私にとっては「星と自然のフェスタ」で一番のメインとなる、電視観望の講演と実演についてです。講演に来てくださった皆さま、どうもありがとうございました。講演では立ち見もたくさんいて、夜の実演と合わせて大盛況で、大成功だったと思います。今回の記事は、発表する側の立場でどんな思いで講演や実演に臨んだのかという内容になります。
実はこの日は朝からメイン会場を回っていてもなかなか落ち着かなくて、一番楽しみなはずの特価品あさりも思ったより進みません。フリーマーケットで何も買わなかったと前回の記事で書きましたが、理由の一つが講演のことが結構頭から離れなくて、じっくり見ることができなかったというのがあります。でも、そんなことを吹っ飛ばすくらい今回の講演は充実していて価値があったのかなと思っています。
本当はタカハシの講演を聞きたかったのですが、その頃が準備で一番テンパってて、泣く泣くあきらめました。次の野鳥の話の時にはだいたい準備も終わり、スコープテックさんの講演を聞くことができるくらいになりました。座席について話を聞きながら自分の講演の最終調整をしようとPCを取り出したら、なんと予備のPC!やはり焦っていたんでしょうか、いつすり替わったのかは定かではないですが、当然講演ファイルは(古いバージョンしか)入っていません。再び部屋までPCを取りに。そんなこんなで、スコープテックさんの公演スタートに少し遅れてしまいました。ちょうど部屋に入る時に、原村でお会いしたマリーチさんが入りにくそうにしているので「気にすることないですよ」と言って、一緒に講演部屋に入りました。
スコープテックさんのお話は、フリーストップの片持ち経緯台ZEROの開発についての話で、是非とも聞いておきたい講演でした。実際ものすごく面白かったです。新製品の開発がいかに大変だということがよくわかります。まず理想があって、限られた予算の中でできるだけのことを詰め込んで、試作をして、量産品を作って、マニュアルなども整備する。なかなか一筋縄ではいかないことは容易に想像できます。ユーザーのためを考えて、かなり思いを込めて作った商品だということが十分に伝わってきました。コンパクトに折りたためて、かつ揺れないというのは非常に魅力的です。
特に、振動の減衰の様子をビデオで見せていたのですが、片持ちなのに相当早く揺れが収まります。これなら見ていても不満は感じないと思います。将来的にはエンコーダーなどを取り付けることができるように、各所にネジ穴などを空けてあるそうです。息の長い製品になりそうで、経緯台の決定版になるかもしれません。
後から実際にZEROを会場で改めて見たのですが、振動特性は申し分なく、三脚を揺すった時の振動とほぼ同等レベルの印象で、とてもバランスよく作り込んでいると思います。かなり頑丈に設計してあるようで、共振周波数も高めで変な励起などはなさそうです。鏡筒を覗きながら視野を動かしたりしてみますが、ほとんど揺れが気になりません。
間も無く量産に入るそうですが、こういった熱意のこもった製品を開発するメーカーには、絶対に生き残ってほしいと思います。
さて、スコープテックさんの講演の後はいよいよ我々の番です。開始時間は15時30分からなのですが、10分位前の時点でも既に下の写真くらいの人がいました。実際スコープテックさんの講演が終わった後もほとんど出て行く人がいなくて、さらに新たな人たちが入ってきたような状況で、立ち見の方もかなりいたようです。
この人数を見るだけでも、電視観望についての関心がかなり高いことが実感できます。今回は電視観望について、KYOEIさんと合同で話すわけですが、二人で30分とそれほど長いわけではないなので、できるだけスムーズに話す必要があります。前半はKYOEIさん、後半は私です。
さて、時間になり早速KYOEIさんのお話が始まります。
内容は電視観望とはどんなものかということから、「楽しい」をコンセプトに、観望会で電視観望がどのように使われるのか、実際の見え具合を交えてわかりやすく話してくれました。もちろんKYOEIさんはお店なので、どんな機材が良いかという紹介もしれくれます。初心者だと機材選びも大変なので、購入に際してもいろいろ相談に乗ってもらえるのかと思います。鏡筒はRASA、RedCat、カメラはASI294MCとRevolution Imager、制御とソフトはASIAirとSharpCapなど、入門からハイエンドまで幅広いラインナップを紹介していました。電視観望だけでなく、ついでに撮影までできるという紹介の仕方は私の視点にはなかったので、こういったアプローチ方法もあるんだと参考になりました。
メイン会場のKYOEIブースの前にはRASAとASI294MC Proの組み合わせで機材を見ることができ、夜にはRASAとASIAirで電視観望の実演もしていました。
KYOEIさんの話はすごくわかりやすくて作例も多いのですが、すでに制限時間30分のうちの15分が過ぎていて、まだ終わりそうにありません。「あ、これはオーバーしそうだ」と思い、土壇場で自分のスライドの数を少し減らしました。結局ほぼ20分で前半が終了。残りの時間は約10分です。最終的に用意したスライドは16枚。時間は厳しかったですが、それでも前半で基本的な概念をわかりやすく説明してくれていたので、私は少し凝った話をすることができました。
タイトルは「なぜ小口径6cmの鏡筒で電視観望が成り立つのか?」です。いつも電視観望で使っているFS-60QをAZ-GTiに載せた機材も横に置いて話しました。丸ごと片手で持てるくらいコンパクトな機材です。
トークのはじめの方で、電視観望を実際にやっている、もしくは試したことがある方に手を挙げてもらったのですが、半分くらいは挙がったでしょうか。思ったより多い数です。星まつりで知り合った星仲間もたくさんきてくれていました。このブログを読んでくれている方や、Twitterでフォローしてくれている方もたくさんきてくれていたと思います。かなりの人が本気で電視観望に興味があるはずです。
小口径電視観望には必須のSharpCapのパラメータやコツに加え、「なぜ」小口径でも電視観望が成り立つのかという理由のところをできるだけ理解してもらえるように話を進めたつもりです。また、作例では昨晩の実演練習で見たオリオン座と馬頭星雲も早速見せて、小海の地での電視観望の実例を盛り上げるようにしてみました。
講演は10分という短い時間だったので、全部を読み上げるわけにはいかず、主要なところを説明するようにしましたが、言いたいことは十分伝わったのではないかと思います。講演が終わってからも、次の方の講演のギリギリの時間まで、かなりたくさんの方が質問で手を上げてくれました。KYOEIさんと私とで手分けしながら回答をしていましたが、質問される方や聞いている方の反応を見ていると、手応えとしては十分すぎるくらいあったのかと思います。
講演が終わって片付けをしてから外に出ても、何人もの方からさらに色々質問を受けたり、お話ししたりしました。ずっとブログを読んでくれているという方もいました。本当に嬉しい限りで、今回改めて講演やってよかったと、この時実感しました。
講演の最後の方で、この後暗くなってから会場のどこかで電視観望の実演もしますと宣伝しておきました。できるだけ操作とかを実際に見てもらって、わかりにくところなどを色々話しながら解決できたらと思ったわけです。この日は天気予報では夜から晴れるはずだったのですが、暗くなってからもなかなか雲が無くなりません。雲というか、まるで霧の中にいるような感じです。それでも19時すぎくらいからでしょうか、雲の隙間から少しづつ星が見えてきます。早速車から機材を運び、昨晩と同じような場所で電視観望のセッティングを始めました。準備の時から人が集まり始めていたのですが、空はなかなか晴れてくれません。とりあえず曇りの間に試しに見たM57が次の写真です。
さすがに雲が結構ある中なので、どうしてもコントラストが悪くなってしまいます。この後また曇って見えなくなったり、少し見えたりを繰り返しているので、逆にその間に色々状況や手法を解説することができました。そのうち、空が完全に晴れてきたときのM57がこれです。
やはりあからさまにコントラストが違います。このころにはかなりの人が集まってきていて、綺麗な画像が出てくると「オーッ」と声援が上がります。
とにかくみんなでワイワイガヤガヤ、星雲を見ながらいろんな議論が始まります。技術的な話、コンセプト、昼間わかりにくかったところの解説とか、全然時間が足りません。
特にナイトビジョンのAさんの奥様から聞くことができた、初心者から見た電視観望の印象はとても参考になりました。マニアには常識的な星座の名前や星や星雲のことも、初心者にとっては未知のものです。観望会とかではそこに気を使う必要があるようです。例えば、惑星状星雲といっても多分何が何だかわからないので、見えている画面にテキストで名前を入れるとか、天体の解説をテキストで書いて画面に出しておくだけで、さらに興味を引くことができるはずです。そのうちに、別モニターで解説を出しておけばいいとか、いやそれだと明る過ぎて星が楽しめないとか、もう画面を見ながらいろんな話が飛び交うのです。「あー、こんなのが電視観望でやりたかったんだ!なんか幸せだなあと」と実は一人で感慨深くなっていました。
21時過ぎくらいでしょうか、雲が一面を覆ってきたので、私は一旦多機材を片付けました。でも片付け終って先ほどの場所に戻ったら、また少し星が見えてきています。Aさんのナイトビジョンも出ていて、まだまだこれから盛り上がりそうでした。もう一回出すかとも思ったのですが流石にかなり疲れてしまっていたので、とりあえずその場を後にし、温泉に行って少し休憩。露天風呂の中からかなり星が見えたので、風呂上がりにこの日はアイスを5本も食べて、再び先ほどの場所へ。
すぐに目に入ったのが、Aさんと友人で、最近このブログのコメントでやり取りをしているシベットさんが、Revolution Imagerのカメラを使ってSharpCapで電視観望をしているではないですか。アンドロメダ銀河を入れていて見ようとしていました。このカメラはアナログ出力なのですが、LiveStackの機能がカメラについているのが最大の特徴で、他にもカメラ自身に結構な画像処理の機能がついています。シベットさんと一緒にパラメータの絞り込みをしていったのですが、このカメラの画像処理機能が逆に悪さをしているところがあり、とりあえずカメラ側を出来るだけノーマルな出力にして、SharpCapに処理を任せることでかなりマシな像になりました。シベットさんも講演に来てくれて、その後いろいろ一緒にできたのもまた嬉しい経験でした。
次の日も忙しくなりそうなのと、運転のこともあるので、結局0時過ぎくらいに部屋に戻りました。かなり疲れたのですが、ものすごく充実した一日で、非常に心地よい疲れです。講演に続いてその晩に実演と、自分で考えていたことにかなり近いことができました。今回講演に来ていただいた方、実演を見ていただいた方が地元に帰って観望会などで電視観望を試してくれるなら、かなりの数の観望会で電視観望が披露される可能性があります。これは本当に嬉しいことです。
一方、nabeさんのTwitterのコメントでしたでしょうか、「あまり注目されなかった普通の望遠鏡」というような意見がありました。こういった状況はよくありません。私はアイピースでの眼視を否定する気は全くありません。あくまで電視観望も観望会などでの一手法として確立してくれればと思っているだけです。早く電視観望がごくごく一般の方法になって、アイピースでの観望も含めていろんな方法で宇宙を楽しむことができればと思っています。そして、天文人口の裾野が広がって、子供達が宇宙や科学に興味を持ってくれるきっかけになってほしいと心から願っています。
なお、今回の自分の分の講演内容については、スライド内容を別の記事で全部掲載したいと思っています。パッと見ただけだとわかりにくいこと、忘れてしまうことなどもあるかと思いますので、お役に立つのならと思っています。掲載まで今しばらくお待ちください。(2019年11月2日公開しました。)
講演前
実はこの日は朝からメイン会場を回っていてもなかなか落ち着かなくて、一番楽しみなはずの特価品あさりも思ったより進みません。フリーマーケットで何も買わなかったと前回の記事で書きましたが、理由の一つが講演のことが結構頭から離れなくて、じっくり見ることができなかったというのがあります。でも、そんなことを吹っ飛ばすくらい今回の講演は充実していて価値があったのかなと思っています。
本当はタカハシの講演を聞きたかったのですが、その頃が準備で一番テンパってて、泣く泣くあきらめました。次の野鳥の話の時にはだいたい準備も終わり、スコープテックさんの講演を聞くことができるくらいになりました。座席について話を聞きながら自分の講演の最終調整をしようとPCを取り出したら、なんと予備のPC!やはり焦っていたんでしょうか、いつすり替わったのかは定かではないですが、当然講演ファイルは(古いバージョンしか)入っていません。再び部屋までPCを取りに。そんなこんなで、スコープテックさんの公演スタートに少し遅れてしまいました。ちょうど部屋に入る時に、原村でお会いしたマリーチさんが入りにくそうにしているので「気にすることないですよ」と言って、一緒に講演部屋に入りました。
スコープテックの講演にて
スコープテックさんのお話は、フリーストップの片持ち経緯台ZEROの開発についての話で、是非とも聞いておきたい講演でした。実際ものすごく面白かったです。新製品の開発がいかに大変だということがよくわかります。まず理想があって、限られた予算の中でできるだけのことを詰め込んで、試作をして、量産品を作って、マニュアルなども整備する。なかなか一筋縄ではいかないことは容易に想像できます。ユーザーのためを考えて、かなり思いを込めて作った商品だということが十分に伝わってきました。コンパクトに折りたためて、かつ揺れないというのは非常に魅力的です。
特に、振動の減衰の様子をビデオで見せていたのですが、片持ちなのに相当早く揺れが収まります。これなら見ていても不満は感じないと思います。将来的にはエンコーダーなどを取り付けることができるように、各所にネジ穴などを空けてあるそうです。息の長い製品になりそうで、経緯台の決定版になるかもしれません。
後から実際にZEROを会場で改めて見たのですが、振動特性は申し分なく、三脚を揺すった時の振動とほぼ同等レベルの印象で、とてもバランスよく作り込んでいると思います。かなり頑丈に設計してあるようで、共振周波数も高めで変な励起などはなさそうです。鏡筒を覗きながら視野を動かしたりしてみますが、ほとんど揺れが気になりません。
間も無く量産に入るそうですが、こういった熱意のこもった製品を開発するメーカーには、絶対に生き残ってほしいと思います。
いよいよ電視観望の講演に
さて、スコープテックさんの講演の後はいよいよ我々の番です。開始時間は15時30分からなのですが、10分位前の時点でも既に下の写真くらいの人がいました。実際スコープテックさんの講演が終わった後もほとんど出て行く人がいなくて、さらに新たな人たちが入ってきたような状況で、立ち見の方もかなりいたようです。
この人数を見るだけでも、電視観望についての関心がかなり高いことが実感できます。今回は電視観望について、KYOEIさんと合同で話すわけですが、二人で30分とそれほど長いわけではないなので、できるだけスムーズに話す必要があります。前半はKYOEIさん、後半は私です。
さて、時間になり早速KYOEIさんのお話が始まります。
内容は電視観望とはどんなものかということから、「楽しい」をコンセプトに、観望会で電視観望がどのように使われるのか、実際の見え具合を交えてわかりやすく話してくれました。もちろんKYOEIさんはお店なので、どんな機材が良いかという紹介もしれくれます。初心者だと機材選びも大変なので、購入に際してもいろいろ相談に乗ってもらえるのかと思います。鏡筒はRASA、RedCat、カメラはASI294MCとRevolution Imager、制御とソフトはASIAirとSharpCapなど、入門からハイエンドまで幅広いラインナップを紹介していました。電視観望だけでなく、ついでに撮影までできるという紹介の仕方は私の視点にはなかったので、こういったアプローチ方法もあるんだと参考になりました。
メイン会場のKYOEIブースの前にはRASAとASI294MC Proの組み合わせで機材を見ることができ、夜にはRASAとASIAirで電視観望の実演もしていました。
いよいよ自分の番です
KYOEIさんの話はすごくわかりやすくて作例も多いのですが、すでに制限時間30分のうちの15分が過ぎていて、まだ終わりそうにありません。「あ、これはオーバーしそうだ」と思い、土壇場で自分のスライドの数を少し減らしました。結局ほぼ20分で前半が終了。残りの時間は約10分です。最終的に用意したスライドは16枚。時間は厳しかったですが、それでも前半で基本的な概念をわかりやすく説明してくれていたので、私は少し凝った話をすることができました。
タイトルは「なぜ小口径6cmの鏡筒で電視観望が成り立つのか?」です。いつも電視観望で使っているFS-60QをAZ-GTiに載せた機材も横に置いて話しました。丸ごと片手で持てるくらいコンパクトな機材です。
トークのはじめの方で、電視観望を実際にやっている、もしくは試したことがある方に手を挙げてもらったのですが、半分くらいは挙がったでしょうか。思ったより多い数です。星まつりで知り合った星仲間もたくさんきてくれていました。このブログを読んでくれている方や、Twitterでフォローしてくれている方もたくさんきてくれていたと思います。かなりの人が本気で電視観望に興味があるはずです。
小口径電視観望には必須のSharpCapのパラメータやコツに加え、「なぜ」小口径でも電視観望が成り立つのかという理由のところをできるだけ理解してもらえるように話を進めたつもりです。また、作例では昨晩の実演練習で見たオリオン座と馬頭星雲も早速見せて、小海の地での電視観望の実例を盛り上げるようにしてみました。
講演は10分という短い時間だったので、全部を読み上げるわけにはいかず、主要なところを説明するようにしましたが、言いたいことは十分伝わったのではないかと思います。講演が終わってからも、次の方の講演のギリギリの時間まで、かなりたくさんの方が質問で手を上げてくれました。KYOEIさんと私とで手分けしながら回答をしていましたが、質問される方や聞いている方の反応を見ていると、手応えとしては十分すぎるくらいあったのかと思います。
講演が終わって片付けをしてから外に出ても、何人もの方からさらに色々質問を受けたり、お話ししたりしました。ずっとブログを読んでくれているという方もいました。本当に嬉しい限りで、今回改めて講演やってよかったと、この時実感しました。
電視観望の実演
講演の最後の方で、この後暗くなってから会場のどこかで電視観望の実演もしますと宣伝しておきました。できるだけ操作とかを実際に見てもらって、わかりにくところなどを色々話しながら解決できたらと思ったわけです。この日は天気予報では夜から晴れるはずだったのですが、暗くなってからもなかなか雲が無くなりません。雲というか、まるで霧の中にいるような感じです。それでも19時すぎくらいからでしょうか、雲の隙間から少しづつ星が見えてきます。早速車から機材を運び、昨晩と同じような場所で電視観望のセッティングを始めました。準備の時から人が集まり始めていたのですが、空はなかなか晴れてくれません。とりあえず曇りの間に試しに見たM57が次の写真です。
さすがに雲が結構ある中なので、どうしてもコントラストが悪くなってしまいます。この後また曇って見えなくなったり、少し見えたりを繰り返しているので、逆にその間に色々状況や手法を解説することができました。そのうち、空が完全に晴れてきたときのM57がこれです。
やはりあからさまにコントラストが違います。このころにはかなりの人が集まってきていて、綺麗な画像が出てくると「オーッ」と声援が上がります。
とにかくみんなでワイワイガヤガヤ、星雲を見ながらいろんな議論が始まります。技術的な話、コンセプト、昼間わかりにくかったところの解説とか、全然時間が足りません。
特にナイトビジョンのAさんの奥様から聞くことができた、初心者から見た電視観望の印象はとても参考になりました。マニアには常識的な星座の名前や星や星雲のことも、初心者にとっては未知のものです。観望会とかではそこに気を使う必要があるようです。例えば、惑星状星雲といっても多分何が何だかわからないので、見えている画面にテキストで名前を入れるとか、天体の解説をテキストで書いて画面に出しておくだけで、さらに興味を引くことができるはずです。そのうちに、別モニターで解説を出しておけばいいとか、いやそれだと明る過ぎて星が楽しめないとか、もう画面を見ながらいろんな話が飛び交うのです。「あー、こんなのが電視観望でやりたかったんだ!なんか幸せだなあと」と実は一人で感慨深くなっていました。
21時過ぎくらいでしょうか、雲が一面を覆ってきたので、私は一旦多機材を片付けました。でも片付け終って先ほどの場所に戻ったら、また少し星が見えてきています。Aさんのナイトビジョンも出ていて、まだまだこれから盛り上がりそうでした。もう一回出すかとも思ったのですが流石にかなり疲れてしまっていたので、とりあえずその場を後にし、温泉に行って少し休憩。露天風呂の中からかなり星が見えたので、風呂上がりにこの日はアイスを5本も食べて、再び先ほどの場所へ。
すぐに目に入ったのが、Aさんと友人で、最近このブログのコメントでやり取りをしているシベットさんが、Revolution Imagerのカメラを使ってSharpCapで電視観望をしているではないですか。アンドロメダ銀河を入れていて見ようとしていました。このカメラはアナログ出力なのですが、LiveStackの機能がカメラについているのが最大の特徴で、他にもカメラ自身に結構な画像処理の機能がついています。シベットさんと一緒にパラメータの絞り込みをしていったのですが、このカメラの画像処理機能が逆に悪さをしているところがあり、とりあえずカメラ側を出来るだけノーマルな出力にして、SharpCapに処理を任せることでかなりマシな像になりました。シベットさんも講演に来てくれて、その後いろいろ一緒にできたのもまた嬉しい経験でした。
次の日も忙しくなりそうなのと、運転のこともあるので、結局0時過ぎくらいに部屋に戻りました。かなり疲れたのですが、ものすごく充実した一日で、非常に心地よい疲れです。講演に続いてその晩に実演と、自分で考えていたことにかなり近いことができました。今回講演に来ていただいた方、実演を見ていただいた方が地元に帰って観望会などで電視観望を試してくれるなら、かなりの数の観望会で電視観望が披露される可能性があります。これは本当に嬉しいことです。
一方、nabeさんのTwitterのコメントでしたでしょうか、「あまり注目されなかった普通の望遠鏡」というような意見がありました。こういった状況はよくありません。私はアイピースでの眼視を否定する気は全くありません。あくまで電視観望も観望会などでの一手法として確立してくれればと思っているだけです。早く電視観望がごくごく一般の方法になって、アイピースでの観望も含めていろんな方法で宇宙を楽しむことができればと思っています。そして、天文人口の裾野が広がって、子供達が宇宙や科学に興味を持ってくれるきっかけになってほしいと心から願っています。
講演スライドについて
なお、今回の自分の分の講演内容については、スライド内容を別の記事で全部掲載したいと思っています。パッと見ただけだとわかりにくいこと、忘れてしまうことなどもあるかと思いますので、お役に立つのならと思っています。掲載まで今しばらくお待ちください。(2019年11月2日公開しました。)