ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:M42


縞ノイズを時間的に見てみる

もしかしたら興味がある人もいるかと思い、縞ノイズを時間的に可視化してみました。先のバラ星雲の1日目のディザーなしで撮影した失敗画像約2時間ぶんの24枚を使っています。中心あたりの一部を拡大して見ています。といってもやったことは簡単で、ディザーなしで撮影した画像を、PixInsightで動画にしただけです。

Blink

これはガイドをしていても、たわみなどでガイド鏡と撮影鏡筒の相対的な視野が一方向にずれてしまうために起きます。それでももしノイズが完全にランダムなら、このように流れるようには見えないはずです。ノイズが流れて見えるということは、ノイズに時間的なコヒーレンスがあるということです。うーん、結構ありますね。あれだけの縞ノイズになるのもわかる気がします。

integration_DBE_PCC_AS_cut



縞ノイズ動画の作り方

さて、この動画の作り方です。今回縞ノイズを時間的にみる目的でしたが、このやり方覚えておくと色々応用が効きそうです。基本的に、PixInsightを使います。
  1. 普通にBatchPreprocessing 処理などで進めます。
  2. master以下のregsteredフォルダに入っている、位置合わせまで終わって、Integrationする寸前のファイルを使います。ここまでは普通にDebayerしてStarAlignmentでも構いません。
  3. Blinkでそれらのファイルを開きます。
  4. とりあえずは、デフォルト機能の再生ボタン(右三角)を押すと確認できますが、順に動画のようになるように見せるだけです。オートストレッチもできるのでみやすくなります。カラーバランスが悪い場合は、RGBのリンクをオン/オフする「鎖マーク」のアイコンを押してください。
  5. Previewで一部を切り取るとその部分だけ拡大して見えます。
  6. それをBlink画面の右下の一番右端の撮影開始マークアイコンで動画にします。
  7. ffmpegがない場合は別途インストールしてください。
  8. ffmpegがインストールされていても、実行ファイルをフルパスで入れないとダメでした。/usr/local/bin/ffmpegとかいうことです。
  9. オプションは秒20コマのgifファイルにしたかったので、 -y -r 20 -i Blink%05d.png Blink.gifとしました。
このように結構簡単に動画を作ることができます。


M42の場合

もう一つ例です。TSA-120でM42を撮影した時のものです。約30分くらいの撮影時間で、枚数は14枚です。これはディザーもそうですが、ガイドさえもしてないので赤道儀の極軸の精度が悪くてずれていってしまっているものです。上のバラ星雲のように画像の一部ではなくて、ほぼ全体像を示しています。解像度はこのブログにアップできるように(一画像当たり5MBが制限)落としてあります。

Blink

縞ノイズの原因となるクールノイズなどに混ざって、おそらくバイアスノイズに相当する縦線のように見えるノイズも流れていることがわかります。基本的にランダムでないノイズは、全て縞ノイズになり得るだろうことがわかります。

これを普通にスタックすると下のように縞ノイズが盛大に出てくるわけです。

integration



バラ星雲のもそうですが、時間的にこれだけ明らかに変化しているのがわかるのなら、なんとか分離してペラっと一枚皮を剥ぐようにこのノイズだけ取れないですかね?



先日テストした、シュミットさんからお借りしているEVOSTAR 72EDですが、簡易星雲撮影ということで、カメラに1/1.8インチというセンサー面積の小さいASI178MCを使い、星像が綺麗な中心像を主に使った例を示しました。




コメントの中で、APS-Cやフルサイズ面積の星像もみたいというリクエストがありました。天気もあまりチャンスがなく、トラブルなどもありなかなか進展していませんでしたが、やっとまともに検証できたので結果を示したいと思います。


一眼レフカメラの取り付け

72EDには2インチアイピース口が標準となります。基本的には他のアダプターなどは付属していないので、一眼レフカメラを取り付けために、いくつかのアダプターをあらかじめ準備しておく必要があります。

まずは、EVOSTAR 72EDの販売ページに行ってみます。



そこに色々なオプションパーツへのリンクが張ってあります。この中で必要なものを挙げていきます。

とりあえずはカメラ接続だけなら2インチの延長等を兼ねたM42への変換アダプター



が必要になります。これがあればあとはカメラメーカーごとに対応したT2マウントアダプターがあれば、手持ちの一眼レフカメラに直接接続できます。




撮影だけの場合は上記のものでいいのですが、普通は31.7mmサイズのアイピースも使うと思いますので、上記の代わりに別のM42ネジになっていないタイプの2インチ延長筒と、2インチから1.25インチの変換アダプターにしておいた方がいいかもしれません。





この場合、カメラを取り付けるにはさらに2インチスリーブとM42ネジへの変換アダプターが必要になります。



実はカメラを鏡筒に取り付けるだけなら、2インチスリーブとM42ネジへの変換アダプターだけでもいいのですが、フォーカサーの伸びに限界があるためピントが出ません。そのため実際には延長筒は必須になります。

私は今回は後者のタイプでカメラを接続しています。後者の場合もT2マウントアダプターが必要なのは、前者と同様です。

実際に接続した場合、下の写真のようになります。

IMG_9649

惜しむらくは、鏡筒バンドを取り付けることのできる位置が限られているので、一眼レフカメラを取り付けるとどうしても後ろが重くなりがちになってしまうことです。赤道儀などに取り付ける際はバランスに注意が必要です。


72ED用、専用レデューサー

前回の評価記事のコメントの一つに「レデューサーの性能も見たい」と言うようなコメントがありました。でも今回お借りしたのは鏡筒だけで、レデューサーは無いんですよね。

と・こ・ろ・が、前回の記事を見てシュミットさんが、な、なんと、レデューサーも評価用のサンプルがたまたまあるとのことで、貸してくれることになりました。これで俄然撮影の方もやる気になってきます。

ジャンジャカジャーン!とうとう専用レデューサー到着でーす。

IMG_9499




「焦点距離を0.85倍に縮小し(焦点距離357mm 口径比4.9)、視野周辺の星像を改善する」とのことなので期待大です。定価は40,975円(税込)ですが、今ホームページを見ると20%オフになっていて税込 32,780円になっていました。鏡筒の値段が税込 47,300円なので、決して安いものではありませんが、価値があるかどうかは後の実際の画像を見て判断してみてください。


専用レデューサーの実際の取り付け

レデューサーの取り付けは、中にマニュアルが入っているので迷うことはないかと思います。ただ、日本語になっていないので少しわかりにくいかもしれません。簡単にですがここで解説しておきます。

まず、付属の2インチスリーブを回して取り外し、代わりにレデューサーに付属のアダプターリングを取り付けます。レデューサー本体の前後のキャップを回して外し、そのアダプターリングに直接取り付けるだけです。

IMG_9505


(お詫び: 初出記事にレデューサーのネジ径に間違いがありました。レデューサーのカメラ側の接続ネジはM48径が正しいです。ご迷惑をおかけしました。)

次にカメラ用アダプターの接続ですが、ここで問題が発生しました。レデューサーのカメラ側のネジがM48ではないようで、普通のT2アダプターだとM42が標準のようでねじ込むことができません。

ホームページ
にはきちんとM48と書いてあります。しかもよく見ると「同社」専用アダプターを使って下さいと書いています。

EOS用、NIKON用があるようです。





さらに専用の回転装置もあるようです。



回転装置は鏡筒とレデューサーの間に挟むものなので、レデューサーとカメラ間の距離はカメラアダプターのみで決まるようです。

さて、レデューサーについているカメラ側のネジを実測するとM53のやはりM48のようです。私の場合はたまたま持っていたタカハシのカメラマウントDX-S EOS:KA01250がM53の一段下がった内側についているネジがM48だったので、接続だけはできました。

下の写真の左がレデューサー、右側のアダプターが一般的なT2アダプターでM42(自宅にあるのは3つともM42でした)、真ん中がタカハシのM53ので外側がM53、内側にM48が切ってあります。径の違いが写真でもわかるかと思います。カメラ接続アダプターを購入するときはT2(M42)でなく、間違えずにM48のものを選んでください。バックフォーカスも考えると、上記の専用品を買うのが良いのかもしれません(すみません、今回は検証できていません)。


IMG_9738


今回このタカハシのM53のアダプターの内側のM48を使って固定することで撮影しましたが、専用品と違ってカメラセンサーまでの距離が変わりますし、ねじ込みも数回転しかねじ山が引っかからずに少し不安だったので、あり合わせのものを使わずに、専用品を購入した方がいいでしょう。

さて、とりあえず撮影の準備ができました!実際に撮影して星像を見てみましょう。


撮影環境

今回はセットアップしたEVOSTAR 72EDを手持ちの赤道儀CGEM IIに鏡筒を載せて撮影しています。
  • 露光時間30秒でM42付近を撮影しています。
  • テスト撮影で星像を見るだけなので、1ショットの30秒短時間撮影の撮って出しとしています。
  • スタックなどの画像処理は一切していません。
  • QBPなどのフィルター類も入れていません。
  • カメラはEOS 6D。天体用に赤外線フィルターを外したものです。

赤道儀への取り付けですが、先に書いた通り、前後バランスはやはりカメラがついているせいもあり、後ろ側が重いです。赤道儀に取り付ける際、できるだけ前の方に取り付けるようにします。


フルサイズ星像

撮影結果です。まずは鏡筒単体です。露光時間30秒は全部共通、ここでのISOは3200です。JPEGの撮って出し画像になります。

IMG_5427

やはり、アポクロマート鏡筒と言っても2枚玉の限界、さすがに四隅の星像は大きく歪んでしまっています。さらに気になるのが周辺減光です。撮って出しなのでなんの加工もしていません。思った周りが暗くなるようです。

四隅を拡大して見てみます。300ピクセル四方を切り出しています。最周辺の8マスがフルサイズ換算、中の周囲8マスがAPS-C相当になります。

IMG_5427_cut

中心像はいいのですが、やはり素のままの鏡筒ではフルサイズでもAPS-Cでも星像の流れは大きいです。


専用レデューサーでの星像

次に、専用レデューサーでの星像です。0.72倍で明るくなるので、ISOを1600に落としてあります。あとは露光時間30秒も含めて全て同じ条件です。あ、回転角は取り付け時にサボって合わせなかったために(合わせるためにはイモネジを緩めて調整する必要があります)適当です。こんなことを回避するためにも専用回転装置はあったほうがいいのかと思います。

IMG_5429

レデューサーのおかげで鏡筒単体に比べて、圧倒的に星像が改善されています。あと、特筆すべきが周辺減光の改善です。普通は周辺減光厳しくなるのかと思いましたが、JPEG撮って出しで特に何もしていないので、実際に改善されているものと思われます。

四隅も拡大して見てみます。

IMG_5429_cut

相当いいです。フルサイズだと、よく見るとまだ少し歪んでいるところもありますが、APS-Cだとほぼ点像になっています。しかも今回使ったカメラ接続アダプターが専用のものではないので、レデューサーとカメラセンサー間の距離がメーカー推奨値と違うため、最適化されたものとはまだ違う可能性があることも考慮に入れておく必要があります。それでも十分な星像です。

手持ちのものに例えるなら、フルサイズだとFS-60CBにレデューサーをつけたものとそう変わりはないくらいでしょうか。この値段でこれだけの星像を得られるのは、ある意味驚きです。撮影にも余裕で耐えることのできる十分な性能だと思います。


まとめ

今回の記事で、フルサイズまでの星像を見てみました。素のままでは2枚玉の限界もあり、四隅の星像は乱されてしまいますが、レデューサーをつけることで相当改善することがわかりました。APS-Cサイズならほぼ点像、フルサイズでも十分許容範囲の星像です。

初めてのアポクロマートとしては相当魅力的な値段がつけられているEVOSTAR 72ED。前回の記事で電視観望用として最適ではと書きましたが、レデューサーを取り付ければ撮影用鏡筒としても十分な性能を発揮しそうです。


EVOSTAR 72ED関連の記事、まだ続きます。あと2つくらいネタがあります。乞うご期待。

2020/3/15 追記: 次の記事でレデューサーに引き続き、フラットナー?を試しています。




今回の目的は、AZ-GTiの経緯台モードを使って、できるだけ簡単に星雲を撮影しようというものです。


もっと簡単に星雲とか撮影できないか? 

ここしばらく、できるだけ簡単に星を楽しむことができないかを考えています。明るい広角レンズとただの三脚を使った電視観望もその過程のひとつです。これはQBPという武器があって初めて実現することでした。

同様に、撮影に関しても高すぎる敷居をもっと下げることができないか、ずっと考えていました。もちろん、究極的な画像を求めよういう場合は別ですが、もっと手軽に、画質は自分で満足できればいいくらいの撮影というのも、あっていいと思うのです。ここではAZ-GTiを武器として試しています。

眼視から少し手を伸ばしてみたい、電視観望よりもう少し綺麗な天体を自分で撮ってみたいとかいう人たちがきっといるはずです。天体写真の敷居を下げることで、天文人口を増やすことにつながればと思います。


経緯台撮影の問題点

赤道儀は極軸合わせなど、若干敷居が高いので、より簡単な経緯台を想定します。今回は自動導入と自動追尾がついているAZ-GTiを使うことにします。

しかしながら経緯台は撮影にはあまり向いているとはいえません。問題点は二つあります。
  • 経緯台なので撮影していると写野が回転していくのですが、それをどうするか?
  • ガイドも当然なしなので、星像がふらついたり流れたりして長時間露光ができない点。

でもこれらは、もしかしたら電視観望で培った技術が解決するのではと考えるようになってきました。カメラは一眼レフカメラは使わずに、その代わりに電視観望のようにCMOSカメラを使います。


撮影手順

簡単星雲撮影のセットアップは基本的に電視観望とよく似ています。今回はテスト記事なので全くの初心者が必要な細かい手順の説明は省きます。電視観望をやったことがある人くらいが対象です。本当の初心者向けの記事は、もっと細かい位置からの手順を踏まえて後日まとめるつもりです。

IMG_9267

経緯台にはAZ-GTi、鏡筒には評価用に手元にあったSkyWatcerのEVOSTAR 72EDを使います。比較的安価なアポクロマート鏡筒なので、初心者にも手頃かと思います。CMOSカメラはASI178MCを使います。ASI224MCでも良かったのですが、安価で少しでもセンサーの大きさを稼ぎたかったのでこれにしました。
  1. 今回のターゲットは初心者向けに、かなり明るいオリオン大星雲M42とします。
  2. AZ-GTiは経緯台モードで自動追尾します。精度はそこまでないのと、原理的に写野が回転していくので露光時間は長すぎると星が流れていきます。長くても30秒くらい、できれば10秒くらいまでが無難。今回は短めの3秒としました。
  3. ソフトは定番のSharpCapを使います。
  4. ゲインは高すぎるとノイズが多くなってしまいます。逆に低すぎると何も映りません。露光時間は短めなので、少し高めでもよくて、最大のゲインから1段か数段下げるといいかと思います。今回は310としました。
  5. 目的の天体がそこそこ見えていたらSharpCap上でライブスタックをしてみます。
  6. ライブスタックパネル左下の何分かおきに画像を保存するにチェックを入れます。今回は3分にしておきました。
  7. AZ-GTiの精度だと、長時間撮影していると画面がずれていくかもしれません。例えば10分くらい経ってから画面を見てみて、もし天体がずれているような時は再びSysScanのコントローラーを使って天体を真ん中に入れます。その際、ライブスタックのリセットボタンを押すのを忘れないようにしてください。
ポイントは、星像が流れないようにするために、短時間露光に抑えることです。その一方露光時間が短いと読み出しノイズが支配的になりがちですが、そこは枚数を稼ぐことで緩和します。ゲインが高いのでダイナミックレンジが不足しがちですが、淡い部分を映し出す方を優先します。また、ライブスタックを活用することで、撮影枚数を減らします。

と、ここまで読んで分かる通り、やっていることは電視観望とほとんど大差ありません。それでも、赤道儀やガイドなどの、通常の撮影に比べて遥かに手軽なことがわかると思います。

今回はライブスタック3秒x60スタックで、一枚あたり3分露光した画像を、合計1時間程度撮影し、その中の画面からずれていない10枚、30分ぶんの画像を取得しました。画像のズレはAZ-GTiのものもありますが、1時間も撮影するとそもそも15度程度写野が回転してしまいます。

写野の回転は原理的にどうしようもありません。多少の回転はトリミングで見えないようにします。なので超長時間露光は難しいですが、それとて時間が経ったらカメラ自身をマニュアルで回転させてしまえば対応できないこともありません。


撮影画像のスタック

初心者にとって厄介なのは、撮影よりもむしろ画像処理です。

写野の回転と同時に、周辺の歪みによるスタック時のずれが問題になってくる可能性があります。今回はPixInsightで星を認識して星像を合わせるような重ね方をしています。でも初心者にPIを求めるのは酷と言うものです。

ステライメージは回転は補正してくれますが、画面を歪めて星を重ねるような機能はないので、こういった場合は難しいです。あとはDSSでしょうか。DSSは一番最初に星を始めた頃に触っただけなので、ほとんど理解していないのですが、調べた限りでは画面を歪ませて合わせるような機能はないみたいです。

そういった意味でも、小さめのセンサーを使って星像がブレにくい中心像だけ使うと言うのは理にかなっているとおもいます。DSSは無料で使えることもあり、最初からあまりお金をかけることができない初心者にとってはほとんど唯一の選択肢になるので、検討する余地は十分にあると思います。


追尾時のズレの様子

撮影した10枚をスタックして画像処理をしてみました。まず、どれくらいずれている10枚でやったのか、スタック直後でストレッチだけかけた画像です。

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初期アラインメントがワンスターアラインメントしかやっていないので、AZ-GTiの設置時の水平度不足による並行ずれと、長時間の撮影による回転のズレが生じているのがわかると思います。

水平精度をさぼったので、並行ズレは結構酷くて、10分に一回くらい構図を合わせ直していました。ちなみに、20枚撮影して落とした10枚は、様子を見ていなくて平行移動し過ぎてはみ出していたもので、10枚全部がそれです。さすがにこれはひどいので、水平をきちんと取ることにより、もう少し抑えることができるはずです。逆に言うと、星像のズレとかで落としたものは一枚もないです。SharpCapのアラインメントは相当優秀です。

回転ずれは時間とともに出てきます。もっと短時間で終わらせてしまうのも一つの手です。


撮影した画像の仕上げ

画像処理をして、そこからトリミングしてまともなところを切り出します。画像処理にそれほど時間をかけていないのでイマイチなところも多々ありますが、経緯台で簡易で撮ったにしては、そこそこ写るのかと思います。

integration2_cut
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 撮影時間: 2020年2月1日22時25分
  • 鏡筒: SkyWatcher EVOSTAR 72ED
  • 経緯台: SkyWatcher AZ-GTi
  • カメラ: ZWO ASI178MC
  • 露光: ゲイン310、3秒x60枚のライブスタック x10枚 = 総露光時間30分
  • フィルターなし、SharpCapでのリアルタイムダーク補正 (3秒x16枚)あり、フラット補正なし
  • PixInsigjt、Photoshopで画像処理
トラベジウムとか少し多段でマスクをかけましたが、そもそも短時間のラッキーイメージングの手法に近くて露光不足気味で、元々ほとんど飛んでいないところが効いてきています。


いっそ、一枚撮りで


もう一つの方法が、ライブスタックの画像保存までの時間を10分とか20分とか長くしてしまって、SharpCapのライブスタック結果の一枚画像のみにして、後からスタックをしないことです。

SharpCapでは、ライブスタックの最中は恒星を多数認識して、その星がずれないようにスタックするたびに画像を歪ませて重ね合わせるので、この機能を使う利点は相当大きいです。その代わりに、長時間撮影のために天体全体が徐々にずれていくのが問題になります。これは撮影の間に画面を見ていると回転していってずれていく様子が積算されていくのがわかるので、適当なところで止めてしまえばいいのかと思います。

さらに画像の保存方式も初心者にはいくつか選択肢があって、RAWのfits形式で保存することももちろんできるのですが、もっと一般なtiff形式、もしくはPNG形式でもいいのかもしれません。特に、PCで見えている画像そのものをファイルに保存してしまう機能もあるので、これを使うと後の画像処理でストレッチをする必要もなくなります。

これと似たようなことは実はかなり昔に試していて、どの形式で保存するのが綺麗かと言う比較をしたことがあります。意外なことに、SharpCapのライブスタックに任せてしまったPNGでも十分に見るに耐える画像になっています。

少し前ですが、名古屋での大晦日年越し電視観望中に1時間ほどほったらかしておいてた3秒露光の画像を、そのままライブスタックし続けた画像が残っていました。

Stack_198frames_634s_WithDisplayStretch
1時間くらい放っておいたライブスタック画像。撮って出し。

カメラはASI294MC Pro、鏡筒はFS-60CBに旧フラットナーですが、AZ-GTiでの自動追尾なので、そういった意味では今回の撮影方法そのものの、一枚撮りバージョンになります。ダーク補正とフラット補正をリアルタイムでしてあります。

撮って出しと言っていいのかよくわかりませんが、画面に見えているのをそのままPNGで落として、それをアップロード用にJPGにしたものです。撮影時間は1時間ほどと書きましたが、時間はあまりよく覚えていません。15度くらいいという画面の回転角から、それ位の長さだったんだろうと推測しているだけです。重要なのは、AZ-GTiでのほったらかしでも、水平の設置さえ良ければこれくらいの時間は位置を合わせ直すことなく撮影できることです。

上の画像をある程度仕上げてみます。回転で切れてしまっている部分をトリミング。ASI294MCはセンサー面積が広いので、中心部だけでも十分な面積が生き残っています。

まずはWindowsの「フォト」の「編集と作成」から「調整」のみを使った場合。

Stack_198frames_634s_WithDisplayStretch_win_photo
Windwos「フォト」での加工例。

簡単な調整だけでも多少は出てきます。

次はMacの「プレビュー」の「ツール」「カラーを調整」のみを使ったものです。

Stack_198frames_634s_WithDisplayStretch_mac
Mac「プレビュー」での加工例。

うーん、どうでしょうか、Windowsの方が、ディテール、ノイズともにまさっている気がします。ここら辺は腕にも大きく依存するので、容易に逆転するかもしれません。

いずれのケースでも、さすがにトラペジウム周りのサチってしまっているところは救い出すことはできませんでした。でも、一枚PNGからここら辺まで出れば、撮影を試してみるというのならある程度十分で、これに不満が出るならスタックや赤道儀を用いるなど、次のステップに進むことになるのかと思います。

重要なのは、このようなOS付属の簡易的なツールでも、多少は画像処理ができてしまうと言うことです。これは初心者にとっては大きなメリットでしょう。逆に、改めてみてわかったのは、さすがに1時間スタックは星像が多少肥大するとするということ。これは課題の一つかもしれません。

最後は、このPNG1枚画像をツールの制限なしに画像処理した場合です。と言ってもPhotoshopです。あと、最後の仕上げに今話題のTopazのDenoiseを試してみました。これは結構強力です。しかも簡単なので初心者向けです。有料なのが初心者にとって唯一のネックかもしれません。でもそれだけの金額を出す価値のあるソフトかと思います。Denoiseに関してはまた別記事で書こうと思います。

Stack_198frames_634s_WithDisplayStretch_DN_cut
Photoshop CC+Topaz Denoiseでの画像処理。


まとめ

AZ-GTiを使った経緯台での撮影は一言で言うと「やはり楽」です。似たようなことを既にやっている方も、もしかしたら初心者でも同様のことをごく自然な流れとしてやってしまっている方もいるのではないかと思います。

ポンと北に向けて適当に置くだけ、極軸を取る必要なし、ワンスターアラインメント、ガイドもなし、大きくずれたら直す、というので大幅に大変さを軽減できます。30分露光でここら辺まで出れば、最初に挑戦する撮影としてはかなり満足できるのではないかと思います。

その一方、画像処理の敷居は依然高いかもしれません。後でスタックするのが敷居が高いのも事実なので、一枚どりで画面の見たままで保存してしまうのでもいいのかと思います。あとはGIMPなどの無料の画像処理ソフトや、今回試したWindowsの「フォト」やMacのプレビューでの簡易画像処理だけでも最初はいいのかもしれません。 


後日、今回使ったEVOSTAR 72Dについて、試用記を書いています。よかったら合わせてご覧ください。



週末土曜日、満月の日。一晩中明るい月が出ていますが、北陸の貴重な晴れの日と、週末が重なったので、こんな日は絶好の機材のテスト日和です。

せっかくなので、先日シュミットで購入した月明かりでも撮影が可能だというQuad BP フィルターを試してみたいと思います。そこそこ写るなら遠征に行けない「平日」でも、「月」が出ていても、「自宅で気楽に」撮影を楽しむことができます。


セットアップ

  • 鏡筒: タカハシ FS-60Q (口径60mm, 焦点距離600mm)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • 日時: 2018年12月22日、22時頃から
  • 月齢: 15.2、満月
  • テスト対象: サイトロン Quad BP フィルター(クアッド バンドパス フィルター、 以下QBP)
少し困ったのが、QBPをFS-60Qにどうやって取り付けるかです。フィルター径は48mm。ところが、FS-60シリーズは回転装置の出口部分内側に52mmのフィルターネジが切ってあるため、48mm径のフィルターはそのままでは取り付けられません。いろいろ試してみると、回転装置と延長鏡筒の間に挟み込むと、ねじ込みや固定はできないのですが、うまい具合にピッタリはまって取り付けられそうです。

IMG_5912


コツは、フィルターのネジが切ってある側を鏡筒の対物レンズ側に入れ込むことです。こうしないと延長鏡筒を1-2回転くらいしかねじ込めなくて、不安定になります。まあとりあえず大丈夫そうなので、今回はこの状態で撮影してみます。


対象天体

M42 オリオン大星雲:
  • これまでなんども撮っているので比較しやすい。
  • 満月との距離が25度角程度とあまり遠くなく、この日は非常に明るい領域。
  • 肉眼で見ている限り、リゲルとベテルギウスはなんとか月の光に負けずに見える。3つ星はほとんど見えないくらい。

画像比較1: 同じ露光時間でQBPありなしでの比較


まずは、露光時間を同じにしてQBP有り、無しで比較してみます。JPEG撮って出し画像での比較です。

  • QBPなしの通常の撮影: ISO1600, 10秒露光
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+8cc_20181222-22h07m33s760ms

10秒以上の露光だと明るすぎなので、これくらいまでしか露光できません。

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 10秒露光
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+14cc_20181222-22h21m29s692ms


同じ時間でもQBPフィルターがあると、当然の結果ですが随分暗くなることがわかります。


なお、上の2枚とも色温度設定が3200Kと低いので青が強く出てしまっています。


画像比較2: 露光時間を変えて背景明るさを合わせる

これもJPEG撮って出しです。
  • QBPなしの通常の撮影: ISO1600, 10秒露光(画像比較1と同じもの)
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+8cc_20181222-22h07m33s760ms

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 30秒露光
M42_LIGHT_6D_30s_1600_+10cc_20181222-22h28m12s224ms

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 60秒露光
M42_LIGHT_6D_60s_1600_+8cc_20181222-22h37m16s270ms



実際の背景の明るさを比べると、最初のQBPなしの1枚と、後のQBPありの2枚を比べるとわかりますが、露光時間が3倍だとまだ少し暗く、6倍だとかなり明るいくらいなので、4倍程度の違いでしょうか。


QBPによる背景明るさの変化の簡単な推定


月の明かりが太陽の反射なので白色光に近いとして、太陽光のスペクトル

SunLightSpectrum-280-2500nm-J
(Wikipediaより引用)

にセンサーの感度曲線をかけたものと、さらに今回のQBPの透過率

qbpf_g
(シュミットの販売ページより引用)

をかけたものとの面積比を比較すると、この明るさの比になります。太陽のスペクトルは調べるとすぐにでくるのですが、EOS 6Dセンサーの感度曲線が調べても出てきません。しかも天体改造してあるので、さらに良くわかりません。

それでもものすごくざっくりとした見積もりをしてみます。太陽のスペクトルが350nmくらいから900nmくらいまではそこそこ一定とし、一般的なCOMSセンサーの感度も350nmくらいから700nmくらいまでは一定と考えます。そうすると、QBPの透過率がある部分が465-510nmと640-685nmくらいまでと読み取ります。それぞれ透過幅はともに45nmとなり、合計90nmです。透過率は95%と程度としますが、ざっくり1としてしまってもいいでしょう。すなわち、350nmのうち90nmくらい通すと考えてしまうと、90/350 x 0.95 = 0.24となり、QBPと通すと月の光で制限されるような背景の場合の光量は24%程度になるということです。言い換えると、1/0.24 ~ 4なので、露光時間が4倍くらいで同じ明るさになるということで、実際の撮影結果にもかなり合っています。

これとは別に、月明かりがない場合の人工光による光害が支配的な場合、露光時間をどれくらい伸ばせるかはまた興味深いところです。これは場所や光源の種類に大きく依存するはずですが、LED灯でも上記くらいの改善比、水銀燈やナトリウム灯ならかなり高い改善比が期待できるはずです。


画像処理をした場合のQBPの効果


さて、一番興味のあるフィルターの効果の確認ですが、画像処理をかけた場合を想定して比較したいと思います。できるだけシンプルでわかりやすくするために、PixInsightで1枚どりの上記RAW画像に
  1. ScreenTransferFunctionでLink RGB Channelsをオフにして各色のロックを外してからオートストレッチをかけて
  2. HistgramTransformationで実際に画像に適用し
  3. JPGで保存
というような工程をとりました。

上記工程で、上の3枚の画像処理したものを比較してみます。

  • QBPなしの通常の撮影: ISO1600, 10秒露光
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+8cc_20181222-22h07m33s760ms

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 30秒露光
M42_LIGHT_6D_10s_1600_+14cc_20181222-22h21m29s692ms

  • QBPありでの撮影: ISO1600, 60秒露光
M42_LIGHT_6D_30s_1600_+10cc_20181222-22h28m12s224ms


検討してみます。
  • まず、10秒という同じ露光時間のものでも、QBPありの方が構造がはっきり出ていることがわかります。
  • 次に、QBPありの場合はさらに露光時間を延ばすことができ、より構造が鮮明になります。
  • QBPなしとQBPありで思ったより色の変化がないです。これは意外でした。
最近シュミットから出たM42のデモ画像は、思ったより赤が出ていたので、青が相当出にくいのかと思っていましたが、そうでもないようです。他の方の例を見ても青は思ったより普通に出ていたので、青の出方に関してもそれほど心配ないというのが今回自分で試した上での感想になります。


簡易画像処理

QBPを通して撮った画像をスタックして、画像処理をしてみました。と言っても、結局雲間での撮影で、きちんと撮影できたのは60秒の露光でわずか18枚の、総露光時間18分の画像です。

画像処理はPixInsightでプリプロセッシング、(フラット撮影はサボってしまったので)DynamicBackgroundExtraction (DBE)で背景ムラを整えて、PhotometricColorCalibration (PCC)で恒星の色を合わせました。恒星の色がうまく出るか心配だったのですが、確かに少し近似直線上から分布がずれるきらいはありましたが、それほどおかしくないレベルで色は出ているのかと思います。

結果だけ示します。

light_BINNING_1_integration_DBE_CP_Stretched_cut

本当はもっとあぶり出したかったのですが、かなり大きなレンジ(空間周波数が低いという意味)での色むらが残ってしまっていて、背景を出すと目立ってくるので、ここら辺までに押さえておきました。この色むらはフィルターのせいなのか、総露光時間が足りないからなのか、はたまた雲が常時流れていてその合間を縫っての撮影なのでその影響が出てしまったのかなどの判断はまだできていません。

本当はM42の後、もう少し淡いカモメ星雲を撮りたかったのですが、雲が多くなってきて撮影できるレベルではなくなってしまったので、ここで撤収しました。


Quad Band Pass フィルターを使ってみて 

うーん、今回のQBPかなり良いのではないでしょうか。満月下でこれだけ遊べれば十分満足です。色が思ったより変わらなかったのも、私的には気軽に楽しめるので、いい点です。今回は雲のために実際の撮影時間が短かったのでちょっとしたテストくらいでしたが、長い時間かけてじっくり撮影してみたいです。

元々の目的が、平日で遠征などできないときに、自宅の庭で月明かりや光害下でも気軽に撮影が楽しめたらというものです。このくらいの目的ならば十分に達成できそうです。あとは、月がない環境で自宅の光害下でどれくらい効果があるかを試してみたいです。以前の結果からも、透明度がいいときはそこそこ撮影も楽しめるくらいの環境です。ただし、暗い天体は今の所、フィルター無しでは自宅庭からでは全滅です。このQBPでもう少し暗い天体も狙えるようになれば、購入しただけの価値は十二分にあります。また試してみます。


昨晩は晴れていたのですが、よく見ると薄雲がかかっていたので再度の遠征は諦めて、夜中は前日楡原で撮ったM42とC49(バラ星雲)の画像処理をすることにしました。

画像処理をしていて気づいたことがいくつかありました。
  • まずM42、C49ともにピントがやはり甘かったです。今の回転つまみの精度だと安定してピントを合わせることが難しそうなので、これは早急に改善する必要があります。減速機がうまくとりつけられるといいのですが。
  • 1時間ほどの間のスタックをしたところ、どうも星像が左右(実際の空では上下)でずれてしまいます。一枚一枚よく見ると、時間とともに 右の星はより右に、左の星はより左に動いていっています。これは撮影準備に手間取ったため、かなり西の空の低い位置で撮影したのですが、 大気の厚みの違いによる屈折率変化のために起こったものかと思われます。特に、山に沈む直前の移動量が相対的に大きいので、10枚撮ったうちの最後の方は使うことを諦めました。ステライメージ7のスタックは平行移動と回転には対応しているのですが、拡大縮小は対応していません。PixInsightは各点の星が合うようにスタックしてくれるらしいので、そろそろ購入を本気で考える時期に来ているのかもしれません。
  • 今回は静止衛星の線がほとんど入りませんでした。西の空だから?謎です。
  • M42は以前が 2分x9枚で18分、今回は5分x7枚で35分なので、分子間雲を多少出すことはできました。ただしまだまだザラザラなので、もっと時間をかけて、今度は下弦の月以降に南天で撮ることにします。
  • C49は電視観望では何度も見ていましたが、改めて写真で撮って炙り出して見ると、思ったより薄いというのが感想です。露光時間ももちろんですが、今回は西の低い空は少し明るいので、もっと暗いところで南天で撮ろうと思います。

cut

M42 オリオン大星雲
撮影地: 富山県富山市楡原, 2017年1月7日2時31分
タカハシFS-60Q(D60mm f600mm F10 屈折), Celestron Advanced VX赤道儀
キヤノンEOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出5分x7枚+3秒x10枚 総露出35分30秒
f50mm Cマウントレンズ+ASI224MC +PHD2による自動ガイド
ステライメージ、Photoshop CC+Nik collectionで画像処理


 
C49_LIGHT_300s_3200iso_lowquality
 
C49 バラ星雲
撮影地: 富山県富山市楡原, 2017年1月7日3時43分
タカハシFS-60Q(D60mm f600mm F10 屈折), Celestron Advanced VX赤道儀
キヤノンEOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出5分x8枚 総露出40分
f50mm Cマウントレンズ+ASI224MC +PHD2による自動ガイド
ステライメージ、Photoshop CC+Nik collectionで画像処理
 

ダークライブラリーの構築を始めたため、年末に撮影したM42に必要なダークフレームも撮れたので、やっと画像処理をしてみました。

今回も基本は画像処理 (その1): 一連の工程を試すに沿っています。一番の違いは、オリオン座はトラベジウム付近が明るいので、他を炙り出そうとするとすぐに白く飛んでしまうため、120秒露光に加え、3秒露光の画像でHDR(High Dynamic Range)処理を試してみたことです。

120秒露光のものは星が流れてしまったものや、静止衛星の軌跡がひどいのを除くと使えるものはわずか9枚でした。これらを通常のベイヤー配列で開き、ダーク、フラット処理をして、ホワイトバランスを自動でとりつつRGB変換をしてからスタックし、いったん保存します。ここから色々試すのですが、今回はステライメージの流儀に忠実に、レベル補正で白飛びを気にせずに攻め込みます。デジタル現像機能で白飛びを抑えて.tif形式で保存し、Photoshopに渡します。

PhotoshopではNik collectionのColor Effect Pro 4の「ディテール強調」とトーンカーブ補正を少ししました。Sharpner Pro 3: (1) RAW PresharpnerとDfine 2も試しましたが、今回はほとんど効果は見られませんでした。両方とも前回は目を見張る効果があったのですが、なぜでしょうか?画像によって得意不得意があるのかもしれません。

一方、3秒露光のほうも同様にデジタル現像まで済まし、Photoshopでファイルを開きます。120秒露光の方に新規レイヤーを作り、そこに3秒露光の画像をコピペします。そのレイヤーを全選択して、不透明度などを利用しながら、下のレイヤーと星の位置をぴったり合わせます。

ここからは西條善弘著「天体写真のレタッチテクニック」の一番最後に出ているHDR画像の生成を参考にしました。まずは3秒画像のレイヤーを選択状態にし、「レイヤー」->「レイヤーマスク」->「すべての領域を表示」と選択して3秒画像のレイヤーマスクを作ります。次に120秒画像をCTRLキー+Aなどですべて選択し、CTRLキー+Cなどでコピー。そして3秒画像のレイヤーマスクをALTキーを押しながら選択し白い画面が見えたところで、「編集」->「ペースト」で120秒画像が白黒になった画面が見えればOKです。あとは適当に3秒画像のレイヤーの不透明度を適当に調整すると、M42の中心が飛ばない程度の中トラペジウムも含む恒星が埋もれない画像ができます。

いったんここで保存し、少し背景がざらついていたので、その後、再度ステライメージ7に持っていって、バックグラウンドスムースをかけました。

出来上がった画像が以下のものです。


final_ls

撮影データ: 2016年12月28日21時44分, タカハシFS-60Q(D60mm f600mm F10 屈折), Celestron Advanced VX赤道儀, キヤノンEOS 60D(新改造, ISO3200, RAW), 露出2分x9枚+3秒x15枚 総露出18分45秒, f50mm Cマウントレンズ+ASI224MC +PHD2による自動ガイド, ステライメージ、Photoshop CC+Nik collectionで画像処理, 撮影地/富山県富山市


今回は自宅撮影で、それほどいい環境でなかったことと、使える枚数が少なくて結局露光時間があまり稼げなかったので、暗い部分の細部を出し切ることが出きませんでした。背景もまだまだざらつき感が残っています。また、中心部はもう少し白を落としてもよかったかもしれません。それでも3秒露光を併用することで、ホワイトを飛ばさない手法がある程度確立できたのがすごくうれしいです。これは明るい恒星一般に有効みたいで、今回は恒星周りも飛んでる範囲が前よりかなり少なくなっています。

もう一つ、今回ステライメージ7のデジタル現像の効果を少し見直しました。HUQさんとの議論でトーンカーブでデジタル現像のようなことをできることを教えてもらったのですが、白飛びをなくすことを目的に、気軽に処理をするという観点から考えると、このデジタル現像は非常によくできた機能かと思います。「デジタル」とか「現像」とかいう名前から色々想像してしまって、これまであまり理解できずにブラックボックスに近かったので少し不安だったのですが、ある程度理解した上で使うとかなり便利で効果的です。


2016/12/28、久しぶりに綺麗に空全体が晴れわたっているので、自宅でM42を撮影しました。SWAT-200は構造的にまだ弱そうなので、一旦注文している機材が到着するまでお休みで、今日は久しぶりにAdvanced VXでの撮影です。とりあえず、何でもいいのでまともなM42を撮っておきたいという希望もあります。

いい機会なので、一度、現在の撮影までの手順をまとめておきます。
  1. Advanced VXの設置と水平出し
  2. 鏡筒を赤道儀に取り付けと水平出しの再確認
  3. CCDとStick PCの接続
  4. Stick PCの起動
  5. iPadのリモートデスクトップでStick PCに接続
  6. Advanced VXの起動
  7. SharpCapでの極軸調整 、その際の赤経回転は赤道儀のモーターを使う
  8. Advanced VXでの3-4個の星を使ってのツースターアラインメント、その際アイピースを使用
  9. アイピースを外し、カメラを鏡筒にとり付けて、カメラとStick PCと接続
  10. Backyard EOSを立ち上げ、カメラを認識させる
  11. 明るい星に向けて、Backyard EOSのフォーカスモードでピント調整
  12. PHD2を立ち上げ、CCDと赤道儀を接続
  13. PHD2で露光開始
  14. ターゲットの天体に向け、PHD2上のCCDの画面とBackyard EOSの画面で位置を確定。
  15. PHD2上でガイド星の自動選択
  16. ガイドを開始し、キャリブレーションののち、実際のガイドが始まる
  17. Backyard EOSでテスト撮影と本撮影の開始
と、こんなところです。結構な手順ですね。それでもStick PCのおかげで、その後は自宅に戻って暖かい中でネットワーク上のRemode Desktopで撮影の様子を見ることができるので本当に楽です。

その他、気づいたことは、PHD2でガイド星のS/Nが30程度ないとガイド時の誤差が大きくなることです。ダメな時は再度ガイド星を選択し直します。

今日はISO3200で2分間露光、30枚が目安です。白とび防止にISO3200で3秒露光も30枚撮っています。最初のトライは全て取り終わった後にピントが甘いのが判明して失敗と判断。暗い星を使ってピントを合わせたのが間違いでした。

2度目は近くのリゲルを使いました。ところが風が出て来たようで、少し揺れている画像が多くなって来ました。さらになんですが、なんでこんなにオリオン座の周りって人工衛星が多いのでしょう?最悪で人工衛星の軌跡が4本入る時があります。軌跡のないのを探すと30枚のうち8枚なので25%くらいの成功率になってしまいます。とりあえず軌跡が豪快に入ったjpeg撮って出しを載せておきます。

BAD_M42_LIGHT_120s_3200iso_+10c_20161228-22h22m16s537ms

撮影を続けていたら、突如家の中から接続ができなくなりました。もしやと思って外に見に行ったらバッテリー切れでした。夕方5時半頃に初めて夜11時半に切れたのでHUQさんの予測通りほぼ6時間で切れたというわけです。大容量バッテリーの必要性が出て来ました。

画像処理はまた試したら記事にします。(追記: 2017/1/3に画像処理をしてみました。)




 

ここ最近立山がとても綺麗に見えて、空気の透明度がすごく高いみたいです。

今週末は金曜が牛岳で、19時頃から下の子と出かけましたが、22時頃にはすっかり雲がかかってしまい、撃沈です。子供がいたのでその相手をしながら準備していたら、ほとんどセットアップして少しだけ電視して、撮影する間も無くそのまま片付けただけでした。22時前くらいに県天のYさんが来たのですが、その頃にはオリオン座を残して雲だらけでした。話しているうちにオリオン座も雲に隠れてしまい、この日は撤収しました。Yさんはその後もしばらく粘るといっていましたが、どうだったでしょうか?それでも自宅に戻ると多少空は出ていたのですが、この日は眠いので諦めてしまいました。

土曜も天気が良かったのですが、日曜日に予定があったので、自宅でSWAT-200のオートガイドを試しました。先日大阪のKYOEIでリモコンを買って来たので、オートガイドの準備がほぼ整ったからです。これまでのAdvanced VX (AVX)でのガイドではASCOM経由で直接PCと赤道儀をつないでガイドしていたのですが、SWATの場合はPCとつなぐのはCCDのみで、CCDからSWATのリモコンへと6端子の電話線コネクタのようなケーブル(ZWO ASI224MCに付属でついていたものを利用)でつなぐだけで、なんとCCD経由で赤道儀を制御できるのです。元々この方式が一般的らしいのですが、計算機から出るケーブルが一本だけになるので、コンパクトになりびっくりでした。

ただし、6端子のケーブルとリモコンがかさばるので、まとめれないかとリモコンの蓋を開けてみたのですが、ほとんど線をつないであるだけで、うまくすると自作で短いケーブル一本にまとめることができそうです。

IMG_0697


とりあえず今回はテストなので、そのままつなぎます。ガイド用のCCDや鏡筒などは前回のガイド時と同じASI224MCにCマウントの50mmのレンズをつけて、FS-60Qで試しました。三脚はManfrottoのMT294A4の足を最大まで開いた、一番安定になる状態で使っています。

極軸をSharpCapのPolar Align機能を使い合わせます。AVXでは押しネジで赤道儀の回転の微調整ができるのですが、今回のSWATにはまだ微動回転台を導入していないので、三脚の足を地面のところでずらしながら合わせます。以外にもちょっと丁寧にやれば1分角以内での合わせこみが可能なことがわかりました。

PHD2を立ち上げます。接続は、CCDカメラは計算機とUSB3.0で接続してから、前回と同じZWOシリーズを選択すると、ある程度自動でパラメータが入ります。マウント(赤道儀)は何を選択するのか迷ったのですが、CCD経由でつないでいる場合は「On Camera」で大丈夫なようです。AUXは無し、AOも無しです。

露光時間を0.1sに選び、「露出ループの開始」を押し、「ツール」メニューの「ガイド星の自動選択」を押すと、すぐにガイド星が見つかるのも前回と同じです。ところがそのまま「ガイドを開始」を押すと、キャリブレーションが始まります。前回キャリブレーションなどせずにガイドができたと書きましたが、もしかしたらキャリブレーションが自動でされていたのに気づいていなかっただけなのかもしれません。今回はガイドの一番最初にキャリブレーションが始まりました。

問題は途中で「バックラッシュクリア失敗: ガイド星が十分に動きません」と出て止まってしまうことです。確かに最初のキャリブレーションではターゲット星は画面の中で動いているのがわかるのですが、バックラッシュを測定するときにターゲット星は全く動いていないようです。ここで、なぜ動かないのか少し悩みました。よくよく考えると、SWATは一軸制御で、バックラッシュというのは赤緯方向の調整だと気付き、当然動かないわけだというのに気付きました。

ところがさらにこのバックラッシュ調整をスキップする方法を探すのに悩みました。キャリブレーションの値を手入力で入れると確かにキャリブレーション自身をスキップできるのですが、どうもうまくガイドできません。おそらく制御ゲインと赤経の角度の設定が適当なのがまずいことはわかるのですが、どのような値がいいのかもまだよくわかりません。そこでマニュアルを読み込んでいくと、「脳みそマーク」のボタンを押して「詳細設定」を出し、「Algorithms」タブの「赤緯(Dec)ガイドモード」を「none」にすれば一軸制御になるということがやっとわかりました。これでやっとガイドができて、赤経のエラーは0.2から0.3ピクセルの範囲に無事に収まるようになりました。

もう一つ悩んだことがありました。ガイドがうまくいくようになったので、視野をM42に合わせてみて、実際にガイドを始めたら全くうまくいきません。念のためもう一度キャリブレーションを試したのですが、キャリブレーションも一番最初から全くうまくいきません。ガイド星を見失っているみたいです。よくよく見たら、キャリブレーション時にガイド星がジャンプしまくっていました。もしやと思い、SWATのリモコンを見直したら、一番下のスイッチが倍速モードに切り替えてありました。M42を入れるときに結構苦労して中心に持っていったので、そのときにリモコンで微調整したときに倍速モードに切り替えたのをすっかり忘れていました。ノーマルモードに切り替えたらその後は無事にガイドもでき、BackYard EOSでのM42の撮影に入りました。300秒露光で撮ったjpegの無加工のものを一枚載せておきます。23h59m57sからですが、人工衛星のラインが2本入っています。「ひまわり8号」、「ひまわり9号」のようです。そのちょっと前のコマには超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」も写っていました。

LIGHT_300s_1600iso_+18c_60D_20161203-23h59m57s857ms


ちなみにSWAT-200の性能ですが、まだラフなテストだけですが、ノータッチガイドで180秒でも星像が流れないこともありますので、ピリオディックモーションに関してはAVXよりはいいように感じます。いずれきちんと測定します。問題はガイドをした時で、300秒の露光で星像が流れない時ももちろんあるのですが、12枚撮影し、最初の方は赤経方向にのみ流れているのが何枚かあり、後半は赤経方向にのみ何枚か流れているのがありました。ここら辺はまだ原因の解明中です。

いずれにせよ、SWAT-200での撮影はAVXをセットするよりははるかに軽く、荷物も少なく、手軽で、気楽です。電車で持って行けるレベルに収まりそうです。これがうまくいったら電視での自動導入の目的以外ではAVXを使わなくなるかもしれません。

今回思った改良したい点です。
  • CCDの視野の中心と鏡筒の視野の中心を合わせるのが難しいです。CCDの所に微動回転台が必要かもしれません。
  • 赤経方向の微調整はSWATの早送り機能を使えばいいのですが、鏡筒が自由雲台の上に乗っているので、赤緯方向のみ微調整するという手段がありません。こちらも赤緯方向のみ回転する台があってもいいかもしれません。
  • 撮影中はカメラのシャッターを押さない限り、望遠鏡の中心がどこを見ているのかわかりません。その場合はガイドCCDの画像で大まかな位置を合わせるのですが、ASI224 (3.75μm, 1304 × 976) + 50mmの画角が5.50° x 4.12°、一方焦点距離600mmのFS-60QにEOS 60D(CanonサイズのASP-C: 22.3 x 19.4mm)の場合の画角が2.13° x 1.42°で2.5倍くらいの開きがあります。CCDはファインダーとしては中途半端に画角が狭く、望遠鏡の中心を出したり、ガイド用としては中途半端に精度不足です。今のCCDにはもう少し焦点距離の長いレンズをつけて、もう一つ別に短い焦点距離のレンズをつけたファインダーがわりのCCDが欲しくなります。
  • 県天のYさんはRasberry Piを使いLinuxのガイドソフトで、全てWifi経由でリモート化しているそうです。寒い時は車の中からや自宅からの撮影の方がはるかに快適です。HUQさんが言っていたスティックPCの導入を本気で考え出しました。

その2に続きます。




 

2016/10/24、今日は久しぶりに空が晴れ渡っています。透明度もまあまあで、自宅から天の川は見えないまでもかなりの数の星が見えています。すばるは肉眼で余裕、M31がなんとかといったところでしょうか。

というわけで、昨日のFS-60Qの単焦点化によりFS-60CB相当になり、さらにレデューサーが入っているので焦点距離は180mm程度、それに加えて今回初めてIR/UVカットフィルターを入れて試します。今回は絶好のテスト日和となりました。自宅庭での電視で、カメラはいつものASI224MCです。

結論だけ言うと、大満足。観望会でこれだけ見せることができたら、きっと誰もが大喜びだと思います。

iPhoneでPCの画面を撮った順の、時系列でいきます。まずは北アメリカ星雲とペリカン星雲を連続で。同じ設定で、少しだけ位置をずらして撮っています。

IMG_0389

IMG_0391


10秒露光です。十分色が出ているのがわかると思います。以前8mmのCSマウントレンズで撮った時は無理やり色を出していた感はありましたが、今回はそんなことをせずとも、はっきりと色と形が出ています。さらに言うとIR/UVカットフィルターが効いていて、赤カブリの無いかなり自然な色合いになっています。ただ、この時点ではSharpCapの調整がまだ最適化まで程遠く(特にDisplay Gamma)、次の写真を見るとわかるように、今ならもう少しうまく出すことができるかもしれません。

次は昨日のリベンジのM45: すばる(プレアデス星団)です。 

IMG_0398

 
圧倒的に綺麗になっているのがわかると思います。青い星間ガスも完全に見え始めています。これも10秒露光です。天気がいいのももちろんありますが、SharpCapの調整に慣れてきたことが大きいです。

続いてM31: アンドロメダ星雲です。なんと微細構造も見えてしまっています。

IMG_0405

M32も見えていますね。実は普通に出回っている画像と逆さまになってしまいました。撮影した時間帯ではほぼ天頂にあったので、カメラの向きがどちらか確定しなかったからです。それと、あと少しずらしていればM110も入ったのにと、後から気付きました。

最後はM42: オリオン大星雲です。

IMG_0412

2秒露光で余裕で見えます。スタックなしで250m秒でも鑑賞に堪えました。スタックすると相当細かい構造が見え始めます。

まだ天気はいいのですが、明日の仕事のこともあり、ここで撤収しました。もし観望会で、これだけ見せることができれば、皆さんかなり満足するのではないでしょうか。今回はオリオン大星雲を除いて、すべて10秒露光と、リアルタイム性には少し欠けますが、観望会中の、この場所の、この空に出ているものをこれだけのレベルで見せることができたら、多少時間がかかってもいいのではないかと思います。以前KyoeiのMさんが言っていましたが、長くかかることがわかると、お客さんからカウントダウンが始まるらしいです。そんな雰囲気になるのもまた面白いのではないかと思います。

ただ注意すべきことは、これらの画像はSharpCapの調整を駆使した後に出てきたものです。その場で調整をし出すとかなりの時間を食ってしまうことになると思います。なので、あらかじめ調整を詰めておいて何通りかの設定ファイルに残しておくなどの必要があると思います。


今回の撮影で、やっと電視観望に少し満足しました。α7Sも欲しいですがなかなか予算が取れないことと、SharpCapの機能がすごいので、しばらくはこれでいこうと思います。できるだけ準備にかける時間も少なくして、手際良くやる練習をしておきたいです。電視ファインダーは必須ですね。

やっと観望会で喜んでくれるお客さんの顔が想像できるようになりました。早く実戦で試してみたいです。

 

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