もしかしたら興味がある人もいるかと思い、縞ノイズを時間的に可視化してみました。先のバラ星雲の1日目のディザーなしで撮影した失敗画像約2時間ぶんの24枚を使っています。中心あたりの一部を拡大して見ています。といってもやったことは簡単で、ディザーなしで撮影した画像を、PixInsightで動画にしただけです。
これはガイドをしていても、たわみなどでガイド鏡と撮影鏡筒の相対的な視野が一方向にずれてしまうために起きます。それでももしノイズが完全にランダムなら、このように流れるようには見えないはずです。ノイズが流れて見えるということは、ノイズに時間的なコヒーレンスがあるということです。うーん、結構ありますね。あれだけの縞ノイズになるのもわかる気がします。
さて、この動画の作り方です。今回縞ノイズを時間的にみる目的でしたが、このやり方覚えておくと色々応用が効きそうです。基本的に、PixInsightを使います。
- 普通にBatchPreprocessing 処理などで進めます。
- master以下のregsteredフォルダに入っている、位置合わせまで終わって、Integrationする寸前のファイルを使います。ここまでは普通にDebayerしてStarAlignmentでも構いません。
- Blinkでそれらのファイルを開きます。
- とりあえずは、デフォルト機能の再生ボタン(右三角)を押すと確認できますが、順に動画のようになるように見せるだけです。オートストレッチもできるのでみやすくなります。カラーバランスが悪い場合は、RGBのリンクをオン/オフする「鎖マーク」のアイコンを押してください。
- Previewで一部を切り取るとその部分だけ拡大して見えます。
- それをBlink画面の右下の一番右端の撮影開始マークアイコンで動画にします。
- ffmpegがない場合は別途インストールしてください。
- ffmpegがインストールされていても、実行ファイルをフルパスで入れないとダメでした。/usr/local/bin/ffmpegとかいうことです。
- オプションは秒20コマのgifファイルにしたかったので、 -y -r 20 -i Blink%05d.png Blink.gifとしました。
もう一つ例です。TSA-120でM42を撮影した時のものです。約30分くらいの撮影時間で、枚数は14枚です。これはディザーもそうですが、ガイドさえもしてないので赤道儀の極軸の精度が悪くてずれていってしまっているものです。上のバラ星雲のように画像の一部ではなくて、ほぼ全体像を示しています。解像度はこのブログにアップできるように(一画像当たり5MBが制限)落としてあります。
縞ノイズの原因となるクールノイズなどに混ざって、おそらくバイアスノイズに相当する縦線のように見えるノイズも流れていることがわかります。基本的にランダムでないノイズは、全て縞ノイズになり得るだろうことがわかります。
これを普通にスタックすると下のように縞ノイズが盛大に出てくるわけです。
バラ星雲のもそうですが、時間的にこれだけ明らかに変化しているのがわかるのなら、なんとか分離してペラっと一枚皮を剥ぐようにこのノイズだけ取れないですかね?