ほしぞloveログ

天体観測始めました。

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長く続いてきたSV405CCの評価も佳境になってきました。今回の記事は作例とともに、青ズレの謎に迫ります。さてさて、どこまで解明できるのか?


北アメリカ星雲再び

まずは作例です。今回の一連の記事のその2で出した北アメリカ星雲の再撮影です。

目的は2つ、
  • 前回の撮影は透明度がかなり悪く、階調がほとんど出なかったので、そのリベンジ。
  • 四隅の流れを改善しておきたい。
といったところです。本当はあと一つ、あわよくば青ズレを直す方法が見つかったらと思いましたが、この時点ではそれは叶いませんでした。

まず透明度ですが、今回の撮影では白鳥座の羽の先が見えるくらいよかったです。その影響はかなり大きく、見た目だけなら今回の3分露光の1枚で前回の全スタック分くらいの諧調が出ています。(アップロードの関係でサイズを各辺半分にしています。)

2022-07-02_00-00-47_NGC 7000_180.00s_g120_0.10c_0050_low

依然青ズレは出ていますが、これならインテグレーションしたら階調に関してはかなり期待できそうです。

もう一点、マルチフラットナーを使っているにもかかわらず、前回までバックフォーカス長を適当にとっていたため、SV405CCでもASI294MC PRoでも、いずれの撮影にも関わらず四隅の星像が流れまくりでした。

2022_07_01_01_39_49_M_20_180_00s_g120_0_10c_0034_mosaic
前回までの間違ったバックフォーカスでの四隅の一例。

タカハシの鏡筒はCanonやNikonといった、一眼レフカメラのバックフォーカス長に合わせてアダプターなどの製品を提供しています。今回は手持ちのタカハシ純正のCanon用の一眼レフカメラ用のアダプターを使ってマルチフラットナーのバックフォーカス長に合わせるようにしました。このアダプターに合わせてCMOSカメラを使う場合は、例えばZWOから出ているCMOSカメラとCanon EFマウントに変換するアダプターを使うこと、ほぼ何も考えることなくバックフォーカス長があった状態にしてくれるので楽です。

今回は、かなり前に買ったZWOのCanon EFマウントアダプターを使ってみました。現行モデルはフランジ長が固定ですが、初代のZWOのCanonマウントアダプターはフランジ長を1cm位調整できます。CBPを取り付けたくて、SV405CCに付属の1.1.25インチフィルター用のリングをセンサー部に取り付けたので、ZWOのCanonマウントアダプターは少し手前で固定されるはずです。そのため、マウントアダプターの長さは最短に調整しました。この状態で四隅を見てみると、

2022_07_02_00_00_47_NGC_7000_180_00s_g120_0_10c_0050_mosaic
のように四隅の流れはほぼ無くなりました。

その後、撮影前に少しだけ青ズレを直せないか試したのですが、この日は結局太刀打ちできず、透明度も良くて時間ももったいなかったので、そのまま撮影続行としました。結局天文薄明開始までの午前3時前まで3分露光で72枚撮影しました。前半は雲が通ることも多かったですが、後半はずっと快晴でした。使えたのは雲のない44枚の2時間12分ぶんでした。


画像処理

インテグレーション直後の画像をオートストレッチしたものです。

integration1

一部拡大するとわかりますが、依然青ズレがあります。

integration1_Preview01

もう一つ、今一度上の画像をクリックして拡大して見てもらいたいのですが、微恒星の中心が暗く抜けてしまっています。最初はピントが合っていなかったと思っていたのですが、実際にはかなりピントは気を付けて合わせているにもかかわらず、ほぼ毎回こうなります。また、そーなのかーさんがSV405CCで撮影した画像も同様に中心抜けになっているようなので、どうもこれはピンボケというよりは何か系統的に問題があるような気がしています。

恒星に関しては仕方ないとして、そのまま画像処理を進めます。

途中やはり恒星部分で苦労しました。一番大変だったのは、StarNetのバックグラウンドと恒星部の分離の時に、色ズレのせいかハロの部分がバックグラウンドと認識されてしまい、ここを誤魔化すのが大変で、最後まで不満が残ってしまいました。

Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT_bg

パッと見はわかりませんが、B画像を抽出してみると同様のハロが他にもたくさん残っていて、あぶり出しとともにたくさんのハロが目立ってきます。

結果


Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT3_cut_tw
  • 撮影日: 2022年7月2日0時38分-2時53分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: SIGHTRON CBP(Comet BandPass filter)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: SVBONY SV405CC (0℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイド
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分x44枚で総露光時間2時間12分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 0.3秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

淡いところの階調もかなり出ています。前回の透明度の悪い時より相当良くなっています。庭撮りでここまで出るならまあ満足でしょう。あとはやはり恒星です。

普通ならここでおしまいなのですが、もう少し続きます。ここから大きな進展です


青ズレ検証その後

上の北アメリカ星雲の撮影のあと、もう少し青ズレに関して何かわからないかと思い、後日いろいろ試してみました。ただし雲が多く出ていたので、その隙間でのテストであまり時間をかけることができませんでした。

とりあえず、SharpCapで3分露光を何ショットか撮影しました。最初のショットがやはりこれまでのように暗くなるのが再現され、やはりドライバーレベルで何かやっているのかと思います。この時、雲の動きが速く、雲間が貴重なためにすぐにNINAに移りました(ここで焦っていたのが後で効いてきます)。

NINAでは少し雲が薄くなってきて余裕も出てきたので、じっくり青ズレを見ながら、ASI294MC Proとも交換しながら、何が問題かじっくりみることができました。

一つ疑っていたことがあって、オフセットが40と小さすぎることが原因ではないかということです。SV405CCの場合、オフセットは最大255まで設定でき、今回はわずか40と、最大の6分の1くらいとしています。ちなみにASI294MC Proの場合は最大80で半分の40としています。前回のPedestalの記事であったように、オフセットが低くて輝度の低いところが問題を起こしているのかと思ったわけです。でもオフセットが40の場合でも、120にした場合でも、青ズレに関してはなんら違いが見られませんでした。なので、オフセットは無関係かと思います。

結局、このとき画面を見ながら出した結論は、ASI294MC Proでは何をどうやっても(ゲインやオフセット、露光時間など)青ズレのようなものは出ない、その一方SV405CCでは何をどうやっても(こちらおゲインやオフセット、露光時間など)青ズレを消すことはできない。ということでした。

その後、改めてSV405CCのRAW画像を、RGBで分離して見たり、4つのセグメントごとに見たりしました。
  • SV405CCのBayer パターンがなぜかGRBGであること。ASI294MC ProはRGGB。
  • でもなぜか星雲の濃さから判断するとCF0:G1, CF1:B, CF2:R, CF3:G1のように見えること。
  • CF2の恒星中心部近くに極端に暗くなっている欠損部が多いこと。輝度は周りの1%程度であるが0でないこと。
  • CF1に星の中心部近くに輝度が完全に0のところがあること。CF2ほど欠損の数は多くないこと。
などがわかりました。そーなのかーさんも同様のレポートをしていたので、再現性もあるようです。

結局、この時点ではどうすることもできなくて諦めて、次はNINAで触れないパラメータをいじってみるのかなと思っていました。というのも、CMOSカメラはどこかに設定が保存されていて、例えばSharpCapで触った設定が、FireCaptureを立ち上げるとそのまま引き継がれるというようなことがあるからです。


なんと、原因判明!

そんなことを考えながら昨晩、上の北アメリカ星雲の画像処理を終えて、次回テストの準備をしようと思い、「そういえばSharpCapでSV405CCで撮影した画像があったなあ」と何の気無しに開いてみたら、どこをどう見ても青ズレが見えません。

Capture_00001_20_47_33_RGB_VNG
SV405CCでSharpCapで撮影。青ズレは皆無です。

2022_07_04_21_28_47_NGC_7000_30_00s_g120_10_00c_0084
上の画像の直後にSV405CCでNINAで撮影。明らかに青ズレが出ています。

わかりやすいように拡大して比較して見ます。
ShapCap_NINA_SV405CC
左がSharpCap+SV405CC、右がNINA+SV405CCです。

明らかに違いがわかると思います。ただし、SharpCapでの露光は180秒、NINAでの露光は30秒です。露光時間が逆だったらまだ疑いの余地もありますが、NINAでわずか30秒で青ズレが出てしまっているので、結論は覆らないでしょう。これは明らかにどうやっても青ズレが消えなかったNINAとは、状況が全く違います。

カメラのドライバーはSharpCapでもNINAでも同じ「SVBCameraSDK.dll」を使っています。一応念のために改めて確認しましたが、SVBONYで配布されている1.7.3のカメラドライバーを普通にインストールしたあと、SharpCapは最新版を改めてインストールすると、SVBCameraSDK.dllに置き換わっていました。その一方NINAでは現在の最新版でも、カメラドライバーは最新のものに自動的に置き換わらず
、その前に使っていた1.7.2のままだったので、マニュアルでSharpCapにインストールされていたSVBCameraSDK.dllをNINAの方にコピペして、改めてNINAを立ち上げて1.7.3になったことを確認しています。

ここまでの検証が正しければ、最新版のNINAでの読み出し方の問題ということになります。


よく考えると、SharpCapで撮影した時は雲が流れてたので、時間がなくあせっていて青ズレをきちんと画面で確認していませんでした。そういえばSharpCapで電視観望した時もSV40CCで青ズレが出なくて、彩度もSV405CCとASI294MCで変わりがなかったことを改めて思い出しました。この時は露光時間が短かったからかと思っていましたが、どうもNINAとSharpCapの違いの方が濃厚そうです。

今のところCMOSカメラを使ってのDSOの撮影はShaprCapではディザーガイドがやりにくいなど、NINAやAPTなどに頼らざるを得ません。SV405CCはAPTは対応していないので、実際はほぼNINA一択になるかと思います。NINAでこの青ズレがある状態は致命的です。

というわけで、SVBONYさんの方に今回の結果を報告し、開発陣に連絡してもらうように頼みました。これでキチンとNINAでも対応してくれるように手配してもらえれば、青ズレ問題はとりあえず解決することになりそうです。

今の段階であとやれることは、次に晴れた時に改めてSV405CCを使ってSharpCapで撮影、画像処理までしてみて、(ディザーはやりにくいのでパスするかもしれませんが)青ズレが出ない仕上げ画像まで作ってみることでしょうか。


まとめ

ここまでの結果が正しいのなら、問題はハードではなくてソフトで解決できるということになります。ここが切り分けられるだけでも、かなりSV405CCの未来は明るくなります。その際、彩度がこれまで通り出なくなるのかちょっと気になりますが、まあ優先度としては次の話でしょう。

SV405CCの初期の評価、長かったですがやっと解決につながる道を見つけることができました。やっとあぷらなーとさんにお渡しすることができそうですが、どうもあぷらなーとさん骨折で入院しいるとかで心配です。焦らせてしまっても申し訳ないので、活動できるようになってから渡るようにしたいと思います。


北アメリカ星雲撮影後、6月13日付で新型ドライバー1.7.3が出ました。今回の記事はこのドライバーを適用して書いています。


新ドライバーでのセンサー解析

早速ですが、前ドライバーでも試したように、SharpCapを使いセンサー解析を実行します。

20220630_SV405CC_1.7.3

この結果を見る限り、100と150の間、おそらく120あたりでHCGもオンになり、前回測定した時のような変なゲイン設定と実測のゲインがずれるというようなおかしな振る舞いももう見られません。

ここで改めてASI294MC Proの測定結果を再掲して比較してみます。

ASI294MCPro

  • まず、コンバージョンファクターがSV405CCの方が2割ほど大きく出ています。
  • 読み出しノイズも2割ほど大きく出ているように見えますが、これは単位が [e] になっています。これを2割大きく測定されたコンバージョンファクターで割ってやり [ADU] で見てやると、ASI294MC Proの結果とほとんど同じになります。なので、ノイズに関しては同様の結果で、コンバージョンファクターに差があるということです。
  • フルウェルに関しても同様です。SV405CCの方が2割ほど増して電荷を貯めることができるように思われるかもしれませんが、これは14bit = 16384 [ADU] にコンバージョンファクターをかけているだけなので、コンバージョンファクターが大きいと勝手に大きなフルウェルとなってしまうだけです。
結局突き詰めると、コンバージョンファクターのみがASI294MC ProとSV405CCで2割ほど違うということになります。ではなぜSV405CCのコンバージョンファクターが大きく出たのでしょうか?少し考えてみます。

そもそもコンバージョンファクターは撮影された輝度(信号)と、その輝度のばらつき具合(ノイズ)の比から計算されます。さまざまな輝度を横軸に、ばらつき具合縦軸にプロットし、その傾きの逆数がコンバージョンファクターとなります(簡易証明はここを参照)。ということは、コンバージョンファクターが大きいということは、同じ量の輝度に対し(傾きの逆数なので)その輝度のばらつき具合が小さいということになります。簡単にいうと、ノイズが小さいということです。今回の測定結果だけ考えると、SV405CCの方がASI294MC Proよりもノイズが小さいということです。また、言い換えるとADCの1カウントを稼ぐためにより多くの電子(突き詰めれば光子)が必要になるため、効率が悪いとも言えます。効率が悪いために、ADCの飽和までにより多くの殿下が必要になり、フルウェルが大きく出るというわけです。

ただ、センサーが同じで測定結果が違うということなので、そのまま信じるのも少し疑問が残り、他に何か別の要因が効いている可能性は残されていると思います。今のところは測定結果がわかっているのみで、それ以上のことはわかっていないので、これはこれで事実として置いておくとして、先に進みます。


画像比較

今回はM8干潟星雲とM20三裂星雲で画像を比較してみました。機材は前回同様FS-60CBとCBPで、ASI294MC ProとSV405CCで自宅撮影した画像での比較です。撮影日の透明度はかなり良く、白鳥座の羽は端まで見えていていて、こと座も三角形と平行四辺形が良く見えました。天の川も薄っすらですが見えていて、3分露光一枚でもかなりはっきり写るくらいでした。

NINAの画面と、ASIFitsViewerでのヒストグラムを示します。


SV405CC

01_capture

3分露光のオートストレッチになりますが、すでにこの時点でかなり色濃く出ています。

撮影画面の右下隣のグラフを見るとわかりますが、黄土色の線が検出された星の数を表していて、相変わらず最初の1枚はなぜか暗く撮影されるため、星の数が少ない状態で写っています。

少し気になるのは、冷却時のパワーが大きいことです。1.7.2の時から冷却時も加熱時も時間がかかるようになりました。それはそれで結露しにくくなるはずなのでいいのですが、同じ温度にするときにSV405CCが65%で、ASI294MC Proが48%なので、1.4倍ほどパワーを食うようです。冷却効率はまだASI294MC Proに分があるようです。

02_histgram

ヒストグラムも全ドライバーのように右にシフトすることもないですし、赤だけ山の広がりが極端に大きいということもありません。


ASI294MC Pro

比較のASI294MC Proです。
03_capture_ASI294MCPro

上と比べると明らかに色は淡いです。ただ、右下グラフの緑線を見ると、恒星の径が294に移った時点で3.15を切るくらいから2.9付近に1割近く改善しています。これも毎回のことでそこそ再現性があり、不思議なところの一つです。

02_histgram_ASI294MCPro

このヒストグラムと比べると、まだSV405CCは最適化の余地があるように思えます。まず山の左側の裾の具合が違います。ASI294MC Proのほうが左側がスパッと切れていて、理想に近いです。

あと、やはりSV405CCの赤はまだ少し広がりが大きいようにも見えます。ただ、後の画像処理では前回起きたPCCの背景がニュートラルにならないというようなことはありませんでした。

それぞれ30分程度撮影して、PixInsightのWBPPでインテグレーションまでして、オートストレッチしたものを比較します。天頂を挟んで先にSV405CCで30分撮影、その後ASI294MC Proで30分撮影しました。ASI294MC Proの方が心持ち天頂に近く、10分ぶんくらいの差で少しだけ有利ですが、まあ誤差の範囲でしょう。

上がSV405CCで、下がASI294MC Proになります。
masterLight_BIN-1_4144x2820_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

masterLight_BIN-1_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

ここで見ても、明らかにSV405CCの方が色が濃いことがわかります。その代わりに、SV405CCの方は恒星の青ズレが依然出ていることも変わりません。

また、SV405CCのマスターダークファイルは以下のようになり、やはりアンプグロー抑制のような効果は確認することができませんでした。
masterDark_BIN-1_4144x2820_EXPOSURE-180.00s


ただ、これはASI294MC Proでも以下のように同様に出ているので、SV405CCが不利ということではありません。
masterDark_BIN-1_4144x2822_EXPOSURE-180.00s

その証拠に上のWBPP後の画像を見ても、SV405CCの場合も、ASI294MC Proの場合もアンプグローのような後は確認できません。


SV405で撮影したM8干潟星雲とM20三裂星雲

その後、さらにSV405CCで追加撮影して、M8干潟星雲とM20三裂星雲を仕上げてみました。テスト撮影の時と同様にFS-60CBにCBP入れて自宅庭撮りで、露光時間は3分x34枚でトータル1時間42分です。

WBPPでインテグレーションした直後の画像です。さすがに上の30分の画像よりは滑らかになっています。

masterLight_BIN-1_4144x2820_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

あとはいつも通りPIでストレッチして、Photoshopで仕上げたものが以下になります。
masterLight_180_00s_FILTER_NoFilter_ABE2_mod_cut
  • 撮影日: 2022年6月30日23時56分-7月1日1時39分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: SIGHTRON CBP(Comet BandPass filter)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: SVBONY SV405CC (0℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイド
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分x34枚で総露光時間1時間42分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 0.3秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

このカメラ、画像処理するとよく分かりますが、色がかなり出やすいです。三裂星雲の周りの青も簡単に出ました。そもそも1枚画像でも色が出てますし、インテグレーション直後でもかなりきちんと色が出ているので、色出しについては全然楽です。実際、明らかにASI294MC Proで画像処理を試したときよりもはるかに楽でした。

画像処理の中でも、色出しは最初のうちは苦労すると思うので、撮影用の入門カメラとしては大きな特徴であると言えるのかもしれません。ただし、青ズレが気になる場合は画像処理でどうにかする必要があり、上の画像くらいには目立たなくすることは可能かと思われます。

正直言うと、庭撮りでここまで色が出やすいなら利点の方が大きく、青ズレのことは画像処理である程度気にならないくらいになるので、結構満足です。

ちなみに、以前FC-76で自宅で撮影したものが以下になります。

integration_DBE_PCC_stretched3

当時はそこそこ満足していましたが、今回の方がM20周りの青の出方、指先の青、階調、分子雲、どれをとっても圧倒的に進歩していると思います。


まとめ

SV405CCですが、最新のドライバー1.7.3でセンサーの振る舞いとしてはかなりまともになりました。

撮影では依然青ズレは存在しますが、画像処理まで考えると色が出やすく一気に評価が高くなります。とくに、画像処理初心者にとっては色が出るというのはかなりの魅力なのではないでしょうか?青ズレ問題は画像処理である程度目立たなくすることもできるのかと思います。

そうは言ってもこの青ズレ問題、できることならやはり解決したいと思っているので、もう少し検証してみます。その一方心配しているのが、青ズレがなくなると同時に、この色が出やすいと言う特徴ももしかしたら無くなってしまうのではという可能性です。まだ解決法も見つかっていない状態なので、結果がどうなるかは分かりませんが、もう少しお付き合いください。


  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露


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