ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:M33

前回の記事で、SCA260の揺れの対策のことを書きました。



今回はその成果を見てみようと、1作例目でLRGBで撮ったM33にHαで追加撮影して、赤ポチを入れてみようと思います。赤ポチを入れる事自体初めてなので、どうなるかとても楽しみです。


赤ポチとHαバブル

今回はいきなり結果から見せることにします。赤ポチが入ると相当派手になります。
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright4

今回注目したのが銀河の周辺部にある泡のようなHαの丸いかたまりです。バブルみたいに見えますね。これはどう言う過程で生まれるものなのでしょうか?一個一個が超新星爆発?とにかくここを出したくて、かなり盛ってみたというわけです。

そもそもHαで見ると、なんで銀河内にこんなに明るいところが点在しているのでしょうか?「赤ポチ」という言葉が使用されるのはアマチュア天文に限られているようですが、それぞれの場所で何かHαで光る物理的な過程があるはずです。我々の銀河も、天の川を撮影するとよくわかるように、断面で見るとHαで光っていることがよくわかります。わからないのは、このような領域が点在している理由です。

少し調べればわかるのですが、Hαで光るのは水素原子のバルマー系列線のエネルギー準位がn=3からn=2へ電子が遷移するときに出てくる時に出てくる光です。星間密度が高いところではHαでよく光っていて、その領域では星が盛んに形成されているとのことです。

とすると、今回撮影した赤いところは銀河形成の過程で物質が密になっているような場所なのか?もしそうだとすると、銀河の周りにあるバブルのようなHαはどう説明できるのか?全く違う過程なのか?興味は尽きません。


赤ポチの出具合

今回の画像、少し派手すぎるかもしれませんが、まあ嬉しかったと言う事で盛り込んでみました。日本だと派手すぎでもっと控えめなのが好みな方のほうが多いのかと思います。少し落としたものですがこれくらいでしょうか?
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright4_modest
でもここまで落とすとバブルがほとんど見えなくなってしまうので痛し痒しです。

その一方、海外に目を向けると上のが地味に見えるくらい盛っている画像もあるようです。もっと派手にしたバージョンです。海外だとこれくらい派手なのも珍しくありません。
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright4
ここら辺は文化や好みも多分に関係しているのかと思いますが、ここまで盛るとバブルも相当はっきりしてきます。うまくバブルが見えて派手にならない方向を探るのもいいのかもしれません。

ちなみに、今回Hαで加えた部分を外すと以下のようになります。上の画像を見てからだとかなり寂しく感じてしまいます。
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright4_noHa
Hαで盛れるので、Hα以外の部分は前回の画像より少しだけ控えめの処理にしてあります。

さてさて、今回のHαの撮影、実は失敗続きで撮り直し撮り直しで、3回目の撮影でやっと使える画像なったものです。アホなミスばかりですが、反省がてらきちんと書いておこうと思います。いつものように長くなって申し訳ないのですが、もし興味があればこれ以降お付き合いください。


撮影時の揺れ

まず、揺れについて少しまとめておきます。結論だけ言うと、上部プレートとガイド鏡を外す事で、劇的に改善されました。その日のシンチレーションの大きさによりますが、改善前はかなりの確率で
  • 赤道儀の揺れ > シンチレーション > 風 > 地面振動
だったのが、
  • シンチレーション > 赤道儀の揺れ > 風 > 地面振動
が典型的となりました。

改良前は1分の露光では以前はかなり甘めに判断して半分程度の救出率だったのが、改良後は1分露光では普通の判断基準でほぼ全て救い上げることができるようになりました。3分露光も少し試しましたが、少し揺れてしまいました。ただし揺れの方向が一方向ではなくランダムだったので、おそらく(地面振動を防ぐために柔らかい振動吸収パッド三脚の足の下に置いていたので)風強くて揺れていて
  • 風 > シンチレーション > 赤道儀の揺れ > 地面振動
と言うような状況になっていたと思われます。これは再度確認したいと思います。

いずれにせよ、かなり状況は改善されてきているため、露光時間10秒とか1分とかのラッキーイメージに頼るような手法では既にOK、これ以降さらなる長時間露光での撮影に進みたいと思います。


撮影1回目: オフアキうまくいかず、ガイド鏡を使う

SCA260の改良後の11月28日、Hα画像の撮影を試みました。でもこの日はトラブル続きです。

まずフィルターがホイール内部で引っかかりエラーが出ていました。これはホイールに取り付けるアダプターリングを入れ込みすぎたためでした。これまで取り付けていた厚さ1mmほどのスペーサーリングを挟むのを忘れてしまっていたことが原因です。これだけでも原因がわかるまで30分ほどかかっています。

次に、今回ガイド鏡を使わずにオフアキに切り替えようとしたのですが、そのオフアキ用に用意したカメラASI290MMで星が全く見えまえん。プリズムの向きを間違えたかとか思ったのですが、確認してみても問題なさそう。ピントが合わないだけかと思って、一度主鏡で合わせたピントを崩して、フォーかサー位置を短くしたり長くしたり、オフアキに差し込んでいるカメラアダプターを出し入れしたりしましたが、やはり何も見えず。

結局、時間がもったいないのでガイド無しで撮影を始めることにしました。極軸はそこそこ合わせてあるので、1分露光くらいならピリオディックモーションも目立たず何とかなるでしょうと、この時は思っていました。ところが、肝心の揺れはというと全然収らなかったのです。

でも揺れをよく見ると、これまでの揺れと全然違います。これまでの揺れは赤経が動く方向に長く伸びるのですが、今回は丸が大きくなったり、揺れの方向が定まらずランダムです。ははぁ、と思いました。星像が丸く大きくなるのはおそらくシンチレーションが原因です。あと風が強かったので、星像が方向が定まらずに伸びるのはおそらく風のせいです。ガイドは数秒以上の揺れなら抑えることができるので、風の方向を抑えるのには結構効くのではと推測し、急遽ガイド鏡を復活させ、下部プレートに小判鮫状態で取り付けたというわけです。

効果はかなりあり、少なくともこれまで困っていた星像が一方向に長くなるのはほぼ抑えることができました。赤道儀の揺れはかなり収まったとは思うのですが、シンチレーションで星像がかなり大きくなっていて細部が全然出ていません。赤道儀の揺れがシンチレーションに隠れてしまい影響が少し見えにくくなっている可能性は否定できません。シンチレーションのいい日に再度撮影して、きちんと評価してみたいです。

もう一つ気づいたのが、長時間ガイドでのドリフトがほとんど出ないことです。ガイド鏡を下に移動したことで回転軸に対してより近くなり、実質的にたわみが少なくなったのではと推測しています。上部に置くとガイド鏡が鏡筒の上でふわふわ浮いたような状態にあったのではと思います。これは一般的に当てはまる可能性が高く、特に大型鏡筒ではガイド鏡は鏡筒の上部に取り付けるより、下部に小判鮫状態にして取り付けた方が有利だと思われます。それでもカメラの近くに取り付けるオフアキには勝てないとは思います。

この日の撮影、シンチレーションが悪かったこともありますが、そんなことは関係なしに結局全て無駄になります。


撮影2回目: ビニング間違いに気づき再撮影

先日のHαの撮影後、画像処理するときになって何とHα画像を1x1のビニングで撮影したことに気づきました。バイアスやダーク、新たに撮影したフラットもフラットダークも普通に2x2ビニングで撮影しているので全て使えません。結局12月5日に2x2ビニングでHα画像を丸々撮り直すことにしました。

さらに前回全く像が見えなかったオフアキを見直しました。カメラは独立にピント調整と回転角が調整できるように、SVBONYのT2->アイピース口アダプターを使って、カメラをASI120MM miniに変更して差し込み式にしました。このセットアップで、そもそも明るいところで何か見えるか試してみました。プリズムの差し込み位置で像が見えたり、差し込みすぎると撮影画像にプリズムでできる影が見えることが分かったので、プリズム位置をある程度固定し、カメラのアイピース口への差し込み具合でピントを調整するようにしました。

ところが、実際に撮影を始めるとオフアキで見える星の数があまりに少ないことがわかりました。相当拡大した状態になっているからですが、シンチレーションでの揺れもあってか、ほとんど認識できないか、認識してもすぐに見失ってしまいます。少しでもマシにしようと、PHD2側で2x2でビニングし、「3x3 median」というノイズ低減をして、やっと少なくとも1個そこそこ安定に認識する様になりました。

この状態で90枚撮影しました。しかしこれも無駄になるのです。


撮影3回目: やっと成功

12月10日、再度前回2回目の撮影の大きな間違いに気づきました。

フィルターが汚いことには気づいていたので掃除をしようとホイールの蓋を開けてみたのですが、なんとHαフィルターが入っていると思っていたら実際にはUV/IRフィルターが入っていたのです!

確かにこれまでHαにしては妙に明るかったのですが、ずっと間違ったフィルターで撮影していたことにになります。いつHαから取り替えたんだろうと思い出してみても全く記憶がありません。肝心のHαフィルターを探してみたら、フィルターケースの中にきちんと入っていました。よく考えると太陽撮影の時に使った気がするので、夏の頃でもう相当前になります。改めてHαに交換し、再度撮り直すことにしました。

あと、なぜこれまでBフィルターだけムラが出ていたのかの原因もわかりました。何か変なもので拭いたのか、Bだけものすごく汚くなっています。そういえばM57の撮影の時に曇って暗い中で青だけ拭いたりした覚えがあります。これも初夏の頃なので、もう完全に忘却の彼方でした。

IMG_4149

綺麗に清掃したので、今後はBでもRGと同様に撮影できると思います。他のフィルターも埃を吹き飛ばし、再度ホイールに蓋をします。

この日はシンチレーションもそこそこいいみたいです。さっそくHαを取り直します。一応データも載せておきます。
  • 撮影日: Hα: 2021年12月10日22時48分-12月11日0時31分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader Hα
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: ASI120MM miniによるオフアキ、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 200、露光時間1分、80枚、dark: Gain 200、露光時間1分、64枚、flatとflatdark: Gain 200、露光時間0.002秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight

これを元に、前回LRGB合成で仕上げた画像にPhotoshop上で合成します。合成方法はHα画像をRGBモードに変換して、レベル補正で緑成分と青成分を無くします。ここら辺は太陽画像処理の応用ですね。赤成分のみになったものをLRGB画像に比較(明)で合成してみました。こうすることでHαの度合いを自由に調整することができるようになります。

こうして出来上がった画像が最初に示した画像になります。


まとめ

Hα画像を利用した赤ポチですが、単に赤ポチというだけでなく、Hαバブルみたいなものが見えるなど、M33の別の様相が見えて面白かったです。失敗ばかりで途中かなり凹みましたが、なんとか形になりました。

揺れに関しては、順調に改善されてきていると思います。風が吹いていようが1分露光はかなり余裕で撮影できるようになった言えそうです。次回撮影ではもう少し露光時間を伸ばしてみようと思います。

久しぶりのSCA260の記事です。M33のLを撮影したところまで書いたのでしょうか。

 

そのあとに小海の星フェスがあったり、月食があったりで、SCA260のことはほっぽらかしでした。でも何もしていなかったわけではなくて、上のように11月初めにM33のLを撮影した後、星フェスの前にはRGBをそれぞれ撮影していたりしました。その後、ダークやらフラットやらも星フェス前には撮影し終えていたのですが、その後の画像処理に時間がかかってしまい、今の記事になってしまいました。

あと、ちょうこくしつ座のNGC253も撮影してあるのですが、こちらはまだ全然未処理で、まとまったら記事にするつもりです。


RGBの撮影

さてRGBの撮影ですが、記録を見ると11月5日で、もうかなり前のことなので色々思い出さなくてはいけません。撮影は一番出にくいBが天頂の頃にと思い、0時ころまではRGBの順で、0時頃にLを撮り増しして、さらにBGRの順で撮影しようとしました。でもやはり揺れと、さらには途中ピントを変えたことによるピンボケで大量に無駄にし、時間も押して最後のGRは撮影できませんでした。

結局使えたのがR: 11/64枚、G: 24/70枚、B: 58/117枚と、相当な率の低さです。ただし、ピンボケを除くとR: 11/31枚、G: 24/30枚、B: 58/60枚となり、R以外はそれなりに好調です。Rは風が少し強かったのだと思います。それでもGBも実はかなり妥協して残して、今の赤道儀では1分でもどうしてもある程度は揺れてしまうようです。今のところ3分露光だとほぼ全滅なので、露光時間を伸ばすためにもなんとか解決策を考えなくてはいけません。

おっきな赤道儀を購入できれば一発解決なのですが、鏡筒を買ってすぐなのでまだしばらくは予算がありません。ここは今後少し考えます。


画像処理

まずはLを処理します。スタックされた画像を見るともう明らかに分解能が出まくりです。以前撮影したTSA-120よりもかなり分解しています。今回は星像がまだ揺れている段階での結果でこれなので、SCA260のポテンシャルはまだまだありそうです。

次にRGBを個別に処理します。特に今回Rの枚数が極端に少ないので心配だったのですが、ほとんど問題なさそうでした。それよりもBが枚数は多いのですが、おそらく雲のせいかと思いますが、RとGに比べてムラが多いのです。これは後の画像処理でかなり苦労することとなりました。このムラ少し不思議で、M33の腕の後に沿ってある様も見えますし、たまたまなのか四隅のうち左上と左下がまるで周辺減光があるかの様にも見えます。元の個別の画像に行ってもある程度の枚数にその様に見えているので、もしかしたらそのムラが正しくて、ムラのなさそうに見えているのが雲なのかもしれません。

RGB合成後はPCCをかけて、一旦恒星の色を合わせておきます。この時点で先のBのムラで全体にバランスがズレた部分が見えたので、DBEをかけて(ABEではM33自身も補正しようとしてしまい太刀打ちできませんでした)ある程度補正します。


初のLRGB合成

一応RGBとLが用意できたので、今回初のLRGB合成に挑戦しましたが、これがまた結構難しいです。

まず、RGBをストレッチや色バランスまで含めてある程度の画像処理を進めてからLを合成すればいいとのこと。Lもストレッチまである程度進めておきます。

LRGB合成はPixInsightのLRGBCombinationを使いました。問題は、LとRGBのストレッチの度合いです。両方ともオートストレッチでフルに炙り出してから合成すればほとんど問題ないのですが、私はストレッチし切る前にPhotoshopに渡したいので、それだとうまく合成できないのです。具体的にはLが明るいと、色がほとんどなくなりモノクロに近くなります。Lが暗いと、(おそらく出来上がった画像の暗部が切られてしまって)カラーバランスがおかしくなります。

なのでもうLを捨てて、RGBだけで処理を進めようかとも思いましたが、せっかくのLの撮影時間が勿体無いのと、やはりLの方が細部まで出ている様に見えるので、今回は出来上がりを見ながらLのストレッチ具合を何度も調整して合成しました。これ他に何かスマートな方法はないのでしょうか?

いずれにせよ、ここまでできてしまえばあとはいつものように炙り出すだけです。


結果

今回は1枚撮りだけみても、そもそも分解能がかなり出ています。撮影時間は3時間ほどですが、大口径のこともありノイズもあまり大したことがありません。なので伸び伸びと気軽にあぶり出しをすすめることができました。以前ほど青紫に寄せることもしなくてよく、真ん中の飽和も適度に抑える方向で進めました。結果は以下のようになります。

「M33:さんかく座銀河」
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright
  • 撮影日: L: 2021年11月2日23時51分-11月3日1時6分、11月6日0時58分-2時10分、R: 2021年11月5日23時43分-23時59分、G: 2021年11月6日0時1分-0時43分、B: 2021年11月6日2時21分-3時33分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 200、露光時間1分、64枚、R:11枚、G:24枚、B:58枚で総露光時間3時間1分dark: Gain 200、露光時間1分、L:88枚、flat: Gain 200、露光時間0.2秒(L)、0.5秒(RGB)、L:256枚、RGB各:128枚、flatdarkはLRGB共通: Gain 200、露光時間0.2秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

今回Hαは撮っていないので、俗にいう赤ポチはそれほど目立っていませんが、多少わかる範囲で既に出ています。あと、銀河の様子をシアンを目立たせる形で入れています。青ポチですかね。

SCA260ですが、はっきり言って非常に満足です。TSA-120と比べても、ここまであからさまに分解能が出るとは思っていませんでした。シンチレーションがいいかというと、間を空けた日での撮影なので特別いいというわけではなく、ごくごく普通の日だと思います。今のところ1分露光だと明らかに揺れていて、かなり妥協して画像を使っているので、もう少し改善する余地があるはずです。今回の撮影ではまだまだSCA260ポテンシャルを引き出せたとは全然言い難いです。それでもここまで出せるのなら、今後大いに期待できそうです。

おまけのAnnotationです。

Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright_Annotated

広角だと縦横の線が歪むのですが、ここまで拡大するとほぼ直角になるようです。


TSA-120との比較

M33に関しては今年の10月と、かなり最近TSA-120で撮影しています。



というか、TSA-120での結果があったので直接比較できるかと思い、今回M33にしたというわけです。

その時の結果を同画角にして改めて示しておきます。
TSA120

今回よりもかなり派手ですね。これも嫌いではありませんが、細部を出したいこともあって今回はかなり控えめにしています。


揺れに対して

最後に、揺れに関して今後の方針を書いておきます。まだ変更になる可能性もあります。

指で赤道儀を弾いた時の様子を見ると、赤緯体の揺れはまだ許容範囲で、赤経体の揺れが目立ちます。よく揺れると言うことは共振周波数が低くなってしまっているということです。共振周波数は慣性モーメントで決まり、慣性モーメントは距離の2乗で効きます。

赤緯軸では鏡筒の前後の真ん中を中心に回るのでまだ慣性モーメントはそこまで大きくありませんが、赤経では鏡筒全体とウェイトも合わせて軸から離れているために、慣性モーメントはかなり大きくなっているので、共振周波数が低くなりよく揺れるのはある意味当たり前の結果です。

今一つ考えているのは、赤経軸から最も離れている鏡筒のトッププレートを外すこと。測ってみるとこれだけで900グラム以上あります。さらにガイド鏡も700グラム程度あり、トッププレートの上に置いていたため、赤経軸から離れています。軸から遠いものを合計1.6kgを外してしまえば、慣性モーメントとしてはかなり得することになります。

例えば、赤経軸から見て下部プレートと上部プレートの位置は距離にして3倍近くあります。仮に2.5倍だとしても、慣性モーメントで考えると上部プレート1枚外すことは下部プレート6枚外すことと同義です。実際にはウェイト位置も内側に来るので、その分も得するはずです。ガイド鏡の代わりはオフアキを使おうと思っているので、軽く、赤経軸からの距離は少し短くなり、有利になるはずです。

今回の画像に、さらにHαを撮り増しして足したいと思っているので、トッププレートを外してから同じ1分という露光時間で撮影して、どれだけ生き残るか比べれば、ある程度効果はわかるのではと思っています。


まとめ

今回のM33は、SCA260としての初作品になります。揺れにかなり悩まされましたが、結果には大満足です。TSA-120からここまで変わるとは、正直思っていませんでした。揺れに対しては、上にアイデアを挙げたようにまだ改善すると思います。赤道儀も欲しくなってきましたが、もう少し足掻いてみます。

SCA260を購入して1ヶ月、徐々にですが使えるようになってきました。また未処理画像も残っています。今回LRGBはなんとかなったので、今後はSAO撮影とかにも挑戦していきたいと思います。


この記事は、星と自然のフェスタの1日目の続きの記事となります。



今回の「星と自然のフェスタ」の目的の一つが、電視観望のデモをすることでした。最初は個人的に披露すること考えていたのですが、ちょっと前にシュミットさんの方から提案があり、店頭で解説と実演をしてもらえないかということでした。CP+で講演の機会を与えてくれたこともあるので、二つ返事でOKしました。

当初は電視観望の「解説」と、晴れれば「実演」、あとは「質問コーナー」など、結構きっちり考えていたのですが、実際はもうめちゃくちゃでした。解説でどんなことを話すかとかも考えていたのですが、全部吹っ飛んでしまったのです。


実際の準備

「星と自然のフェスタ」の初日、午後3時頃からでしょうか、駐車場とシュミットブースをちょくちょく行き来し、機材などを持ち込み、一緒に実演をするスタッフのWさんと夜の電視観望実演の準備を始めました。大雑把な担当として、WさんがSCA260、私SamがFMA135です。カメラは最近注目のCeres-CとNeptune-C II。しかも面積の狭い1/3インチのCeresをSCA260に使い、1/1.8インチの広い方のNeptuneをFMA135に使います。より狭い範囲を見ること、より広い範囲を見ることに特化します。

この設定は共に両極端ですよね。片や口径260mmの大望遠鏡、片や口径わずか30mmの赤ちゃんのような望遠鏡です。元々は大口径長焦点は惑星とか月を見て、小口径単焦点は星雲を見ようとか言っていたのですが、実際には同じ星雲や銀河を極端なセットアップで見たときの比較が、思ったより楽しかったのです。両極端は元々Wさんのアイデアなのですが、こう言った比較ができるのもリアル星まつりの魅力の一つかと思います。


テスト?本番?

私はFMA135を担当なので、まずは自分の使い慣れたFMA135とノートPCを用意します。カメラと架台のAZ-GTiはシュミットさんのものをお借りしました。接続しようとしていた大型モニターにHDMI端子が無かったなど、色々トラブルはありましたが、結局2台のノートPCをテーブルの上の大きな箱の上に乗せることで高さを確保し、見やすくしようということになりました。

カメラもAZ-GTiも自分のではないので、かなり明るいうちからテストを始めます。16時過ぎくらいだったと思います。月は見えていますが、まだ木星も見えていないくらいの明るさでした。

地面が土なので水平の安定性があまりよくありません。月の導入でさえうまくいかないので、三脚を少し地面に押し込むようにして固定し、水平をきちんと出します。何度か導入を試すと、やっと月も一発で入り、その頃には木星も目ではまだ見えませんが、カメラでは確認できるようになってきました。この頃から少しづつお客さんが集まってきました。

木星が目で辛うじて見えるようになってくると、続いて土星も入れてみますが、なんとか視野に入ってきます。もう一度、一から月、木星、土星とアラインメントを取り直し、だいたい準備完了です。空を見上げると、1等星が少しづつ見え始めていました。西の空はまだ明るく、オレンジから青のコントラストがとても綺麗でした。

少し遠くの天体を試したくて、見えたらラッキーくらいでM31アンドロメダ銀河を導入します。まだ空は一部明るくて、月も煌々と出ているのに、淡いながらも、なんとアンドロメダ銀河が見えてしまったのです!しかも口径わずか30mm。目では数えるほどしか見えない星も、カメラ上では散りばめるように写っています!誰かが「うぉ!こんなに明るいのにアンドロメダが見える」とか叫んだからでしょうか、一気に空気が変わり、ここからどっと人が集まってきます。

この時点では光害防止としてCBP(Comet BandPass)フィルターを付けていたのですが、銀河の場合は白色光に近いのでかなりの情報を欠落してしまいます。そのため銀河を見るときはCBPを外すようにしました。するとまだ明るい中でもさらにM31の形がハッキリします。これ以降、星雲を見るときはCBPと取り付け、銀河を見るときはCBPを外すということをしました。

この日の小海の空は透明度が良かったのかもしれません。時間とともに徐々に暗くなってくると、アンドロメダもどんどんはっきりしてきて、腕の構造までかなりはっきり見えてきます。電視観望で口径わずか30mmでここまで見えるというのは、初めて見た人には相当なインパクトなのかと思います。機材の実物も目の前にあるわけで、そのコンパクトさにさぞ驚かれたことでしょう。

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PCの画面が飽和してますが、FMA135でアンドロメダを映している時です。
写真はあまり撮れなくてこれくらいしか残っていませんでした。 

「19時まではテストです。19時から本番です。」と何度言ったことか。ごめんなさい、全く守れませんでした。そのまま本番の時間になだれ込んでしまって、テストと本番の境なんて全くなかったです。考えておいた「解説」は全て吹っ飛びました。実際のものを見せる「実演」の方が遥かに説得力が大きかったのです。「質問コーナー」も計画していましたが、準備している最初の時からほぼ質問攻めで、ずーっと質問コーナーが続いているような状態でした。

結果として、設置から初期アラインメント、導入、SharpCapでどう炙り出すかを一連で繰り返し示していたことになります。細かい操作も、一連の実演の中でごくごく自然に見せることができたのかと思います。


数多くの質問

実演している間じゅう、質問がひっきりなしに飛んできました。
  • 「なにで見てるの?」という質問には、機材を指差し「高性能カメラと小さいけれども高性能な望遠鏡で見ています。」、皆さんコンパクトさにビックリします。
  • 「どこを見てるの?」では、「この望遠鏡が差している方向で、カシオペアとペガスス座の間くらいです。」
  • 「初期アラインメントで天体が全然入らない」 -> 「北の方向はある程度適当でもいいが、水平をとるのが大事。AZ-GTiの水準器はあまり精度がないので、付属三脚の水準器を見るのがいい。あと鏡筒の水平を水準器を使って撮るのも忘れないように。こうすると、少なくとも最初に入れた天体の『高度』はかなりあっているはずなので、あとは左右に振ってやれば画面に入ってくるはず。」
  • 「自動導入がうまくいかない」-> 「まずは目的の天体の近くの明るい恒星を入れて『ポイント&トラック』すると、精度が上がる。」
  • SharpCapの使い方では「自分でやったけどあまり綺麗に見えない」というので、「まずはライブスタックよりもヒストグラムでのあぶり出しが重要です。」と見えない最初の設定と、あぶり出して見やすくなった設定を実際に見せて、比較しました。
  • 「ライブスタックでうまくスタックされていかない」という方もいて、「検出した星を四角でマークして見えるので、まずはその機能をオンにしてうまく星が検出できているか確認するといいですよ」とアドバイス。
などなど、星が少し好きな一般の人から、電視観望に興味を持っている初心者、果ては明らかにベテランと思われるような方まで、ほぼずーっと質問攻めでした。できる限りわかりやすく答えたつもりでしが、どうでしたでしょうか?


実演で見たもの

実演の際、その場で見たものを列挙しておきます。
  • 月、木星、土星、M31、M27、M57、M45、M33、M15(球状星団)、網状星雲、北アメリカ星雲、ステファンの5つ子、エッジオン銀河
などです。

操作と話すのに必死で写真がほとんど残ってないのですが、長時間LiveStackしていたためにSharpCapのフォルダに自動保存されていたものを簡易的に画像処理をして載せておきます。

Stack_17_38_56_16bits_150frames_600s_cut
M31 アンドロメダ銀河

Stack_19_52_05_16bits_75frames_600s_cut
M33 さんかく座銀河

M31は露光時間4秒でゲイン350。M33は少し淡いので8秒露光でゲイン350。このときは共にCBPは外しています。LiveStackでのトータル露光時間は両方とも10分になります。もっと短くてもそれほど出来上がりに差はないのですが、自動保存の設定が10分だったというだけです。これで少し画像処理をすると、上のようになります。電視観望の途中で記録的に残したファイルから処理したものとしては、そこそこ見えるのではないでしょうか?

その一方、電視観望特有の問題もあって、例えばよく見るとホットピクセルと呼ばれる明るい点がミミズのように這いずり回ってしまっています。これはリアルタイムダーク補正をしてやるか、もしくはSCA260で使っていたCeres-Cなどに搭載されているDPSテクノロジーと呼ばれるホットピクセルやコールドピクセルをハードレベルで取り除くような技術があると目立たなくなります。


カメラごとの比較

FMA135:
こんな小さいのに、アンドロメダ銀河の腕まで見えるのは流石にインパクトがあったようです。また、M33の形がわかるのも、みなさん驚いていました。比較的大きなアンドロメダの全景や、北アメリカ星雲の全景を見えるためには、これくらいの短い焦点距離と広いセンサー面積が必要です。

今回見た中で、FMA135で見やすいもの、見にくいものを揚げておきます。
  • FMA135が適しているもの: 月の全景、M31、M27、M45、M33、北アメリカ星雲
  • FMA135でなんとか楽しめるもの: M57、M15(球状星団)、網状星雲の全景(もう少し広く見たい)
  • FMA135だと厳しいもの: 月の詳細、木星、土星、ステファンの5つ子、エッジオン銀河

SCA260:
大口径と長焦点(カメラのセンサー面積が小さいことも含め)を生かして、小さいものを分解能よくみることができます。M57やM27もかなり細かいところまで炙り出せます。また、M33などは中心部に近いところのみ見えますが、中心付近の腕の細かい構造や、赤ポチと呼ばれるHα領域も電視観望で見えてしまいます。
  • SCA260が適しているもの: 月の詳細、木星、土星、M57、M27、M15(球状星団)、ステファンの5つ子、エッジオン銀河
  • SCA260でなんとか楽しめるもの: M33
  • SCA260だと厳しいもの: 月の全景、M31、M45、網状星雲、北アメリカ星雲

二つを比較すると、まず口径差が約10倍、値段差も約10倍と、圧倒的な違いがあるにもかかわらず、インパクトではFMA135が全然負けていなくて、意外なほど見える対象が多いことがわかります。口径の小ささが逆にインパクトを増しているような状態です。その一方、SCA260の細かい分解能を見ていると、FMA135では絶対に辿り着けない大きな壁があることもわかります。結局は見たい天体に対して適材適所というわけですが、見える天体がかなりオーバーラップしているということも特筆すべきかと思います。この二つの極端な比較は、リアル星まつりならではと思います。

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数少ない写真の一つで、比較で撮っていたものです。
M15を見てるときです。上がSCA260で、下がFMA135。
ともに球状星団として見えていますが、
この画面で見てもSCA260の分解能がすごいことがわかります。 

実際の操作を見ながらの解説で、お客さんもかなり楽しんでくれていたようです。あるお客さんが帰り際に「今日は本当にここに来てよかったー。」としみじみとつぶやいて去っていったのが聞こえてきました。ここまで喜んでくれたのなら、実演を引き受けた甲斐が本当にあったというものです。


知らなかったお客さんの多さ

説明をしていて、そこそこお客さんが来ているのはわかっていました。でも後ろの方の様子はあまりわからないので、実際どれくらいの人が来てくれていたのか実はよくわかっていませんでした。後で知り合いのTwitter投稿写真を見てちょっとびっくりしました。





なんかすごいことになっていたみたいです。後ろの人がきちんと画面など見えていたかちょっと心配になってしまいました。

終了予定時間の20時をすぎて、やっと少し周りを見渡す余裕が出ました。この頃、WさんがSCA260でエッジオン銀河を見せていたのですが、私の方は実は寒くて寒くて凍えてました。指先も冷えていて、だんだんPCの操作もやりにくくなってきていました。さすがに疲れてきたのかと思います。時間的にもちょうどいいころなので、ここで終了となりました。


疲れ果ててしまって...

その後、片付けをWさんと、その場にいたM87JETさんに手伝っていただき、車に機材を戻しました。そこで少し服を重ねて、靴下も厚いものにしたのですが、それでも寒くてホテルに移動してずっと行けなかったトイレに行き、ロビーで暖をとっていました。食事を取ろうと思ったのですが、すでに全てのキッチンカーは閉まっていて、ホテルのカレーもちょうど片付けているとこでした。

後から考えると、ここら辺の判断が色々間違ってたんですよね。まず終わったら機材を片付けずに、そのまましばらく待っていて個人で電視観望を始めたりすれば良かったのです。ですが実際には前日の睡眠不足もあったのでしょう、一仕事やり切った感じで、そんなことを考える余裕もないくらい疲れてしまっていました。

ホテルで暖をとっていると、かんたろうさんから呼び出しの電話が。天リフ編集長とか、皆さんキャンプ場のところで集まっているとのことです。暖かくなってやっと少し落ち着いていたので、重い腰を上げホテルから移動。

キャンプ場では、先日出版された「星空撮影塾」を送っていただいた成澤さんや、星景写真で有名な塚原さんなど、主に星景関係の方々が集まっていました。嬉しいことにspitzchuさんが電視観望用にNeptune-C IIを買ってくれたとのことでした。でもお腹も空いていて皆さんとあまり話す余裕もなく、朝に買ってポケットに入れていたおにぎりを食べても全然足りずに、申し訳なかったのですが私は早々と退散。

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車に戻ってから、夕ご飯の調達にコンビニまで買い出しに行くことにしました。コンビニで少し多めに食事と飲み物を買って、そのままコンビニの駐車場の車の中で食べます。よほどお腹が空いていたのか、ぺろっと平らげてしまいました。この時点で22時頃だったでしょうか、そのまま会場へ戻るのですが、お腹も膨れたせいか耐えられないほど眠くなってしまい、途中の道の脇のスペースに車を止め寝てしまいました。

目が覚めたらなんともう0時半頃。あせって会場へ戻って、歩いて一回りしてみるのですが、少し雲も出ていたせいかほとんど人もまばらです。キャンプ場のあたりに何人か話している人がいるので声をかけたら、たまたま成澤さんでした。この頃には私もやっと元気になっていて、初めて成澤さんと少しまともに話すことができました。同じ場所にいた成澤さんの友人で最近撮影とか始めたIさんも交えて、一緒にしばらくのんびり話しました。

その頃にはそこそこ曇っていたのですが、成澤さんは曇りを利用して朝焼けを撮影しに行くというのです。もうほとんどの人が撮影は諦めているような状態なのに、さすがプロのカメラマンです。プロ根性と言っていいのかわかりませんが、もう考え方から全然違います。一番いい時間帯に寝落ちしてしまって完全にあきらめモードの私とは雲泥の差です。

午前2時頃だったでしょうか、成澤さんが出発し、残ったIさんと話していました。聞いたら元々成澤さんのファンだということで、色々コンタクトを取っているうちに一緒に行動などするようになったとのことです。まだ若い方で結婚したばかりとのこと、奥様を連れてきているらしいのですが、既に車の中でお休みだそうです。ついてきてくれるのがそもそも素晴らしいです。今回うちの奥さんもかなり誘ったのですが、車中泊ということを言った途端全く相手にされなくなりました。Iさんは本格的な撮影機材を揃え出したのもまだ最近で、家族が増える前の買えるうちに機材を揃えておいた方がいいとかいう話で盛り上がりました。

朝は目標のホテルのビュッフェに行くと決めていたので、2時半頃でしょうか、私も退散して寝ることに。寝る前のトイレに行く途中で、ちょうどオリオン方面だけ晴れていて空を見ていたら、いのさんと、朝にお会いした金沢のドブソニアンを出している方と会って少しだけ会話しました。その後戻って駐車場を一回りしたのですが、もうほとんど誰も外に出ていなかったです。

後から聞いたら、最初の頃は空も快晴で、駐車場ではヒロノさんはじめ、ドブソニアンで見ている人も結構いたらしく、またメイン会場ではXRAYさんや智志君らが電視観望していたらしいです。ちょっと羨ましかったですが、今回はシュミットさんに実演でとてもいい経験をさせてもらったので、十分満足でした。

車で戻ってすぐにまたぐっすり寝てしまったのですが、明け方はかなり寒くなり、さらに服を着込んだりしました。7時に起きる予定が、目が覚めたら既に8時。2日目の様子は次の記事で書くことにします。



前回の記事で、10月30日の土曜日にセカンドライトで光軸調整後、星像を確認するとかなり良かったことを書きました。


今回はそれ以降の進展です。


サードライト: 極軸合わせ

昨日のセカンドライトは北の空が曇っていたので極軸を合わせることができず、雲越しのVegaを短時間撮影しました。短時間露光にした理由は追尾での星像劣化と、鏡筒自身の星像を切り分けたかったからです。20秒ですでに流れているのが見えていたため、10秒以下、実際には6.4秒での製造確認となりました。

10月31日のサードライトの今回は、極軸をいつものSharpCapで合わせます。使ったのはこれもいつものサイトロン製の120mmのガイド鏡と、AS120MM miniです。これとSharpCapの極軸調整機能を使うことで、いつものように極軸を0.5分角以下に設定することができます。

極軸合わせが終わったところで30秒で露光してみました。今回は極軸をきちんと合わせているため、流れていくことはほとんどありませんでした。フィルターはこれから撮影しようと思っていたため7nm幅のHαフィルターが入っています。

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M27は輝度が高いので、さすが口径26cmの効果か30秒でも十分に写ります。

四隅に周辺減光が見えますが、これはHαの枠せいだと判明しました。ノーフィルターや他のRGBフィルターだとこんなのは出ないのですが、よくよく見るとHαだけ枠が小さいことが分かりました。枠を外して直接取り付けることを考えた方がいいのかと思います。

この日はこれ以降は曇ってしまい、成果はこれだけでした。でも確実に一歩づつ進んでいます。


テスト連続撮影

もう4thライトになります。11月2日の火曜日、次の日が祝日なので遅くまで気兼ねなく試せます。天気も3時くらいまでそこそこでした。今回やっと連続した撮影を試せました。

鏡筒自身は夕方から出してあり、撮影はそれから3時間以上経ってから始めたので、温度順応はある程度されているはずです。なので今回もまだ目玉の最初からついているファンは使わずです。

対象は色々迷ったのですが、まずはM33にしました。つい最近TSA-120で撮影したばかりなのですが、むしろこれが理由で、新鮮味はありませんが色々比較できるかと思ったからです。特に分解能がどれくらい変わるのかを見てみたいというのがあります。

カメラはASI294MM Proでモノクロなので、まずはフィルターなしのL画像から撮影することにしました。一応はきちんとした撮影なので、カメラを-10℃まで冷却します。露光時間とゲインはまだ手探りです。これまでの経験から、3分露光でゲイン120としました。ゲインが120の理由は、ここでアンプが切り替わりリードノイズやダイナミックレンジで得するからです。


実際の撮影はトラブル続き

撮影ソフトはNINA。ただし少しトラブルがありました。撮影した画像が保存されないのです。最初撮影しようとすると「保存フォルダを指定していない」というエラーが出るので、フォルダを指定たところ一応撮影は開始されました。ただ、一枚とったところでもフォルダ内に何も保存されなかったし、「撮像」撮った画像が現れるところに何も出てきません。その後何枚か撮影しましたが、同様でした。仕方ないので一度NINAを再起動したら直りましたが、いちいちカメラを昇温冷却し直さなくてはならないので、少し面倒でした。

撮影した画像を見ましたが、かなりショックで目を疑いました。
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中央部の切り出しです。
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揺れが全く収まりません。何枚か見ていても、揺れが時には大きく、時には小さく、それでも点像になるものは一枚もありませんでした。揺れの方向はほとんど同じなので、一番弱いモードが励起されているものと思われます(後に赤経体の揺れのモードと方向が一致することが判明)。

前回星像が問題なかったときの再現性を見るために30秒で露光した星像を見ますが、これだとほぼ問題なしです。このままだとちょっと状況が分からないので、とりあえず1分露光に変更してしばらく撮影を続けることにしました。そのうちの1枚が以下になります。
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横へのズレがなくなるものもでてきました。

1分露光だと揺れ幅は小さくなりましたが、それでもほとんどは揺れています。上の画像のように星像がほぼ流れていない画像も得られましたが、5枚に1枚程度で、これだと率が悪すぎで実用レベルからは程遠いです。

あと、撮影途中にどうもピントがずれているのではとの疑いが出てきました。でも確信ではなく、揺れで星像がボケている可能性もあります。以前TSA-120で撮影したM33の星像と比べてみると、今回の方が小さいか同じくらいなので、それで一旦は安心しました。それでも見ているとどうしても恒星のシャープさがない気がします。上の揺れが小さくなった写真を後で見ると、やはり真ん中が黒くなっているのでやはりピントが合っていませんね。

揺れとピントの事で色々不明なので、ここで一旦外に出て機材を見てみます。

外に出て改めて感じるのは、微風で少し空気の流れを感じます。おそらく風はずっと吹いていたのですが、気にしていなかったので気づかなかっただけだと思います。

まず揺れに関しては、赤道儀のコントローラーが宙吊りになっていました。これをホルダーに入れて固定したところ、あからさまに揺れがなくなりはるかにましな星像になりました。

コントローラーだけでなんでこんなに変わるのかと思うかもしれませんが、コントローラーにはもともとついている巻き巻きケーブルに加えて、ASCOM経由で制御するためのUSBケーブルがお尻側に挿さっています。そのケーブルは他のケーブルと束ねられていて、そのうちのいくつかのケーブルは鏡筒に取り付けられたカメラに繋がっています。コントローラーが風に揺らされて、それがケーブルを介して鏡筒に伝わったことで、星像の揺れの原因になったものと思われます。これまでも宙ぶらりんのことはありましたが、このようにあからさまに揺れたことはなかったので、やはりCGEM IIにSCA260くらいの重量を載せるのだと撮影にはかなりギリギリなのがわかります。

次にピントです。やはり結構ずれていました。先の3分露光の際は、デネブを導入したときの光条線を見ながら合わせただけで、星の径を見ながらピントを合わせることをサボってしまったのが原因かと思います。ピントを合わせ直すと、TSA-120の時の恒星のサイズより明らかに小さく鋭くなりました。これは期待できそうです。

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中央を拡大したのを比べても、ピント改善と揺れが収まった効果だと思いますが、分解能も格段に上がっています。


その後もいくつかトラブル

とりあえず1分露光でしばらく撮影していると、途中M33の中心が結構ずれていることに気づきました。PHD2でのガイドは問題なく保っていたので、おそらくたわみでずれたのかと思います。でも重いとはいえ同じ鏡筒にのせたガイド鏡との相対的なずれが影響するので、そこまでずれるとは思えないのですが、どうなのでしょうか?カーボンは案外たわむとかなのでしょうか?もう少し再現性を見たい気もしますが、早いうちにオフアキに移行した方がの方がいいのかもしれません。

その後、さらに問題が。星像が突然一直線に流れ出しました。どうも追尾が完全に止まってしまったようです。外に出て見てみると、バッテリー切れです。撮影を初めてわずか2時間弱ほどでのバッテリー切れなので、ちょっと解せないです。実際、バッテリーを外して部屋に戻り充電を始めるとまだ半分くらいは残っていることが判明。これまでは赤道儀とカメラは個別の電源で運用してきましたが、今回バッテリーの数が足りてなかったので、赤道儀とカメラの冷却を一つの電源からとったのがまずかったのかもしれません。おそらく電流不足だったのかと思います。

いずれにせよ、その時点では原因は判別できなかったので、もう一台別でAdvanced VXに使用していたバッテリーをひっぺがしてきました。そのもう一台はちょうど対象(網状星雲)が西の空に沈んだところで、次の天体(勾玉星雲)に移ろうと思っていたのですが、構図的にあまり面白くなさそうなのでこちらはやめにしました。実は2台体制のテストをここ最近やっています。まだまだ足りない機材が結構あることが判明しました。これは別記事で書きます。

IMG_3826


でも結局ここから曇って全てが中止になってしまいます。元々はLを取った後に、RGBもそれぞれ撮影したかったです。あと、3分露光ができるかを試したかったのですが、雲でガイドが安定せずに断念です。天気が回復しないか1時間ほど様子を見てましたが、どんどん雲が厚くなる方向で、この時点で撤収としました。


fitsファイルの確認について

蛇足ですが、この記事を書きながら保存されたfitsファイルを見ています。閲覧にはZWOがフリーで出しているASIStudioの中のASIFitsViewを使っています。PixInsightのBlinkでもいいのですが、Blinkはファイル名順序しかできないみたいで、保存時間順に並べることができません。今回のように時系列に何か起こる場合には、ASIFitsViewの方が使いやすかったりします。

と言ってもASIFitsViewは時系列でしか表示できないのですが。実際にはBlinkの方が早く切り替えられたりして便利なので、保存するときのファイル名を、きちんと時系列になるようにタイムスタンプを前の方に持ってくるのが解決策だと思います。


まとめ

揺れの抑えとともに、露光時間が徐々に伸びていきます。着実に一歩づつ進んでいるのがわかります。

簡易的で枚数もまだ全然ですが、今回連続撮影も試してみました。まだモノクロですが、余裕があったら少し処理してみようと思います。RGBを撮り増ししても良いですし、以前の画像とのLを取り替えてもいいかもしれません。こちらはまとまったらまた記事にします。

それにしても大口径、重量鏡筒は全然世界が違います。今後もまだまだトラブルは出てきそうです。でも成果は出てきているのでかなり楽しいです。早く画像処理までしたものを見てみたいです。

過去M33は2回撮影しています。いずれも自宅での撮影です。どうしても満足できていなかったので今回再びM33の撮影です。

3回目のM33

最初の撮影は2018年の1月、PixInsightを始めた頃で、3時間の長時間露光と頑張ったのですが、その長時間露光が原因で縞ノイズ(縮緬ノイズ)に悩まされました。


これは後の解析で、フラットファイルを暗いところで撮っていたためフラット情報を持つべき信号が足りずに、結果としてS/Nが悪いフラットファイルになっていたことが明らかになりました。


2回目は2020年の11月なので約1年前です。TSA-120とASI294MCでの撮影でした。

この時は露光時間が1時間半ほどで、どうしてもノイジーになってしまうのに悩んだ覚えがあります。


土、日の2日間の撮影

撮影は2日に分かれました。10月9日(土)と、10月10日(日)です。前回の画角が少し狭かった気もするので、今回はTSA-120とEOS 6Dで撮影してみました。これでうまくいかないなら、次はASI294MMのモノクロでRGB撮影にするかもしれません。銀河なのでフィルターは赤外でのハロ防止のためのUV/IRカットフィルターのみです。

土曜は昼間快晴だったのですが、夕方からずっと曇り。0時頃に一旦快晴になり機材を出し、0時半頃に準備を終えたら再び曇りで、一旦自宅に退散します。1時過ぎにまた快晴で、結局撮影開始が午前1時40分頃でした。この日は明け方まで撮影しましたが、露光時間が1枚あたり5分で、薄明までに34枚撮影できてそのうち29枚を使うことができました。これだけだと2時間半くらいなので、もう少し枚数が欲しくて次の日も撮影。

日曜は朝からずっと快晴なので、赤道儀も前の晩から置きっぱなしです。昼間は太陽撮影とかしていたので、そのまま移動していないため夜の撮影でも極軸を取る必要もなし。連日晴れの撮影だと準備は楽なものです。この日は45枚撮影して37枚を画像処理に回すことができました。

2日間トータルで66枚なので、5時間30分の露光になります。

でも本当はもう2時間程度長くなる予定でした。初日の撮影で、一番最初はISO1600で始めたのですが、ヒストグラムのピークが半分近くまできてしまっていたので、すぐにISO800に切り替えました。問題は2日目で、同じISO800で始めたのですが、天頂越えで赤道儀を反転させた際に、間違えてISO1600にしてしまいました。最初違うISOを混ぜて処理しようと思ったのですが、画像処理の時に見比べたら、ISO1600の方が明らかに星像が肥大していたので、泣く泣く25枚分諦めることに。

そういえばもう一つトラブルが。いつも使っているStickPCにリモートデスクトップで全くつなげなくなってしまったのです。とりあえずその場は代理のノートPCで撮影を始めましたが、後でStickPCを調べたら結構面倒でした。接続できなくなったのはWindowsのアップデートが始まってしまったのが原因のようですが、アップデートのせいなのかWi-Fiアダプタをうまく認識できなくなってしまったようです。

Wi-FiアダプターはIntelの9462で「コード10」エラーでうまく開始できないというようなメッセージが出ています。ドライバーをアンインストールして、Intelのページからあらわに最新ドライバーをダウンロードしてきたりして色々試すのですが、
  • 一瞬起動してネットワークにつながるがすぐにだめになる。
  • 起動してネットワーに繋がるが、切断と接続をずっと繰り返す。
  • 起動してネットワークにつながり安定だが、再起動するとアダプターを認識しなくなる。
などのトラブルがずっと続きました。10回くらい色々とドライバーを入れ替えたり再起動したりを繰り返していると、ある時突然安定になって、再起動とかしても普通に動くようになりました。原因はわかりませんが、とりあえず動いたのでこのままそっと使おうと思います。安定運用の観点からは、Windowsのアップデートはできるなら避けるように設定しておいた方がいいのかもしれません。

もう一つのしょぼいトラブルですが、撮影が長時間にわたるので6Dの駆動は電池切れを防ぐために外部バッテリーにしてあるのですが、その外部バッテリーが切れてしまって、2日目の天頂越えの後1時間以上にわたって撮影が中断していたことです。目が覚めた時に外にチェックしに行って発覚しました。でも結局後半は先に書いたようにISO1600で撮影してしまって、星像肥大で使わない画像となったのでまあいいかと。ISO800のままでバッテリートラブルがなかったら、9時間越えになっていたかもしれません...。

撮影時の状況はこんなところでしょうか。後日フラットとフラットダーク、足りなかったダークファイルを、ISO800の分とISO1600の分をぞれぞれ追加撮影し、やっと画像処理です。


画像処理

PixInsightのWBPPで何パターンか試しました。
  1. ISO800
  2. ISO1600
  3. ISO800とISO1600を混ぜたもの
を比べて、ISO1600が星像肥大と判断し、2と3を棄却。

でもなぜISO1600で肥大していたのかは謎です。ピントはずらしていないし、ISO800と1600で天頂に対象に撮影したようなものなので、空の高低では影響は同じくらいになってもおかしくないはずです。明け方に向かって温度が下がっていくはずなので、その温度変化でピントがずれていったのかもしれません。

あと、6Dのダーク特性がちょっと気になったのでホット/クールピクセルはPixInsightのCosmeticCorrectionで取り除くようにしてあるので、
  1. ISO800でダーク補正あり
  2. ISO800でダーク補正なし
で比較。結果、ダーク補正なしの方が少しだけ縞ノイズが残るので、ダーク補正ありを採用としました。

何でこんなことをしたかというと、もしかしたら6Dのダークノイズって素性が良くてあまり気にしなくてもいいのではと思ったからです。ダークフレームを撮影するのは時間がかかりますし、少ない枚数での補正だと逆にノイズを加算することもあります。まあ結果はほんの少しですが違いがわかったので、これからもダーク補正はしようかと思います。冬でもっと温度が低くなればダーク無しでも良くなるのかもしれません。

ABE、DBEで残りの背景補正をして、PCCで恒星の色合わせ、ASと最後は恒星を尖らせるためにHTでストレッチ。StarNetで星マスクだけ作り、MTのDilationで少しだけ製造を大きくしてPhotoshopに渡します。あとはほとんどPhotoshopで調整です。


結果

私は青紫っぽいのが好きなので、以下のようにしました。

「M33:さんかく座銀河」
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  • 撮影日: 2021年10月10日1時41分-4時37分、2021年10月10日20時34分-10月11日0時47分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー
  • フィルター: SVBONY 2インチUV/IRカットフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間300秒x66枚 = 5時間30分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI

ちょっと中心がサチってしまっていること、赤ポチがわざとらしいところが反省点でしょうか。淡いところはそこそこ出たと思います。解像度はまあまあ。以前ASI294MCで撮ったのよりは、ピクセルサイズが4.6μmから6.3μmと大きくなっているにもかかわらず解像しています。シンチレーションが効いているのでしょうか?でも潜在的にはもう少しでてもいいのかもしれません。これは次回以降にチャレンジとします。

画像処理でいろいろいじっていたのですが、もしかしたら色味は真ん中をもっと黄色に持っていって、青紫よりも青に寄せるほうがいいような気もしてきました。近いうちに再処理するかもしれません。

あとは、いつものAnnotationです。

Image17_DBE_DBE_ASx2_HTx2_4_cut_b_ok_annotation


まとめ

いつもの自宅撮影でしたが、露光時間も5時間越えで、そこそこ出てきたと思います。解像度はもう少し出ても良さそうなので、次やるとしたら少し画角が小さくなりますが、ASI294MMでLRGBでしょうか?他の銀河でのLRGBも、今後挑戦していきたいと思います。


おまけ

以前撮影したものの再掲載です。

2018年1月のもの。縞ノイズがひどいです。
integration_Maximum_No_normalization3c

2020年11月のもの。
masterLight_180_integration_DBE_AS_hakiOK_all4

上の2020年と同じ画角で、今回のものです。
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うん、こうやって比べると3年では劇的に、1年でも進化していますね。微恒星まで出て、分解能もよくなっています。でもやっぱり中央の処理は前の方がいいかも。これは再画像処理案件か?


今回の記事は

からの続きになります。


いよいよ電視観望

前回は基本に忠実に、アイピースでの眼視で天体を見てみました。

今回は、VIRTUOSOとCMOSカメラを使った電視観望に挑戦してみましょう。電視観望とは、高感度のカメラを使って、その場で淡い星雲などを色付きで見ることができる手法です。

初心者の方で期待している方も多いかと思いますので、できるだけ詳しく説明します。


準備

今回新たに必要なものを挙げておきます。
  • CMOSカメラ
  • ノートPCなど
  • USBケーブル
  • SharpCap 
  • テーブル
くらいでしょうか。

ノートPCは最新のものでなくても構いません。PCが無い方は、中古などで安く見つけることもできます。Windows10が走るくらいなら十分でしょう。もしできるならでが、次にやるリモート電視観望のことを考えておくと、Windows10のProを選んでおくとリモートデスクトップが使えるのでいいかもしれません。

PCを地面に置いたりすると、操作が大変になります。特に慣れないうちは、楽な体勢を取るためにも、PCを置くテーブルと座って操作できる椅子があるといいかもしれません。

IMG_3088


SharpCapはあらかじめダウンロードして、PCにインストールしておいて下さい。対応カメラが多いことや、メニューなどが日本語化されていることなどもあり、バージョン4.0以降がいいでしょう。




CMOSカメラ

まず、電視観望用に試用するカメラです。電視観望に適したカメラは何種類もありますが、ここでは入門用で比較的新しい、Player OneのNEPTUNE-C IIを使ってみましょう。これはIMX464という入門用としては少し大きめのセンサーを使っていて、赤外の感度が高いカメラです。



前回は鏡筒の接眼部にアイピースを差し込みましたが、今回はアイピースに代えてカメラを差し込みます。カメラにはアイピース口に合う付属のアダプターをつけて下さい。

IMG_3201


最初のターゲットはM57

最初は例として、こと座にある「リング状星雲」とか「惑星状星雲」と呼ばれるM57を狙います。小さいですがカラフルで、輝度が高くて比較的見やすい星雲です。

前回と同様に、SynScan Proを使って初期アラインメントをすまします。カメラ画像を見ながらの初期アラインメントをするのは少し大変なので、慣れないうちは25mmのアイピースを使い、うまく導入できてたのを確認してからカメラに交換すると良いでしょう。また、初期アラインメントはM57近くの明るい星、ベガを狙うと良いと思います。もしベガが天頂付近に来ていて、初期アラインメントの候補リストに出てこない場合は、次に近くの明るい天体、例えばデネブやアルタイルを選択して下さい。その後、ベガを自動導入し、きちんと入るかアイピースで見るといいでしょう。

いずれにせよ、明るい星が見えたら、それをできる限り視野の真ん中に持ってきておいて下さい。


SharpCapで撮影画像を確認 

この時点で、カメラの画像をチェックしてみましょう。

IMG_3071


焦らずに、順番に確認しながら進めます。まずはカメラの取り付けと、PCとの接続です。
  1. 鏡筒の接眼部についているアイピース を取り外し、代わりにカメラを接眼部に差し込みます。
  2. 次にUSBケーブルを使ってカメラとPCを接続します。
  3. PCを立ち上げ、先にインストールしておいたSharpCapを立ち上げます。
  4. SharpCapの上部のメニューから「カメラ」を選んで、手持ちのカメラ、今回の場合は「Neptune-C II」を選びます。ここで手持ちのカメラ名が出てこない場合は何かおかしいです。ケーブル接続や、ShapCapが対応しているカメラかどうか確認してみて下さい。特にNeptune-C IIはSharpCapのバージョンが4.0以降でないと、うまく認識されません。
camera

カメラとの接続がうまくいくと、カメラに映った画面がSharpCapに表示されます。さて、画面には何か表示されていますでしょうか?見ている方向や、SharpCapの設定とピントの状態によっては何も出てこないかもしれません。とりあえず気にせずにSharpCapの設定に移ります。
  1. SharpCapの右側パネルの「カメラコントロール」の「露出時間」を「400ms」程度にして下さい。もし露出時間の設定項目などが画面に出ていなければ「カメラコントロール」の左下向き矢印のボタンを押してタブを展開します。この400msはで0.4秒ごとに画面が更新されます。あまり短いと暗いものが映りません。逆にあまり長いと更新されるまで時間がかかるので変化するものが見にくくなります。
  2. さらに、その下の「アナログゲイン」は「450」とかのある程度高いところにします。これは400msという短い露出時間でも暗いものが十分に見えるようにするためです。
  3. これで星が何も見えなければピントがずれているので、SharpCapの画面を見ながら接眼部横のつまみを回して何か光るものが見えるか確認します。これで星が見えたら、星が一番小さくなるところに合わせます。もしそれでも明るくならなければ、空が曇っていないか、鏡筒に蓋がついたままになっていないかなど調べてみて下さい。
うまくいっているなら、この時点でベガが他の星に比べて圧倒的に明るく輝いているはずです。


いよいよM57を導入

ここまできたら、次はいよいよ星雲です。
  1. この状態から、SynScan Proの初期画面で「ディープスカイ」を押し、「メシエ」の右に「057」と打ち込みます。
  2. するとすぐ下に「こと座環状星雲」と出てくると思います。
  3. その状態ですぐ下の「導入」を押します。
  4. すると鏡筒が動き出すので、M57を向くまで10秒ほどで待ちます。
IMG_3177

導入が完了したら、真ん中の横長のボタンを押して導入を完了します。

IMG_3175

おそらくもうこの時点でM57が画面に入っているはずです。既に画面上にそれらしきものが見えているかもしれません。でも興奮して焦ったりせず、落ち着いて次の設定に進みます。


SharpCapのヒストグラムであぶり出し

さてここからが勝負です。

まずはあぶり出し前の下準備です。
  1. SharpCapの「露出時間」を「800ms」程度にして下さい。これは画面に天体が見えている時に短すぎて暗すぎず、長すぎて反応が遅すぎずという値です。
  2. さらに右側パネルの「画像情報」のホワイトバランスをR、G、Bそれぞれ「自動」ボタンを押してカラーバランスを整えます。
  3. その結果は「ヒストグラムストレッチ」で確認できます。ヒストグラムにはR(red、赤)、G(green、緑)、B(bllue、青)の3つの曲線があると思いますが、左の方の山の頂上の位置が3つとも一致しているならホワイトバランスが取れています。
  4. これが確認できたら先ほどのホワイトバランスの「自動」ボタンをもう一度押して解除して下さい。

次に、ヒストグラム画面を弄ります。ここからブワッと出てくるので期待して下さい。
  1. 黄色い縦の点線が左、真ん中、右と見えると思います。まずは左の点線を山のすぐ左側まで持ってきます。点線のあたりにカーソルを合わせて左クリックして押したまま選択状態にして、右に移動し、山の左側に持ってきます。
  2. 同様に、真ん中の点線を山の右側まで持ってきます。
  3. これでM57があらわに画面上に出てきます。
ちなみに、SharpCapの有料版を使っている方は、ヒストグラムの右にある雷マークのようなボタンを押すと、上の1-3の操作が全て自動で行われます。オートストレッチ機能と言います。有料版は年間10ポンド、日本円にして1500円程度です。このオートストレッチ機能だけでも有料版にする価値があるくらいと思います。PayPalですぐに支払いができますので、もし電視観望を続けたい方は早いうちに有料版にしたほうが圧倒的に楽になります。

さて、実際にM57はうまく画面上で見えましたでしょうか?うまくいくと下のような画像になると思います。この時点でももう形がはっきり見えるくらいになっているはずです。

02_M57_in

もしここでそれらしいものが見えなかったら、自動導入があまりうまく行ってないのかもしれません。SynScan Proの矢印で、スピードを7くらいにして画面を上下左右に動かしてみて下さい。ベガにきちんと初期アラインメントがされているなら、そう遠く無いところにいるはずです。

形が見えたら、あとはSynScan Proの矢印でうまくM57を画面の真ん中くらいまで持ってきて下さい。


ライブスタックでノイズを落とそう

最後の仕上げはライブスタックという機能を使いノイズを落とすことです。上の画面はまだざらざらしていてノイジーなのですが、これから画面を何枚も重ね合わせることで、背景のノイズを落としていきます。
  1. 「ツール」の「ライブスタック」を選びます。
  2. すると画面下にヒストグラムが出てきます。
  3. 真ん中の黄色の点線が最初から少し左に行っています。これを真ん中まで持っていって、斜めに走る曲線が真っ直ぐになるようにします。
  4. しばらく待っているとLive stackエリアの左の「Over view」内の「Frames Stacked」の数が増えていきます。これが重なった枚数で、その枚数が増えるほどにノイズが少なくなっていくことがわかります。
  5. 右パネルのヒストグラムの黄色い点線を微調整して、見やすくなるところを探して見て下さい。
01_M57_Stacked

うまくいくと上のようなノイズが少ない画像になります。

下のように画面の中で少し拡大しても見やすくなります。右上の「拡大」のところを適当な値にして見て下さい。

02_M57

もう一つコツです。右パネルの小さなヒストグラムでやったあぶり出しの方法は、ライブスタックの中の大きなヒストグラムでもそのまま適用できます。画面が大きいので、こちらの方が調整しやすいかもしれません。

上の写真を見てもわかりますが、ライブスタックの中のヒストグラムであぶり出した結果が右パネルのヒストグラムに適用されます。なので、ライブスタックの中のヒストグラムであぶり出した場合は右パネルのヒストグラムの斜めの線はできるだけまっすぐになるようにしておいて下さい。ここでもあぶり出しをしてしまうと、過剰な画像処理になります。逆にこの機能を利用することで、ライブスタックのヒストグラムで大まかなあぶり出しをして、その結果をさらに右パネルのヒストグラムで微調整するというようなこともできます。


ライブスタックでいろいろ見てみよう

うまく見えましたでしょうか?一通り自分でやってみると、ある程度コツも掴めてくると思います。さてさて、せっかくのライブスタックで星雲が綺麗に見えるようになったわけです。自動導入でどんどん天体を導入して見ましょう。

M27: 亜鈴状星雲
まずはM27、亜鈴状星雲と呼ばれているもので、形が鉄アレイに似ているからです。ダンベルの方がわかりやすいでしょうか。英語では Dumbbell Nebulaとか、 Apple Core Nebulaなどと呼ばれているそうです。

いったんライブスタックを解除します。Live Stack画面の右上のxを押すか、メニューの「ツール」からライブスタックをもう一度選択するか、メニュー下の真ん中らへんの「ライブスタック」ボタンを押して下さい。そしてSynScan ProからM57を導入した時と同様にM27と入れて導入します。

まずはライブスタックなしで導入したばかりの場合: 
03_M27_in
M57と比べて大きいですが、かなり淡いのがわかります。これをライブスタックして1分くらい重ね合わせると
05_M27_stacked2
ノイズが少なくなって見やすくなります。

ちなみに、ライブスタック画面に前のM57が残っているかもしれません。そんな時は左の方の「Actions」の「Clear」ボタンを押すと、また初めからライブスタックが開始されます。


M31:アンドロメダ銀河
この日は深夜0時頃から晴れたので、このとき既に午前1時くらい。既に秋の銀河が登ってきています。M31アンドロメダ銀河を入れてみました。

M31_01

鏡筒の焦点距離600mmで、Neptune-C IIの1/1.8インチサイズだと、アンドロメダ銀河は大きすぎて画面からはみ出してしまいます。それでも少しだけですが腕の構造が見えています。


M33: さんかく座銀河
M31アンドロメダ銀河近くにあるM33さんかく座銀河です。淡い銀河ですが、電視観望だと腕の構造も十分見ることができます。淡いので露出時間を3.2秒とM57に比べて4倍にしました。淡くて醜い時は、ゲインをあげるよりも露出時間を伸ばすことが効果があります。

この写真はライブスタックもかけてあります。わずか3.2秒露出の52枚、3分弱のスタックです。
M33_04_stacked

ちなみにライブスタックをしないと3.2秒露出で下の画像くらいでとても淡いです。
M33_03_nostack_3.2s

なので、最初のうちはM57などの輝度の高いもので十分慣れてから、このような淡い天体に挑戦するといいでしょう。

本当は夏の星雲M8やM20も見たかったのですが、始めるのが遅かったので既に隣の家の屋根に沈んでいってしまいました。夏は他にもたくさんの魅力的な天体があります。一度コツを掴めたら簡単ですので、どんどんチャレンジしてみて下さい。


せっかくなので惑星も

電視観望からは少し脱線しますが、同じCMOSカメラを使った手法の一つに、惑星撮影があります。

前回のアイピースでの眼視の時に、ブログの記事用にと思って惑星をスマホで撮影しました。土星はかろうじて形が分かったので載せましたが、木星は形のみで縞も写らなかったので掲載しませんでした。いったいどれくらいだったかというと、
IMG_3161
というように、見るも無残ですね。

これでも少しでも大きく写るように10mmのアイピースと、ぶれないようにスマホ用の撮影ホルダーを使ったのですが、使ったスマホのカメラがiPhone10と特別感度の良いカメラというわけでも無いのと、分解能も足りていなかったりで、全くうまく写せませんでした。

今回せっかくNeptune-C IIという高感度のCMOSカメラがあるので、少しだけ惑星も撮影してみましょう。まずは木星です。惑星は明るいので、露光を相当落とします。露出時間は5ms、ゲインは100です。

Capture_00001 01_22_01_WithDisplayStretch
それでも視野が大きすぎて木星はほんの一部にしか写っていません。これを切り出したものが下になります。
Capture_00001 23_31_02_WithDisplayStretch_cut
一枚撮りですが、縞も十分に写っています。

次に土星です。これも切り出しています。
Capture_00001 01_18_34_WithDisplayStretch_cut

比率は木星と同じなので、木星よりも小さく写っていることがわかります。小さいですが、輪の形もなんとか分かります。

これだけでもCMOSカメラの優位性がよくわかり、木星も土星も、スマホで写した時よりはるかにきれいに写っていることがわかります。さらに今回、詳しく説明はしませんが、同じカメラを使ってSharpCap上で動画で惑星を撮影し、1000枚程度を重ね合わせることでさらに細かい模様を出すことができることも示しておきます。上の1枚画像と比べても圧倒的に解像度が上がっていることがわかります。

Jupitar2

Satan

VIRTUOSOの鏡筒付きの一番安価な13cmニュートン反射モデルですが、CMOSカメラを使うとここまで詳細に惑星を捉えることができます。画像処理などのテクニックは必要になってきますが、こんな楽しみ方もできるというわけです。


まとめ

どうでしたでしょうか?電視観望では星雲や星団、銀河などをかなりはっきりと見ることができます。カメラで見ている時にアイピース に戻して、星雲や星団が目とカメラでどう違って見えるか見比べてみるのも楽しいかと思います。最後、少し電視観望から脱線してしまいましたが、惑星の撮影も楽しいかもしれません。

このようにCMOSカメラを手に入れるだけで、VIRTUOSOの楽しみ方がはるかに広がります。興味がある方はぜひ検討してみて下さい。

さて、次回はいよいよリモート電視観望です。
 




連載記事:VIRTUOSOを使いこなそう

 

 

 

 

 
 

平日ですが、晴れていたので自宅で朝まで放置撮影です。ターゲットは迷いましたが三角座銀河M33。TSA-120とASI294MC Proで狙います。本当はTSA-120と6Dで試したかったのですが、少し面積が大きすぎます。でもこの間のM31がFC-76と6Dでうまくいったので、銀河をもう少し試したくて、より焦点距離が長く、よりセンサー面積が小さい方向に行きます。


撮影

夕方過ぎの暗くなったくらいではまだM33の高度はそこまで高くないので、準備はのんびり。機材を設置して、Stick PCでSharpCapでとるとどうも通信が不安定になります。Stick PCはネットワークに繋がってないとリモートデスクトップが成り立たないので、画面を見ることができず、何が怒っているかも分からなくなります。結局全くつながらなくなってしまったので、何が起きているのか見るのに、少し前に用意したモニターアダプターを使ってみます。どうやら再起動されたみたいで、アダプターを準備している間にネットワークも復帰していました。画面を見ながら、同時にpingで安定性を見ます。

IMG_1134

どうもCPUの負荷によって、通信が遅くなったり、止まったりするようです。その上で過度の負荷がかかると完全に止まってPCが再起動されるようです。

ここからは推測ですが、電源容量が足りてないのではないかと。CPU負荷が大きいと電力が足りなくて、Wi-Fiまで電力が回りにくくなり通信速度が落ち、さらにひどいとPC自身が電力不足で止まってしまいPCが再起動されるのかと思います。現在はLess is moreのバッテリーを使っていて安定だと思っていたのですが、電力的にはよくても電圧的には決して高いわけではないので、電圧不足になった可能性があるかと思っています。むしろ普通のUSBバッテリーに昇圧アダプターを使った方が安定なのかもしれません。

SharpCapの極軸合わせはかなり計算負荷が高く、これが終わってしまえば今回はこれ以上負荷の大きいことはしなかったので、バッテリーはそのままとしました。今回の撮影はNINAとPHD2を使ったのですが、これくらいの負担なら全く問題なかったです。昇圧の試験は次回以降に試してみます。

あとSharpCapですが、Stick PCのWindowsが64bitでももしうまく動かなければ32bitにしろと警告が出ます。実際、極軸合わせは警告ではなく動かなかったので、これ以降は32bit版で試すことにしています。


撮影状況

今回の課題は恒星のサチリと風での揺れでした。最初の300秒の露光時間のものはゲイン120で2時間くらい撮影したのですが、どうも明るすぎて恒星中心がサチっているようなのと、途中から風が出てきたので長時間露光だと星像が大きくなるようなのです。

途中でカメラがきちんとNINAで認識されていないみたいで、撮影は進んでいるのにファイルが生成されないというトラブルがありました。この時点で、ゲインはそのままの120で、露光時間を180秒にしました。
露光時間を短くするのは星像肥大にも有利かと思ったからです。同時に温度順応でピントがズレたことも疑い合わせ直したのですが、ピントは問題なかったという判断でした。でもこのピント確認自体がどうも悪さをしたようです。

朝になって見たらそれでも180秒露光のものも中心部がまだ少しサチっていました。それよりも途中から雲が出てきたみたいで、撮影した180秒のものの半分以上は無駄になってしまっていました。結局露光時間が不足しそうなので、300秒露光の2時間分と180秒露光の2時間分の計4時間分を使うことにしました。

PixInsightでは露光時間が違ったりすると別処理でスタックするので、ダークフレームも2種類用意します。フラットフレームはゲインを120と一致させたので一種類で済みました。


TSA-120でのフラットフレーム撮影

少しフラットについて書いておきます。TSA-120ではこれまでフラット補正がうまくいったことがありませんでした。撮影したフラットフレームが全然まともでないのです。FS-60とFC-76で障子越しの自然光でうまくいっているのですが、我が家の障子は枠が狭くてTSA-120の口径をカバーする面積の障子面がありません。一方、スーパーの袋で薄明後の空でフラットフレームを撮影してうまくいっている方もいるとのことなので、今回はスーパーの袋を二重にして輪ゴムでTSA-120に取り付け、太陽光が入っている部屋の日陰部分の白い壁を映すことにしました。

masterFlat-BINNING_1-FILTER_NoFilter

できたフラット画像は見た目はそれほど悪くありませんが、左の方に少し段差のようなものがあります。ビニール袋の取り付け方か、壁の光の当たり具合かと思って色々試しましたが、特に変化がないのでこれがTSA-120の特性かと思うことにしました。かなり炙り出しているので、それで目立っただけなのかもしれません。それよりも変化が大きかったのが、太陽に少しでも雲がかかった時で、光の光量が大きく変わることです。炙り出して見ているとすごい変化に見えるので、雲が完全に無い時を狙いました。でもこれはスタックするので、実際に光量が多少変化してもほとんど影響がないと思います。

フラット補正をした結果を見る限りは、特に問題なさそうなのでしばらくはこれでいくと思います。


画像処理

処理はいつも通りPIのWeightedBatchProcessing (WBP)で。出来上がりのライトフレームは、露光時間の違いにより300秒と180秒の2種類できるのですが、よく見ると300秒の方が細部が出ていてノイジー、180秒の方が細部がなまっているけど滑らかと、ちょっと予測と逆の結果となりました。後半のほうが風の影響が大きかったか、もしくはピント確認した時に合わせ直しが甘かったのが原因かと思います。

最初300秒のと180秒のをPIのImageIntegrationで合わせたもの(3枚以下だと処理してくれないので、それぞれコピーして計4枚をスタック)を処理したのですが、改めて4時間分合わせたものと300秒単体の2時間分を比べてみると、合わせたものの細部がどうしても鈍ってしまっています。泣く泣く2時間分を切り捨て、前半の300秒露光の2時間分だけで処理することにしました。
  • なかなか納得がいかず、何度もやり直して十日くらい過ぎてしまいました。いろいろ問題点はあります。露光時間が光害地にもかかわらず2時間と短いので、根本的にノイジー。
  • 明るい恒星の中心部がサチっているのに後から気付き、残ってしまっています。短時間露光を取り直してHDR合成しようかとも思いましたが、露光時間不足が決定的でそこまでやる価値はないと思い、今回は諦めました。
  • もう少し細部が出そうな気もしますが、ノイズを考えるとここら辺が限界かもしれません。

結果です。

masterLight_180_integration_DBE_AS_hakiOK_all4
  • 撮影日: 2020年11月12日21時1分-13日22時55分
  • 撮影場所: 富山市自宅
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35マルチフラットナー(x0.98)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: ZWO ASI294MC Pro (-15℃) 
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: N.I.N.A、Gain 120、露光時間: 300秒 x 21枚 = 1時間45分
  • 画像処理: bias 100枚、dark 100枚、flat(12.5ms) 100枚、flatdark 100枚を使いPixInsightでスタック、Photoshop CC, DeNoiseで仕上げ

まとめ

風の影響が大きく、星像が肥大したことがそもそもの問題でした。

口径が大きくなるとより明るく撮影できます。その一方、明るくて恒星がサチってしまう恐れがあります。中心をサチらせても淡いところを出すのか、サチるのは絶対に避けるべきなのか、HDRを前提に短時間露光も別撮りするのか、ここら辺はこれから検討すべき課題です。

星像肥大でピンぼけを疑って、その後のピントが合わせきれなくて、2時間分の画像を無駄にしてしまいました。そのため露光時間不足から、画像処理も少し諦めた感があります。M31アンドロメダ銀河は自宅撮影でも処理に余裕がありました。露光時間が4時間半と長かったこともありますが、やはり根本的に明るい銀河だったからだと思います。M31で気を良くして撮影したM33ですが、M31に比べたらやはりM33は淡いです。と言っても銀河の中では大型な部類なのは言うまでもありません。自宅撮影ではやはりここら辺が限界なのでしょうか?露光時間をもっと長くしてリベンジしたい気もまだあります。

あ、それでも前回、3年近く前のM33が縮緬ノイズで救いようがなかったので、自己ベストは更新です。

あと2つ画像処理が残ってます。太陽とかすぐに記事に書けるものと、どんどん先送りになっているネタの差が激しいです。残ってる画像処理の一つは夏の天の川。もうとっくに季節が過ぎ去ってしまいました。あせらずに頑張って、そのうちやります。


過去の縞ノイズでも試してみる

もしかしたら、flat補正の効果が今回の撮影だけの特別な場合だった可能性もあります。なので、過去の画像で縞ノイズが出たファイルを再処理してみます。使ったのは、2年以上前のPixInsightを最初に使い始めた頃に撮影したM33。

シンプルにするためにフラットの有無だけで比較します。撮影条件は
  • 鏡筒: タカハシFS-60Q、焦点距離600mm
  • 赤道儀: Celestron Advaned VX
  • カメラ:  ZWO ASI294MC
  • ガイド: ASI178MCと50mmのCマウントレンズをPHD2にて
  • 撮影条件: SharpCapでゲイン270、温度-15℃、露光時間300秒x25枚 = 2時間5分
  • ディザー: なし 
  • ファイル保存形式: RAW16bit、fits形式
です。本質的なところではカメラは常温ですが同じ、長時間、ディザーなしというのでよく似た条件です。Flat frameの内容はというと、記録から
  • flat frame: light frame撮影後すぐに、鏡筒に状態でスーパーの白い袋を2重に被せて撮影。ゲイン270、露光時間300秒、常温で、3枚撮影。
となっているので、これも撮影後すぐにとったとか、枚数が少ないとかの条件も同じです。この似た条件というのが鍵になる可能性がありますが、まずは時期的にも違うという点で検証して一般性を見ます。

まずはflat補正あり。やはり以前と同じように縞ノイズは盛大に出るので再現性もあります。

light-BINNING_1

次にflat補正なし。ゴミの跡とかは目をつぶってください。当然周辺減光も出ますし、アンプグローも残ります。その代わりに、バラ星雲の時と同じで縞ノイズは消えます。厳密に言うとバラ星雲の時も今回のM33の時も同じで少しの縞ノイズは残っています。でもflat補正のあるなしで、いずれも劇的な違いがあることはわかります。

light-BINNING_1

この時点で、PIに限られますが違う画像でも起きているので、一般的にも十分あり得る話だということがわかります。


PixInsight以外では?ステライメージで確かめてみる

もしかしたらこれ、PIのflat補正のアルゴリズムに問題があって、PIだけの問題という可能性があります。他のソフトの代表で、ステライメージ8で確かめてみました。

そう言えば最近Windowsを入れ直してステライメージまだ入れてませんでした。久しぶりに再インストールして、M33を使ってflat補正をしてみました。自動処理モードは使わずに、詳細編集モード(マニュアルモード)で試しました。自動処理モードはこれまでもほとんど使ったことがないのと、一応は試したのですがうまく色が出なかったからです。

最初の結果がこれです。

light

「お、縞ノイズないじゃん!なんで?PIだけの問題か?」と思ったのですが、よくみるとゴミの跡も残っていてフラット補正全くされていないみたいです。自動処理モードでやっても結果は変わらず、flatファイルが悪いのかとか色々疑ったのですが、原因はステライメージのバグ。バージョン8をディスクからインストールしたてで、アップデートしていなかったことが原因でした。現行のバージョン8.0hにして試してみると、

light

ちゃんとflat補正もされて、縞ノイズも盛大に出るようになりました。なので、PIだけの問題でないということが分かります。

ちょっと蛇足です。久しぶりにステライメージ触ったのですが、随分といろんなことを忘れていました。今回サボりましたがflat darkとかも本当は撮らないとダメ(flat darkあるなしで縞ノイズに影響がないことは確かめています)なんですよね。その代わりにbiasファイルを撮らなくていいとか、今思うとPIとはだいぶん違います。

初心者向けの自動処理モードも「ほとんど何も設定出来ない」との批判も多いですが、私はこれでいいと思います。多分ステライメージは、初心者にとっては天体画像処理ソフトとしては唯一の選択肢です。日本語で操作できて、マニュアルも(十分ではないかもしれませんが)日本語で読むことができてという意味で、敷居がずいぶん低いはずです。初めて天体写真に挑む人は、一番最初は本当に何も分からず手探りでやるので、自動モードもこれくらい簡潔にしておくのはある意味正しいと思います。自動モードで理解できてきたら、詳細モードに行って、詳細モードでいろんな操作をして理解して、その上で不満が出たらより高機能なPixInsightという手もあるかと思います。

ステライメージで一つ不満があるとしたら、「ベイヤー・RGB変換」のところでしょうか。バッチ処理が無いので、一枚一枚手で変換しなくてはダメなんですよね。ALTキーでI、ALTキーでYで、Enterで処理、マウスで最小化ボタンを押して次の画像というのを繰り返し、出来るだけ楽に進めてます。今回20枚程度でしたが、100枚とかはやりたくないです。最近はPIで1000枚とかの処理もする時があるので、これだとステライメージでは現実無理です。せめてコンポジットやホット/クールピクセル除去機能みたいにバッチ処理ができるようになるといいのですが。


ついでにDSSでも

あと日本で流行っているスタックソフトの残りは、惑星用除いたらあとは、DSS(DeepSkyStacker)とRAP2くらいでしょうかRAP2は有料で持っていないので試せませんが、DSSはフリーなので試すことはできます。DSSは星を始めた4年前にまだ有料ソフトに手を出す前に、フリーだからと少し試しただけくらいの経験しかありません。もう久しく触っていませんが、いい機会なので試してみます。

昔はものすごく複雑だった印象があるのですが、機能自身は今思うとまあ一直線で素直ですね。少なくともPIに比べるとはるかにシンプルです。特に困ったところは2箇所だけで、一つはRegisteringのところで進まなくなってしまったところ。これは検出する星の数が多すぎたことが原因で、「Register Setting」の「Advanced」タブの「Star Detection Threshold」を増やして、検出する星の数を減らすことで解決しました。もう一つは一度最後まで処理をしたのですが、モノクロのままだったので、メニューの「RAW/FITS Settings」の「FITS Filters」できちんとdebayerしてやることでした。

さて結果です。フラットもうまく補正されたようです。

light

あー、ダメですね。やはり縞ノイズ出ますね。

と言うわけでflat補正問題、PixInsightだけの問題でもなく少なくともステライメージとDSSも含めて、同様に縞ノイズを発生させることがわかりました。日本で使われている3大スタックソフト(惑星用除く)で同じ状況というので、flat補正が縞ノイズに与える影響はかなり一般的と言っていいかと思います。


とりあえず、今回の記事のまとめ

他のデータでも、他のソフトでも同様の傾向で、flat補正の影響はあると言えそうです。

ただしやはり気になるところは、flatの撮り方が2例とも撮影後すぐに同露光時間、同ゲインで、スーパーの袋をかぶせて空で撮っていることです。露光時間が長いので、明るさ的に足りないことはないと思います。ただし、カラーバランスはかなり黄色っぽくなってしまっています。また、枚数が足りない可能性もあります。

次回以降はここら辺のflat frame自身についてもう少し検討できたらと思っています。実は今回の謎の答えもう出ています。今検証を進めているところです。乞うご期待です。



多分このシリーズ、長くなります。普段の記事を全然長いと思っていない私が長くなると思っているので、多分本当に長くなります。試したいことがありすぎるので、書けるとこまで書きます。途中で力尽きたらごめんなさい。

今回縞ノイズの一つを、多分特定しました。最初に断っておきますが、限られた条件でのことかもしれません。この記事を読んで試してみても、全然効果がなかったと言う方もいるかもしれません。ですが幾らかの悩んでいる方の解決にはなると思います。私自身、他の方の環境でどうなるか興味があるというのもあります。

comp

この比較写真のように違います。左がこれまでの縞ノイズ、右が無くなった(実際には軽減された)場合です。以下、詳しく説明します。


バラ星雲で出た縞ノイズ

この間のEVOSTAR 72EDでのバラ星雲の撮影で、ディザーをしなかったために縞ノイズが出たという報告をしました。

integration_DBE_PCC_AS_cut


その後、上記の縞ノイズを可視化した記事を書きました。この動画は結構反響が大きかったので、ご覧になった方も多いかと思います。






なぜか突然縞ノイズが消えた!?

この後、もう少し縞ノイズの検証をしてみようとファイルをいじってみました。とりあえずシンプルなところからと思って、rawのlight frameをDebayerしてStarAlignmentだけして縞ノイズを再現しようとしたのです。ところがところが、縞ノイズが綺麗さっぱりなくなっています。

integration

拡大です。
integration_cut

え?
なんで?
全然縞ノイズ出てないじゃん!
せっかく縞ノイズの解析しようと思ってたのに!

さあ、ここからが戦いの始まりです。


PixInsight用語

今回、PixInsight (PI)用語がたくさん出てきます。PIに慣れていない方のために、簡単に解説しておきます。
  • PixInsight: 世界的に有名な天体画像処理ソフト。英語でものすごくとっつきにくいが、高機能。
  • BatchPrepocessing: 撮影したファイル(light, bias, dark, flatなどの各frame)を掘り込んでおけば、スタックまでボタン一発でやってくれる便利な機能。
  • master: bias, dark, flatなど、他数枚の補正ファイルを一度処理すると、スタックされた一枚のmasterというファイルをそれぞれ作ってくれる。以降はそれを使うと処理時間を削減できる。
  • ImageCalibration: BatchPrepocessingのような自動で処理する以外に、マニュアルでもっと細かくオプションを指定しながら処理する方法がある。これはbias, dark, flatなどの補正をマニュアルでする機能のこと。
  • Debayer: 同様にマニュアル処理の一つ。モノクロのBayer配列のRawファイルをカラー化すること。
  • StarAlignment: マニュアル処理の一つ。多数枚数の画像の星位置を合わせること。PIでは平行移動、回転にのみならず、画面を歪ませて星の位置をそれぞれ合わせることができる。
  • ImageInteglation: マニュアル処理の一つ。他数枚の画像をスタックすること。
  • ScreenTransferFunction: 簡易的にストレッチ(明るくすること)をする機能。見かけの表示のみをいじるので、ファイルには何の手も加えない。見かけを適用したい場合はHistgramTransfomationを使う。
  • Auto Stretch: ScreenTransferFunctionの一機能。あぶり出しのすんでいないまだ暗い画像などを、そこそこ見やすいように自動でストレッチする機能のこと。超便利。
  • DynamicBackgroundExtraction (DBE): 背景の被りや周辺減光などをソフト的に除去する機能。任意の補正点を指定できるので、星雲部分の補正を避けるなど細かい補正が可能。超便利。
  • AutomaticBackgroundExtraction (ABE): 背景の被りや周辺減光などをソフト的に除去する機能。細かい補正はできないが、大局的に補正してくれるので簡単で便利。
  • TVGDenoise: PI場で最強と言われているノイズ除去機能。

比較条件

今回検証するRAWファイルは全て同じです。他に共通撮影条件は
  • 鏡筒: SkyWatcher EVOSTAR 72ED + x0.72レデューザー、焦点距離300mm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • ガイド: ASI178MCと50mmのCマウントレンズをPHD2にて
  • 撮影条件: SharpCapでゲイン220、温度-15℃、露光時間300秒x20枚 = 1時間40分
  • ディザー: なし 
  • ファイル保存形式: RAW16bit、fits形式
  • フィルター: サイトロン QBP(アメリカンサイズ)
となります。

今回の検討を始める前までに、縞ノイズが出た時の処理と、出なかった時の処理の違いを書いておきます。処理は全てPI上でやっています。
  • 縞ノイズあり: BatchPreprocessingでbias補正、dark補正、flat補正を適用し、走らせた。
  • 縞ノイズなし: マニュアルでDebayer、StarAlignment、ImageInteglation。
この中に決定的な違いがあるはずです。以下、各補正ファイルの条件です。全てSharpCap上で撮影していて、最初の処理でmaster fileができるので、以降はそれを利用。
  • bias frame: ゲイン220、露光時間が最小の0.032ミリ秒で、100枚撮影。
  • dark frame: frat frame撮影後、片付けの後すぐに、家の中で撮影。ゲイン220、露光時間300秒、-15℃で、28枚撮影。
  • flat frame: light frame撮影後すぐに、鏡筒に状態でスーパーの白い袋を2重に被せて撮影。ゲイン220、露光時間300秒、-15℃で、7枚撮影。

処理結果に大きな違いが出ていて、検証材料も全て揃っているので、何が違いに影響しているのか順に検証していきます。


検証過程

ここからはほぼ実際にやった手順です。
  1. まず、再度BatchPreprocessingとマニュアル処理で再現性を確認。->きちんとBatchPreprocessingのときには縞ノイズ出て、マニュアル処理では出ないです。再現性はきちんとあります。
  2. 次に、一番怪しくないと思ったflat frameのみ適用させBatchPreprocessingで処理 -> 縞ノイズ出ます。「うーん、あんまり関係ないよな。」
  3. 次、一番怪しそうなbias framaのみを適用させBatchPreprocessingで処理 -> 縞ノイズ消えた!「そりゃbias必要でしょ。」
  4. 次、flatとbias frameを適用させBatchPreprocessingで処理 -> 縞ノイズ出ます。「あれ?flatあまり関係ないはずなのに。」-> ところが、ここでやっと思い違いに気づきます。今回、何も補正していない方が縞ノイズが出なくて、補正した方が縞ノイズが出たのでした。と言うことは、bias関係なしで、flatで縞ノイズ有無が決まっていることになります。え、本当?
  5. 確認で、darkとbias frameを適用させBatchPreprocessingで処理 -> 縞ノイズ出ません。「えー、ホントにdarkもbiasも関係ないよ!?」
  6. 念のため、darkのみ適用させBatchPreprocessingで処理 -> 縞ノイズ出ません。「確かにdark関係なし。」
  7. さらに念のため、master flatを使うのではなく、改めて個々のflat frameを使ってBatchPreprocessing処理 -> 縞ノイズ出る。「やっぱりflatが原因だ!」
  8. さらに、BatchPreprocessingが何か悪さをしている可能性も考えて、マニュアルのImageCalibrationを使ってflat処理だけしてみます->縞ノイズあり。「少なくともPIで処理する限りflatが悪さをしているのは確定でよさそう」


Flat補正をしない場合、本当に改善されているのか

確かに上の画像で見た通り、flat補正をしないと縞ノイズは無くなって見えているのですが、本当でしょうか?それぞれSTFでオートストレッチをしているのですが、本当に正確な比較をしているのか疑問になってきました。オートストレッチは星雲を含む背景の最大の輝度と最小の輝度から適用範囲が決まります。例えば、flat補正をしていない周辺減光のある画像ではあぶり出しも中途半端で、周辺減光のない平坦に近い画像では極限まで炙り出すことをするので、細かい差(この場合縞ノイズも含めて)をより浮き出させてくれます。

ここでは公平に比較するために、それぞれの画像にAutomaticBackgroundExtraction (ABE)を適用し、周辺減光の影響をできるだけ少なくして比較してみます。flat補正をしたものでもまだ明暗のばらつきは無視できないほど存在していて、ABEを適用することで多少の変化があります。それぞれABEをしてから、STFでオートストレッチをしています。

まず、flat補正ありの画像。

light_BINNING_1_integration_ABE

light_BINNING_1_integration_ABE_cut
これまで通り、縞ノイズは盛大に見えています。

次にflat補正しない場合。
integration_ABE

integration_ABE_cut

結局、周辺減光がABEで補正できる範囲を超えてしまっているので全然補正できていません。そのためオートストレッチ後、少し補正して目で見て、拡大部分の明るさをそこそこ合わせています。多少公平性は欠けてしまいましたが、それでも不公平になる程の違いは無いくらいにはなっているでしょう。結果はというと、flat補正なしであからさまに縞ノイズは改善されていますが、よく見るとやはり完全に無くなりきってはいないです。「相当軽減する」くらいは言っていいでしょうか。

この比較から、flat補正は縞ノイズの影響を悪化させていることは確からしいですが、完全には撮りきれないことから、それだけが原因というわけでもなさそうです。

実際の画像処理では背景はもう少し暗くなるので、flat補正なしにして、この程度の縞ノイズになるのなら個人的には許容範囲でしょうか。


Flat frameについて

でもここでふと我に返ります。でも今回使ったflatってそんなに変なの?

確認してみる限りごくごく普通のflatだと思います。master flatをAuto Stretchしたものです。(blogに載せるためのファイルサイズ制限で、bayer配列を無理にjpegにしているので、偽色が出てしまってノイジーに見えてしまっています。)
flat-BINNING_1

拡大です。pngなので、偽色とかは出ていないはずです。(画像サイズが小さいのでpngでもファイルサイズが大きくなり過ぎず、blogでもアップロードできます。)
flat-BINNING_1_cut

見ている限り、極々ノーマルで、ノイズが特別多いようにも思えません。

でも、master flatをdebayerしてAuto Stretchしてみると少し正体が見えてきます。
flat_BINNING_1_integration_RGB_VNG

拡大です。
flat_BINNING_1_integration_RGB_VNG_cut

カラー化すると結構ノイジーなのがわかります。なんだかカラーノイズと言われているものに似ています。これが固定ノイズとなって、星像を止めたときには逆に、この固定ノイズが流れるのでしょう。

でも本当にこれくらいのことであんなに盛大に縞ノイズが出てくるまで画像を悪化させるのでしょうか?だって直接処理しているのはlight frameの1枚1枚で、それに対してflat frameは枚数少ないとは言え7枚です。それが流れて見えるので、スタックした20枚:7枚でなく、1枚:7枚の比で比較してもいいような気がします。ここは少し疑問が残ります。


flat frameのノイズを改善してみたら?

本当にflatが効いているのか確認するためにもう少し試します。master flatにPI上でTVGDenoiseでノイズを減らしたflat frameを適用して処理してみました。その結果がこれです。
integration

拡大です。
integration_cut

わかりますでしょうか?多分拡大していない方がわかりやすいと思いますが、細かい縞ノイズが消えて、大きな構造の縞ノイズが出てきています。

この結果から考えられることは、flat frame自身でのノイズ除去があまりうまくいっていなくて、細かいカラーノイズが大きな構造のノイズになってしまったからです。

少なくとも、これらの結果からflat frameが縞ノイズに影響を与えているのは間違いないでしょう。ただし、あくまでこれも限られた環境、限られた条件下での話の可能性もあります。ここら辺は次回以降に検討してきます。


とりあえずのまとめ

どうも聞いていると、縞ノイズに困っている人と困っていない人がいるみたいです。なので、一概に今回の結果が正しいとは言えないと思いますが、flat補正の影響は私と同じような状況の人には朗報となるかもしれません。でもflatが原因の全てだなんていうことを言う気は全くありません。あくまで原因の一つであるのではないかということです。

いろいろ検索してみましたが、flat補正が縞ノイズの原因だとバッチリ書いてあるところは見つかりませんでした。むしろこれまで思っていた通り、flat補正をきちんとすると縞ノイズが解決できるはずだと書いてある記述はたくさん見つかりました。普通だとこちらのセンスの方が正しといと思ってしまうのは、ある意味ごくごく普通でしょう。そもそもなんでflat補正が縞ノイズに対してダメなのか、まだよくわかっていません。これからいろいろ検証していきたいところです。

今回、縞ノイズに対する根本的な解決策を示したわけではありませんが、状況によってはflat補正を外して画像処理することで、縞ノイズを軽減できる可能性があることがわかります。その上で、PIのABEやDBE、FlatAidProなどを使ってカブリや周辺減光を減らすことで対応する必要もあるでしょうか。この場合、ゴミやアンプグローなどは除去できません。

もう一つ重要なことはは、きちんとディザーをして散らすことでしょうか。多分縞ノイズって複合原因なんです。1方向に流さないようにすること。これが重要なのは変わりません。ディザーはおそらく根本解決の方法の一つです。


この記事まだまだ続きそうです。今回はバラ星雲での撮影のみ取り上げましたが、次回は過去に出た縞ノイズの場合なども検討してみたいと思います。

 

スターライトフェスティバル、初日に続き、2日目は朝から天気も良く、今日は本格的な電視観望が期待ができそうです。

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ASI224MCを使った電視の様子。M57が見えています。FS-60CBをAdvanced VXに載せてます。奥に見えるのがKYOEIブースの大画面モニターで、そこにPCの画面を映させてもらっています。


朝起きたら、お隣の栃木のグループが朝食に誘ってくれて、なんと3人で押しかけてしまってアヒージョ、サーモン、おでん、うどんと、ご馳走になりました。とても美味しくて、特にアヒージョは絶品でした。カップラーメンの予定がすごい豪華な朝食になりました。ありがとうございました。さらにここのメンバーにお風呂情報を教えてもらいました。

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星の村ふれあい館というところで、車で5分くらいでしょうか。綺麗なところで大人400円、子供200円とリーズナブルでした。朝から営業してくれているのですごく助かります。その後、高速インター方面のショッピンエリアで買い出し。お昼の弁当と、夕食の足りない分を補充しました。スーパーはヨークベニマルという、多分イトーヨーカドーと同じ系列で、セブンイレブンの商品も扱っていました。結構便利です。

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会場に戻ると、井上あずみさんのコンサートが始まるところでした。トトロとラピュタの主題歌はもちろん、トークを交えてのコンサートは会場に来ていたたくさんの小さな子供たちも大喜びでした。

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初日のところに書き損ねてしまったのですが、このブログのコメントなどでもちょくちょく登場してもらっている大学学部時代の先輩のHBさんと十数年ぶりに会うことができました。学生の時からすごく気の合う人で、天文歴も子供の頃からなので相当長く、むちゃくちゃ凝り性の人なので、思いもつかないような面白いことをする人です。今回も皆既日食でアメリカに持っていったカメラを見せてもらったのですが、バッテリーグリップを改造してPICマイコンでスイッチオンでISOを変えながら連続で250枚とるとか、2分間の一発勝負では不安定なコンピューターを使わないというコンセプトは大きく賛同できます。頂いた日食の写真も、地球照ならぬ月照が写っているそれはそれは素晴らしいものでした。




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太陽観測の機器も見せてもらいました。太陽は普通ファブリペローエタロンを使ってHαの波長帯を、出来るだけ線幅を小さくして見るのですが、CORONADOやLUNTといったところがメジャーです。天邪鬼のHBさんオススメはDAYSTARで、接眼部に取り付けることができるために、8cmの口径まで対応できる汎用的なところと、比較的安価で線幅が狭くできるところがいいとのことです。このあと4機種で見比べしたのですが、見え味は全く他に見劣りしないどころか、値段逆転現象が起きていたように思えます。逆に欠点は接眼部のところで平行光にするために4倍の付属のバローが必須で、拡大しすぎてしまうために広角で太陽の全体が一度に見えないところのようです。今では日本の代理店もあるみたいですが、個人輸入して手に入れたそうです。

抽選会の前あたりから太陽祭りが始まり、最初HBさんのDAYSTARと、HBさんの知り合いの方が持っていたLUNTのダブルスタックで見え方比較をしていたら、途中からCORONADO SOLARMAX Ⅱが参加し、さらにCORONADO PSTとCORONAD PSTのカルシウム線を見るタイプCaKも参加して、なんと太陽を4機種5台をその場で見比べることができました。なかなかこんな状況は無く、細かく特徴などを比較でき、とても貴重な機会でした。

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SOLARMAX Ⅱでは私が持っていたASI178MCで電視もやってみたのですが、SharpCap上で拡大できたり、画像処理もある程度できるので、プロミネンスなどかなりの迫力ある太陽が楽しめます。多人数で見える利点もそのままです。その代わりに欠点も露呈しました。昼間は明るすぎて、モニターの画面が見にくのです。モニターを暗く覆っても、周りが明るすぎて自分の姿とかがモニターに映ってしまいます。モニターがグレアタイプだったのですが、ノングレアの方がまだマシそうです。

またCORONADO PST CaKではこれも電視でカルシウム線を見ることもできました。画像処理をすることで結構見ることができますが、少し試しただけなので、まだまだ調整の余地はありそうです。。ただ、PSTの持ち主の方も言っていましたが、やはりカルシウムの青よりはHαの赤の方が電視では見応えがあるかもとのことです。

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モニターに映る太陽。プロミネンスもはっきり見ることができました。


抽選会では家族の中ではNatsuだけが当たって、メシエポスターをいただきました。ハズレの人がもらえるポップコーンもすごく美味しかったです。その後、100円豚汁を食べてから(Natsuは一人で2杯も食べました)電視の準備を始め、この日もKYOEIさんの大画面モニターに映させていただきました。

この日は最初から晴れていたので、本格的にFS-60CBをAdvanced VXに載せて、Sharpcapできちんと極軸も出して、自動導入の精度を上げることにしました。以外にもSharpcapで電子極軸が取れることを知らない方が多いみたいで、かなりの精度で出るのを、これも大型モニターでデモすることができました。

自動導入のおかげで次々と見たい天体を変えることができ、見に来てくれた人を飽きさせることなく、ライブビューの様子を見せることができたと思います。月明かりが明るい中、M57とM27、二重星団などを楽しみました。途中何人もの方が興味を示してくれて、いろいろお話しさせていただきました。柏から来た天文台併設の学習塾の先生、昼間SOLARMAXに繋いでくれた方、原村や胎内で知り合った方達など、初心者からベテランの方まで何十人もの人たちがかなりじっくり見ていってくれたと思います。やはり、その場で星雲に色がついているということは相当インパクトがあったようです。しかもほとんどの方が、わずか口径60mmでこんなに見えるんだと驚いてくれました。中にはASI224MCを使っていること聞いて、その場でカメラを買っていく方もいたほどです。実際にSharpcapでスタックしているところや、画像の調整しているところまで含めて、大画面モニターに映し出していたのも臨場感があったようです。

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電視でのNGC6888:三日月星雲

途中、HBさんの提案でNGC6888、三日月星雲を入れてみようということになったのですが、満月後2日目の大きな月もあるのと、淡い天体なのであまり期待していなかったのですが、露出時間を3.6秒と少し長めにとるとなんとか見える程度までにはなるではないですか!これには相当ベテランの方達も驚かれていたようでした。もちろん電視の画像は写真撮影には負けるのですが、今鏡筒が向いている先の淡い三日月星雲をわずか60mmでここまで見ることができるのはすごい!というような感想が多かったです。

その中で、これもHBさんのアイデアなのですが、Sharpcapの赤色の設定をオートにすることでホワイトバランスをとることにより、三日月星雲の画像がはるかにマシな画像になりました。これは私は思いつかなくて、短時間で欠点を見抜くHBさんの画像処理の知識はやはりプロレベルです。

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電視でのM33

その後M33も入れましたが、これもなんとか渦巻銀河の腕の構造も見え、これも驚かれた方が多かったようです。


オークションは電視の方が忙しくてあまり真面目に参加しなかったのですが、子供がいくつか欲しいものがあり、バッグなどあまり天文と関係ないものを手に入れました。目玉は、最後の最後に寄付で古い望遠鏡セットが出たのですが、欲しい人10人くらいがじゃんけんをして勝った人がもらうことになりました。じゃんけんはなんと一発目でうちのNatsuとSukeだけが残り、親として申し訳なくなってしまいました。結局Sukeが勝って望遠鏡を頂いたのですが、後から元の持ち主の方に子供と一緒にきちんとお礼を言って、さらにアイピースなども頂いてしまいました。先輩のHBさんが色々Sukeに古い時代の望遠鏡の使い方を教えてくれて、しかも思ったよりものすごくよく見える鏡筒で、Sukeがすごく喜んでいました。三脚と経緯台が少し弱いので、補強して大事に使おうと思います。最初どこのメーカーのものかわからなかったのですが、この間大量の雑誌をくれたIさんがKENKOじゃないかと教えてくれました。



今回のもう一つの目玉は、Natsuがなんとゲスト歌手のオオザカレンヂKeisukeさんにギターの演奏を聞いてもらえたことです。去年のスターライトフェスティバルで生まれて初めて歌手のコンサートというものを体験して、その歌っている本人に直接会えて話すことができてとても喜んでいたのですが、その影響かどうかわかりませんが、今年の5月くらいからギターを始めました。胎内の星まつりでオオザカレンヂKeisukeさんとは会う機会があったのですが、その頃はまだまだ演奏を聞いてもらうまでに至りませんでした。今回もまた会えるので、ギターを持っていって、「もし聞いてもらえたらいいなあ」とか言っていたのが、なんと本当に実現してしました。もちろんまだまだ始めたばかりで大した腕ではないのですが、それでも褒めていただいて、しかもリズムとかのアドバイスももらっていて、Natsuは相当舞い上がっていたみたいです。さらにその場にいた方から鹿の骨で作ったというピックを頂き、さらにはオオザカレンヂKeisukeさんから虹色のピックも頂いたとかで、普通では絶対ありえないくらい良くして頂きました。冗談かとは思いますが来年一緒の舞台に立てたらいいねとか声をかけてもらって、娘はますますギターにのめり込みそうです。

結局、そのあとも0時頃まで会場で一人で練習がてら演奏していて、RASAのIさんが演奏に合わせて踊ってくれていました。

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Natsuの演奏に合わせて踊るIさん


この日は結局午前2時頃まで起きていて、次の日は朝7時頃から撤収。手に入れた機材とテントとタープをしまうのが大変で、結局閉会式と記念撮影を逃してしまいました。撤収の途中、双眼鏡の見比べ会が始まってしまい、Canonの手ぶれ補正とLEICA、スワロフスキーと、高性能のものを見ることができました。息子のSukeがスワロフスキーを見て一言、「これすごいよく見える!」、次にLEICAをみて「さっきの方がいい」と生意気なことを。私はどっちがいいか判断できませんでした。持ち主のFさんがスワロフスキーが一番いいとのことなので、案外Sukeは見る目を持っているのかもしれません。

と、そこになぜかWideBino28のマスクが出て来て、

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手がフリーになって便利なのですが、どう見ても怪しい人です。

片付けもなんとか終わり、来年また会いましょうと、みなさんと約束して10時頃に会場を後にしました。とても楽しかったスターライトフェスティバル、今回もたくさんの方と知り合いになりました。子供二人もものすごく楽しかったみたいで、また来年も絶対行くと、帰りの車の中で早々と宣言してました。

私の知らないところで子供が食べ物をもらったりなど、ご迷惑をおかけしていたようです。お世話になった皆様、本当にありがとうございました。


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帰りはサービスエリアで食べたブリカツ丼が絶品でした。食べてしまっていますが、4つも大きなぶりのフライがのっていました。


この次の記事は恒例の戦利品コーナーです。 

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