく合わせこむことができるのが分かるかと思います。


動画で見てみる: 大きくズレた位置から合わせ混むまで

1. まず最初に試したのが、迷人会製微動雲台を使って実際に大きくずれた状態の一から合わせ込んだときの動画です。一応何度か試したので、操作には慣れてある程度スムーズに行くときの場合です。約2分半かかってます。


1分5秒くらいのところでしょうか、pitchの移動方向が反転しているところがあります。でもこれネジは一方向に回しています。このようにおそらくネジの頭が斜めになっているためにいったん反対方向に進んでしまうようなところがあります。1分35秒辺りでYawに、1分59秒辺りでpitchに大きく飛んでいるのはクランプを締めたからです。クランプを閉める前に微調整してしまっても結局ずれてしまうので、ある程度あってきたらまずはクランプを締めています。その後の微調整はスムーズにいきます。


2. 次に試したのが、微動を使わずに三脚の足の伸び縮みでpitchを調整し、足を横にずらしてyawを調整するというものです。3分以上格闘しましたが、pitchの調整が難しすぎて最後まで1分角以下では合わせられなくて諦めました。Gitzo三脚の伸び縮みも、固定してしまえばかなり頑丈ですが、ロックするときのズレは微動雲台より遥かに大きいです。嫌になったので動画は無しです。


3. 最後は、三脚足の調整では難しかったpitchを、タカハシの三脚アジャスターに変えた場合です。Yawは三脚の足ずらしで合わせ混んでいます。


多少慣れたせいもあるかもしれませんが、なんとこれが1分半ほどで合わすことができてしまい最短でした。なんか迷人会様に合わせる顔がありません <(_ _)> 。原因はタカハシの三脚アジャスターの動きがスムーズなところです。

なのでpitchに関してはまだ三脚アジャスターに分があり、こちらの方が合わせる時間が短いです。ここはやはり迷人会さんの微動雲台も改良してスムーズさを出して欲しいとことです。

Yawに関しては以前計算したことがありますが、適当な仮定を置いて考えると微動雲台で調整するのに比べて、三脚の足をずらす方法では5倍くらい精度が悪くなります。でもコンコンコンとか、叩いて少しづつずらすようにしていくと、なんとか合わせ込めるみたいです。

ちなみに、三脚アジャスターとはこんなやつです。

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三脚の下に置いて、ネジをくるくる回すことで高さを調整できます。3つの足全てに置く人もいるようですが、私は(結構高いので)一つしか持ってません。でも改めてネジの先を見ているのですが、あまりキレイとも言い難いです。やはりボルト端部が面に垂直に接するのが肝なのかもしれません。

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改良案

現段階での改良案を提示しておきます。この提案は振動試験をやったら変わる可能性もあります。
  • まず、押しネジは一点でプレートに接するのが理想。
  • 特にpitchは接地面がボルトに対して斜めになるので不利なのではないでしょうか。耳のつける位置を変えて二通りの曲軸設定に対応するというアイデアは秀逸です。真っ直ぐにトップを立てる場合でも少し斜めの位置に取り付けることになっているので、一つは耳を真下につけたほうがいいと思います。日本仕様で35度付近に付けるようにして、ボルトと耳の設置面が垂直に当たるようにしてはどうでしょうか?
  • ボルトの端部の曲面になるように少し加工すればずいぶんマシになると思います。今は斜めに平面のようになってしまっているので、へんな戻りが出てしまうのかと思います。今の端部だと耳の設置面に傷ついてしまっています。

まとめ

今回、大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会工房様から微動雲台をお借りしました。

これまで微動雲台の決定版がなかなかなかったことから、強度的にはこれが決定打になる気がします。ネジのあたりの部分を改良してよりスムーズな動きになれば、精度の面でも決定打になると思います。

次回、振動の方もテストしてみたいと思いますが、見ている限り既に頑丈そうで、違いが示せるかどうか心配しているくらいです。もうしばらくだけお借りします。


 


今回サイトロンさんから、まもなく発売される予定の入門用のCMOSカメラをお借りすることができました。まだ型番もついていない段階のものです。いい機会なので、このカメラを使ってできるだけ手軽な電視観望を試してみることにしました。

(2020/10/12追記) 2020年10月10日に正式発表されました。型番はSV305-SJとなります。SJはサイト論ジャパンの頭文字だそうです。販売ページはこちらになります。




星や宇宙のことに興味があり、できるなら星雲や星団、銀河などを見てみたいけれども、難しいのではないかと思っているような方にお役に立てたらと思います。もしよければ、この記事を読んでぜひ電視観望を試してみてください。


電視観望で宇宙を見る

もしかしたら、星雲や銀河を見るためには大きな望遠鏡が必要だと思っていませんでしょうか?

昔は確かにそうだったかもしれません。でも最近はCMOSカメラと呼ばれる高感度なカメラを使うことで、以前からは考えられないくらい小さな望遠鏡で、はるかに手軽にきれいに星雲などを見ることができるようになってきました。今回もガイド橋と呼ばれる、むしろ普通の望遠鏡よりも小さな鏡筒を使っています。

今回紹介する電視観望と呼ばれている方法は、大きくわけて4つのものが必要になります。

  1. CMOSカメラ
  2. 鏡筒(望遠鏡)
  3. 自動導入の経緯台もしくは赤道儀と三脚
  4. Widowsコンピュータ
順番に見ていきましょう。


1. CMOSカメラ

カメラはCMOSカメラと呼ばれる、天体用に販売されているものが適しています。今回使用するサイトロン から販売されるCMOSカメラは、電視観望をすることができるカメラの中では最も安価な部類になると思います。

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実はこのカメラ、SVBONY社のSV305と同等品で、違いはフィルター部のみ。SV305はセンサーの前に赤外線カットのフィルターが入っているため、星雲のHαの赤色を出すのに苦労しているという情報があります。今回のサイトロン社のカメラはフィルター部を通常の保護ガラスに変えているとのことで期待できそうです。

上の写真にはカメラの先端にUV/IRカットフィルターというものが付けてあります。これは赤ハロと呼ばれる星が肥大することを防いだりする役割があります。(2020/10/12追記: 正式発表を見るとこのUV/IRカットフィルターが付属した形での販売となっています。)


2. 鏡筒

カメラが入門用で比較的安価に購入できる反面、センサーの面積が小さく、天体の導入がなかなか大変になります。そのため、鏡筒(望遠鏡)はできるだけ短い焦点距離のものにして、広角で広い範囲を見るようにして、導入をしやすくしようと思います。例えば焦点距離が200mm台くらいになるとアンドロメダ銀河が画面にちょうど収まるくらいになります。ところが、焦点距離200mm台の短めの鏡筒を探すのは意外に難しく、今回はガイド鏡として販売されているSky-WatcherのEVOGUIDE 50EDを使ってみることにしました。



焦点距離は242mmなのでちょうどいいくらい、またEDレンズを使いながら税込で実売2万5千円くらいと、性能の割に比較的安価です。


EVOGUIDEを箱から出すと、ガイド用のマウントがついています。

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このままだと扱いにくく、経緯台や赤道儀に直接取り付けたいので、下のマウント部を取り外し、代わりにVixen規格のアリガタを取り付けました。

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今回は上の写真のように手持ちのアリガタを使いましたが、例えば下のリンク先のアリガタのように真ん中に溝が切ってあるものならネジとナットで止めることができるはずです。このように、自分でいろいろカスタマイズすることで応用が広がります。




鏡筒にCMOSカメラを取り付け準備完了です。ちなみに、緑のリングはこれくらいの位置でピントが出るはずです。実際に使う場合は参考にしてみてください。

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3. 自動導入経緯台AZ-GTi

電視観望の場合、目的の天体を次々見ていくことになるので、自動導入ができる経緯台や赤道儀があると便利です。今回はSky-Watcherの自動導入経緯台AZ-GTiを使います。




AZ-GTiを三脚に乗せ、鏡筒とカメラを取り付けます。この時、AZ-GTiについている水準器を見て、きちんと水平に設置されているか確認します。また、AZ-GTiの背の部分についている大きなネジを緩めて、鏡筒もできるだけ水平になるようにして再びネジを締めます。さらに、AZ-GTiの下の方についている小さいネジを緩めて、水平方向に回転させて鏡筒の先が北になるように向け、最後にネジを締めます。

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4. Windowsコンピュータのセットアップ

電視観望にはWindowsコンピュータが必須です。ノートPCだと便利です。手持ちのPCがあればまずはそれで試すので構いませんし、もしあまりのPCとか無ければPCを別途用意して下さい。少し前の安い中古PCでも十分楽しむことができます。Windows10が入っている時代のものならば十分なはずです。

PCにはSharpCapというソフトを入れてください。この際、必ず32bit版を使うようにしてください。今回のカメラはまだ64bit版では動かないようです。



PCの準備ができたら、次に、カメラをコンピュータにUSBで接続します。USB2.0という少し前の規格になりますので、ケーブルの種類に気をつけてください。コネクタの中の色い白いプラスチック部分が見えるケーブルなら使うことができます。

SharpCapを立ち上げて、メニューのCameraのところから接続します。SharpCapからはSVBonyのSV305と認識されるので、やはり同等品ということがわかります。

さて、画面に何か写っていますでしょうか?鏡筒が水平を向いているので、鏡筒が向いている先の地上の何かが写っているはずです。でもおそらくピントが合っていないはずなので、ぼんやりと写るだけだと思います。最初慣れないうちはいきなり夜ではなく、昼間に試して遠くの方を見てピントをある程度合わせておいた方がいいかもしれません。


初期アラインメント

ここでAZ-GTiの電源を入れて、スマホやタブレットで接続します。スマホやタブレットにはあらかじめSynScanまたはSynScan Proを入れておいてください。「アラインメント」でどこか明るい星を導入し、どの方向を向いているのかAZ-GTiに教えてやります。最初はワンスターアラインメントでいいでしょう。火星などの明るく見える惑星でもいいですし、秋ならこの季節唯一の一等星のフォーマルハウトでもいいでしょう。

この状態でSharpCapの画面に移ります。まず、Exposure(露光時間)を1秒程度にします。Gain(ゲイン)はとりあえず7.5とかでいいでしょう。SharpCapの画面に何か反応があるはずです。

ここで重要なのは、右下の赤、青、緑の線が出ている「Display Histgram Stretch」画面で、真ん中の黄色の点線を左の山の手前まで動かし、一番左の黄色い点線を山の左側まで持ってくることです。こうすることで、暗く映りにくい星や、星雲などを明るく映し出すことができます。

この状態で星が既に写っていればいいですが、写っていなければピントが合っていない可能性が高いです。EVOGUIDEの場合は、太い緑リングの横の少し大きめのネジを緩めて、その緑リングをクルクル回してピント位置を探します。ピントが合ったら、先ほど緩めた大きめのネジを締めて置きましょう。これでこれ以上ピントはずれないはずです。

どうしても星が見えない場合は、鏡筒がきちんと星の方向を向いているか、(よくあることですが)レンズキャップがついたままになっていないかなどチェックしてみてください。

何かの星が見えたら、最初にターゲットにした明るい恒星がSharpCapの画面に入っているか確認してみてください。入っていなければSynScanでAZ-GTiをコントロールして鏡筒の向きを変えて、ターゲットの恒星を探します。三脚の水平がきちんと取れていれば、SynScanの左右ボタンだけを押して左右に振るだけで見えるはずです。それでももし見えなかったら、上下方向も少し動かしてみてください。

うまくターゲットの星が入ったら初期アラインメントは完了です。ではいよいよ星雲や銀河で電視観望を始めましょう。


電視観望の開始!

例えば秋ならM31「アンドロメダ銀河」を見てみましょう。SynScanで「ディープスカイ」からメシエのところに「31」と入れるか、「名前がつけられた天体」を押して「アンドロメダ星雲」(銀河なのに何故か星雲となっています)を探して押します。

アンドロメダ銀河は、SharpCapの画面上でボーッとした淡い楕円に見えるはずです。明らかに他の星とは違って見えます。もし画面内にそのような楕円が入っていなかったら、SynScanの方向ボタンを押して少し周りを探ると(初期アラインメントさえうまくいっていたら)それほど遠くない位置に見つかるはずです。うまく画面内に入ってきたら、できるだけ真ん中に持っていってください。

ここでSharpCapで露光時間(Exposure)を15秒くらいにしてみて下さい。よりはっきり見えてきたと思います。もっとはっきりさせたい場合、SharpCapの上の真ん中らへんの「Live Stack」というボタンを押してください。しばらく待つと、見えている画面が何枚も重なってノイズが減り、より天体がはっきり見えてくるはずです。その際、画面下のヒストグラムの左と中央の黄色い点線を先ほどと同じように、山の両側に持ってきてください。さらに、画面右の小さなヒストグラムに拡大された山が見えると思います、そこで微調整してみてください。

うまくいくとアンドロメダ銀河が下の画面くらい見えるようになると思います。暗黒帯も少し見えていて構造もわかると思います。近くのM32も見えていますね。

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ヒストグラムの黄色い点線の位置は写真くらいの位置で見やすくなると思います。参考にして下さい。


星雲、銀河が次々と!

一つ目ん天体が見え、十分満喫できたら、次のターゲットに挑戦してみましょう。

例えばアンドロメダ銀河のすぐ近くにある、さんかく座のM33回転銀河です。近い天体なので、アンドロメダ銀河がきちんと入っていればM33も問題なく入るはずです。アンドロメダ銀河に比べると流石に淡いですが、なんとか形は分かります。

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だんだん時間が経つと、冬の代表的な星雲のM42オリオン座大星雲も登ってきます。濃淡の広がりがよくわかる大迫力の星雲です。目ではなかなか見えないのに、こんなに色鮮やかな天体が夜空には隠れてるんですね。

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オリオン大星雲の近くにある馬頭星雲と燃える木です。燃える木はまだ見えていますが、馬頭星雲の方はさすがに淡いです。もう少し露光時間を伸ばした方がいいのかもしれません。上に見える明るい星は、オリオン座の三つ星の一つ「アルニタク」です。

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最後はM45「プレアデス星団」、和名で「すばる」です。青い分子雲も多少見えています。これは少し驚きました。今回自宅から電視観望をしているのですが、分子雲がこの場所でこんなに見えるのは初めてです。馬頭星雲は相当淡かったですが、すばるの分子雲は期待した以上に見えました。どうもこのカメラは赤よりも青い方の方が見やすいようです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?比較的安価なSV305相当で、かつフィルター部分が星雲用に改善された、サイトロンからまもなく販売されるCMOSカメラを使って、どんな機材を使えば電視観望ができるかを紹介してみました。

この記事を見て電視観望に挑戦してみようと思っている方、実際に挑戦してみた方、もし分からないことがあったらメントに書き込んでください。できる限り答えようと思っています。また、うまくいった!という報告も大歓迎です。



今回の記事を読んで電視観望をやってみようと思った人に、もっと突っ込んだ記事を続編で書いてみました。実際に当たる壁と思われるようなことなども書いてあります。よかったら読んでみて下さい。



9月の3週目は土日も合わせてなんと4連休。本当は初日からかんたろうさんのお誘いで乗鞍に遠征の予定でしたが、ギリギリまで待っても天気がどうしようもないので残念ながら中止に。その代わりに正月以来帰っていなかった名古屋の実家へ急遽帰省することにしました。


久しぶりのSCORPIO

名古屋で色々やることはあったのですが、とりあえずは目的の一つSCORPIOへ直行することにしました。Twitterでいのさんと連絡を取り、開店の13時にお店で待ち合わせるすことに。最初は余裕で間に合うと思ってましたが、名古屋の渋滞をなめていて結局13時10分くらいの到着でした。

店の前にはいのさんと、他にお知り合いの方が何人かいました。ちょっと長居しそうだったので、駅方向の少し離れた有料駐車場をいのさんに案内してもらいました。店舗では店長さんとこの間の日本空調のその後を少し話し、店舗内と展示場をみてました。

展示場はSkyWatcherのAZ-GTeと屈折、反射の機器群がズラーっと並んでいて圧巻でした。店長さん曰く「そこまで数は出ていない」とのこと。値段から考えたら圧倒的なパフォーマンスだと思うのですが、多分初心者はここまでたどり着かないのではないでしょうか。やはり最初に行くのはホームセンターや家電量販店などで、なんだかんだで入門機では全国に販売網を持つVixenが一番目につくのかと思います。AZ-GTeだと自動導入までついているので、より長い期間楽しめると思うのですが、初心者だとその判断にたどり着くのも大変なのかもしれません。

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SharpStarの製品も少し展示してあり、実物を見ることができました。Askarブランドのものはまだ並んでいませんでしたが、こちらも期待できそうです。SkyWatcherといい、SharpStarといい、中国メーカーの台頭が本当にすごいです。しかも四隅の星像まできちんと出してくる機種も普通に存在します。今後10年でどうシェアが変わっていくのか、楽しみなような、怖いようなです。もちろんユーザーとしてはいい機材が安価で帰るようになるのは嬉しいことですが、あまり疲弊して潰し合うようなことはユーザーとしては悲しいことになります。

店舗に戻ると、注目のCelestronのスターセンスエクスプローラーを載せた102mmの屈折が置いてあり、やっと実物を見ることができました。これ、リアルタイムでプレートソルブをやっているのですが、よく考えてあると思います。実際に滞在中もお客さんが購入していったので、かなり出ているのかと思います。この部分だけ欲しいのですが、ここだけ外して使うのはメーカーとしては推奨しないような情報が流れていました。私はPCを使って導入するのでそこまで必要性を感じませんが、眼視中心の特にドブソニアンの人とかはPCなしで淡いターゲットを入れることができると、本当に便利なのかと思います。

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その後来た、いのさんのお知り合いの方とも話しながらで、午後4時くらいまで居ついてしまいました。しかもこの日は結局何も買わずで申し訳なかったです。

本当は一つ欲しいものがあったのです。それはサイトロンから出た3倍の星座ビノです。3倍の星座ビノは笠井からも出ていて以前レポートしていますが、サイトロンから出たものはそれとはまた違っていて、まず48mmのフィルターを取り付けることができること、もう一つは光学的にも違っていて、周辺の歪みがなくなっているとのことです。

店長さんは「酔うことがなくなった」と表現していましたが、確かにその通りです。お店にはちょうど笠井の3倍のものも置いてあったので、直接ビルのタイルなどを見比べてみると、笠井の方で見られたビルの輪郭部の大きな歪みがサイトロンのものではかなり抑えられています。実際には暗いところで星を見るだけだと違いがわかりにくいかもしれませんが、3倍の笠井のものがすごく好評なのでもう一つ3倍のものが欲しいのと、フィルターをつけてみて違いを見るとかもできそうなので、手に入れておきたいです。ところが在庫はまだこの見本だけ。というかまだ販売体制が整っていないようで、残念ながら今回は諦めました。

他にもEAFやASI462MCと買いたいものもあったのですが、10月の福島のスターライトフェスティバルが間もなくなので、ちょっと我慢しました。


トップカメラ

その後実家に到着。電灯がつかないとか、ドアの鍵が調子悪いとか、一通り母の要求を満たし、食事はいつもの近くの「まる重」へ。基本的に飲み屋なのですが、定食っぽいのもやっていて、あまり飲まない私にはありがたいです。刺身系がものすごくお値打ちで、普段美味しい魚を食べている富山人の私でもおいしいと思います。写真の上寿司、なんと千二百円です。ウニの美味しいこと。

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もし晴れていたら電視観望でもやろうと思いましたが、この日も曇り。そのまま実家に戻り一泊して、次の日の午前はトップカメラの栄本店へ。ここでは特価のフィルターやらフィルターケース、レンズケースなどを大量に購入しました。

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ここは中部圏でも、多分全国的にもトップクラスの中古カメラの在庫。集めているPENTAXの6x7レンズも見ましたが、在庫は何種類もあったもののとりあえず食指が動くものはなく、今回はせっかく名古屋に行ったにもかかわらず、大したものは買えませんでした。午後は母親のスマホの買い替えにつきあい、結局夕方に実家を出て自宅に戻ったのは22時前くらい。この日は疲れていて、天気も悪かったので寝てしまいました。


あんとんシュガーさん

連休3日目の月曜は、最近Twitterでやりとりを始めたあんとんシュガーさんが午後から来るので、朝から部屋の片付けと、機材の準備です。晴れていたので太陽でも見るかと思って赤道儀を出しておきましたが、午後曇っていて使うことはありませんでした。午後1時半頃だったでしょうか、まだ窓の掃除をしている時にあんとんシュガーさんが到着しました。同年代で、明るくて、とても話しやすそうな方です。でも家族からは相変わらず「ネットで知り合った人とはあってはいけません」と言われています(笑)。

早速部屋にあがってもらい、少し機材を見てもらった後、目的の微動雲台を受け取りました。

あ、そもそもなんで知り合ったのだろうかと二人で話してたのですが、やはりきっかけはあんとんシュガーさんがFS-60CBをユーシートレードで購入したことでしょう。みんなで「購入おめでとう」とか言っているときに、私もFS-60Qユーザーなので「わーい仲間だ!」と思ってコメントした覚えがあります。

聞いてみると金沢に住んでいるとのことで、いつか富山に遊びに来ませんかとか言っていました。そのうちあんとんシュガーさんが、大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会の方とつながりができ、迷人会の井戸端秀樹さん製作のポタ赤用の微動雲台を試すことに。そこに私が反応したところ、同じく迷人会のこたろうさんからその微動雲台を私のところに持っていくようにと命が下ったというわけです。

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無事に微動雲台を受け取りましたが、かなりしっかり作ってあるようで、評価するのが楽しみです。詳しい評価は後日別途またするとして、せっかくあんとんシュガーさんに自宅に来てもらうので、その場で画像処理特訓でもとか思っていました。でもでも最近ずっと天気が悪くて、あんとんシュガーさんの方がなかなか撮影できなかったみたいです。色々聞いてみると、今年3月に初めて星景写真で天の川を撮り、そこからハマり始めて色々揃え出したとのこと。まだまだ機材を揃えているところで、なかなか撮影まで辿り着けないとのことです。目的はまずはアンドロメダ銀河、その後オリオン大星雲を撮影してみたいとのこと。

面白かったのは「FS-60CBを買って良かったー。」としみじみ言っていたことです。最初からきちんとした機材を買うのは一つの手なのですが、確かに今回他の機材を買っていたらもしかしたら私は連絡をとっていなかった可能性もあります。私もFS-60Qには惚れ込んでいるので、同じ機材のユーザーというのはなんだかんだ言ってつながりを感じてしまいます。

結局19時近くまでいたと思うのですが、こんな長い時間何をしてたかというと、ホント何をしてたんだろうというくらい時間があっという間に経ってしまいました。最初の頃はあんとんシュガーさんがマンガを書いていたというくらいマンガ好きなので、私のマンガ本棚を見てもらったり、天文雑誌本棚を見てもらったり、おすすめの本を紹介したりです。

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紹介した本は、望遠鏡とか撮影の理解に、リンク先にもある「デジタル点写真のための天体望遠鏡ガイド」、吉田正太郎著「天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編」と「「天文アマチュアのための望遠鏡光学・屈折編」」、撮影対象を選ぶのに「メシエ天体&NGC天体ビジュアルガイド」と「星座の事典」、さらに画像処理の入門として「天体写真のレタッチテクニック」です。でも最初の3冊は「式があるー」と言って拒否反応を示していました。自然科学が好きなのですが、理系を諦めた文系人間とのことですが、多分謙遜で、話を聞いている限りかなりいろんなこと調べているので、ここらへんのことはすぐに理解していくのかと思います。

画像処理のソフトの話にも当然なりました。問題はPCと英語が得意でないとのこと。でもソフトについてもかなり調べていて、DSSとSIとPIのどれがいいかとかの話にもなりました。私は回り道するくらいなら最初からPIでいいと思うのですが、英語ができないとすると確かに辛いので、その場合はSIかと思います。最初はとりあえずフリーで試してみたいというならDSSでしょうか。でも最近の最初からPIで始めた人たちの画像処理の伸び具合を見ると、PIから始めるというのが解の一つなのかとも思ってしまいます。あんとんシュガーさんはまだ迷っているようですが、結局は自分で楽しめる物を選ぶのが一番いいのかと思います。あ、でも「PIにお金払ってしまって背水の陣で臨むのもいいかも」とか言っていたので、なんとかしてしまうでしょう。

そのうち機材を出したり、どうやって撮影したりとかいう話になっていきました。あんとんシュガーさんの機材はFS-60CBとレデューサー、さらにエクステンダーをやはり迷人会の方から頂いた(!)そうです。フラットナーはまだ持っていなくて、いまいちフラットナーの価値が分かりにくいようでした。エクステンダーとフラットナーとレデューサーの役割と利点、欠点を説明し、アンドロメダ銀河を撮影するにはという話になりました。

赤道儀はポラリエUなので1軸です。オートガイドをしたいとのことなのですが、PCが苦手なのでできればPC無しでやりたいと言います。色々聞いていると、オートガイドの前に極軸をきちんと取る方がいいというアドバイスになってきました。

少し焦点距離は短くなるかもしれませんが、まずはFS-60CBにレデューサーをつけて焦点距離255mmとして、ノータッチガイド、60秒露光でズレが出なくなるくらいまで目的とし、極軸を精度良く合わせることをチャレンジした方がいいのかと思いました。ある程度極軸を合わせておかないと、一軸のガイドをしても結局ずれていってしまいます。赤径のピリオディックモーションが支配的になるくらいまで極軸を合わせ込むと、やっとオートガイドが生きてきます。

SharpCapのPole Align機能が便利なこと、微動雲台を利用してうまくすると1分くらいまでは合わせることができること、微動雲台なしでも三脚アジャスターで頑張るとそこそこ精度が出ること、微動雲台がどれくらい効くかは私の方できちんと評価することなど、ずっと話してました。

でも実際には天体の話よりも、他の話の方が多かったかもしれません。家族の話とか、仕事の話とか、2011年の震災の時の話とか、その他くだらないことも含めていろいろです。晴れていたら早めの夕食をとって、その後撮影とかでもと思っていましたが、結局天気が回復することもなく、あんとんシュガーさんは次の日仕事ということで、また再開を約束して帰宅されました。

ずっと話してましたが、どれだけアドバイスとかできたかはちょっと微妙です。でもTwitterでたくさん得るものがあったと言ってくれたので、ちょっとほっとしています。この日は私も疲れて早く寝てしまい、夜中一度起きてもまだ曇ってたので、諦めてそのまま朝まで寝てしまいました。

今ブログを書いている連休最終日の今晩も曇りみたいです。この連休、昼間は青空も見えたりして雨も降ってないので天気がそこまで悪かった印象はないのですが、全然星は見えませんでした。最初はこの記事のタイトルを「4連休の星活」としてたのですが、ほとんど星活してないのでタイトルを上のものに変更したくらいです。

星的には冴えない連休でしたが、あんとんシュガーさんがきてくれてとても楽しかったです。コロナ禍で自宅にあまりお客さんも来てなかったので、部屋をきれいにするいい機会にもなりました。いつか一緒に撮影とかしたいです。あんとんシュガーさん、今後ともよろしくお願いいたします。


昨日は夕方まで快晴。赤道儀を出して夕食をとってさあ撮影だと張り切って外に出たら一面のドン曇り。ポツリときそうなので急遽セットした赤道儀他を全て撤去。それでブログ書いていたのですが、書き終えて外に出ると、またもや全面快晴。しかもかなり透明度がいい!悔しかったのですが、SCWを見ると夜中遅くから曇ってきそうなと、やる気も萎えてきてたので、撮影は諦め簡単な電視観望としました。

やったことは前回のX5での続きです。レンズをEF 55-200/4.5-5.6 II USMという、おそらくキットクラスのズームレンズだと思いますが、こちらに変更しました。目的は、前回はオリオン座大青雲を見たので、今回はもう少し淡い星雲を見てみようと思ったこと。さらに今回は最初からQPDをつけて、Hα領域がどう改善されるかも見たかったのです。でもこれが結構意外な印象を生むことに。

まずは55mmで北アメリカ付近。QPDありです。20秒x7のスタックで2分20秒です。

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次がCBPです、少しだけ拡大率を上げているので大きく見えます。20秒x6のスタックで2分ちょうどです。

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QBP、CBP共にHαも出てますが、なんて言うのでしょうか、なんかインパクトが小さいのです。赤が出たと言うよりは、全体が暗くなったという印象の方が強いのです。ではフィルターなしの画像はと言うと、

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どうでしょうか?実際にはこちらのほうがノイズは多いです。でも賑やかで、カラフルな気がしませんか?特に暗黒帯周りとかも、はっきりさではフィルター有りの方がいい気もしますが、リアルっぽさではフィルター無しの方がいい気がします。

これ、どう評価すればいいかかなり迷いました。どれも北アメリカ星雲としては一応は十分認識できるので、まあ悪くはありません。でも実際にPCの画面を見ていると、どれも淡いのです。多分ここで見せているiPhoneで撮影したのよりは実際の方が淡い印象を持つでしょう。

ここからは感覚的な評価になってしまって申し訳ないのですが、原因は根本的に暗いところで戦っているからなのかと思います。

暗いレンズを使って、そこまで感度の良くない昔のセンサーを使っているので、そもそも明るくないです。そこそこの露光時間分スタックしてやっと模様が出くる感じです。なので、フィルターを入れるとさらに暗くなってしまい、背景も暗ければ、赤も暗い。

光害カットフィルターを入れても例えばHα自身が増えるわけでもなんでもありません。周りが減るので目立って見えるようになるだけです。本質的にHαを増やすためには露光時間を増やす必要があります。単純にいうと、このセットアップではまだ露光時間が足りないのではないかと。

次のレンズを200mmの焦点距離にズームした同領域を見てみます。F4.5からF5.6になっているのでさらに暗い状況です。フィルターはなしです。露光時間は20秒で同じ、5枚スタックで合計100秒です。

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見えているのですが、やっぱり淡いんです。

以前ASI294MCとNIKKOR50mmで広角の電視観望を試した時はF1.4。(5.6/1.4)^2=16なので、同じ時間なら16倍の明るさで見ていたことになります。105mmのPENTAX 6x7レンズの時はF2.4なので、それでも(5.6/2.4)^2=4なので5.4倍の明るさでした。

やはり根本的に暗いのでは。その分露光時間を伸ばしてますが、20秒の露光時間はF1.4だとわずか1.25秒の露光時間に相当します。

NIKKORの50mm F1.4レンズはかなり昔のものだと1万円以下で手に入ります。私も5-6千円くらいで手に入れました。収差など目立ちますが、今なら安価なので初心者でも手が出ると思います。今一度明るいレンズを使って、もう少しだけ試してみたいと思います。








SharpCapの一眼レフの対応にあたって、これまでEOS 6Dで試してきましたが、今回残りの手持ちの機種でもテストしてみました。

 



手持ちの一眼レフカメラの接続テスト

前回電視観望まで試したEOS 6D以外にはEOS kiss X5とEOS kiss X7とEOS 60Dがあります。



X7はノーマルですが、娘のものなのでとりあえず手を出さないようにしておいて、X5と60Dを試すことにします。この2機種は天体改造済みのもの。なので接続テスト後は赤外の星雲とか見てみるのも面白いはずです。

先週末の金曜の夜、時間が少しあったのでその2機種のテストをしました。60Dはそのまま問題なく繋がり、X5の方も最初つながらないと思ったのですが、単なるミスで、手順さえ間違えなければそのまま順調に動きました。ちなみにミスというのは、
  • 最初動画モードでやっていてエラーが出た(でもそのあとさらに動画モードで試したら動いたので、この時点でバッテリーがギリギリだったのかも)。
  • バッテリーが空だった。
  • バッテリーを変えて、1枚だけ撮れたが、また動かなくなった。と思ったら変えたバッテリーも空だった。
  • 接続ケーブルのコネクタがゆるゆるで、いつのまにか抜けていた。
と、簡単なことばかりです。でも古い機種とかいう先入観があるとダメですね。「あー、やっぱり動かないんだな」と思ってしまいます。皆さんはくれぐれも私のような間抜けなミスは避けてください。


安価な電視観望入門セットアップの可能性

60DとX5の両方ともが動いたのと、夜になって天気も良くなってきたので、外でどう映るかのテストをしてみます。どちらにしようか迷いましたが、より安価で使える方をと思い、X5で試すことにしました。

レンズはキタムラかどこかで中古で数千円で手に入れた、キットレンズクラスのEF 28-80mm  F3.5-5.6で、昔一度三脚ごと倒れて壊れたやつです。CANON CAMERA MUSEUMに1991年発売で、定価42000円とあるので、付属レンズではなかったのかもしれません。これを80mm側で使います。なのでF5.6でそこそこ暗いです。

ちなみに、当時のX5のレンズキットにはEF-S18-55 IS IIがついてきたそうです。ダブルズームキットだとEF-S55-250mm F4-5.6 IS IIなので、電視観望には後者の方が焦点距離的にはいいかもしれません。中古だと、本体だけだと1万円台前半から後半、レンズキットで2万円代前半でした。もしこのテストがうまくいくなら、これくらいの値段からなら始めたいという人がいるかもしれません。

全くの初心者、
もしくは一眼レフカメラだけを持っている人が
電視観望に挑戦した場合、どんなことができるのか?

という可能性を示せればと思っています。いかに電視観望に対する敷居を下げるのかというのも目標としたいところなので、できるだけ安価にすむというのは大きなファクターの一つです。

以前も格安電視観望について記事を書いたことがありますが、電視観望をする際、一番高価になるなのがCMOSカメラなのです。安価なCMOSカメラはセンサー面積が小さく導入が難しくなり、その一方、十分な面積のセンサーを持つCMOSカメラはかなり高価で、そのことが初心者に対する敷居を上げてしまっています。

中古市場ではもうかなり安価なX5でもAPS-Cサイズで、電視観望で主流のマイクロフォーサーズサイズのASI294MCより既に大きいのです。でも値段だけで考えたら5分の1から10分の1とかでしょうか。これはうまくいったら相当インパクトがありそうです。


EOS X5による電視観望テスト

とりえずテストの結果を見てみましょう。まずはファーストライト。雲がある時のオリオン座付近です。全景が見えるようにZoomが25%です。20秒露光で4枚スタックなので、80秒ぶんです。

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ノイズも多少ありますが、意外に悪くなさそう。

雲がなくなった時に少しだけ拡大(33%)。同じく20秒露光で4枚スタック、80秒ぶんです。

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馬頭星雲とかも一応出てますね。

さらにM42部分を拡大。20秒が5枚です。

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うーん、ノイズはまだ多いですが、写りはそんなに悪くないですね。高々80mmのレンズで、M42部分をかなり拡大していることになるのですが、恒星がそこまで肥大していないです。レンズ枚数が少ないのか?F5.6で暗いから収差も小さいのか?これなら観望会で見せることも許容範囲かと思います。

X5のセンサーはAPS-Cの22.3×14.9mmで5184×3456ドット。ここから計算すると1ピクセル4.3μmで、ASI294MCのピクセルサイズとほぼ同じサイズです。感度はほぼほぼ1ピクセルのサイズに比例するので、ASI294MCクラスが格安で買えると考えると、かなりお得かもしれません。

一方、馬頭星雲と燃える木をみると、もう少し赤の感度が欲しいかなというところです。

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これで20秒x6枚です。一応天体改造済みでこれなので、センサーの感度そのものはASI294MCに比べるとやはりもう少しといったところなのでしょうか。今回使ったのがF5.6と結構暗いレンズなので、レンズを明るいものに変えることでまだまだ改善はするはずです。さらにQPBとかの光害フィルターもつけていないので、その分も改善するかもしれません。

もう一つ、M31アンドロメダ銀河です。これで20秒x5枚、計100秒です。

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ちょっとノイジーですが、何とか構造も見えかています。ここらへんまで見えるなら、十分楽しめるのではないかと思います。

視野が回転し始めてるがわかるくらいまで、5分くらいまでスタックしたのが下の画像です。ノイズがまだノイズが大きいですね。スタックでのノイズ軽減があまり効果的に見えません。でも今回はダーク補正もしていないので、次の課題はここらへんのノイズの緩和とかでしょう。

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最後はM42すばるの20x13=4分20秒スタック。これも回転が見え始めています。青い分子雲がわずかに見えかています。CBPとか試すと面白いかもしれません。

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この日の環境

ちなみにですが、この日は月齢23日で、下弦からもう少し欠けた位の、まだまだ明るい月夜です。場所も自宅の庭からで、光害フィルターも無しです。普通に考えたら星雲や銀河を見るような状況ではないにもかかわらず、ここまで見えているのは随分と頑張っているのではないでしょうか。環境がいい状態で試すとまだまだ改善しそうです。

今回使ったものは一眼レフカメラの中でも入門クラスで、レンズもキットレンズクラス。それも結構昔のもので中古市場では値段もかなりこなれています。少なくとも、CMOSカメラしか選択肢がなかった状況から、中古の一眼レフカメラまで範疇に入ってくるとなると、はるかに可能性が開けると思います。


電視観望と撮影の境界

実はこのテストをしている時に、結構いろいろ考えさせられました。果たして電視観望と撮影の境界はどこだろうというものです。一眼レフカメラを使って、15秒とか20秒とかの露光で連続してシャッターを切るのは、もう撮影ではないのか?という疑問を持つ方も多いと思います。リアルタイム性として考えると、少なくとも動画のようになるわけではありません。

私自身は、それでもまだはっきりとした境界が存在すると考えています。特に今回のテストを通してよりはっきり自覚できるようになりました。

大枠での定義は、目的の天体がモニターなどを通して「観望しているその場で」十分に見えているなら、それは電視観望と言っていいのでは。もし、その場で十分に見えなくて、「後の画像処理」をして初めて十分に見えるようになるのなら、それは電視観望というよりは撮影という範疇に入るのではということです。

例えば、
  • 今回使ったX5とレンズだけで、赤道儀に載せて10秒の露光をして、カメラ付属のモニターに出してみるだけだと、おそらく「後の画像処理」がなければ十分天体が見えることにならないと思うので、これは電視観望ではないと思います。
  • 一方、HUQさんが最初にやったように、α7Sで1/4秒露光で動画モードでHDMI出力してその場で十分見えるようにしている場合は、十分電視観望と言えるでしょう。
  • 例えば、暗い空でX5で1分くらいと十分露光して、目的とする天体が十分出ていて、それをその場で楽しむというのなら、これはリアルタイム性は薄いけれども電視観望と言ってしまってもいいのかと思います。
どれくらいの露光時間かではなかなか定義はできないので、その場で楽しめるかどうかというところがポイントになるのかと考えるようになってきました。 


電視観望を可能にする重要な技術

電視観望の技術の中で、いくつか非常に重要なものがあります。例えばSharpCapのヒストグラムでのオートストレッチボタンや、ストレッチ関数と呼ばれる中間値と黒レベルを利用した、リアルタイムでの簡易画像処理です。これは「その場で天体を楽しむ」ということに大きく貢献しています。

また、LiveStackも電視観望の重要な技術だと思います。もっと具体的に言うと、単に画像をその場で重ね合わせるだけでなく、また画面の平行移動や回転だけで星を合わせるだけでもなく、LiveStack時に星の位置をきちんと認識して画面を歪ませて星を合わせていく技術です。PixInsightやSequatorなどでは後の処理で同様の画面を歪ませての位置合わせはできます。でもその場で毎回やるわけにはいかないので、電視観望のツールにはなり得ません。こういった高度な処理をリアルタイムで行うことで、星像を肥大させずにスタックし、ノイズを減らしていくことができます。さらに言うと、この技術を用いると赤道儀も必要とせず、たとえ経緯台で視野が回転してもきちんと星の位置が合うということです。もっと言うと、ある程度広角にして、見ている間に天体が画面から逃げていかなければ、経緯台さえも必要とせず、固定の三脚だけで星像の肥大を避けスタックしていくことができます。

このような高度な技術はいまのところ私が知る限り、PC上ではSharpCapとASIStudioのみ。私はまだ使っていないですがASIAIRも同様の機能を持っているはずです。最近ではeVscopeも同等の機能を持っているのかもしれません?他には、電視観望用のハードウェアのRevolution Imagerがありますが、こちらはスタック機能は持っていますが、スタック回数を何回かに制限しているだけで、星像を合わせてスタックするような機能は持っていません。

リアルタイムで画像処理に近いような事をして、その場で天体をあぶり出す事でより楽しめるようになり、そう言った意味ではSharpCapは電視観望という分野を切り開いた秀逸なソフトと言うことができるでしょう。

こういった高度な機能はあればもちろんいいのでしょうが、たとえそんな機能がなくても、その場でモニターとかに写して天体がみんなと共有で楽しめたりするならば、もう電視観望の一種と言ってしまっていいのかと思います。これから先、さらに技術が発達して、その場で楽しむことはより簡単になり、手法もどんどん広がっていくことでしょう。電視観望の概念も柔軟に変化していけばいいのかと思います。


まとめ

今回のEOS X5は、元々中古で安価で手に入れたたものです。SharpCapが一眼レフカメラを扱えるようになったことで、使う機会が少なくなってきた中古のカメラに、また一つ大きな可能性が開かれようとしています。

本来SharpCapと一眼レフカメラを繋ぐというのは、撮影時の取り扱いを便利にするというが元々の目的だと思います。それだけではなく、LiveViewモードを明示的に分けて実装してくれるなど、EAA(電視観望)用途として考えると、今回のアップデートは相当なエポックメーキングなのかと思います。

現在はテスト段階なので、本当に初心者が触るとなるとまだ敷居が高くて不安定なところもあります。でもこれは今度どんどん改良されていくことでしょう。このブログも、興味を持った人たちができるだけスムーズに楽しめるように、説明やサポートなどで貢献できていければと思っています。

手持ちのカメラや、安価な中古の一眼レフカメラを利用するなどで、電視観望の敷居が下がり、天文人口の裾野が広がってくれればと思っています。







昨晩は本当に久しぶりのごくごく普通の観望会で盛り上がりました。飛騨コスモスの月例の観望会です。

先月もペルセウス流星群で観望会はあったのですが、これは特別行事に相当します。天気もあいにくで、ほぼ解散してからやっと星が見え始めたくらいで、残っていた一般参加の方は1組のみ。今回は定例の観望会で、お客さんもたくさん来てくれて、普通に見えるものを見ます。天気も最初はそこまで良くはなかったですが、惑星とかはちょくちょく見え、最後は全面晴れ渡り、結局大盛り上がりでとても楽しい観望会となりました。調子に乗って書いてしまったので、また長い記事となってしまいました。もしよろしければ、昨晩の様子にお付き合いください。


いざ出発

夕方荷物を車一杯に積み込み、一人で出発。最近は子供は全然付いてくる気はないみたいです。なので機材は後部座席も助手席にもたくさん入ります。富山を出る時点ではそこまで晴れてなかったですが、それでも雲間から青空がまだ見えていました。なので機材の選定は微妙です。とりあえず惑星がメインになりそうなので、口径20cmで比較的軽量なC8、電視観望セット一式。あと迷ったのですが、子供用にSCOPETECHを最後に押し込みました。でもこれが大活躍。子供たちがくるような普通の観望会では、こういった自由に触れる望遠鏡は意外なほど好評です。

途中コンビニに寄り、夕食を買って運転しながらのおにぎりだけの簡易ディナー。天気も富山から出た時より悪くなっています。現場に着いたのは18時半頃でしょうか。国道から天文台へ行く脇道に入る時に、対向車線からちょうど車が来て同じ方向に行くようでした。先に行ってもらったのですが、ゆっくりと途中何ヶ所かの曲がり角を確かめながら進んでいるようでした。やはり観望会のお客さんで、年配の女性の方。今日初めてだそうです。


最初のお客さん

すでに木星が出ていたので「あれが木星ですよ」と伝えました。自分で双眼鏡を持ってきたらしくて見始めていましたが、なんと30年以上の昔の大きな双眼鏡で、倍率が25倍!メーカーも聞いたことないようなものなので、私が以前星まつりで手に入れた双眼鏡のような国内の小さな光学メーカーが作ったものの一つかと思います。

問題はその倍率で「わー、線が見える!」とか言っていたので、「え、木星の縞が見えるの?すごい!」と一瞬思ったのですが、双眼鏡をお借りしてみたら納得。手ぶれで木星が大きく揺れてしまうのが線になって見えてしまうのです。「さすがに25倍は手持ちでは難しいです。三脚がいりますよ」とか説明して、その間にSCOPETECHを用意して木星を見てもらうと「止まって見える!」と喜んでもらえました。

でもびっくりしたのはそこからで、衛星が見えるのはもちろん、木星の縞も余裕で見えるし、空を見上げて「木星の横の星は?」とか言うのですが、私にはまだ全然見えてません。もちろんそれは土星だったのですが、聞いたら視力2.0とのこと。そりゃよく見えるはずです。老眼だそうですが、ちょっと羨ましいくらいでした。


皆さん続々と集合

それからスタッフも、お客さんも続々と集まってきました。今回あまり確認できていませんが、お客さんだけで全部で7-8組くらいは来ていたと思います。ほとんど飛騨市や高山市の地元の人ばかりでした。多分私が富山からで一番遠いくらいです。スタッフも合わせたら20人くらいはいたと思います。
  • 上に書いた、一番乗りで私とほぼ同じ時間から来てくれた年配の女性の方。参加は初めてですが、実はスタッフと知り合いの方でした。しかも、昨年亡くなられたこの飛騨コスモス天文台の設立者のYさんが計画していた山歩きとかには、何度か参加してたそうです。
  • 子供を連れてきている家族が3組くらい。子供は小1の女の子が一人、小5の男の子が一人、あともう一人いました。やっぱり子供がいると観望会っぽくなっていいです。
  • 他にもカメラが趣味で、撮影どうですか?と勧めたら自前の6Dで撮影を始めたカップル。
  • あまりお話できなかったですが、双眼鏡を持ってきているご夫婦。 
  • 他にもいたと思いますが、暗くて把握しきれませんでした。

最初は雲間の惑星から

到着直後はまだ晴れ間が見えてたのですが、その後はすぐにずーっと雲がほぼ全面にいきわたって、ごく切れ間から明るい惑星が時折り見えるくらいです。でも雨が降るような雲でもなさそうだったので、機材の準備は進めることにしました。最初SCOPETECHで20mmのアイピースで小さな木星と土星を見てもらって、そのうち準備のできたC8で見てもらいました。まず比較で木星を見てもらうと、C8での明るさと、大きく細かく見えるその姿にみんな「わーっ!」と声をあげます。「衛星が3つ見えた!」「いや4つある!」「右に3つあるでしょ!」「2つしかないよ!」など、感想も様々です。さらに土星を入れるとその輪っかの美しさに皆さん簡単の声をあげます。一番最初に来た方の「あー、あの腰巻きがあるやつね」という独特の表現にはちょっとびっくりしましたが。

この日は気流が安定していたのでしょう。C8ではカッシーニの間隙もかなりはっきり見えていて、来ていた方達に「輪っかの中に黒いすきまがあるのわかりますか?」と聞くと、ほぼ全員がよく見えたようです。本当は惑星が揺れるのを見てもらって、大気の揺れのことを説明したかったのですが、その揺れが眼視ではわからないほど安定でした。

小1の女の子の食いつきがものすごかったです。木星も土星も、とにかくもう興味津々。一瞬天頂に夏の大三角が見えた時には、ずーっと説明してくれてました。わし座のアルタイルが出てこなくて、助け舟で「わ、わ、わ、、、、わし、わし、わし、、、」と言うと、「あ、わし座!」。「ア、ア、ア、、、、アル、アル、アル、」とヒントを出すと「あ、アルタイル!」とか反応がすごく可愛かったです。「星が大好きなんだよ!」とか言ってくれて、将来が楽しみな女の子です。

その後、所々晴れる場所も出てきて、上り始めたばかり火星を見てもらって「あー赤い!ぼやけてる!」と感想が。高度が低くて、グランドののフェンス越しなので仕方ないです。

たまたまれた晴れた天頂付近で、アルビレオを入れて見てもらったら「わーっ、綺麗!」「赤と青」「オレンジに見える」「あー、トパーズ色かぁ!」とか、皆さんそれぞれの色を楽しんでくれたみたいです。

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途中、シートで寝っ転がって見ている人も。地面が暖かくて気持ちいんですよね。眠くなってしまいそうです。


撮影に興味がありそうな人も

お客さんの中に星にすごく興味がありそうな若いカップルの方がいました。入門用のSCOPETECHを覗いて土星とかもよく見えるのに驚いて「これ幾らくらいなのですか?」と聞かれました。特価でゴニョゴニョ千円」くらいですと答えます。「わー、それだったら欲しい!撮影とかもできますか?」となんか写す方に興味がありそうです。よくよく聞いてみると、カメラ好きで星の撮影もしたいとのこと。しかもフルサイズというので「え、機種は?」と聞いてみるとなんとEOS 6D。どうも星を写すことも考えて、あえて感度の良い6Dにしたみたいです。「レンズは?」と聞いてみるとTamronの45mm F1.8。星景なら十分です。しかもこの日も持ってきてるというので「じゃあ、撮影してみませんか?」ということで、まだ雲が多かったですが雲間の星を狙って急遽撮影開始。

これまでも星は撮ったことはあるようでしたが、そこまで本格的に撮っていたわけではないようです。最初「ISO100でも写ります」とか言って撮影してくれたのですが、さすがにF1.8でもISO100では恒星は写ることは写りますが、暗すぎます。「じゃあ、ISO1600で10秒とか20秒で撮影してみてください。」とか言うと「ずいぶん明るくするんですね」とのことです。さらに、温度が高すぎてかなり赤によっているので「温度を下げてください。夜空のイメージが欲しかったら3500度くらいまで下げてもいいですよ。」とアドバイスを。きちんとRAWで撮っているので後からどうとでもなりますが、他の一般の人にお見てもらえたらと思い、少し青目にしてもらいました。何枚か写してもらい、さらには南西方向に少し雲の切れ間があったので、そこを写してもらうと雲越しの天の川もバッチリ。

途中アンドロメダ方向を撮ってくれて、M31が写っていたので、これはいいと他の方にも見てもらうことに。わーっと人が集まってきました。もしかしたら、こうやって見てもらう楽しみも味わってもらえたかもしれません。

200mmくらいの明るいレンズも持ってるとのこと。星雲とか、銀河とか、惑星とかの対象によってレンズもしくは鏡筒が変わること、赤道儀もそのうち必要になるかも、星景写真だったら三脚だけでもしばらく大丈夫なこととか話して、わからなかったまた連絡して下さいと伝えておきました。


SCOPETECHが大活躍

この日一番活躍したのはSCOPETECHでしょう。星を始めた年の原村の星まつりでSCOPETECHブースで手に入れた特価品ですが、意外なほどよく見えるのと、秀逸な二つ穴のファインダー、軽量、手に入れた値段から気軽に扱えることなどで、基本的に子供用に解放して自由に使ってもらっています。時には天頂プリズムに付いたアイピースを、まるで何かのレバーのようにレンズのところに親指を押し当てる子もいたりしますが、そんなことを気にするようではまだまだです。今回も、微動ハンドルがすっぽ抜けて「壊れたー」とか騒いでいましたが、それも経験です。

最初に夢中になったのは、なぜかスタッフのSさん(だったと思います。暗くて見えてなくてすみません)。これまで怖くて操作したことがなかったらしいので、今回は木星から挑戦です。最初なかなかうまくいかなかったのですが、少し離れて鏡筒がまず大まかに木星に向いているかどうか、縦と横から見ること。例えば今回の場合、横方向はいいけど、縦方向が大きくずれていることを理解してもらいました。その後、二つ穴ファインダー、見にくかったらファインダーを使うこと。ファインダーは片目で見てもいいけど、両目で見ると入れやすいこととか説明して、しばらく触ってもらいました。最後、とうとう自分で入れることができたようで、すごく喜んでくれ、もう大はしゃぎでした。ここら辺は子供も大人も変わりありませんね。自分で初めて導入して見た天体は、言うまでもなく格別でしょう。

次に夢中になったのは小5の男の子。お母さんは少し心配そうにしてましたが、「もう遠慮なく、壊す気で触ってもらって構いません。」と伝え、思う存分いじってもらいました。子供は目がいいので、2つ穴ファインダーの方が楽みたいです。粗動と微動の違いを伝え、しばらく触ってもらって土星を入れることができ、もう大喜びでした。最初のうちこそ2つ穴ファインダーでさえもかなり苦労してましたが、すぐに慣れ、さらには木星も入れることができてました。面白かったのは「火星入れていいですか?」とわざわざ離れたところにいる私に聞きにくるのです。「もちろんです。聞きにくる必要なんてないですよ、自由にやってください。」と伝えると、あとは色々自分で試していたみたいです。途中、よほど嬉しかったのか、成果を見てもらいたかったのか、「火星うまく入れることができたので見にきてください」とお誘いが。見てみると、えらい大きく見えています。ピントがずれていたのですが、今の火星はずれていても模様のようなものが見えるので、大きい方がよく見えるように思ってしまったのでしょう。


突如、少年期の記憶が

と、これを見て突然小さい頃の記憶が蘇ってきました。多分小学校低学年のころ、父親が買ってきてくれた望遠鏡、KENKOの屈折だったと思うのですが、それで木星を見たときのことです。「縞が見えた」と喜んでいたのですが、今思うと多分収差を縞と勘違いしたのです。その時の像が突然頭に蘇ってきて、この時も大きな像でピントがずれていて、たぶん今回見た火星のようにそれを正しい木星だと思ってしまったのです。「あー、やっぱり同じことするんだ」と、多分40年くらいしてやっと当時の謎、私の中の数少ない少年期の星の記憶が一つ蘇ったのでした。

SCOPETECHでピントを合わせてあげると「こんな小さいんだ」とびっくりしていたようでした。それではと、上ってきた火星をC8で見てもらうと模様も見えるくらいはっきりとしていました。


終盤に近づき

もう終盤に近づいたころ、何人かの女性グループでM31アンドロメダ銀河探索が始まりました。前回のYさんの命日の時もそうでしたが、星座ビノを使って見るのです。「あ、見えた!」とか「どうしても見えん!」とか、もうわーわーキャーキャー大騒ぎです。

そのうち場所がわかってくると「肉眼でも見える!」とか言い出し、7倍の双眼鏡で見てもらうと「わーはっきりわかる!」とか、本当に楽しそうです。最後は皆さん、アンドロメダ銀河の位置はバッチリわかっったようで、大満足みたいでした。

途中、「アンドロメダ銀河を望遠鏡で見たい」と言うリクエストがあったのですが、多分大きく見え過ぎるので「双眼鏡くらいが楽しいですよ」と伝えておきました。これは後にM42プレアデス星団(すばる)をSCOPETECHで入れた時に理解してくれたみたいです。実際にすでにアイピースにすばるは入っているのに、どこだか分からないようなのです。対象が大きいので少し周りからみないとわからないんですね。「アンドロメダ銀河も同じ理由です。スバルはまだ明るいけど、銀河は暗いので中心だけがぼーっとして見えるくらいです。」とか言ったら妙に納得してくれてました。でも実際見てもらったほうがよかったのかもしれません。ただ、経緯台でマニュアル導入なので、ちょっと敷居が高いんですよね。でもいい訓練かも。次回挑戦してもらいましょう。

あ、今回電視観望は(珍しく)使いませんでした。正確にいうと、ほんの一瞬だけ6DとSharpCapではくちょう座辺りを見たのですが、網状星雲が1ー2ショット映って、すぐに雲に隠れたりとかで、今回は出番無しでした。

22時に差し掛かるくらいでしょうか、お客さんもぽちぽち帰り始め、だんだん人が少なくなってきた頃です。全面が晴れてきて、天の川が南西から北東に大きく架かるのが見えました。下手なところに行くよりも、天の川を見るならここは気軽に来ることができ、安全で、トイレもあり、充分暗くて、とてもいい場所です。

しかもここはなぜか私にはとても相性がいい場所で、どんなにダメそうな日でも、たとえ雨が降っていても、必ず途中から晴れて星に巡り合える、今のところ空振りは0の不思議な場所です。この日も短時間でしたが天の川まで見ることが出きて、最後まで残ってくれたお客さんたちは大満足なようでした。

あ、大満足で思い出しました。この日流れ星が結構多かったです。主にカシオペア方向でしょうか、21時過ぎくらいから22時過ぎくらいまで、大きなものも含めて多分10個以上は流れたと思います。流れ星を初めて見た人もいて、すごく喜んでくれていました。私は残念ながらかすみ程度のを一つ見ただけです。


あー、楽しかった

私自身も久しぶりの至極真っ当な観望会で、しかも惑星、アルビレオ、天の川、流れ星とフルコース。SCOPETECHも大活躍。電視観望こそありませんでしたが、大満足でした。

来月は私は行くことができませんが、一ヶ月たつと2時間ぶん空が進んでいます。この日の21時に見えた空が、来月は19時に見えることになります。火星もすばるも最初から見えていることでしょう。来月も楽しんでもらえたらと思います。

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