ほしぞloveログ

天体観測始めました。

夏は観望会が目白押しです。先週土曜の高岡市のおとぎの森公園観望会に続いて、この週は7月31日の金曜に富山市の環水公園というところで観望会です。


歴史

環水公園の観望会も、もう毎年恒例の行事です。昨年の様子は少しだけこのページに書いています。



最初に参加した2023年の記事によると、コロナ前から行われていたとのことですが、コロナで一旦中止、コロナ以降に2023年に復活したとあります(でもこれが嘘だったと後からわかります)。私自身はコロナ以前のものには参加していなかったので、今回が4回目の参加になります。

検索してもコロナ以前のこのスターウォッチングに関する情報があまり出てこなかったので、ChatGPTにまとめてもらいました。今は便利ですね。文書をAIに作ってもらうのは味が無くなるのでまだ避けていますが、こういった資料的なものはかなり細かいことまで情報を集めることができます。

確実と思われる情報を挙げてもらいましたが、あくまでAIが検索できた結果なので間違いもあるかもしれません。資料としては県の年度報告が一番確実なもののようです。でも、調べた結果は意外なものでした。
  • 2012~2019年:8回(コロナ前は毎年開催)
  • 2020年:雨天中止のため開催回数に含めない
  • 2021~2026年:6回
と合計14回行われていることがわかります。面白いのは、コロナ禍が始まった2020年はコロナではなく雨天で中止になったと報告されていること、さらに2021年からコロナ禍でも規模を抑えて開催されていたことです。

今後の資料がてら少し詳しく残しておくと

開催状況確認できた内容
2011環水公園開催は未確認富山県の広報映像資料に「とやまスターウォッチング」が登場しており、県の事業自体は少なくともこの年には存在していました。ただし、会場が環水公園だったかは確認できません。(富山県)
2012開催されたとみられる8月24日に環水公園野外劇場前広場で開催する告知が残っています。テーマは「伝統的七夕の夜に織姫と彦星を探そう」でした。環水公園開催として確認できる最古の記録です。 (FMとやま)
2013開催されたと推定個別の公式記録は発見できませんでしたが、観望協力者による後年の記録では「コロナ前までは毎年開催」とされています。 (ほしぞloveログ)
2014開催告知あり8月22日の環水公園開催を伝える記録があります。 (i北陸)
2015~2018毎年開催と推定個別ページは確認できませんでしたが、コロナ前の毎年開催という関係者記録と整合します。 (ほしぞloveログ)
2019開催8月2日、環水公園野外劇場前広場。参加者は約200人でした。
2020雨天中止8月7日に予定されていましたが、公式事業報告に「雨天中止」と明記されています。新型コロナによる中止ではありません。
2021開催8月6日、約50人。コロナ禍でも再開されていました。
2022開催8月5日、約60人。
2023開催8月4日、約100人。
2024開催8月2日、参加者160人。
2025開催8月8日、約180人。夏の大三角の観察、星や日食に関する解説、4D地球儀を使った環境展示などが行われました。 (富山県公式ウェブサイト)

とのことです。でも2013年と2015〜2018年の根拠がこの「ほしぞloveログ」で、実際コロナ禍での情報が間違っていたので、あまり当てになりませんね。これでもChatGPTの結構いいエンジンを使ってこの結果なので、ここらへんが限界なのでしょう。というか、他に記録がなさすぎです。

もう少し突っ込んでおきます。2011年の根拠になっている広報映像の資料ですが、リンク先にはタイトルだけで映像はありませんでした。タイトルを見ても、2011年にそれらしい記述がないので、少なくとも自分で調べた限りでは確認が取れませんでした。

2012年以降は、ほしぞloveログの情報が根拠になっている以外の年では、リンク先の資料に「スターウォッチング開催」の記述が、かなりシンプルですがどの年も一応は確認できました。特に、2020年はすでにコロナ禍でしたが、県の報告書にはっきりと「雨天中止」と書かれています。

ただ、これが本当に雨天中止だったのか、コロナ禍で開催が心配されたので雨天中止とあえてしたかなどの判断まではできませんでした。確認で自分の過去メールを調べてみたら、確かに雨天中止と県天メンバーからメールが流れていたので、コロナではなく雨天中止で正しそうです。

2021年と2022年はコロナ禍真っ只中でしたが、それでも参加人数とともに報告されているので、実際に開催されたのかと思います。こちらも過去メールで確認しましたが、紙コップを使ってアイピースが皮膚に触れないようにするなど、いろいろ工夫をしながら開催していたようです。


自分は一体何をしていた?

で...、問題は、私は2016年には富山県天文学会に参加していたのですが、2016年から2022年までは観望会に参加せずに何をしていたんでしょうか?

全く記憶になかったのですが、自分のMacのカレンダーを見ると2017年から環水公園の観望会があると予定項目として残っていました。それらの日をよく見てみたら、理由がわかりました。2016年から2019年までは原村の星まつりと日が重なっていたので参加できなかったというわけです。

それでも2020年から2022年の記憶が全くないです。原村の星まつりは2020年以降は開催されていないので、星まつりへの参加が、環水公園不参加の理由にはならないと思います。忙しかったのか、もしかしたら2019年まで参加できていなかったので、それ以降も惰性で参加していなかったのかもしれません。


AIによる調べ物

以上のようにAIの力も借りながら調べてみました。少なくとも人間の曖昧な記憶よりは正しい結果を出してくれています。また、AIが出してくれた情報をもとに、さらに自分で確認することもできるので、かなり役に立つという印象です。それでも、2011年のように人間が確認を取ろうと思っても確認できない情報まで含まれていることもあるので、必ずしも確実ではないことも、気にしておいたほうがいいかと思います。

あと、自分のブログが情報の根拠となっているのはかなり気持ちが悪いです。どれくらいの根拠感で書いているのかは自分ではある程度わかっているので、それを情報源と思われると嫌なのと、他の情報も、この程度の根拠しかない可能性もあるのかと思い知らされます。


観望会

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観望会の歴史という、関係ない人から見たらくだらないことを長々と書いてしまいましたが、これは肝心の観望会が曇りでかなり厳しい状況だったからです。

平日なので仕事が終わってからの準備になります。会場に18時頃に到着すると、もう何台か望遠鏡が並んでいました。最終的には10台以上は出ていたはずです。

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この公園は富山駅から歩いてくることができるので、お客さんもたくさん来ます。100人以上は確実にきていたはずです。ただし、開始時から今日は天気が厳しいかもと皆さん言っていて、明るい金星も双眼鏡で探してもなかなかわからないような状況が続きます。

結局見えたのは、肉眼では、
  • 沈む直前の金星が、時間帯によってはかなり低い位置の雲の合間に見えた。
  • ベガとアークトゥルスはかなり注意して見ると、大抵の人には見えた。
  • デネブとアルタイルは時間帯によっては見える人もわずかにいたが、見えない人が多数。
  • 終了近くに地平線から月がやっと昇ってきて、雲越しに少しだけ見えた。

望遠鏡ではアルビレオくらいまで入れていたようです。後半になるにつれ、一部に雲間が見えたりもしましたが、終始なかなか厳しい状況のようでした。

私は35mmレンズ+ASI294MCの広域電視観望を使って、雲越しの星を見ます。
  • 一番星でベガを見つけて、肉眼でも見えないかお客さんと探し、
  • その後少し晴れた時に、こと座の全体像を見せ、
  • デネブとアルタイルを見せて、一応夏の大三角を完成させ、
  • そこそこ雲が薄くなってきた時に白鳥座全体を見て十字を確認し、
  • 月が出た時に、雲越しもぼやぼやした月を拡大で見た
というくらいです。

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こと座です。終始こんな感じでずっと雲が出ていました。

まあそれでも、雨が降ることはなく、かろうじてですが何か見るということはできたので、ヨシとしましょう。

21時頃には片付け始め、22時前には自宅に到着。次の日は朝早くから用事があったので、すぐに寝てしまいました。



2026年7月25日、富山県高岡市のおとぎの森公園で毎年恒例になっている、星空観察会に参加してきました。

昨年の記事はこちらになります。



今年も開催

この観望会への参加は、今回で3回目になるみたいです。過去記事によると、一昨年は天気が悪く記事にせず、昨年は天気が良く見えたと書いてますが、この時期は夏の観望会が多すぎてどれがどれだったか、こんがらがってしまいます。やっぱり記録にとっておくのは大事ですね。


今回は準備が大変

このおとぎの森観望会のときは、毎回早めに自宅を出て、たいてい会場すぐ近くのイオンモールに行くのが恒例です。こんなふうに、観望会以外に何か時間を過ごせそうなことがある場合は、なんだかんだ言って妻も一緒についてきます。この日も自宅を14時前には出て、イオンモールには14時半頃に到着しました。少し早すぎる到着です。

というのも、今回は観望会前に講演を頼まれているのです。ターゲットは主に小学生の子供たちとのこと。あらかた準備は済ませてましたが、モールのフードコートでPCを出してスライドの最後の仕上げです。もちろんその間、妻はショッピングです。

講演が18時半からということで、逆算していくと、遅くても18時には会場入りして接続チェック、実際には観望会の機材の準備もあるので、17時過ぎくらいには公園に着きたいです。その前に夕食をとっておくとすると、逆算すると16時くらいには食べることを考えておいた方が良さそうです。

あらかじめ時間は確認してあったので、16時過ぎに妻がフードコートに戻ってきました。私は牛角のカルビ丼に盛岡冷麺の小さいのを追加、妻はそこまでお腹が空いていないということで、フレッシュネスバーガーを注文してました。富山市内にはイオンモールがないので、隣の高岡市のイオンモールには、こうやってフードコートに来るだけで楽しいので、いい機会です。

食べてる間に、今日の講演のスライドを妻にチェックしてもらいました。小学生がメインなので、あまり星に詳しくない妻でさえわからないというなら、子供相手だと全然無理なはずです。でも、聞いている限り結構面白そうにしている反応だったので、とりあえずよしとします。

17時前になって、イオンを出発して、おとぎの森公園へ。妻は観望会には興味がなく、そのままモールでショッピングを続けます。終わったら迎えにきてくれればいいそうです。

17時頃には会場に着きました。さすがに早すぎると思ったら、すでに一人メンバーが到着していて、早速観望会の準備を始めてました。私はまずは講演会場になる「こどもの家」に行くと、ちょうど世話役の方が到着して2階の会場を確認できました。あまり広くないと聞いていたのですが、そこそこの広さはあり、子供には床に座って聞いてもらえば数十人は十分入れそうです。接続テストは会場のセッティングができてからということで、そちらはスタッフさんがまた来てやってくれるとのことなので、私は一旦外に出て、観望会の準備をします。

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といっても、雲が結構あるので、機材を出しっぱなしではちょっと怖いです。もし講演の最中に雨が降ってきても、機材を片付けるために講演を中断して抜けるわけにはいきません。最悪雨に濡れてもいい、テーブルと椅子だけ出しておくことにしました。


星空を見るのが楽しくなるお話

18時頃になり、再び講演会場に行きます。スタッフの方たちと一通り挨拶して、接続テストです。スタートが18時半なのですがちょうど食事の時間くらいなので、人が集まるか少し心配していました。18時半直前になってぼちぼち人が入り始め、18時半の時点ではまだ大人子供合わせて20人くらいだったでしょうか。講演終了予定が19時15分で、観望会が21時までなのですが、まだ日が長く講演が終わってもまだ明るいはずなので、時間の余裕はあるということで、もう少し待ちました。18時半を過ぎるとどんどん人が増えてきます。18時35分くらいだったでしょうか、ではそろそろ始めましょうとスタートしたのですが、それでもまだ人は入ってきます。

最終的には、スタッフの人が来ている人の靴を数えてくれていて、およそ100足あったらしいです。さすがにこの人数だと、会場はかなりキツキツで、人が部屋いっぱいに広がっていました。用意していた椅子は全然足りずに、大人の方もかなり床に座ってもらいました。

一番難しいのは、対象が子供ということです。聞いてみると、小学生未満は一人だけ、小学3年生と4年生が同じくらいで一番多かったです。4年生の理科で星のことを学ぶのと、近所の小学校で4年生を対象にチラシを配布したとのことです。

子供はとても正直で、飽きてくるとじっと話を聞かずに歩き回ったりする子も少なくないです。実際、講演前はプロジェクターの光を使って、スクリーンに手や体を使って影を作って遊んでいます。普通の北極星を探そうとか、夏の大三角を探そうというお話だけだと、星が好きな子はいいのですが、興味がない子だと多分飽きてしまうでしょう。そこで今回は、クイズを多用することにしました。クイズと言っても、単純な3択クイズとかではありません。

子供といえども、一生懸命に考えて欲しいと思っています。そう、いつもやっている太陽はどちらから昇るかから始まって、月はどちらから昇ってどちらに沈むかを聞いていきます。太陽は小学生でもさすがにすぐにわかります。太陽が動く理由も、地球が回転しているからと理解してくれます。あ、「違うよ、地球は太陽の周りを回ってるんだよ!」と、公転と自転を区別できない子供がいましたが、こういったことを大きな声で言ってくれるのはうれしいですね。月がどちらから昇るかは、子供だけでなく、大人もわかっている人の方が少なそうです。

夏の大三角の話に持っていって、星がどちらから昇るか、水平に見えたベガが天頂に昇るまで何時間かかるかも考えてもらいました。太陽も月も星も地球が動くので昇り方は同じで、1日に星がどれだけ回転するかを考えたら半日でどれだけ動くかわかり、最後には90度動くのにかかる時間も子供でも十分に理解してくれます。

夏の大三角は七夕伝説に持っていきます。高岡は面白くて、富山県最大の七夕まつりが高岡市内の戸出というところで7月初めに開催され、それとは別に、これもかなり大きな規模の高岡七夕まつりというのが旧暦にならって8月初めに開催されます。そう、ここ高岡市は新暦の七夕と旧暦の七夕まつりを両方とも味わうことができる、珍しい場所なのです。富山県は比較的旧暦の七夕を祝うところが残っています。田畑が広がるので、月の満ち欠けで暦を判断する風習が残りやすかったのかもしれません。

七夕から、天の川の話に持っていき、南の天の川は銀河中心を見ていること、反対に北の天の川は銀河の端を見ているという話まで持っていきます。会場には明らかに星に詳しそうな子が二人いました。その子達も銀河のことくらいまでは知っていたようです。

そこから更に、天の川が見えない方向は何が見えるかというクイズを出して、春のおとめ座銀河団を撮った画像を見せました。その画像の中にどれくらいの数の銀河があるかという画面を見せると、星に詳しい二人もこんな密度だとは知らなかったようで、その子達を含めてみんなびっくりしていました。天の川の星が邪魔しないので遠くの銀河がよく見えるということも、反応を見ている限り、大人だけでなく、子供たちもよく理解してくれていたと思います。
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更にここから、スケールを広げ、秋の銀河が少ない理由を話し、宇宙の泡構造まで持っていき、ブラックホールや重力波、ニュートリノなど、比較的近くにあるカミオカラボの紹介をして、宇宙にはまだ謎がいっぱいというところまで行きました。

最後にはまた近くに戻って、普段の生活が宇宙にどれだけ関わっているかを考えてもらいました。一日、二日と日を数える「日」は太陽のこと、一月、二月と月を数える「月」はお月様のこと、夏と冬など季節は地球の公転です。植物の成長、睡眠、水の循環、潮の満ち引きなど、生き物が生き物として生きるのに、宇宙は実はものすごく絡んでいるんですよね。基本的には太陽や月の影響ですが、太陽より遠い天体は生活に影響があるのか?という話も用意してました。でも時間も押していたのと、ちょっと難しそうなのでスキップとしました。

今回は、ずーっと子供達と会話しながらの講演になり、とても楽しかったです。終始子供達がひっきりなしに答えを言いまくるのでなかなか大変でしたが、これだけ反応があると、講演を引き受けた甲斐があったというものです。19時20分くらいだったでしょうか、ほぼ予定通り45分で終了し、次はいよいよスターウォッチングです。よほど星が見たくなったのでしょうか、子供たちは部屋から飛び出していきました。


その後の観望会

大人の方の反応も上々だったようで、終わってから世話役の方やスタッフの方達からも、ものすごく面白かったとの感想をたくさんいただきました。私の話は、できるだけ知識は必要とせず、なぜそうなるかを考えてもらうので、子供でも大人でもあまり年齢に関わらず楽しんでもらえるようにしているつもりです。観望会の時に、若い社会人の女の子の二人組と話す機会があったのですが、講演も聞いてくれていたとのことで、これまでほとんど聞いたことがない話が多くて、相当面白かったとのことです。また来年も来てみたいと言ってくれました。実は今週金曜日も、富山駅近くの環水公園というところで観望会があるので、誘っておきました。

さて、観望会の方ですが、そこそこ晴れていましたが、常にどこかに雲があり、月が見えたり見えなかったり、夏の大三角も見えたり見えなかったりで、ちょっと微妙でした。それでもたくさんの望遠鏡が出ていて、月や金星、アルビレオなど、見どころは幾つもあったので、子供も大人も楽しめたのかと思います。

私はというと、今回実はTSA-120を用意していたのですが、ポータブルバッテリーを忘れるというポカをやらかして赤道儀が使えなかったので、泣く泣く電池駆動のトラバースにFMA135を載せたいつもの電視観望で、月とM57とM27を見せました。観望会ではいつも用意しておく外部モニターも使えずじまいでした。

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雲が多かったことと、多分空の状況はあまりよくなかったので、星雲は数多くは見えず、20時半頃にはもうお客さんもすっかり少なくなってきました。子供だと21時くらいには寝てしまうことも多いので、日が長いうちの夏の観望会はどうしても時間が限られてしまいます。観望会には250人くらいきていたということで、各望遠鏡には長い列ができていることもありました。電視観望は比較的人数も捌けるので、ある程度多くの方に見て頂けたと思います。

お客さんもほとんどいなくなった21時前にはもう終了宣言が出て、21時過ぎには片付けも終え、イオンに妻を迎えにいきました。帰りの車で、講演がかうまくいったことを話し、帰路につきました。


おまけの観望会の記録

少し前の7月11日、天気が悪かったのでブログ記事にはしませんでしたが、飛騨コスモス天文台で観望会がありました。天気予報では絶望的だったのですが、かんたろうさんも来るというので、他のスタッフの方とも顔だけでも合わせられればということで、ほぼ何の機材も持たずに、ガソリン代の節約のため妻の小さい車を借りて、現地へ向かいました。途中、神岡町でいつも行く「もりのや」で唐揚げ定食を食べました。唐揚げの量にちょっとびっくりしました。

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唐揚げの数を数えたら7個ありました。お腹いっぱいになります。

その後、18時半頃にコスモス天文台に到着。

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天気はドン曇りで、たまにパラパラと雨っぽかったりもしたので、機材は何も出さずに、すでに来ていたメンバーとまったりモードです。途中からお客さんも何人かきていましたが、基本的に何もできず...

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と思っていたのですが、暗くなってきてから、天気予報に反して少しずつですが、一部で雲ごしに星が見え始めました。下は手持ちのカメラで、手ぶれ防止で5秒露光で撮ったものですが、雲越しに多少なりとも星が出ているのがわかります。

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かんたろうさんが双眼鏡を出していたので、コートハンガーとか、いくつか見せてもらいました。私はというと、最低限の機材はもってきたつもりだったのですが、いつもと車が違ったせいか、広域電視観望のためのカメラ三脚がない、普通の電視観望でトラバースはあったのに、FMA135を忘れたとかで、もう散々で全くやる気が出ず、何もできないまま終わりました。雲が途切れることはなかったですが、かんたろうさんのおかげもあり、それでも一部見ることができたので、今のところ「飛騨コスモスに行ったのに見えなかった日はない記録」はかろうじて更新されました。

夏は観望会や、星まつりが多いです。今年は最初涼しかったので、このまま続くかと思っていたのですが、結局例年通りまたものすごく暑くなっています。あまり無理せず、体調を壊さない程度に、今年も行事に参加していこうと思います。

前回記事の投稿から、結構間が経ってしまいました。天気が悪くてほとんど何も進まなくてネタ切れでした。

前回は福島星まつりでメニスカスの負レンズをお土産にもらい、それをC8+Phoenixに使ってみたという話を書きました。



今回はその続きで、エタロン前に置いたコリメートレンズをもう少しテストしてみたという内容です。


平日のテスト

梅雨時で休日は全然晴れなかったので、たまたま晴れと予報が出た平日の7月10日、朝5時頃から起きて撮影してしまおうと頑張りました。

セッティングは前回記事の最終時と同じで、C8+Phoenixにお土産でもらった焦点距離-400mm程度のコリメートレンズを挟んでいます。前回はまだテスト撮影でワンショット撮っただけなので、シーイングの影響を避けるために長時間撮影し、いいシーイングと思われる状況下で分解能がどこまで出るか見るのが目的です。

いつものように、各ショット200フレームで、30秒ごとに1ショット、大体1時間分の撮影です。細部がどこまで出るか見たかったので、接眼部にVixenの安価な2倍バローをつけて、Apollo-M MINIで撮影しました。Hαの中心波長が出る範囲も限られているので、こうすることによって中心部近くを撮影でき、いい部分だけを分解能よく撮影できるようになります。

この日はパッとみる限りシーイングは悪くなかったように思えます。

結果だけを見ます。1時間程度が2セットで、その中でそれぞれ一番いいものをそれぞれ選びました。

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110枚のうちのベスト。

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156枚のうちのベストです。

分解能が出ているかどうかは、処理中の特にImPPGで指定するUnsharp maskingのσの値でだいたいわかってしまいます。この値が小さくても模様が出てくる時は上手く撮れていますが、大きな数字にしないと出てこない場合は、分解能が悪い時です。今回は全然ダメでかなり大きな値なので、構造を出している線が太くなってしまいます。

実際に処理を進めても、上の画像を見ている限り、20cmの解像度はおろか、TSA-120の解像度にも遠く及んでいません。

原因はシーイングが悪いか、レンズが合わないかです。でもこれらをハッキリ切り分けることは簡単ではないです。シーイングがいい時に分解能が出たならレンズが悪いのですが、シーイングは30秒ごとの撮影でもコロコロ変わる可能性があるので、ほぼ同時に別のシステムで撮影するなどしなくてはいけません。

できるだけ問題を切り分けるために、撮影した多数枚の画像を見渡して検討してみます。110枚+156枚の画像を見てみると、ほとんどのものがあまり写りは良くなくて、上はかろうじてましなものを選んでいる程度です。PCの画面を見ていて、大きく揺れているようなシーイングではなかったですが、細かいところが出ていない印象で、ほぼ全部の枚数がそのような状況でした。

どうもシーイングというよりはレンズが悪いような印象です。判別するのに毎回こんなふうに多数の枚数を撮っていると大変なので、今後は少し方針を変えます。でもその後も全然晴れないので、モヤモヤしっぱなしです。


別のレンズを試してみる

7月の連休の最終日の20日、久しぶりに休日が快晴になったので、やっと続きを試すことができました。ここ1−2週間で一気に暑くなりました。昼間は暑くて体力がもたなさそうなので、朝6時起きで準備をして、涼しいうちに撮影します。

今回は、手持ちのいくつかの負レンズを交換して、まずはこのシステムでピントが出るものを洗い出します。前回のものを入れて手持ちは5枚あります。

5枚のうちピントが出るものが3枚ありました。ピントが出ないものは、焦点距離が-400mmよりもっと負側に長いみたいです。前回レンズはC8の主鏡移動で一番端までフォーカスつまみを回してやっとピントが出たくらいなので、C8だと合わないものがあってもおかしくありません。

ピントが合った3枚から、さらにピントの山が出やすいものを選ぶことにします。おそらくですが、山が出やすいものは収差も小さいとの推測からです。3枚のうち、2枚は福島のお土産で、もう1枚はアクロマートレンズを分解したものです。焦点距離は、見た目ではどれもそこまで変わらず、おそらく-400mm程度かと思われます。

結果だけ言うと、アクロマートレンズを分解したものは収差がひどくて使えそうにありません。残り2枚のレンズに比べて、ぱっと見で湾曲が小さいです。今回試した3枚については、湾曲の大きな負レンズほどピントの山が明瞭で、実際の像も良好でした。一般にレンズ形状と収差の関係は光束や配置にも依存するので単純には言えませんが、少なくとも今回のC8+Phoenixの配置ではこの傾向が見られました。

先日福島の星まつりでお土産にもらった負レンズ2枚の像はパッと見は共に悪くなく、さらに慎重に比べると前回試した1枚とは別の、残りのもう1枚の方が良さそうです。レンズの形状としても、いいと思われる方が湾曲が大きいです。今回はこちらを試すことにします。


いいと思われるレンズで撮影1

新レンズでは、まずはカメラをG3M678Mにしました。広めかつ2μmの細かいピクセルサイズで分解能良く撮る目的です。今回は1分ごとに1ショット、30分間撮影しました。これまでの30秒でなく、1分ごとにしたのは、暑さでPCがヘタってしまって反応が遅くなり、1ショット撮影するのに17秒もかかってしまうためです。また、1時間にしなかったのは、すでに暑くなり始めていたからです。

結果を示します。
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これは上の7月10日に撮ったものと比べるとかなりマシです。レンズを代えた甲斐があった可能性が高いです。ただ、20cmの口径が活かされているかというと、まだイマイチな気がします。TSA-120のベストと比べても、まだ届いていないです。

今回の撮影で分かったことは、今のC8+Phoenixのセットアップには問題があるようで、写した画像をまとめて見てみると、時間とともに像がボケていくことがわかりました。上の一番まともだったショットはこのセットの中で一番最初に撮ったもので、その後はどんどんダメになっていきました。

たまたまシーイングが悪くなっている時間帯に撮影したのか、それとも何か他に悪くなる原因があるのか?一つヒントは、撮影が終わってから見てみると、ピントが全然ズレてたということです。最初に合わせ損なうようなレベルではないくらいの大きなズレです。どうも、何か時間的に変化する何かのようです。


いいと思われるレンズで撮影2

次に、2倍バローを付けて、カメラをApollo-M MINIに取り換えて、30秒ごとにもう45分ほど撮影しました。45分で途絶えたのは、9時を過ぎて気温を見たら既に33度を超えていたからです。自分自身も暑くて、PCも熱くて限界でした。

今回の2セット目と、上の1セット目との違いをまとめておきます。
  • ピクセルサイズは2セット目のApollo-M MINIが4.5μmと大きくなるが、2倍バローを付けているので、1セット目のG3M678Mと同等に近い分解能になる。
  • センサーサイズもG3M678Mが1/1.8インチでApollo-M MINIが2/3インチで、そこまで大きく変わらないため、バローが付いている分だけ実際に見える面積は1/4程度になる。
  • G3M678Mが一般的なローリングシャッターで、Apollo-M MINIが揺れに強いグローバルシャッター。

結果を示します。
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これはかなりいいです。20cmの口径が効き始めていると言っていいでしょう。

1セット目とは拡大率とカメラが違うのですが、1ピクセルあたりの視野角は1セット目とあまり変わらないので、ピクセルサイズだけ考えると、分解能が大きく改善する理由はありません。比較のために、同じ画角で1セット目と2セット目を並べてみます。

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左: 1セット目、右: 2セット目

明らかに2セット目のApollo-M MINIの方がいいのが、よくわかります。

可能性としては、2セット目がたまたまシーイングが良かったこと、もしくはグローバルシャッターのおかげでしょうか?これまでもグローバルシャッターのほうがいい結果が出ていますが、たまたまの可能性も捨てきれず、いまだに結論は出ていません。ただ、時間帯としては後に撮ったので、シーイングは悪くなるはずです。それでもいい像が出ているというのは、やはりグローバルシャッターのおかげの可能性もあるかもしれませんが、まだ結論は保留しておきます。

ただし、(大気揺らぎという意味での) シーイングというか、鏡筒も含めた揺らぎという意味でのシンチレーション的には問題もあって、今回も1セット目と同じく45枚の画像のほとんどが悪くて、良かったのは最初の数枚だけでした。傾向も1セット目と同じく、時間と共にどんどん悪くなっています。撮影終了後の鏡筒を改めて調整してみると、明らかにピントがずれているのも同じでした。

どうやら今のセットアップでは、撮影中に何か徐々に悪くなる原因があるのは確実のようです。まあこれくらいの10分とかの時間スケールで変化する時は、大抵温度に関係する何かが原因の可能性が高いです。今後この問題を探っていくことになりそうです。

あと、まだレンズの収差が残っている可能性は否定できません。収差がひどいレンズをテストした時に改めて実感したのですが、ピントを合わせ込もうとしても、像がズレたようになり綺麗な像が出るピークが全然わかりません。今一番いいと思っている最後に使ったレンズも、まだこの傾向が少しあるような気がします。焦点距離は-200mmと大きく状況は変わりますが、今一度PSTのレンズに戻してみて、ピントの山がどれくらいか改めて確認するのも手かと思います。もしくは、アイリスを使って今のレンズ径を絞るテストもいいかもしれません。


Gallery

今回はC8でそこそこうまく出たので、改めて反転やカラー化など画像処理をしたものも載せておきます。

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  • 撮影日時: 2026年7月20日9時11分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10) + ACUTER OPTICS Phoenix (f400mm、F5)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: PlayerOne Apollo-M MINI + Vixen x2 barlow
  • 撮影: SharpCap Gain 300 (= 3倍)、露光時間5ms、200/200 frames
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop


まとめ

少しずつC8でも像が出るようになってきました。でもまだ問題点は山積みで、今のままではじゃじゃ馬鏡筒のような感じです。もう少し安定に運用できるようにしたいですが、上手くいくのかどうか...。


前回のPhoenix+C8ファーストライトで、ピントは合うにはあったが、視野が狭いということを確認しました。ピントは合ったものの、まだはっきりとした画像とは程遠くて、これがシーイング起因なのか、それともTSA-120からC8に変えたことでなにか新たな問題が起こっているのかだけは、切り分けておきたいと思います。

C8でのシーイングテスト

前回と同じC8 + PST collimator lens + UV/IR cut filter + R2 filter + Apollo-M MINIをCGEM IIに載せて、いつものように30秒ごとに200フレーム撮影して、120ショットで1時間撮影してみました。試したのは2週間前の6月13日で、前々回記事の飛騨コスモス天文台での観望会の日の朝です。この日は午前5時頃には起きて、6時52分から連続撮影を始めています。

結果です。

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ニュートンリングがすごいことになってますが、まあそこそこ十分な解像度が出ているかと思います。なので、とりあえず前回ボケボケだったのは、やはり午後のワンショット撮影だったのが理由で、シーイングが悪かったと結論付けていいでしょう。ただし、この画像がC8の口径20cmを活かし切っているかどうかは別問題で、今後何例か撮影して検証していきます。

ニュートンリングについては、カメラ前に付けてあるチルターを、F値の低いTSA-120に合わせて角度を小さくしていたためで、角度を大きくして撮影すると
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のようになり、ニュートンリングを回避できます。その代わりに、視野が右方向にシフトしてしまいます。この視野シフトはニュートンリングの回避とトレードオフで、できるならカメラの撮影位置をシフトするようなアダプターを3Dプリンタで作るといいのかもしれません。

ちなみに、この画像は一つ前の画像とは別の小さな黒点ですが、シーイングがどんどん悪くなるような時間帯だったらしくて、朝イチの画像ほど解像度は出ていません。


コリメートレンズの交換

C8で写すと視野が狭いと言いましたが、この「狭い」には二つの意味があると思います。
  1. 画面の中でいい像が得られる範囲が狭い。
  2. 焦点距離が長くて拡大率が大き過ぎる。

1から考えます。上の2枚の画像で見てわかるように、きれいに出ている部分はかなり限られています。一番の問題は、前回解説したエタロンへの入射角による波長シフトです。範囲としては、センサーの長辺の半分くらいを直径とした円内くらいでしょうか。前回の議論の結論では、この円の大きさはフェニックスをそのまま使っている限り、大きく変更することは出来なさそうというのがわかっています。

2の意味での視野が狭いというのは、太陽の狭い部分をかなり拡大して見ているという意味です。C8の焦点距離2000mmに対して、対物レンズから1800mmの位置に-200mmのコリメートレンズを置くことで平行光を作っています。2000/200 = 10倍の拡大率が、フェニックスの対物レンズの400mmにかかって、合計の焦点距離は4000mmとかなり長くなります。もし大きな黒点が出ると、おそらく画面に入りきらなくなるはずです。


合成焦点距離を変えて見える範囲を増やす

1の方は、フェニックスを何かいじらない限り改善は難しいので、とりあえず置いておいて、今回は2の方の改善を考えます。とにかくもう少し広い範囲を見たいので、焦点距離を短くすることを考えます。

一番簡単なのはコリメートレンズの焦点距離を負側に大きくすることです。例えば、-400mmの焦点距離のレンズを1600mmの位置に置くことができれば平行光を作ることができ、焦点距離は2000/400 x 400 = 2000 [mm] となります。ただし、-400mmにするとコリメートレンズ位置での光束径は-200mmの場合の約2倍になり、C8のF10では40mm程度になります。そのため、フェニックスエタロンの直径の40mmを有効に使えるようになる一方、コリメートレンズでの収差は大きく出るなど、不利な点もあります。

簡単と言いましたが、実際には結構難しくて、少なくとも2点大変なことがあります。


負のメニスカスレンズが舞い降りた

まず一つめの難しさは、収差の少ない負の焦点距離の長いレンズを「手に入れる」ということです。

これまでPSTに付属のメニスカスレンズを使ってきましたが、これは少なくとも口径120mm程度の口径で収差が問題にならない程度のレンズだということがわかっています。負側に長い焦点距離で、収差の少ないレンズを手に入れる必要があります。ところが、焦点距離が負側に長いメニスカスレンズは単体ではほとんど売られていません。メニスカスレンズどころか、収差の大きい凹凹レンズさえ種類がものすごく少ないです。

一つの方法は、アクロマートレンズを分解して、その一つが負のメニスカスレンズなので、適した焦点距離のものを見つけることです。でも、個々のレンズの焦点距離は普通は示されていないので、個別に分解して確認する必要があります。私も一度は手持ちの使っていないアクロマート鏡筒を分解して試しましたが、TSA-120でピントを出せる範囲が狭かったせいもあるかもしれませんが、結局うまくいきませんでした。実際には、条件に合うものを見つけるのはなかなか大変なのかと思います。

そんな折、以前星まつりで知り合って、自宅までわざわざ遊びに来てくれた、お隣石川県のOさん一家の息子さんが、福島の星まつりのお土産で、なんとメニスカスレンズを買ってきてくれました。



私は腰痛で福島に行けなくてヤキモキしていたのですが、わざわざ星まつりの帰りの日曜に自宅にまで寄ってくれて、何枚かのレンズを頂きました。このブログをいつもよく読んでいてくれて、ちょうど私がコリメートレンズで悩んでいることも知ってくれていてのお土産です。最初に会ったときは小学5年生でしたが、今ではもう中3。でも中3できちんとコリメートレンズのことを理解しているのはすごいです。ちょうど福島で初公開だった、ヘリオスターの150mmの話も聞くことができました。晴れ間がほんの一瞬だったので、長くは見えなかったらしいのですが、やはり口径に応じた素晴らしい見え味だったようで、うらやましい限りです。

負レンズは焦点距離を見積もるのがなかなか難しいのですが、手持ちの焦点距離が-200mmと分かっているレンズと見え方を比較してみると、遠くに見える像が大体半分くらいの大きさになるので、おそらく-400mm程度なでのはと思います。これだと、太陽がより小さく見えるはずなので、写すことができる太陽像の範囲が倍程度になるはずです。


焦点位置の手前400mm

でもここで、もう一つの難しさが出てきます。エタロン用に平行光を作るためには、C8の焦点位置から400mmも手前にこのレンズを配置しなくてはならないことです。

普通の鏡筒なら、筒自体が邪魔をするために、こんな位置に置くことは出来ませんが、C8は主鏡を移動することで焦点を合わせる機構で、焦点位置をかなり大きな範囲で移動させることができます。具体的には、焦点距離が1800mm程度から2300mm程度まで変化するそうなので、焦点位置を500mm位の範囲で動かすことができるはずです。

実際にレンズをC8の手前に置いて試してみました。蛇足ですが、この時点で、赤道儀との固定をVixen規格のアリガタから、ロスマンディー規格のものに変更しました。さすがにこれだけ機材が大げさになってくると、より強固に固定した方が安全そうです。
IMG_3201
アリガタが赤いロスマンディー規格のものに変わって、より安定になりました。

試した限りピント位置はかなりギリギリで、コリメートレンズをC8にできる限り近づけることで、なんとか焦点が合う位置を見つけることができました。具体的にはコリメートレンズ位置を、何もついていないC8の接眼部から2cm程度離すだけで、もうフェニックスをどう置いてもピントが出なくなります。

その一方、フェニックスのフォーカサーのピント位置は遠くになると思ったのですが、意外にも逆の、かなり短い側でしか合わせることができませんでした。恐らくですが、コリメートレンズは平行光を生み出す本来の位置よりも遠くに置かれていて (C8の内部にレンズを入れない限りこれで限界) 、コリメートレンズ後の光は少し収束するような状態になっているものかと思われます。そこにフェニックスの400mmの対物レンズが置かれると、本来の400mmの位置よりも手前で焦点を結ぶというわけです。

それで撮影した画像が以下になります。
14_06_02_lapl3_ap3452_out

これまで同様に30秒ごとの120ショットから選びましたが、午後でシーイングはかなり悪くなっていたためか、少なくとも口径20cmの分解能が出ているようには見えず、このメニスカスのコリメートレンズが収差的に問題がないかどうかは判断できません。「少なくとも上の画像くらいまでの分解能は出せる」ということが言えるだけだと思います。

よく見えている円内の周りの、波長のズレが激しいのがわかります。左右で比べると、左側の波長ズレが大きいように見えます。また、BFでの絞り効果も画面左下に見えています。それでも合成焦点距離が2000mm程度になっていて、目的だった太陽が小さく見えているので、午前に見た時よりも広い範囲を見ていることになります。


どちらのレンズがいい?

さて、最終的に得ることができる太陽像を考えた場合に、-200mmと-400mm程度のどちらの焦点距離が適しているでしょうか?
  • -200mmで見える範囲は少し狭すぎる気がします。大きな黒点が出ると、周りの模様がみ出してしまうでしょう。大きくない黒点周りを強拡大して見るのなら、これくらいでもなんとかなるかもしれません。
  • 見える範囲だけ考えると、やはり-400mmの方が普通に撮りやすいかと思います。
なかなか結論は出ませんが、コリメートレンズを交換することで見える範囲を調整できると考えると、それはそれで便利なのかもしれません。

次の問題は、うまく見えている範囲をどうやって切り出すかです。一つの方法は、センサー面積の小さいカメラを使うことです。例えばASI290MMです。写る範囲は狭くなりますが、ピクセルサイズは2.9μmなので、Apollo-M MINIの4.5μmよりも分解能は稼げるはずです。ただ、Apollo-M MINIの優位な点であると思われるグローバルシャッターを諦めることになります。

もしくは2倍程度のバローレンズを入れて像の範囲をApollo-M MINIのセンサーサイズに合わせる方法があります。ピクセルサイズが大きいことも解決できるし、グローバルシャッターを生かすことができます。

今のフェニックスをそのまま使う場合は、できることはこれくらいでしょうか。これ以上は、いよいよフェニックスを分解して使うことになります。といっても、エタロン部を鏡筒から外すとかのメーカー指定の分割に過ぎないレベルで、それだけでもできることが一気に増えます。分解というには大袈裟過ぎますね。


まとめ

PSTレンズで合成焦点距離4000mmは何とかなりそうですが、ちょっと拡大しすぎなので、2000mmで試してみました。一応ピントは出ますが、こちらはもう少し検証が必要そうです。でも、梅雨で天気が悪く、全然進みません。まあ、焦らずに進めたいと思います。


TSA-120を使ってのフェニックスの大口径化の最後の記事で少しだけ見せたのですが、次に更なる大口径、20cmのC8を使うことを考えています。


PhoenixとC8の接続

PhoenixとC8の接続は、TSA-120の時と同様に、アルミフレームを使っています。そもそも、C8で高さが変わることも見込んで、最初からアルミフレームを採用していたというわけです。

IMG_3173

このフレームを縦に2段にすることで、フェニックスの位置を高くすることができ、長穴の空いた板で接続することで高さを調整することができます。


コリメートレンズ

コリメートレンズはTSA-120の時と同様に、PSTの焦点距離-200mmのメニスカスレンズを使いました。TSA-120の時は、コリメートレンズ位置で光束径が27mmと、実測レンズ径の23mmを超えていましたが、C8は焦点距離2000mmのF10鏡筒なので、焦点から200mm対物側に置いてやれば、光束径は20mmになり、レンズ径内に収まるはずです。

C8は主鏡を移動することでピントを合わせる構造となっています。その調整範囲はかなり広く、焦点距離は1800mm程度から2300mm程度まで調整できるそうです。これはフェニックスを置く位置の範囲を、広く取れることを意味します。逆にいうと、この調整範囲の広さから最初は簡単にピントが出るでしょうが、最適化は自由度が大きく大変だということになりそうです。


減光

減光に関しては、PST+C8やTSA120+Phoenixでやった方法と同じで、エタロン前にUV/IRカットフィルターをつけています。

UV/IRカットフィルターは基本的に反射と透過が主で、熱はほとんど発生しません。熱は、反射でも透過でもないわずかのロスで発生するからです。

また、UV/IRカットと言いながらも、実際に太陽光をフィルター単独で反射光を見るとわかるのですが、意外に可視光も反射することがわかります。さらに、見る限り透過光より反射光の方が明るかったりします。そのため、不可視光も含めたパワー的には3分の1程度に抑えることができるはずです。

その後にさらに赤色のR2フィルターを入れています。以前C8の光をこのR2フィルターに直接入れたときは熱で割れてしまいましたが、UV/IRカットフィルターの後に入れた場合はほんのり温かくなるくらいで、全然余裕がありそうです。

エタロンも基本的には反射と透過なので、エタロン自体が熱を持つことはあまりなく、熱で壊れることはないということは、PSTで経験済みです。ただし、フェニックスのエタロンはPSTと違い中央遮蔽があり、そこでのロスが熱になる可能性があるので、十分注意しながらエタロンを壊さないように試す必要があります。今回UV/IRカットフィルターとエタロンの間にR2フィルターを入れたのは、中央遮蔽での熱膨張を心配してです。

副鏡のところではそこそこ集光しているので、鏡以外のところには全光量をあまり当てない方がいいでしょう。最初のアラインメントだけは、鏡筒の蓋を少しだけ開けて、大きくずれていないことを確認してから全部開けるようにしています。

また、焦点から大きく外れたところに平面の反射面を置くと、戻り光が変なところで集光する可能性があります。基本的には焦点から遠くない所に反射物を置きますが、やはり対物側を覗き込まないように気をつけるべきです。戻り光は集光さえしなければ、太陽光以下の光しか返ってこないので、基本的には問題ないはずです。

でも、そうは言っても太陽望遠鏡が危険なことには変わりないです。ここで書いていることが理解できない場合、もしくは危険を軽視して注意を払えないような場合は、太陽望遠鏡の改造などは絶対に試すべきではないです。もし試す場合も、口径が大きな鏡筒での太陽観察は、失明や火事など、本当に深刻な危険が伴うことを十分肝に銘じて、安全に十分な注意を払いながら、自己責任の範囲で進めるようにしてください。この記事を読んで何か事故が起きたとしても、私は何の責任も取ることができません。


太陽光を入れてみる

IMG_3175

C8とPhoenixの2台を繋いだ状態で、実際に太陽を導入してみます。やはり最初は怖いので、鏡筒前の蓋を少しずつずらしながら、熱くなるようなところがないか、手で触ったりして確かめながら進めます。接眼部では最初はカメラをつけずに、手をかざして明るい光が来ていないことを確認しながら、徐々に蓋をずらして開けていきます。

問題なさそうならカメラを取り付けて、早速SharpCapで見てみます。C8のピントノブを回していくと、やはり予想通り範囲内に簡単にピントが合うところがありました。

スクリーンショット 2026-05-25 165132


視野の問題

でも、ピントが合ったというだけで、これで成功かというと、見ている限り問題点が大ありです。
  1. まず、視野が狭いです。カメラはApollo-M MINIですが、像は円状の内部にのみ見え、周りは真っ暗に見えます。
  2. 合成焦点距離が、(2000mm / 200mm)*400mm =4,000 mm とかなり長いので、視野が狭くなってしまいます。

視野が狭いので、PST時代のASI290MMよりも多少センサー面積の大きいということで、Apollo-M MINIを使いました。でもこれだと丸く見える範囲しか使えず、特にピクセルサイズが大きく画素数が多くないので、全然有効活用できていません。

なぜ、視野が狭くなるのか?まず試しに、接眼部についているERFとBFを外してみました。エタロンのいわゆる櫛形の透過光を見ている状態になります。
スクリーンショット 2026-05-25 165455

連続光に近い状態になるのですが、少なくとも周りをカットするようなものはなくなってるようです。BFとERFが何か悪さをしているようなのですが、必ずしもBF、ERFが単体で問題ということは言い切れません。エタロン単体も問題ないと結論付けそうになりますが、これもやはり言いすぎです。エタロンとBFとERFがそろって、Hαのナローになって初めて出てくるような複合要因の問題はまだ残されているかもしれないということです。ここで言えることはせいぜい、「C8とPhoenixの組み合わせで、連続光で見ている限りは変な視野の制限はなさそう」ということくらいでしょうか。

ここでは視野を制限する理由として、2つの原因の可能性を考えてみます。
  1. エタロンに対する入射角がつくこと
  2. センサー前のBF径が小さく、絞りのような状態になっていること
とりあえず思いつくのはこれくらいなのですが、どちらも定性的に考えるだけでは意味がないので、もう少し定量的に実際に見えているものと比較してみることにします。

1と2をそれぞれ個別に議論してみます。


エタロンの入射角

まず、エタロンへの入射角で視野がどれくらい制限されるかの見積りです。コリメートレンズで平行光を作っているはずなので、平行光がエタロンへ入っていくはずで、なぜエタロンに対して入射角がつくか、不思議に思わないでしょうか?ここはきちんと理解しておく必要があるので、今回説明することにします。

最初に、コリメートレンズ中心の光は入射角0度でエタロンに入っていきます。でも、太陽は面積を持っているので、視野の中心位置からズレたところでは「局所的な光束はたとえ平行光」だとしても、「その光束全体が角度を持って」エタロンに入射している状態になります。

まだちょっとわかりにくいかもしれないので、次のように考えてみましょう。(C8とかの接続を考えずに)フェニックス単体でHαで、太陽を中心に導入して、カメラで見ることにします。この場合、鏡筒の対物レンズ前にエタロンがついていることになります。太陽から平行光が入ってきていて、対物レンズ全体でその光をとらえます。センサーの中心に集光する光は太陽中心を見ている光なので、平行光で入射角も0度でエタロンに入った光を見ることになります。その一方、センサーの中心からy[mm]離れた端の位置に集光する光は、面積のある太陽の中心からずれた端の方を見ることになります。その光は、局所的な光束で考えると平行光ですが、エタロンに対しては

y = f tanθ

で表されるような入射角θを持って、エタロンに入射していることになります。ここで、yはセンサー上での中心からの距離、fは対物レンズの焦点距離で、フェニックスの場合400mmになります。

ポイントは、太陽は面積を持ってるということです。それが面積を持っているセンサーの上で像を結んでいるので、(光束としては)平行光ですがエタロンの時点で入射角を持った光を見ているということになります。間違えやすいのは、対物レンズで集光する際の角度とは違うということです。対物レンズ上ではセンサー上よりもっと大きなビーム径になっているので、その集光する角度はもっと大きな角度になります。この角度と、エタロンへの入射角は別物です。

もっとわかりやすい話として、視野角を考えてみましょう。太陽の視野角は0.5度程度です。視野角0.5度の円状の面積が、センサー上に円状の像を結びます。この視野角と、エタロンへの入射角は同じものになります。なので、太陽の縁の所は、センサー上で中心から400[mm] x tan(0.5/2度) = 1.75[mm]の位置に像を結び、その際の光の「エタロンへの」入射角は0.25度ということになります。

センサー位置から逆にエタロンへの入射角を考えて見ます。例えば、Apollo-M MINIのセンサーサイズ横幅8.75mm、縦幅6.6mmの場合、横端では

8.75mm/2 = 400mm  x tanθ

でエタロンへの入射角θ = 0.627度の光が集光している

縦端では
6.6mm/2 = 400mm  x tanθ

でエタロンへの入射角θ = 0.473度の光が集光している

ことになります。

ここできちんと意識しておかなければならないことは、フェニックスのようにエタロンが対物レンズの前に置かれている場合は、この入射角は「対物レンズの焦点距離」と、「センサー上の像の位置」のみで決まってしまうということです。波長にも、口径にも依存しないということはきちんと理解しておくべきでしょう。これは太陽のような平行光を見ている限り、もしくはフェニックスの手前にTSA-120やC8を接続してもコリメートレンズで平行光にしている限り、一般的に成り立つ話です。なので、フェニックス前をどういじろうが、平行光条件を満たす場合は、エタロンへの入射角に対してはフェニックスという決まった対物レンズを使っているので、もうどうにかするような自由度は残されていないということです。これは結構痛いですね。


入射角による波長のずれ

次に、入射角と波長のズレの関係を考えます。エタロンに入っていく光に入射角がある場合の波長のズレは、アマチュア天文の範囲では例えばAstrosurfのこのページで検討されています。中心波長λ0の光が、エタロンへ入射角θを持って入射した場合に、波長のズレΔλは

Δλ = λ0 (θ^2) / 2

というような式になります。でもこの式、きちんとした証明が同サイト内のどこにも書いてないんですよね。根拠がわからない式を使うのは気が引けるので、今回きちんと証明しておこうと思います。

エタロンについては、関係式を太陽を始めた初期の頃にある程度説明しています、エタロンの間の距離dは半波長λ/2の整数倍mになるという条件が課せられるので

m λ/2 = d

となります。もし光がエタロンに対して角度θで入射した場合、dは入射光から見るとエタロン間のギャップの距離が1/cosθで長くなったように見えるので、

m λ/2 = d/cosθ

となるように思えますが、ここは注意が必要で、実際には

m λ/2 = d cosθ

となります。これは隣り合う2つの光の光路長差をきちんと考えると理由がわかります。エタロンの2枚の鏡の内側を反射する隣り合う2つの光が、「後ろ側の鏡を出た時を基準」に光が重なりあうと考えると、一つ目の光のスタート地点は手前側の鏡に入射した地点がスタートではなく、入射角のために遅れた場所がスタート地点となるからです。これはわりと有名な話で、わかりやすい解説などもあるので、ここでの証明は省きますが、興味がある人は調べてみてください。1より小さいcosθが「掛かって」いるので、エタロンへの入射角がある場合には、共振する波長は全て短くなる側にシフトします。

この場合、入射角θを持ってエタロンに入射する波長λ(θ)は、入射角θが0度の時の波長λ0に対して

λ(θ) = λ0 cosθ

と書けることがわかります。θが十分小さいとして、cosθをテイラー展開してやると

λ(θ) = λ0 (1 - (θ^2) / 2)

と書けるので、元の中心波長λ0からの差Δλは、入射角θの関数として

Δλ = λ(θ) - λ0 = -λ0 (θ^2) / 2

と書くことができます。これを元に計算してやります。


先に議論したように、センサー端部に集光する光の入射角はわかっているので、λ0=6562.8Åとして、
  • 横端の像の入射角θ = 0.627度の場合、波長のズレΔλは-0.39Å
  • 縦端の像の入射角θ = 0.473度の場合、波長のズレΔλは-0.22Å
と計算できます。


実画像との比較

この計算値が実際撮影した画像とどれくらい合っているのか見てみましょう。フェニックスのエタロンのFWHMは以前の測定結果を用いて0.37Åとします。これは全幅なので、中心から0.185Åずれると、透過光量が半分になるということです。

上の式から、波長のズレが0.185Åの場合には、入射角は0.43度となり、その場合中心から半径3.0mmの円のところで、光量が半分になるということがわかります。センサーサイズが8.75 x6.6mmなので、縦はほぼ上下の端で光量は半分以下くらいになります。ピクセルサイズは4.5μm/pixelなので、半径667ピクセル、直径で1334ピクセルが光量が半分になるところです。

実際の画像で光量が半分になるところをPhotoshop上で円を描いて測ってみると、直径で約1600ピクセルだったので、少し計算とズレていて、もう少し大きな範囲で見えているようです。さらに、次で議論するBFの絞りでも周りの光量が減るはずなので、実際の有効範囲はもう少し広いと思われます。
スクリーンショット 2026-06-21 202048

ズレの原因は、
  • フェニックスエタロンのFWHMの測定値が良く出すぎていて、実際のFWHMは2割ほど大きい
  • 本来コリメートレンズの位置が平行光を出す位置よりも、C8の対物レンズ側に寄ってしまっていて、広がりのある光束となり、エタロンへの入射角が小さくなることで、波長のズレが小さくなる
などの可能性があります。

BFによる絞り効果

センサーで見える範囲が限られてしまう一つの可能性は、上で説明したようなエタロンでの波長シフトによる透過光量の低下ですが、もう一つの可能性は、接眼部についているBF(Blocking Filter)の径でカメラ上の光束が制限される場合です。絞りの効果と同じですね。

フェニックスのBFの直径は8mm程度です。BFがカメラのセンサー面と同じ位置にあると、カメラセンサー上では直径8mm以上のところには光が来ません。

実際にはBFはセンサー面から手前の離れた位置に置かれ、そこではさらに大きな光束になっています。この場合、BFによって直径8mmにカットされた光束がセンサー上でどのような像を結ぶのか考えてみます。

まず、光の集光具合はF値で表すことができます。フェニックスは太陽モードの時、F10鏡筒で、対物レンズで口径40mmの光が、焦点距離の分400mm進むと径が0になります。傾きは40/400 = 1/10 = 1/Fとなり、F値のみで集光の傾きが決まりますね。

ただし今回は、口径200mm、焦点距離2000mmのC8と、焦点距離-200mmのコリメートレンズがC8の焦点位置から200mm手前に置かれているために、フェニックス手前で直径20mm (= 200 x 200/2000) の光束径になっています。そのため、口径20mmで焦点距離400mmで決まるF値が実効的なF値と考えるべきです。今回の場合400/20=20で、F20として考えるべきでしょう。

センサー面からs離れた位置にBFのような絞り径を入れると、絞りの端の一点の光がセンサー面でどれくらいの広がりを持った像になるかというと

s/F

になります。今回、直径8mmのBFが、チルターも込みでセンサー面から結構離れた位置に置かれていて、その距離が50mmだとすると、最大で8mm + 50/20 = 10.5mm、最小で8mm- 50/20 = 5.5mmのボケた円像になると考えることができます。

でも、上の考えはまだ不十分で、BF位置の絞りの端の光がセンサー上でどうなるかを見ただけで、より正確にはセンサー上のある位置y に結像する光束の中心が、穴の面ではどこを通るかを考えるべきです。

まず、センサー面から50mm手前にBFがあるので、焦点に向かう光束はBF位置でまだ少し広がっていて、センサー面で中心の1点に結像する光束のBF位置での直径は、

20mm × (50/400) = 2.5 [mm]

となります。

一方、センサー上の位置yに対応する光束中心は、50mm離れた絞り面では0.875yの位置にあります。これは

(400−50)/400 = 0.875

からわかりますね。

センサー上の中心からyの位置に集光する光は、BF位置で0.875yにあり、最大で半径 2.5/2 = 1.25 [mm]の範囲の光が影響し、それがBFの半径 8/2 = 4 [mm]以内であれば、完全に光が通る条件となり

0.875y + 1.25  < 4 [mm]

最小で半径1.25 [mm] の範囲の光が影響し、それがBFの半径 8/2 = 4 [mm]以内であれば少しでも光が届く限界の条件となるので、

0.875y - 1.25  < 4 [mm]

となります。これらを満たすyは

3.14 < y < 6.0 [mm]

となり、中心から半径 約3.14 mm以内では完全に光が届き、半径3.14 mmから6.0 mmでは周辺に向かって徐々にケラれ、 半径6.0 mmより外側では光が届かないということになります。

Apollo-M MINIのセンサーサイズが8.75 x6.6mmなので、BFによる周辺減光は存在するが、光が届かないわけではなく、フラット補正をすれば何とかなりそうです。

別で撮影した、中心がずれてしまっている画像があります。Photoshop上で光が届かない所に円を描いてみます。
スクリーンショット 2026-06-21 210401

中心と思われる点から、完全に光が届かなくなるまでの距離が、SharpCapをキャプチャした画面上で2350/2 = 1175ピクセルくらい、横幅を本来のApollo-M MINIの1944ピクセルで換算すると1337ピクセルで、センサー上の距離にして6.01mmなので、上記の見積もりでかなり合っているように思われます。

このBFの絞りの効果も、フェニックスという縛りがある限り大幅に改善することは出来ず、BFとセンサー面との距離で多少いじることができるくらいです。
  • BFとセンサーを近づければ近づけるほど有効径は小さくなってしまうが、はっきりとした (均一に明るい) 像になる
  • BFとセンサーを遠ざければ遠ざけるほど大きな径で太陽像の情報を得ることができるが、周辺に行くにしたがって徐々に暗くなるような像になる
ということです。

このことは、以前PSTとC8でカメラ位置をより遠くにした場合に見える範囲が広がったことを少なくとも定性的にうまく説明できます。


まとめ

今回、C8+Phoenixで見える範囲が制限される理由として
  1. エタロンの入射角
  2. BFでの絞り効果
の2つを考えました。今のセットアップでは、実画像の上では入射角の方が影響が大きそうです。

入射角はフェニックスの対物レンズの焦点距離で決まってしまい、エタロンに入る光が平行光という条件を満たす限り、その手前がC8だろうがTSA-120だろうが違いはありません。BFによる絞りも同じで、C8だろうがTSA-120だろうが違いはありません。要するに「フェニックスを分解せずに使う」という縛りを設ける限り、大口径化のために接続する鏡筒に何を選んでも、これ以上あまり大きな改善をすることはできないということです。

実際、今回C8で撮影した画像を見ても、以前TSA-120で撮影した画像を見ても、上の二つの理由でうまく像が周辺で悪くなっていく様子を説明できます。ただ、C8の方がTSA-120よりも一見視野が狭いように見えている (急激に周りが落ち込む) のですが、なぜなのかはちょっと不明です。

これらを解決できるのか、解決していくべきなのかが、今後の課題でしょう。解決のためのアイデアはすでにいくつかあるのですが、その前に、少しこの状態でいくつか試したいことがあるので、まずは一旦、この状態で撮影してみたいと思います。


6月13日(土)、夕方から飛騨コスモス天文台の観望会です。


観望会機材の準備

土曜の夕方16時頃から、観望会のための機材の準備を始めます。天気予報はどこをみても晴れなので心配ないはずですが、あいにく出発地の富山は曇りで雨もぱらついていますが、飛騨は大丈夫なのでしょうか?

この日の機材は、暗くなる直前の西の空の木星と金星狙いで①TSA-120、子供用にいつもの②スコープテックの屈折経緯台、あとは③FMA135とトラバースの電視観望セットの3種類です。惑星用はいつものC8が良かったのですが、今は太陽用にC8とフェニックスをくっつけて使っていて、セットアップを崩したくないので、今日はTSA-120が代理です。


出発して現地まで、でも天気が...

機材の準備も完了し、出発は17時ちょっと前。18時過ぎには現地に着く予定です。

途中雨が結構降っていましたが、現地に着く頃にはとりあえず地面は乾いているくらいでした。でも外に出ると、少しだけですがまだ雨がパラパラしています。濡れるとだめなので機材は出せないのですが、車のトランク側のバックドアを上げて屋根代わりにして椅子を出してのんびりしていたら、程なくしていつものスタッフの方達が3人到着です。

到着後は全面曇りに近かったのですが、少し待つと西から北の空が晴れてきました。これなら木星と金星は大丈夫そうです。
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東から南の空にかけて大きな虹がかかっていました。
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惑星は...?

最初のお客さんが来たのは19時少し前くらいだったでしょうか。知り合いのM君一家で、4歳の息子さんを連れて奥様と3人で初参加です。でもこの季節は夏至直前で、まだ全然明るいんですよね。一番星もまだ結構待たなくてはいけません。

待っている間に晴れていた西の空がどんどん曇ってきました。徐々に暗くなってきてもう木星も金星も輝き出す時間になっても、まだまだ曇っています。

その間に少し青空が見えるところがポツポツ出てきて、一番星はそこから見えました。星座ビノや双眼鏡を出して、みんなで見ます。

その頃には他のお客さんも徐々に増えていて、今回はトータルでは20-30人くらいと言ったところでしょうか。始まりの時間が雨とか雲だった割には、集まった方だと思います。どの天気予報を見ても晴れだったはずなんですが、当てになりませんね...。

そうこうしていると、西の空の隙間から、数分間が何回かと言ったところだったでしょうか、一瞬だけ金星が見えました。スコープテックでパッと導入して、見てもらいました。でもスコープテックだと金星の欠けを見るのはちょっと厳しいんですよね。木星だったら衛星や縞まで見えるはずなのですが、結局木星は姿を現すことはなかったです。残念ながら、惑星のために持ってきたTSA-120は、雨が心配だったので出すのを躊躇していて、金星出現で急遽出動したのですが、導入まで時間がかかりすぎで間に合いませんでした。


最初は曇りでしたが、そのうちに...

惑星が見えないのは仕方ないので、TSA-120で雲越しに少しだけ見えていたベガを導入します。目ではまだベガがやっと見えているくらいです。望遠鏡だと、雲越しでもベガの周りにたくさんの星が散りばめられていて、アイピースの中の像に皆さん喜んでくれたようです。

時間が経つに連れ、夏の大三角や北斗七星も見えてきて、天頂付近の雲もだんだんなくなってきました。織姫様と彦星様の話や、北極星の見つけ方、星座ビノを使ったこと座の形の確認など、定番の話で皆さんと交流します。


いつもの電視観望とTSA-120での眼視

この頃には夏の大三角のあたりの低いところの雲もだいぶ薄くなってきたので、電視観望でM57リング状星雲と、M27亜鈴状星雲、北アメリカ星雲を見せることができました。

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でもまだ時折雲が濃くなったり薄くなったり不安定で、ちょうど白鳥座の形が見え始めた時にTSA-120でアルビレオを入れて、色の対比を見てもらいました。

今回は徐々に晴れ渡ってくるところを楽しんでもらった観望会になったのかと思います。21時過ぎにはかなり晴れ渡ってきましたが、その頃まで残っていたお客さんはだいぶ少なくなっていました。「ここまで残っていたご褒美ですかね」とか言いながら、みんなで暗い空を楽しみました。


天の川

もともと都会から来た、知り合いのM君一家は、まだ天の川を見たことがないと言います。でも21時くらいの時点ではまだ低空の雲が取りきれなくて、天の川と認識することができません。4歳の子はこの頃には眠気を超えたのかハイテンションになっていて、それから程なくするとぐっすりと眠ってしまいました。21時半頃には天の川が少し認識できてきます。M君夫妻もなんとなくわかってきたみたいです。22時頃まで粘ると天の川がかなりはっきりしてきます。


TSA-120での電視観望

天の川を待っている間に、M君に銀河を見せてあげようと思い、空いていたTSA-120にASI294MCを取り付けて、M51子持ち銀河を導入してみました。FMA135ではちょろっとわかるくらい、街中でFC-76で見た時は形はわかるくらいでしたが、さすが暗い空と口径120mmのTSA-120です、導入している最中から形がわかるくらいです。下の画像は露光時間が6.4秒の9枚くらいの、トータル57秒ですが、腕のかなり細部まではっきりと写っています。
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ただ、輝点ノイズが目立ったので、SharpCap上でダークを10枚だけ撮影してリアルタイムダーク補正をしました。次に見たM97梟星雲では、目立っていた輝点が全部消えているのがわかると思います。
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ここでM君一家が帰路につきました。車で15分くらいのすぐ近くに住んでいて、自宅に着いたら早速今日のお礼のメッセージが届きました。十分楽しんでくれたみたいです。

結局最後に残ったのはいつものスタッフの方だけで、私を入れて4人だったのですが、実はここからが本番だったと言っていいかもしれません。その頃にはもう空も全面晴れ渡っています。あんなに苦労して見ようとしていた天の川も、2本に分かれるのがはっきりわかるほどくっきりと見えています。電視観望でいくつかリクエストに応じて導入していきます。極軸が全然合っていないので毎回数度程度ズレるのですが、赤道儀がCGEM IIで安定に応答してくれるので、プレートソルブで1-2回同期し直すだけで真ん中に持ってくることができます。

まずは同じ北の空の、M81とM82。カメラの角度が悪かったのですが、こちらも6.4秒露光13枚で、トータルわずか1分23秒の露光ですが、もう十分すぎるほど見えています。銀河なのでフィルターは外しています。
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次はM13。天頂付近です。トータル2分34秒。
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拡大すると色も赤と青と白にはっきり分かれるのが見えます。
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さらに最初にFMA135で見たM57を今度はTSA-120で見てみます。中心星もよくわかります。
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こちらもFMA135で見たM27です。流石に1分程度なので周りの羽まではわかりませんが、星雲本体の構造などは十分わかります。
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最後は三日月星雲です。
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なんか淡いなと思ったら、フィルターを入れていないことに、この時やっと気づきました。外していたCBPを取り付けたのですが、ハロが見えてなんか変です。雲かなと思ったのですがそうでもないですし、鏡筒が曇ったかなと思ってもフードを伸ばしているので全く大丈夫です。あっと思って、カメラを外してフィルターを見たら、完全に曇っていました。外したフィルターを机の上に置いておいたら、湿気で結露してしまっていました。机の上をよく見ると、置いてあった星座ビノや、PCのキーボードまで水滴でベトベトになっています。


撤収

フィルターを乾かすのは大変なのと、もう23時半頃と夜も更けてきたので、ではここら辺で終わりにしますかと言って、撤収に入りました。機材を結構出していたのと結露が酷かったので、片付けはちょっと大変でしたが、スタッフの皆さんに手伝ってもらったので、意外とすぐに片付けることができました。

現地を出たのがちょうど0時頃。自宅に着いたのが1時頃でした。空を見ると、こと座も白鳥座もはっきり形が分かります。さらになんと、天の川を見ることができました。自宅から天の川が見えるのは、年数回あるかないかで、珍しいくらいの透明度でした。でも疲れていたので、2時頃には寝てしまいました。


まとめ

TSA-120の電視観望の破壊力が想像以上でした。暗い空だったことももちろんあるのですが、1分とかの露光でここまで見えるので、待たなくていいです。そのため、次々と対象を変えることができるので、これはかなり楽しいです。

普段惑星の眼視はC8なのですが、たまたまこの日は太陽でC8を使っていたので、代役でTSA-120を持ってきただけなのですが、電視観望でこれだけ見ることができるなら、今後は惑星の眼視も、その他の眼視も含めてTSA-120の方がいいかもしれません。

今回は暗い空だったからかもしれません。明るい場所でもどれくらい強力なのか今度試してみようと思います。


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