ほしぞloveログ

天体観測始めました。

2017年11月

先日の志摩での観望会で、Kさんと話をしている時に、ダークフレームは何枚必要かという話になりました。私はライト画像と同程度の枚数が必要なのではと話したのですが、Kさんはもっと少なくてもいいのではということです。で、色々考察してみました。

目的はダーク減算による改善ではなく、ダーク減算をした時に何枚くらい使えばダークフレームからのノイズでライトフレームが汚されないかを見積もることです。例えば何十枚とコンポジットしたライトフレームではノイズが平均化されて滑らかになるのですが、その際のダーク減算をザラザラの一枚だけでやってしまったら、せっかく綺麗にするはずのライトフレームの滑らかさを逆に汚すのではないかとか、そういうことです。


今回ノイズを無相関に出てくる「ランダムなノイズ」と、相関を持って同じように出てくる「コヒーレントなノイズ」に分けて考えます。

ランダムなノイズとは統計的な信号のゆらぎのことを指し、例えば光に関して言うと「カメラの画素に光を入れた時に、単位時間あたりの光量が一定でないために、ある時間露光して積分した時に一つの画素に溜まる光の量にばらつきがある」ということをいいます。また、一つの画素のADCの読み取りにも統計的にランダムな読み取り誤差が存在するので、それらも画像になった時には結果としてノイズとなります。これらのランダムノイズは時間的に無相関であるために時間的に平均化してやると時間のルートに比例して小さくなっていきます。

一方コヒーレントなノイズは、例えば光害のように、何回撮影しても同様に相関を持って入ってくる光です。センサー温度が高い時に画面の一部が明るくなるアンプノイズも相関があるノイズです。これらのノイズは相関があるため時間とともに足し合わさっていくだけなので、時間に比例して一次で増えていくノイズです。

あといくつか仮定ですが、ダークフレームもライトフレームも同じカメラで同じISO、同じ露光時間で撮影するとします。センサーの温度も変わらないとします。


さてまずダーク一枚で考えてみます。基本的に光は入れていないので、センサーに流れる暗電流で決まるようなノイズです。この一枚あたりの無相関なランダムノイズをN_darkとします。これらをn_d枚コンポジットします。コンポジットは加算して枚数で割って平均化すると言う過程なので、

sqrt( n_d x N_dark^2 ) /  n_d = N_dark / sqrt( n_d)

となって枚数のルートでノイズが減っていきます。

次にライトフレームの信号をSとすると、ライトフレームのノイズN_lightは統計的に信号のルートに比例するので

N_light ∝sqrt(S)

と書くことができます。ライトフレームもコンポジットしてn_l枚を重ねるとすると上と同様に

N_light / sqrt( n_l)

というノイズが残ります。

通常はライトフレーム一枚に対しコンポジットしたダークフレームで補正します。ダーク補正は差に相当するので、無相関なノイズにとっては2乗和のルートになるので、その場合のS/N比は

S / sqrt( N_light^2 + N_dark^2 / n_d)

となります。このダーク補正したライトフレームをコンポジットするので、信号は

n_l x S

ノイズは

sqrt( n_l x N_light^2 + n_l^2 x N_dark^2 / n_d )

となります。ここで、N_light / sqrt( n_l)は各ライトフレームに適用されているので、無相関ではなく正の相関を持っているコヒーレントノイズになり、そのまま和になることに注意です。なのでn_lの2乗で足してあります。

これらをn_l枚で平均化するので、信号は

n_l x S / n_l = S

ノイズは

sqrt( n_l x N_light^2 + n_l^2 x N_dark^2 / n_d )  / n_l = sqrt( N_light^2 / n_l + N_dark^2 / n_d )

となるため、S/N比は

S / sqrt( N_light^2 / n_l + N_dark^2 / n_d )

となります。



やっと式ができました。この式を具体的に考察します。

まず、ライトフレームをダークに近いくらい暗い空で撮るとか、そもそも非常に低いISOとか短い露光時間でとったりして、ライトフレームのノイズとダークノイズが非常に近い場合には

N = N_light = N_dark

とおいて、さらにライトもダークも同じn枚撮るとするとS/N比は

S / sqrt( N^2 / n + N^2 / n ) = S / ( sqrt (2) x N/sqrt(n) )

となり、sqrt(2)倍だけノイズが大きくなってしまいます。すなわちこのようにライトの背景とダークが近い場合はダークの枚数をライトの枚数よりも増やしてやらないとルート2倍損をしてしまいます。

ちなみにルート2倍損をすると言う意味は、ライトフレームの撮影枚数が半分になったことと等価ですので、ずいぶん勿体無いですね。

一方、ライトフレームのノイズがダークノイズよりも十分に大きい場合(十分に明るい場合ということ)にはダークの枚数を減らしていいことになります。例えば、ライトフレームが十分に明るくて、明るさに起因するショットノイズが問題になる様な状況を考えてみます。具体的にはライトフレーム一枚あたりのショットノイズがダークノイズの10倍大きいような状況を仮定してみましょう。このショットノイズをダークノイズと同じくらいの大きさにするためには、ショットノイズを10分の1くらいにする、すなわち100枚撮影してショットノイズをsqrt(100) = 10で10分の1にする必要があります。言い換えると、100枚ライトを撮ってコンポジットした時のショットノイズと一枚だけダークを取った時のノイズがやっと同等になるくらいで、この場合ダークノイズがあまり効いてこないのでダークの枚数を増やしてもこうかがあまりないことになります。例えば、上記の状況で100枚ライトを取り1枚だけ撮ったダークで補正して、やっと上と同じ様にルート2倍損することになります。式で書くと、ライトフレームのノイズをNとすると

S / sqrt( N^2 / 100 + (N/10)^2  / 1 ) = S / (sqrt( (N^2 + N^2)/100 ) = S / (sqrt(2) x N/10)

 となります。 

こんな場合でも高々ダークを10枚とってやれば

S / sqrt( N^2 / 100 + (N/10)^2  / 10 ) = S / (sqrt(1+1/10) x N/10)

となり、sqrt(1.1) ~1.05なので、5%くらいの悪化で抑えることができます。


さて、ライトフレームの背景のノイズとダークノイズの実際の比は一体どれくらいなのでしょうか?先日撮った馬頭星雲の画像で比べてみます。Photoshopには便利な機能があって、選択したエリアの輝度のばらつきを標準偏差で示してくれます。これで直接比較ができるはずです。

ライトフレームの何も写っていない背景部分(光害のため背景が十分に明るくショットノイズがダークノイズに比べて大きいと思われるような領域)の標準偏差は10くらい、ダークフレームの同程度の領域の標準偏差は3くらいです。比は3.3程度と、思ったより小さいです。

IMG_8798

ダークフレーム一枚のノイズを標準偏差で見てみる。
「明るさ」で変化させると平均値と標準偏差は比例するので、
この標準偏差は変なこと(例えば暗すぎて片側が欠けているとか)が起きていない生きた値です。 




ライトフレームは36枚撮影していて、ダークは30枚"も"使ったので、

S / sqrt( N^2 / 36[枚] + ((N/3.3[倍])^2) / 30[枚] ) = S / (sqrt(1+1/10/30x36) x N/sqrt(36) )

となります。

sqrt(1+1/10/30x36) = 1.05

なので、約5%の悪化となります。36枚のライトフレームをもし33枚しか取らなかったら約4-5%の悪化になるので、この場合ダーク補正がなかったら33枚で同等のノイズを出せたことになります。

一応確認ですが、ダーク補正の元々の目的は「ダークフレームを多数取ることでダークフレームの揺らぎを小さくし、それでも残った各ダークフレームに残った共通の、言わば真のダークノイズをライトフレームから取り除くこと」です。今回議論したのは、「ダークフレームの揺らぎの部分の残りがどれだけライトフレームに影響するか」ということです。ダーク補正の最大の効果である、真のダークノイズの除去のことについては何の言及もしていません。

真のダークノイズが存在するならそれを取り除くことはもちろん効果があります。さりとてそれも、他のライトフレーム内のノイズなどと相対的に議論すべきで、もちろんダーク補正はした方がいいですが、絶対必要だとか、絶対いらないという議論にはならず、あるライトフレームがあった時にダーク補正は有効であるかということを考えながらやると、効率的に進めることができると思います。例えば、昼間の明るいい写真にダーク補正をする人は誰もいませんね。


というわけで、またかなり長い記事になってしまいましたが、結論としては、ダークフレームのノイズとライトフレームの背景のノイズの比が重要で、空が暗くてダークに近ければ近いほど枚数が多い方がいいが、空が明るくてショットノイズなどの他のノイズが多い場合は少なくてもいいということになりそうです。志摩観望会で間違ったことを言ってしまったことになります。Kさんごめんなさいm(_ _)m。

 

先日自宅の庭で撮影した馬頭星雲と燃える木がかなり冴えなかったので、色々見直しました。

まず画角ですが、APS-Cサイズの60Dだとできた画面を見ていても無理に入れ込んでる感じでイマイチ迫力がありません。これはフルサイズにした方が良さそうです。ということで、9月にハヤタ・カメララボでなぜか一台だけ他より安くで出ていたHKIR改造済みのEOS 6Dを初投入です。

6Dですが、バッテリーが60Dと共通なのと、以前なぜか60D用と6D用を間違えて買ってしまったレリーズが余っています。まあそのうちレンズが欲しくなるのでしょうが、今のところ他にあまり買い足すものもなく使えるので便利です。バッテリーはこれまで2つあったのですが、さらに一つついてきたので3つを使いまわして6Dと60Dを使うことになりそうです。

ピント合わせや初期アラインメント時に、付属モニターのライブビュー画像で明るく星を見たいので、X5と60Dに引き続き今回もMagic Lanternを6Dに導入しました。完全自己責任ソフトなのですが、まあ中古で安く買っているので、あまり気にしないでガンガン使い込んでいきます。以前X560Dで比較で試した、付属モニターライブビュー画像での電視も試して見たいですが、それはまた今度の機会とします。

11月27日、この日は風もなく空に雲もほとんどない非常に綺麗な空だったので、平日だったのですが、リモート撮影であとは寝てればいいかと思い撮影を敢行しました。先週末に試した60Dでのリモート撮影の状態を崩さずにとっておいたために、最初のセットアップも短時間ですみます。なのでいつものFS-60QをAdvanced VXに載せ、これに6Dをとりつけたものになります。

月が沈む0時頃から撮影を始めました。HDR合成用に3秒露光のものを10枚、あとは180秒の枚数をできるだけ稼ぎます。感度はとりあえずこれまで60Dで使っていたISO3200で試しました。アラインメントをして撮影が始まってしまえば特にすることもなくなるので、明日が仕事ということもあり、そのままベッドに入って寝てしまいました。

さて朝起きて確認してみると、午前2時半頃まではうまくいっているのですが、後は流れていってしまっています。結局天頂を超える前に撮影を始めて、天頂を超えてある程度は持っていたのですが、限界がきて追尾できなくなってしまった様です。これは失敗でした。

もう一つわからなかったのが、PHD2で「最大撮影時間を過ぎた」みたいなメッセージが英語で出ていたのですが、これの変更方法がわかりません。以前もこれで撮影が中断されたことがあったので、なんとか解決したいのですが、マニュアルを見てもイマイチどこを触ったらいいかわかりません。

あと、先週は風が強くてぶれまくっていて、精度面で修理できたかどうか判断を先送りしていたAdvanced VXですが、写っている画像を見ている限り星は全て円像に写っていて、壊れたAdvanced VXは精度面においても直ったと言っていいと思います。後は修理に使ったM2.6のネジを太くして本数を増やすことで、強度面でも元の性能に近いものに戻ると思います。


さて、この日はダークもフラットも何も取らなかったのですが、ライト画像は衛星が写り込んでいるものをカットしても34枚、一枚3分なので計1時間42分が使える画像になりました。試しに10枚だけステライメージ8の自動処理で簡易画像処理をして見たのですが、これだけでも先週末の60Dよりはるかに綺麗に撮れていることがわかりました。こうなってくると欲が出てきて、ダークとフラットも撮影したくなります。次の日、また平日ですが懲りずに撮影し、それも込みで処理したのがこれです。

HORSE_LIGHT_6D_180s_3200_+7cc_20171128-00h09m41s_x34_PS_photo
富山県富山市, 2017年11月28日0時12分
FS-60Q + Advanced VX赤道儀
EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW), 露出3分x34枚 総露出1時間42分
f50mm+ASI178MC +PHD2による自動ガイド
Steller Image 8、Photoshop CC + Nik collectionで画像処理


前回の冴えないのと比べると、雲泥の差です。この原因は何かと考えました。風がなかったのは一因ですが、星雲の明るさには関係ないはずです。雲が少なくて透明度が高かったことはまずあると思います。後は60Dと6Dの差でしょうか。いろんな人から6Dはノイズが少なくていいと聞くのですが、その噂はやはり本当みたいです。今回は撮影した日時も違うので条件が合っていなくて何も結論めいたことは言えませんが、条件を限りなく同じにして、60Dと6Dで定量的に比較してみたくなりました。


追記: 後日画像処理をし直して、もう少しおとなしい色合いにしました。





 

この日は馬頭星雲を撮影する前に、もう一つのテストをしました。電視でのShaprCap Pro 3.1β版の新機能ヒストグラムについてです。この間の志摩での電視観望会でなんとインストールしてあった3.1βが現場で期限切れに気づくという間抜けなことがあったので、新たにアップデートしてきちんと動くかどうか試したのですが、大きく変わっているところがありました。電視観望にも大きく関係しそうです。

これまであった「Display Controls」が無くなってしまっていて、その代わりにRGB別のヒストグラム「Display Histogram Stretch」というのが足されていました。ヒストグラム自身は元のバージョンでもライブスタック時に見て調整することはできていたのですが、今回のものはライブスタックとは別に個々の画面でも使えるものです。しかもこの新しいヒストグラムも、これまであったライブスタック時のヒストグラムもRGB化されてるので、ホワイトバランスなどが取りやすくなっています。

とりあえず、M42オリオン大星雲を写して見た画面を載せます。スタック画面で無く、1.6秒露出のワンショットなのでノイズは多いです。新しいヒストグラムが右下に見えていると思います。

IMG_3163



まずスタックをしない時のこの「Display Histogram Stretch」ですが、Black Level、Middle Level、White Levelという3つの線を移動することによりレベルの応答を変えることができます。これはあくまで表示される画面の結果を変えるだけで、カメラの信号そのものを変更するようなものではないです。基本的にはブラックレベルとミドルレベルの線でヒストグラムのピークを挟むことによりより見やすい画面が得られるのですが、今回はヒストグラムのグラフの中にあるイナズマ状の「自動設定ボタン」を押すことによりこのような見やすい画面がほぼ自動で得られるようになっています。実際に上の画面はほとんど何も調整らしい調整はせず、ただこの自動調整ボタンを押したのみです。


IMG_3162


次に、上の画面の様にライブスタックを始めるともう一つのヒストグラムが有効になります。下の方のライブスタックエリアにある「Histogram」タブをクリックすることでスタック時のヒストグラム機能にアクセスできます。でも結果として、スタック無しの個々の画面用、スタック時用と2つのヒストグラムが出てくるので、その関係に戸惑います。

色々試してわかったのですが、単純に言うとまずスタックのヒストグラムの設定が大元の設定になり、その結果がDisplay Histogram Stretchに受け渡され、そこでの設定と合わさったものが画面に表示されるということみたいです。

実際にやる場合は
  1. スタックなしの単独画面の時は右側のDisplay Histogram Stretchで自動設定ボタンを押す。電視の最適化に近いような画面に簡単にすることができる。
  2. スタックがある場合は右側のDisplay Histogram Stretchは自動設定ボタンの下のリセットボタンを押して応答をまっすぐにしておいてから、スタック用のヒストグラムで調整する。スタック用のヒストグラムも自動設定ボタンが同じように使えて、簡単に電視の最適化に近いようなことができる。
  3. スタック用ヒストグラムはさらにカラーバランスを変えることもできる。この結果もそのまま右側のDisplay Histogram Stretchに渡される。
  4. 問題は、スタック用ヒストグラムで調整したことは、スタック用ヒストグラムでは確認できないということです。スタック用ヒストグラムで調整して、右側のDisplay Histogram Stretchでその効果を確認するというやりかたが使いやすいようです。


とにかく電視に関して特筆すべきは、今回はイナズマ状の自動設定ボタンを押すことによりこのような見やすい画面がほぼ自動で得られるようになっていることでしょう。これまであった「Display Controls」のGammaやContrast、Brightnessでの調整もなかなか細かいことができたり、大きくいじることで見えにくかったものが見えてきたりもしたのですが、それと比べても自由度は減っている気はしますが今回の自動設定ボタンはかなり優秀です。自由度は減っても、同じようなことを圧倒的な短時間と、技術に全くよらずにできてしまうことは、電視観望会などで大きな威力を発揮するのかと思います。

馬頭星雲で比較して見ました。最初が以前のバージョンのDisplay Controlsで調整した場合です。

IMG_3165


次が、新しいバージョンの自動設定ボタンで調整した場合です。

IMG_3167

共にスタックしていますが、古いバージョンは6.4秒x26スタック、新しいバージョンは6.4秒x16スタックと、総露出時間が短くても新しいバージョンの方が明らかに綺麗に見えています。

ベータ版で次々に新しい機能が付いてくるので、まだまだ今後のShapCapの進化が本当に楽しみです。


自分で修理したAdvanced VXのテストの一環として、カメラ撮影を試してみました。2017年11月25日の晩、対象は月が沈んだ頃に出てくるオリオン座が一晩中いるので、その中の馬頭星雲と燃える木。テスト撮影なので、色々試せるように自宅の庭での撮影です。

月が沈むまでに時間があったので、ついでに冬場の寒さに備えての家の中からのリモートコントロールを試しました。Advanced VXとCarte du CielとAstro TortillaをASCOMでつないでの自動導入とPlate solvingです。この組み合わせは春の寒いうちにやっていたことがあるので、その再テストになります。前回の記事で書いたように、Windows10に色々問題点もあったのですが、その甲斐あって夜のテストではほとんど問題なく導入と、BackYardEOSから画像を撮って、AstroTortillaが解析、さらにCarte du Cielへのフィードバックアラインメントの自動補正で、またBackYardEOSから画像を撮ってAstroTortillaで位置の再確認まですることができました。このおかげで自動導入の精度に全く困らなくなるので、暖かい家の中から導入から撮影まで安心して実現でき、非常に快適です。


さて、実際の撮影ですが機材はCarte du CielやStellariumで持っている機材の場合の画角を調べるとFS-60Q(焦点距離600mm)にAPS-CEOS60Dの組み合わせが良さそうです。実は9月に改造版の6Dを購入しているのですが、未だに使うチャンスがありません。MagicLanternもインストールして準備はできているのですが、使い始めはいつになることやら。ということで結局いつものセットアップで進めます。

AVXですが自動導入までは志摩でのテストで心配ないことはわかっているので、今回は実際にガイド撮影をしてのテストです。ところがこの日はものすごく風が強く、そのせいかわかりませんが、赤緯側に分単位の周期的な変動があります。壊れたのは赤経側ですが、もしかしたら偏心みたいな影響があるのかもしれません。それでも撮影している画像を見る限り、ほとんど流れたりすることはなく、むしろ風の影響のブレが大きいくらいでした。どれくらい風が強かったかというと、午前1時頃に撮影を始めてから眠ってしまったのですが、朝4時頃にあまりの風の音に目が覚めて心配で外に出たら、セットしてあったテーブルが風で遠くに吹っ飛んでいってしまっていました。色々置いてあったものも散らばっていて、写真を見てみると結局午前2時半頃以降はうまく撮れていなかったようです。まあ、三脚が倒れなかっただけでもよかったかもしれません。それくらい風が強かったので、ダークもフラットも撮る間も無くすぐに撤収しました。

というわけで画像処理したものですが、風でブレているものと薄雲がかかっていた分を除くと3分x13枚と大した枚数は稼げずに、粗い画像となってしまいました。もう少し色が出るかなと思ったのですがこれ以上出すと背景のノイズばかりが目立ってきます。自宅だとこれくらいが典型的なのかもしれません。やはりこれ以上は暗いところに遠征に行かざるを得ないみたいです。

New5b

富山県富山市, 2017年11月26日1時24分
FS-60Q + Advanced VX赤道儀
EOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出3分x13枚 総露出39分
f50mm+ASI178MC +PHD2による自動ガイド
Steller Image 8、Photoshop CC + Nik collectionで画像処理



さて、壊れてなんとか自分で修理したAdvanced VXですが、ガイドでも一応撮影に耐えうるくらいは動くみたいです。ただ、赤緯の周期変動が気になるので、今一度風のない日に試してみようと思います。

(追記: 2018/2/920187/2/17に赤経の回転が噛んでしまいました。さらに修理です。)





冬支度のために、リモート撮影環境を再度整えようとしているのですが、Windows 10のアップデートでStick PC上でいくつかこれまで動いていたソフトが動かないなどのトラブルが発生したので、メモがわりに対処法を書いておきます。


IMG_0717


RDP wrapper

Stick PCはモニタなどもないためリモート使用が前提なのですが、home editionのためRemote Desktopのサーバー側にはなれないため、RDP wrapperというソフトを使って外部からRemote desktopで接続していたのですが、Windows 10のCreator updateで使えなくなってしまいました。対処法はまずは
 
https://github.com/stascorp/rdpwrap/files/1236856/rfxvmt.zip

からrfxvmt.dllを拾ってきます。これを解凍して中身のrfxvmt.dllをc:¥Windows¥System32に入れるのですが、セキュリティーのため簡単には入りません。まず、コントロールパネル->システムとセキュリティ->ユーザーアカウント制御設定の変更に行き、カーソルを一番下まで下げる。エクスプローラーか何かで、c:¥Windows¥System32¥rfxvmt.dllを右クリックしてプロパティの「セキュリティー」タグで自分がフルコントロールできるようにし、その後リネームします。その後拾ってきたrfxvmt.dllをコピーします。ユーザーアカウント制御設定の変更を元に戻すのを忘れないようにしてください。

次に、RDP wrapperを再度ダウンロードしておきます。解凍後、uninstall.batを右クリックの管理者権限で実行してアンインストールしてから、再度install.batを右クリックで管理者として実行してインストール。最後にupdate.batを右クリックで管理者として実行。

これでアクセスできるようになるはずです。


Astrotortilla

星図とのマッチング、Plate solvingで使っていたAstroTortillaがどうもうまく動きません。「Tool」の「Log viewer」でみても数秒でNo solutionと出てしまいます。ログレベルを「Info」から「Debug」にしてみてみると1073741792というコードとともに止まってしまっています。googleで調べるとどうやらファイルの書き込み権限か何かの問題のようです。cygwinが怪しそうなので、再度インストールすることにしました。ただし、そのままインストールするだけではすぐに終わってしまってcygwin関連を書き換えないのでやはり同じエラーコードで止まってしまいます。まずはインストールされているcygwinをリネームするなり削除するなりして、cygwin以下が新規でインストールされるようにします。その後以前の記事のようにインストールし直します。データのダウンロードに再度数時間かかりますが、これをしない限り直りませんでした。cygwinも含めてインストールをしなおすと、無事に動くようになりました。



Windows10 設定変更ツール

今回のアップデートで懲りたのと、以前にも観測で使おうとしてアップデートが始まったことがあったので、今回「Windows10 設定変更ツール」v1.4というアプリを使って、アップデートを自動でしないようにしました。設定したところは作者HPの説明にあったように3箇所で、「ダウンロードとインストールを通知」「自動メンテナンスを無効にする」「Cortanaを無効にする」のみです。これで不意なアップデートは停止できるはずです。

前回の記事と少し前後しますが、先週11月12日の話です。

今回の飛騨コスモス天文台の観望会はめずらしく日曜日開催でした。子供達はこの観望会をすごく楽しみにしているみたいで、いつものように3人で数河高原を目指しました。明るいうちに着きたかったのですが、途中食事をとったりで、結局到着したのは18時過ぎ。車から出るととても寒かったですが、天の川がものすごく綺麗で、南西から北の方までかなりくっきりとかかっていました。

IMG_5298_stitch_si8_ps_photo


この日の目的の一つは修理した赤道儀のテストでしたが、セットアップしている途中で電視に移ってしまい、最後まで試すことができませんでした。電視の方はというと、高山の方から来ている方が何人かいるということで、いつものM57とM27をみんなで見ました。ちょうどドームの中で写真をみせてもらったらしく、それが実際に空にあるものを見ることができたので、喜んでくれたようです。数河高原はさすがに光害も少なく暗い空です。星雲もとても色鮮やかに見ることができました。他にももう少し見ようとしたのですが、Nexstarの導入精度があまり取れていなかったので、あきらめてしまいました。それよりも天の川が綺麗なのと、おうし座北流星群が極大日だったので、普通に空を見上げて星を見るのが楽しかったです。

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今回子供メンバーはというと、4年生のKちゃんに、5年のSuke、中1のNatsu、中3のS君と、いつものメンバーで、走り回って大騒ぎをしていました。S君がSukeにとってちょうどお兄さんみたいで、いつも相手をしてくれています。途中Yさんが出してくれたコーヒーが暖かくてとても美味しかったです。子供達はお菓子をパクパク食べていました。Yさん曰く、修理したドームも夜に温度が低くなってもきちんと動いているということで一安心です。

実は今年度は今回で最後の観望会です。間も無く雪が降って来るので、来年の春、4月か5月くらいまでは車で入ることもできなくなってしまいます。みんな名残惜しそうに、「よいお年を」と声をかけ、22時頃にコスモス天文台を後にしました。代表のYさん、いつも双眼鏡や望遠鏡を出してくれるSさん、今回会えなかったですがコスモス天文台の皆さん、今年も楽しい観望会をありがとうございました。また来年春の観望会を楽しみにしています。



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