ほしぞloveログ

天体観測始めました。

以前の分光器SHG700を使って測定したPSTのエタロンに引き続いて、いよいよフェニックスのエタロンの透過特性を測定します。



解析時のオフセットの見直し

でもその前に、以前、2025年9月23日に測定したPSTのエタロンの透過特性で少し訂正があります。グラフを再掲載しますが、ピークとピークの間の底の部分の実測とモデルが少しズレています。

fit_result_ok

この理由を以前はロスのせいと述べていましたが、これは勘違いということが判明しました。正しい原因は、測定時にカメラの設定でオフセットをつけていたのに。モデル化するときにそのオフセットをきちんと考慮していなかったことです。撮影時のオフセットはADCのカウントにすると16bit換算で2000に相当します。カメラは12bitのG3M678MでSharpCapでの撮影時にオフセットを2000としたのですが、これは(ちょっと不思議なのですが)16bitで換算された時の値になるようです。その際のエタロンの櫛のピークの高さが40000程度なので、5%ほどのずれになり、無視できない範囲です。上の画像もちょうど5%くらいずれています。オフセットの補正をして、改めてフィットしてやると下の画像のようになります。
fit2_result
底の部分が一致するようになったことがわかります。その際のFWHMは0.71Åとなり、前回より少し小さく出ています。

底の部分を合わせることがなぜ重要かというと、そのずれの分ピーク位置の高さが変わるからです。ピークの高さが変わると、当然半分の高さも変わってしまうので、FWHM(Full Width Half Maximum)も「半値全幅」の名の通り、その幅が変わってしまうからです。底位置での高さの式は

(T/(1+R))^2

で表され、上の鏡の反射率と透過率(1-R=0.28)を入れると(0.28/1.72)^2=0.026となります。この高さも使われることで、より正確なフィッティングになります。

PSTのエタロンについては、別の日の2025年10月5日に測定したデータもあります。それを同様にフィッティングしてグラフ化すると以下のようになりました。
fit_result

フィッティングから求めたFWHMは0.98Åとなりました。上記の0.7Å程度と結構違います。まだ原因がはっきりしたわけではないですが、おそらく測定の際にPSTエタロンに入射する光の当たり具合が違うために起きているようです。パラメータは大きく2種類あると考えられ、
  • 面内のどこに、どれくらいの面積で光が当たるか
  • エタロンに対する光の入射角
が問題になるかと思われます。これらのばらつきは、この時点ではまだ解決していないので、今後の課題となります。


Phoenix

PSTは一旦置いておいて、次にPhoenixのエタロンの特性を測定したいと思います。測定は2026年1月4日に行いましたが、LED光源が暗すぎて櫛の底の部分がノイズに埋もれてしまっていたので、再度2月7日に測定しました。

IMG_2524

Phoenixは鏡筒の先端部にエタロンが付いているため、鏡筒を通した光を分光器SHG700に入れます。エタロンの特性を見たいので、上の写真からBFとERFは外しています。

今回、鏡筒という長い筒を使うことで、エタロンへの入射光の角度を一定に近いものにすることができることがわかりました。PSTの測定の時にはエタロン単体に近い状態で測定していたので、LED光源の角度を変えるとピーク位置が変わるような様子が見えましたが、鏡筒込みのPhoenixの場合は画面を見ている限りはそのようなことはないようです。ただし、光がエタロンの面内のどこに当たるか、どれくらいの面積で当たるかはまだ確定していません。LEDライトは、先端に付いているレンズ位置をスライドさせることにより光束を広げたり収束できるもので、今回はとりあえず光束径がエタロン径に合うようにしましたが、LEDとエタロンの距離を一定に取れていないのでまだ不確定性があるはずです。それでもPSTの時よりはかなり安定に測定できいるのは間違いないでしょう。

更に、前回記事にした波長のキャリブレーションをしました。
Figure_1
フィットされたデータを見てわかりましたが、短い波長側と長い波長側で5%程違います。Hα中心はほぼ計算通りの0.0905Å/pixelですが、短い側は0.0928Å/pixel、長い側は0.0885Å/pixelです。使っているのはHα線のみなのでこのずれは効いてはこないですが、櫛構造のフィッティングで広い範囲を使う場合は多少効いてくるでしょう。

更に、PSTの再計算で検討したのオフセットもきちんと考慮しながら、エタロンの測定データをフィッティングしてみます。
fit_result_ok

フィッティングは実際にはもっと広い範囲で実行し、グラフでは見やすいように表示する範囲を狭めているため、このフィッティングは櫛構造になるというエタロンの原理そのものの特性を含んでいます。

グラフの横軸の範囲は先に示したPSTと同じなので、直接グラフの形で比べることができます。パッと見だけでもピークの幅が明らかに細くなっていて、Phoenixのエタロンの性能が圧倒的に良くなっているのがわかります。

もう少し詳しく見てみます。まず、Phoenixの場合、PSTに比べてピークとピークの間の幅が広がっているのがわかります。FSRと呼ばれる量ですが、今回は10ÅとPSTの1.5倍程度に広がっています。広ければ広いほど、隣のピークの影響が小さくなるので、これは大きな改善といえます。FSRは「2枚の鏡の間の距離」だけで決まる量で、PSTの0.3mm程度から0.2mm程度に狭くなったことがわかります。ただしFSRが大きくなると、同じ反射率の鏡を使った場合にはピークの幅がより大きくなり不利になります。それにも関わらず、細いピーク幅を実現しているということは、より反射率の高い鏡を使い、フィネスの高い、光の折り返し回数の多い高性能なエタロンを作り出しているというわけです。実際、鏡の強度反射率はPSTの70%程度から、Phoenixでは90%と、かなりアグレッシブな鏡になっていることが実測からわかります。高反射率の鏡を使うとエタロンとしての性能は上がりますが、その一方取り扱いは難しくなり、よりフラジャイルなエタロンとなりますので、くれぐれも荒い扱いは避けるべきです。

そしてFWHMは0.37Åと公称値の0.6Å以下を十分余裕を持って満たしています。今回は得られた画像の真ん中の部分のみを使っていて、これはエタロンの中心部のみを見ていることになるので、良すぎる値が出ている可能性があることは明記しておくべきでしょう。また、LED光源の設置にまだ不確定性が残っているので、絶対値としてFWHMについてはまだ検証の余地があるかもしれません。それでもPSTと相対的に比較することは少なくともできるはずで、共に不確定性はあるにしても結果が大きく変わることはなく、ピークの幅だけを比べても半分以下になっていることは、エタロンの性能として圧倒的に進化しているということは言えるのかと思います。

もう少し比較します。BFでHα線の波長以外をどれだけブロックできるかと、太陽光まで考えた時にどれくらい変わるかです。まずは参照として、以前掲載したPSTの場合です。

sum_eta_BF
sum_eta_BF_spe
1枚目のグラフを見るとわかりますが、Hα線の隣の左右のピークが少しですが残ってしまっています。更に2枚目では、それに太陽光のスペクトルを掛けたものを表しています。太陽光のHα線は吸収線ですが、それ以外では連続光で明るくなっているので、漏れ光としては大きくなり、左右のピークの影響は更に大きくなってしまいます。そもそものHα線のすぐ周りの裾の明るくなっているところも拾ってしまっていますし、左右のピークの高さもそれぞれ15%程度、両方あるのでそれの2倍と、無視できる範囲ではありません。

Phoenixの結果を示します。
all

all_sun_multi


1枚目のグラフでは、左右のピークの影響は全くなくなっているのがわかります。BFの透過幅自体はPSTでもPhoenixでも同じくらいです。PhoenixでFSRが広がっているのが効いていることがよくわかります。2枚目にあるように、太陽のスペクトルを掛けると、やはりHα線以外では明るいので少し影響は見えますが、PSTに比べたらほとんど影響がなくなっていることがわかります。あと、ピークの幅が小さいことが、Hα線すぐ裾の明るくなる部分もきちんとカットしてくれていることもわかります。

2枚目が実測の見え方に相当するので、2枚目で比較すべきだと思いますが、差がより明確に出ているのがわかると思います。実際に目で見たり撮影に影響するのは、全波長で積分した光量になるのですが、コントラストが圧倒的に改善することは容易に想像できるのかと思います。


まとめ

エタロン特性も大分まともに測定できるようになってきました。今回で光源の入射角についてはかなり改善できたのかと思います。測定結果を見る限り、Phoenixのエタロンはかなりすごいことがわかりました。ただ、FWHMが0.37Åと公称値の0.6Å以下というのに比べて良すぎる気もするので、もう少し検証は必要なのかと思います。PSTも鏡筒を付けて入射角の依存性を少なくして改めて測定したいと思っていますが、それで大勢が変わるとは思えず、今回の比較でわかるように太陽望遠鏡としてのエタロンの性能の進化にはもう驚くばかりです。さらに、FWHMの測定結果だけでなく、実際に太陽像を見た時の面内の見え方のばらつきも圧倒的に少なくなっていることから、世代が変わったと言っていいくらいの進化と結論づけていいかと思います。

さて、次はHeliostar100Hαの測定結果です。お楽しみに。


ちょっと前に、XでにゃーとんシュガーさんからR200SSでフラット補正がうまく行かないという投稿がありました。

ちょうど同じ時期にseki-chanさんもR200SSでよく似た問題に直面していて、個人的に直接問い合わせがあったので、個々のRAWファイルにまで見ながら、ある程度の理由を突き止めました。だいこもんさんからその過程を公開してほしいとの要請があったのですが、記事にするのに時間がかかってしまいました。

実際、皆さんフラット補正には相当苦労されてますよね。理由はそれぞれかと思いますが、フラット補正については古くから様々な方法が提案されています。それでもいまだに決め手がないような状態かと思います。光学的フラット補正の「アルゴリズム」自体は、各種画像処理ソフトにおいてある程度確立しているので、問題は「フラット画像の撮影方法と」言ってしまってもいいかもしれません。

ちょうどいい機会なので、最近思っているフラット補正について思うこともあり、記事にしておきます。あくまで光学的なフラット補正についてで、画像処理中に行うソフト的なフラット補正については基本触れず、今回は最後に少しだけ適用するだけにします。


フラット補正は大変

まず、フラット画像の撮影について、私がやっている方法を何通りか書いておきます。ただし、この方法が必ずしも正しいわけではありません。自分の環境に合わせて各自で試されるのがいいのかと思います。

基本的には、私は部屋の中の白い壁を使っています。これは元々、以前見学に行った東京大学木曽観測所の口径1mのシュミット望遠鏡が、ドーム内に吊るした白いスクリーンを使ってフラット画像を撮影していることから、この方法にしたという経緯があります。

白い壁を使う場合ですが、光源は日光の方がよくて、晴れた日か、曇りの場合は全面が曇っていて明るさが時間であまり変化しない日がいいです。窓の近くで、直射日光が当たらない壁で、できるだけ均一に光が当たっている部分を探します。基本的には明るい方がいいですが、窓が大きくて明るすぎる場合などは、薄手のカーテンなどしてもいいでしょう。壁の明るさはなかなか一様にはならず、窓側に近い側がどうしても明るくなりますが、それでもできるだけ均一な場所を選びます。このグラデーションに近い明るさの違いは、PixInsightのABEの1次でほとんど落とすことができます。あと、鏡筒の自らの影が壁に映ったりするので、あまり鏡筒を壁に近づけないことです。

もしくは、障子を利用する手があります。鏡筒の径が収まる面積の障子があれば、直射日光が当たらないところを探して、それでフラット撮影すると簡単です。屈折など、そこまで口径が大きくない場合はいいのですが、大口径の反射型などではそれだけの面積を持つ障子面を探すのが難しくなってくるので、私は最近は障子はあまり使っていません。

もう一つの方法が、晴れた昼間でいいので、鏡筒を空に向けてピントをずらして撮影することです。これは鏡筒やフォーカサー部、カメラ筐体からのセンサー面への光の入り方をかなり再現することになるので、フラットはかなり合います。特に光害地では効果が高いです。その代わり、青くなるのでその補正が必要なのと、視野に虫や鳥が入り込むこんでピントが合ってしまうことがあるので、邪魔なものが入っている画像を目で見て取り除く必要があるのが面倒なところです。

逆に一見良さそうで全然ダメなのが、ライト撮影後に対物側にスーパーの袋などを被せて、まだ暗いうちにフラットを撮影することです。「暗いうち」というのがダメな原因で、できたフラット画像は結局のところ暗いところを写しているだけなのでノイズが大きく、これでフラット化すると縞ノイズの原因になったりします。

あと、壁の場合でも、障子の場合でも、青空の場合でも、フラット撮影をするときは「カメラ側を暗くしない」ことがコツでしょうか。現実的には、天体撮影時にフォーカサー部やカメラからも光が入っていて、特に光害地での撮影だとフラット撮影時にそれを再現できないためにフラットが合わないケースがあります。フラット撮影時にもできるだけ実際の状況を再現してやるという考えです。上の方法は全てその観点から有利になっています。壁の(あまり明るすぎない)光を利用するのも、対物側とカメラ側での光量にあまり差をつけないためです。フラット撮影は短時間で済むので、漏れ光は関係ないのではという反論もあるかもしれませんが、ライト画像の撮影時には1枚あたりの露光時間が長くなるので、漏れ光の影響は入ってくると考える方が自然で、それを漏れ光が入っていないフラット画像で補正しても、原理的に補正できないのは想像できるかと思います。

その一方、フラットダークの撮影時はカメラ側も徹底的に暗くしてやります。昼間にカーテンなどで部屋を暗くするだけでは不十分で、私は部屋を暗くして、なおかつ毛布などをカメラを含めて鏡筒全体にかけて光を遮ります。ただし、毛布などを被せる時にカメラの排気口を塞ぐのは厳禁です。熱がカメラにこもってしまい故障の原因になりかねません。排気口を塞がないように且つ、光が入らないような工夫をすべきです。

IMG_8667

接眼部からの漏れがあるかどうかは、カメラを鏡筒につけたままダークノイズを撮影してみるとわかるかと思います。通常のライト撮影と同じ露光時間、ゲインで、対物側にキャップを被せてダーク画像を撮影します。その際、明るい部屋で撮影するのと、暗い部屋でさらに毛布などを全体に被せて撮影して、それぞれの画像を比較してみてください。画像の比較はオートストレッチをして、必要ならABEの4次などを使い差を見やすくするといいでしょう。ここで差が出るならば、漏れ光が原因でフラット補正がきちんと当たらない可能性が高くなります。また、漏れ光でダーク画像自身が汚されてしまい、ダーク補正がうまく行っていない可能性も出てきます。

ダーク画像、フラットダーク画像、必要ならばバイアス画像も、暗い部屋でさらに毛布などを被せて暗い状況を作り出し撮影し、その一方フラット画像はライト画像の撮影時の状況をできるだけ再現するという、ある意味至極真っ当なやり方というわけです。

これらの観点から考えると、LEDなどのフラットパネルでの撮影は原理的にどうやっても合わないと思われます。フォーカサー部やカメラ筐体からの接眼側光の入り方を無視して、鏡筒側だけ光度を強調しているからです。フォーかサーブからの漏れをものすごく気をつけているとか、ものすごく暗いところで天体を撮影しているのなら、接眼側から入る光が少なくなるのでこの問題が顕在化する可能性は下がるでしょう。フォーカサー部やカメラになんの対策もせず、光害地、特にローカルな街灯や家の明かりなどがある光害地では、この問題は大きくなる可能性が高いです。また、そもそもLEDパネルは対物側にピッタリつけるので、光路的にも現実の光の入り方とは変わってくるはずです。壁撮影も原理的には合わないですが、対物側にすきまがあるのでまだ現実を反映しやすいと考えられます。

ただし、LEDが全く使えないかというかというと、そんなことは全くなく、程度問題なのかと思います。暗い場所で撮影している場合は漏れ光の影響は少ないでしょうし、漏れこう対策をきちんとしている場合も大丈夫でしょう。原理的に光のパスが違うのは仕方ないのですが、これもどこまで合わせるかで問題になるかどうかが決まってくるでしょう。私は淡いところを相当炙り出したい口なので、わずかのフラットのズレが問題になってきますし、結局のところ光学的なフラット補正だけでは完全に合わせるのはほぼ無理なので、ソフト的な補正も駆使してます。あまり淡いところをあぶり出さない場合は、フラット補正は多少ズレがあっても問題にならないでしょう。というわけで、それぞれの環境、目標に応じた程度問題ということになるのかと思います。

あと少しだけ一般事項です。フラット画像の撮影は画面が十分明るくなるような露光時間にします。目安はヒストグラムで見てピーク位置が左3分の1から真ん中くらいです。フラット撮影時のカメラのgainはライト撮影時のゲインと必ず同じにしてください。その一方、温度は常温で構わないと思います。フラット撮影時のような短時間露光ではダークノイズはほとんど関係ないですし、バイアスノイズの温度依存性がほとんどないことは以前調べています。それよりも、下手に温度を下げたりして結露してフラット撮影を失敗することの方が多かったです。今のところ常温が原因でフラット補正を失敗したという経験はありません。

その他、基本的なことは当然なのですが、基本的に守るようにようにします。基本ができてないと何をやっても無駄です。例えば、フラットダークは必ず撮影します。フラット化がうまくいかないかなりの原因がフラットダークを使っていないことです。フラットを撮影してからそのまま部屋を暗くして、毛布をかけて、同じゲインと同じ露光時間で撮るだけです。あと、フラットとフラットダークは必ず同じ時間帯に撮影するようにしています。時間が経って温度が違うと振る舞いが変わる可能性があるからです。フラット、フラットダークの温度が合っていれさえすれば良くて、上にも書いたように、ライトフレームの温度とは違っていても構わないので、フラット撮影時に冷却する必要はありません。

いつも気をつけていることは大体これくらいです。ここで書いてるあることも単に経験則で、きちんとした検証はできていませんが、フラットで困ることはあまり無いので、そこまで間違っていないと思います。


問題の画像

seki-chanさんとは結構頻繁に画像処理の検討をしていて、今回撮影したフラット画像も、上のようなことを実行してくれています。その上で、今回はフラット補正が全くうまくいかなかったとのことです。最初に送られてきた画像は以下のようなものでした。

NGC2359_周辺減光が過補正

円のような青い形が周りに出ていて、フラットが合っていないように見えます。状況を聞いて、例えばCBPフィルターを使っているとのことなので、それも疑いました。また、処理ソフトがSirilとのことなので、フラット補正アルゴリズムが間違っている可能性もあると思い、他のソフトでも試してもらいましたが、いずれも状況は変わらずでした。他にも色々試してもらったのですが、なかなか原因が掴めずにいたので、ライト画像、ダーク画像、フラット画像、フラットダーク画像を全枚数をRAWでアップロードしてもらい、手元でそれぞれ確かめることにしました。

実はこの時点である程度原因は予測できていて、seki-chanさんに子午線反転の前後の画像をあらかじめ送ってもらっていました。一見するとあまり差がないように見えるのですが、よくみると暗い部分が反転している様子が見えました。このことを確かめるために、画像をRAWで送ってもらったというわけです。

問題の子午線前後の画像です。
2026-01-09_23-58-39__-10.00_180.00s_0049_d

赤道儀が反転する前後のRAW画像を、debayer、オートストレッチして、SterNetで恒星を消したものをgif化しています。このブログへのアップロードの関係でサイズを小さくしていますが、大まかな傾向を見るのには支障がないでしょう。

繰り返し見て比べてみると、明るいところと暗いところが上下で反転しているのがわかるかと思います。これは、近くにある邪魔な光が、ニュートン反射鏡筒の先端部から入り、先端部近くについている接眼部に非対称に当たるために起こることが原因で、子午線反転でその効果が逆転してしまった様子です。

次に同じ子午線反転前後のライト画像を、フラット補正したものを示します。
2026-01-09_23-58-39__-10.00_180.00s_0049_c_d
RAW画像をフラット補正とダーク補正して、debayer後にオートストレッチしたものです。

フラット補正に利用したマスターフラット画像は以下のようなものです。こちらもdebayerしてオートストレッチして見やすくしています。
integration_RGB_VNG

上のように、フラット補正をした後の画像を2枚を重ねて交互に見比べるとよくわかりますが、迷光の入り方で出来た差を1枚のマスターフラットでは補正しきれていないのがわかります。

次がフラットでは補正しきれていない60枚の画像を位置合わせしてスタックしたものです。
masterLight_BIN-1_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

補正しきれていない部分が重ね合わせのようになり、円状の形になっています。それぞれがうまく補正できていない一枚一枚をスタックしたので、当然かなりひどい影響となってしまっています。これが、最初にseki-Chanさんから送られてきた画像相当のものになります。一番上の画像を比べると、ちょっと補正できていない部分の形が違って見えますが、ストレッチの仕方で見え方は違ってきます。紫っぽい色なんかはよく似ていますね。


なぜこんなことが起こるのか?

結局のところ、ニュートン反射の迷光は、接眼部が鏡筒先端に近いことが原因です。接眼部が鏡筒の片側だけについているので、入ってくる迷光が本質的に対称にならないからです。撮影画面上では左右や上下で非対称になります。左右か上下かは、カメラの回転角によります。このような鏡筒と撮影地の場合、子午線反転で光の当たり具合がかなり変わってしまっています。このことは、接眼部が鏡筒横についている反射型ではかなり一般的に起こる話で、私の使っているε130Dでも起こっています。同じ反射でも、接眼部が対称になっているシュミカセなどでは起きにくいと思われます。


この光のズレは、赤道儀が動くことにより、光害などによる迷光の入り具合が違ってくることが第一に考えられます。光害と言っても、遠くの空が明るいとかというよりは、近くの街頭などの影響の方が効いてくると思われます。周りが明るい市街地での撮影だと顕著だと思います。フラット画像は例えば壁利用なんかだと、安定した状態で撮影した画像をスタックしますが、少なくともこうしてできた「一通り」のフラット画像で、これだけ違う状態を一度にフラット化するのは無理でしょう。反転前と反転後の位置でフラットを撮影して、それぞれ別に処理すると少しマシなのかもしれません。

実際には赤道儀の反転時だけでなく、追尾で動いていく最中にも迷光の状態が変わっていくはずなので、反転前後の2グループに分けるだけだとまだ不十分かもしれません。フラット処理を終えた画像を1枚1枚見ていくと、処理しきれていない誤差が画面上を動いていくのが見えます。これらをスタックすると、補正できないところが円上の形になって出てくるかと思います。

上の、円状にフラット補正がうまくいっていない画像を、無理やりソフト的に解決してみたものになります。
integration1_ABE_ABE_ABE_ABE_ABE_ABE_ABE_ABE_DBE1

これはPixInsightのABEで1次から8次まで8回繰り返し、最後にDBEをかけたものです。これくらいやって、やっと添付画像くらいになりました。完璧ではありませんが、かなりましになったかと思います。

でも、この補正は画面全体が星雲でモクモク状態だと通用しません。PixInsightのMGCだとかなり対応できるのですが、このトールの兜星雲のように、領域のデータがまだないようだMGCも使うことができません。今回は全体がモクモクしているわけではないので、まだなんとか誤魔化せたくらいです。

一番の解決方法はまずはフードだと思います。それでも時としてフードが悪さをする場合もあります。フードはペラペラの薄いものだと形が安定しないので、取り付け方次第で迷光の入り具合が変わります。もしフードを取り付けるなら、頑丈で変形せず、毎回同じ位置に取り付けられるものがいいと思います。

ε130Dもよく似た問題があるのですが、結局フードも結構面倒なのと、フードなしの方がいい場合もあったりするので、私はソフト側でなんとかしてしまっています。

というわけで、光害の影響というのが私の結論です。光害地ではフードは必須でしょう。それでも影響は残ると思うので、ソフト的な処理が必要になるかと思います。


エピローグ

その後のseki-chanさんからの返答です。
ご検討いただき、ありがとうございます。また、迷光の影響と結論づけていただき、ありがとうございます。大変勉強になりました。

今回ご指摘いただき、これまで撮影した画像を落ち着いて見返してみました。

いつも屈折望遠鏡とニュートン反射望遠鏡で撮影しています。
屈折望遠鏡の方はフラット補正後に割と素直な勾配のカブリにとどまっていました。
こちらは結露対策で長めのフードを付けており、迷光対策になっていたのだと思います。

一方、ニュートン反射の方は今回ほどひどくはないものの、ほとんどの写真で複雑な背景勾配になっていることが分かりました。
程度が軽く、一回のBGE処理で目立たなくなっていたので、気づいていないだけでした。
とのことでした。多かれ少なかれ、ニュートンで光害地での撮影では同様の問題が存在するのかと思います。


まとめ

フラット補正については私も紆余曲折してきていて、過去様々な方法を試しました。障子撮影でかなり落ち着いてきて、大口径も含めて白壁撮影で今はほとんど問題がないです。撮影したフラット画像は、鏡筒とカメラを外したり回転しなければ、使い回しができるので、できるだけ同じセッティングを保ちながら撮影するようにしています。それでも最近ε130Dの子午線反転でまだ問題があることがわかったので、こちらはもう少し対策を進める必要がありそうです。

今回、フラット画像撮影においてフォーカサー部などからの光の漏れの影響について言及しましたが、もう少し定量的な評価が必要かと思っています。ただ、これまでこういったことがこれまで議論されたことはほとんどなかったで、フラットパネルの有効性も含めて、今後議論が進めばいいのかと思っています。


「 ほしぞloveログ」では毎年1月末か2月頭くらいに前年のまとめをしています。本当は年末に書いてしまうのがいいのですが、年末年始はたいてい忙しいので、少し余裕ができる1月末になってしまうというわけです。2024年のまとめ記事はここにあります。


2024年に体調を崩してしまいましたが、2025年はかなり回復して、天文活動もある程度自由にできるようになりました。にも関わらず夜の撮影は1年のうちの半年くらいは休眠状態になってしまいました。理由は、このブログを読んでいる方は知っているかと思いますが、太陽に夢中になりすぎたからです。2025年は太陽に捧げた一年と言ってしまってもいいかもしれません。


太陽

まずは一番盛り上がった太陽を、独立してまとめます。太陽画像については2025年のGalleryの後半にまとめてあります。


そもそも、一昨年の2024年は太陽の最活動期にもかかわらず、自分の中で全然盛り上がっていませんでした。C8で分解能よく取れることもわかってきていたし、これ以上を望むならさらなる大口径と、高性能のエタロンを必要としたからです。どうも私はやはり天文屋というよりは物理屋で、面白い天体現象よりは、機材の性能向上の方が興味があるようです。

そんな折に、2024年の末にCP+の依頼がありました。ネタをどうするか迷ったのですが、Hα太陽望遠鏡の心臓部のエタロンの話を以前から考えていたので、いい機会だということで、少しマニア向けになるのですがCP+で話すことにしました。ちょうどフェニックスが発売された時で、運良く評価用にお借りすることができました。フェニックスは入門機ながらも高性能、以前より気軽に手に入れることができる太陽望遠鏡で、タイミング的にも良かったのかと思います。せっかく太陽望遠鏡が広まるなら「難しいと言って仕組みを理解しないよりは、絶対に仕組みを理解して使った方がいい」という思いからでした。

でもこのCP+での講演で、ミイラ取りがミイラになってしまいました。自分自身の太陽熱が燃え上がってしまったのです。CP+用に評価したフェニックスは返却してしまったので、その後はPSTエタロンの最適化を、C8や口径8cmの安価な鏡筒を使って評価しています。

その際、PSTエタロンの性能をきちんと知りたくて、分光器に走ってしまいました。2025年の後半はほぼ太陽分光だったと言っても過言ではありません。分光はこれまでとは全く違った手法を手に入れたようなもので、これまで疑問だったこと、できなかったことが一気に進みました。CaKなどのHα以外の波長をはじめて見ることができたのに興奮し、更には波長分解能が一般的な太陽望遠鏡のエタロンに比べて全然いいので、分解能を活かした様々な検証ができます。エタロンの撮影画像を分光器を使って再現したのは、PSTエタロンが客観的にどのくらいの像を結ぶことができるのかのとてもいい指標になりました。

その甲斐もあって、フェニックスエタロンの性能がPSTよりも圧倒的にいいという確証を持てたので、CP+で借りて以降、とうとうフェニックスの購入を決意するに至りました。

もう一つの大きな進展は粒状斑です。2021年からずっとC8を使い挑戦してきたのですが全然うまくいかなくて、2025年末にTSA-120と使うことで、はじめてそこそこ満足いく結果となりました。原因はNDフィルターが暗すぎたことかと思ってますが、C8に問題があった可能性もまだ捨てきれなくて、今後も撮影を続けて試していきたいと思います。


8cm+PSTで太陽全景が取れるようになってくらいから、分光の時もそうなのですが、太陽撮影をする際はその日の記録として、全景の様子をできるだけその日のうちにXに投稿することと、その後あまり日をおかずにブログに書いておくことにしました。北陸は天気が悪いので、かなり飛び飛びで日が空いてしましますが、それでも撮り溜めた画像を一気に見比べてみると、いろいろ発見があったりします。特に、画像処理の安定度が需要ということがよくわかります。できるだけその日特別の処理を入れないように、処理ソフトデフォルトの設定で処理することが長期にわたっては必要だと実感しています。

太陽関連の記事をまとめたページを作りました。開発関連、観察関連と分けました。これでも各ページのリンク数が多すぎるので、もう少し細分化するかもしれません。





2026年の目標:
とにかく太陽はまだまだやりたいことだらけです。2026年ですが、
  • エタロンの透過特性をより精度良く測定する。
  • フェニックスエタロンを使い大口径化を目指す。
とが大きな目標になるかと思います。前者は少なくともフェニックスと、今借りているヘリオスター100Hαを測定します。精度もあげることができればと思います。後者はすでに3Dプリンタを購入し、計画を進めています。

分光でも2025年に何度チャレンジしてもうまくいかなかったことがあって、それは
  • 太陽「周辺」のコロナを分光で見る
ことです。これはブログ記事にできるレベルでもなかったので、書いてこなかったのですが、太陽「表面」でのコロナはHe-D3からの類推で、ある程度の形を見ることができました。


そもそも分光そのものも2025年に突然始めましたし、分光に関してはまだまだ今の段階では考えられないような面白いことが詰まっているみたいなので、こちらも引き続き継続していくのかと思います。太陽ではないですが、夜の天体を分光で見るというのも面白いことがたくさんありそうで、こちらも目標の一つと言えるかもしれません。


撮影

太陽が盛り上がる一方、夜の天体撮影はかなり寂しいものでした。実際の画像は2025年のGalleryの前半にまとめてあります。

前半は、2024年の画像処理の残りと、年明けから太陽に夢中になる4月くらいまでのわずか数枚です。





その後、半年くらいブランクがあり、10月くらいに久しぶりに撮影を再開しました。




こうやってみると、ε130DとRedCat51+SWAgTiだけですね。主力のSCA260が一つもないです。SWAgTiの方は特に進展はありませんが、安定しているので前半にいくつか撮影していて、ブログ記事にしたものと、まだ未処理のものが残っています。いずれにせよ簡単に撮影できるので、天気さえ良ければ気軽に出して撮影をしていきたいと思います。

途中、彗星を撮影しに行っていますが、天気が悪く、ごくわずか見えたくらいです。


SWAgTiもそうなのですが、画像フォルダを漁ってみると、実はSCA260やε130Dの未処理の画像がいくつもあります。夜の撮影がまだ続いているのに、太陽に夢中になってしまって放っておいたものです。しかも、撮影したかどうかさえも全く記憶にないものまでありました。興味が移ってしまうと、これまで興味があったことも含めて、他に何もやらなくなってしまうのは悪い癖ですね。せっかく撮ったもので可哀想なので、時間のある時に再度処理を進めたいと思います。


2026年の目標:
とまあ、2025年は夜の撮影は全然でしたが、2026年もまだ太陽がしばらく続きそうです。でもこれだと勘も鈍るので、少なくとも細々とは続けたいと思っています。特に、SC260をほとんど使っていないので、大口径で撮影したいものが溜まっています。

2024年の反省で、SCA260とフルサイズのカメラで撮影することとかも目標に入れていたので、できればSCA260やε130Dをカメラを入れ替えて活用できればと思っています。その一方、SCA-260は赤道儀のCGX-Lと合わせてとにかく重いので、なかなか気合が入らず、結局どこまでやる気になるかの問題になりそうです。


機材

新規機材に関しては、主に太陽関連ばかりです。

G3M678M:
まずカメラですが、初めてToupTek社のものを使ってみました。G3M678Mという、ピクセルサイズが2μmと小さいのに、センサーサイズが1/1.8インチと比較的大きく、太陽の全景撮影に向いています。



でもこのカメラの真骨頂は分光撮影で発揮されます。分光撮影に使う細長いROIでの動画撮影では、ROIサイズにもよりますが、フレームレートが実測で500fpsくらい出ます。フレームレートの遅いカメラを使って分光撮影すると、このカメラがいかに優れているかを実感できます。


SHG700:
G3M678Mは全景撮影でも活躍したのですが、そもそもが分光器で使うために購入したカメラです。分光器のSHG700が多分2025年に買った(金額とか物理的な大きさという意味ではなくて)最大の機材でしょうでしょう。4月に発注して、待ちに待って、6月に到着してからは、一連の分光記事がずっと続くことになります。


何をやったかは独立したまとめページを作るくらいの分量になりました。


個々のページが、ほぼ毎回新しいことを試していて、いかに楽しかったかがまとめページを見ているだけで思い出せます。


Phoenix:
太陽のところですでに書いたのですが、2025年に買った最後の大型機材も太陽で、まあ大型と言っても太陽望遠鏡としては入門機のPhoenixになります。



これは今後、安全には十分気をつけながら、物理的に大型にしていこうかと思っています。2026年の正月明けにはそのための3Dプリンタも購入しています。フェニックスエタロンを接続するアダプターを自作するためです。まだあまり使えていないので、今後レポートしていくことになると思います。


2026年の目標:
機材の目標は何ですかね?夜の撮影の方はあまり時間をかけていなくて持て余し気味なくらいで、今の機材でそこそこ満足しています。焦点距離600mmとか800mmで大口径で、カメラもセットで揃えたいというのは以前からありますが、これも今の鏡筒とカメラを入れ替えて組み合わせればなんとかなる気がします。

太陽の方はというと、2026年明けてから少し使わせてもらっているヘリオスター100Hαはかなりいいですが、金額の方もかなりいいところにいっています。軍資金にあまり余裕があるわけではないので、工夫で迫ることができればと思っています。この工夫するというのが2026年の目標でしょうか。


画像処理

夜の天体画像の処理についてはそこまで大きな進歩はなかった気がします。基本的に自宅での撮影なのですが、よほど暗いものを除くと自宅レベルの光害地ならある程度出せるようになってきています。課題はフラットでしょうか。

MGC:
PixInsightは順調にアップデートしていますが、MGCに関してはリリースは2024年ですが、2025年3月の記事で少し検証しています。


ただし、モンキー星雲の処理にMGCを使い、トラブったのは大きな反省点で、たとえ自分で検証したパラメーターでも鵜呑みはダメで、臨機応変に柔軟に対応することがいかに大切か思い知らされました。


上の勾玉星雲の再処理の最後のところに少し書いていますが、MGCで使うMARSデータベースのアップデートも嬉しいニュースでした。


でも、その後あまり音沙汰がないので、また充実してくれればと期待しています。


フラット処理:
ε130Dのフラット処理ですが、ずっとうまくいってなかったのが、フードなしでうまくいくことを発見しました。


でもその後、再びリング状の模様が出てしまい、これが赤道儀の子午線反転のせいであることがわかりました。

フードがない状態で、子午線反転前は綺麗にフラット補正できるのに、子午線反転後は合わなくなるのです。これは部屋で撮影したフラット画像との光の当たり具合が関係しているものと思われます。まだ結論は出ていないので、今後も検証していこうと思います。

とにかく、最近の画像処理の技術は一昔前とは比べ物にならないくらいに高度になってきているのを実感します。上の魔女の横顔星雲や、サドル付近のように、自宅のような光害地撮影でも、短時間でまあ見えるくらいになってしまいます。ノイズ処理でうまく誤魔化せるからなのですが、NXTがバージョンアップでカラーノイズに対応したこと、高周波数と低周波数で処理を分離できるようになったことが大きいです。これまでノイズ処理は臨機応変にいろんなソフトを使ってきましたが、最近はNXT一つでほとんど事足りるようになってきました。

高分解能カメラで、Bin2撮影、Drizzle x2、BXTで分解能は相当出ますし、NXTでノイズはかなり対応できます。ストレッチは長らくいろんな方法がありましたが、最近ではGHSか、2026年に入ってバラ星雲で試したMSAが決めうちでしょうか。背景処理に関してはデータベースさえサポートされている場所ならMGCが相当強力です。とまあ、ソフトでの画像処理が充実してきているのですが、逆にいうと、ツールさえきちんと使えば誰がやっても差がなくなってしまい、ツールを使っていない場合とは逆にどんどん差が開いてしまうという、あまり面白くない状況になってきているとも言えます。画像処理で差がなくなるといっても、撮影に関しては機材や撮影場所など個人で差が出るはずで、画像処理以前のところで差が存在するのは楽しいこと露だと思います。個人的には、リニア処理とストレッチまでは、撮影した画像に対して定量的にベストと思われる処理方法を取るべきで、そこから個性やセンスを出していけばいいのかと思っています。


太陽:
太陽関連は、画像処理と技術が密接に絡んでいます。特に画像処理に特化した話題としては、PixInsightのSolar Toolboxがかなり使えることがわかったので、紹介記事を書きました。


他に、serファイルで撮影したフレームの評価に関してです。明るさに惑わされてAS!4が評価を間違える可能性があるのは確かめられましたが、それ以外は結局はっきりした結論は出ませんでした。JUN1WATAさんがLaplacianを使ったコードを書いていてうまくいっているようなので、自分でコードを書いた方がよりうまく判別する方法を編み出せるかもしれません。


タイプラプス画像の処理方法についても書いています。



2026年の目標:
うーん、目標はあまりはっきりしてません。あえて言うなら、最近ナロー撮影では出なくて、ブロードでしかでしか出ない領域があることを意識しています。でもこれは光害地では不利なので、遠征にシフトするか、でもなかなか難しいので、自宅でRGBのS/Nをあげる工夫を何か考えるとかでしょうか。画像処理というよりは、どちらかというと撮影の方の課題かもしれません。

太陽の画像処理も機材に大きく依存するので、あまり処理に特化した目標というのは今はありません。ちょっとずれますが、3Dプリンタでうまく出力することでしょうか。3次元だけど、一応仕上がりに関わる「(画像)処理」かなと。


観望会など

富山県天文学会関連の観望会と飛騨コスモス天文台の観望会は、コンスタントにあります。と言っても
夏の間がメインで、飛騨コスモスの方は天気が悪い日が多かったので、あまり数はありません。電視観望の記録とブログの記事で数えたら、星まつりを除いて7回でした。








自宅観望という意味で、近くに越してきた友人の中二のお嬢さんが、太陽を見にきてくれました。最近は一人で観察していることが多いので、こうやって人が来てくれると嬉しいものです。



あと、遠く四国から星友のmoleculeさんが、富山の自宅に来てくれました。moleculeさんとは分光関連で盛り上がっていて、今後もいろいろ一緒にやることになりそうです。



星まつり、写真展、講演など

星まつりのようなイベントは、2025年前半が体調が戻っていなかったこともあり、そこまで参加していません。記事にまでした「CP+」「星もと」と、記事にしていない「胎内」「小海」くらいです。福島は都合がつかなくて行くことができませんでした。記事にしていないのは、短時間の滞在で、自分の中であまり盛り上がっていなかったのかもしれません。小海は2024年は行けなかったのですが、2025年で最後になってしまうとのことなので、とりあえず参加できたのは良かったのかもしれません。原村も小海もなくなってしまい、星まつり自体が徐々に少なくなっていくのかもしれませんが、少し寂しいです。



写真展が2つありました。射水市博物館と、ブログの記事にはしていませんが富山市科学博物館にも写真が飾られました。


セミナーは2025年はCP+のみで、太陽の話をしました。かなり凝った話をしたので、ちょっと心配だったのですが、2026年も呼んで頂きまた太陽の話をすることになりました。



技術的な話

夜の天体撮影については、大きな進展はないです。観望会で電視観望をやったらメンテナンス不足でうまくいかなかったので、その後自宅でメンテナンスし、その際に光害地での天の川はフィルターなしの方がよく見えるという記事を書きましたが、本当にこれくらいです。



太陽関連:
その一方、太陽の方の技術的な話はものすごくたくさんあります。というか、太陽関連の一つ一つの記事がなんらかの技術的な進展を含んでいるような様相です。いい機会なので、一度まとめて振り返っておくことにします。

最近では太陽においても、タイムラプス撮影や、良いシーイングを選ぶ場合など、数時間オーダーの長時間に渡って位置を保つ必要が出てきました。特に太陽撮影は昼間なので、北極星を使った極軸調整ができないのが大変です。昼間のガイドの決定打は長らくなかったのですが、PHD2のとあるバージョンが太陽に対応したので、これが決定打となりました。その後、SharpCapを使った有料版へと発展しましたが、私はいまだに無料版のPHD2の太陽バージョンを使っています。


エタロンの話はCP+でしたのですが、さすがに細かすぎてサラッと流しただけなので、ブログ記事で補足しました。エタロンの特性はちょっと面倒なのですが、太陽のHα撮影を本格的にしようとするなら、理解しておいて損はないと思います。


こちらはPSTのBFの径を広げる話です。C8とかで拡大してHα撮影する場合、像の有効径がBFの5mmという小径で制限されてしまっているので、少しだけでもとドリルで穴を広げたちょっと無茶な話です。


PSTはF10で使うとされていますが、実はF値で決まる話ではないという話です。エタロンの手前に入っているレンズ径が制限で、それを満たすのに口径が40mmならたまたまF10になったということです。


SharpCapでの太陽のライブスタックのパラメータなどを説明しています。


カメラの比較ですが、オーバーサンプリングでピクセルサイズがあまり効いてこないはずだとしても、やはりピクセルサイズが小さい方が有利という話です。


太陽Hα撮影の際に、シーイングを選ぶという話ですが、多分この記事が今年1番の成果ではないでしょうか。


「シーイングのいいときに撮影すればいい」という話は探せばすぐに出てくるのですが、では具体的に「いつ」「どれくらいのスパン」で撮影すると「どういう結果」になるとかいう話になるとほとんど見つかりません。それを実際に長時間試してみて、分解能のばらつきがどれくらいになるのかというのを見てみました。1時間も撮影すれば、統計的にシーイングのいい時はある一定の率で存在して、シーイングのばらつきもある程度正規分布に従うことがわかりました。またいいシーイングの持続時間はせいぜい1分ほどで、10秒くらいで変わっても全然おかしくないということもわかってきました。この結果を得てから、1時間ほど連続で撮影すると、今のC8とPSTで撮影する分にはほぼ機器の性能を使い切るくらいのシーイングのチャンスがあり、十分精細で満足な画像が得られることがわかってきました。なので、今の機器としてはこれ以上の開発は一旦ストップで、新しいエタロンを手に入れること、それを大口径かすることが次の目標となり、フェニックスを手に入れることになりました。

フェニックスエタロンの調整範囲は、外気温に大きく依存するようです。もしエタロンの調整角をいっぱいまで回してもまだHα線中心まで来ない場合に、マニュアルで調整する方法を書いています。私だけでなく、他の方からも同様のケースを聞いているので、もし困った場合はこの方法が役に立つお思います。でもあくまで自己責任な方法なので、不安な方は販売店へ尋ねるようにしてください。



分光関連:
分光に関しては新しいことだらけです。フラウンホーファー線や、基本的な撮影方法説明から始まります。



これまであまり説明がなかった、コリメートレンズの調整を含む、全体の調整の仕方を書いていたりしています。


分光撮影は普通の放っておけばいい撮影と違い、一回一回の撮影が結構面倒です。SharpCapのスクリプトを使い、連続で撮影する方法を解説しています。


撮影も面倒ですが、画像は撮影した動画から専用のソフトなどで処理しないと、全体像がでてきません。「JSol'Ex」が比較的便利で、基本の使い方を解説しています。


上でも説明しているように、JSol'Exは標準の機能で太陽表面のドップラーシフトを可視化することができますが、さらに特定の場所のドップラーシフトを波長を変えてアニメ化するようなこともできます。
 

JSol'Exは基本機能だけでなく「ImageMath」というスクリプトを書くことにより、かなり高度な処理まですることができます。そのImageMathを使って、上のドップラーシフトを全景で見ることを試してみました。


全景を連続で40分ほど撮影しタイムラプス化してみると、たまたまJetが写っていたので、そのドップラーシフトを可視化してみました。


さらに応用で、Grainと呼ばれる、Hαから見て長波長側だけに現れるスポット的な模様を見てみました。ここら辺からJSol'Exの機能を超えて、pythonなどで独自コードを書く必要が出てきました。


SHG700は分光器なので、もちろんHα以外の波長でも撮影ができます。CaKが有名ですが、他にも任意の多波長での撮影が可能になります。



多波長撮影の中でも、He-D3線は面白いです。普通はHα線やCaK線などのように、太陽の吸収線の暗いところを狙って撮影するのですが、He-D3は吸収線かつ輝線なので、明るすぎて普通の撮影方法ではうまく構造が見えません。撮影した画像から、近くの連続光の画像をを引いてやって、初めて出てくる像になります。


He-D3線を50枚とか重ねてノイズを低減し、その模様の微妙な変化を捉えると、太陽表面のコロナ活動を見ることができます。これはヘリウムがコロナ活動であるX線、UV線で励起されるために、似たような小僧になるからです。アマチュア天文レベルで、日食以外でコロナを見ることができるなんて、すごい時代になりました。



分光器の発展:
分光機器としての機能向上も検討しています。SHG700標準の7mmスリットを10mmのものに交換し、それに伴いFC-76の代わりにTSA-120を使うことを検討しています。


TSA-120を使うと、G3M678Mではセンサー面積が足りず、より大きなセンサーのASI294MM Proを使ったのですが、その際ROIを裏技で最適化した方法です。


上記のようにカメラを交換して撮影したのですが、分解能は意外なことにFC-76+ASI294MM Proが一番良かったという、ちょっと不自然な結果です。これが本当なのか、もしくは何か間違っているのか、今後も検討していきます。



エタロンの透過特性の実測;
他にも、PSTエタロンの透過性能を直接測ることもでき、定量的にも性能が評価できるようになってきています。フェニックスの方も今後測定して比較していきたいと思っています。




2026年の目標:
こうやって改めて見てみても、技術的な話も太陽関連が圧倒していることがわかります。Hα撮影も、分光撮影も、技術的にはかなりいいところもまできているので、2026年はむしろこれらの技術をコンスタントに使っていくことかと思います。太陽活動期もせいぜいあと1年で、それ以降は機器に関わらず面白い画像を撮影すること自体が難しくなっていくでしょう。

あと、2025年は全然進まなかったカメラセンサーのノイズ解析を、撮影した天体画像を評価するような形でもう少し進めたいと思います。


観光など

2025年もゴールデンウィークに実家の名古屋に帰って、科学館に行っています。毎年なんらかの違いがあって楽しいです。


また、定例の観望会がある飛騨コスモス天文台の近くの神岡町の話も少しまとめています。


こうやってみると、体調が悪くなったのが顕著に出ていて、コロナはもう終息しているのに、あまり外に出なくなっているのがわかります。でもこれにはもう一つ理由があって、休日の天気のいい日は太陽に時間を費やしたかったからです。かといって雨とか雪の日はあまり出かける気にもならずに、結局長期の旅行は予定が立てれず、寸前の天気の予報で週末どうするかを決めています。ちょっとこれは反省ですね。でもあと2026年の1年くらいは太陽に集中したいです。ちょうど太陽の活動期も終わりに近づいていくので、あと1年くらいかと思っています。


ブログとX

2025年1月1日から12月31日までの「ほしぞloveログ」の記事の本数ですが、81本でした。2024年が73本なので、微増といったところでしょうか。相変わらず一本一本が長いですが、ほとんどが太陽関連の記事で、しかも途中からほぼ分光関連になっています。太陽関連の記事だけで60本、うち分光関連は30本でした。これだけ見てもいかに太陽に夢中だったかがわかります。秋くらいからは少し夜の撮影も復活してきていますが、まだ太陽が面白いのでしばらく太陽熱は続きそうです。あ、毎年記事を短くするのを目標にするとか言っていますが、今年も全く達成できませんでした(笑)。

一方、Xのほうは、画像処理が終わった時に投稿するのと、ブログの更新のアナウンスが主な使い道です。あまり発言しないし、あまりいいねも押さないので、フォロワーの方にはレスポンスが悪いと思われているかもしれません。平日昼間はよほど何かないとあまりXは見ないようにしています。夜に発言とかしても、結局次の日の夜に返事を返すとかになってしまうので、追いつけなくなってしまいます。一方、休日は気まぐれにくだらないことを書くこともあるので、適当にスルーしていただければと。

おもしろいのは、画像をアップした時の方が、ブログ記事のアナウンスよりも圧倒的にいいねの数が多いことです。画像の反応がすぐにわかるのはいいのですが、ブログ本体へのコメントが少なくなってしまっています。Xの投稿は時間に埋もれていてしまうので、個人的には技術的な記事も多いブログ記事に関しては、ブログのコメント欄に残したいというのがあります。でもブログのコメントは「残ってしまう」ので逆に敷居が高いのかもしれません。


まとめのまとめ

こうやって1年を振り返ってみると、夜の天体に関してはさておき、太陽に関してはとても充実していました。Hα関連は手持ちの機材では、シーイングを探ることなどを含めて、ある程度はやれることはだいたいやってしまって、そこで得られる画像はかなり満足のいくのになっています。これでやっと機材を次の段階に心置き無く移していくことができます。分光も新しいことだらけでしたが、太陽に関してはかなりのことを試すことができました。それでも分光の応用はまだまだ全然広そうなので、もう少し今の機材で試すことになりそうです。

その一方、講演や雑誌記事などがほとんどありませんでした。電視観望関連の講演や記事が多かったのですが、スマート望遠鏡が普及したので電視観望の役割もある程度終わりなのかなと思います。今回のまとめでは電視観望の項目もなくしています。CP+の講演は太陽の話だったので、こちらはもう少し発展すると思いますが、それでも太陽活動が停滞するまでの話かと思います。逆にいうと、自分のやりたいことに時間を割いた一年だったと言うこともできるかと思います。趣味に避ける時間は限られているので、やはり好き勝手やるのは気楽で一番いいです。あえていうなら、今後はもう少しセンサーの評価など、定量的な話を充実させていきたいと思っています。アマチュア天文は撮影でも眼視でもいまだに感覚的な話や現象論的な話が多いので、根拠となる理論や、客観的なアプローチが必要かと思っています。


Xで少し触れたのですが、馬頭星雲と燃える木星雲の色の違いについて調べてみました。


昔からの疑問

下の画像は以前撮影したものですが、馬頭星雲と燃える木星雲で明らかに色が違っています。カラー撮影なのですが、一応ワンショットナローバンドフィルターを使っています。フィルターは公称値で半値幅がOIII:16nm(±3nm)、Hα:12nm(±3nm)のDBPを使っています。決して狭い半値幅ではないですが、それでもHα周りは赤になるはずなのに、なぜ色に差が出るのでしょうか?

180.00s_drizzle_2x_SPCC_BXT_MS_SCNR_HT6_cut_s

この色の差は、長年ずっと疑問に思っていました。


正体は連続光

どちらも主に Hα(656.3 nm)で光る輝線星雲なのに色が違って見える理由は、「Hα 以外の成分」が大きく関係しているようです。

まず馬頭星雲ですが、馬の形そのものは暗黒星雲でB33と呼ばれていて黒く見えていて、その背景がIC434と呼ばれているHα線で輝く輝線星雲です。IC434はHα成分が支配的であるために、純粋な赤に近い色に見えます。

その一方、燃える木星雲はNGC2024と呼ばれていて、Hα(656.3 nm)に加えて、N II(654.8 / 658.3 nm)がかなり混ざっています。ナローバンドフィルターといえども半値幅が12nmと大きく、Hαと[N II]の波長の差は差は最大でも ±1.5〜2.0 nmと小さいので、どうしてもN II成分も拾ってしまいます。

ここで、HαとN IIはともにH II領域の一部であるということをまず理解しておく必要があります。

H II 領域とは「水素が電離して H⁺ と自由電子として存在しているガス」であり、定義としては「状態量」です。一方、Hα領域とは「Hα(656.3 nm)が強く観測される領域」であり、分光で見ることができる観測的な区分です。同様に、N II領域とは「N II(654.8 / 658.3 nm)が強く観測される領域」を指す観測的な呼び方です。これらはいずれも H II領域という物理的実体の内部構造を、異なる輝線で可視化しています。

燃える木星雲はHαに加えて、「N II成分が多く観測されて」います。

でもここで、HαとN IIは波長がかなり近いので色はほとんど同じであること、さらにHαの上下にN IIがあるので平均化され、ほとんど色に差がつかないのではという疑問がわきます。最初はN IIが波長的に広がりを持っているためにG/Bまで及んで色が変わるのかと思ったのですが、調べてみるとピークは2つに分かれているけれども基本的には単色光で、それぞれの波長の広がり具合はHαと同じと思っていいそうです。

ではなぜN IIが強いと色が変わるのでしょうか?

実は、波長の差は本質的ではなくて、N IIが強い領域では何が起こっているかということが問題になります。

重要なのは、H II領域では電離・再結合が活発になり、自由–自由放射や自由–束縛放射といった連続光に加えて、ダスト散乱光も増え、その成分がG、B側にも「連続的に分布していく」という点です。N IIの強度も、電子密度や電子温度に対してよく似た依存性を持つため、N IIはH II領域の物理状態を示す良い指標となるということです。結局、N IIが強いということは、H II領域の中でも電離・再結合が特に活発な物理条件にあることを意味し、「連続光が増える」という状態を表しています。その連続光がGとB成分にも入ってくるということが本質です。

また、燃える木星雲ではガスとダストの密度が非常に高く、GやBを含む反射星雲成分が混ざりやすいため、中心付近の明るい星(アルニタクなど)からの光が周囲の濃いダストで散乱されるという要素も大きいそうです。

そのため、燃える木星雲の色は純赤というよりは、赤に白が混ざり、サーモンピンクのように見えます。


G、B成分の測定

RGBの比はそれぞれ
  • 馬頭星雲 R(Hα) : G : B ≈ 1.00 : 0.02 : 0.02
  • 燃える木星雲 R(Hα) : G : B ≈ 1.00 : 0.10–0.20 : 0.08–0.15
程度になるそうで、これは分光器を使うことで測定できそうです。

SHG700はこれまで太陽にしか使ってきませんでしたが、夜の天体にもいよいよ分光器の出番を作ることができそうです。ただし、SHG700は波長分解能はいいのですが、一度に見える全体の波長域は狭いので、G/Bを同時に見ることができません。回折格子を回転させ波長をGやBにずらしてみてやることはできますが、いずれにせよ範囲は狭いので、GやBの一部しか比較できません。それでも「H II領域でのGやBへの広がりは連続的」なために、馬頭星雲の背景と燃える木星雲をR、G、Bの波長帯の一部を拾い上げて見ることで、全体の比の比較を十分に推測することができそうです。

その一方、SHG700の分解能を活用して、Hα線とN II線の比を図ることもできるはずです。この比と、上のHαとBおよびGとの比を比較することで、相関があるかなどを見ることができるのかと思います。

これらのことは1970–90年代の分光観測で示されてきたとのことですが、馬頭星雲と燃える木星雲の色の違いの理由を自分で測定して確かめてみることができそうで、かなり楽しそうです。


2025年に撮影した天体写真のまとめです。

all_night

all_sun

2023年のまとめはこちらにあります。

星雲


「網状星雲」
Image20_9_cut
  • 撮影日: 2024年7月5日0時9分-2時57分、9月10日22時35分-9月11日1時24分、9月11日23時8分-9月12日2時37分、9月14日1時2分-3時9分、10月9日20時14分-21時10分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、R、G、B
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 28枚、OIII: 20枚、R: 35枚、G: 29枚、B: 10枚の計121枚で総露光時間10時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、OIII: 0.2秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「IC405 勾玉星雲とIC41」
Image26_HT4_cut_s
  • 撮影日: 2024年10月1日1時1分-3時36分、10月12日1時11分-4時42分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、R、G、B
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin1、Gain 100、露光時間5分、Hα: 17枚、OIII: 8枚、R: 10枚、G: 13枚、B: 12枚の計60枚で総露光時間5時間0分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、37枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 1秒、OIII: 1秒、R: 0.05秒、G: 0.05秒、B: 0.05秒で全て128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「NGC2174:モンキー星雲」
Image15_DBE_cut
  • 撮影日: 2025年3月21日20時3分-22時56分、2025年3月23日19時46分-23時24分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: Player One Uranus-C Pro(-10℃)
  • ガイド: なし
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 88枚 = 264分 = 4時間24分
  • Dark: なし、Flat, Flatdark: Gain 220, 露光時間0.03秒x128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「サドル (Sadr) 付近」
Image25_SPCC_MGC_BXT_GHS_GHS_NXT_HT_more_back2_half_cut
  • 撮影日: 2025年10月17日21時43分-23時51分、10月24日20時30分-23時9分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D (f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader製 Hα 6.5nm、OIII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron製 CGEM II
  • カメラ: ZWO製 ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、R: 6枚、G: 6枚、B: 6枚、Hα: 5枚、OIII: 14枚の計37枚で、総露光時間3時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 R: 0.03秒、G: 0.03秒、B: 0.03秒、Hα: 0.5秒、OIII: 0.5秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


「IC 2118: 魔女の横顔星雲」
Image51_CT_BXT_SPCC_MGC_AS_GHS_GHS_HT_SCNRg_SCNRr_NXT4_cut_ss
  • 撮影日: 2025年10月18日1時5分-2時8分、10月30日0時7分-1時46分、11月22日21時51分-23日1時55分、11月23日23時15分-24日3時41分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: ZWO製 R、G、B、L、Barrder製 Hα
  • 赤道儀: Celestron製 CGEM II
  • カメラ: ZWO製 ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、R: 12枚、G: 13枚、B: 13枚、L: 10枚、A: 36枚の計85枚で総露光時間7時間0分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 R: 0.03秒、G: 0.03秒、B: 0.03秒、L: 0.01秒、A: 0.5秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

2025年は太陽に明け暮れた年で、夜の天体の数はとても少なかったです。でも、撮影だけして途中で太陽に興味が入ってしまい、未処理で残っているものが結構あります。今見返してみたら、撮影した記憶が全く残っていないものもありました。ちょっと勿体無いので、時間があるときに処理しなおそうと思います。


太陽

「2025/3/23のプロミネンス」
08_42_50_lapl3_ap359
8時42分

08_43_57_lapl3_ap305
8時43分

08_44_43_lapl3_ap369
8時44分

output-palette
16時23分-16時56分


「AR4048」
11_46_05_lapl2_ap3963_IP_ST_mono
11_46_05_lapl2_ap3963_IP_ST_inv_mono
11_46_05_lapl2_ap3963_IP_ST
11_46_05_lapl2_ap3963_IP_ST_inv
  • 撮影日: 2025年4月5日11時46分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10)  + Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影: SharpCap Gain 100、露光時間1.25ms、10時40分から12時48分まで、30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちのベストの91/200をスタック
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop CC

「2025/4/5のプロミネンス」
08_44_10_lapl3_ap3959_newIP_ST
  • 8時25分から10時34分まで、30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちのベストの180/200をスタック


「2025/4/5のプロミネンスの動き」
8時31分-9時8分

「AR4049」
07_53_39_lapl2_ap3859_c
2025年4月5日7時53分

「AR4046」
07_55_23_lapl2_ap3860_c
2025年4月5日7時55分

「AR4044」
07_56_37_lapl2_ap2789_lowdot_c2
2025年4月5日7時56分

「AR4048回りの動き」
2025年4月5日10時40分-12時48分


「2025/4/26のプロミネンスの動き」
  • 撮影日: 2025年4月26日7時46分-8時54分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10)  + Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影: SharpCap Gain 100、露光時間1.25ms
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop CC、FIJI

「AR4062」
TIFF_lapl2_ap3951_IP_ST_color_inv
  • 撮影日: 2025年4月26日9時31分-9時36分
  • 撮影: SharpCap Gain 100、露光時間1.25ms、9時4分から10時10分まで、30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうち2つのベストショット300/400をスタック

「AR4079」
12_04_42_pipp_lapl2_ap3929_IP_color3
  • 撮影日: 2025年5月5日12時4分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10)  + Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影: SharpCap Gain 100、露光時間1.25ms、11時56分から13時15分まで、30秒ごとに200フレームを129回撮影して、そのうち2つのベストショット300/400をスタック
  • 画像処理: PIPP、AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop CC


「口径8cm + PSTでの太陽全景」
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10_57_04_lapl2_ap10495_IP_color
10_57_04_lapl2_ap10495_IP_color_inv
  • 撮影日時: 2025年5月11日10時57分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒:  iOpton R80 (f400mm、F5) + Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Touptek G2M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 400(=12dB)、露光時間0.25ms、350/500 frames
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop CC


07_51_59_pipp_lapl3_ap15534_IP_color_s
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 撮影時間: 2025年5月18日7時51分
  • 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10)  + Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Touptek G2M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 800(=18dB)、露光時間1.00ms、7時32分から8時9分まで、30秒ごとに200フレームを55回撮影して、そのうち4つのベストショット400/800をスタック
  • 画像処理: PIPP、AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop CC

「AR4100、4101回り」
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  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 撮影時間: 2025年6月5日8時56分
  • 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10)  + Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Touptek G2M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200(=6dB)、露光時間1.00ms、8時49分から9時28分まで、30秒ごとに200フレームを60回撮影して、ベストショット160/200をスタック
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop CC


「粒状斑」
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  • 撮影日: 2025年11月23日11時0分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120(f900mm、F7.5) + Explore Scientific x5バローレンズ
  • フィルター: UV/IR cut、Baader 7nm OIII、7nm Hβ
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2 solar
  • 撮影: SharpCap Gain 0、平均79fps、露光時間0.75ms (10時45分から11時50分まで、30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちベストショットの20/200をスタック)
  • Dark、Flat補正: 無し
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight、Photoshop CC


太陽分光

「分光撮影による太陽: Hα線」
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  • 撮影日: 2025年12月28日13時3分-13時27分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FC-76(f600mm、F7.9) 
  • 分光器: SHG700
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (bin1、常温)
  • 撮影: SharpCap Gain 100、露光時間1mS、ROI: 6000x180、平均70.7fps
  • 画像処理: JSol'Ex、ImPPG、PixInsight

「ドップラーシフト」
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  • 撮影日: 2025年12月28日13時9分
  • 画像処理: JSol'Ex


「分光で見る多波長の太陽」
6colors

  • 撮影日: 2025年7月4日8時24分-9時23分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FC-76(f600mm、F7.9) 
  • 分光器: SHG700
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: Touptek G2M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200 or 400 (= 6 or 12dB)、露光時間0.75 or 1.5ms、ROI: 3840x100 or 200、平均221 or 381fps
  • 画像処理: JSol'Ex、ImPPG、PixInsight、Photoshop CC


「分光撮影による太陽: He-D3線」
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  • 撮影日: 2025年7月13日8時50分-9時1分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FC-76(f600mm、F7.9) 
  • 分光器: SHG700
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ToupTek G3M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間0.75ms、ROI: 3840x248、平均181fps
  • 画像処理: JSol'Ex、PixInsight


「Hα線周りの波長スキャン」
step
  • 撮影日: 2025年6月18日7時13分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FC-76(f600mm、F7.9) 
  • 分光器: SHG700
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ToupTek G3M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間1ms、ROI: 3840x100、平均381fps
  • 画像処理: JSol'Ex


「ジェットのドップラーシフト」
rgb
  • 撮影日: 2025年7月21日9時17分-9時47分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FC-76(f600mm、F7.9) 
  • 分光器: SHG700
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ToupTek G3M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間200ms、ROI: 3840x80、466fps
  • 画像処理: JSol'Ex、ImPPG、自作位置合わせPythonプログラム

まとめ

こうやってみると、やはり太陽の方が多いですね。太陽は日々の記録に近いものは同じような画像になるので載せていないのですが、それらも合わせたらさらに太陽画像の方が増えてしまいます。

夜の撮影は星雲だけでしたが、そう考えると、銀河、星団、月、星景、彗星と他の対象に全然手を出してないので、流石にこれはちょっと反省でしょうか。惑星も月もここ数年まともに撮影していないので、こちらもコンスタントに手を出すべきでしょう。

一方、太陽の方はかなりいろんなことをやりました。エタロンを使ってのHα撮影は、シーイングいいところを写す手段を見つけたので、今のC8+PSTで写すものとしてはここら辺が限界でしょうか。かなり満足できるようにはなったのですが、これ以上求めるとしたら機材を根本的に見直す必要がありそうです。6月から始めた分光はそれこそ新しいことだらけで、この記事に掲載している画像こそ数は絞ってますが、本当に多種多様な面白い結果を画像として残してくれます。

なんだかんだで自分的にはとても充実した2025年で、太陽という特徴を出せたギャラリーになったのかと思います。



なんとサイトロンさんからSkywatcher社の最新の太陽望遠鏡「ヘリオスター100Hα」をお借りすることができました。

サイトロンさんは2024年4月にACUTER OPTICS社の「フェニックス」で太陽望遠鏡を扱い始め、2025年3月にSkywatcher社のヘリオスター76Hα、2025年11月には屈折太陽望遠鏡の中では最大のクラスの口径100mmというヘリオスター100Hαの取り扱いを始めました。

これまで星まつりなどでヘリオスター100Hαを含めて何度か見比べる機会はありましたが、じっくり扱うのは初めてです。今回試すことができたのは、2026年1月17日の午前と、翌日18日の午後の一部の、晴れ間のチャンスのときで、時間も限られていたため、まだ最初の評価でしかありませんが、そのすごさは十分に実感できました。


ヘリオスター100Hαの外観

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鏡筒は大きなケースの中に入っています。中身は鏡筒本体と、ブロッキングフィルターが中に組み込まれている天頂プリズム、20mmのアイピース、遮光板などです。サイトロンが作成した日本語のマニュアルも入っています。

早速出して、赤道儀にセットしてみます。赤道儀は今回は手持ちのCGEM IIを使いました。ヘリオスター 100Hαの重量は6kgなのでもう一段階小さいAdvanced VXでも十分稼働できるかと思いますが、撮影まで考えるともう一段階大きなCGEM IIクラスの赤道儀の方が安定するのかと思います。
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面白いのは太陽ファインダーで、手持ちのハンドルと兼ねている秀逸なデザインのものです。

IMG_2431

最近は太陽でも長時間撮影になることもあり、ガイド鏡が必要だったりするのですが、ガイド鏡を取り付けるためのねじ穴も充実しています。
IMG_2484

フォーカサーも減速器が付いたタイプで細かい調整ができます。フォーカス部の動きの硬さを調節するつまみも使いやすいものがつけられています。

IMG_2483


眼視観察

今回は手持ちの太陽望遠鏡の入門機のフェニックスと比較してみたいと思います。

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まずは眼視での比較です。眼視に関してはあまり大した経験はないので、元々の予定ではパッと終わらせて、すぐに撮影に向かう予定でした。でもここで思ったより時間を使ってしまいます。なぜなら、フェニックスとヘリオスター100Hαの見え具合にあまりに差があったからです。使ったアイピースはヘリオスター100Hαに付属の20mmのものと、手持ちのハイペリオンの13mmです。これとVixexの2倍のバローレンズを組み合わせて見比べています。

まずですが、フェニックスも眼視で十分に見えています。プロミネンスも、ダークフィラメントも、プラージュも普通に見えます。さて、どれくらい違うのだろうとヘリオスターを覗くと、「えっ!?」と声を出してしまうほど違いました。まず、ダークフィラメントの濃さが全然違います。さらにプラージュがキラキラ輝いています。この日は黒点群が大きくつ出ていたのですが、大きい方はフェニックスでも十分に見ることができました。でも小さい方はフェニックスではそこまで気づかなくて、ヘリオスターを見て「あれ?もう一つある?」と改めてフェニックスを見て「あー、これは見落とすな」と思うくらいに、ヘリオスターだと細かいところが見えるのです。黒点周りの模様の一つ一つの細かいところが見えるというのでしょうか、もう全然違いました。

スマホで写真を撮ったみました。フェニックスと
IMG_2467

ヘリオスター100Hαです。
IMG_2472

そもそも、焦点距離がフェニックスの400mmに対して、ヘリオスター100Hαは760mmと倍近く違うので、同じアイピースで見ると、見た目の大きさも倍近く違うのはわかるかと思います。そして、ヘリオスター100Hαの方が、太陽表面の模様がより見えているのもわかるかと思います。

それでもスマホの撮影では眼視での違いは全然伝わりません。ここからは言葉の説明のみになりますが、雰囲気だけでも伝わればと思います。

眼視で見比べたときに相当な違いがあるので、何が違うのか確かめたくなります。フェニックスに
  1. ヘリオスターに付属の20mmアイピースと
  2. ハイペリオン13mmと
で見比べてみます。2にすると太陽は倍近くまで大きくなり、ヘリオスターに1を付けたときと同じくらいになります。それでもフェニックスで見ている限り、ダークフィラメントやプラージュのコントラストも、黒点周りの細かさも良くなることはほとんどありません。

そこでフェニックス側で13mmアイピースに、さらに2倍のバローレンズを付けてよく見てみたのですが、根本的に解像度が良く出ません。この時点で、「あ、これは口径の差だ」とものすごく腑に落ちました。40mmと100mmの口径の差は眼視でも明らかで、フェニックスとヘリオスターと一緒に見比べてしまうと、やはりフェニックスの口径の小ささをどうしても実感してしまいます。その観点からいくと、ヘリオスターに13mmのアイピースを付けたときは、さらに細かい模様を見ることができます。その時のスマホで撮影した画像です。
IMG_2457

口径による明るさも効いているでしょう。フェニックスに13mmのアイピースを付けて、2倍のバローを付けたときにはやはり暗いという印象です。ヘリオスターに13mmのアイピースを付けると大体同じ大きさの太陽像になるのですが、まだ十分明るく感じます。口径で100/40=2.5倍なので、明るさはその2乗で6.25倍になります。これだけの明るさに違いがあるのは、高倍率にしたときに効いてきます。

分解能に関しては口径の違いで納得したのですが、コントラストの違いは口径では説明できません。分解能がいいと、よりはっきりとは見えるので、多少コントラストが上がったように見えるのも理解できるでのすが、どうもそれだけでは到底説明できないレベルで違いがあります。これはエタロンの違いなのでしょうか?このとき結論は出ませんでしたが、次の日に撮影までして謎が解けました。

結局この日は撮影しようしてカメラをセットしたところで雲が出てきて終了でした。次の天気は2週間予報を見ても全然晴れにならなさそうなので、早めに眼視を切り上げて撮影に移った方が良かったみたいで、ちょっと失敗したかな思い、その日は撤収しました。


撮影での比較

次の日、朝から天気予報通り曇っていたのであきらめていたのですが、午後から一部晴れ間が見えてきました。時間は限られていますが、早速撮影に取り掛かります。

この日もフェニックスとヘリオスター100Hαを並べて同じような時間帯に撮影します。
IMG_2479

カメラですが、フェニックスにはいつものG3M678Mですが、ヘリオスターだと全景が入らないので、大きなセンサーサイズでピクセルサイズの小さいASI294MM Proをbin1で使います。ピクセルサイズはG3M678Mが2μmでASI290MMがbin1だと2.3μmとなるのでフェニックスるの方が有利ですが、ヘリオスターは焦点距離が倍近くであることと、さらに口径の差もあるために、分解能は出るはずです。ただし、ASI294MM Proをbin1で使うと、格子状の模様が出ることがあるので、そこが不利になるかもしれません。

まずは全景で比較してみます。共に500フレーム撮影し、そのうちの400枚をAutoStakkert!4でスタックしています。細部出しはImPPGですが、できるだけ同じような処理をしました。普通は更にPhotoshop などで仕上げをするのですが、今回は比較のためにできるだけシンプルにということで、細部出し以降は無しもしていません。あと、天頂プリズムのせいで上下が反転した画像になってしまっていますが、そのままにしてあります。

フェニックスと
14_30_44_lapl3_ap4234_IP


ヘリオスター100Hαです。
14_04_33_lapl3_ap2298_IP

ヘリオスターの方は格子模様が心配でしたが、とりあえず今回は大丈夫なようです。いまだに条件が良くわかりませんが、出るときは何をやっても出るというのが今までの経験です。

全景だとフェニックスも縁をスターもそこまで違いがわからないので、拡大して比較しています。解像度が違うので、Windwos上のフォトで拡大した画像を表示し、全画面キャプチャーしています。左がフェニックスで、右がヘリオスター100Hαです。
スクリーンショット 2026-01-20 213957_cut

さすがに違いが判りますね。ヘリオスター100Hαの方がより細かいところまで出ています。


考察

え?撮影だと思ったより違わない?

確かにそうなんです。実は撮影になると、そこまで差が出ないのです。
  • フェニックスの方はこれまでの経験から、おそらく口径からくる限界近くの分解能を出しています。
  • 悪いはずのフェニックスのコントラストは画像処理で輝度のオフセットを変えることができ、うまくごまかせてしまいます。
  • 一方、ヘリオスターは口径の限界には達していなくて、むしろシーイングによって分解能が制限されてしまっていると考えられます。100mm位の口径になってくると、シーイングのいい時に撮影しないと、口径の有利さを十分に生かせません。
以前口径20㎝のC8で試したしたときのように、長時間撮影の中でいいシーイングの時を選び出して見てやると、口径100mmを生かした分解能になるのかと期待します。

では眼視で言っていたコントラストの差は撮影では出ているのでしょうか?実はこれも撮影で明確に相当する違いがあります。再び全景画像を見てみます。一見あまり差がないような全景ですが、よく見ると全然違っていることがわかります。
  • フェニックスの方は全体的に粗い模様が出て元気に見える一方、
  • ヘリオスターの方は細かく見えて一見のっぺりしているように見えます。
細かく出るのは波長分解能が優れていて、これまで分光撮影でさんざん見てきた、プラージュとは別の白いモヤモヤがヘリオスターの方にのみ全体に広がっています。これは明らかにエタロンの性能に差があり、ヘリオスター100Hαのエタロンの方が透過波長幅が狭くて性能がいいことを示しています。もしかしたらフェニックスのエタロンの合わせこみが不十分だった可能性も残っていますが、それでもそこそこは合わせたつもりで、調整のレベルを超えた違いなのかと思います。

エタロンに差があるのは、眼視で見たコントラストの違いも説明ができます。波長透過幅が大きいと、Hα線からずれた連続光の明るさが大きく邪魔をします。Hα線からずれると、とたんに明るくなるので、少しのずれが背景光の輝度に大きく影響するからです。これは特にダークフィラメントのコントラストに効いてきます。波長分解能がいいと、ダークフィラメントが黒く濃くみえるようになります。撮影の際は輝度のオフセットを調整するなどして多少はごまかせるのですが、人間の眼にはそのような機能はないので、コントラストの違いがそのまま見たときの印象になります。


まとめ

どうやら、今手元にあるヘリオスター100Hαのエタロンの性能がフェニックスのものよりもかなりいいというのは間違いなさそうです。このことは眼視での見え方、特にコントラストに効いてくるので、ヘリオスター100Hαは眼視で十分に楽しむがのが適している鏡筒かと思われます。もちろん撮影でも有利ですが、口径100mmの性能を生かすためには、シーイングのいい時を狙う必要があります。

フェニックスは太陽望遠鏡の中でもあくまで入門機です。これまでの入門機クラスのものと比べても見え味は非常に優れていて、性能も安定しています。今回の比較で言えることは、それでもヘリオスター100Hαとフェニックスには明確な差があって、ヘリオスター100Hαはハイエンドクラスの名に恥じない素晴らしい性能を持った太陽望遠鏡であるということです。特に眼視ではその違いがはっきりと分かると思いますので、星まつりの展示など、機会がある方はぜひとも見比べてみてください。

ヘリオスター100Hαは今後一か月くらい使用できる予定です。北陸の冬はあまり晴れないのですが、まだチャンスはこれかあもあるかと思いますので、またレポートを続けていきたいと思います。


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