ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:TSA-120

久しぶりのSCA260の記事です。M33のLを撮影したところまで書いたのでしょうか。

 

そのあとに小海の星フェスがあったり、月食があったりで、SCA260のことはほっぽらかしでした。でも何もしていなかったわけではなくて、上のように11月初めにM33のLを撮影した後、星フェスの前にはRGBをそれぞれ撮影していたりしました。その後、ダークやらフラットやらも星フェス前には撮影し終えていたのですが、その後の画像処理に時間がかかってしまい、今の記事になってしまいました。

あと、ちょうこくしつ座のNGC253も撮影してあるのですが、こちらはまだ全然未処理で、まとまったら記事にするつもりです。


RGBの撮影

さてRGBの撮影ですが、記録を見ると11月5日で、もうかなり前のことなので色々思い出さなくてはいけません。撮影は一番出にくいBが天頂の頃にと思い、0時ころまではRGBの順で、0時頃にLを撮り増しして、さらにBGRの順で撮影しようとしました。でもやはり揺れと、さらには途中ピントを変えたことによるピンボケで大量に無駄にし、時間も押して最後のGRは撮影できませんでした。

結局使えたのがR: 11/64枚、G: 24/70枚、B: 58/117枚と、相当な率の低さです。ただし、ピンボケを除くとR: 11/31枚、G: 24/30枚、B: 58/60枚となり、R以外はそれなりに好調です。Rは風が少し強かったのだと思います。それでもGBも実はかなり妥協して残して、今の赤道儀では1分でもどうしてもある程度は揺れてしまうようです。今のところ3分露光だとほぼ全滅なので、露光時間を伸ばすためにもなんとか解決策を考えなくてはいけません。

おっきな赤道儀を購入できれば一発解決なのですが、鏡筒を買ってすぐなのでまだしばらくは予算がありません。ここは今後少し考えます。


画像処理

まずはLを処理します。スタックされた画像を見るともう明らかに分解能が出まくりです。以前撮影したTSA-120よりもかなり分解しています。今回は星像がまだ揺れている段階での結果でこれなので、SCA260のポテンシャルはまだまだありそうです。

次にRGBを個別に処理します。特に今回Rの枚数が極端に少ないので心配だったのですが、ほとんど問題なさそうでした。それよりもBが枚数は多いのですが、おそらく雲のせいかと思いますが、RとGに比べてムラが多いのです。これは後の画像処理でかなり苦労することとなりました。このムラ少し不思議で、M33の腕の後に沿ってある様も見えますし、たまたまなのか四隅のうち左上と左下がまるで周辺減光があるかの様にも見えます。元の個別の画像に行ってもある程度の枚数にその様に見えているので、もしかしたらそのムラが正しくて、ムラのなさそうに見えているのが雲なのかもしれません。

RGB合成後はPCCをかけて、一旦恒星の色を合わせておきます。この時点で先のBのムラで全体にバランスがズレた部分が見えたので、DBEをかけて(ABEではM33自身も補正しようとしてしまい太刀打ちできませんでした)ある程度補正します。


初のLRGB合成

一応RGBとLが用意できたので、今回初のLRGB合成に挑戦しましたが、これがまた結構難しいです。

まず、RGBをストレッチや色バランスまで含めてある程度の画像処理を進めてからLを合成すればいいとのこと。Lもストレッチまである程度進めておきます。

LRGB合成はPixInsightのLRGBCombinationを使いました。問題は、LとRGBのストレッチの度合いです。両方ともオートストレッチでフルに炙り出してから合成すればほとんど問題ないのですが、私はストレッチし切る前にPhotoshopに渡したいので、それだとうまく合成できないのです。具体的にはLが明るいと、色がほとんどなくなりモノクロに近くなります。Lが暗いと、(おそらく出来上がった画像の暗部が切られてしまって)カラーバランスがおかしくなります。

なのでもうLを捨てて、RGBだけで処理を進めようかとも思いましたが、せっかくのLの撮影時間が勿体無いのと、やはりLの方が細部まで出ている様に見えるので、今回は出来上がりを見ながらLのストレッチ具合を何度も調整して合成しました。これ他に何かスマートな方法はないのでしょうか?

いずれにせよ、ここまでできてしまえばあとはいつものように炙り出すだけです。


結果

今回は1枚撮りだけみても、そもそも分解能がかなり出ています。撮影時間は3時間ほどですが、大口径のこともありノイズもあまり大したことがありません。なので伸び伸びと気軽にあぶり出しをすすめることができました。以前ほど青紫に寄せることもしなくてよく、真ん中の飽和も適度に抑える方向で進めました。結果は以下のようになります。

「M33:さんかく座銀河」
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright
  • 撮影日: L: 2021年11月2日23時51分-11月3日1時6分、11月6日0時58分-2時10分、R: 2021年11月5日23時43分-23時59分、G: 2021年11月6日0時1分-0時43分、B: 2021年11月6日2時21分-3時33分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 200、露光時間1分、64枚、R:11枚、G:24枚、B:58枚で総露光時間3時間1分dark: Gain 200、露光時間1分、L:88枚、flat: Gain 200、露光時間0.2秒(L)、0.5秒(RGB)、L:256枚、RGB各:128枚、flatdarkはLRGB共通: Gain 200、露光時間0.2秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

今回Hαは撮っていないので、俗にいう赤ポチはそれほど目立っていませんが、多少わかる範囲で既に出ています。あと、銀河の様子をシアンを目立たせる形で入れています。青ポチですかね。

SCA260ですが、はっきり言って非常に満足です。TSA-120と比べても、ここまであからさまに分解能が出るとは思っていませんでした。シンチレーションがいいかというと、間を空けた日での撮影なので特別いいというわけではなく、ごくごく普通の日だと思います。今のところ1分露光だと明らかに揺れていて、かなり妥協して画像を使っているので、もう少し改善する余地があるはずです。今回の撮影ではまだまだSCA260ポテンシャルを引き出せたとは全然言い難いです。それでもここまで出せるのなら、今後大いに期待できそうです。

おまけのAnnotationです。

Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright_Annotated

広角だと縦横の線が歪むのですが、ここまで拡大するとほぼ直角になるようです。


TSA-120との比較

M33に関しては今年の10月と、かなり最近TSA-120で撮影しています。



というか、TSA-120での結果があったので直接比較できるかと思い、今回M33にしたというわけです。

その時の結果を同画角にして改めて示しておきます。
TSA120

今回よりもかなり派手ですね。これも嫌いではありませんが、細部を出したいこともあって今回はかなり控えめにしています。


揺れに対して

最後に、揺れに関して今後の方針を書いておきます。まだ変更になる可能性もあります。

指で赤道儀を弾いた時の様子を見ると、赤緯体の揺れはまだ許容範囲で、赤経体の揺れが目立ちます。よく揺れると言うことは共振周波数が低くなってしまっているということです。共振周波数は慣性モーメントで決まり、慣性モーメントは距離の2乗で効きます。

赤緯軸では鏡筒の前後の真ん中を中心に回るのでまだ慣性モーメントはそこまで大きくありませんが、赤経では鏡筒全体とウェイトも合わせて軸から離れているために、慣性モーメントはかなり大きくなっているので、共振周波数が低くなりよく揺れるのはある意味当たり前の結果です。

今一つ考えているのは、赤経軸から最も離れている鏡筒のトッププレートを外すこと。測ってみるとこれだけで900グラム以上あります。さらにガイド鏡も700グラム程度あり、トッププレートの上に置いていたため、赤経軸から離れています。軸から遠いものを合計1.6kgを外してしまえば、慣性モーメントとしてはかなり得することになります。

例えば、赤経軸から見て下部プレートと上部プレートの位置は距離にして3倍近くあります。仮に2.5倍だとしても、慣性モーメントで考えると上部プレート1枚外すことは下部プレート6枚外すことと同義です。実際にはウェイト位置も内側に来るので、その分も得するはずです。ガイド鏡の代わりはオフアキを使おうと思っているので、軽く、赤経軸からの距離は少し短くなり、有利になるはずです。

今回の画像に、さらにHαを撮り増しして足したいと思っているので、トッププレートを外してから同じ1分という露光時間で撮影して、どれだけ生き残るか比べれば、ある程度効果はわかるのではと思っています。


まとめ

今回のM33は、SCA260としての初作品になります。揺れにかなり悩まされましたが、結果には大満足です。TSA-120からここまで変わるとは、正直思っていませんでした。揺れに対しては、上にアイデアを挙げたようにまだ改善すると思います。赤道儀も欲しくなってきましたが、もう少し足掻いてみます。

SCA260を購入して1ヶ月、徐々にですが使えるようになってきました。また未処理画像も残っています。今回LRGBはなんとかなったので、今後はSAO撮影とかにも挑戦していきたいと思います。


2021年11月19日は、月の97.8%が欠ける限りなく皆既に近いと言われる月食です。前回の2021年5月26日の皆既月食は、ブログ記事にすることがほぼ何もないくらい雲が厚くて全滅でした。さて今回はどうなることやら。


準備

実は私、まだまともな月食の撮影はしたことがありません。星を初めてまだそこまで年数がたっていなくて、初の皆既月食は2018年でした。



同じ2018年にもう一度チャンスがありました。


この2回はいずれも雲に悩まされ、かろうじて雲越しの月を救い上げたか、皆既時には雲で撃沈だったりでした。その他部分月食の機会もありましたが、いずれも天気が悪かったりで、まだまともな撮影を実現できたことはありません。

そんな中、今回は北陸は天気が悪いとの予報だったので、もともとあまり気合は入らず、しかも月食当日の11月19日は平日で仕事もあるのであまりたいした準備もしていませんでした。でも当日になると予報に反して天気が良さそうです。仕事が終わってそれこそ超特急で準備をして、いつもの東が開けている近くの河原に陣取りました。とにかく時間がギリギリでした。

地平線(と言っても遠くの立山連峰が5度くらいの高さまでありますが)までひらけて見える前回の撮影場所にしようとしたのですが、冬の月に近いので出てくる位置が思ったより北に寄っていることに気づきました。そのため少し場所をずらし、月の出から見えるような位置に陣取りました。もう準備の途中ですでに肉眼でぼやけた、それでも既に欠けている月が見え始めているのに気づいてました。山の際の低空に雲があるため、最初は月が霞んでいたので、まだ少しだけ準備に時間をかけることができそうです。


機材1: 広角

まずは急いで、簡単な方の広角撮影の準備をします。EOS 6DとNikkor 50mmオールドレンズで月の出始めから月食終了まで1分ごとの連続撮影です。準備の間にやったことは
  1. 三脚にカメラをセットし、月を拡大してピントのチェック。
  2. 設定はF値2.8、露光1/5秒、ISO400で、かけている部分の模様が見えるくらいに。
  3. 画角のチェック。縦長で最下部に地面が入るように、かつ月が左端に来るように。これで月食終了時に月が右上のはずです。
1分ごとの撮影は、Magic Lanternのインターバル撮影の機能を使っています。バッテリーは長時間っ撮影でも電池切れにならない様に、2系統のUSBから電源を取得できる外部バッテリーを使っています。とりあえず撮影を始めて、月食が終わるまで3時間近く放っておきました。

その中から5分おきのものを抜き出して、比較明合成したものが以下になります。

StarStaX_IMG_6320-IMG_6480_lighten_5min

ちなみに1分ごとのものを全部合わせるとこうなります。

StarStaX_IMG_6320-IMG_6478_lighten

これをタイムラプス映像としてみると、


画像処理までして実感したこの撮影の反省です。1分という時間間隔はそこそこokです。それでもタイプラプスにするなら30秒の方がスムーズかもしれません。一番の問題は月食で欠けている部分に露光を合わせると、月の明るいところは完全に飽和してしまうことです。この写真も途中から露光を切り替えて、明るい部分の模様が見える様にした方が良かったかもしれません。でも長時間撮影なので、一度撮影を始めたら触りたくないんですよね。

そこで次回に向けて考えたのは、撮影は1分おきなので、その間に露光を3種類くらい変えればいいのではないかと思うのです。今回の設定と、2018年の7月の皆既月食のときの設定から考えて
  1. 明るい部分: F4、露光1/200秒、ISO100
  2. 今回の設定と等価F4、露光1/2.5秒、ISO400
  3. 欠けた部分: F4、露光1秒、ISO800
くらいでしょうか?

こういった複数の設定を繰り返すのは、いつも6Dで使うBackYardEOSはちょっと面倒かと思います。なので、NINAかSharpCapのASCOM接続とかになるのでしょうか、いずれ次回の月食までにテストしたいと思います。

あと50mmのもう少しいいレンズが欲しいですが、他にもほしいものがたくさんあり、なかなか優先度が上がりません。


機材2: FC-76での連続撮影

2台目は、FC-76 + ASI294MC + Advanced VXで、もう少し大きな月のタイムラプス映像と、地球の影を炙り出すために、5秒間のワンショットを1分おきに2時間半近く、合計150ショット近く撮影。撮影ソフトはFireCapture、露光時間は25ミリ秒でゲインが220です。5秒で70枚ほどが撮影されます。

画像処理ですが、AutoStakkert!3でスタック、あとはPhotoshopのアクションとLightroomの同期機能を使い、全数同じような処理をします。最大食だけは見やすいように少し目立つ処理をしました。

最大食時から前後20分おきの画像を並べてみました。フィルターなどは入れていません。

all_cut

参考にしたのはこのページです。



この位置に合う様に、月を一直線に並べていくと影がきちんと円を描きます。

FC-76での撮影も問題点は広角の場合と同じで、月食で欠けている部分に明るさを合わせると、月の明るいところは完全に飽和してしまうことです。なのでこちらも2種類か3種類程度に露光を変えるといいのかもしれません。今回、一つのファイルが1分のうち5秒撮影で1.5GB程度です。1時間で90GB、皆既月食の初めから終わりまでの約3時間撮ると270GBです。トータル1TBのディスクなので、1分に15秒までならなんとかぎりぎり撮影できそうです。

あとは追尾をどうするですが、かんたろうさん情報によると極軸の精度さえ出ていれば、追尾レートを太陽時に合わせておけば、比較明合成だけで位置が合うそうです。ただし、数時間にわたり位置がずれない様に極軸を合わせるのもなかなか大変なので、むしろ恒星時に合わせる様にガイド鏡とPHD2を使うのもいいのかもしれません。

太陽に合わせても、恒星に合わせても、いずれにせよ画面の中を走っていくので、ある程度の画角をあらかじめとっておくことが必要になります。

もう一つのやり方は、FireCaptureで形を認識してガイドした方がいいかのかもしれません。でも月食時に形が変わっても可能なのでしょうか?

この問題、位置がきちんと後から計算できるなら、月にある程度合うように撮影してしまえば楽です。もし太陽の見た目の位置と月の見た目の位置が情報としてわかっているなら、そして太陽、地球、月間の距離がわかっているなら、簡単な作図で計算できるのかもしれません。時間があるときにやってみようと思います。

FC-76では2時間半ほど撮影を続けたので、タイムラプス映像を作ることも可能です。でも撮影した全画像を見ると結構ずれてしまっていて、センター合わせがかなり難しいです。手動で合わせるには150枚近いのでさすがに大変。PIPPの位置合わせ機能を試しましたが、明るいところがサチっていると認識がうまくいかないようです。位置認識ソフトを自分で書くかどうか迷ってます。ハフ変換というのを使うと画像から円が認識できるらしいのですが、これでうまくいくのか?まだ処理で悩んでいるので、うまくいったら公開します。


極軸精度と月食撮影時のずれの見積もり

ついでなので、今の極軸の精度で足りるのかどうかザックリ見積もってみます。まず極軸の精度ですがSharpCapで50秒から1分角の精度がでます。誤差もあったりするので1分角としましょう。そうすると簡単な計算から、最大で4分間で1秒角ずれていくことになります。

 

1時間で25秒角、3時間で1分と15秒角ずれるというわけです。月の視直径が30分角くらいなので、これくらいなら大丈夫そうですね。やはり次回は十分な画角をとって太陽時で追尾でしょうか。


機材3: TSA-120による自由撮影

最後のセットアップは、TSA-120 + ASI294MC Pro(常温) + 35フラットナー + UV/IRカットフィルター +
CGEM IIで、画角いっぱいの月を自由な時に撮影するものです。SharpCapで25ミリ秒露光でゲインが220で100枚撮影をワンショットとします。

でもこの撮影画像、なかなか青い成分が出てこなくて、パッと処理しただけではターコイズフリンジらしいものが出てきません。明るい部分と暗い部分の境が出る様にかなり苦労して処理すると、青成分が含まれていることがわかりターコイズフリンジらしいものが見えてきます。

2021-11-19-0903_2_lapl5_ap3030_2_cut

でもかやはり無理をしている気がします。ここまで画像処理を必要とするほど大変なのでしょうか?

ネットに上がっている写真を見ると、ターコイズフリンジが全然出ていないものと、かなりはっきり出ているものに分かれている気がします。はっきり出ているのは簡単に出たものなのでしょうか?それとも私がやったようにかなり苦労したのでしょうか?

ここら辺でかなり迷走しました。この画像処理、月食の本来の色のことなど考えだすとものすごく長くなりそうなので顛末は別の記事で書きたいと思います。


まとめ

ある意味初のまともな月食撮影でした。でもやはり準備をさぼっていたため、いまいちだった感は否めません。今回の反省をもとに、次回はもう少し撮影体制を見直したいと思います。

それとは別に、ターコイズフリンジとタイムラプスでいまだに色々迷っています。既にかなり時間がかかっていますが、もう少し結果が出たらまたメモがてらですが、ブログ記事にしたいと思います。



9月30日、飛騨コスモス天文台で観望会がありました。前半は以下の記事で。


今回の記事はその途中くらいから、観望会が終了した後のアイリス星雲を撮影した話と、残った人でDSOの眼視観望をしたお話です。


撮影準備再開

スタッフさんも解散し、最後のお客さんも帰られた23時前頃から、本格的に撮影の準備に入ります。普段富山での自宅撮影は、日本海側ということもあり北の空が明るいのですが、飛騨まで来ると北の空は十分暗くなります。北の空をスマホで簡易測定するとSQMで21.4程度でした。むしろ南が高山市の明かりで少し明るいくらいです。なので、ここにきた時に撮影は北の空を中心に撮影することがいいのかと思います。

今夜の目的はケフェウス座にあるアイリス星雲です。青く綺麗に輝く、散光星雲の仲間になります。アイリス星雲はNGC7023と言われることもあるらしいのですが、正確にはLBN 487もしくはCaldwell 4というのが正しくて、NGC7023はアイリス星雲の中にある散開星団のことを指すそうです。

機材はTSA120とEOS 6D。ここ最近モノクロ撮影できしたが、少し広角を狙いたいため、フルサイズのカラーとしました。ハロ防止にUV/IRカットフィルターを入れましたが、6Dだと赤外にそこまで感度は無い
はずなので必要なかったかもしれません。それらをいつものCGEM IIに載せます。実は機材の設置のほとんどは観望会が始まる前の夕方に済ませていました。

準備の途中にかんたろうさんが、SharpCapの極軸設定に興味があるというのでお見せすることに。かんたろうさんはPole Masterを使ったことがあるらしくて自分の中で比較していたようですが、SharpCapの極軸調整の方があまりに簡単に思えたらしく、苦笑い状態でした。SharpCapのこの機能は有料版でのみ使えるのですが、年間2000円とお小遣い程度です。カメラも汎用的なCMOSカメラが使えるので、カメラを既に持っている方には安価に精度の良い極軸調整が実現できます。

夕方の時点で撮影用のBackYardEOSでのカメラの認識がうまくいかなくて、観望会中の撮影をあきらめたので、準備はそこからの再開です。接続はBYEを立ち上げ直したらうまくいきました。これは過去にもあった現象です。もう一つは、ユーザー認証がうまくいかなかったことです。認証というのでネットワークが必要と思ったのですが、実際にインターネットは必要なく、なぜかユーザー名だけが必要でした。しかもパスワードはBYEが覚えていてくれたようです。これまでこんなことはなかったので、何かバグっぽい振る舞いです。

その後は比較的順調で、カメラのピント出しと水平出し、アイリス星雲の導入もすぐにうまくいきました。今回はアイリス星雲を右に、ゴースト星雲Sh2-136(vdB 141)を左に入れての構図です。6Dの設定は露光時間300秒、ISO1600、オートガイドもうまくスタートして撮影開始です。この時点で23時20分くらいだったでしょうか。

この時間まで残っていたMちゃんが撮影中のPCの画面を見て、「星が見えていないところがある」と気づきました。分子雲です。画面の時点で分子雲がはっきりと確認できているくらいなので、仕上がりが楽しみなのです。問題は月の出が0時40分で、この時点では時間があまりとれないと思っていました。


かんたろうさんの25cmで眼視体験

撮影開始でちょっと余裕ができたので、隣に設置しているかんたろうさんのOrionの25cmニュートン反射で眼視体験をさせてもらいます。25cmだとかなり大きく、重さは20kg程度とのことです。でも赤道儀がJPなので全然余裕みたいです。

これまでもかんたろうさんには、牛岳などで眼視で色々見せてもらっています。この日もすでに観望会中に二重星団など見せてもらっていましたが、ここからはかなりたくさんのものを見せてもらい、あまり眼視経験のない私にとってはいい経験となりました。見させてもらった順に行きます。
  • まずはリゲルBから。まだリゲルは出てきたばかりで東の低い空にあります。それでも左の揺らめいている光芒の中に時折小さな星を確認することができます。これは後ほど再度確認することになります。
  • 続いてぎょしゃ座の散開星団。多分M36かと。その後、双子座の散開星団M35。これは隣りにNGC2158という小さな散開星団があるそうです。小さい方は私にはかなり淡く見えましたが、そらし目で十分確認することができました。
ここら辺で、Mちゃんのところが帰宅です。もう0時半を過ぎていて暗いかと思います。
  • 次がM42の中のトラペジウム。さすがにE、F星までは見えませんでした。それよりも少し引いたM42の弓なりの形が見事でした。かんたろうさんが、帰ってしまったMちゃんに「見せてあげたかった」としきりに呟いていました。
  • その近くの、うさぎ座クリムゾンスター。赤い星と言われていますが、かなり濃いオレンジに見えました。
  • 燃える木を導入してもらいましたが、かんたろうさんは見えると言っています。私もそらし目を駆使し、かろうじてわかりました。でも多分、かんたろうさんほど見えてないと思えるようになってきました。眼視はおそらく知識が必要です。どこに何があるか、わかっているのといないのでは、(多分)全然見え方が違います。そう言った意味では、近くのアルニタクも見えているので、(さかさまになってはいますが)どこに燃える木があるかもわかっています。それでもかんたろうさんとは見え方に差がある気がします。もしかしたら自分の目は暗いところの感度低いのかもしれません。これまで生きてきて、サングラスを欲しいと思ったことが一度もありません。眩しいのに強いということは、暗いものに対する感度は逆に無いのかもしれないとこのとき思いました。
  • リゲルが昇ってきたので、再度リゲルBに挑戦します。今度は光芒がもっと小さくなり、常にはっきり見えるようになってきました。
うーん、眼視かなり楽しいです。でも問題は大口径になればなるほどはずで、暗い空が必要なこと。かんたろうさんも25cm以上を欲しがっているようです。もう少し撮影を楽しんで、その興味が落ち着いたら次の方向性としてはいいかもしれません。今ちょうど双望会にオンライン参加しながらこのブログを書いていますが、話を聞いていると眼視もものすごく奥が深そうです。


撮影完了までと帰宅

実は私、この日10月2日の月の出は0時40分だと思い込んでいました。でもなかなか月が出てきません。山の下に隠れているのかなと思っていましたが、0時を越えていたので10月3日の月の出を見る必要があったんですね。午前1時48分が月の出とブログを書いてて気付きました。だから月が出てこなかったのですね。時間がないと焦っていたのですが、思いっきり間抜けです。

月と言ってもかなり新月に近く暗いので、結局午前2時半頃まで撮影してました。途中、ガイドが一旦止まってしまっていたようです。午前2時前に気づいて、再度ガイドを動かしたのですが、後でチェックしたら、0時40分くらいから1時50分くらいまで止まっていたようです。星像が流れてしまっていてかなりの枚数を捨てることになってしまいました。撮影が終わってからチェックしてみると、見事にガイド鏡が曇ってしまっていました。

その後片付けをして帰宅は午前3時頃。かんたろうさんは昇ってきたシリウスのBを見ようと頑張ってましたが、流石に厳しいようでした。午前4時頃に自宅に到着。次の日は朝から2度目のワクチンだったので、そのまま片付けもせず寝てしまいました。

夜露が心配だったので、次の日曜日の朝、家を出る前に機材を出して陰干しです。


画像処理と結果

後日、自宅で部屋の白い壁を利用したフラットとフラットダークを撮影。フラットは最近ずっとこれですが、鏡筒に袋などを被せることもなく、明るい壁を直接撮影しているだけで、楽でいいです。これでフラット補正が合わなかったことは意識している限りありません。ただし、壁への光の当たり方で輝度が方向によってかわることがあるので、PixInsightのABEの1次で補正する必要があることがあります。また、天体撮影が終わった後に別の日にフラットが撮影できるので楽でいいのですが、逆に言うとフラット撮影が終わるまではカメラを外したくないので、次の撮影に使えないとかが欠点でしょうか。

バイアスとダークは過去のものを使い回しなので楽なものです。

画像処理はいつものようにPixInsightのWBPPから。途中特に不具合もなく終了。その後、ABEを(主にフラット撮影時の明るさのスロープを取るため)1次で一回、(メカニカルシャッターの影での下部のS/N低下と、画角がずれていった際の特に上下の枚数不足を補正するため)2次で一回かけます。分子雲のモクモクを残したいため、今回はDBEは使いません。PCCも順調。

結局露光時間が高々2時間なので、やはりノイズが大きいのは否めません。適度にツールを駆使し、多少見栄えがいいように調整します。

結果です。

masterLight_RGB_integration_ABE_ABE_PCC_AS3_HT6_ABE_cut1b

  • 撮影日: 2021年10月2日23時21分-10月3日0時31分
  • 撮影場所: 岐阜県飛騨市飛騨コスモス天文台
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー
  • フィルター: SVBONY 2インチUV/IRカットフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間300秒x24枚 = 2時間0分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI

左側のゴースト星雲は一部でバンザイ星雲?とも言われているらしくて、バンザイをした人の姿が確認できます。
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ちょっと解像度不足でわかりにくいのですが、本当は二人います。もう少し露光時間を伸ばしてノイズを減らす必要がありそうです。

あとはいつものAnnotationです。デフォルトの設定だと寂しかったので、今回はLBNなどを追加しました。
masterLight_ABE_ABE_PCC_AS3_HT6_ABE_cut1_ok_annotation



まとめ

今回はほぼ初めての北の空の撮影になります。実際北の空に近いのは、自宅から撮影したN51子持ち銀河くらい。 この時も撮影時間不足か、今見ると解像とてきにあまり満足ではありません。ナローも始めたので、今後自宅でも北の空を撮影していきたいと思います。

あと、眼視体験はかなりインパクトがありました。ちょうど双望会も重なったので、結構な刺激をうけています。最近のLambdaさんの焦点ずらしのアイピースの件も興味があります。手を出すかなあ?ハマるとまた大変だろうなあ?


一晩に2回も機材を出し入れすることになるとは。そして同じネタで2回もブログ記事を書くことになるとは。

前の記事で雨が降りそうで撤収したと書きました。21時頃です。21時20分にはブログを書き終えてました。その後、テレビを見ながらソファーでうたた寝。22時30分過ぎ「もう眠いから今日は寝るか」と思いつつふと外に出てみると、まさに月が顔を出しそうなところでした。

IMG_3369

もう全部片付け終わっていて機材を、急遽再セットアップです。面倒なのと、どれだけこの転機が持つか分からないので、極軸も取らずにとりあえず導入。

IMG_3370

とりあえず1ショット、1000フレーム分撮影しました。

一旦落ち着いてカメラの回転角やピントを再度調整し、思ったより揺れているな(もしかしたら温度順応が不十分で筒内気流だったかも)と思いながら、あと500フレーム撮影して、その場で画像処理。先にTwitterにだけ投稿しておきました。

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  • 月齢14.6日
  • 撮影日: 2021年9月21日23時00分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120
  • フィルター: なし 
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro(常温で使用)
  • ガイド: なし
  • 撮影: SharpCap、露光時間2ミリ秒x250/500枚  
  • 画像処理: AutoStakkert!3、Registax6


撮影終了後、改めて周りを見渡してみました。

月は南の高いところに昇り、中秋の名月の名にふさわしく周りを明るく照らしています。
誰もいなくて、虫の鳴き声と涼しい風が秋の気配を漂わせます。
月を独り占めした夜の世界の帝王のような、それでいて誰かが入ってきてすぐに壊れてしまいそうな、そんな緊張感のある世界でした。

こんな雰囲気まで記録できるのはまだ記憶だけなのでしょうか。文章はそれを思い出すきっかけになりますね。いつか写真にそんなことまで写しとれるようになれればと思います。月を撮影していると、いつもこんなことを考えてしまいます。


めずらしく晴れた!さあ撮影だ!

1月20日と21日、珍しく1日半程度、撮影ができるくらいに晴れました。しかも昼間の立山があまりにきれいにくっきり見えました。透明度はいいに違いありません。

もうずっと晴れてなくて、途中短時間の電視観望や太陽撮影はありましたが、星雲に関して言えば前回の撮影日が12月9日でオリオン大星雲なので、もう一月以上撮影できていません。



M42は楽しかったですが、昔撮ったものの取り直しも飽きてきたので、今回はあまりにメジャーな明るいものでなく、少し淡いモクモクしたものを撮りたくなってきました。そのための最初の一歩になります。平日なので自宅撮影です。でもそもそもそんな淡いモクモク、遠征せずに撮れるのでしょうか?

ターゲットですが、この時期でTSA-120と6Dで撮れる画角のものから選びます。いろいろ考えてオリオン座の上の方のM78としました。まだ真面目に撮影したことがないので、初撮影になります。かなり昔、電視観望では見たことがありましたが、中心以外はかなり暗いのでほとんど何も映らなかった記憶があります。


半月が出ててもフィルター無しで撮影

今回は少し課題をつけます。
  1. 平日なので自宅になるため光害は気にしない
  2. 冬の北陸で天気のいい日がかなり限られているので、月があっても厭わない。この日は月齢7日で、ほぼ半月。沈むのは0時頃ですが、そのころにはオリオン座も結構西に傾いてしまっているので、夜の早いうちから撮影を始めます。
  3. M78は白色や青色が豊富なので、フィルターを入れるとどれくらい色が変わってしまう可能性があります。なのでNo光害フィルターでいきます。ただし、恒星にハロが出る可能性があるのがわかっているので2インチのUV/IRカットフィルターを入れます。
要するに、ほとんど光害対策をしなくてどこまで淡い天体が出るかということです。

これまでQBP、CBPなどを使って、自宅でも輝線スペクトルをそこそこコントラスト良く出せることを示してきました。しかしながら、これらはかなり強力な光害防止フィルターのようなものなので、たとえ輝線スペクトルをきちんと通すとしても、カラーバランスが崩れてしまうことはどうしても避けられないのかと思います。例えばQBPではかなり赤によりがちになります。CBPは青をもう少し出してくれるのでまだマシかと思います。ところが、特に今回のM78のように、反射星雲だと波長は恒星によるはずで、QBPやCBPでは本来あるべき波長がカットされてしまっている可能性があります。また、暗黒星雲とその周りのモクモクの色なんかも光害カットフィルターで様子が変わってしまうのでは思っています。これはCBPで網状星雲を撮影したときに、右側に出るはずの広い暗黒星雲が全く出てこなかったことに起因します。

実はこのフィルター無しでとこまで写るのか、ずっとやってみたかったのです。だってHIROPNさんが都心で低ISOで成果を出しているし、トータル露光時間を伸ばせば背景光ノイズは相当小さくできるはずで、必ず記録はされているはずの天体情報は、うまくすれば引き出すことができるはずだからです。でも失敗してせっかくの撮影時間をまるまる潰す可能性があるので、なかなか勇気が出ませんでした。


撮影開始、でもやはり光害の影響はすごい

そんなこんなでいろいろ考えながらも、準備を焦らずゆっくりして、22時近くから撮影を始めました。6DでISO800、露光時間は3分です。ところが途中で試しに1枚、ABEで滑らかにしてオートストレッチ後、HTしてみたのを試しに見てみたのですが、もうひどいものです。

LIGHT_180s_ISO800_0c_20210120_23h55m36s483ms_RGB_VNG_ABE

リングは多分ABE由来ですが、M78自身が中心以外ほとんど何も写ってません。センサーの汚れも目立ちます。衛星もたくさん写り込んでそうです。どうもこの超ノーマル状態での光害下での撮影はだめそうです。

ちなみに撮って出しJPEGだとそれこそほとんど何も写ってません。

LIGHT_180s_ISO1600_+8c_20210120-21h32m46s782ms

この時点でかなりやる気をなくしたのですが、また設定し直すのも面倒なので、そのままフテ寝してしまいました。朝起きて確認すると夜中の1時頃でカメラのバッテリー切れで止まっています。トータル3時間、月が沈むのが0時だったので、最初の2時間分はまだ月が出ていたことになります。もうだめそうだし、時間も途中で切れてかけれなかったのでここで諦めても良かったのですが、次の日も途中までは晴れそうです。

結局二日目も同じ構図で、少し撮り増し。というか、どうせ途中で曇る予報なので新たに別の天体を撮り切る時間もなさそうですし、M78なら前日の設定が全て残っているので、楽だったからと言うのが実際の理由です。二日目は準備もほとんどできているので、少し早めの18時過ぎから撮影を始めました。天気予報通り、21時すぎで雲が出てきたのでここで終了。この日も3時間程度の撮影時間でした。


スタックした画像を見てみると!

こんな状態だったので、画像処理もあまりやる気にならずに半ば諦めて放っておいたのですが、一応後日フラットとフラットダークを撮影してPixInsightでスタックまでの画像処理をしてみました。

ダークとバイアスは以前の使い回しなので、最近は楽なもんです。ISOと露光時間を合わせておくと、冷蔵庫法のダークライブラリの構築がそこまで大変でないです。スタック後の画像を見てみると、なんと意外にいけそう。下はオートストレッチ後、HistgramTransformation (HT)で適用したものです。

masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180.8

失敗画像を除いても5時間越えぶんの露光時間が効いたのでしょうか?色もきちんとついてますし、暗黒体の部分も結構出ています。

これは俄然やる気になってきました。


フラット補正とカブリ

ただし上の画像、フラットフレームを部屋で別撮りで撮ったので、実際の空とは違いどうしても1次的なカブリが残ってしまっています。

今回フラットフレームの撮影も簡易的な方法に置き換えました。昼間に太陽が出てる時、もしくは全面曇りの時に、部屋の中の窓から少し遠い白い壁を写すだけです。注意点は
  • 鏡筒の影を避けるために、壁に近づけすぎないこと。
  • 以前は鏡筒の先にスーパーの白い袋をかぶせていたが、今回はそれも外したこと。
  • ISOを同じにして、露光時間を短くしてヒストグラムのピークが中央らへんにくるようにすること。
  • その場で蓋をしてフラットダークも一緒に撮影してしまうこと。
などです。以前は晴れの日を選んで、スーパーの袋をかぶせていました。太陽が出ていて雲が横切ると明るさが変わってあまり良くなかったのですが、空一面の曇りなら大丈夫ではということです。あと、どうせピントは合わないので(多少壁はざらざらしているが)スーパーの袋はなくてもいいのではと言うところが改善点です。

さて、上の画像に残るカブリを取りたいのですが、左下の赤い部分はバーナードループなのでこれは残したいです。こんなときはABEはあまり使えません。実際にABEを1次で試しましたが、赤い部分が大きく取り除かれてしまいした。こんな時はDBEの方がよく、しかも点数をかなり制限してやります。実際打ったアンカーは数えたら10個ちょいでした。

DBE
(アンカーが見やすいように少し画面を暗くしています。)

これでできたのが以下のようになります。カブリが取れて、かつ左下の赤いのはしっかりと残ってます。

masterLight_180_8_integration_DBE4


ここでPCCのトラブルに直面

この後はPCCで、恒星の色を合わせます。ところがところが、肝心な時にPCCがなぜかうまく動きません。これで2日ほどストップしてしまいましたが、その顛末は前回の記事にまとめてあります。




ストレッチからPhotoshopに渡して仕上げへ

PCCがうまくいったあとはArcsinhStretch (AS)を何度かに分けてかけ、ストレッチします。ASは彩度を落とさない利点があるのですが、恒星の鋭さが無くなるので、StarNetで恒星が分離しきれない問題があります。そのため、ストレッチ前の画像から改めてScreenTransferFunctionでオートストレッチして、HTで適用することで恒星を鋭くしました。こうすることでStarNetできちん恒星と背景を分離できるようになります。分離した恒星画像から星マスクを作ります。実際にMaskとして使うにはMohologiacalTransformationのDilationをかけて少し(1.5倍位)星像を大きくします。

あとはPhotoshopに渡していつものように仕上げです。基本はほとんどが先ほど作った恒星マスクを当てての作業になります。DeNoiseも使います。そういえばDeNoiseのバージョンが2.4.0に上がり、Low Lightモードのノイズがさらに改善されたとのことです。DeNoiseは非常に強力ですが、それでもやはりマスクの境や、モコモコしたカラーノイズのようなものが出るなど、悪影響がどうしても残ってしまうことは否めません。今後はいかにDeNoiseから脱却することが課題になってくるのかもしれません。

結果を示します。少しトリミングして90度回転しています。

「M78」
masterLight_DBE4_crop_PCC_pink_AS3_cut

  • 撮影日: 2021年1月20日21時51分-1月21日1時12分、1月21日18時12分-21時20分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35フラットナー + SVbony 2inch UV/IRカットフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: PHD2 + 120mmガイド鏡 + ASI120MM miniによるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO800,  露光時間: 180秒 x 108枚 = 5時間24分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC, DeNoise
どうでしょうか?光害下で、Noフィルターとは思えないくらい出たのではないかと思います。自分でもびっくりです。M78はこれまでも何度か挑戦しようとして諦めていたので、これくらい出ればそこそこ満足です。

ついでにAnotationです。

masterLight_DBE4_crop_PCC_pink_AS3_cut_Annotated



考察

今回の結果はある意味一つの挑戦です。

光害や月明かりが、実際の仕上げまでにどこまで影響するかです。はっきり言って、庭で半月でフィルターなしでここまで出てくるとは全く思っていませんでした。少なくとも1枚画像を見たときはこのチャレンジは失敗だと思っていました。

色バランスを考えた場合、フィルターは少なからず影響を与えます。なので色の再現性だけ考えたときには、フィルター無しの方が良いのかと思います。その代わり当然ですが、フィルターが無いと光害地では明るい背景光やカブリが問題になります。

明るい背景光は大きなノイズ(ノイズは明るさのルートに比例します)を出すので、淡い天体はノイズに埋もれてしまいます。それでも背景光に比べて、天体の明るさの分、少しだけ明るく記録されます。背景光のノイズは多数枚スタックすることで小さくなります。ヒストグラムで考えると、ピークの広がりが小さくなるということです。ノイズピークの広がりが小さくなれば、その一定値に近くなった明るさの中央値をオフセットとして引くことで、天体をはっきりと炙り出すことができるようになります。トータルの露光時間が増えれば、多少の光害地でも淡い天体を炙り出すことは不可能ではないということです。

ではフィルターの役割はなんでしょう?まずは背景光のノイズを光の段階で軽減させることが一番の理由でしょう。もちろん程度問題で、暗いところで撮影したら光害防止フィルターの効果は小さいでしょう。逆にあまりにひどい光害地でフィルターなしで撮影しても、一枚あたりの露光時間をろくにとれなくなったりするので、どうしてもフィルターが必須という状況もありえるでしょう。

あとこれは個人的な意見ですが、フィルターのメリットの一つは画像処理が圧倒的に楽になることではないかと思います。今回の光害下での撮影の画像処理は結構というか、おそらく初心者から見たらかなり大変です。例えばカブリ取りなんかは相当戦略を考えて進めることになります。こういった困難さを避けることができるのなら、光害防止フィルターは大きな役割があると言っていいのかと思います。

逆にフィルターのデメリットの一つは、すでに書きましたがカラーバランスが崩れるということがあると思います。画像処理で多少は回復できますが、それはそれで負担になってしまいます。あと、高級なフィルターの場合、値段もデメリットの一つと言えるのかと思います。

フィルターを使う使わないは、状況に応じて臨機応変に考えれば良いのかと思います。それでも今回、光害地で半月が出ている状況で、フィルターなしでも、画像処理によっては淡い天体をある程度炙り出すことも可能であるということが、多少は示すことができたのではないかと思います。このフィルター無しの方法が、どのくらいひどい光害まで適用できるのか、ここら辺は今後の課題なのかと思います。

今回は失敗かと思ったところからの大逆転、かなり楽しかったです。



 

ここしばらくシリーズ化しているメジャー天体撮り直しシリーズ、M31アンドロメダ銀河M45プレアデス星団に続き今回はM42オリオン座大星雲です。







これまでのオリオン大星雲

M42は初期の頃からのFS-60Qでの撮影も含めて、


QBPのテスト
の時や、


AZ-GTiの赤道儀化のとき


ラッキーイメージングなど細部出しに特化したもの、


また明るい天体のため、電視観望でもよく見ることができ、見ている画面を保存して簡易的に画像処理してもそこそこ見栄えのするものができてしいます。


電視観望の応用でAZ-GTiの経緯台モードでの撮影も試したりしました。


TSA-120を手に入れてからも、フラットナーがない状態でも解像度ベンチマークなどでトラペジウムの撮影を中心に何度も撮影してきました。分解能に関して言えば、この時が最高でしょう。


その後、昨シーズン終わりにやっとTSA-120用に35フラットナーを手に入れてから一度テストしていますが、四隅の星像の流れはもちろん改善していますが、中心像に関してはフラットナーなしの方が良かったというのが以前の結論でした。



でもテスト撮影も多く、なかなか満足のいく露光時間はかけていませんし、仕上がりに関してもまだまだ細部を出すことができるはずです。今回はそれを踏まえての、初めてのまともな長時間かけての撮影になります。


撮影開始

撮影日は平日でしたが冬シーズンにしてはたまたま晴れていた(次の日からはまたずっと天気が悪い予報)のと、月が出るの午前1時過ぎと、多少の撮影時間が確保できそうでした。平日なので自宅での庭撮りになります。夕食後準備を始めました。このシーズンオリオン座は夜の始めはまだ低い高度にいるので、焦らずに準備できます。

鏡筒はTSA-120。これに35フラットナーをつけて、前回M45の撮影の時に準備したCA-35とカメラワイドアダプターをつけます。カメラはEOS 6D。フィルターはここのところ光害地では定番のCBPです。青を少し出したいことと、赤外での星像肥大を避けることが目的です。赤道儀はいつものCGEM IIです。撮影環境はStick PCにBackYardEOSを入れて、PHD2で二軸ガイド。

一つ気をつけたことが、Stick PCの電源を最初から大容量バッテリーのAC電源出力からとったことです。これは、これまでSharpCapでの極軸合わせなど計算量が多くなった時に何度か落ちたことからの反省です。前回のM45の撮影時の画像連続チェックで落ちてからAC電源に交換して、それ以降落ちなかったので、その経験から今回は最初からAC電源です。効果はテキメンで、SharpCapでの極軸合わせの時も全く問題ありませんでした。ダメな時はネットワークが不安定になるところから始まるのですが、そんな兆候も全然なく、やはりネットワークがダメだったのも計算負荷にで電力がネットワークアダプターのほうに回っていなかった可能性が限りなく高かったと言う結論になりそうです。


オリオン大星雲の撮影目標

せっかくの明るい星雲なので、
  • 階調と分解能をできるだけ出すこと。
  • 長時間露光でノイズを抑えること。
  • 星雲周りの分子雲を出すこと。
  • トラペジウム周りで飛ばないこと。
などを目標とします。

露光時間は淡いところを出したいので300秒とします。自宅庭撮りでこれだけ長くできるのはCBPなどの光害カットフィルターがあるからです。長時間露光の代わりに、ダイナミックレンジを稼ぎたいのでISOは少し低めの800としました。これでヒストグラムのピークが1/5くらいのところになりました。それでもトラペジウム周りは完全にサチってしまうので、別途同じISOで1秒露光のものを20枚、最初に撮影しておきました。同じISOにしたのはバイアスとフラットが使いまわせると目論んだからです。でも、後で書きますが、この目論見は失敗に終わります。


露光時間とISO

ISO800にした理由ですが、このページを見るとISO100の時のダイナミックレンジが12bit=4096、ISO800で11.5bit=2896とそこまで落ちないからです。さらに300分の1の露光時間の1秒露光で20枚ほど撮影してあるので、うまくつなぐとさらに300倍のダイナミックレンジ(2896x300= ~869000)を稼ぐことができることになります。

でもまあ、画像に写っている中で一番明るいオリオン座のι(イオタ)星のHatysa(ハチサ)が2.75等級なので、それより例えば15等級下の17.75等級を見ようとすると100万のダイナミックレンジが必要になり、既に不足となります。300秒露光の画像は既に背景のヒストグラムで最大値の1/5位のところにあるので、ということは背景の5倍の明るさで既にサチることになってしまいます。こうやって考えると恒星に割り当てることのできるダイナミックレンジはものすごい小さいことになってしまいますが、これでいいのでしょうか?何十枚もスタックして背景のランダムなノイズを下げ、オフセットは引くことができるので、もちろん1枚の時よりダイナミックレンジは増えます。画像処理のストレッチ過程で暗い恒星を炙り出すので、RAW画像の見た目の5倍というよりは実際にはもっと広いダイナミックレンジを扱うことができます。それでもサチっているところはサチったままです。

逆に言うと、背景に近い暗黒帯などは(低い方の)ダイナミックレンジが十分にあるところで情報としてRAW画像の中に残しておかないと、きちんとした諧調で表現することができなくなります。例えばPhotoshopでRAW画像を見たときに背景ピーク位置が256段階の3くらいのところにあったとします。ピークの幅が3くらいで、この中に暗い部分の背景の情報が入っているとします(実際には欲しい部分は背景のピークより少し値が大きいところにありますが、幅は同程度と仮定しています)。16bit=65536で処理するとすると1段回で65536/256=16階調あることになるので、3段階だとわずか48階調で背景の暗黒帯や対象天体の淡い部分などを表現することになります。ところが、背景ピークが10倍の30あたりにあり、その幅が30程度あるとすると、16階調をかけて480階調で表現できるようになります。ADCの量子化ノイズなどと言われたりしますが、一番見たいところをADCのどこの位置に持ってくるかを露光時間はゲインで調整するというわけです。でも実際にはたとえ階調不足でも、今のソフトはよくできていて、飛び飛びになっている階調を自動で補完してくれるので、見かけ上は階段状に見えるようなことがあまりなかったりします。

とりあえず今回は明るすぎる恒星は主に画像処理で回復し、トラペジウム周りの白飛びのみを1秒露光の画像で補完することにします。

セットアップ後は自宅からぬくぬくリモートモニターです。月が出る午前1時過ぎまで仮眠でも取ろうと思いましたが、結局そのまま起きていて、片付けが終わって寝たのが2時過ぎだったので少し寝不足になってしまいました。


6Dのセンサー面の清掃とフラット画像

後日、画像処理のためにフラットなどを撮影します。まずはカメラを外せないフラットからです。本当は太陽が出ている明るい時に撮影したかったのですが、北陸はしばらく冬型の気圧配置で、今後天気は期待できそうにないので、曇りの日に撮影することに。そういえば今回はM42の撮影前にカメラのセンサー面の掃除をしたので、フラットフレーム最近いつもあるゴミの後はほぼ一掃されていました。清掃といってお、カメラの清掃モードを利用してセンサー面を露出し、エアーで吹き飛ばしただけです。これだけでかなりの効果がありました。

フラットダークとバイアスに関しては同じISOの以前使ったマスターファイルがあるので、それを再利用できます。

ダークは冷蔵庫と冷凍庫にカメラを入れて冷却状態で撮影します。温度がばらつくので、多少多めに撮影しておきます。それでも枚数が稼げないこともあるので、その場合はダーク補正なしでCosmetic Correctionのみにする時もありますが、今回はそこそこの枚数を稼げたので撮影時の温度に合わせて選択して使うことにしました。


画像処理

撮影したファイルをPIのWBPPで処理します。できたファイルをPCCにかけます。背景に分子雲が大量にあるのでカブリとの見分けがつかず、ABEやDBEは使わないことにしました。ノイズ処理とDecombolutionもPIで試しましたが、やはりまだDeNoiseの方が有利な気がして、今回も使いませんでした。いずれ移行したいですが、もう少し検討してからにしてみたいです。

恒星中心の回復はRepaired HSV Separation Scriptを使い、Masked Stretchで恒星を保ちながら炙り出しました。

問題はStarNetの適用のタイミングです。今回はPhotoshopでも炙り出す余地を残したために背景と恒星の分離を少し早い段階で済ませました。そのため、PSでの処理時に恒星をさ散らすことになってしまったので、あまりMasked Stretchの意味がなかったかもしれません。でもその一方、恒星を全くサチらせずに処理すると、恒星が野暮ったい感じになりインパクトに欠けることにもなります。今回はサチらせる方向を取りましたが、ここはもう少し検討したいところです。もしかしたら再処理するかもしれません。

1秒露光の画像の処理も同様にPIでやったのですが、WBPPが全くうまくいきませんでした。仕方ないので、マニュアルでCosmeticCorrectionから順番に確認していくと、ImageCaibrationのバイアスやフラット補正が全くうまくいきません。バイアスファイルやフラット補正ファイルは、ISOを合わせた300秒露光の補正で使ったものの使い回しなので問題ないはずです。ファイルが問題と言うよりは、補正すること自体がダメなようです。簡単に言うと暗かったライトフレームが補正で明るくなってしまうような状態です。どうやってもうまくいかなかったので、補正は諦め、撮影した21枚、21秒分を位置合わせしてスタックしただけにして、トラベジウム周りだけを使うことにしました。

300秒画像のトラペジウム周りはサチっているので、境目が滑らかになるように輝度を落とし、そこに1秒露光の画像をPhotoshop側で合成しました。

結果は以下のようになります。
masterLight_PCC_pink_MS_all5


2020/12/14追記: 次の日少し見直して1から処理し直しました。StarNetを使わずにマスク処理で恒星部を調整し不自然さと幸理をできるだけ無くしています。あと、まだ赤寄りだったのでもう少し青寄りにして色調豊かにしました。まだ不満はいくつか残っていいます。
  • 分子雲の中の微恒星周りが不自然です。これはマスクの領域を拡大しすぎたからかと思います。明るい領域の微恒星と暗い領域の微恒星では多分マスクの扱いが違うのかと思います。最後に気づいたので力尽きて諦めました。またそのうちに解決策を手段を考えます。
  • 分子雲と背景のノイズ処理が甘くてボコボコしているようなところがあります。DeNoiseの効果なのですが、他のノイズ除去フィルターでも同じようになってしまいます。Dfine2で大まかなノイズを除いてからDeNoiseで解決できる可能性もありますが、根本的には露光不足なのでさらに長い時間撮影するのが一番です。
  • かなり炙り出しているので、人工衛星の軌跡が目立ち始めています。軌跡が残っている画像は全て捨てるのが解決策なのですが、今回もかなりの枚数に軌跡が映り込んでいます。これだけ衛星が多いとオリオン座はもう難しいのかもしれません。
それ以外のところは、「今のところ」不満はありません。でも気づいてないことがまだたくさんあると思うので、あくまで今のところです。

masterLight_integration2_ABE1_PCC_SCNR_HSV_MS_all3_cut
  • 撮影日: 2020年12月9日20時57分-12月10日1時10分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35フラットナー + CBPフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: PHD2 + 120mmガイド鏡 + ASI178MCによるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO1600,  露光時間: 300秒 x 50枚 = 4時間10分 + 1秒 x 21枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC, DeNoise
分子雲については十分に出ていて、星雲本体の階調も分解能も満足できます。トラペジウム周りもそこそこ自然に出ています。

その一方、恒星部にはまだ少し不満もあります。露光時間が300秒と長いために星像がガイド揺れやシンチレーションでボテっとなるのは仕方ないです。でも1秒露光の方でトラペジウム部分を見てもあまり分離できていません。ピントがずれている可能性もありますが、おそらくこの日はシンチレーションが酷かった可能性が高そうです。

トラペジウムもピシッと見えていて、背景もきちんと出ているようなものを多露出露光合成なしで撮れるような、タイミングと機器とパラメーターが揃った時に、いつかまた気合を入れて撮影してみたいものです。でもまだ今の機材でももう少し攻めることができる(ラッキーイメージングでしょうか?)はずなので、今後も継続して挑戦していきたいと思います。オリオン大星雲は深いです。


まとめ

メジャー天体際撮影シリーズはこれで終わりかと思います。4年半前に星を始めて、最初の頃に挑戦したものでしたが、機器も技術も4年半の間に随分進歩したことがわかります。ソフト的な進歩も大きいです。

特にPixInsightでのDBEやストレッチの技術と種類の多さ、StarNetでの分離、Nik CollectionやDeNoiseなどの細部だしやノイズ除去など、自分の腕の不足を明らかに助けてくれます。今後はこういった便利なソフトから少し離れて、自分の腕で画像処理を極めたいと思っていますが、実際この楽な状況から本当に脱却できるのか?まあ、当分はそのままかもしれません。


おまけ

Annotationです。

masterLight_PCC_pink_MS_all5_Annotated


恒例の以前FS-60Qで撮影したものです。約4年前と

cut

1年半前です。

light_M42_PCC_maskstretched_ok_HDR_dark

今回の撮影もまだ不満はありますが、自己ベストは明らかに更新です。何年か経つととりあえず進歩の跡が見られるのはいいものです。オリオン大星雲は楽しいので、また条件を変えて挑戦します。



平日ですが、晴れていたので自宅で朝まで放置撮影です。ターゲットは迷いましたが三角座銀河M33。TSA-120とASI294MC Proで狙います。本当はTSA-120と6Dで試したかったのですが、少し面積が大きすぎます。でもこの間のM31がFC-76と6Dでうまくいったので、銀河をもう少し試したくて、より焦点距離が長く、よりセンサー面積が小さい方向に行きます。


撮影

夕方過ぎの暗くなったくらいではまだM33の高度はそこまで高くないので、準備はのんびり。機材を設置して、Stick PCでSharpCapでとるとどうも通信が不安定になります。Stick PCはネットワークに繋がってないとリモートデスクトップが成り立たないので、画面を見ることができず、何が怒っているかも分からなくなります。結局全くつながらなくなってしまったので、何が起きているのか見るのに、少し前に用意したモニターアダプターを使ってみます。どうやら再起動されたみたいで、アダプターを準備している間にネットワークも復帰していました。画面を見ながら、同時にpingで安定性を見ます。

IMG_1134

どうもCPUの負荷によって、通信が遅くなったり、止まったりするようです。その上で過度の負荷がかかると完全に止まってPCが再起動されるようです。

ここからは推測ですが、電源容量が足りてないのではないかと。CPU負荷が大きいと電力が足りなくて、Wi-Fiまで電力が回りにくくなり通信速度が落ち、さらにひどいとPC自身が電力不足で止まってしまいPCが再起動されるのかと思います。現在はLess is moreのバッテリーを使っていて安定だと思っていたのですが、電力的にはよくても電圧的には決して高いわけではないので、電圧不足になった可能性があるかと思っています。むしろ普通のUSBバッテリーに昇圧アダプターを使った方が安定なのかもしれません。

SharpCapの極軸合わせはかなり計算負荷が高く、これが終わってしまえば今回はこれ以上負荷の大きいことはしなかったので、バッテリーはそのままとしました。今回の撮影はNINAとPHD2を使ったのですが、これくらいの負担なら全く問題なかったです。昇圧の試験は次回以降に試してみます。

あとSharpCapですが、Stick PCのWindowsが64bitでももしうまく動かなければ32bitにしろと警告が出ます。実際、極軸合わせは警告ではなく動かなかったので、これ以降は32bit版で試すことにしています。


撮影状況

今回の課題は恒星のサチリと風での揺れでした。最初の300秒の露光時間のものはゲイン120で2時間くらい撮影したのですが、どうも明るすぎて恒星中心がサチっているようなのと、途中から風が出てきたので長時間露光だと星像が大きくなるようなのです。

途中でカメラがきちんとNINAで認識されていないみたいで、撮影は進んでいるのにファイルが生成されないというトラブルがありました。この時点で、ゲインはそのままの120で、露光時間を180秒にしました。
露光時間を短くするのは星像肥大にも有利かと思ったからです。同時に温度順応でピントがズレたことも疑い合わせ直したのですが、ピントは問題なかったという判断でした。でもこのピント確認自体がどうも悪さをしたようです。

朝になって見たらそれでも180秒露光のものも中心部がまだ少しサチっていました。それよりも途中から雲が出てきたみたいで、撮影した180秒のものの半分以上は無駄になってしまっていました。結局露光時間が不足しそうなので、300秒露光の2時間分と180秒露光の2時間分の計4時間分を使うことにしました。

PixInsightでは露光時間が違ったりすると別処理でスタックするので、ダークフレームも2種類用意します。フラットフレームはゲインを120と一致させたので一種類で済みました。


TSA-120でのフラットフレーム撮影

少しフラットについて書いておきます。TSA-120ではこれまでフラット補正がうまくいったことがありませんでした。撮影したフラットフレームが全然まともでないのです。FS-60とFC-76で障子越しの自然光でうまくいっているのですが、我が家の障子は枠が狭くてTSA-120の口径をカバーする面積の障子面がありません。一方、スーパーの袋で薄明後の空でフラットフレームを撮影してうまくいっている方もいるとのことなので、今回はスーパーの袋を二重にして輪ゴムでTSA-120に取り付け、太陽光が入っている部屋の日陰部分の白い壁を映すことにしました。

masterFlat-BINNING_1-FILTER_NoFilter

できたフラット画像は見た目はそれほど悪くありませんが、左の方に少し段差のようなものがあります。ビニール袋の取り付け方か、壁の光の当たり具合かと思って色々試しましたが、特に変化がないのでこれがTSA-120の特性かと思うことにしました。かなり炙り出しているので、それで目立っただけなのかもしれません。それよりも変化が大きかったのが、太陽に少しでも雲がかかった時で、光の光量が大きく変わることです。炙り出して見ているとすごい変化に見えるので、雲が完全に無い時を狙いました。でもこれはスタックするので、実際に光量が多少変化してもほとんど影響がないと思います。

フラット補正をした結果を見る限りは、特に問題なさそうなのでしばらくはこれでいくと思います。


画像処理

処理はいつも通りPIのWeightedBatchProcessing (WBP)で。出来上がりのライトフレームは、露光時間の違いにより300秒と180秒の2種類できるのですが、よく見ると300秒の方が細部が出ていてノイジー、180秒の方が細部がなまっているけど滑らかと、ちょっと予測と逆の結果となりました。後半のほうが風の影響が大きかったか、もしくはピント確認した時に合わせ直しが甘かったのが原因かと思います。

最初300秒のと180秒のをPIのImageIntegrationで合わせたもの(3枚以下だと処理してくれないので、それぞれコピーして計4枚をスタック)を処理したのですが、改めて4時間分合わせたものと300秒単体の2時間分を比べてみると、合わせたものの細部がどうしても鈍ってしまっています。泣く泣く2時間分を切り捨て、前半の300秒露光の2時間分だけで処理することにしました。
  • なかなか納得がいかず、何度もやり直して十日くらい過ぎてしまいました。いろいろ問題点はあります。露光時間が光害地にもかかわらず2時間と短いので、根本的にノイジー。
  • 明るい恒星の中心部がサチっているのに後から気付き、残ってしまっています。短時間露光を取り直してHDR合成しようかとも思いましたが、露光時間不足が決定的でそこまでやる価値はないと思い、今回は諦めました。
  • もう少し細部が出そうな気もしますが、ノイズを考えるとここら辺が限界かもしれません。

結果です。

masterLight_180_integration_DBE_AS_hakiOK_all4
  • 撮影日: 2020年11月12日21時1分-13日22時55分
  • 撮影場所: 富山市自宅
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35マルチフラットナー(x0.98)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: ZWO ASI294MC Pro (-15℃) 
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: N.I.N.A、Gain 120、露光時間: 300秒 x 21枚 = 1時間45分
  • 画像処理: bias 100枚、dark 100枚、flat(12.5ms) 100枚、flatdark 100枚を使いPixInsightでスタック、Photoshop CC, DeNoiseで仕上げ

まとめ

風の影響が大きく、星像が肥大したことがそもそもの問題でした。

口径が大きくなるとより明るく撮影できます。その一方、明るくて恒星がサチってしまう恐れがあります。中心をサチらせても淡いところを出すのか、サチるのは絶対に避けるべきなのか、HDRを前提に短時間露光も別撮りするのか、ここら辺はこれから検討すべき課題です。

星像肥大でピンぼけを疑って、その後のピントが合わせきれなくて、2時間分の画像を無駄にしてしまいました。そのため露光時間不足から、画像処理も少し諦めた感があります。M31アンドロメダ銀河は自宅撮影でも処理に余裕がありました。露光時間が4時間半と長かったこともありますが、やはり根本的に明るい銀河だったからだと思います。M31で気を良くして撮影したM33ですが、M31に比べたらやはりM33は淡いです。と言っても銀河の中では大型な部類なのは言うまでもありません。自宅撮影ではやはりここら辺が限界なのでしょうか?露光時間をもっと長くしてリベンジしたい気もまだあります。

あ、それでも前回、3年近く前のM33が縮緬ノイズで救いようがなかったので、自己ベストは更新です。

あと2つ画像処理が残ってます。太陽とかすぐに記事に書けるものと、どんどん先送りになっているネタの差が激しいです。残ってる画像処理の一つは夏の天の川。もうとっくに季節が過ぎ去ってしまいました。あせらずに頑張って、そのうちやります。


みなさんこんにちは、ほしぞloveログのSamです。最近「ほしぞloveさん」とか呼ばれたりしますが、ハンドルネームは「Sam」です。「ほしぞloveログ」と書いて星空ブログ(ほしぞらぶろぐ)と読みます。

前回
前々々回の記事で、先週金曜日にペルセウス座流星群と天の川の撮影をしてたと書きましたが、本当は今回書く記事が一番試したいことでした。少し時間がかかってしまいましたが、やっと画像処理も終わったのでまとめておきます。

QBPのこれまでのまとめ

これまで好んで使っていた、サイトロンのQBP(Quad Band Pass)はHα、SII、Hβ、OIIIの4つ(Quad)の基線を通すためこの名前がついています。このフィルターかなり便利で、自宅のような光害地でも、多少の月明かりがあっても、星雲を相当炙り出すことができます。

QBPの作例については以下をご覧ください。

















さらになんと、私がTwitterで電視観望でも使いたいと呟いたリクエストで、QBPのアメリカンサイズまで作ってくれ、もうサイトロンさんには感謝しても仕切れないくらいです。



私にとって、QBPは撮影にも電視観望にも、すでに無くてはならないフィルターになっています。


QBPの不満

このQBP、ものすごく便利なのですが、実は2つ不満があります。
  1. 一つは、最初の方の作例を見てもらうとわかるのですが、普通に赤を出そうとするとどうしても朱色がかった赤になってしまうのです。他の方の作例を見ても同様の傾向が多いので、これはQBPの特徴の一つなのかと思います。でもこれは何度か画像処理をしていて、青を少し強調してやると赤の色バランスがよくなることに気づきました。QBPの特性として、どうも相対的に青色が弱く写ってしまうようです。最後の方のバラ星雲なんかは適度に補正してあるので、初期の頃とだいぶ色合いが違うのがわかるかと思います。
  2. もう一つは記事の中で時々書いているのですが、恒星の色、特にオレンジとか緑とかが出ないのです。これは結局解決に至らず、適当に色が抜けたような状態でごまかしています。なので、どうしても色を出したい場合はQBPをあえて使わない時もありました。
そもそもQBPは青が強いM45プレアデス星団や、恒星の色に近い銀河はあまりきちんとした色が出ないようで、今のところ主にHαを出したい時にQBPをよく使っています。

そうは言っても、QBPはこの手のフィルターにしては比較的波長帯の制限をゆるくしてあるために、色バランスが崩れにくいというのが大方の評判で、私もその意見に賛成です。ただ、上記のような不満もあるのも事実なので、これをなんとか改善できないかとずっと思っていました。


CBPの検証開始

今回やったことはサイトロンから少し前に発売されたCBP(Comet Band Pass)フィルターの検証です。

 

一方、今回使ってみたCBPは彗星用に開発されたフィルターということもあり、青や緑の波長帯を通すとのことで、QBPの弱点であった、赤以外の色が意外にバランスよくでるのではという期待があります。ただ、星雲用に開発されたわけではないので、これは自分で試してみないとよくわからないでしょう。

というわけで、毎度のこと前置きが長かったですが、やっと検証の開始です。

今回のターゲット天体は青色を適度に含むM20、三裂星雲です。機材はTSA-120に35フラットナーをつけ、ASI294MC Proで撮影をします。もう8月後半なので、M20は宵のうちから高い位置にあり、しかもこの日はちょうど下弦の月のころなので、M20が沈むくらいまでは月は出てきません。さらに前回の記事でも書いたとおり、この場所は天の川が結構はっきり見える(2つに分かれているのは十分に分かります)場所なので、光害の影響があまりないところです。条件としてはいいのですが、光害のカットという意味での検証にはならないということは注意が必要です。

今回はM20を
  1. フィルター無し
  2. 48mmのCBPを取り付ける
  3. 48mmのQBPを取り付ける
という3つのケースで撮影して比較したいと思います。時間的にはこの順番で、それぞれ上から17枚、9枚、6枚撮影しました。枚数が違うのは、だんだん時間が無くなってきて焦ってきたからです。同じ日で撮った方が公平になると思ったので時間が限られてしまいました。ここら辺はご容赦ください。

高度から考えると、時間と共に位置が下がってくるので、1のフィルター無しが一番有利で、順にCBP、QBPとなるはずで、QBPの7枚目以降はまだそこそこ高度はあったのですが、背の高い木が少し入ってしまったので、そういったうまく撮れていないのは省いた枚数になります。


結果の比較

今回非常に面白い結果が得られたので、早速撮影された画像を見て見てみましょう。画像はどの場合も、1枚のRAWファイル(fits形式)をPixInsightでDebayerして、STFでオートストレッチをかけただけです。画角が同じなので、オートストレッチが公平に働いて、画像の質によって星雲などのコントラストがそのまま表されてきます。

1. フィルター無し

まずはフィルター無しのノーマルです。
masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
フィルターなしの場合。

特に色をあぶり出したりしているわけではないので、のっぺりした色合いになっています。それでも暗いところなのでM20の赤と青はそこそこ出ています。


2. QBP

先にQBPを見せます。
masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
QBPフィルターを適用。

QBPの実力通り、フィルター無しに比べて赤が相当強調されています。実際に画像をスタックして画像処理までして比較してもみたのですが、一枚でこれだけ差が出ていると、スタックしても結果に大きな違いが出ます。フィルターなしの方が枚数が多いので当然ノイズは少ないですが、淡いところの赤を出そうと思っても最初から色が出ていないものは後から処理してもなかなか出てきません。枚数が少ないQBPの方が遥かに簡単に色が出ます。


3. CBP

ではお待ちかね、最後はCBPです。

masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
CBPフィルターを適用。

明らかに青がノーマルの時よりはもちろん、QBPの時よりも強調されています。赤はフィルターなしの場合より濃くなっていますが、QBPよりは若干薄いでしょうか。


分かりやすいように並べてみます。

com1

左から、フィルターなし、QBP、CBPの順です。CBPで青が明らかによく出ているのがわかるかと思います。赤い三裂(4裂?)の周り、特に上部や下部の青なんかは違いが顕著です。

赤はやはりQBPが一番出ていますが、ノーマルと比べるとすでに朱色がかっているのがわかるかと思います。CBPは赤に関してはある意味ノーマルとQBPの中間で、まだそこまで朱色がかっていないです。

これは期待通りというか、期待以上の結果です。


光害に対する効果

QBPよりもCBPの方が波長の透過域が増えるので、光害に対しての効果は減ると推測されます。今回は光害の影響があまりない場所での撮影だったので効果が分かりにくいため、あくまで暫定的ですが少しだけ評価してみます。

PixInsightのSTFのオートストレッチは、画像の持っている明るさによってストレッチ(あぶり出し)のパラメータを決めます。撮影したRAWファイルを何倍くらい明るくするかは、(同じ画角で撮った場合)光害に依るという意味です。光外の少ない暗い画像ほど大きな倍率をとって明るくするはずですし、光害が多く明るく写った画像ほど倍率は小さくなるはずです。出来上がった画像の(背景の)明るさはあまり変わらなくなります。

そのため、撮影した画像の背景の明るさと天体(淡い星雲)の明るさに差があるほど、背景を同じ明るさにした場合には天体がよりコントラスト良く浮き上がってくるはずです。この時のオートストレッチの倍率を比較することで、光害がどれだけ軽減されるか、言い換えると光害防止フィルターがどれくらい働いているか推測することができるはずです。

オートストレッチの値から、フィルターなしを1としたときにQBP、CBPでそれぞれ何倍明るくしたかを表にしました。色によって倍率が違うのでRed、Green、Blueで別々に計算しています。具体的にはSTFのスパナマークを押すと表が出ます。最初なかなか意味がわからなかったのですが、いろいろ試して、結局真ん中の列の逆数が元の画像から何倍ストレッチしたかに相当することがわかりました。結果は以下のようになります。

 RGB
No filer111
QBP3.983566944.486127173.40584795
CBP3.537339063.440159572.7432878

さて、結果をじっくりみていきましょう。


QBP:


この結果を見ると、まずQBPはフィルターなしに比べて4倍くらい明るくできるので、言い換えると余分な光を4分の1くらいにしているということがわかります。以前、波長帯の広がりからざっくり4倍くらい得すると推測していましたが、実測もかなりこの推測に従っているようです。




CBP:

次にCBPです。まず第一に、結果の数値だけを見るとそこまでQBPとは大きく違わないというのが印象です。CBPの方がかなり(下手したら何倍も)明るく出るのではと思っていたのですが、平均だと1.2倍程度です。

R関しては除去比は少しQBP劣りますが、ほとんど違いがありません。GとBに関してはCBPの方が光害を除去しないことになります。と言っても高々1.3倍とか1.2倍です。これはCBPが彗星の核や尾のCN, C2, C3らの基線を透過させるように、主に紫外から青を新たに通すように設計してあるため、この波長での光害に対する除去効果は軽減されるので納得です。ただ、青よりも緑の方が違いが大きいというのが少し疑問ですが、Gセンサーも青の帯域に感度はあるので、これはあり得るのかもしれません。

ここでパッと疑問に思ったのは、青に対する明るさの倍率が低いCBPがなぜQBPよりもより青色を出すか?です。これは当然、これまでカットしてしまっていた青い光をより通すようになったからと考えることができます。倍率が低くても、捨てていた青い光を拾った方が得だったということです。


結論

というわけで、ここでの結論は「CBPはQBPよりも光害に対する効果は多少低いが、違いは全然大きくはなく、むしろ青を通すことでより強調する効果がある。これは青い成分を持つ星雲に有効である。」と言っていいのかと思います。もちろんこの値は光源に依ります。繰り返しになりますが、今回は光外の影響があまりないところで試したので、街明かりの場合や月明かりの場合は結果が違ってくる可能性もあるかと思います。

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さらなるCBPの効果

でもでも、実は面白いのはここからだったのです。この検証の過程で3つの画面を見比べていて、一つ気付いたことがあります。もしかしたら勘のいい人はもう気付いているかもしれません。

上で出した3つの比較画像のそれぞれの左上の明るい星に注目してください。その左横に2つの星があると思います。これを3つで見比べてみてください。わかりやすいように拡大して並べて比較します。左からフィルターなし、QBP、CBPです。

com2


わかりますでしょうか?

なんと、CBPの星像が一番小さくて、しかも色がきちんと出ているのです。ピントの違いの可能性もありますが、他の星の大きさが大きくは変わっていないので、おそらくピントは関係なく、フィルターの違いから来ていると思われます。これは最初の方で書いた2つ目の不満「恒星の色が出ない」を解決する可能性があります。特にオレンジに近い色が出なかったので、期待できます。


なぜこんなことが起きるかというと、ここからはまだ推測なのではっきりとは言えませんが、QBPは実は赤外を通すのではという推測があります。シベットさんがここらへんの話に詳しくて



に記述があります。また、あぷらなーとさんの最近の実験でもその推測を推す結果となったようです。

QBPは赤外を素通しで、赤外の方では収差を補正しきれていない鏡筒ではハロとなって出るが、それに比べて、CBPはきちんと赤外の波長が透過しないように処理もしてあるのではという推測です。このハロを除去したい場合、QBPでは別途フィルターを入れる必要があるが、CBPでは1枚で済んで、恒星の色の再現性も高いということが考えられます。

これまでQBPで恒星の色が出なかったという方は試してみてもいいかもしれません。


まとめ

というわけで長かったですが、CBPの検証はこれで終わりです。赤はもちろん青も出て、色バランスも良く、恒星の色もきちんと出て、光害にも効果がありそうというので、私的にはある意味理想的なフィルターになりそうです。CBPはQBPであった不満をほとんど解決してくれそうです。かなり期待できそうなので、今後CBPの作例を増やしてもう少し検証していきたいと思います。


次の記事で今回撮影した三裂星雲を画像処理して仕上げています。



 

球状星団を撮影するのは初めてになります。今回、ヘルクレス座の球状星団M13をTSA120を使って撮影してみました。全天で最も美しい球状星団と言われています。


初の球状星団撮影

連休初日に入るこの日の夜、天気は悪くなく、夜中から天の川を撮影しようと思っていたのですが、それまでの繋ぎでM13を撮影してみることにしました。よく考えたら、球状星団をまともに撮影するのは初めてのことです。もちろん、眼視や電視観望などでの簡易撮影などはあります。それでも時間をかけてまじめに撮影するのは初めて、いろいろわからないことがありそうです。
  • そもそも、撮影時間はどれくらいがいいのか?星雲ほど長くなくていいのか、それともやはり長ければ長いほどいいのか。
  • 1枚あたりの露光時間はこれまで通り5分でいいのか?
  • QBPはあってもいいのか?無いほうがいいのか?

天の川が出てくるまで1時間ほどあります。最初なのでとりあえずこれまでの星雲撮影のセッテングをベースとして、撮影時間を1時間としてみました。

撮影は順調。PHD2とAPTで、ガイドも含めて特に問題はなかったです。ちょうど同じ時間帯に、あぷらなーとさんもM13を狙っていたみたいです。


画像処理と結果

球状星団の画像処理も初めてのことで、まだ全然慣れていません。疑問だらけで、また太陽映像に取り掛かっていたこともあり、時間がかかってしまいました。

星雲の場合と違って、いじればいじるほど処理の跡が目立つような感触です。なかなかごまかしが効かない、素材の出来具合がそのまま処理後の出来に直結するような気がしました。とりあえず処理した結果です。



「ヘルクレス座球状星団M13」
light_BINNING_1_integration_ABE_PCC_STR2_cut
  • 撮影日: 2020年4月29日0時24分-1時23分
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー + サイトロン QBP (48mm)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: ATP、ゲイン220、温度0℃、露光時間300秒x11枚 = 55分 
  • PixInsight、Photoshop CCで画像処理
中心部です。

light_BINNING_1_integration_ABE_PCC_STR2_center

今調べたら簡易撮影では、星を始めて一番最初に撮影したメシエ天体がM13 M3(2020/5/16訂正:玄さんのコメントのおかげで4年を経てM3と気付くことができました。玄さん、どうもありがとうございました。)でした。星を始めて、一眼レフカメラを手に入れてすぐのM13 M3がこれ。1枚撮り、中心からずれてる、星がぶれてる、画像処理も何もしてない。さすがにこれを見ると、4年間で進歩したと思えます。でも望遠鏡とカメラでメシエ天体が写っただけでも、ものすごく嬉しかったこと覚えています。

IMG_0326



反省点色々

最初は、初めてにしてはそこそこ中心部まで見えたのかなと思っていました。でもやはりまだまだですね。以下、反省点です。
  • 一つ一つの星像が大きい。もっと分離してもいいはず。
  • 星雲みたいに背景を出す話ではないので、構成を分離するStarNet++が意味をなさないはずです。今回は試すこともしませんでしたが、背景のノイズを減らすのには役に立つかも知れません。今後の課題とします。
  • 背景のノイズを無くそうと、DeNoiseやDfine2も試しましたが、見事に恒星の不自然さを強調します。今回は試しただけで、結局使いませんでした。
  • 炙り出していくと、背景ノイズがまだ多いです。今回はトータルで1時間弱の撮影だったので、もう少し総露光時間を増やしていいかもしれません。
  • すでに炙り出しすぎの感もあります。中心部から少しずれたところなんかは、微光星なのかノイズなのか見分けがつかなくなってきます。
  • 明るい恒星の裾部分の階調が少し不足しています。微光星を出そうとするとこうなってしまいます。もう少し中心部の微光星を抑えても良かったかも知れません。
  • 同様に、左上に写っている銀河も階調不足の感があります。
  • 中心部の画像を見ると、色が白、オレンジ、青緑と3系統にはっきり分かれています。現実は多分そんなことはないので、何かおかしな画像処理過程が入っているようです。それともQBPのせいでしょうか?
  • やはりまだ決定的に分解能不足です。というか、星が肥大化しています。これは画像処理以前の撮影時の問題です。
画像処理以前のこととして、決定的だと思ったのは、一枚の撮影時間の5分が長すぎたではないかということです。長時間露光はどうしてもブレが積分されるので星像がボケてしまいます。もちろんシンチレーションとか風の揺れによるのですが、1枚は1分程度に抑えて、枚数を増やした方がいいのかも知れません。

揺れに関して少し考えてみます。撮像の揺れ時間スケールで見ると
  • 秒以下の揺れ: シンチレーション、地面の揺れ、風による機材の振動
  • 1秒程度の揺れ: 風
  • 10秒周期以上の揺れ: 赤道儀のピリオディックモーション、機材のたわみ
などがあります。
  • この中で改善できるのは10秒以上の揺れのみ。オートガイドです。それでも1時間オーダーではたわみが問題になってきます。
  • 1秒から10秒程度の揺れはオートガイドで多少は抑えることができますが、速い揺れほどその効果は小さくなります。
  • 秒以下は今のところ打つ手なし。AOを使うことで、シンチレーションみたいな画面の中で揺れるもの以外は改善できます。でもAO高いです。自分で作ることを考えた方がいいかも知れません。
このように考えるとすぐにわかるように、一枚あたりの露光時間を1分程度に短くしても大した効果はありません。ただ、揺れの大きさで考えると、突風などの突発的事象で星像が肥大することはあり得るので、露光時間を短くしてそれらの揺れの大きいものを省くことはできます。ラッキーイメージの考え方ですかね。

さらに、カラーCMOSカメラで撮影していることも分解能を低下させている原因の一つです。モノクロの冷却CMOSカメラでそこそこのセンサー面積のものをそろそろ本気で考えた方がいいのかも知れません。

少なくとも今回の結果は、TSA-120のが持っている光学的な分解能には全く達していないと思います。


おまけとまとめ

最後にいつものアノテーションです。少しだけ斜めになってました。念のため再度ImageSolverで計算したら回転のズレ結果は0.41度でした。上が北で、経線が縮まっていくので上の方が間が小さくなっていまるので、より斜めに見えてしまっているようです。

light_BINNING_1_integration_ABE_PCC_STR2_Annotated

本当はこの撮影の後に天の川が登ってくる時間になり、中心部の干潟とか三裂星雲を狙おうとしていたのですが、外に出たら曇り。この日は撤収しました。

画像処理まで進めて、まだまだ改善の余地がたくさんあることがわかりました。球状星団は撮影時の条件がそのまま出てごまかしが来なさそうです。今回の撮影の後、もう少し試したくて、別の日にVISACで長時間撮影してみました。 これはまた次の記事で書きます。


 

M101に引き続き、TSA-120での単体銀河撮影の第2段、M51子持ち銀河です。


ピクセルサイズの小さいASI178MCで分解能を稼ぐ

M101よりだいぶん小さいので、ASI294MCで撮影すると

Stack_21_17_47_16bits_15frames_192s
のように、かなり小さく写ってしまいます。

しかもピクセルサイズが4.6umと大きめなASI294MCでは、解像度が足りなくてTSA-120の分解能は生かせきれないことが月とPowerMATEを使った検証でわかりました。

そのため、分解能を稼ぎたくてASI178MCで撮影してみたというのが今回の主題です。

でも実は今回の撮影は、上の分解能検証よりも先に済ませてしまっています。ASI178MCで撮影したものの妥当性を知りたくて上の検証をしたというのが実際です。結局、4倍バローを持って分解能は良くなったとしても、明るさが16分の1になるので厳しいというのが結論です。なので、口径を大きくして明るくして、焦点距離を上げてカメラの分解能を活かす方向で、系外銀河に関してはVISACを用いることになっていくのかと思います。

まあ、気を取り直してTSA-120とASI178MCで撮影したM51を処理してみたいと思います。


撮影状況

撮影は先週土曜日のことなので、1週間近く経ってしまってます。もう結構忘れてしまっていますが、透明度は良くなく、北極星がかろうじて見えるくらいでした。しかも風がかなり強かったです。最近もそうですが、春なのでしょうか、なかなか透明度がよくなりませんし、風が強い日が多いです。晴れているのに北極星が見えない日も多いです。

撮って出し(300秒1枚露光をDebayerしてAutoStretch)だとこんな程度です。おそらく風のせいでしょう、星像が肥大してしまっています。

L_2020_04_25_21_04_01_Bin1x1_300s__21C_RGB_VNG

まあ、それでも一応写ってはいますね。あと炙り出すと178はアンプグローがかなりひどいです。しかも右上、右下、左下と3方向。ホットピクセルもひどいです。

結局今回は300秒露光を22枚で、トータル1時間50分の撮影。その後ダークを同条件で30枚撮影しました。


画像処理

画像処理は結構手抜きです。手抜きと言う意味は、
  1. 中心部のみを使っているのでフラット補正はそもそもあまり必要ないことと、長時間露光フラットはむしろ補正しない方が縞ノイズ回避できることがわかっていること、短時間フラット補正もイマイチまだ正しいかどうかわからないので、いずれにせよフラット補正はなし。
  2. また、UTOさんのコメントにより、Optimizeオプションのないダーク補正は、バイアス情報を含んで補正しているので、バイアスファイルも撮影せず。
と言う意味です。アンプグローが激しいので、ダーク補正だけはしっかりやります。

処理はいつものようにPixInsightでBatchPreProcessingですが、問題点が一点。星の数が少ないせいか位置合わせがうまくいかなくて、マニュアルでStarAlignmentをやり直しました。その際、「Star Detection」の「Noise Scales」を2に上げたらうまく行きました。ノイズスタック直後のオートストレッチ画像です。

integration

アンプグローがほぼ無くなっているところに注目です。バイアスノイズっぽいのも出ていません。カラーバランスですが、赤が小さく出てしまっているようです。ASI294MC Proの時とは逆のセンスです。

ここまできたら次はStarNet++。でも今回あまりうまくいきませんでした。明るい星は分離できるのですが、暗い星がうまく分離できません。おそらく風のせいで星像が甘いため分離できないのだと思います。これってStarNet++の弱点なんですかね。以前、M57やM1で試した時は全く分離できないこともありました。長焦点で星像が甘くなるとうまくいかなくなるのが一つの特徴かもしれません。

仕方ないので、一部分離できた状態でPhotoshopに渡します。ここからは適当に炙り出して、Dfine2とDeNoiseで適当にノイズをごまかして、ブレた端をトリミングして出来上がりです。

integration_PCC_AS_HT_SNP3_cut
  • 撮影日: 2020年4月25日20時48分-4月17日22時53分
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI178MC
  • 撮影条件: ゲイン220、温度20℃、露光時間300秒x22枚 = 1時間50分 
  • フィルター: サイトロン QBP (48mm)
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CC、DeNoise AIで画像処理

まとめ

最後まで仕上げましたが、恒星はぼやっとしてるし、星雲は細部が出ない出ない。口径、ピクセルサイズ、透明度などもまだ問題がありますが、今回の一番の原因は風でしょう。これはリベンジ案件です。いつか取り直します。まだ未処理物がいくつか残ってます。連休中にのんびりやります。


2020/5/17追記: VISACで撮影し直しました。





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