先日、BKP200の焦点距離を短くしようとしてレデューサーを使った時にうまくいかなかったので、その理由を考えてみました。
そもそも手持ちのレデューサーは0.5倍と書いてあるのですが、焦点距離はについては何も書いてありません。レデューサーを手に持って指や物を見てみると、焦点距離数cmのただの凸レンズのようです。なぜレデューサーの焦点距離にあまり関係なく、必ず2倍になるのでしょうか?まずはこれを考えてみます。
望遠鏡の対物レンズ(今回の場合ニュートン反射望遠鏡の主鏡)の焦点距離をf1、レデューサーの焦点距離をf2、2枚の合成焦点距離をf、2枚のレンズの間の距離をdとします。 合成レンズの式より合成焦点距離は
\[f = \frac{f_1 f_2}{f_1 + f_2 - d}\]
と書くことができます。その際、レデューサーからセンサー面(合成焦点で合焦できる位置に置くと仮定)までの距離をb2とすると
\[b_2 = f - d_2\]
と書くことができ、d2は
\[d_2 = \frac{f d}{f_1}\]
と書くことができます。 証明は他のページに譲ります。
ここで手持ちの具体的な値を入れてみます。f1 = 800mm、f2を適当に50mmとし、dを最初の焦点位置からレデューサーの焦点距離だけ内側に置いたf1 - f2 = 750mmとします。すると
\[f = \frac{f_1 f_2}{f_1 + f_2 - d} = \frac{f_1 f_2}{f_1 + f_2 - (f_1-f_2)} = \frac{f_1 f_2}{2 f_2} = \frac{f_1}{2} = 400\]
となり、ちょうど合成焦点距離が元の焦点距離800mmの0.5倍になります。これはレデューサーの焦点距離に関係なく、d = f1-f2とさえ置いてやれば成り立つ関係です。これが焦点距離を書かずに0.5倍レデューサーとだけ書いてある理由です。さてその際のb2ですが、
\[b_2 = f-d_2 = f-\frac{f d}{f_1} = f(1-\frac{d}{f_1}) = \frac{f_1}{2} (1-\frac{f_1-f_2}{f_1}) = \frac{f_1}{2} (1-1+ \frac{f_2}{f_1})\]
\[ = \frac{f_2}{2} = 25\,\rm{[mm]}\]
となり、レデューサーの焦点距離のちょうど半分になります。
これが問題でした。前回、レデューサーからセンサー面までの距離を5cmくらい取っていたからです。
実際、dを717mmから792mmまで変化させてfとb2を見てやると、fは300mmから700mmまで変化しますが、b2は31.2mmから8.3mmまでしか変化しません。すなわち、レデューサーを実際に置くことができる位置、期待したい焦点距離(0.5倍付近)を考えるとb2は、上の範囲くらいしか解がないということです。
(追記: 2020/1/4の記事で上記の刑についてグラフ化しています。)
今手持ちの機材は以下の写真のようになっています。
なので、上記範囲に近づけるように適当に組み合わせて
というように変更しました。
その結果、無事に合焦するようになりました。
コメント
コメント一覧 (2)
流石、計算ずくですね。(*゚▽゚)ъ
レンズの組み合わせの問題って中学生ぐらいでみんな習ってると思うんですが、覚えてる人ほとんど見かけないような…星屋ですら。
(´・ω・`)
午前中には余裕で着けるはずです。
安全運転、安全運転。