ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2017年12月

先日のASI294MCの電視でファイルに保存しておいた画像を少しだけ、お手軽処理してみました。目的は時間をかけて追求してすごい画像を出すのではなく、むしろ正反対のできるだけ時間をかけない簡易撮影、簡易画像処理が使い物になるかどうかを試すことです。

今回3種類を比較しています。 
  1. Live Stackをヒストグラムなどの処理を含めて見たままpng形式に落とした画像: 4sec x 35stacks = 140秒
  2. Live Stackをヒストグラムなどの処理が入らないRAWに近い状態で32bitのfits形式に落とした画像(カラーで保存): 4sec x 33stacks=132秒
  3. Live Stackをしない、CaptureでRAWに近い状態でfits形式に落とした画像(Bayer): 4sec x 35枚=140秒


1. 見たままのpngからの処理

まず、保存されたままの加工なしの画像です。4秒露光で、35回スタックしたところで16bitのpng形式で保存されています。SharpCapで表示されている画像を見たまま保存することになります。ブログアップのために8bitのjpgに落としています。

Stack_35frames_140s_png


相当青に寄っています。ライブビュー重視で、夜のような雰囲気を出そうとしたのだと思いますが、改めて見ると結構ひどいです。これをPhotshopでホワイトバランスを整えて、彩度を強調し、最後に少し好みの色にするためにトーンカーブで青を少しいじっただけです。所要時間は数分でしょうか。超お気軽画像処理です。以下のようになりました。

png_Stack_35frames_140s


よく見るとピクセルが飛んでいるところが何箇所かあるようです。少なくとも7箇所、引っ掻き傷のように色が飛んでいるところが見つかりました。見落としているだけで探せばもっとあると思います。

hotcool


最初何かわからなかったのですが、どうやらホット/クールピクセルがスタックしている間のアラインメントを合わせる際にずれていってしまったのがトレースされているみたいです。

それでもpngからの処理にしてはそこそこ見えるものになってしまっています。口径6cm、露光4秒が35スタックで計140秒と思うと、たいしたものです。


2. スタックされたのfits形式

4秒露光で33回スタックしたところで、32bitのfits形式で保存しました。どんなファイルになっているのか開くまでわからなかったのですが、どうやらヒストグラムなどSharpCap上で画像処理した効果は入ってこないようです。RAWに近いですが、ベイヤー→RGB変換はすでにされているようです。それをブログアップのためにそのままjpgに落とした画像です。

Stack_32bits_33frames_132s_notouch


これをまずはステライメージのレベル補正で、レベルとホワイトバランスを整えて、デジタル現像をして飽和をできるだけ押さえます。あとはPhotoshopに移動して、1の処理と同じで彩度とトーンカーブのみです。これも所要時間は5分程度でしょうか。

結果は以下のようになりました。M42中心部の飽和は元の画像ですでに飽和しているので、デジタル現像などでもトラベジウムなどを復元することはできませんでした。ピクセルが飛んた引っ掻き傷もやはり残っています。

stackfits_Stack_32bits_33frames_132s




3. Captureで撮った複数のfits形式の画像をコンポジット

多分これが一番一般的な撮影の仕方なのでしょう。4秒露光のfits形式のファイルを35枚、ステライメージ8でコンポジットしています。上2つと違うのは、ホット/クールピクセル除去の処理を行っているので、引っ掻き傷のようなものは消えています。ダーク減算、フラット補正などの処理はしていません。かぶり、周辺減光などの処理もしていないので、上2つと条件はホット/クールピクセル以外はほぼ同じです。コンポジット後は2の処理と同じで、レベル、ホワイトをとって、デジタル現像、その後Photoshopに移動して、彩度とトーンカーブです。コンポジットはのんびりやっていたので30分くらいでしょうか、その後は5分くらいしかかけていないのは2と変わりません。結果は以下のようになります。

composite_35_140s


引っ掻き傷が消えているのはいいのですが、一番の問題はなぜか苦労して自分でコンポジットしたものの方がノイズが多いのです。画像処理はマニュアルでやっているので多少の差は出るのですが、その範囲を超えてノイズの量に差が出てしまっています。SharpCapのスタック時になにか余分なノイズキャンセル処理をしているのでしょうか?ShaprCapもステライメージも実際のスタックやコンポジットで内部でどのような処理をしているのか不明なので、結局理由はよくわかりませんでしたが、ここはもう少し検証してもいいかもしれません。


さて、3枚改めて比べて見ると、ノイズに差が出た以外は決定的に大きな差が出ているようには見えません。たとえpng画像からの加工でも、このレベルでは差が出ないようです。もっと露光時間をかけた、暗い天体では差が出るかもしれませんが、電視観望で見るような明るい天体を簡易撮影、簡易画像処理ではこれで十分なようです。

露光時間がわずか2分半程度でここまで出るのも驚きです。ただしこれには少しトリックがあって、F10の暗い鏡筒での電視観望に合わせるために、ASI94MCのゲインを500と相当大きくしています。そのため淡い部分が時間の割によく出る代わりに、明るい部分が飛んでしまいます。特にトラペジウム周りをきちんと出したい時はゲインをきちんと下げて、露光時間を長くするか、別途HDRように短時間画像を撮っておいて合成するなどの工夫が必要になります。簡易という観点では少し手間がかかってきます。

こうやって考えると、ライブスタックでfits画像一枚、もしくはいっその事割り切ってpng画像でもとるだけとっておいて、あとでちょいちょいと画像処理してしまえば、一晩に多数の天体を回ったまとめなんかも簡単に作ることができそうです。その際、SharpCapではダークとフラット補正も撮影中にできてしまうので、最初だけ少し手間をかけてダークフレームとフラットフレームを撮っておくのもいいかもしれません。結論としては、電視で撮った画像でも飽和さえ気をつければ簡易画像処理でそこそこ使えるものかと。

ここまでくると、次は本格的に低いゲインでダイナミックレンジを稼いで(具体的に言うとASI294MCだとゲインが120を超えたあたり) 、もっと長時間露光して撮影してみたくなってきます。今回ゲインが500で例えばゲイン140で撮影するとすると、ゲイン差が360なので、360 = 36dB = 64倍の明るさの差になります。4秒露光だったものは4 x 64 = 256秒なので、4分ちょっと。この長さだとガイドが必要になってきます。













昨晩は楽しかったです。夕方から外に出ていたのですが、19時ころからどんどん雲が多くなってきたので諦めていたのですが、22時過ぎにまた外に出てみると、なんと雲がほとんどなくなり晴れ渡っています。やっと新カメラでテストが思う存分できそうです。星はそれほど多くは見えないので透明度は大したことないですが、赤道儀をセットして準備を始めました。

場所とセットアップは先日と同様、自宅の庭で新CMOSカメラASI294MCをつけたFS-60QをAdvanced VXに載せています。口径は60mm、焦点距離は600mmのF10になります。 

まず試したのは先日の最後に雲がかかってしまったM42、オリオン大星雲です。4秒露光で、16回スタックです。淡いモクモクまで見え始めていて、もう前回よりも圧倒的にすごいです。これでわずか総露光1分ちょいです。ASI294MCのポテンシャルがわかる一枚です。ちなみに先日ASI224MCで撮ったものがこちら。恒星の飛び具合(224のはピンボケとうわけではないです)もかなり改善されているのがわかります。

IMG_3334

このオリオンもそうですが、今回見て回った天体のうちいくつかは、各露光のフレームをfits形式で残してあります。また、ライブスタックをした結果も画面で表示されたままのものをPNG形式で、またトーンカーブとかの効果が入っていない、スタックしだけのそのものをRAW形式で保存してあるので、後日画像処理をしてそれぞれの結果を比較したいと思います。

これ以降、電視て見ていった時間順に示します。

次に、バラ星雲です。以前のASI224MCの結果と比べると飽和は抑えられていて、色も自然ですが、かなり暗くなっています。これはSharpCapの新機能のトーンカーブ調整であわせているためで、画面のコントラストなどの調整がなくなっているからです。明るさを出したい時もあるので、トーンカーブのみでなく画面調整の項目も残しておいて欲しかったです。

IMG_3337


続いて馬頭星雲と燃える木です。これも以前と比べると明るさが足りないです。明るさが足りない理由の一つがやはりノイジーということもありますが、今回はスタックを重ねることができなかったことも原因の一つです。冬場で寒いので、StickPCに繋げてリモートで家の中から接続してます。接続自身は多少の画質劣化はあってもそれほど問題はないのですが、それよりもStickPCのUSBの転送速度のせいでしょうか、フレームレートが高すぎて取り込みを落としている可能性があるとの警告がしょっちゅう出ています。実際、結構な率で取りこぼしや、アラインメント失敗が起きています。これは実際に外でまともなPCに接続して直接見ていた時には気づかなかったことなので、やはり電視にはSrtickPCは少し非力なのかもしれません。

IMG_3338


オリオン座星雲内で、M78です。実は自分で見るのは初めてです。別れている様子はなんとかわかりますが、細かい構造はさすがに厳しいです。

IMG_3339


M45、すばるは結構進展がありました。自宅で星間分子雲がこれだけ見えたのは初めてです。

IMG_3343


クラゲ星雲です。さすがに淡い天体は厳しいです。

IMG_3344


ペルセウス座の二重星団です。星団は比較的電視に向いているかもしれません。もう少し露光時間を伸ばすなど、まだ工夫の余地がありそうです。

IMG_3348


続いてモンキー星雲。これもバラ星雲やクラゲ星雲と同じくやはり暗くて色が薄いです。結構露光時間を取ってもこれなのでリアルタイム性という観点からいくと厳しいかもしれません。口径の大きい鏡筒を試してみたいです。

IMG_3349


M1、カニ星雲のリベンジですが、前回とあまり変わりありません。今回も結構拡大しています。やはりこの口径の鏡筒ではこれくらいが限界か。

IMG_3350

午前3時過ぎ、夜も更けてきた最後の方はもう春の星座になってきます。系外銀河です。「マルカリアンの鎖」と呼ばれるM84、M86、M87周りです。NGC4402, 4388, 4413, 4425, 4435, 4438, 4461なども見えています。このころになるとまた透明度が悪くなってきて、星が見えにくくなっていました。それでもこれくらいは見えるので結構驚きました。

IMG_3351


富山は海に面している北のほうが街なので、北の空は明るくてこれまでほとんど見たことがなかったのですが、夜中で街灯りも多少はマシかと思い、少し見てみました。下はM106、りょうけん座の渦巻銀河です。腕の様子も多少見えています。他にもNGC4217やNGC4220も写っています。色がつかないので電視のメリットは半減しますが、それでも光害の中、系外銀河も意外に見えるようです。

IMG_3354


午前3時半過ぎ、風が強くなってきました。フクロウ星雲を狙って見ましたが、光害と風でかろうじて穴二つが見えているくらいでしょうか。風で赤道儀が揺れているというよりは、繋がっているケーブルの揺れのようです。

IMG_3358

最後の最後で真北のM81を見てみましたが、さすがにこの方向は厳しいみたいです。空も透明度が相当悪くなっていて、外に出るとほとんど星も見えない状況でした。

IMG_3359


少し時間を戻して、同じ日の夕方過ぎにオリオンが登り始める18時半ころにSIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSMを10mmにしてASI294MCに取り付けて見てみました。焦点距離が短いので星の数は大したことないですが、かなり広い範囲を見渡せます。ヒアデス星団、すばるがはっきり見えています。雲があるのと、透明度もよくなかったので目ではすばるがやっとぼやーっと見える程度でしたが、PCの画像を通すとはるかに星の数が多くなります。WideBino28で見た時と同等か、それ以上でしょうか。複数の星座が一度に見えるので、星座をみんなでトレースしながら確認するのとかに使えるかもしれません。

IMG_3327



今回のまとめ

やはり全般に暗いというのが挙げられると思います。特に淡い天体は厳しいです。この面積のセンサーを有効活用するためには、できるだけ焦点距離をキープしたまま鏡筒の口径を大きくする必要がありそうです。

あと、まじめに撮影をしようとすると厳しいかもしれませんが、富山でも意外に北の空も電視だと楽しめることがわかったので、今度もう少し探索してみたいと思います。

とにかく昨晩は久しぶりに晴れた空を満喫してかなり満足でした。後日、fitsで保存した画像を加工したものも比較してみます。そこそこ見える画像になるのか、それとも全くダメなのか。もし撮影の道がひらけそうなら、次はノイズを最適化して、ガイドで長時間露光でしょうか。

 

週末の金曜日、夕方ものすごく晴れていたので張り切っていたら、食事を終えた午後7時頃にはまた雲が。それでも昇りかけのオリオン座は見えていたので、短時間ですがASI294MCに再びNIKKORの50mm f1.4をつけてバーナードループに挑戦しました。

結果はかなり厳しかったです。 6.4秒露光を50回ほどスタックしていますが、数十回くらいからはほとんど改善しません。よく見ると三つ星の下を回り込むように、本当にうっすらループが見えている程度でしょうか。馬頭星雲と燃える木は小さいですがきちんと色がついて見えています。

IMG_3320

レンズは十分に明るいので、やはり厳しいのは自宅庭の光害のせいかと思います。電視だと流石に淡いものはなかなか手強いです。次の手は光害防止フィルターを入れるとかでしょうか?あと、SharpCap自身にフラット補正の機能があるので、それも試す価値があるかもしれません。

あまりに寒いのでしばらく家に入り、温まってから外に出たら雲一面と、ものすごい風でした。ショックだったのはPCが風で吹っ飛んでいたこと。少し傷がつきましたが、一応問題なく動いて今もこのブログを書いています。机から落ちていたのによく壊れなかったです。短時間でも放っておくのはちょっと心配です。反省しました。

 

前回のASI294MCのファーストライトはほんの晴れ間でしたが、12月21日、昼間くらいから本当に久しぶりに晴れ渡ったので、やっと念願のASI294MCのフルテストができそうでした。前回赤道儀を使ったのは記録によると11月27日。さすがに北陸といっても天気悪すぎです。

場所は自宅の庭。セットアップとしては口径60mm、焦点距離600mmのFS-60QをAdvanced VXに載せたいつものものです。たくさんやりたいことはありましたが、残念ながら途中から雲が出てきてしまい、結局試せたのは焦点距離600mmでの電視で、数も限られた天体だけでした。

これまで電視はセンサーサイズが1/3インチとかなり小さいASI224MCであったため、焦点距離の355mmと短いFS-60CBにさらに0.5倍のレデューサーをつけて、焦点距離が180mm程度になっていました。今回はASI294MCでセンサーサイズが4/3インチと、これまでに比べて各辺で4倍、面積で16倍と大きくなったため、焦点距離が600mmと4倍くらい長いFS-60Q状態で使えるようになりました。その代わり、4倍くらい暗くなっているので、そこらへんがどうなっているかが見ものです。

最初はM31、アンドロメダ銀河です。いつものようにPCの画面をiPhoneで写しているだけで、実際の見え味にかなり近いものです。これで6.4秒露光を16回スタックしたものです。スタック回数は適当な時に写真を撮っただけで、こんなにスタックしなくても数回でそこそこ見えるくらいになってきます。

IMG_3313
新しいASI294MCでの電視によるアンドロメダ銀河。


先月11月に志摩に遠征に行った時にASI224MCで撮ったものが下になります。空は志摩の方が圧倒的にいいです。今回のは自宅で、しかも決して環境がいい方ではないですが、それでも今回の方が全然良くなっていることがわかります。ソフトの進歩もあるでしょうが、やはりカメラの差だと思います。

IMG_3135
これまでのASI224MCでの電視によるアンドロメダ銀河。

相違点を上げていきます。

  • ノイズが以前よりかなり少なくなっています。確かに実際にノイズ自身少なくなっているようなのですが、解像度がかなり高くなっているので、そのことによりノイズが目立たなくて少なくなっているような印象も受けます。
  • 飽和しているエリアが小さくなっています。これはダイナミックレンジが増えた効果、もしくはfull wellが大きくなった効果といっていいと思います。
  • 0.5倍のレデューサーのせいでしょうか、星像がかなり歪んでいたのが、今回は綺麗な点像になっています。
  • 色もより自然になっています。これはヒストグラムを見ながら調整できるせいでしょう。
  • やはり今回焦点距離が長く以前より暗いので、ゲインを最大の570にしてしまっています。最大ゲインでこれくらいのノイズで抑えられているのもすごいのですが、それでも6.4秒くらいの露光時間がないと写りが悪くなります。また、これ以上露光時間を長くするとリアルタイム性がなくなってきます。もう少し明るい鏡筒にしたいです。
これまでずっと電視を試して来て色々不満な点もありましたが、それでもやっと満足できるレベルになって来ました。M31が自宅で、しかもその場でリアルタイムでこれだけ見えるのなら、電視観望としてはもう実用と言っていいレベルなのかと思います。



次はM45、プレアデス星団です。

IMG_3315
ASI294MCで見たプレアデス星団。

さすがに自宅だと分子間雲が少し見えるくらいです。だんだん霞みがかってきたので、もう少し空がいい日ならば自宅でもまだましになるかと思います。

下が、去年の10月に同じ自宅でASI224MCで見た時です。飛びまくっていますし、かなり無理して色を出していました。今回の上の方が無理をせずに自然な色になっているのがわかります。分子間雲も自然な感じで見えています。

IMG_0398
昨年10月に同じ自宅でASI224MCで見たプレアデス星団。


M1、カニ星雲はさすがにフィラメントまでは見えませんでした。所詮600mmでかなり小さくしか見えないので、相当拡大しています。そのためノイジーに見えてしまいます。実はM1を見たのは一人メシエマラソンの時だけで、その時も月明かりでほとんど全く見えなかったので、実質初めてかもしれません。これは長焦点でリベンジしてみたいです。

IMG_3317


最後はM42、オリオン大星雲です。

IMG_3318

もう雲がかかってきてしまっています。ギリギリで最後に撮ったものです。晴れていればこれはさすがにもっともっと綺麗に見えるはずです。これ以降は完全に雲がかかってしまい、今日はここまでになってしまいました。

実は雲の中、ASI294MCに手持ちのシグマの10-22mmのf3.5のレンズをつけて、かなりの広角でも見てみました。写真には残さなかったですが、目で星がほとんど何も見えない状態でも、雲の薄いところだと星を炙り出してくれます。さすがにこれくらいの広角だと複数の星座が一度に余裕で見える画角なので、都会の観望会で星座をトレースするのに使えるかもしれません。これはセンサーサイズも解像度も足りないASI224MCでも、明るさがどうしても足りないASI178MCにもできなかった芸当です。ASI294MCの利点の一つになるかと思います。またもう少し晴れた日にきちんと試してみます。

とりあえず、少しですがASI294の実力がわかってきました。はっきり言って電視目的にはかなり満足できるレベルになりそうです。ただし、センサーサイズの拡大に伴って焦点距離が長い鏡筒になってくると、そもそも暗くなってくるので、もう少し口径の大きい鏡筒を使った方がより露光時間を短くできるので、より臨場感が出そうです。最初に買った口径20cm、F4のニュートン反射のBKP200がいよいよ再稼働かもしれません。口径比では(20cm/6cm)^2 ~ 11.1倍の明るさ、焦点距離で(600mm/800mm)^2 ~ 0.56の明るさになるので、11.1 x 0.56 = 6.2となり、ざっくり6分の1の時間で同じように見えるはずです。今回更新6.4秒だったので、1秒になれば相当リアルタイム性が出るかと思います。それに伴い、視野が少し狭くなるのですが、ギリギリ許容範囲かもしれません。もったいないですが、これに安価な0.5倍のレデューサを入れるか。これだとより広角に見えて、明るさは4倍です。カメラの解像度はPCの画面の解像度に比べてあり余るほどあるので、適当にズームすればよく、こちらの方が有利かもしれません。

もう一つ、今思い出したことがありました。解像度が高いので有効活用するために途中ビニングをしたのですが、この効果がいまいち見えません。例えば2x2でビニングすると解像度は半分になるので画面の大きさはSharpCap上で4分の1の面積になります。これは確かめることができました。ただし、そのぶん明るくなって欲しいのですが、画面で見てもヒストグラムで見ても変化があるようには見えません。もしかしたらバグなのかもしれません。そして、分解能が下がるのに伴ってノイズの解像度も下がるので、点々が目立つようになってしまい、実質余計ノイジーになったように見えてしまいます。3x3、4x4のビニングでも同様です。もう少しバージョンが安定するまで見続ける必要がありそうです。



まだまだ試したいことだらけです。冬なのでペースが天気にものすごく左右されますが、できる範囲で色々やっていこうと思います。



IMG_3308
今日のセットアップ。この時はまだ極軸合わせのため、
ASI294MCが鏡筒の上に載っています。

もう、ムハッという感じです。ASI294MCすごすぎです。電視の画面の中で神々しいくらいの星がちりばめられています。

IMG_3297
オリオン座の三つ星付近です。画面は何の加工もしていません。
露光時間800ms、ゲイン450で、スタックも何もしていません。
iPhoneでPCの画面をそのままとっただけです。


今日もずっと雪で天気が悪かったのですが、夜に外に出て見ると雲が少し切れているところがあったので、駄目もとと思いながらASI294MCを出しました。

カメラ側はZWO製のCanonアダプターを付けて、レンズはNIKKOR-S 50mm F1.4のオールドレンズにCanonアダプターを付けてです。二つをくっつけて、簡単に三脚の自由雲台に乗せてのマニュアル導入です。中くらいの星座がちょうど入るくらいの画角なので、かなり広角で、手で合わせるので十分です。

IMG_0873


雲の切れ間といっても、けっこう霞んでいるので、目ではほとんど星なんて見えないです。たまに明るいプロキオンが見えるくらいで、リゲルもベテルギウスもほとんど見えません。とにかく動画を見てください。



ものすごい高感度のためにまるで昼間みたいに見えますが、れっきとした夜の映像です。場所は自宅の庭。露光時間は400ms、ゲインは500。ASI294MCの最大ゲインは570なのですが、それに近いゲイン500でもノイズがこれまで使ってきたカメラよりも圧倒的に少ないです。アップロードのために解像度を1024x698に落としていますが、もとは4144x2822の超高解像度映像です。

何本か撮影したうちの一つですが、間も無く雲が多くなってきて撤収しました。とにかくASI294MCですが、凄いポテンシャルかと思います。早く晴れたににじっくり見たいです。


その5: 2017/12/21にFS-60Qで電視観望を試しました。
 

Natusです。今年(中1)の夏休みの自由研究を紹介します。

夏休み明けに学校に提出した後、学校で展示していました。1ヶ月ほどで返って来たのですが、そのまま放りっぱなしになっていました。せっかくなのでブログにまとめておきます。


IMG_3281


テーマは「手動赤道儀の恒星自動追尾化」です。
去年の自由研究の「星でめぐる銀河鉄道の夜」に続き、今年も天文関係のテーマにしました。
夏休み前にハンドルを手で回して星を追う手動赤道儀型の天体望遠鏡を手に入れたので、手でハンドルを回さなくて済むように、自分で赤道儀を自動追尾化させてみようという内容です。




IMG_3278

使用した望遠鏡:ポラリス80L

<望遠鏡の説明>
    夏休み前に名古屋のスコーピオで手に入れました。

望遠鏡セット:Vixenのポラリス80L
       40年ほど前の製品で、1980年にはすでに発売されていたことが確認できた
      
   赤道儀:手動
       赤緯を0度にすることで経緯台にもなるタイプ
       目盛り環付き
       赤経、赤緯軸ともに微動ハンドル付き

<視野角の測定>
 昼間に下の写真のように望遠鏡から10m離れたところにあるメジャーを見てどのくらい見えるのかを調べ、その結果から望遠鏡の視野角を計算しました。 
IMG_3285

望遠鏡の視野角の測定

<赤道儀を動かす>
目標は「10分経っても視野の中心に入れた星が真ん中と端の中間を超えない」ようにすることです。そのためにはできるだけ正確に10分間で微動ハンドルを1回転させる必要があります。    
 
IMG_3286

                                               
1番のポイントは微動ハンドルをどうやって回すかということですが、最初、重りを使って回してはどうかと考えました。モーターの代わりに何らかの重りを使って回転軸をまわすというものです。

ところが、重りでは動摩擦係数と静止摩擦係数の差が大きすぎるため、なかなか星を追う時の回転速度を安定させて出すような仕組みは作れそうにないことが分かりました。



次にモーターで赤道儀を動かすことにしました。

IMG_3273

モーターを取り付けた写真

 
モーターのギアと微動ハンドルを外したところにつけたギアを噛み合わせて動かします。
モーターの回転速度は計測するとぴったりでそのまま使うことができました。



IMG_3283

極軸が1°ずれたときの星の動きと赤道儀の動きの誤差の計算

<実測>
実際に星を自動追尾させてみました。
モーターで星を自動追尾させ、目標の視野の真ん中と端の中間を超えるまでの時間を計測します。
前の日も計測をしたのですが、極軸を正確に合わせていなかったため、8分ほどで星が中間を超えてしまいました。
今回は極軸をできるかぎり正確に合わせました。(2分のずれ)

IMG_3277



結果、1時間経っても星は視野の中心からまったくずれませんでした。極軸合わせで結果がここまで変わるのかと驚きました。



<結論・感想>
元々の目標の10分間の追尾を大幅に越して、1時間をこえても目では確認できないくらいの星像の流れに収めることができたので、大成功です。
今までただ見ていただけの星を自分で追いかけることができると分かったことに、何より感動しました。
来年はもっとレベルアップしたものに挑戦したいです。



このページのトップヘ