ほしぞloveログ

天体観測始めました。

久しぶりのSWAgTi ネタです。

1年ほど前から試していた
SWAT+AZ-GTi = SWAgTi (gは発音せず、スワッティ)。


SWATの追尾精度とAZ-GTiの柔軟性を合わせて、単機能に近いSWATに自動導入やプレートソルブなどの現代的な便利な機能を追加して使うことができるようになります。かつ追尾精度はSWATそのままと、互いの弱点を補い、いいとこ取りの機能となります。


SWAgTiの弱点

SWAgTiで目指していたところは「気軽な撮影」です。元々SWAT自身は1自由度の追尾精度がものすごくいい赤道儀で、ガイドなしでもそこそこの焦点距離で星を点像にすることができます。以前の SWAT350のテストでは、370mmの焦点距離で3分露光の場合、ガイドなしで歩留まり率は100%だったので、実用的にも十分だと思います。ガイドなしで気軽なSWATの撮影に、AZ-GTiの2自由度の便利な機能を追加して、さらに気軽にしようというのがアイデアです。

これまでのテストの過程で出てきた唯一の欠点が、長時間撮影時にディザーができないことです。


ディザーができないと、長時間撮影のドリフトなどでホットピクセルやクールピクセルが縞ノイズを作ることがあります。


実際に、SWAgTiの長時間撮影ででてきた縞ノイズの例がここにあります。


上のページでも挑戦していますが、縞ノイズは画像処理で改善しようとしても、緩和することはあっても完全に消すことはかなり困難です。できることなら撮影時に縞ノイズが出ないようにしたほうがはるかに楽で、ディザーはその解決策としては最も有効な方法です。

ところが、SWAgTi動作時にはSWAT側で恒星を追尾して、AZ-GTi側の恒星追尾を切る必要があり、AZ-GTiの恒星追尾がオフになるとSharpCapで出すディザー信号がAZ-GTiのモーター側伝わらずに、ディザーができないという結果になってしまったのです。

もちろんSWAT単体ではディザーすることはできないので、SWAgTiがSWATに比べて不利になったということではありません。ドリフトは数時間以上の長時間撮影で問題になってくるので、短時間撮影だと縞ノイズはそこまで目立ちません。SWAT単体で長時間撮影する際にどうするかですが、SWAT開発者が去年の胎内の星まつりで示してくれたように「撮影中に何度かわざと三脚をずらしてドリフトする方向を変える」とか、今年の福島の星まつりで見せてもらった10時間以上かけて撮影したというオリオン大星雲では「日を変えて何度も撮影することでドリフトの方向を一定にしない」などの対策をしているようです。ある意味余計な機材を使わないシンプルな解決策で、開発者の方が「そんな複雑なことはしてないですよ」とおっしゃられていたことが印象的でした。

なので、少し手間をかければ縞ノイズを避ける方法はあるということですが、私的にはやっぱりなんとかしたいので、再度ディザーに挑戦です。


ソフト的に何か間に割り込ませるか?

では具体的にどうするかですが、最初はSharpCapとAZ-GTiの間に何かソフト的に挟んで、命令を無理やり出せるようにしようと考えていました。Uedaさんがトラバースの赤道儀化でSynScan Appとトラバースの間に赤道儀のふりをするような別ソフトを間に入れて上手くいっているので、同じような手法が使えないかと思いました。幸いなことにソースコードを公開してくださっていて、C#で書かれているようです。初めての言語だったのですが、コードは規模的にも大きくなく、自分でビルドまでできて、とてもいい勉強になりました。SWAgTi用にどうハックすればいいのか、ある程度の目安が立ってきたので、とりあえず取り組んでみようと思っていた矢先でした。


SharpCapが変わった?

まずは状況の確認で、以前のSWAgTiの設定を再現します。再現といっても、プログラミングのための準備なので昼間の明るいうちでの確認になります。SWATとAZ-GTiを組み合わせて、SynScan ProからAZ-GTiに接続し、SharpCapからSynScan Proを操作できるように接続します。

ところがです、いつぞやのSharpCapのプレートソルブ関連の大幅アップデートらへんのことだと思うのですが、AZ-GTi側の恒星追尾をオフにしてもどうもディザー信号がきちんとモータまで届いているようなのです。

具体的にはSharpCapの右パネルの「望遠鏡制御」のところを見るのですが、AZ-GTiが恒星を追尾していると「方位」「高度」「赤経」が動き続けます。AZ-GTiが恒星を追尾を止めると「方位」「高度」は止まり、「赤経」のみ数値が動き続けるようになります。ここで SWATに恒星追尾を引き渡すと、ここまでのAZ-GTiの代わりにSWATが動き出し実際に星を追尾してくれるようになります。この状態でも、SharpCapの「望遠鏡制御」のところの矢印ボタンを押すと、信号はきちんとモーターまで行き、見ている方向を変えることができます。その際「方位」「高度」の数値もモーターへの信号に連動して動きます。ここまでは以前にも試した結果と同じでした。

ここでSharpCap上でライブスタックを立ち上げてディーザーをオンにします。以前はディザーをしようとしても実際にはモーターまで信号がいかなくて、画面は全く揺らされないことは確認していました。でも今回「望遠鏡制御」の数値を見ている限り、ディーザーのたびに「方位」「高度」の数値が動いているのです。以前この数値が動いていた記憶は全くない(動いていれば必ず気づいていたはず)ので、勘違いでなければ何か状況がわかっているはずです。少なくとも、現段階でこれらの動いている数値を信じるならば、ディザーはきちんと作動していることになります。


夜のテストは全くうまくいかず

昼間に試しただけでは、PC上に出てくる数値は動いていても実際の撮影画面が動くかどうかは見ていないので、まだ本当にディザーが動いているかどうかの確証は持てませんでした。なので夜になって実際に試してみました。ところがディザーを試す以前に、かなりひどい状況にぶち当たってしまいました。

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具体的には、一眼レフカメラ(EOS 6D)をSharpCapに繋ぎ、AZ-GTiで操作しました。CMOSカメラでなくてもSharpCapに繋ぎさえすれば、一眼レフカメラで極軸調整もプレートソルブも、全然問題なくできます。


今回も極軸調整をFS-60CBと6Dの画面で直接やり、初期アラインメントも6Dでプレートソルブを使うことで簡単に済ますことができました。
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その後、ターゲット天体を導入し、SharpCap右パネルの「望遠鏡制御」の矢印ボタンを使って位置決めをします。ここら辺までは問題ないです。

次に追尾をSynScan ProからSWATに渡して撮影に入る準備をします。ところが長時間露光を開始すると程なくしてSynScanとの接続がダメになります。ディザーをするためにはライブスタックモードにしなくてはいけません。 この接続トラブルはライブスタックに関係なく、ライブスタックをする以前に露光時間を分のオーダーとかに長くした時に発生するようです。SharpCapの「望遠鏡制御」のところでAZ-GTiからの位置情報が数値で見えるのですが、SWATで追尾しているので「赤経」の数値だけが増えていきます。最初はスムーズに数値が変わるが見えるのですが、徐々に数値が飛び飛びになり、最後は止まってしまって、それ以降は接続は切れているような状態になります。処理に時間がかかっているような印象で、何度やっても同じ状況になります。最初はCPUの負荷か何かと思って、SynScanの再起動、SharpCapの再起動、最後はPCまで再起動でもダメでした。

実はSharpCapとSynScan Proとの接続不安定な時は、SynScan Proを管理者権限で立ち上げると安定になるという情報があります。知り合いが試してみて、管理者権限での起動がものすごく効いて、実際にかなり安定になったという例を聞いています。ですが、今回の場合は管理者権限も効果がなく、状況は変わりませんでした。

次に一眼レフカメラが原因かと思って、ASI294MC Proに変えたり、さらにはPCが何か原因の可能性があるとも思い、別PCを持ってきて試しましたが、いずれの場合も最初はプレートソルブまで含めて順調なのに、長時間露光(180秒)の撮影の途中でSynScanとの接続がダメになり、その後はPCを再起動するまでは何をやってもダメです。ダメというのは、SharpCapからSynScan Proになんらかの信号を送った時に接続エラーが表示されるということです。PC再起動後はまたプレートソルブもできるようになりますが、長時間撮影開始でダメになると言うのを何度か繰り返しました。というわけでこの晩はここで諦めましたが、これまで電視観望で同じような状況にはしていたので、もしかしたら長時間露光がダメったのかもしれません。電視観望ではせいぜい10秒露光が最長ですが、今回は撮影ということで3分露光にまで伸ばしています。長時間露光が何か負担になっているのかもしれません。

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長時間露光を開始すると毎回こんなエラーが出てしまします。 


昼間に原因究明

次の日、昼間に今一度、全く同じ設定で試しましたが、なぜか今度は何をやっても安定します。カメラを変えようが、PCを変えようが、昨晩のトラブルは何だったんだというくらい、どうやっても不安定な状況を再現できません。3分の長時間露光でも全く問題がないです。一体何が問題なのでしょうか?

違うことといえば、昼間で実際に星が見えないので、プレートソルブはしていませんし、ライブスタックも星の位置合わせをせずに単に重ねていっているだけす。


再び夜に試して光明が!

その晩、昼間の状態を再現すべく、試しにプレートソルブなしでマニュアルアラインメントしてから長時間撮影してみたら、何と完全安定です。その後すぐに曇ってしまったので、プレートソルブありで不安定になるかどうかのテストができませんでしたが、長時間露光そのものは大丈夫ということはわかりました。ディザーも実際一回動かすことができて「望遠鏡制御」のところの「方位」も「高度」も数値が変わったのですが、肝心のディザー前後の撮影画像比較での動きがあったのかなかったのか、あったとしても移動量の設定値が小さ過ぎたようで、確証が得られるほどの揺れは確認できませんでした。

雲でこれ以上試せないので、この日はこれで撤収ました。今の段階でディザーが出来ているかどうかの判断はできていません。でも見込みはありそうです。今後もテストを続けたいと思います。

(2024/8/17追記: ディザー撮影成功しました!)



日記

あまりブログ記事にならない細かいネタも多いので、久しぶりに日記としてまとめて書いておきます。

お盆の季節になりました。8月7日の富山環水公園の観望会に引き続き、8月10日も高岡市のおとぎの森で観望会がありました。2週連続になります。初参加の観望会で、これまでは他の予定と重なることも多く参加できてませんでしたが、今年はお盆の休暇の初日で少し余裕もあるので参加することに決めました。機材は先週とと同じく電視観望で、20時20分頃に月によるスピカ食があるとのことで、外部モニターも用意して大勢で見ることができればと思っていました。夕方のまだ明るい頃は月もが見えていたのですが、暗くなり始めて機材も準備もできたころには空一面が曇ってしまい、それ以降は星も明るい月さえも、カメラを通した電視観望でも全く見えないくらいの雲になってしまいました。お客さんは100人以上と、かなりたくさん来てくれていたので、とても残念でした。もうこうなるとどうしようもないので、天文の話やクイズをずっとしていました。一番受けたのはASI294MCで暗闇が見えるかどうかで、カメラの周りには子供達が群がっていて画面に映る自分の姿を見て大騒ぎでした。

次の日の8月11日は自分の出身高校の天文部の合宿に参加させてもらいました。場所は奥飛騨で、富山からだとそう遠くない距離なので気軽に参加できました。昨年の12月にも豊田市元気村の合宿にも参加させてもらったのですが、それに引き続きとなります。年末の合宿もそうでしたが、残念ながら今回も天気には全く恵まれず、星一つ見ることもできませんでした。なんでもコロナ後にやっと復活した1年前の同じ場所での合宿の時は台風で、ここ最近の合宿は天文部としては非常に厳しいとのことでした。私は日を跨ぐ前くらいに帰路につきましたが、次の日は神岡の道の駅にある「カミオカラボ」まで行くそうです。でも夜の天気予報はあまり良くありません。ペルセウス座流星群なので、少しでも見えることができればいいのですが。

実は私も奥飛騨まで行く途中にカミオカラボに寄っていきました。
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こんな面白い写真が撮れます。


とにかく最近は天気が全然ダメです。昼間はまだ比較的晴れているのですが、夜になるとドン曇りというパターンです。ペルセウス座流星群も自宅から雲の薄いところで1個だけ見ましたが、とても撮影とかするレベルの天気ではないです。せっかくの休暇でまだ月が昇っている時間もかぎられているので、なんとかお盆中に長時間撮影をしたいのですが、天気予報を見る限りまだしばらくは難しそうでうす。


2024年8月2日(金)、今年も富山県主催の「とやまスターウォッチングat富岩運河環水公園」がありました。昨年の様子は以下をご覧ください。


そもそも金曜の平日開催で、昨年初めて参加したものですが、今年も参加することにしました。


今年の方針

ちなみに、去年の記事を読み直してみると、いくつか反省点が書いてあります。
  • 2つ電視観望をやって、さらに子供に自由に触ってもらうSCOPETECHの屈折を出したが、手が回らなかった。さらに星座ビノも用意していたが、お客さん全員に十分な時間がかけられなくて無理があった。
今年も改めて思ったのですが、市街地での公園でやるのでお客さんの数が相当多くて、細かい操作などを伝える時間が確保できません。今年は欲張らずに子供用屈折も星座ビノも無しにしました。
  • 広域電視観望で、天の川の見える範囲が少し狭くて川のように見えないので、天の川と認識されにくい。
天の川を見たことがないお客さんもたくさんいます。天の川と言われても、実際どれが天の川か最初はわかりにくものです。いつもは35mmレンズを使いますがそれだと範囲が狭くて皮の形に見えません。今回はSamyangのF2.8の14mmを使って広角で川らしく見えればと思います。

あと、去年は
  • 準備と説明と機材トラブルなどで他の参加者とあまり話す機会がなかった
ので、今年はもう少し他の人と交流することを目標としたいと思います。


2つの電視観望

電視観望を2つ用意します。セットアップは昨年と似ていますが、少しだけ変わっています。

メインは天の川を見せること。これまで広域電視観望は主にはF1.4の35mmとか50mmのカメラレンズで見せていますが、もう少し広い範囲を見せた方がより天の川らしくなると思い、今回初めてF2.8の14mmレンズを用意してみました。これに光害防止としてQBPフィルターを使います。フィルターは1.25インチのもので、ASI294MCの側に薄手のアダプターを使って、レンズに干渉しないように取り付けます。操作は自由雲台です。たまに「広域電視観望の際のマウントはなんですか?」と聞かれることがありますが、これだけ広く見えると画角の移動はよほど時間が立たないと効いてこないので、自由雲台で固定で十分です。これでライブスタックもできるので、実際の画面が流れることもありません。

お客さんを飽きさせないために、もう1セット普通の電視観望を用意しておきます。もう夏の星雲が上がっている時期なので、街中ですが十分に楽しめるでしょう。こちらはいつものFMA135とUranus-Cをトラバースに載せています。そういえば去年はまだAZ-GTiを使っていました。トラバースがまだまだ実用に耐えなくて心配だったのですが、今年はトラバースがもう完全にデフォルト機器になっているので、成長したものです。今回も安定に稼働できました。トラバースの「小ささ」がさらにインパクトを上げていて、今回も「こんなので見えるの!?」という声を何度も聞きました。カバンの中に全セットを入れることができるので、駐車場から設置場所まで距離がある時でも、ほとんど苦になりません。

あと、今回初めて外部モニターを「2台」用意しました。こういった大規模な観望会にはお客さんもたくさん来ますし、電視観望も2セット用意するので、モニターも2台あった方が説明も楽だと思ったからです。1台は24インチでメインの天の川用、もう一台は15インチのコンパクトモニターで星雲用です。


機材の準備

18時過ぎには環水公園に到着しました。駐車場もまだ十分空いていたので、観望会会場の近くに車を駐めることができました。セットアップは最近は手慣れたもので、普通は10分とか15分もあれば終わってしまいますが、今回はモニターが2台あったので、少し手間取りました。モニターの解像度はHDMIでそれほど高くないので、PCの設定をそちらに合わせるのに時間がかかってしまいました。やはり一度は事前にテストしておくべきです。しかも星雲用はM1 MacのArm Windowsで動かしているので、モニターを最初うまく認識できませんでした。一旦VMwareを完全に落として、Mac画面をモニターに出せることを確認して、その後VMwareを立ち上げるとうまくいきました。

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広域用のレンズは最初から14mmにしてみました。うまく行くのかどうか、ぶっつけ本番です。

19時前には準備も終わり、まだ明るいので会場を一回りしますが、すぐに星が見えるくらいになり、広角電視観望ではこと座の形も十分にわかるくらいになります。昨年は19時にスタッフが一度集まって打ち合わせがあったのですが今年はそういうのは特になくて、もうお客さんも来始めているのでそのまま観望会になだれ込みます。

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観望会会場の環水公園は駅に近いかなり大きな公園で、世界一美しいと言われたスターバックがあるなど、富山の観光スポットにもなっています。駐車場もきちんと整備さえているので、観望会にはお客さんも数多く訪れます。この日は昼間から天気も良く、実際かなりたくさんの方が来てくれました。


いよいよ観望会開始

19時を過ぎるとお客さんももうかなりきていますし、スタッフの方も含めて知り合いの方もたくさんいます。結構明るいうちからM57を入れてみましたが、もう余裕で見えます。プレートソルブができるくらいの星の数が見えたら、たとえ街中であろうと輝度の高い星雲は問題なく見えます。

画面を見ながら、周りの人といろいろ話しました。今回は、電視観望に注目してくれる人がかなり多かった印象です。2016年からずっとやってきた電視観望で、星まつりなどではものすごく盛り上がっていたのですが、意外に地元の富山ではあまり盛り上がらない印象でした。今回はスタッフの方も学生の方も含めて、結構皆さん技術を知りたがっているような感じでした。

恐らくなのですが、これはSeeStar効果なのではないかと思っています。やはりあれだけ数が出てメジャーになってくると、少なくとも天文関連の方には電視観望でかなり見えるという認識が広まってきているのではないかと思います。電視観望そのものに信頼が出てきたと言ってもいいでしょうか。私自身は結局いまだにSeeStarは使ったことがないのですが、大手メーカーが本腰を入れてくれるのはとてもありがたくて、長い目で見てもとても良い傾向だと思いました。

話してくれた方の中に、県天メンバーではないけれども富山在住で天文が趣味で、このブログを一から読んでくれたというかたがいました。この長いブログを最初から読んでくれるという奇特な方(笑)がたまにいますが、とても嬉しいです。技術的な方のようで、この「ほしぞloveログ」でどのように技術を上げてきたかに興味を持ってくれていました。またお話しできればと思います。

県天に新しく加入された方とも顔を合わせることができました。自宅近くに住んでいる方で、電視観望に興味を持っているということなので、また一緒に試すことができればと思います。

さて、19時半ころからスライドを使った中国出身の方の七夕の話があります。私は聞くことができなかったのですが、大きな拍手が聞こえてきたので、面白い話だったのではと思います。


2つの電視観望の見せ方

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今回の電視観望は、2セットあることを活用してみます。まず広角電視観望で夏の大三角を見せ、そこから画面内でこと座を拡大します。次に隣のモニターに移り、こと座の端の2つの星が写っていることを確認して、その後M57を拡大して、星雲について説明します。先週の科学博物館でも同じように説明しましたが、このやり方は実際の大きさが直感的にわかってもらえるので、なかなかいいのかと思います。これまでの35mmレンズだと夏の大三角が入らずに、アプリを使っていたのですが、今回の14mmレンズはやはりかなり広角で、夏の大三角が余裕で入るので、全体からわかってもらえて、とても説明しやすかったです。

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星雲がどんなものが知らないと、どれが星雲かわからないこともあるので、
アノテーションがある方がお客さんもわかりやすいようです。

天の川は実際どうだったかというと、ずっと雲がかかっていたので、そのすきまから見るような状態でした。天の川に比べると雲は明る過ぎるので、どうしても不利になってしまいます。今回初めて試した14mmレンズですが、より広い範囲を見渡せるのは有利な点でした。その一方、広角すぎて周りの景色が入ってしまうことがあることと、このレンズは周辺減光が結構あるために、SharpCapでのリアルタイム背景補正(フラット化)があまりうまくいきませんでした。実際の画像は以下のくらいです。

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適当な枚数をスタックしているので、雲が流れているのがわかると思います。流れていない赤いシミが天の川になります。背景補正に非線形勾配除去を使っているのですが、雲などが明るすぎて飽和してしまうとこの背景補正がうまくいかなくなります。そのためゲインか露光時間を少し下げる必要があります。補正がうまく行っても、やはり周辺減光の影響を取り去ることはできずに、右上や左下が少し暗くなってしまっているのがわかります。天の川だけを見やすくするために、画面を拡大して画角を少し絞っています。これだともう広角の有利さがなくなってくるので、本末転倒になってきます。やはりなかなか最初からはうまくいかないもものです。次回、もう少し雲が少ない時に、改めて評価したいと思います。

14mmレンズで天の川が少し認識しにくかったので、途中からいつもの35mmに戻しました。下の画像が35mmで見た場合です。
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明るさはずいぶん均等になり、あぶり出しがかなり楽になります。が、当然画角は小さくなるので、ここら辺はトレードオフなのかと思います。この日の天気は悪くなかったですが、去年の方が少し良かったでしょうか。途中からだんだん雲が濃くなってきて、最後の方は天の川も見えなくなってしまいました。

県立大の学生が何人か、富山大の学生がなんと20人くらい来ていました。途中何人かのメンバーが電視観望を見にきてくれました。まずは街中で天の川が見えることに驚いていました。「観望会で説明とかどんな風にしますか?」と聞かれたので、ちょうどこの日にやっていた夏の大三角と、こと座とM57と天の川の関係とかを、七夕に交えて話すことや、天文クイズのことなどを例として伝えました。天文クイズは実際に来ていた学生さんに解いてもらいました。いつもの「月はどちらから昇ってどちらに沈むか?」というクイズで、天文部の人でさえパッと気づいた人は数人でした。もちろん、太陽がどちらから昇ってどちらに沈むかは全員知っていて、太陽が動くのは当然地球が回っているからということも全員知っていました。知識としては十分あるにも関わらず、月になると知識として知らないので答えられなかった人が多かったのですが、さすが大学生のしかも天文部です。すぐに納得して、その後の例えばベガは?と聞くと、普通に東から登り、西に沈むと妙に納得してくれてました。画面に見えている天の川と銀河の方向の関係のクイズも出したのですが、これはちょっと難しいと思われたようだったので、少し反省です。もう少しこなれた誘導を考えた方がいいかもしれません。


観望回終了

一応観望会は21時まででしたが、あまり時間は厳しくなくて、お客さんがいなくなったらやめにしましょうかというような雰囲気でした。19時くらいから始めて、かなりの人が見にきてくれ、ずっと説明していた気がします。それでも結局見せたのは夏の大三角と、こと座とベガ、天の川と、M57、あとはせいぜいM27くらいでした。ひっきりなしにお客さんが来るので、あまり種類を見せることができなかったのは反省点でしょうか。

私は21時20分くらいまで粘っていましたが、駐車場の出車ゲートが22時で開かなくなってしまうというので、ここで撤収です。片付けはほんの10分もあればすぐに終わり、片付け終わってから一通り挨拶をして、まだ盛り上がっている学生たちのところに行きました。20人くらいの大所帯なので、かなり楽しそうです。学生たちに22時にゲートが開かなくなることを伝えて、私も21時40分頃には退散しました。


まとめ

今年もたくさんのお客さんに電視観望を見てもらいました。特に天の川は、こんな街中でも見る方法があるということにびっくりしていたお客さんが多かったです。また、富山県天文学会のメンバーはもちろん、他にもたくさんの望遠鏡が出ていたので、お客さんはかなり楽しめたのではないかと思います。でもこの日もとても暑かったです...。


2024年7月20日と27日、富山市科学博物館の観望会に2週連続で参加しました。


久しぶりに観望会に参加

そもそも、コロナ拡大で2020年5月には科学博物館自体が休館となり、同時に観望会も中止になりました。その後9月に観望会が復活したものの、以前のような事前予約なしの自由参加制から予約制になり、その期間はボランティアも事前に申請して参加するという形態になってしまい、その日の天気を見て参加するかどうか決めるというような判断がしにくくなってしまいました。それからもコロナの拡大状況により観望会の中止期間が何度かあったようですが、科学博物館のイベント記録を見ると、コロナ後にやっと自由参加が再開され、望遠鏡を持って観望会に参加できるようになったのが、2023年の10月7日からのようです。

私が観望会に最後に参加したのは2020年の12月26日だったので、それ以来もうかなりの期間観望会には参加していなかったことになります。それでも科学博物館とは展覧会イベントなどの際にはちょくちょく顔を出したりしていました。


「重力」展示イベント

今回観望会に参加する気になったのもやはりイベントで、7月20日から9月1日まで特別展「たのしむ重力 ~落ちる ひっぱる そして、曲げられる♪~」というのが行われているからです。モンキーハンティング実験や振り子スネークなど、実際に自分の手さまざまな実験装置を試すことができます。

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名称未設定

7月27日と28日だけの特別体験ですが、大型のブランコが芝生広場に設置されました。
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ポイントは紐の長さが違うというところです。高校物理で証明しますが、振り子の周期は紐の長さのみで決まります。正確には振り子の支点から重心までの距離ですね。長さが2倍近く違うブランコなので、実際に乗ってみるとその違いがはっきりとわかります。

今回は、それぞれ10回揺らした時の時間を比べていたのですが、乗っている人の重さによらず、揺らしている振幅によらず、数えてみるとほぼ毎回長いブランコが8.3回か8.4回揺れた時に、短いブランコが10回揺れ終わります。

周期は振り子の長さのルートに比例するので、10回揺れた時の時間の比から、(10/8.3)^2 = 1.45倍くらいの振り子の長さの違いになるはずです。作るときに4.5mと2.5mにしたとのことですが、結構大雑把に測ったのでずれているかもとのことでした。4.5/2.5=1.8なので、実際にはそこまでの長さの差はないのかもしれません。

面白いのはここからです。高校物理の範囲での「周期が振り子の長さのルートに比例する」という計算は、実は「振幅が十分に小さい」という近似をしているので、もし揺れ幅が大きければ結構ズレてくるはずです。近似ではなくきちんと計算すると、揺れ角が90度になると実際の周期は近似計算の1.2倍ほどになります。同じ振幅なら長さの短いブランコの方が揺れ角は大きくなるので、周期は長くなり、10回揺れ終える長さも長くなります。なので短いブランコと長いブランコの実際の周期のズレは近似計算での周期のズレより小さくなるので、上で計算した1.45倍のズレというのは小さく見積りすぎてしまっていて、実際に作った1.8倍の長さのずれにもっと近いものと考えられます。

と、こんな近似の話も議論できれば楽しいのですが、実際に乗っているのは子供が大半なので、当然無理です。でも振り子の長さで周期が変わるということを「どちらのブランコが早く10回終えましたか?」という問いかけにすると、きちんと「短い方」と答えてくれて、わかってくる子が多いです。これを「どちらが速く揺れた?」と聞いてしまうと、自分の乗った経験から周期ではなく最下点の最高速度のことをイメージしてしまうようで、この場合の答えは大抵は「長い方が速い」となるようです。

大型ブランコ体験は7月27日と28日だけですが、その他の室内展示は9月1日までやっています。室内展示の中には、この大型ブランコのモデルになった小さな長さの違う2つのブランコも展示されています。お近くの方はぜひ訪れてみてください。また、毎週土曜日は夜から星空観察会も実施されるので、夕方までプラネタリウムと常設展示、そしてこの重力関連の特別展示を見学して、夕食を近くの吉野家で食べて、そのまま星空観察会というのがゴールデンコースです。


7月20日の観望会

上記展示に少しだけ関わったので、展示見学のついでに私も夜の観望会もというような流れで、久しぶりに参加したというわけです。

7月20日(土)の観望会はかなり条件が厳しかったです。月齢15.5日と満月なので、月以外の淡い天体はそもそも見にくいのですが、かなりの時間帯で雲がかかっていました。暗くなりかける19時半スタートですが、到着したのが19時25分頃。天気を見て雲の間に多少隙間も見えるので、とりあえず35mmで広域電視観望を出してみました。画面の中に常に雲があるような状況ですが、ベガやこと座の形は認識できます。時折夏の大三角も3ついっぺんに見える時があったくらいでしょうか。本当は広角電視観望で天の川を見せたかったのですが、雲が多すぎたのと満月が結構近くにいたので、見ることはできませんでした。FMA135+Uranus-C+トラバースで普通の電視観望も試してみました。雲の合間にM57やM27を見ることができましたが、結局それくらいでした。

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隣の望遠鏡で眼視でM57を入れていたらしく、電視観望と比較をしてもらいました。でもほとんどのお客さんは眼視では認識することはできなかったようです。条件が悪かったこともありますが、やはり淡い天体を認識するのはある程度どんなものか知っていることが必要なようです。電視観望の画面を見て形を確認してから再度挑戦した人もいたようなので、その人たちはもしかしたら眼視でも見えていたのかもしれません。

途中からほとんど星も見えなくなってきたので、ASI294MCの高感度特性を利用して、夜でも景色が見えるというのを子供たちと一緒に楽しんだくらいで21時の終了時間となってしまいました。


7月27日の観望会

この日は前週よりもかなりマシです。下弦の月に近く、月の出が22時と観望会の間はまだ暗いままです。少し雲はありましたが、概ね空はひらけています。この日も結構ギリギリの19時20分くらいに到着してすぐに機材を出します。前週と同じ35mmレンズとASI294MCの広域電視観望と、FMA135+Uranus-C+トラバースで普通の電視観望です。

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準備の最中にスタッフの方から「ISSが見えますよー!」との声がかかり、みなさん建物から離れた西側の芝生広場の方へいどうします。見え始める時間がかなり正確にわかっているので「まもなく見えるはずでーす」と声がかかると、東側の科学博物館の建物の上に動く輝点が見えました。かなり明るくなって、南の空に沈むまでの数分間、その場にいる全員で楽しむことができました。

お客さんは30人くらいは来ていたでしょうか。それぞれ会場に展開されたいくつもの望遠鏡をのぞいています。私の方も大体準備ができたので「こちらで天の川が見えまーす!」と伝えると、たくさんの人が集まってきました。画面近くには子供がたくさん群がります。「ここに見えているのが天の川です」と説明したのですが、まず最初に目についたのはたくさんの動く輝点でした。子供が「これなあに?」と聞くので「人工衛星だよ、さっき見たISSと同じだよ」と答えたのですが、その時にいくつも人工衛星が映っていたので「こんなにあるの!?」と皆さんびっくりです。数えてもらうと「7個あった」との声が。この日は常に数個、7個以上映っていた時もあり、その中には実際の空で目で見えるものもあったようです。子供は目のいい子が多いですね。私はほとんどわかりませんでした。

天の川そっちのけで人工衛星でひとしきり盛り上がると、やっと天の川に話題が移ります。「おりひめ様とひこぼし様が、七夕の日に天の川を渡り合うことできるんですよね」とか話して、恒例の質問で「天の川は七夕の時にだけ見えると思う人?」と聞いてみると、何人かの子供が元気よく「はーい」と答えてくれました。子供は素直で可愛いですね。でも、画面を見ながら「ご覧の通り天の川は七夕以外でもいつも見えています。でも実際に見るためには月の出ていない夏の日に、暗いところに行くとよく見えるはずです。キャンプとか行った時に空を見上げてみてください。」と伝えると、「でもキャンプでもあんまり見えない!」との声が聞こえます。「キャンプ場でも明るいところもありますし、ライトとかを近くで使っているとなかなか見えないかもしれません。」などと、お客さんたちと会話を楽しみます。

もう一方のFMA135での電視観望ではM57を入れてみて、同時に広角電視観望でこと座付近を映し出します。さすがに街中なので、ベガは見えますがこと座の形は空を見てもなかなか分かりません。星座アプリで夏の大三角とこと座の形を見せて、大きさと位置関係を理解してもらいます。こと座の三角と平行四辺形の形が広角電視観望でもきちんと見えていることを確認してもらい、平行四辺形の端の短辺の2つの星に注目してもらいます。

FMA135とUranus-Cで見ると、ちょうどその2つの星がすっぽり画面内に収まるので、さっきの画面で見た2つの星が、こちらの画面だとちょうど見えることを確認してもらいます。この時点では、M57はすでに映っていますが、あまりに小さくて星と区別がつきません。その後、2つの星の間を拡大していくと面積を持ったM57が現れてきます。青、緑、赤とカラフルな色がきちんとついていることもわかるので、明らかに星とは違い、星雲であることがわかってもらえます。お客さんの中には、星雲が目で見えるくらいの大きさがあると思う人もいるので、実際にはかなり小さくて、しかも色がつかないので、そのまま目だけで見えることはよほどいい環境のところに行っても、まず見えないということをわかってもらいます。今回は特に大きさの比較をしたので、実際の空のかなり小さいところを見なくてはいけないということは理解してもらえたようです。

では大きな星雲を見てみましょうということで、北アメリカ星雲を見てもらいました。富山市科学博物館はかなり街の中の明るいところにあるのですが、それでも下の画像くらいにはその場で見ることができます。

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他にも網状星雲を見ましたが、さすがにこちらはさらに街中では淡すぎて、かろうじて何かあることがわかるくらいでした。

最後はお客さんのリクエストに答えて、アンタレスとM4です。低空でかなり明るい場所になります。目ではアンタレスが一つなんとか見えているくらいでしょうか。電視観望だと、この状態でもM4をきちんと認識することができます。

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ちなみに、35mmの広角電視観望でも同じ領域を見てみましたが、M4の存在は一応わかります。でもモヤっとした面積がある淡い部分くらいで、さすがに星の粒まではわからないです。

お客さんの中に中2の男の子がいました。以飛騨コスモス天文台の観望会も来てくれたことがあるということで、以前あったことがあるようです。中学が忙しくて最近観望会とかは参加できていないと言っていましたが、結構宇宙のことに詳しくて、この日もVixenのポルタを持ってきていて、アンタレスとM4に挑戦していました。

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私も覗かせてもらいましたが、アンタレスはすぐにわかるものの、M4は最後まで分かりませんでした。科学博物館のスタッフの方も同じ意見で、やはり街中だと低い空の球状星団は難しいのかもしれません。この男の子は、私の星友でこのブログにもちょくちょく出てくるMちゃんと剣道の道場が一緒とのことです。今回はこの男の子の名前を聞くのを忘れてしまいましたが、忙しくても時々は星に目を向けるのを忘れないで欲しいなと思いました。ちなみに出会った頃は小学5年生だったMちゃんも、今年もう中3になっていて、受験で道場も引退してしまったとのことです。高校に入ってまた時間ができたら、一緒に活動できたらと思います。


まとめ

富山市科学博物館はいろいろ工夫して、なかなか面白い企画をしてくれます。少し前にあった、重力波検出器の内部をプラネタリウムのドームに映すイベントなんかは完全オリジナルで、全国でも初の試みでした。今回のブランコ体験も富山ローカルなお知らせなどには掲載されていたようで、100人分の整理券が昼くらいには全部なくなってしまったとのことです。また何かあるのか、注目していきたいと思います。


福島の星まつりで見た「北軽井沢観測所」のアイピースを利用した縮小光学系、買ってしまいました。福島で見せてもらった秒単位で撮影した星雲星団。8倍の明るさになるとのことで、かなり反応速度の速い電視観望やS/Nのいい撮影が可能にになるはずですが、実際に使ってみてどうだったのでしょうか?


北軽井沢観測所

北軽井沢観測所のアイピースは、昔星まつりでジャンクで安く出ていたものを2本だけ持っています。紫がトレードカラーで、ラベンダーから撮ったと思いますが「Lavendura」という名前を冠しています。もともと個人の趣味が高じて販売までされているという、非常にこだわった高性能のアイピースです。視野はそこまで広くないですが、歪みがとても少ないのが特徴です。焦点距離が50mmや68mmという長いものまでラインナップがあり、この「長焦点アイピース」と「短焦点Cマウントレンズ」を使って縮小光学系を組みます。アイピースとレンズの焦点距離の比が縮小率、明るさで言うと倍率になります。

今回購入したセットは、63mmのアイピースと、アイピースの先につけてカメラを繋ぐ専用の金属の延長筒になります。
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Cマウントレンズは手持ちの8mmのものを使うことにしました。このセットアップで63mm/8mm = ~8倍の明るさになるとはずです。

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繋げてみると、アイピースが最後まで入り切らずに金属筒の途中で止まります。中に入りすぎないよう適した位置になるように、金属筒の中に加工がしてあるようです。アイピースは金属筒に付属のネジで固定しますが、アイピースの表面が傷つかないか心配です。ネジは先端が丸く加工されているもので、今のところ傷らしきものは見えていないです。カメラ側は内径が2インチになっていて、カメラの2インチのリングを利用してネジで固定します。

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鏡筒

鏡筒をどうするか考えていたのですが、まずはC8で試すことにしました。口径が大きいこと、F10と暗いので8で割ると1.25になる計算です。この縮小光学系のF値はカメラ前に取り付けるCマウントレンズのF値で制限されるとのことです。今回のレンズはF1.4なので、1.25はすでに明るすぎで、少し倍率を抑えてもいいくらいかもしれません。C8の2000mmの焦点距離は2000/8 =  250mm程度になるはずです。多少の倍率はアイピースとレンズ間の距離を変えることで変更できるとのことですが、どのくらい変わるかなど実際に試してみないとわかりません。

鏡筒に取り付けてみますが、かなり長く、そこそこ重いので、赤道儀に乗せる際に前後の重量バランスに注意する必要があります。今回もか鏡筒をなり前にして固定しました。
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CMOSカメラ

当然なのですが、いくら縮小してみるといえども視野がそこまで広がることはなく、例えばフルサイズのカメラをつけても周辺が全部見えるようになるわけではありません。どれくらいの視野まで見えるか分からないので、とりあえずそこそこの視野があるASI294MCを取り付け流ことにしました。周りが暗いならROIで必要なところをカットすればいいのかと思います。

視野だけで考えると、オリジナルのC8にフルサイズのカメラをつけた時の視野と、C8に今回の1/8の縮小光学系を取り付けた時に、例えばセンサーの一辺がフルサイズの1/8のカメラを使うとすると、結局は見える範囲は同じになり、単純に明るさが8倍になるというわけです。視野の増加はあまり期待せずに、明るさの増加を期待して、その代わりに狭い範囲を拡大してみるために分解能は犠牲になると思えばいいでしょうか。

C8で銀河の電視観望をしようとしたことがあるのですが、やはりかなり暗いです。ykwkさんなんかは長時間露光でかなり成果を出していますが、もう少し明るく見えたらというのが今回の狙いになります。視野がどこまで実用で見えるのかわからないのですが、焦点距離が250mmの鏡筒に1/1.2インチのUranus
-Cや1/1.8インチのNeptune-C IIくらいの面積まで見えるなら、網状星雲を全部入れるのは厳しいですが、北アメリカ星雲くらいの大きさのもはある程度全体像が見えるのかと思います。例え本当に中心しか見えないとしても、小さい天体が明るく見えるはずなので、かなり楽しみです。


視野について

まず、見える範囲は明るい円になるのですが、やはりかなり狭いです。見える円の直径が、マイクロフォーサーズのASI294MCで、長辺の3分の1以下くらいになります。

次に、周辺の星像が彗星の形のようにものすごい歪んでいるのですが、アイピースとカメラ間の距離を変えたりしましたが改善しません。結局これは、カメラにあえて取り付けたCマウントとCSマウントの変換リングアダプター問題であることがわかり、外すことでかなり点像に近くなりました。

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ASI294MCでみるとこれくらいの縁で見えます。
ASI294MCの最大解像度が4144x2822のはずなのですが、
勘違いして4144x2116で見てしまっています。

これでやっと星がまともに見えるようになったので、プレートソルブを試します。星が見えている面積が小さいためか、最初は全くうまくいきませんでした。そこで、明るい円が画面に広がるように、ROIを調整しました。元々4144×2822ありますが、1280x1024にすると円が画面いっぱい近くを占めるようになりました。それでも周辺は暗いままです。この状態でプレートソルブをかけますが、まだうまくいきません。焦点距離はすでに2000mmの8分の1の250mmにしてあります。ここで焦点距離を500mmに変更すると、プレートソルブがうまくいきました。後に400mmでもうまくいったので、8分の1まで小さくなっていないかもしれません。

上の画像にあるように、M27が入り込んでいて周りの星も位置がわかるので、Stellariumなどのプラネタリウムソフトと画面を比較して、星と星の間の距離から見積もって焦点距離を計算してみると、なんと256mmでほとんど設計通りでした。プレートソルブが250mmで動かなくてもっと長い焦点距離で動いたので、縮小率が出ていないかと心配してましたが、きちんと設計通りに出ているようです。ついでに明るい円の部分の視野径を見積もると、1.26度角となりました。元々C8とASI294MCで普通にみる場合は、32.83分角x22.35分角程度になります。60分角で1度角なので、視野は3倍近くにはなっているようです。8倍には当然ならないですが、少なくとも広がっていることはわかります。

そもそもこの明るい円ですが、鏡筒の視野で制限されているのか、カメラ前につけたCマウントレンズの視野で制限されているか、まだよくわかりません。カメラの仕様を見ると2/3インチまで対応だそうです。なので4/3インチのASI294MCでは半分くらいの視野になるはずです。見えている円はそれよりは小さいので、こう考えると鏡筒で制限されている可能性が高いです。今回いじらなかったところの一つが、レンズのピント調整リングです。レンズの焦点を無限遠に合わせたきり、変えませんでした。結局「アイピースで見えた像」を別レンズでマクロ的に見て焦点を合わせて、それをカメラに映していると考えると、レンズの焦点をもっと短く、数cmとかにしていいはずです。これでもう少し視野が広がるのかは、今一度試してみたいと思います。おそらく円周部でエッジがはっき見えるようになるかと思いますが、その分だけ見える範囲が広がるだけで、視野そのものは大きくは変わらないと思われます。


明るさについて

これ以降はROIを1280x1024にして、明るい円が画面にある程度広がった状態で見ることにします。

次の興味は肝心の明るさです。今回客観的な評価はできなかったのですが、焦点距離がほぼ設計通り1/8で出ているので、明るさも8倍程度出ていると思ってもそうおかしくはないでしょう。実際に明るいです。

ただ、電視観望で明るさをそこまで感じられるかというと、結局ライブスタックしてしまうと多少暗い鏡筒でもちょっと待てばノイズが減って綺麗になるので、そこまでありがたみは感じられないかもしれません。例えば下の画像は1.6秒露光で191枚、トータル5分程度です。流石に羽は見えていませんが、ラグビーボールの輪郭は余裕で見えています。
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ちなみにこの日は月齢12.5日ともう満月にかなり近く、しかも下の写真のように雲が常にあるような状態だったのでかなり厳しい環境でしたが、それでも上の画像くらいまでは簡単に写るので、やはりかなり明るい光学系というのは間違いないでしょう。
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ところで、なぜこんなに明るい光学系にこだわるかというと、理由は2つあります。
  1. 一つは最近の撮影経験から考えてです。私がよく撮影する自宅のような光害地では、背景光が明るくスカイノイズがひどいため、S/Nを上げるにはより多くの光子を必要とします。これは露光時間を伸ばしてもいいですし、明るい鏡筒を使っても同じことです。たとえ背景の明るい光害地においても、F値の低い明るい鏡筒はやはり正義なのです。
  2. もう一つは、リアルタイム電視観望をいつか実現したいとずっと思っているからです。元々HUQさんがやっていたα7Sを使った電視観望は、α7Sの8μm越えという巨大ピクセルサイズと、F値が1台の明るいレンズと、10万クラスの高ISOを活かして、リアルタイムで見えるものでした。当時はライブスタックもなかったですし、ミッドトーンストレッチで簡易画像処理をその場でやるというようなこともできなかったので、もう本当に力任せで多少ノイジーだったりもしました。それでも(ライブスタックとかではなく)リアルタイムで画角が動いていても星雲も一緒に動いて見えるというのは、インパクトがありました。現在の電視観望の主流が、ライブスタックでS/Nを稼ぐという方式になってしまっているので、本当の意味でのリアルタイム電視観望は新鮮に感じるはずです。


リアルタイム電視観望

2の意味で考えると、今回のテストにおいても、少し方向性を見せることができるかと思います。例えば下はM13:ヘルクレス座の球状星団の電視観望画像です。
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一見写りがイマイチな電視観望と思われるかもしれませんが、露光時間のところに注目してください。なんと250msです。これだと赤道儀コントローラーの方向ボタンにかなりリアルに反応して、画面が動くと星団そのものが動き、それでも星団だとはっきりわかります。導入時やプレートソルブ時に、星団がリアルタイムで入ってくるところは見ててちょっと感動しました。

続いて、露光時間400msのM27:亜鈴状星雲です。淡いですが、これもかなりリアルタイムに近い状態で反応し、画面が動いていてもきちんと星雲と認識できます。
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ただ、もう少しはっきり見えて欲しいと言うのも正直なところです。フィルターはとりあえず弱めのCBPの48mm径をアイピースの先端に取り付けて見ています。今回は満月に近い月と薄曇りでのテストだったので、空がマシならももっと良く見えるはずです。次回以降、もう少し良い環境で試してみたいと思います。

この日は、その後厚い雲に覆われてしまい、残念ながら撤収となってしまいました。


鏡筒とカメラの再考

最初とにかく口径の大きいものをと思っていましたが、あまり欲張らずに、まずはそもそも視野の広い鏡筒を選び、あまり縮小率を取らない方がいい気もしてきました。

例えば手持ちのTSA-120です。元々フルサイズでも十分撮影可能のなので、多少縮小しても大丈夫かと思います。縮小率ですが、現在68mmのアイピースと8mmのレンズを使っているので1/8程度になりますが、レンズを16mmにして、1/4程度にすると、元々のTSA-120のF値が7.5なので、1/4でF1.8程度になります。手持ちの16mmレンズのF値が1.8で制限されるようなので、ちょうどいいくらいです。TSA-120の焦点距離は900mmなので、こちらも1/4で225mmとなります。

もしくは、今回使ったC8に1/4の縮小光学系で、焦点距離500mmでF2.5にして、もう少し分解能を出す方向にしても良いのかもしれません。視野はまだ鏡筒制限なので実質変わりないか、もしくは次のレンズ制限になるかと思われます。

レンズは監視カメラ用の小さなCマウントのものなので、2/3インチまでのカメラに対応と明記されていて、視野角は限られています。手持ちだとNeptune-C IIが1/1.8インチ、ASI178MCが1/2インチ、あと惑星用カメラだと1/2インチを切ってきて1/3インチくらいまであるので、これらを使うのがいいかと思います。

ただし、カメラを固定流する金属筒の内径が2インチで、ZWOのカメラは2インチ外径の枠があるのでいいのですが、PlayerOneのカメラはそれに該当する枠がないので、取り付けは何か工夫をしなくてはいけません。T2と2インチの変換アダプターがあればいいのかと思います。

ちなみに、北軽さんはASI178MCを使っているそうです。ASI178はセンサー面積が小さい割に解像度が3096×2080と高いのが理由とのことです。ただ、ピクセルサイズが小さいので感度はどうしても低くなってしまいます。分解能と感度はトレードオフなので、慎重に選びたいと思います。


まとめ

条件の悪い日でのテストだったので、試している最中はもう少し見えてもいいのにと思っていたのですが、縮小率もきちんと出ていることがわかりましたし、視野もC8なら妥当だと思います。次回以降で明るさの数値的な評価をしたいと思いますが、それでも今回だけでも明るさの十分な威力を垣間見ることができました。もう少し機材パラメータの調整は必要かもしれませんが、どこまで見えるようになるのか引き続き試したいと思います。目標は系外銀河のリアルタイム電視観望です。


 

関東方面に行く機会があったので、青梅にあるマイコン博物館に行ってきました。


マイコン少年時代

今回の記事は天文とは全然関係ありません。過去の別の趣味の話、と言っても少年時代の趣味になります。このブログでも何回か書いているかと思いますが、子供の頃の私はマイコン少年でした。きっかっけは小1の頃から愛読していた「コロコロコミック」の姉妹誌で、小3の頃に創刊になった「別冊コロコロコミック」に載っていたマイコン特集です。当時「ゲームセンターあらし」という連載をしていたすがやみつる先生がマイコン好きで、特集を組んでいたのかと思います。別コロには同じすがやみつる先生の「マイコン電児ラン」というマンガも連載されていました。確か小4の10月か11月くらいだったと思いますが、特集記事に小さなBASICのプログラムが載っていて、それを近所にあったジャスコの電気屋さんで、わけもわからず打ち込んだのが最初だったと記憶しています。何度かのエラーのあと、うまく動いたのですが、命令してその通りに動くということに感動したことと、逆に命令通りにしか動かないということを実感しました。初めて触ったマイコンなので機種は覚えていませんが、形から言ったらSHARPのMZ系だったのではないかと思います。

当時は電気屋さんがかなり解放されていて、何台もあるマイコンを自由に触ることができました。売り込みの意味もあったのかと思いますが、データレコーダーも置いてあり、そこで自分で打ったプログラムをカセットテープに保存して、そこに集まったマイコン仲間と交換とかもできました。私がよく通っていたのは当時の名古屋にあったカトー無線と栄電社です。性格上昔からそうだったのですが、この時もやっぱり夢中になりすぎました。一番酷かったのは小5の夏休みでした。午前が水泳部で、泳いだ後に疲れているはずなのにそんなことは全く気にせず、夏休みのほぼ毎日電気屋さんに通うという偉業を成し遂げました。これを見かねた親が、さすがにそこまで好きなら仕方ないと言って買ってくれたのが、当時まだ出たばかりのPC-6001 mkIIでした。専用モニターとデータレコーダーのフルセットでした。その後のコンピューター遍歴は中1で中古のFM-NEW7、中3で親が買ったはずのPC-9801VM21を結局占有したところくらいまででしょうか。高校時代はコンピュータから少し離れて、その後大学に入るときにDOS/V機を手に入れてからまたハマるのですが、ここら辺の話はまたいつかできればと思います。とにかく、今回のマイコン博物館の訪問はその子供の頃の記憶を辿るような経験で、最初に買ったPC-6001 mkIIが中心の記事になります。


マイコン博物館

マイコン博物館を見学するためには、あらかじめ予約が必要になります。このページの下の方に記入して申し込みます。


しばらくすると、予約が完了したとのメールが来るので、それで予約確定ということになります。予約完了メールの内容はとても親切で、電車もしくは車での行き方が詳しく書かれているので、迷うことはないでしょう。入館料は1000円、「動体展示」と言って今でも動く機種に触る場合は3000円とのことです。


青梅駅に降り立つ

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事前の用事が長引いてしまい、青梅駅に降り立ったのはもう午後4時に差し掛かる頃でした。青梅は学生の頃に旅行で駅に降りた覚えがあるので、もう30年ぶりくらいです。改札は一つしかないので、出口に迷うことはありません。その旨も予約完了メールに書いてあります。改札を出て、右手に見えるセブンイレブンの脇の道を進みます。
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道なりに100mほど進むと左手にコインパーキングが見えてきます。車で来た際はここを利用するといいとのことです。
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コインパーキングの中に入っていき、そのまま通り抜けた先のビルにマイコン博物館があります。
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ここはビルの裏口にあたり、写真にも写っている通用口から入りますが、鍵がかかっている場合は「マイコン博物館」と書いてあるベルを鳴らすと、まもなくスタッフの方が出迎えてくれます。
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いよいよ中へ

到着が予約時間より少し遅くなってしまって申しわけなかった旨をお伝えして、中に案内されました。このビルの1階から3階がマイコン博物館と併設する「夢の図書館」なのですが、現在はマイコン博物館のみオープンしていて、夢の図書館はリニューアル中とのことです。マイコン博物館は2Fになります。荷物はロッカーに入れるといいのですが、ロッカーが早速凝っていて、それぞれにCPUの名前がテプラでつけれらています。
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私は最初それに気づかずに適当な「TLCS-12A」とうところに入れてしまいましたが、後から聞いたら東芝が開発したCPUだそうです。混んでいるときにはどこに入れるかで取り合いになるとか。


金個室の中は

博物館の中の機器は年代順に並べられているそうです。

もともとこの博物館は銀行だった場所に作ったとのことで、当時の金庫部屋がのこっています。最初に案内されたのはその金庫部屋で、マイコンになる前の時代の機器が集められた小部屋でした。初期の計算機につながったのは、タイプライターを開発していた会社だそうです。
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写真の棚の中段に見えるのが、ルパン三世が使っている銃で有名な、ワルサー社の回転式計算機で、タイプライターも作っているとのことです。ワルサーP38のモデルガンも置いてあります。上段に見えるのがコルト社のタイプライターです。コルト社もピストルを作っていて、戦後日本の警察でも採用されていて、インターポールの銭形警部がこの銃を持っているのはおかしくないとのことです。いずれもアメリカの会社で、タイプライターと銃が結びつくのが少し不思議ですが、初期の計算機は軍事と密接に関連しているので、繋がりが深いのかもしれません。

マイコン前の計算機の時代では、下の写真のようにキーボードにsinやcosなどの関数などを割り当てていたようで、こういったものを見ると、タイプライターと初期計算機との関係がすこしわかるかもしれません。
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そもそも、コンピュータのことを今でも時々計算機と言いますが、昔のホビーマイコンを見ていてもそうですし、そのさらに前の時代では本当に計算機という言葉が似合います。例えば、博物館の中に弾道軌道の計算表が分厚い本になって置いてあったのですが、これらの計算を担うと考えたら、やはり計算機という意味合いなんですよね。ホビー方面にも進化したのは、計算だけにとどまらない応用ができるくらいに進化したということなのでしょう。

この部屋は小さいですが、ブログでは紹介しきれないくらい面白いものがたくさんあります。この時代のことを知っている人はもうかなり少ないと思うので、是非とも実物を見て、できるなら解説付きで案内してもらえるといいのかと思います。私が行った時は見学者は私一人だったので、親切に解説していただきました。


メインの部屋へ

メインの大部屋に移ります。この部屋では列ごとに年代順になっているとのことで、最初の列は1970年台です。私はまだ生まれていないか、小学生の低学年くらいまでで、ほとんどのものは実機を見たこともなければ、型番を聞いてもあまりわからないものが多いです。その中でも、最初に展示してあるものはここに来る人なら誰でも知っているはずの、Apple Iです。と言ってもここにあるのは復刻版だそうで、そのためきちんと可動する!とのことです。ちなみに今調べてみたら、オリジナルのApple Iの可動品は世界で10台程とのことで、eBayで150万ドル(今のレートだと2億円以上)で出品されたこともあるそうで、さすがにオリジナルを手に入れるのは難しいですね。
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他にもALTAIR社の8080など、フロントパネルでスイッチをパチパチするタイプのものがありましたが、実は私はこのタイプをどうやって使っていたか知らなくて、その場でビットごとにスイッチを入れて記憶していくと説明を受けました。
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1970年台後半には、Apple IIも置いてあります。この時代のもう一つの目玉はTK-80関連でしょうか。これも私は直接は触ったことがないですが、ホビーマイコン直前の大ヒット商品として有名ですね。ここではTK-85がフルセットで置いてありましたが、実は私は85の方はほとんど知りません。80のバージョンアップ製品のようです。
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1970年台の一番最後にはPC-8001が申し訳程度に置いてありました。発売が1979年なので確かにこの列にあるのは正しいのですが、あまりに雑な扱いです。
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と思って、次の1980年台の列に行ったら、純正フロッピードライブとデータレコーダーと共に、もっとしっかりしたセットが数台置いてありあました。確かに、PC-8001がメインで活躍したのは1980年に入ってからですよね。
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2台目に買ったFM-NEW7

ここからは私にとって馴染み深いマイコンがたくさん出てきます。まずはFM-7です。列に並んでいたわけではないですが、途中のベットテーブルの上に置いてあり、目についたので写真を撮っています。
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私は中1の結構最初の方に2台目のマイコンとして、中古のFM-NEW7を買っています。まだ土曜日が学校も休みになっていない時代のある土曜日のことだったと思いますが、中1の当時まだ大学を卒業したばかりの新任の若い女の担任の先生に「今日新しいコンピュータを買いに行くんだ」と言って、嬉しそうにはしゃいでいる場面をはっきり覚えています。FM-NEW7はFM-7の廉価版で、機能はほぼFM-7と同等です。今調べたら発売開始が1984年5月とあるので、1年ちょっと経った中古を購入したことになります。当時は雑誌が唯一の情報源で、広告欄を食い入るように見て、お年玉とかを貯めた貴重なお小遣いなので少しでも安いところを探し、結局コムロードというお店で買ったと記憶しています。対抗馬としてPC8801がかなり魅力的でしたが、価格的には全然自分で買えるようなものではなく、200ラインでしたが、6809の魅力もありFM系に決めました。それまで使っていたZ80系とは違いますが処理的にも早く、たとえPC8801は買えなくても、PC8001にするよりはFM7系だろうと当時考えていました。スタッフの方によると、FM-NEW7もこのマイコン博物館のどこかにあるはずだとのことでしたが、残念ながらメインの展示の中には見つかりませんでした。

年代的に少し前後しますが、FM-8もありました。8とついているので7の後に出たかと思われがちですが、発売は1981年5月と、FM-7の1982年11月よりも1年半ほど早いです。私はFM-8自身にはさわったことがなかったですが、FM-8の優れた設計はFM-7に引き継がれ、テンキーの真ん中を押さないとキャラの移動が止まらないという欠点も含めて、富士通の当時の思想に共感したものです。
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東芝パソピア

もう一つ私の今の人生に大きく関わった機種を紹介しておきます。東芝のパソピアです。7の方ではなく、ただのパソピアです。というのも、まだ自分でコンピュータを手に入れる前、多分小4の冬くらいから小5の初めくらいだと思うのですが、自転車で15分くらいの親戚の家に入り浸っていました。母の姉の旦那に当たるのですが、親戚の中でも数少ない理系のおじさんで、当時のナショナルに勤めていていて、それでいてなぜか東芝のパソピアを自宅に持っていました。パソピアは後のパソピア7のようなホビーパソコンというよりはもう少し仕事向けでした。それでもジョイスティックを買ってあったりして、子供だった私やいとこにパックマンのようなゲームやオセロなどをさせてくれた覚えがあります。いとこは女の子二人の姉妹だったので、当然コンピュータに興味なんか持つわけもなく、その分興味を持った私がかわいかったのでしょうか、使っていない時はいつでも使っていいよということで、暇さえあればそれこそ平日でも押しかけていました。最初のBASICの基礎はここで学んだはずです。returnの綴りを口で呟きながら自転車で自宅まで帰ったことをいまだに覚えています。この時の時間を忘れてコンピューターに触れる経験はとてもありがたくて、叔父にはいまだに感謝しています。マイコン博物館に展示されていたものは当時のままの特徴のある赤と緑のキーボードで、とても懐かしかったです。そういえば、当時ROMカートリッジもたくさんあったので、かなりお金をかけていたと思われます。
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80年台まだまだ続きます

1980年台と言っても、よく知っている機種はもちろんたくさんあるのですが、あまり知らない機種も結構ありました。多少なりとも知っているものはPC6001、PC-8001、PC-8801、初代PC9801、FM-7と8、パソピア、松下のJR-100、シャープのMZ-80系、1200、2000(多少触ったことあり)、日立のベーシックマスターレベル3、Jr.(名前だけで触ったことなし)、三菱のMULTI16 (ホントに名前だけ)などです。そうそうIBM PCも置いてありました。オリジナルを見るのは初めてだと思います。
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あまり知らないものとしては、撮った写真に型番が写っているものだけでも、Commodore 8096-SK、Apple III(Apple IIまでしか記憶になかったです)、KYOCERAのM203 mark III (検索しても出てきませんでした)、BUBCOM80(富士通で製作され、FM-8にちょっと似ているZ80を使ったバブルメモリが使える機種らしいです)、Osbone Executive、Bondwell Portable Computer Model 12などです。多分ホビーの範疇ではないので、小中学生だった私にはほとんど知らない世界でした。

1980年台を繋ぐ間のところには、Commodore 64、CASIOのFP-1100やここで展示用のFM-7があり、さらにはシャープの初代X1もあります。最上段はぴゅう太ですね。友達がもっていて、カタカナベーシックは当時も多分今でもインパクト大だと思います。
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1980年台の2列目になるともっと馴染みが深くなります。目玉はLisaでしょうか。Lisaを知らない方もいるかもしれませんが、これは今のMacの大元のようなもので、1983年当初でGUI操作を実現していました。このマイコン博物館で改めて知ったことは、キーボードがきちんと日本仕様になっていたこと、下の段にはLisaの裏蓋が開けられているものがあり、中身まで覗けることです。
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他にもMZ−700、SONYのSMC-70、Apple IIe、NECのハンドヘルドコンピュータPC-8201、同じNECでPC-8001mkII、PC-6001mkII、NECブランドの京セラの名器PC-100、パソピア7、IBM系列ではXTとAT、さらには互換機のCompaqの初代機Portableも置いてありました。富士通はFM-11、SHARPはX1 turboまで進んでいて、MZでは全く記憶のない6500とかもありました。PC-9801はMまで進んでいます。


思い出のPC-6001mkII

さて、この日のメインのPC-6001mkIIです。これは初めて手に入れたコンピューターで、小学生ながらにかなりしゃぶり尽くしました。最初の頃はゲームをしたりプログラムを打ち込んだりでしたが、小6の時に「PC-Techknow テクニカル ノウハウ集」という専門誌に近いような本を買ってから状況が大きく変わりました。当時の値段は覚えていませんが今調べたら2500円でした。小学生が普通に買える値段の本ではなく、多分当時の栄電社に置いてあったと思うのですが、中身を見てどうしても欲しくなり、おじいちゃんにねだった覚えがあります。中身は技術的な情報が満載で、例えば打ち込んだBASICは中間言語という形に置き換えられて保存されているとか、listコマンドで見えないリストはなぜなのかとか、当時の私の拙い知識で理解できる範囲だけでも、後の理系人生を決定するほどの大きな勉強となりました。最近PC-TechknowのPC8801版は手に入れたのですが、PC6001版はいまでも手に入れられていません。

そんな話をスタッフの方と話していたら、なんとPC-6001mkIIの電源を入れてくれることに。モニターケーブルも探してきてくれて、モニターとの接続がRFではなくてデジタル信号だったことも思い出しました。デジタルだと、PC6001時代のRF出力の色ズレを利用してカラフルになるゲームが、mkIIだとうまく色がつかないんですよね。

ドキドキしながらPC-6001mkIIの電源を入れると、見事に立ち上がりました。文字に少し赤のズレがありましたが、記憶では真っ白だったはずなので、流石に経年劣化でしょう。垂直水平動機があったのを思い出しましたが、調整では直らなかったです。
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せっかくなので5つ目のN60m BASICを立ち上げます。ご存知の方も多いかと思いますが、このmkIIは「しゃべり」ます。talkコマンドを思い出しつつ試しますが、どうも声が出ません。裏のつまみで音量が調節できたはずなので回してみたり、playコマンドも試したのですが音が鳴らないので、どうやらスピーカーが壊れているみたいです。耳を近づけて注意深く聞いてもノイズ音も何もしなかったので、スピーカーに電流が入っていないような感じでした。簡単なBASICは動かせましたが、昔みたいにサクサクはいかないです。考えたら最後に触ってからもう30年近く経っています。私のPC-6001mkIIはキーボードが接触不良で徐々に使えなくなってきてお蔵入りさせてしまいました。博物館のものはキーボードもストレスなく打てます。スピーカーも直せば使えるかと思います。こんな状態で残っているのがとにかく感動でした。

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マニュアルも当時のままで残っていたので、中を見てみました。そういえば昔のマニュアルは、技術情報まで詳しく書いてあったことを、改めて思い出しました。しかも、例えば音の出し方とかもきちんと周波数ベースで書いてあったりして、小学生の当時理解できなかった部分も今見るとさすがにわかります。これは結構感動でした。
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今この時代のマイコンを触るんだったら、完全分解とかになるかもしれません。多分この規模だからそんな気になるんだと思います。キーボードの下に本体が入っているというのも、今から見るとずいぶんコンパクトな感じがします。個人で全部を把握できるくらいの規模のコンピューターがホビーベースで存在したのは、1975年から1985年くらいの、せいぜい10年程度の間だと思います。それ以降は徐々に複雑になっていき、メモリ空間を全部把握するとかも困難になってきます。ある時期のみに現れた、非常にいい教材だったのではないでしょうか。

惜しむらくはもう少しだけ早く生まれていれば、もっと楽しめたはずなのにと今でも思います。そういえば当時は年上の人たちとばかりつるんでいました。P6仲間だった1個上のヤマケンやゴッちんやクッさんやドラ、FM7仲間だった4つくらい年上のS兄ちゃん、みんなどうしてるかなあ?などなど、もういろんなことを思い出してしまいました。またいつか時間のある時にマイコン博物館を訪れて、今度はFM7も含めてじっくり触りたいです。


その後の年代

まだここから1990年代とかもあるのですが、これ以降は私の中ではかなり新しい部類になってきます。iMacは色違いでたくさんあります。注目はNeXTSTEPでしょうか。大学院時代に少しだけ触ったことがあって、カラーだった記憶があるのですが、ノーマルではモノクロだったそうです。
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1階と3階も見せてもらえることに

青梅駅で18時には電車に乗りたかったので、滞在は2時間弱と短かったですが、とても充実していました。帰るときに、3階の倉庫と、1階の夢の図書館の現状も見せていただきました。3階には飛行機などのラジコン模型もあり、さらに拡充していくみたいですが、それ以上にまだまだ未整理のコンピューターが箱に入って山ほどありました。

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聞いたらスタッフは3-4人程とのことなので、一つ一つチェックするのが大変だそうです。動かせるように修理などもしているとのことで、できれば私も手伝いたいくらいです。夢の図書館の方もリニューアルにはまだかかりそうとのことで、以前使っていたロッカータイプの書庫から全て雑誌などを出して、段ボール箱の中に詰め替えたものが山積みになっていました。

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ちょっとだけ天文

そうそう、せっかくなので天文関連話を。今回のことをブログの記事にしていいか聞いた際に、今の趣味は天文だという話になりました。すると、館長さんがなんと昔6インチの望遠鏡を自作したことがあるとのこと。観望会という言葉も出ていて、以前は天文少年だったみたいです。その流れで「天リフさんも以前来てくれましたよ」と聞いてさらにびっくりです。そういえば天リフの特集で夢の図書館来たという記事を見たことを思い出しました。天文ガイドのINTERACTIVEがキッカケで夢の図書館を訪れたという内容で、その後私もINTERACTIVEを全巻お借りすることができたので、記憶の隅に引っかかっていました。


是非とも訪問してみてください

今回は私の小さい頃の思い出という視点からマイコン博物館の訪問記を記事にしましたが、ここに来れば誰もが自分自身の当時の思い出に存分に浸ることができるでしょう。マイコンという分野はアメリカを端にしていますが、間違いなく当時の日本独自の文化というものが存在したと思います。その文化の一端に、実際の機器通して触れることができる貴重な場所です。写真もたくさん撮りましたが、とてもじゃないですがここだでは紹介しきれません。是非とも現地に行って自分の目でご確認ください。

この日は久しぶりの観望会です。でも元々の天気予報では全くダメそうで、当日近くになって夜遅くから晴れると言う予報に変わりました。と言っても、Windyで見る限り上層の雲が広範囲に渡って広がっているようなので、あまり期待はできません。もし夜中に晴れてあわよくば撮影と思って、ε130Dを用意してはいきましたが、結局使えなかったです。


ドームの修理

観望会は別として、ドームが長らく故障てしていて使えないので修理をする必要があるのですが、冬だったり体調を悪くしたりで長らく行けていないので、天気のこととは別にとりあえず現地に行くことにしました。気温が心配でしたが、ドライブ中も現地についてからの作業中もずっと雨が降っていて、そこまで暑くなかったのがラッキーでした。

今回の修理ポイントをメモがわりに書いておきます。
  • 昨年交換したモーター周りの仮配線を、圧着スリーブできちんと接続しました。ただ、Amazonで安いものを買ったので、圧着がいまいちなようで、機会があったら再度交換した方がいいかもしれません。でも少なくとも仮止めよりは全然マシです。
  • もう一つは、電磁開閉器と呼ばれるスイッチで、リレーでスイッチが入れるものです。SC-03という型番で1bと呼ばれるNC(Normal Connected)タイプで、本来は奥下の2つの端子に電圧をかけることによりスイッチが開閉します。その際は左下2つの端子間に100Vがかかってリレースイッチが作動するのですが、どうもここに100Vが出てきません。
結局今回はこのSC-03のリレーの動作不良という判断で、交換することにしました。Amazonにも在庫があったので、次回来たときに交換します。


寂しい観望会

作業をしている最中に、スタッフのSさんが到着しました。その後まも無くしてかんたろうさんも到着です。ただ、空は所々青いところも見えますが、全面に薄い雲がかかっているような状態です。 Sさんによると、他のスタッフは今日は体調不良などで不参加とのことです。

雲越しでも多少なりとも星は見えるかと思い、35mmのF1.4のオールドNIKKORレンズとASI294MCで広域電視観望を試しました。雲もまだまだありましたが、最初にアークトゥルスが見え、次にベガが見え、そのうちに薄雲のところはたくさんの星が見えてきました。広域電視観望だとこと座の形もはっきりわかります。この頃には目で見ても夏の大三角が見えるくらいには雲が薄くなってきました。そこでいつものFMA135+Uranus C+トラバースでミニマム電視観望です。かんたろうさんも45cmのドブソニアンを出します。

ただ、この日は午後は雨で夕方暗くなる直前くらいからだんだん薄雲程度になってきたくらいで、こんな日はお客さんは少ないです。近くの人が多いので、その日の空を見てくるかどうか決めるのかと思います。残念なことに、結局お客さんはゼロでした。まあ、ドームの修理があったのでやることはあったのですが、少し寂しかったです。

その時に見たのがM57とM27、北アメリカ星雲と、網状星雲などです。M57と網状星雲はかんたろうさんのドブソニアンでも見比べることができました。他にもかんたろうさんがまばたき星雲を見せてくれました。なぜ「まばたき」なのかその時はわからなかったのですが、調べてみたらそらし目で見ることができるとか。次回もし見せてもらえたら試してみたいです。

今回見えたものです。薄雲越しなので、星が滲んでしまいますが、それでも十分形が認識できるくらいには見ることができます。

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曇ってましたが、雲さえなければ透明度は良かったようです。

見えなくなる直前に向けたアンタレス付近でM4も下のほうに綺麗に見えています。カラフルタウン狙いでしたが、青いところはもう少し上でした。カメラの向きを変えて縦向きにして入れようとしましたが、その時にはすでに曇っていました。
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熊 !?

そんなこんなで、徐々低空からにガスってきて、そのうちほぼ全面見えなくなってきました。感度のいい電視観望でもほぼ全く何も見えなくなったので、まったりモードで3人で話し始めていました。するとドブソニアンの向こうくらいから「ガーッ」という、少なくとも可愛い動物とは思えないような声が聞こえてきました。初めて聞いた声で、多分猪とかではなさそうです。流石に怖くなったのと、せっかくの新月期ですがもう星は全く見えていなかったので、すぐに片付け始めて退散の準備です。私は広域電視観望とミニマム電視観望だけだったので、10分もあれば余裕で片付きます。かんたろうさんも45cmと大きいのに、意外なほど片付けは早いです。私が片付けてから10分か15分後にはすっかり片付いてしまいました。

そこにいても怖いだけなので、3人ともそのまま退散です。時計を見たら22時10分くらいだったでしょうか。自宅に着いたらまだ家族も起きていて、謎の声の話をしたらビックリしていました。


エピローグ

次の日、Sさんから連絡があり、昼に同じ場所で熊が目撃されたそうです。クマはどうやら鳴くことはあまりないとのことなので、昨日の声は違うのかもしれませんが、それでも万が一だとかなり怖いです。退散で正解だったと思います。今思い出しても怖いです。

富山県には「クマっぷ」と言うのがあり、目撃件数や場所などがわかるのですが、今年は同時期の例年よりも多く目撃されているようです。飛騨の方まで山続きなので、そこまで比率は変わらないと考えると、少し注意した方がいいかと思いました。そういえば富山県天文学会の前会長が生前、観望会の時は必ず車のオーディオを大音量で鳴らしていました。特に一人や少人数の時には、それが正解な気がします。

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