ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:QBP

先日試した、31.7mmQBPを使った電視観望システムですが、ある程度の完成をしたので、お披露目の記事になります。

ことの始まりはTwitterでのリクエストに答えてくれたサイトロンさんが送ってきてくれた、CMOSカメラに直接取り付けることができる31.7mm径のQuad Band Passフィルターです。ASI294MC Proに、付属のリングと共に取り付け、カメラレンズアダプターを併用すると、その先に一眼レフカメラのレンズを取り付けることができるようになります。



実際に焦点距離50mm、F1.4という非常に明るい昔のNIKKORレンズを取り付けて見てみました。結果は驚くべきことに、赤い星雲を直接探しながら空を見ることができるというもの。ただし、ハロが酷く、特に明るい構成のハロはネコの目のように目立ったしまいました。それを解決したのが前回、



レンズをF1.4という開放で使っていたのが原因でした。F2まで一段階絞ることで、猫目ハロは完全解決。でも天気が続かず、赤ハロの検証をするに至りませんでした。


まずはオリオン

天気のいい休日の夜、月が出るまでに1時間くらいあったので広域電視観望の続きを試してみました。前回と同じようにレンズを一段絞ってF2で始めます。少し暗いので、ゲインを一段階上げておきます。これで最大(550)まであと一段だけ(500)です。

まず手始めにオリオン座。自宅は東と天頂はそこそこ暗いのですが、北は全滅、西も道路と住宅の明かりでダメです。前々回の最初に試した時は、時間が遅くてオリオン座は明るい西の空で沈む寸前。前回は曇りでこれもだめだったので、実質初めての暗い空です。場所もまだまだ南天近くにいるので、かなりきれいに見ることができます。
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暗いと言っても住宅地なので、やはり光害地なのには変わりありません。もちろんQBPが入っているのでこれだけコントラストよく見えるわけです。

写真は1.6秒露光の72スタックで、115秒と2分切るくらいですが、これは写真を撮るのにもたもたしていたからで、もっと少ないスタック枚数でクオリティーは十分になります。10スタックもすれば相当見えるくらいになってきます。

もうバーナードループも余裕です。わずかこんな時間で、こんなに綺麗に見えるとは。レンズは一段絞ってF2にしてあるので、前回より少し画面が暗いですが、炙り出せば良いだけの話でそれはほとんど問題にならないです。ノイズが大きくても、少し待てば十分減ってくれます。


赤ハロ青ハロはレンズのせいだった

それよりも周辺で星がそこそこ歪みます。これは古いレンズなので仕方ないでしょう。さらに、真ん中が青ハロ、周辺が赤ハロとなっています。これは間違ってもQBPのせいではなくて、レンズ側の問題だとやっと確証が取れました。最後の方でもっとわかりやすい写真を見せますが、ピント位置によって赤ハロと青ハロの出方が相当変わります。今回、絞りを一段階暗くしてF2にしたことによって、このような細かいところがやっとわかるようになってきました。開放のF1.4の時のひどいハロでは、やはりここまで調整もできなかったと思います。


なんとエンゼルフィッシュ星雲も!

ついでにオリオン座のすぐ上のエンゼルフィッシュです。導入は自動導入なんてたいそうなものは必要ありません。画面を見ながら、三脚についている自由雲台を緩めて「エイ、ヤっ」とエンゼルフィッシュを「見ながら」導入します。
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これも1.6秒を72枚スタックですが、スタックなしの1.6秒一枚リアルタイムでもうっすら見えています。


拡大に耐えられるか?

続いてM42の拡大と、馬頭星雲の、SharpCap上での拡大です。
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流石に画面上で250とか300とかに拡大(全体を見る時が40なので、6倍とか8倍に相当)しているので、星像が肥大化して見えてしまっていることと、ハロも目立ってしまっています。観望会などで見せるには少し厳しいかもしれません。


冬の星雲巡り

今回は早い時間だったので、オリオン座が南中くらい。なので、その西の早い時間帯の星座にある星雲星団も確認できました。最初にプレアデス星団が見えました。その上にカリフォルニア星雲があるはずですが、レンズの向きが厳しいです。そんな時は面倒なのでエイやっと三脚ごと向きを変えます。こんな気軽な星雲観測は広域での電視観望ならではじゃないでしょうか。実際に見えたプレアデス星団とカリフォルニア星雲です。同じ画角に入りました。
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スタックなしの1.6秒ワンショットだと下の写真くらいです。それでも十分見えます。
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カリフォルニア星雲の拡大です。
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これくらいの拡大率なら、それほど星も肥大せずそこそこ見えます。

西の空にアンドロメダ銀河が沈む頃でしたが、流石に明るすぎました。でもそれを差っ引いてもやはりQBPは銀河は苦手な気がしています。こんな時に気軽にQBPを外すことができるようにアメリカンサイズをリクエストしたのですが、ごめんなさい、この時は外して確認することを忘れてました。
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前回も見たバラ星雲とカモメ星雲です。バラ星雲は少し拡大しています。
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カモメさんを拡大したらこんなもんです。
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モンキー星雲とクラゲ星雲です。
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同じ画角ですが、ピントが少しずれて赤ハロが盛大に出てしまった場合です。反対側にずれると青ハロが少し出ます。
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最後です。これを最初に見た時、何か一瞬わからなかったです。撮影したこともあるのに...。
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でもこれで答えを見ました。ああ、勾玉星雲だった...。



星雲の形をデフォルトで表示してくれるのですごくわかりやすいです。広域電視観望の地図がわりにぴったりです。長押しで他の波長も表示してくれます。


まとめ

いやー、楽しい。わずか小一時間で、冬の星雲を一網打尽できました。観望会でも大活躍しそうです。とにかく空を見ながら星雲を探す。これは本当に楽しいです。

一応、31.7mmのQBPと50mmの明るいレンズを使っての広域電視観望は実用レベルで使えることが分かりました。システムとして完成と言っていいでしょう。

もちろん光害の具合によっては見える度合いも違うでしょうし、まだまだ改良する点もあるでしょう。それでも、前回そうでしたが、月が出ていた時でもバーナードループくらいは見えているので、明るいところでもかなり楽しめるのではないかと思います。

やはりレンズの明るさは正義です。まだハロが少し残っているのと、拡大時の肥大が少し気になるので、もう少し良いレンズを探しても良いかもしれません。例えばシグマの50mm F1.4 DG HSMなんかものすごく良いのでしょう。でもさすがに、電視観望のためだけにこれだけの値段をかけていいものなのか。

最後に、今回何より重要だったのがQBPでした。以前の48mmのQBPも撮影では十分すぎるほど活躍してくれていたのですが、今回のカメラレンズと合わせるというのは31.7mmのQBPになって初めて実現したものです。QBPがなかったら、ここまでやろうとさえ思っていなかったでしょう。BLACK PANDAさん、私のちょっとつぶやいただけの希望を聞いていただいて本当にありがとうございました。

このシステム、賑やかな夏の空でも早く試してみたいです。

シベットさんが最近フィルターを使った電視観望を盛んに試されています。私のところにも31.7mmのアメリカンサイズのQBPフィルターが届いたので、ずっと試したかったテストをしてみます。


アメリカンサイズのQBPができた!

そもそもは昨年9月にQBPを使って電視観望をするとどれくらい見えるようになるかというテストをしたことに始まります。



この時の結論はHαで見えている赤い星雲はQBPによって相当見やすくなる一方、プレアデス星団などの青い星雲や白色光に近い系外銀河はむしろQBPによって電視観望では見えにくくなってしまうというものでした。なので、見る対象によってQBPをつけたり外したりするといいのですが、48mm版のQBPはFS-60CBの鏡筒とフラットナーの間に入れてあって、なかなか取り外しにくいのです。

そんな折、ちょうどBLACK PANDAさんからTwitter上でQBPの新バージョンができるというアナウンスがありました。なんでも基材を合成石英にアップグレードするということです。これまでの基材が何かはわからない(2020/2/3追記: B270だそうです。)のですが、合成石英は研究レベルでもよく使われ、熱膨張が少なく、紫外、赤外共に透過率が高かったりします。

上のブログの更新時のTwitterでのアナウンスでBLACK PANDAさんがコメントをくれ、「QBP入れ替えができるように、CMOSカメラに直接つけることができる31.7mmサイズがあればいいなあ」とか返事をしたら、なんと本当に反応してくれました。新バージョンを作る際に、31.7mmバージョンも作ってくれるというのです!これは期待大です。

合成石英を使用した新バージョンのQBP自身は11月半ばにできたと記憶しています。その時のものは元と同じ48mmサイズでした。その後、つい先日の1月29日、とうとう新バージョンの52mm版と、まさかまさかの31.7mm版が本当に発売されたのです!約束を守っていただいて本当に嬉しいです。BLACK PANDAさんどうもありがとうございました。

しかも値段を見ると、アメリカンサイズはこれまでの約半額、税抜きだとなんと1万円切りです。これならユーザーとしては気軽に試すことができるので、大変嬉しい価格設定です。

さらにここから話は急展開します。なんと製品を送るのでテストで使って欲しいとのこと。願いまで聞いていただいて、しかもサンプルも送っていただけるとは!

というわけで、送っていただいた新型のアメリカンサイズのQBP、やっと昨晩テストを敢行することができました。


31.7mmのQBPが生きるところ

フィルターサイズが小さくなって一番良かったのは、CMOSカメラに直接取り付けたり、フィルターホイールに入れたりできるところでしょうか。センサーサイズ的にはフォーサーズまでは使うことができるはずです。電視観望でよく使うASI294MCならば大丈夫でしょう。

もともとはASIカメラについている前に出ているアダプター

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に取り付けることを考えていましたが、年末の名古屋年越し観望会の智さんのレデューサートラブルの検討のときのコメントで「ASI294MC Proについていた薄いアダプターに31.7mmフィルターを取り付けるこができる穴が開いていて、以前よりも飛び出ることなくセンサーに近いところにフィルターを取り付けることができる」ということを教えてもらいました。

実際にASI294MC ProにQBPを取り付けると下のようになります。

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これまでは鏡筒に取り付ける時のみQBPを利用することができました。これならば、一眼レフのレンズをASIカメラに取り付ける時にも、アダプターの中に十分スペースがあるので、広角レンズを使ってもQBPを試すことができます。シベットさんはすでに同様のことを各種フィルターで試しているようなので、私も今回チャレンジしてみます。

今回は上の写真のように、古いオールドNIKKORの50mm/f1.4の明るいレンズにCanonレンズのアダプターをつけて、そこにさらに、ZWOが出しているASIカメラにCanonレンズを取り付けることができるアダプターを取りつけています。そのアダプタの空間にフィルターがうまく収まっています。

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明るいレンズとQBPを組み合わせての電視観望

さて、土曜の晩晴れた際にTSA-120のファーストライトの合間を縫って、このセットアップで電視観望を試しました。ポイントは焦点距離が50mmと広角なので、赤道儀やAZ-GTiさえ使う必要がなく、ただの三脚と自由雲台に載せただけで、手で動かすだけで見たいところを見ることができます。

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このセットアップ、本当に超手軽です。ぱっと持ち出してPCとケーブル一本繋ぐだけです。

もう一つのポイントは、f1.4の相当明るいレンズを使っていることです。以前ASI294MCを最初に手に入れたときその後何度か明るい広角のレンズを使って電視観望をしています。それでも十分に見えたのですが、明るすぎるレンズは画面が飛ばないように露光時間やゲインを抑える必要があるので、星雲なども当然見えにくくなってしまいます。今回はQBPを使って光害をカットしているので、星雲のコントラストが上がり見えやすくなっています。しかも明るいレンズのために露光時間をそこまで伸ばさなくても、十分情報を得ることができ、リアルタイム性に一役買っています。


実際の見え方

実際の見え味ですが、結構衝撃的です。まずは1.6秒露光のライブスタックなしのオリオン座です。

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真ん中に三つ星が映っているのがわかると思います。すぐ下のオレンジの明るいところがM42オリオン大星雲になります。繰り返しますが、これわずかトータル時間で1.6秒だけ露光したものです。三つ星の一番左のところに馬頭星雲らしきものがうっすら出ています。それどころか、よく見るとバーナードループ まですでに出ています。

これを24枚スタックしたのが次の写真です。あ、写真は全てPCの画面をiPhoneで写しているだけなので、ほとんど実際の見え味と同じです。

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馬頭星雲も燃える木もバーナードループも普通にはっきりしています。これでもトータル40秒以下です。

さてここで、ちょっと嫌なことに気づきました。明るい星の周りにハロが出ている(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)のです。炙り出しなどせずに普通に見ているだけではこのハロは気付きません。電視観望でヒストグラムをいじって炙り出すと目立ってきます。この時点ではQBPのせいなのか、レンズが悪いのかはっきりしなかったので、ここでQBPを外してみました。

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同じ1.6秒露光、30枚スタックです。QBPがないと明るくなりすぎるのでゲインを50(5dB、半分近く)落としています。バーナードループも辛うじて見えているようですが、明らかにコントラストは悪くなっています。これはQBPの効果が大だったといえるでしょう。でもその一方、ハロは抑えられています。

シベットさんがブログの中でQBPは赤外を通すためにハロがでるのではという報告をしています。その中でアポクロマートなど赤外でも収差補正をきちんとしている鏡筒はこの問題は出ないのではという考察がされています。これまで私もFS-60CBやFS-60Q、FC-76で旧版の48mmのQBPを使ったのですが、星がサチらない限りはハロは出ることはありませんでした。

今回星がサチっている可能性が一つと、単なる相当昔のカメラレンズなので、赤外で収差があるのは十分可能性があるでしょう。ただ、ハロの様子が赤だけでなく、なんかカラフルになっているのも気になります。シベットさんによるとUV/IRカットフィルターを併用すると、星像はフィルター間の反射で少し悪くなるが、ハロは消えたという報告がなされているので、次回私も試してみようと思います。

ハロは確かにあるのですが(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)、暗い星ではそこまで気にならないのと、星雲の出かたが思いの他すごいので、とりあえず今回はQBPをつけてこのまま進めます。


ばら星雲です。1.6秒露光で31スタック。トータル50秒くらいです。

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ばら星雲の上にも少し赤い領域があります。クリスマスツリー星雲ですね。

というか、今回何かを導入するというのではなく、画面を見ながら赤いのがあるとこれはなんだ?と、「星雲を見ながら探す」という夢のような体験をしています。例えば上のバラはリアルタイムの1.6秒一枚露光ではこのように見えます。

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もう、全然見える範囲の明るさです。

一番衝撃的だったのは次の例でした。

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真ん中らへんに何か赤いのが見えます。スタックするとさすがにわかります。

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そう、電柱の上をカモメが飛んでいるわけです。もう夜中に一人で大爆笑。普通の住宅街でこんなのがほぼリアルタイムで見えるわけです。面白くないわけがありません。

その様子を動画にまとめました。


左手でiPhonedで撮影しながら、右手で三脚の自由雲台の上のCMOSカメラを操作しているので、揺れたりして見にくい点はご容赦ください。オリオン座から電柱上のカモメ星雲、次にバラ星雲を突き止めて、最後にまたオリオン座に帰ります。バラ星雲なんかポンッと出てきます。実際にホントにこのように見えるわけです。

他にもプレセペ星団、

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M46、47、48です。

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適当にレンズを向けて見えたものです。1.6秒だけの露光なのでM46、47、48は少し見にくいですが、カモメ星雲のところの左上にもM46とM47は写り込んでいます。

あいにく、系外銀河は一つも認識できませんでした。アンドロメダとか出ていれば別ですが、さすがに広角レンズでは銀河は小さすぎるのと、やはりQBPは白色の系外銀河が苦手なのかと思います。あと今回はハロがキツかったので、恒星と銀河の見分けがつきにくかったのもあるかと思います。

最後に、オリオンが沈みかけるところです。右のほうが赤カブリになっていますが、それでもよく見るとエンゼルフィッシュ、辛うじてですが写ってますよね!

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まとめ

まだハロの件など克服すべき課題も多い(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)ですが、QBPと明るい広角レンズを用いることで、

光害地で、導入いらず、
リアルタイムにかなり近い、超お手軽な星雲星団観察

が可能だというのは特筆すべきことだと思います。一番最初にHUQさんが見せてくれてα7Sでの電視観望に近いかもしれません。α7Sの凄いセンサー感度にSharpCapとQBPで頑張って迫っているという感じでしょうか。

ちなみにこの50mm/f1.4レンズ、古くても標準レンズだったこともあり、今でも中古カメラ店やヤフオクで格安で普通に手に入れることができます。私は名古屋のコメ兵で5-6千円くらいだったと思います。

レンズは安くてもやはりASI294MCがまだ高いですかね。そこはASI385MCとかに代えて節約するという手もあります。

キットの望遠レンズを使った電子観望
も以前試しましたが、



広角、QBPが違う点になります。今回のこの手法も同様に、導入のための機器もいらないのと、さらに広角レンズを使っているために導入スキルも必要ありません。なので、相当手軽かと思います。

自由に空を見て星雲を探すインパクトは相当なものなのですが、今回のブログでそれが伝わったかどうか?比較的楽なセットアップだと思いますので、これまで電視観望を試したことがない人も、よかったら試してみてください。




最近仕事の方が忙しく、全然時間が取れなくてブログ更新がかなり停滞してしまっています。年末になってやっと少し時間が取れたので、溜まっていた画像処理を進めます。

今回の記事はもう記憶の彼方で、一ヶ月前のことです。珍しく晴れていたこの週は機材調整とかいろいろやっていたのですが、撮影もしていました。でも画像処理が途中で壁にあたってから全く進まなくなり、今に至ります。撮影条件も既に忘れかけています。やっぱりすぐに書いておかないとダメですね。

この時の撮影の目的はちょっと前の自宅でのバーナードループ撮影で、思ったより魔女の横顔も出ていたので、単体で写したくなったからです。さて、どこまで出てくることやら。


機材

撮影条件はこんなところでした。
  • 富山県富山市自宅, 2019年12月1日0時27分-4時13分
  • FS-60CB + FC/FSマルチフラットナー (口径6cm、合成焦点距離370mm)+ CGEM II赤道儀
  • EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW), 露出90秒x58枚 総露出1時間27分
  • f50mm+ASI178MC +PHD2による自動ガイド
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CC + Nik collectionで画像処理

一応ガイドもしましたが、赤道儀がCGEM IIと大きめなのと、FS-60CBで350mmかつ90秒と短い焦点距離と短い露光時間だったので、もしかしたらガイドは必要なかったかもしれません。途中、南天を超えてしまい、反転するのに手間取って1時40分くらいから2時半くらいまで撮影できませんでした。


淡い、かなり淡い

とりあえずJPG撮って出しの一枚画像です。
LIGHT_6D_90s_3200_+7cc_20191201-00h55m27s497ms

はい、魔女さん全く出ていません。いくら自宅撮影といえ、こんなんでうまく出るのでしょうか?

あと、左にたくさん線が見えていますが、多分これSpaceX社のStarlinkです。他の画像も見てみると次々来ています。


画像処理開始

画像処理の時間があまり取れなさそうなのと、一枚画像からあまり見込みがないと思って、最初はバイアスだけ以前撮ったまともなやつで、ダークフファイルは温度も露光時間も違うものを使い回し、フラット補正は無しで処理しました。でも処理してみたら意外に魔女さん出てくるので、もう少しまともに処理してみようと思い、ダークを取り直し、フラットもその時の状況を再現し(回転装置を回していなかったのでなんとかなりました)新たに撮影してきちんと補正することにしました。

画像処理はいつも通りPixInsightです。フラット補正でも処理しきれないところもあったので今回もDBEに頼ります。

今回、少しだけいつもと違う処理を試してみました。nabeさんのブログで紹介されていたように、ArcsinhStretchを再び使ってみることにしました。以前は赤ハロがどうしても出てしまって使うのを諦めたのですが、nabeさんによるとサチっている恒星でハロが出るのは仕様らしいので、今回はサチっていないことを期待してやってみたら、ここは大きな違いが出ました。下はストレッチまでした段階での比較です。ArcsinhStretchを使っていない場合(上)とArcsinhStretchを使った場合(下)になります。

light_BINNING_1_integration_DBE3_cc
ArcsinhStretchを使わず、ScreenTransferFunctionと
HistogramTransformation だけで仕上げた場合。 

integration_DBE_DBE1_PCC_AS
ArcsinhStretchでストレッチした場合。

出だしの彩度に雲泥の差があります。当然下のほうがその後の処理もはるかに楽になります。このことは下にもある、StarNet++を使った時の恒星の不自然な繋ぎの解決にもつながりました。


壁にぶち当たる

その後は、最近味をしめてしまったStarNet++で背景と恒星を分離し、最後はPhotoshop CCで仕上げています。ここで2つの壁に当たりました。一つは斜めに走る縞ノイズです。撮影した画像を連続で見てみると、これはすぐに原因がわかりました。SpaceX社のStarlinkです。処理の時に弾いた画像を見せます。

light-BINNING_1_rejected

すごい人口衛星の数です。オリオン座付近なので人工衛星が入るのは仕方ないのですが、この数は流石に閉口してしまいます。今回撮影した全ての枚数に衛星の軌跡が入っていました。一本、二本ならいいのですが、3ー4本同時に固まって次々とくると流石に辛いものがあり、処理でもどうこうなるレベルを超えてきます。

もう一つは、画像全面を覆う縦に走る縞ノイズです。これは最初どこで入ったかわからなかったのですが、いろいろ見ていくとバイアスフレームに全く同じような模様が入っていました。もちろんバイアス補正はしていますし、そもそもバイアスに入っていると言っても、加算したマスターバイアスをものすごく炙り出した状態でやっと見えてくるようなノイズです。うまく補正されていないのかと思い、バイアス補正をなくして処理してみましたがかえって悪化するので、なんらかの補正処理はとりあえずされているようです。ということは、補正した後にも残ってしまった縞があぶり出しの過程で出てきてしまったのかと思われます。あ、もちろん、バイアス補正がダークフレームやフラットフレームも含めてまだうまくできていない可能性も捨て切れません。ここらへんはもう少し検証の余地がありそうです。

この縞ノイズ、これまでほとんど気にしたことがなかったのですが、そもそもなんでこんなことになったかというと、一つの原因がStarNet++で恒星と、その他星雲などをうまく切り分けられて、相当強引な炙り出しが可能になったからです。恒星以外の画像がこちらです。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_org

その他の部分には系外銀河がチラッと写っているのさえもうまくとりだしていることがわかります。これをわかりやすいようにあえて無理やり限界近くまで炙り出してみます。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_shima

この画像を見ていると、全体に縦の線がかなり気になります。ゴミ起因の黒丸は無視してください。撮影中ゴミが移動していたみたいで、全然補正し切れていません。左の方の太い少し斜めに走る線がStarLinkの影響です。全体に覆う縦線が、バイアスにも入っているノイズです。バイアスをあえて強調してみましょう。

20190316_bias_6D_ISO3200_s4000x100

Lightフレームにも同様の縦縞が入ってしまっているがわかると思います。これらの縞ノイズが、画像処理の過程で星雲とか背景の淡い部分を炙り出していくと目立ってきてしまいます。

この縞ノイズは結局センサー自身が持っているもので、昔のデジカメではこれが相当大きかったそうです。今使っているEOS 6Dなどの天体撮影に適したカメラではかなり目立たなくなったとのことなので、普通にあぶり出すレベルでは、あまり問題にならないのでしょう。私もこれまでほとんど気にしたことはありませんでした。

今回は自宅での庭撮りで、フィルターも何も無しのわずか90秒露光というかなり厳しい条件なので、最初の撮って出し画像でも分かる通りものすごく淡い像しか写っていません。StarNet++を使って強度の炙り出しをする様になると、結構この縞ノイズが気になるようになってきました。

何か解決策はないかと思っていたら、PixInsightからのメールでちょうど似た様なテーマを扱っていました。今回はこの手法は用いていませんが、結構大変そうなので余裕のあるときにきちんと検証してみたいと思います。

あと最近ずっと不満だったのが、StarNet++の弊害なのでしょうが、とにかく明るい恒星がうまく背景とつながらなかったことです。どうしても恒星がサチってしまうか、不自然につながってしまいます。でも今回怪我の功名でしょうか、StarNet++が出した恒星以外をもとに、さらにそこからマスク画像を作り、恒星の周りの光芒を強調しすぎないように、マスクを何段階かに分けて処理する手段をある程度確立することができました。

同時に、これまであまり理解できていなかったPhoshopのアルファチャンネルを利用して、複数のマスクを入れ替えながら処理する方法もやっとわかりました。

マスク処理に関してはまだ未熟な点はありますが、以前よりはだいぶんマシになったかと思います。


処理結果、ここまで長かった

さて、そんなこんなで紆余曲折して長い時間かかってしまった結果ですが、以下のようになりました。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_mask_all2a_cut


センサー面のゴミが目立っていたのは手で補正しています。また縦縞ノイズを目立たせない様に、背景を少し暗くしてあります。恒星の一部中心はまだ飛んでいますが、一番懸案だった繋ぎの部分はあまりに不自然なことはなくなりました。


今回のまとめ

いろいろ問題があってえらい時間がかかってしまいましたが、自宅での撮影で1時間半露光でこれだけ魔女さんがでるのなら、まあ満足といっていいかと思います。

実は合計5回画像処理をフルでやって、やっとここまでたどり着きました。結果は画像処理にものすごく依存することがわかりました。最初のなんて今見るとノイジーで、階調不足で、かつ光芒部分が全部サチっていてひどいもんです。

その過程で
  • ArcsinhStretchが改めて有用であることがわかった。
  • StarNet++での恒星の自然なつなぎ方の手法が確立できた。
  • Photoshopのマスクの使い方に慣れた。
  • バイアスノイズが縞ノイズとして入る可能性がある。
など、いくつかのことを学ぶことができました。少し画像処理の上達を実感することができた1ヶ月でした。

あとまだ一つこの日に撮った画像が残っています。でもすでに記事が長くなりすぎたので、次の記事で今度はあっさりと書こうと思います。

 

今週の火曜日、水曜日と新月期で、冬なのに珍しく晴れていました。外に出てもそれほど寒くないので、平日ですがQBPを使って宅撮りです。前回の撮影ではレデューサーを試したので、今回は新タイプのフラットナーのテストです。ターゲットは、これまで何度か撮ろうとしては雲が出てできて失敗しているかもめ星雲です。

機材セットアップ

今回の目的は、先日購入した新フラットナーでの撮影です。以前の旧フラットナーから星像がかなり改善されているそうなので楽しみです。
  • 鏡筒: タカハシ FS-60CB (口径60mm, 焦点距離355mm) + FC/FSマルチフラットナー1.04で焦点距離370mm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D(HKIR改造)、ISO800、露光時間5分x41枚 、計3時間25分
  • ガイド: ASI178MC + 50mm Cマウントレンズ、PHD2 + BackyardEOSでガイド+ディザー撮影
  • フィルターサイトロン Quad BP フィルター(クアッド バンドパス フィルター、 以下QBP)
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 日時: 2019年2月5日、19時22分から
  • 月齢: 0.6(新月)


撮影

撮影は準備から含めて極めて順調。唯一大変だったのが、前回の撮影で使ったレデューサーからフラットナーへの切り替えだけです。最初は短い方の中間延長アダプターを入れて、回転アダプターを鏡筒バンドから外に出して試したのですが、やはりピントがでませんでした。なので、再び中間延長アダプターを外して、カメラは回転しにくいですが、地面に鏡筒を置いた状態であらかじめカメラの水平を出して、カメラ回転アダプターを固定してから赤道儀に取り付けました。

カメラ回転が面倒な代わりに、新型フラットナーには48mm径のQBPをきちんとねじ込んで取り付けることができました。さすが新デザインで、より汎用性が高まっているようです。

いつものようにSharpCapで極軸をとり、CGEMIIのワンスターアラインメントで初期アラインメントです。実は最近ツースターアラインメントさえ使っていません。極軸がきちんと取れていれば、ワンスターアラインメントで十分です。ただし、流石にワンスターアラインメントだけの自動導入だとズレも出てくるので、Carte du CielとAstroTortillaでplate solvingしながらの構図決め。これは極めて便利で、準備始めから30分くらいで撮影を始めることができました。

何枚か撮れていることを確認して、仮眠をとりました。仮眠のつもりがぐっすり寝てしまい、夜中12時頃目を覚したら外は結構すごい風。しかも天頂越えで最後の何枚かは流れてしまっていたので、すぐに片付け。あとはダーク50枚ほどの撮影を放置しながら、また朝まで寝ていました。


画像処理

次の日フラットとバイアスを50枚づつ撮影して、そのまま全てPixInsightで処理です。枚数も4-50枚と少ないのですぐに終わります。 ストレッチは前回同様、赤とびを抑えるためにArcsinhStretchは使わずにScreenTransferFunctionとHistgram Transformationで済ませました。

今回は彩度までPixInsightで出してみました。今回はColorSaturationツールを使いましたが、Curves TransformationツールでSアイコンを選んで彩度を上げる手もあるようです。でもまだまだ手探りで機能を理解しきっているとは言い難いです。もう少し時間をかけて探ります。あとは、いつも通りPhotoshopに送って仕上げです。


出来上がり画像

出来上がった画像は以下のようになります。

light_PCC_stretched_morfing_satiration_DBE_morph_ps2a

新月期で時期的にはよかったとはいえ、それでも光害地での宅撮りでこのクオリティーなら個人的には十分満足です。3時間以上の露光とはいえ、それでもやはりQBPの威力は大きいでしょう。ただ、少しづつQBPに対する不満も出てきました。列挙しておくと
  • 恒星のオレンジが出ない。
  • 赤が、紅に近い赤で、紫がかった赤や、ピンクっぽい赤は出にくい。(ただし、燃える木のピンクはうまく出るようです。)
  • 恒星が赤飛びしやすい。
  • 青い星雲は出にくい。
といったところでしょうか。やはり透過波長域からもわかるように緑系や濃い青、また黄色やオレンジ領域もどうも苦手なようです。これはある意味当たり前で、そのために露光時間を延ばすことができるというわけなので、贅沢な悩みと言えるかもしれません。画像処理で多少誤魔化さなければならないところも出てくるので、ここら辺は腕の見せ所となのでしょう。


Plate solving


話は変わりますが、実際の導入と構図極めの際にはplate solvingとしてAstro Tortillaを使っています。でもあまり高機能でなく、解析結果もいたってシンプルであまりわかりやすくはないのですが、撮影時にBackYardEOSを使っているのである意味仕方なく使っている面もあります。一方、同じplate solvingのソフトなのですが、もう少し高機能なAll Sky Plate Solverを使うと、画像に星雲の名前などを入れてくれたりします。

seegull


右の方で名前がはみ出してしまったりしているのは愛嬌として、今回はいろんな星雲星団がある領域だったので、少し広角を狙いました。フラットナーがちょうどいい画角だったというわけです。plate solvingを使ってこんな解析も楽しいのではないかと思います。

本当はAll Sky Plate Solverが、そのままダイレクトにBackYardEOSに対応してくれたらと思うのですが、とても惜しいです。あ、一応BackYardEOSで撮影して、そのファイルを読み込ませるだけならできます。でもその足で赤道儀にフィードバックして位置を合わせ直すので、何度もそれをやるのは面倒だというだけです。Astro TorttilaとBackYardEOSなら、全自動で赤道儀の位置の合わせ直しまで繰り返しでやってくれるのでものすごく楽なのです。


新フラットナーの実力

この画像処理と並行して、昨日の記事で四隅を切り出すプログラムを作ったのですが、その結果を示しておきます。昨日の記事では画像処理後のものを出したのですが、よく考えたら撮って出しJPEGから切り取ったものの方が周辺減光の様子などもわかるのでいいのかと思います。

これが撮って出しのJPG画像で

SEEGULL_LIGHT_6D_300s_800_+9cc_20190205-21h20m00s179ms

ここから上下左右と真ん中250x250ドットを切り抜いています。

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旧フラットナーの四隅の星像がどうしても気になって、使う機会があまりなかったのですが、今回の新型のフラットナーははるかに良くなっています。スターベースで店員さんから聞いた時には、それでも色によって極わずか収差で歪むとのことでしたが、これを見る限り私的には全く気にならないレベルです。

 

 

週末土曜日、満月の日。一晩中明るい月が出ていますが、北陸の貴重な晴れの日と、週末が重なったので、こんな日は絶好の機材のテスト日和です。

せっかくなので、先日シュミットで購入した月明かりでも撮影が可能だというQuad BP フィルターを試してみたいと思います。そこそこ写るなら遠征に行けない「平日」でも、「月」が出ていても、「自宅で気楽に」撮影を楽しむことができます。


セットアップ

  • 鏡筒: タカハシ FS-60Q (口径60mm, 焦点距離600mm)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • 日時: 2018年12月22日、22時頃から
  • 月齢: 15.2、満月
  • テスト対象: サイトロン Quad BP フィルター(クアッド バンドパス フィルター、 以下QBP)
少し困ったのが、QBPをFS-60Qにどうやって取り付けるかです。フィルター径は48mm。ところが、FS-60シリーズは回転装置の出口部分内側に52mmのフィルターネジが切ってあるため、48mm径のフィルターはそのままでは取り付けられません。いろいろ試してみると、回転装置と延長鏡筒の間に挟み込むと、ねじ込みや固定はできないのですが、うまい具合にピッタリはまって取り付けられそうです。

IMG_5912


コツは、フィルターのネジが切ってある側を鏡筒の対物レンズ側に入れ込むことです。こうしないと延長鏡筒を1-2回転くらいしかねじ込めなくて、不安定になります。まあとりあえず大丈夫そうなので、今回はこの状態で撮影してみます。


対象天体

M42 オリオン大星雲:
  • これまでなんども撮っているので比較しやすい。
  • 満月との距離が25度角程度とあまり遠くなく、この日は非常に明るい領域。
  • 肉眼で見ている限り、リゲルとベテルギウスはなんとか月の光に負けずに見える。3つ星はほとんど見えないくらい。

画像比較1: 同じ露光時間でQBPありなしでの比較


まずは、露光時間を同じにしてQBP有り、無しで比較してみます。JPEG撮って出し画像での比較です。

  • QBPなしの通常の撮影: ISO1600, 10秒露光
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+8cc_20181222-22h07m33s760ms

10秒以上の露光だと明るすぎなので、これくらいまでしか露光できません。

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 10秒露光
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+14cc_20181222-22h21m29s692ms


同じ時間でもQBPフィルターがあると、当然の結果ですが随分暗くなることがわかります。


なお、上の2枚とも色温度設定が3200Kと低いので青が強く出てしまっています。


画像比較2: 露光時間を変えて背景明るさを合わせる

これもJPEG撮って出しです。
  • QBPなしの通常の撮影: ISO1600, 10秒露光(画像比較1と同じもの)
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+8cc_20181222-22h07m33s760ms

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 30秒露光
M42_LIGHT_6D_30s_1600_+10cc_20181222-22h28m12s224ms

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 60秒露光
M42_LIGHT_6D_60s_1600_+8cc_20181222-22h37m16s270ms



実際の背景の明るさを比べると、最初のQBPなしの1枚と、後のQBPありの2枚を比べるとわかりますが、露光時間が3倍だとまだ少し暗く、6倍だとかなり明るいくらいなので、4倍程度の違いでしょうか。


QBPによる背景明るさの変化の簡単な推定


月の明かりが太陽の反射なので白色光に近いとして、太陽光のスペクトル

SunLightSpectrum-280-2500nm-J
(Wikipediaより引用)

にセンサーの感度曲線をかけたものと、さらに今回のQBPの透過率

qbpf_g
(シュミットの販売ページより引用)

をかけたものとの面積比を比較すると、この明るさの比になります。太陽のスペクトルは調べるとすぐにでくるのですが、EOS 6Dセンサーの感度曲線が調べても出てきません。しかも天体改造してあるので、さらに良くわかりません。

それでもものすごくざっくりとした見積もりをしてみます。太陽のスペクトルが350nmくらいから900nmくらいまではそこそこ一定とし、一般的なCOMSセンサーの感度も350nmくらいから700nmくらいまでは一定と考えます。そうすると、QBPの透過率がある部分が465-510nmと640-685nmくらいまでと読み取ります。それぞれ透過幅はともに45nmとなり、合計90nmです。透過率は95%と程度としますが、ざっくり1としてしまってもいいでしょう。すなわち、350nmのうち90nmくらい通すと考えてしまうと、90/350 x 0.95 = 0.24となり、QBPと通すと月の光で制限されるような背景の場合の光量は24%程度になるということです。言い換えると、1/0.24 ~ 4なので、露光時間が4倍くらいで同じ明るさになるということで、実際の撮影結果にもかなり合っています。

これとは別に、月明かりがない場合の人工光による光害が支配的な場合、露光時間をどれくらい伸ばせるかはまた興味深いところです。これは場所や光源の種類に大きく依存するはずですが、LED灯でも上記くらいの改善比、水銀燈やナトリウム灯ならかなり高い改善比が期待できるはずです。


画像処理をした場合のQBPの効果


さて、一番興味のあるフィルターの効果の確認ですが、画像処理をかけた場合を想定して比較したいと思います。できるだけシンプルでわかりやすくするために、PixInsightで1枚どりの上記RAW画像に
  1. ScreenTransferFunctionでLink RGB Channelsをオフにして各色のロックを外してからオートストレッチをかけて
  2. HistgramTransformationで実際に画像に適用し
  3. JPGで保存
というような工程をとりました。

上記工程で、上の3枚の画像処理したものを比較してみます。

  • QBPなしの通常の撮影: ISO1600, 10秒露光
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+8cc_20181222-22h07m33s760ms

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 30秒露光
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+14cc_20181222-22h21m29s692ms

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 60秒露光
M42_LIGHT_6D_30s_1600_+10cc_20181222-22h28m12s224ms


検討してみます。
  • まず、10秒という同じ露光時間のものでも、QBPありの方が構造がはっきり出ていることがわかります。
  • 次に、QBPありの場合はさらに露光時間を延ばすことができ、より構造が鮮明になります。
  • QBPなしとQBPありで思ったより色の変化がないです。これは意外でした。
最近シュミットから出たM42のデモ画像は、思ったより赤が出ていたので、青が相当出にくいのかと思っていましたが、そうでもないようです。他の方の例を見ても青は思ったより普通に出ていたので、青の出方に関してもそれほど心配ないというのが今回自分で試した上での感想になります。


簡易画像処理

QBPを通して撮った画像をスタックして、画像処理をしてみました。と言っても、結局雲間での撮影で、きちんと撮影できたのは60秒の露光でわずか18枚の、総露光時間18分の画像です。

画像処理はPixInsightでプリプロセッシング、(フラット撮影はサボってしまったので)DynamicBackgroundExtraction (DBE)で背景ムラを整えて、PhotometricColorCalibration (PCC)で恒星の色を合わせました。恒星の色がうまく出るか心配だったのですが、確かに少し近似直線上から分布がずれるきらいはありましたが、それほどおかしくないレベルで色は出ているのかと思います。

結果だけ示します。

light_BINNING_1_integration_DBE_CP_Stretched_cut

本当はもっとあぶり出したかったのですが、かなり大きなレンジ(空間周波数が低いという意味)での色むらが残ってしまっていて、背景を出すと目立ってくるので、ここら辺までに押さえておきました。この色むらはフィルターのせいなのか、総露光時間が足りないからなのか、はたまた雲が常時流れていてその合間を縫っての撮影なのでその影響が出てしまったのかなどの判断はまだできていません。

本当はM42の後、もう少し淡いカモメ星雲を撮りたかったのですが、雲が多くなってきて撮影できるレベルではなくなってしまったので、ここで撤収しました。


Quad Band Pass フィルターを使ってみて 

うーん、今回のQBPかなり良いのではないでしょうか。満月下でこれだけ遊べれば十分満足です。色が思ったより変わらなかったのも、私的には気軽に楽しめるので、いい点です。今回は雲のために実際の撮影時間が短かったのでちょっとしたテストくらいでしたが、長い時間かけてじっくり撮影してみたいです。

元々の目的が、平日で遠征などできないときに、自宅の庭で月明かりや光害下でも気軽に撮影が楽しめたらというものです。このくらいの目的ならば十分に達成できそうです。あとは、月がない環境で自宅の光害下でどれくらい効果があるかを試してみたいです。以前の結果からも、透明度がいいときはそこそこ撮影も楽しめるくらいの環境です。ただし、暗い天体は今の所、フィルター無しでは自宅庭からでは全滅です。このQBPでもう少し暗い天体も狙えるようになれば、購入しただけの価値は十二分にあります。また試してみます。


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