ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:NoiseXTerminator

先週末に開田高原に遠征した際に撮影したM81です。撮影時の様子は前回の記事に書いてるので、今回は主に画像処理についてです。



WBPPとLRGB合成

今回は撮影した画像はLRGBに加えて、赤ポチをアクセントに加えたいのでHαも撮っています。

撮影中のNINAの画像ですが、5分の1枚どりなのでに以前自宅で3時間分をスタックしたのに迫るくらいの淡いところが出ています。撮影中からこれは期待できそうだという感触でした。
Fm_6VpNacAM0yEK


画像処理はPixInsightのWBPPでLRGBAいっぺんに処理します。

L画像を撮影している際の午前2時半頃に子午線で反転した際に、どうやらカメラが回転してしまったようです。光条線ではほとんど目立ちませんでしたが、強度にストレッチしたら画像周りに三角形でS/Nが悪い部分が見えたので、少し余分にクロップしています。

できたL、R、G、BをそのままPIのLRGBcombinationで一気に合成してしまいます。RGBの色バランスが例えずれていてもSCPPで背景のニュートラルまでふくめて調整できることと、彩度は保たれていることは検証してあるからです。


SPCCの参照銀河

SPCCで参照銀河を平均とM81のSa型で比べてみました。

平均:
Image09_LRGB_crop_ABE1_ABE2_SPCCave

Sa型:
Image09_LRGB_crop_ABE1_ABE2_SPCCsa

やはり少し違いが出ます。Sa型の方がより青く出るようです。銀河によってタイプを変えることで、より近い色になるのかと思います。今回はSa型を採用しました。


NoiseXTerminator

ノイズ処理でよく出てくる不自然なモコモコはあまり好きではないのですが、ツールを色々変えてもどうしてもある程度出てきてしまいます。NoiseXTerminator (NXT)も例外ではないのですが、Denoiseの値を例えば0.75などの大きくして一度にかけるのではなく、例えば0.25とかして3回かけた方がいいようです。

NXTをかける前:
Image09_ABE_ABE


Denoise:0.75, Detail:0
Image09_ABE_ABE_NXTx075

Denoise:0.25x3, Detail:0
Image09_ABE_ABE_NXTx025x3

0.75一回の時は明らかにノイズ処理によりのっぺりしていますが、0.25が3回の時はあまり大きな構造は見えず、ノッペリ感もなく、適度に細かいノイズは除去されています。

まだ最適な使い方はよくわかりませんが、Denoiseの度合いとかける回数である程度の空間周波数の調整はできそうなことがわかります。


結果

出来上がった画像です。

「M81:ボーデの銀河」
Image09_LRGB_crop_ABE1_ABE2_SPCCsa_BXT_MS_SCNR6
  • 撮影日: 2023年1月21日21時19分-22日5時22分
  • 撮影場所: 長野県開田高原
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、L:28枚、R:12枚、G:11枚、B:12枚、Hα:6枚の計69枚で総露光時間5時間45分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 L:0.001秒、128枚、RGB:0.01秒、128枚、Hα:20秒、17枚(dark flatは32枚)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

反省点です。
  • 背景のモクモクがやっと出たのはかなり嬉しかったです。実は昨年5月に自宅で撮影していて、その時はどう画像処理してもカスリもしなかったので、お蔵入りになりました。なので今回暗い開田高原で撮影した甲斐が大いにありました。その一方、まだかなりノイジーで今回は画像処理で誤魔化しているところがあるのは否めません。L画像だけで10時間とか撮影したくなってきます。
  • 背景に緑色の構造が見えます。これが本当に正しいのか?形はあっているようですが、色がこれでいいのかまだよくわかっていません。ゴースト星雲の時もそうだったのですが、WBPPのLocal Normarizationが悪さをしている可能性があります。もしくはフラットを使い回しているので、合っていないのかもしれません。
  • 恒星が少し不自然です。今回MaskedStretchを使ったのですが、どうも暗くなって迫力にかけます。最近はHistgramTransformでわざとサチらせた方が自然に見える気がしています。まだ恒星処理は下手です。
  • 恒星があまり綺麗でないもう一つの原因が、背景を相当炙り出しているからです。今回スターマスクの類を使わなかったのですが、スターマスクを使ってもう少し丁寧に処理した方が良かったのかと思います。
  • BXTで恒星を小さくできるのですが、小さすぎておかしくならないように多少加減しています。でも後の炙り出しで多少見かけが大きくなることがあるので、リニアの段階ではもう少し小さくしていいのではと思いました。
  • 右上に斜めに走る2本の光が入ってしまっています。RAW画像を見るとL、G画像はほぼ全て、B画像は後半のもので確認できました。RとA画像には入っていませんでした。どうも漏れ光の疑いがあります。原因究明と、フラット取り直しが必要そうです。
  • 昨年春の撮影(結局お蔵入りしたもの)はM82とモザイク合成することを前提にセットで撮っています。自宅と開田高原で背景にこれだけ差があると、おそらく自宅でとってもモザイク合成するのは難しいでしょう。もう一度あの寒いところに行くか?それとも春を待って飛騨コスモスで撮るか?迷うところです。

恒例のAnnotationです。画像処理での回転補正なしですが、縦横もかなり合っていますね。
Image09_LRGB_crop_ABE1_ABE2_SPCCsa_BXT_MS_SCNR5_Annotated


Integrated Flux Nebula

銀河周りにある淡いモヤモヤですが、「Integrated Flux Nebula」と呼ばれていて、略して「IFN」とか、「IF Nebula」とか言うようです。日本語ではなんて言うんでしょうか?調べてみたら「銀河巻雲」という言葉が出てきました。

IFNが認識されたのは結構最近とのことで、文献を見ると2005年が一番古いようで、その著者のSteve Mandelによって名付けられたようです。彼のスライドを見ると例が出ています。一見の価値ありで、アマチュア天文に関しても少し触れられています。

基本的にはIFNは我々の銀河系の外に広がっているもので、天の川全体からのエネルギーによって照らされているということです。

M81、M82まわりのINFが有名みたいで、上記文献でも表紙にM81とM82が出ています。星雲本体を超えて、もっと相当広い範囲にわたって広がっている星雲全体を言うようです。今回はそのうちのM81本体のごく一部が出てきたということです。文献に「我々が思っているより多くの星雲がある」と書いてあり、さらにプロもそれに続けと書いてあるので、もしかしたらアマチュアの結果が先に出てきたのかもしれません。そういった意味では我々アマチュア天文家としても非常に興味深いものになるのかと思います。暗い空が必要ですが、IFNをターゲットとして、短焦点でもっと広い範囲を長時間かけて撮影してみるのも面白いのかもしれません。


まとめ

背景に関しては自宅では絶対出そうにないところまででているので、寒い中撮影した甲斐が十分にありました。やはり暗いところで撮影するのは十分に価値のあることだと思います。

IFNをターゲットに少し挑戦してみたくなりました。焦点距離は400mm以下でしょうか。手持ちで単焦点であまり明るい鏡筒がないので、できればε130とかが欲しくなります。

明るい対象は自宅で、淡いものは遠征でという使い分けを今後していくことになるのかと思います。そのためには遠征前にターゲットを十分に吟味しておくべきです。でも今回なんか、その場でM81に決めたので、これじゃあダメですね。


BlurXTerminator (BXT) が面白いです。前回までで、ゴースト星雲でのBXTの試用と、BXTをカラー画像に適用した場合などを記事にしてきました。





その後、BXTのバージョンが上がり1.1.1になりました。初期バージョンでは恒星の色ずれがPIのForumで指摘されていたようですが、新バージョンではそれも解決されているとのことです。

BXTの効果がかなりすごいので、過去画像にもいくつか適用してみました。今回の再処理は全て新バージョンで試しています。


三日月星雲

まずは、はくちょう座にあるNGC6888: 三日月星雲で比較です。下の画像は昨年5月にSCA260で撮影し処理したもので、AOO合成になります。当時はそこそこ分解能もでていると満足していました。
Image11_ABE1_PCC_ABE4_cropped2_mod
この時の反省点は、星雲本体はよく出たのですが、背景がかなり淡くて出にくかったのを覚えていて、結構無理をしてノイズ処理をしました。背景の細かい構造はほとんど飛んでしまっています。ここら辺がBXTとNXTが入ったらどうなるかも気にしたいと思います。


BXTとNXTの適用

元のファイルは前回WBPPまで終了して、AOO合成までしたものを使います。まずはSPCCをかけ、すぐにBTXです。この時点ですごい分解能となり、ちょっとびっくりしました。

ストレッチはHistgramTransformationです。ArcsinhStretchとMaskedStretchも試しましたが、星雲本体の赤の部分が差散り気味になってしまったのであきらめました。あとはCurveTransformationのSaturationで彩度を出します。その後NXTでノイズ処理をしています。

これまでマスク処理は、マスクをPIで作ってからPhotoshopにマスクを渡して処理をすることがほとんどでした。今回はマスク処理自身もPIでやってみることにします。今回のマスクはB画像から作り、星雲本体の青いところを強調しました。最後にPhotoshopに一応手渡してほんの少しだけ色を好みのものにしましたが、今回は自分的には98%くらいがPIでPhotoshopで触ったのは本当にごくわずかです。

結果です。一見しただけでBXTを適用したものは三日月本体の分解能が圧倒的に上がっています。

Image11_SPCC_BXT_HT_HT_CT_SCNR_NXT_maskB_CT_CT_CT_ok2

青いところもよりはっきりと出すことができました。背景もそこそこの階調で出ていて、ノイズ処理もより自然になっているように見えます。以前の処理と、今回の処理の違いを一言で言うと、以前のものは画像の中にある情報を引き出し切れていなかったと言うところでしょうか。BXTの底力を見せつけてくれる結果と言えます。

あと、微恒星の数が圧倒的に増えています。私は元々恒星の処理が下手くそなのですが、BXTとNXTのおかげかかなり楽になりました。作業がPIで閉じていて、恒星と背景を分離したり合成したりする必要がなくなってきたことが大きいです。分離は使うとしても軽い星マスク程度です。言い換えると、分離というある意味特異な処理をする必要がなくなりつつあり、より自然に手間をかけずに恒星を出すことができるようになってきています。


驚異的な分解能

こうして見るとBXTの威力がいかに凄いかわかるのですが、いささか分解能が出過ぎのような気もします。そこで、さらに高解像度の画像、例えばこのページにある三日月星雲と比べてみます。試しにPhotoshopで各レイヤーに自分の画像とリンク先の画像をはって、拡大縮小回転などして位置合わせをして、レイヤーの表示/非表示でかなり詳細に比較してみました。

少なくとも私がみた限りでは、BXTのAIによってあからさまに変な線が出ているようなことはないようです。勝手に上記の画像をこのブログに貼るわけにはいかないのですが、結論としては、おかしくないパラメータの範囲でBXTを使う限りは変な構造を加えるようなことはなく、画像の中に情報として残されている構造をかなりのレベルで引き出しているのかと思います。また、引き出す構造に限界もあり、これも詳細画像と比較するとわかりますが、撮影画像の中に無い構造はやはり出てこないこともわかるので、少なくともAIだからと言って、そこまで変なことをしているわけではないのかと思います。

BXT、今回もかなりの手応えなので、今後もう少し過去画像の再処理を続けたいと思います。


(追記) 第二弾は青い馬星雲です。

前回の記事でBlurXTerminator (BXT)についてゴースト星雲の画像処理で適用した例を書きました。


最初L画像のみでBTXを試していたのですが、途中からL画像単体でBXTを適用することは止めて、最終的にはLRGB合成した後にBXTを適用しました。前回の記事では、RGB画像へのBXTの適用の過程をざっくり省いてしまいました。実際にはかなり検証していて記事もそこそこ書いたけど、長すぎるのでボツにしてしまいました。Twitter上でカラー画像への適用に興味を持たれた方がいたので、ボツ予定だった記事を一部改変して掲載しておきます。


カラー画像にBTXを適用するに至るまで

大きく分けて次の5段階のことを試しました。
  1. L画像のみBXT、 その後LRGB合成
  2. L画像にBXT、RGB合成した画像にBXT、その後LRGB合成
  3. L画像にBXT、星像の大きいRのみにBXTをかけてGB画像はそのままでRGB合成、その後LRGB合成
  4. L画像にBXT、R、G、Bそれぞれの画像にBXTしてRGB合成、その後LRGB合成
  5. RGB合成、その後LRGB合成 、できた画像にBXT
とりあえず最初に各テストの結果を書くと
  1. 一見問題ないが、よく見ると恒星に色ずれが起きる。原因は恒星の大きさがL画像とRGB画像で違いすぎること。
  2. RGBにBXTをかけた段階では問題がないが、LRGB合成をする際に恒星中心がサチることがある。
  3. 恒星にハロが出て、その影響でSPCCをかけると背景の色が変わる。
  4. 問題なし。
  5. 問題なし。
4と5は手法としては問題はなさそうです。ただしこれにNoiseXTerminator (NTX)が絡むと、3と4で差が出ます。あとの方で詳しく書きます。 


1.

最初は
  1. L画像のみBXT、 その後LRGB合成
した場合です。この方法、一見問題なく見えます。この手法で許容してしまってもいいという人も多いかもしれません。ですが、よく見ると恒星に色ずれが起きる可能性があります。

LRGB合成した後に恒星周りに色ズレのような現象が確認できました。たとえば下の画像の恒星は左下をよく見えるとマジェンタが強くなってしまっています。画像処理を進めていくとこれが目立ってくることに気づきました。

Image55_SPCC_LRGB_zure_cut

いろいろ原因を探っていくと、どうやらBlurXTerminatorをかけたL画像と、BlurXTerminatorをかけていないRGB画像の恒星の大きさと差がありすぎているからのようです。BXTでL画像の恒星の大きさは小さくなるのですが、RGBの恒星の大きさは大きいままです。L画像のエッジを効かせるべき範囲と効かせない範囲が、RGB画像では大きく色情報が違ってしまっているのが原因かと思われます。次の2からの作業をしてこの色ズレが消えたので、おそらくは正しいと思いますが、確証はというとまだいまいちありません。


2.

上記の恒星色ずれ問題があったので、次にRGB合成した画像にL画像と同じパラメータでBXTをかけてみました。RGB画像にBXTを適用すると恒星の色がズレる可能性があるという報告も見ましたが、私が試している限りこの時点での恒星の色は保たれているようでした。RGB画像の段階ではいいのですが、このBXTを適用したRGB画像に、BXTを適用したL画像でLRGB合成すると、恒星中心部が激しく色飛びすることがあるようで、あまりよろしくありません。

Image06_RGB_crop_ABE_ABE_ABE_SPCC_BXT_Preview02_saturation

数回多少パラメータなどを変えて試しましたが、多少の変化はあれどいずれも上記画像のような色飛びがでます。再現性もあるようなのですが、一部の原因は撮影時に恒星中心がサチっていたか、サチりかけていたことがあるのかと思います。

RGB合成だと目立たずに、LRGB合成で顕著に出てくるのが少し不思議ですが、とにかくLRGB合成が鬼門です。BTXを使わなければ、同じ画像でもLRGB合成でこんな過激なサチりはでてきません。この時点で思ったのは、どうもBXTとLRGBは相性問題があるような感触です。BXTのdeconvolutionで星を尖らせているようなものだと考えると、LとRGB尖らせたものどうしで合成する際に問題が出るのは理解できる気もします。


3. と4.

次の策として、R、G、Bの元画像それぞれにBlurXTerminatorをかければと思いつきました。その際、恒星が大きく見えるRのみにかけるか、R、G、B全てにかけるか迷ったので検証してみました。

SPCCをかける前は一見RのみにBlurXTerminatorをかけた方が赤ハロが少なく見えていいと思ったのですが、SPCCをかけるとこの判断は逆転しました。結果だけ見せます。

まずはRだけBlurXTerminatorをかけRGB合成し、SPCCをしたものです。SPCC前の結果とは逆に恒星周りにわずかに青ハロが出てしまって、さらに背景が赤によってしまっています。
Image54_Preview01

次にR、G、BにそれぞれBlurXTerminatorをかけRGB合成し、SPCCをしたもの。ハロもなく、背景もまともな色です。
Image55_BXT4RGB_Preview01

ここまではRGB合成のみのテストですが、この後にL画像も同様のパラメータでBlurXTerminatorをかけ、上の2枚のRGBと合成してみました。この時点で1.で示した恒星の色ズレは見事に消えましたが、やはりRだけBlurXTerminatorをかけた場合は青ハロが残り、RGBそれぞれにBlurXTerminatorをかけた場合は色バランスもきちんと残されたままでした。なので、RだけBXTをかけるとかはやめた方が良さそうです。

なんでこんなまどろっこしいことをあえて書いたかというと、BXTはRGBバランスよくかけた方がいいことがわかりますが、その一方でBlurXTerminatorは恒星の各色の大きさ調整に使えるのではないかということです。鏡筒によってはRGBで収差が違う場合もあり、それがハロなどにつながることがあります。それらの色合わせに役立つ可能性があるということです。ただし上で示したように、SPCCなどで構成の色合わせをしてからでないと判断を間違える可能性があるので、きちんと色バランスをとった上で判断した方がいいということに注意です。

上の結果はさらに、恒星の色バランスが悪いと、SPCCが背景の色バランスに影響を与える可能性があるということを示唆しています。PCCもSPCCもそうですが、基本は「恒星の色」を基に「恒星の色」を合わせるだけの機能で、背景の色を直接検証しているわけではないということです。例えば色収差のある鏡筒では恒星のRGBバランスがズレてそれを元にSPCCを使うと背景の色も狂う可能性があるなど、SPCCもまだ完璧とは言い難いことを意識しておいた方がいいのかと思います。

というわけで、ここまでで4の

L画像にBXT、R、G、Bそれぞれの画像にBXTしてRGB合成、その後LRGB合成

という手法でほぼ問題ないことがわかりました。


5

ここまでで、L、R、G、B画像にそれぞれBXTをかけてLRGB合成するのでほぼ問題がないと言ってきました。念の為、LRGB合成してから、その画像にBXTをかけてみます。この段階では4と5にほとんど差が見られませんでしたが、もう少し見やすくするためにNXTをかけてみました。ここで差がはっきりと出ました。

L、R、G、B画像にそれぞれBXT、後にNXT:
Image37_Preview01


LRGB合成してから、その画像にBXT、後にNXT:
Image65_ABE_ABE_ABE_Preview01


後者の方が明らかにノイズが少ないです。(追記: すみません、ブログ記事にアップ後に改めて見たのですが、ブログ上だとほとんど差が分かりません。一応ローカルでは見分けがつくくらいの差はあるのですが...。あまり気にするレベルではないのかもしれません。)

ではなんでこんなことを試したかというと、R画像はまだしも、G画像やB画像にはゴーストの形はほとんど写ってなくて、それらにBXTをかけた結果を見ていてもシャープさが増すというより、単にノイズが増えたように見えてしまったからです。それならばRGBでバランスよくBXTをかけた方が得なのではと思ったのが理由です。


注意と結論(らしきもの)

あと一つ、今のところ私はBXTをリニア画像にしか適用していません。例えばマニュアルにはBXT内でFWHMを評価するとありましたが、ストレッチなどしてしまうとFWHMも正しく評価できなくなってしまうので、リニアで適用するのが原則かなと思います。ただ、例えばFWHMも絶対評価でなく各色の相対評価とかでもいいと思うと、必ずしもリニア画像でなくてもいいのではとも思います。ここら辺はもう少し検証が必要でしょう。

結論としては、いい方から5>4>1>>3>>2の順で、特に3の方法はもしかしたら色々応用できるかもと思っています。

というので、私的には今のところ普通にLRGB合成をして、その画像にBXTをかけるのが一番いいという結論です。もちろん、これはあくまで今回個人的に出した結論というだけで、まだまだ他に試すべきやり方はあるでしょうし、画像や環境によってはこの結論が根本的に変わる可能性もまだあるかと思いあます。


おまけ1: BXTとNXTどちらが先?

最後におまけで、BXTとNXTどちらを先にかけたらいいかの結果を載せておきます。BXTをかける時にもしもう少しノイズが少なかったらとかいう誘惑に取り憑かれたときのためです。5のLRGB合成してから、その画像にNXT、後にBXTをかけています。

Image65_LRGB_crop_ABE_ABE_ABE_SPCC_clone_Preview01

もう全然ダメですね。これは原理を考えればすぐにわかるのですが、ノイズ処理をしてしまった段階で、deconvolutionをする前提が崩れてしまっているからだと思われます。


おまけ2: L、R、G、BそれぞれにBXT、NXTをそれぞれかけてからLRGB合成

もう一つおまけで、Twitterでt a k a h i r oさんからのリクエストです。L、R、G、BそれぞれにBXT、NXTをそれぞれかけてからLRGB合成したらどうなるかです。4.のmodバージョンですね。

結果だけ示します。
Image12_BXT_NXT_LRGB_SPCC_CT_CT_cut


私の予測は4の結果とほとんど変わらないだったのですが、これだけ見ると全然ダメですね。というか、なんでここまでダメなのかむしろ理由がわからなくらいです。何か間違ってないか見直しましたが、NXTの順序を入れ替えただけで、特におかしなところはなかったです。

改めて見てみると、やはりGとBの星雲本体が淡すぎることが問題の気がしてきました。淡すぎるとNXTがノイズを無くしているだけで、特に星雲を炙り出すようなことは全然できてないのです。BTXもNXTもやはり何かはっきりした対象があって、初めて効果的に働くような気がしています。もしくは、今回どのテストも同じパラメータでやって、そのパラメータはというとゴースト本体が一番よく出るようにというので選んでいるので、他のパラメータを考えてみればまた結果は変わってくるのかもしれません。


まとめ

限られた環境ですが、ある程度の結論として「BlurXTerminatorはカラー画像に適用できる」ということは言ってしまってもいいのかと思います。むしろL画像のみに適用する場合はLRGB合成をかなり注意深く実行する必要がありそうです。

いずれにせよ、このBXTはすごいソフトです。もう少し色々触ってみたいと思っています。またまとまったら記事にするかもしれません。


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