ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:NIKKOR

富山の街中で観望会があり、できることなら天の川を見せたくて、広角の電視観望で見せることができないか、前日に自宅で練習してみました。


天の川のための広角電視観望

富山県主催のスターウォッチングがあるのですが、今回広角電視観望を使って天の川をお客さんに見せることができないか考えてみました。前日の夜に自宅で練習してみました。

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十分な広角なので、PCの画面を見ながらの手動での導入です。

試した機材のセットアップを詳しく書いておきます。
  • 望遠鏡代わりに1970年台の古いNIKKORレンズの35mm、F1.4、これを2.0に絞って使用しました。F1.4だと明るい星にハロが出てしまうので、1段だけ絞っています。これと、後述の光害防止フィルターでハロはほぼ抑えることができました。
  • カメラは広角狙いでASI294MCです。気軽に操作したいので冷却とかは無しです。ホットピクセルについてはSharpCapの「ダーク補正」の「Hot Pixel Removal Only」を選び、簡易補正で済ませます。
  • フィルターはQBP IIIを使用しました。天の川なので色再現はあまり意味がないですが、それでも色バランスが多少難しくなるQBP IIIで、天の川っぽい色にすることは十分に可能なようです。
  • 三脚は普通のカメラ三脚に自由雲台です。広角なので完全マニュアル導入。自動追尾も無しです。

結果としては下の画像のように天の川を十分に見ることができました。6.4秒露光で、ライブスタックで17枚加算。総露光は2分弱の109秒。この程度で天の川の形まではっきりとわかります。

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小さいですが、M8、M20、M17、M16などの星雲もハッキリと見えています。星雲でなく、普通の雲の流れも見えているので、多少雲があってもなんとかなりそうです。

ポイントは、これくらいの広角でもSharpCapのライブスタックが余裕で機能し、時間を追うごとに天の川がはっきりくっきり出てくるところです。ただし、それらしく見せるのは少しコツが必要そうです。メモ程度ですが書いておきます。
  • カラーバランスはオートだと少し赤が強過ぎたり、青が弱すぎたりします。ライブスタック時の右側のカラーバーで微調整するといいでしょう。
  • 明るさもかなり微調整が必要かと思います。特にオートストレッチの効きをよくするために、β版のSharpCap、バージョン4.1.10931を使い、「背景減算」を一番下の「低周波」か、一つ上の「非線形勾配除去」を使います。これで画面がフラット化されます。その上でライブスタック上でオートストレッチを使うとより淡い光量の差をあぶり出すことができます。それでもさらに微調整が必要で、少しだけ左2本の線の間隔を広げて、最後右パネルのヒストグラムで見た目でいいくらいに仕上げます。

上の通り、街の中心からは少し離れている自宅では天の川を余裕で出すことが出来ました。ちなみに、自宅がある場所では年数回透明度のすごくいい日に天の川が薄っすら見えることがあるくらいです。でもこの日はカスリもしないくらい、目では天の川は全く見えることはありませんでした。

ついでにもう一枚、屋根の横の北アメリカ星雲です。35mmの広角ならではで、自宅と星雲が同時に見え、リアルタイム観望感が味わえます、こういったのも電視観望の楽しみ方の一つかと思います。

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まとめ

広角電視観望で天の川を見ることを試してみました。画面にはっきり出すのは少しコツが必要そうですが、十分に見ることができるくらいにはなります。機材や設定値は一例ですが、まだいろんなパラメータを試すことができそうです。

さて自宅ではうまく出ましたが、これが市の中心街にかなり近い環水公園でどこまで見えるのか?それとも全く見えないのか?結果が楽しみです。

先日試した、31.7mmQBPを使った電視観望システムですが、ある程度の完成をしたので、お披露目の記事になります。

ことの始まりはTwitterでのリクエストに答えてくれたサイトロンさんが送ってきてくれた、CMOSカメラに直接取り付けることができる31.7mm径のQuad Band Passフィルターです。ASI294MC Proに、付属のリングと共に取り付け、カメラレンズアダプターを併用すると、その先に一眼レフカメラのレンズを取り付けることができるようになります。



実際に焦点距離50mm、F1.4という非常に明るい昔のNIKKORレンズを取り付けて見てみました。結果は驚くべきことに、赤い星雲を直接探しながら空を見ることができるというもの。ただし、ハロが酷く、特に明るい構成のハロはネコの目のように目立ったしまいました。それを解決したのが前回、



レンズをF1.4という開放で使っていたのが原因でした。F2まで一段階絞ることで、猫目ハロは完全解決。でも天気が続かず、赤ハロの検証をするに至りませんでした。


まずはオリオン

天気のいい休日の夜、月が出るまでに1時間くらいあったので広域電視観望の続きを試してみました。前回と同じようにレンズを一段絞ってF2で始めます。少し暗いので、ゲインを一段階上げておきます。これで最大(550)まであと一段だけ(500)です。

まず手始めにオリオン座。自宅は東と天頂はそこそこ暗いのですが、北は全滅、西も道路と住宅の明かりでダメです。前々回の最初に試した時は、時間が遅くてオリオン座は明るい西の空で沈む寸前。前回は曇りでこれもだめだったので、実質初めての暗い空です。場所もまだまだ南天近くにいるので、かなりきれいに見ることができます。
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暗いと言っても住宅地なので、やはり光害地なのには変わりありません。もちろんQBPが入っているのでこれだけコントラストよく見えるわけです。

写真は1.6秒露光の72スタックで、115秒と2分切るくらいですが、これは写真を撮るのにもたもたしていたからで、もっと少ないスタック枚数でクオリティーは十分になります。10スタックもすれば相当見えるくらいになってきます。

もうバーナードループも余裕です。わずかこんな時間で、こんなに綺麗に見えるとは。レンズは一段絞ってF2にしてあるので、前回より少し画面が暗いですが、炙り出せば良いだけの話でそれはほとんど問題にならないです。ノイズが大きくても、少し待てば十分減ってくれます。


赤ハロ青ハロはレンズのせいだった

それよりも周辺で星がそこそこ歪みます。これは古いレンズなので仕方ないでしょう。さらに、真ん中が青ハロ、周辺が赤ハロとなっています。これは間違ってもQBPのせいではなくて、レンズ側の問題だとやっと確証が取れました。最後の方でもっとわかりやすい写真を見せますが、ピント位置によって赤ハロと青ハロの出方が相当変わります。今回、絞りを一段階暗くしてF2にしたことによって、このような細かいところがやっとわかるようになってきました。開放のF1.4の時のひどいハロでは、やはりここまで調整もできなかったと思います。


なんとエンゼルフィッシュ星雲も!

ついでにオリオン座のすぐ上のエンゼルフィッシュです。導入は自動導入なんてたいそうなものは必要ありません。画面を見ながら、三脚についている自由雲台を緩めて「エイ、ヤっ」とエンゼルフィッシュを「見ながら」導入します。
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これも1.6秒を72枚スタックですが、スタックなしの1.6秒一枚リアルタイムでもうっすら見えています。


拡大に耐えられるか?

続いてM42の拡大と、馬頭星雲の、SharpCap上での拡大です。
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流石に画面上で250とか300とかに拡大(全体を見る時が40なので、6倍とか8倍に相当)しているので、星像が肥大化して見えてしまっていることと、ハロも目立ってしまっています。観望会などで見せるには少し厳しいかもしれません。


冬の星雲巡り

今回は早い時間だったので、オリオン座が南中くらい。なので、その西の早い時間帯の星座にある星雲星団も確認できました。最初にプレアデス星団が見えました。その上にカリフォルニア星雲があるはずですが、レンズの向きが厳しいです。そんな時は面倒なのでエイやっと三脚ごと向きを変えます。こんな気軽な星雲観測は広域での電視観望ならではじゃないでしょうか。実際に見えたプレアデス星団とカリフォルニア星雲です。同じ画角に入りました。
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スタックなしの1.6秒ワンショットだと下の写真くらいです。それでも十分見えます。
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カリフォルニア星雲の拡大です。
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これくらいの拡大率なら、それほど星も肥大せずそこそこ見えます。

西の空にアンドロメダ銀河が沈む頃でしたが、流石に明るすぎました。でもそれを差っ引いてもやはりQBPは銀河は苦手な気がしています。こんな時に気軽にQBPを外すことができるようにアメリカンサイズをリクエストしたのですが、ごめんなさい、この時は外して確認することを忘れてました。
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前回も見たバラ星雲とカモメ星雲です。バラ星雲は少し拡大しています。
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カモメさんを拡大したらこんなもんです。
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モンキー星雲とクラゲ星雲です。
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同じ画角ですが、ピントが少しずれて赤ハロが盛大に出てしまった場合です。反対側にずれると青ハロが少し出ます。
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最後です。これを最初に見た時、何か一瞬わからなかったです。撮影したこともあるのに...。
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でもこれで答えを見ました。ああ、勾玉星雲だった...。



星雲の形をデフォルトで表示してくれるのですごくわかりやすいです。広域電視観望の地図がわりにぴったりです。長押しで他の波長も表示してくれます。


まとめ

いやー、楽しい。わずか小一時間で、冬の星雲を一網打尽できました。観望会でも大活躍しそうです。とにかく空を見ながら星雲を探す。これは本当に楽しいです。

一応、31.7mmのQBPと50mmの明るいレンズを使っての広域電視観望は実用レベルで使えることが分かりました。システムとして完成と言っていいでしょう。

もちろん光害の具合によっては見える度合いも違うでしょうし、まだまだ改良する点もあるでしょう。それでも、前回そうでしたが、月が出ていた時でもバーナードループくらいは見えているので、明るいところでもかなり楽しめるのではないかと思います。

やはりレンズの明るさは正義です。まだハロが少し残っているのと、拡大時の肥大が少し気になるので、もう少し良いレンズを探しても良いかもしれません。例えばシグマの50mm F1.4 DG HSMなんかものすごく良いのでしょう。でもさすがに、電視観望のためだけにこれだけの値段をかけていいものなのか。

最後に、今回何より重要だったのがQBPでした。以前の48mmのQBPも撮影では十分すぎるほど活躍してくれていたのですが、今回のカメラレンズと合わせるというのは31.7mmのQBPになって初めて実現したものです。QBPがなかったら、ここまでやろうとさえ思っていなかったでしょう。BLACK PANDAさん、私のちょっとつぶやいただけの希望を聞いていただいて本当にありがとうございました。

このシステム、賑やかな夏の空でも早く試してみたいです。

シベットさんが最近フィルターを使った電視観望を盛んに試されています。私のところにも31.7mmのアメリカンサイズのQBPフィルターが届いたので、ずっと試したかったテストをしてみます。


アメリカンサイズのQBPができた!

そもそもは昨年9月にQBPを使って電視観望をするとどれくらい見えるようになるかというテストをしたことに始まります。



この時の結論はHαで見えている赤い星雲はQBPによって相当見やすくなる一方、プレアデス星団などの青い星雲や白色光に近い系外銀河はむしろQBPによって電視観望では見えにくくなってしまうというものでした。なので、見る対象によってQBPをつけたり外したりするといいのですが、48mm版のQBPはFS-60CBの鏡筒とフラットナーの間に入れてあって、なかなか取り外しにくいのです。

そんな折、ちょうどBLACK PANDAさんからTwitter上でQBPの新バージョンができるというアナウンスがありました。なんでも基材を合成石英にアップグレードするということです。これまでの基材が何かはわからない(2020/2/3追記: B270だそうです。)のですが、合成石英は研究レベルでもよく使われ、熱膨張が少なく、紫外、赤外共に透過率が高かったりします。

上のブログの更新時のTwitterでのアナウンスでBLACK PANDAさんがコメントをくれ、「QBP入れ替えができるように、CMOSカメラに直接つけることができる31.7mmサイズがあればいいなあ」とか返事をしたら、なんと本当に反応してくれました。新バージョンを作る際に、31.7mmバージョンも作ってくれるというのです!これは期待大です。

合成石英を使用した新バージョンのQBP自身は11月半ばにできたと記憶しています。その時のものは元と同じ48mmサイズでした。その後、つい先日の1月29日、とうとう新バージョンの52mm版と、まさかまさかの31.7mm版が本当に発売されたのです!約束を守っていただいて本当に嬉しいです。BLACK PANDAさんどうもありがとうございました。

しかも値段を見ると、アメリカンサイズはこれまでの約半額、税抜きだとなんと1万円切りです。これならユーザーとしては気軽に試すことができるので、大変嬉しい価格設定です。

さらにここから話は急展開します。なんと製品を送るのでテストで使って欲しいとのこと。願いまで聞いていただいて、しかもサンプルも送っていただけるとは!

というわけで、送っていただいた新型のアメリカンサイズのQBP、やっと昨晩テストを敢行することができました。


31.7mmのQBPが生きるところ

フィルターサイズが小さくなって一番良かったのは、CMOSカメラに直接取り付けたり、フィルターホイールに入れたりできるところでしょうか。センサーサイズ的にはフォーサーズまでは使うことができるはずです。電視観望でよく使うASI294MCならば大丈夫でしょう。

もともとはASIカメラについている前に出ているアダプター

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に取り付けることを考えていましたが、年末の名古屋年越し観望会の智さんのレデューサートラブルの検討のときのコメントで「ASI294MC Proについていた薄いアダプターに31.7mmフィルターを取り付けるこができる穴が開いていて、以前よりも飛び出ることなくセンサーに近いところにフィルターを取り付けることができる」ということを教えてもらいました。

実際にASI294MC ProにQBPを取り付けると下のようになります。

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これまでは鏡筒に取り付ける時のみQBPを利用することができました。これならば、一眼レフのレンズをASIカメラに取り付ける時にも、アダプターの中に十分スペースがあるので、広角レンズを使ってもQBPを試すことができます。シベットさんはすでに同様のことを各種フィルターで試しているようなので、私も今回チャレンジしてみます。

今回は上の写真のように、古いオールドNIKKORの50mm/f1.4の明るいレンズにCanonレンズのアダプターをつけて、そこにさらに、ZWOが出しているASIカメラにCanonレンズを取り付けることができるアダプターを取りつけています。そのアダプタの空間にフィルターがうまく収まっています。

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明るいレンズとQBPを組み合わせての電視観望

さて、土曜の晩晴れた際にTSA-120のファーストライトの合間を縫って、このセットアップで電視観望を試しました。ポイントは焦点距離が50mmと広角なので、赤道儀やAZ-GTiさえ使う必要がなく、ただの三脚と自由雲台に載せただけで、手で動かすだけで見たいところを見ることができます。

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このセットアップ、本当に超手軽です。ぱっと持ち出してPCとケーブル一本繋ぐだけです。

もう一つのポイントは、f1.4の相当明るいレンズを使っていることです。以前ASI294MCを最初に手に入れたときその後何度か明るい広角のレンズを使って電視観望をしています。それでも十分に見えたのですが、明るすぎるレンズは画面が飛ばないように露光時間やゲインを抑える必要があるので、星雲なども当然見えにくくなってしまいます。今回はQBPを使って光害をカットしているので、星雲のコントラストが上がり見えやすくなっています。しかも明るいレンズのために露光時間をそこまで伸ばさなくても、十分情報を得ることができ、リアルタイム性に一役買っています。


実際の見え方

実際の見え味ですが、結構衝撃的です。まずは1.6秒露光のライブスタックなしのオリオン座です。

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真ん中に三つ星が映っているのがわかると思います。すぐ下のオレンジの明るいところがM42オリオン大星雲になります。繰り返しますが、これわずかトータル時間で1.6秒だけ露光したものです。三つ星の一番左のところに馬頭星雲らしきものがうっすら出ています。それどころか、よく見るとバーナードループ まですでに出ています。

これを24枚スタックしたのが次の写真です。あ、写真は全てPCの画面をiPhoneで写しているだけなので、ほとんど実際の見え味と同じです。

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馬頭星雲も燃える木もバーナードループも普通にはっきりしています。これでもトータル40秒以下です。

さてここで、ちょっと嫌なことに気づきました。明るい星の周りにハロが出ている(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)のです。炙り出しなどせずに普通に見ているだけではこのハロは気付きません。電視観望でヒストグラムをいじって炙り出すと目立ってきます。この時点ではQBPのせいなのか、レンズが悪いのかはっきりしなかったので、ここでQBPを外してみました。

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同じ1.6秒露光、30枚スタックです。QBPがないと明るくなりすぎるのでゲインを50(5dB、半分近く)落としています。バーナードループも辛うじて見えているようですが、明らかにコントラストは悪くなっています。これはQBPの効果が大だったといえるでしょう。でもその一方、ハロは抑えられています。

シベットさんがブログの中でQBPは赤外を通すためにハロがでるのではという報告をしています。その中でアポクロマートなど赤外でも収差補正をきちんとしている鏡筒はこの問題は出ないのではという考察がされています。これまで私もFS-60CBやFS-60Q、FC-76で旧版の48mmのQBPを使ったのですが、星がサチらない限りはハロは出ることはありませんでした。

今回星がサチっている可能性が一つと、単なる相当昔のカメラレンズなので、赤外で収差があるのは十分可能性があるでしょう。ただ、ハロの様子が赤だけでなく、なんかカラフルになっているのも気になります。シベットさんによるとUV/IRカットフィルターを併用すると、星像はフィルター間の反射で少し悪くなるが、ハロは消えたという報告がなされているので、次回私も試してみようと思います。

ハロは確かにあるのですが(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)、暗い星ではそこまで気にならないのと、星雲の出かたが思いの他すごいので、とりあえず今回はQBPをつけてこのまま進めます。


ばら星雲です。1.6秒露光で31スタック。トータル50秒くらいです。

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ばら星雲の上にも少し赤い領域があります。クリスマスツリー星雲ですね。

というか、今回何かを導入するというのではなく、画面を見ながら赤いのがあるとこれはなんだ?と、「星雲を見ながら探す」という夢のような体験をしています。例えば上のバラはリアルタイムの1.6秒一枚露光ではこのように見えます。

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もう、全然見える範囲の明るさです。

一番衝撃的だったのは次の例でした。

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真ん中らへんに何か赤いのが見えます。スタックするとさすがにわかります。

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そう、電柱の上をカモメが飛んでいるわけです。もう夜中に一人で大爆笑。普通の住宅街でこんなのがほぼリアルタイムで見えるわけです。面白くないわけがありません。

その様子を動画にまとめました。


左手でiPhonedで撮影しながら、右手で三脚の自由雲台の上のCMOSカメラを操作しているので、揺れたりして見にくい点はご容赦ください。オリオン座から電柱上のカモメ星雲、次にバラ星雲を突き止めて、最後にまたオリオン座に帰ります。バラ星雲なんかポンッと出てきます。実際にホントにこのように見えるわけです。

他にもプレセペ星団、

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M46、47、48です。

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適当にレンズを向けて見えたものです。1.6秒だけの露光なのでM46、47、48は少し見にくいですが、カモメ星雲のところの左上にもM46とM47は写り込んでいます。

あいにく、系外銀河は一つも認識できませんでした。アンドロメダとか出ていれば別ですが、さすがに広角レンズでは銀河は小さすぎるのと、やはりQBPは白色の系外銀河が苦手なのかと思います。あと今回はハロがキツかったので、恒星と銀河の見分けがつきにくかったのもあるかと思います。

最後に、オリオンが沈みかけるところです。右のほうが赤カブリになっていますが、それでもよく見るとエンゼルフィッシュ、辛うじてですが写ってますよね!

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まとめ

まだハロの件など克服すべき課題も多い(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)ですが、QBPと明るい広角レンズを用いることで、

光害地で、導入いらず、
リアルタイムにかなり近い、超お手軽な星雲星団観察

が可能だというのは特筆すべきことだと思います。一番最初にHUQさんが見せてくれてα7Sでの電視観望に近いかもしれません。α7Sの凄いセンサー感度にSharpCapとQBPで頑張って迫っているという感じでしょうか。

ちなみにこの50mm/f1.4レンズ、古くても標準レンズだったこともあり、今でも中古カメラ店やヤフオクで格安で普通に手に入れることができます。私は名古屋のコメ兵で5-6千円くらいだったと思います。

レンズは安くてもやはりASI294MCがまだ高いですかね。そこはASI385MCとかに代えて節約するという手もあります。

キットの望遠レンズを使った電視観望
も以前試しましたが、



広角、QBPが違う点になります。今回のこの手法も同様に、導入のための機器もいらないのと、さらに広角レンズを使っているために導入スキルも必要ありません。なので、相当手軽かと思います。

自由に空を見て星雲を探すインパクトは相当なものなのですが、今回のブログでそれが伝わったかどうか?比較的楽なセットアップだと思いますので、これまで電視観望を試したことがない人も、よかったら試してみてください。




久しぶりに電視ネタです。

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年末実家に帰った時に、中古でニコンのかなり古いレンズを購入しました。レンズ前面には

NIKKOR-S Auto 1:1.4 f=50mm Nippon Kogaku Japan No.85578

と書かれています。焦点距離50mm、F値はなんと1.4で、我が家初の明るいレンズです。というより、うちには娘が最初に買ったEOS X7のダブルズームキットで付いてきたレンズしかないので、初の別買いのレンズです。

このレンズ、調べて見るとニコンの明るいレンズの標準と言われるくらい相当数が出たらしく、いまでも安く手に入れることができるようです。しかも今回はジャンク扱いだったので、値段は格安です。ジャンクといっても絞りはリングを手で回す完全マニュアル絞りですし、ピントもどうせ星を見るだけでマニュアルしか使わないので、レンズさえ綺麗なら十分です。少しだけ曇りがありましたが、これもクリーニングすればすぐに取れそうです。カメラ初心者の私にとって希少価値などはまだ気にしていないので、古くても良い性能のものが安価に手に入れられることが助かります。

実は同じ値段で同じ50mmで現行のCanon EFマウントのもあったのですが、AFでいいのかとも思いましたが壊れている可能性もあるのと、F値が1.8になってしまうので、とにかく明るいのを試したくて、アダプターをつけるのを前提にニコンにしました。 アダプターはアマゾンでレンズ側がNIKON Fマウント、ボディー側がEOS用という、安いものを買いました。注意したところは無限遠を保証しているかどうかです。星を見るので、無限遠が出ないと意味がないです。

EOS 60Dに取り付けてみたのが以下の写真です。

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ちょっと変わった雰囲気になりました。ところが、取り付けたのはいいのですが、アダプターをレンズから外すのにすごく苦労しました。下の写真のように

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指でつまみを押して、小さなピンを1mmほど上に引き抜いた状態でアダプターを回転させるのですが、まずアダプターを反時計回りに力をいれて少しだけ締め込んだ状態にしないと、ピンが出て来ません。うまくつまみを押すことができてピンが出たのを確認して、その状態でアダプターを「時計回り」に回転させます。注意ですが、CanonとNikonは回転方向が逆らしく、時計回りが取り外す方向です。アダプターを外すだけで色々調べたりして20分くらい格闘しました。

試し撮りをしたのですが、これまで持っていた50mmでF4.5のものと比べると、当たり前ですが圧倒的に明るいです。星はリングの無限遠位置より少し手前でピントがあいました。

さて、ここからが本番です。これだけ明るいので、以前試したMagic Lanternの長時間露光ライブビューで電視ができないかを明るいレンズで再度試してみました。場所はいつものように自宅の庭です。

以前の記事の繰り返しになりますが、手順を再度書いておきます。
  1. まずEOS 60Dを動画モードにします。
  2. isoは6400にします。
  3. ゴミ箱ボタンを押してMagic Lanternを起動し、メニューの「Expo」というページの「Expo. Override」をオンにします。
  4. 「Movie」の「FPS override」をオンにし、さらにQボタンを押して「Desired FPS」を小さな値にします。今回は0.33とか0.25とかを使いました。それぞれ3秒露光、4秒露光に相当します。0.2までいくので、5秒露光までできることになります。前回の記事では露光時間をある程度長くすると、これ以上明るくならないと書きましたが、今回は5秒露光まで、きちんと段階的に明るくなるのを確認しました。
  5. さらに「Display」メニューの「LV contrast」を「Very High」に、「LV Saturation」を「High」にするともう少し見やすくなります。
ポイントはこんなところです。今回は雲が出てきていたためにあまり時間がなかったので、PCに接続したりせず、ライブビュー画面だけの結果ですが、それでもそこそこ実用的なレベルになってきています。

最初はオリオン座です。3秒露光です。

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そこそこの星の数と、オリオン大星雲、雲の向こうの星なども見えると思います。オリオン大星雲のところを10倍に拡大してみると

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のように見えます。あくまでカメラ付属のモニター上のライブビュー画面の表示をいつものようにiPhoneで撮っただけなので、PCやHDMIでモニターに出すともう少し綺麗に見えるのかと思います。

だんだん雲が多くなって来たのですが、最後に木を写してみました。

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夜にもかかわらず木の緑色が綺麗に出ています。当然ですが目で見る限り木のところは真っ暗にしか見えません。写真では星が写っていますが、目で見ると実際には薄雲でほとんど何も見えていません。

明るいレンズの威力は相当なものです。HUQさんのα7Sでの電視が、iso10万とか20万、0.25秒露光が最長なので、レンズが同じとしたら、今回はiso6400でこれが15倍から30倍くらい暗く、露光時間が5秒まで持っていけるので20倍くらい明るいので、ほぼ打ち消しあい、だいたいコンパラなくらいのオーダーになります。もちろん、露光時間が長いということは、リアルタイム性を犠牲にしているという点で不利なのは否めません。さらにHUQさんは最初の頃のレンズは58mmでF1.2くらいだったと思いますが、最近は100mmでF1.0のとんでもないレンズを使っているとのことなので、どうしてもレンズの差は出てしまいます。それでも実用上はかなり楽しめるところまで来ているのではないかと思います。

もう少し時間があるときに、PCかHDMIでモニターにつないでみようと思っています。とにかくやっとある程度広角で電視が楽しめそうな状況になってきました。
 

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